しかしながら、上記特許文献1では、干渉領域内に位置する一方の部品実装ヘッドが干渉領域外に退避するまで他方の部品実装ヘッドを干渉領域外に待機させておくので、一方の部品実装ヘッドが干渉領域内に位置する状態で他方の部品実装ヘッドを干渉領域内に進入させることができない。このため、干渉領域外に位置する他方の部品実装ヘッドが干渉領域内に進入するのが遅くなるので、他方の部品実装ヘッドを干渉領域内に迅速に移動させるのが困難であるという問題点がある。
また、上記特許文献2では、干渉領域内の一方の移載ヘッドが干渉領域外への退避を開始するタイミングと他方の移載ヘッドが干渉領域内に進入するタイミングとが一致するように部品供給位置にある他方の移載ヘッドの移動の開始タイミングを特定する一方、一方の移載ヘッドおよび他方の移載ヘッドの移動開始後の状態は全く考慮されていない。このため、他方の移載ヘッドを部品供給位置から途中で停止させることなく勢いよく干渉領域内に進入させた場合に、干渉領域内の一方の移載ヘッドが他方の移載ヘッドの干渉領域への進入位置の近傍に位置する場合には、勢いよく進入された他方の移載ヘッドが退避開始直後で速度が小さい退避途中の他方の移載ヘッドに干渉(衝突)してしまう虞があるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、複数の作業ヘッドが互いに干渉するのを抑制しながら、干渉領域外に位置する作業ヘッドを干渉領域内に迅速に進入させることが可能なヘッド移動装置および部品実装装置を提供することである。
課題を解決するための手段および発明の効果
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるヘッド移動装置は、互いに独立して移動可能な第1作業ヘッドおよび第2作業ヘッドと、第1作業ヘッドおよび第2作業ヘッドが互いに干渉する可能性のある干渉領域内に第1作業ヘッドが位置するとともに第2作業ヘッドが干渉領域外に位置する場合に、第1作業ヘッドが干渉領域内から干渉領域外に退避する際の第1作業ヘッドの少なくとも退避加速度に基づいて、第1作業ヘッドと第2作業ヘッドとが互いに干渉しないように、第1作業ヘッドを干渉領域内から干渉領域外に退避させながら第2作業ヘッドが干渉領域外から干渉領域内の作業位置に移動するように第2作業ヘッドの移動動作を制御する移動制御部とを備え、移動制御部は、第2作業ヘッドを干渉領域外から干渉領域内に移動させる際に、干渉領域内において優先的に移動可能な優先権が第1作業ヘッドに設定されている場合には、第2作業ヘッドを干渉領域近傍の待機位置に移動させた後に干渉領域内に移動させるとともに、優先権が第1作業ヘッドに設定されていない場合には、第2作業ヘッドを待機位置に移動して待機させることなく即座に干渉領域内に移動させるように構成されている。なお、本明細書において、第1作業ヘッドおよび第2作業ヘッドが互いに干渉する可能性とは、第1作業ヘッド自体と第2作業ヘッド自体とが互いに干渉する可能性のみならず、第1作業ヘッドを移動させる移動機構の少なくとも一部と第2作業ヘッドを移動させる移動機構の少なくとも一部とが互いに干渉する可能性、および、第1作業ヘッド(第2作業ヘッド)と第2作業ヘッド(第1作業ヘッド)を移動させる移動機構の少なくとも一部とが互いに干渉する可能性を含む広い概念である。
この発明の第1の局面によるヘッド移動装置では、上記のように、第1作業ヘッドを干渉領域内から干渉領域外に退避させながら第2作業ヘッドが干渉領域外から干渉領域内の作業位置に移動するように第2作業ヘッドの移動動作を制御する移動制御部を設けることによって、第1作業ヘッドが干渉領域内に位置する状態でも第2作業ヘッドを干渉領域内に進入させることができるので、干渉領域外に位置する第2作業ヘッドを干渉領域内に迅速に進入させることができる。また、移動制御部により、第1作業ヘッドが干渉領域内から干渉領域外に退避する際の第1作業ヘッドの少なくとも退避加速度に基づいて、第1作業ヘッドと第2作業ヘッドとが互いに干渉しないように第2作業ヘッドが干渉領域外から干渉領域内の作業位置に移動するように第2作業ヘッドの移動動作を制御することによって、第1作業ヘッドの退避途中の状態(少なくとも退避加速度)に応じた移動動作で第2作業ヘッドを干渉領域外から干渉領域内の作業位置に移動させることができるので、第1作業ヘッドの退避途中の状態に関係なく第2作業ヘッドを移動させる場合と異なり、第2作業ヘッドが退避途中の第1作業ヘッドに干渉してしまうのを抑制することができる。したがって、このヘッド移動装置では、第1作業ヘッドと第2作業ヘッドとが互いに干渉するのを抑制しながら、干渉領域外に位置する第2作業ヘッドを干渉領域内に迅速に進入させることができる。また、このヘッド移動装置では、第2作業ヘッドを干渉領域内に迅速に進入させることによって、第1作業ヘッドおよび第2作業ヘッドを用いて所定の作業を行う場合に、作業時間の短縮を図ることができる。
上記第1の局面によるヘッド移動装置において、好ましくは、移動制御部は、第1作業ヘッドが干渉領域内から干渉領域外に退避する際の第1作業ヘッドの退避加速度および退避速度の両方に基づいて、第1作業ヘッドと第2作業ヘッドとが互いに干渉しないように、干渉領域外に位置する第2作業ヘッドが作業位置へ移動する際の移動加速度、移動速度、および、作業位置への第2作業ヘッドの移動の開始タイミングのうちの少なくとも1つを制御するように構成されている。このように、移動制御部により、第1作業ヘッドの退避途中の状態に応じて第2作業ヘッドの移動加速度、移動速度、移動の開始タイミングの少なくとも1つを調整すれば、容易に、第1作業ヘッドと第2作業ヘッドとが互いに干渉するのを抑制しながら、干渉領域外に位置する第2作業ヘッドを干渉領域内に迅速に進入させることができる。また、移動制御部により第1作業ヘッドの退避加速度および退避速度の両方に基づいて第2作業ヘッドの移動動作を制御することによって、第1作業ヘッドの退避加速度だけに基づく場合に比べて第1作業ヘッドの退避途中の状態により適した移動動作で干渉領域外に位置する第2作業ヘッドを干渉領域内の作業位置に移動させることができる。
この場合、好ましくは、移動制御部は、第2作業ヘッドが作業位置への移動を開始してから進入速度に至るまでの第2作業ヘッドの干渉領域内での進入加速度の所定方向成分の大きさが、第1作業ヘッドが干渉領域外への移動を開始してから退避速度に至るまでの第1作業ヘッドの干渉領域内での退避加速度の所定方向成分の大きさと略同じになるとともに、第2作業ヘッドの干渉領域内での進入速度の所定方向成分の大きさが、第1作業ヘッドの干渉領域内での退避速度の所定方向成分の大きさと略同じになるように、第2作業ヘッドの移動加速度としての進入加速度および移動速度としての進入速度を制御するように構成されている。このように第1作業ヘッドの退避加速度の所定方向成分および退避速度の所定方向成分と第2作業ヘッドの進入加速度の所定方向成分および進入速度の所定方向成分とがそれぞれ略同じ大きさになるように構成すれば、第1作業ヘッドと第2作業ヘッドとの所定方向の間隔を略一定に維持したまま第2作業ヘッドを干渉領域外から作業位置に移動させることができる。これにより、第1作業ヘッドと第2作業ヘッドとが互いに干渉するのをより抑制することができる。
上記移動制御部が第2作業ヘッドの移動加速度および移動速度を制御する構成において、好ましくは、移動制御部は、第2作業ヘッドが作業位置への移動を開始してから進入速度に至るまでの干渉領域内での単位時間毎の加速度の所定方向成分の大きさが、第1作業ヘッドが干渉領域外への移動を開始してから退避速度に至るまでの干渉領域内での単位時間毎の加速度の所定方向成分の大きさと略同じになるように第2作業ヘッドの単位時間毎の加速度を制御するように構成されている。このように構成すれば、第1作業ヘッドと第2作業ヘッドとの所定方向の間隔が単位時間毎においても略一定に維持されたまま第2作業ヘッドが作業位置に移動されるので、第1作業ヘッドと第2作業ヘッドとが互いに干渉するのをさらに抑制することができる。
上記移動制御部が第2作業ヘッドの移動加速度および移動速度を制御する構成において、好ましくは、移動制御部は、第1作業ヘッドが干渉領域内から干渉領域外に退避する際の第1作業ヘッドの移動の開始タイミングと略同じタイミングで干渉領域外に位置する第2作業ヘッドが作業位置への移動を開始するように第2作業ヘッドの移動の開始タイミングを制御するように構成されている。このように構成すれば、干渉領域内から干渉領域外への退避を開始する直前の干渉領域内に位置する第1作業ヘッドと、干渉領域外から作業位置への移動を開始する直前の干渉領域外に位置する第2作業ヘッドとの間隔を略維持しながら第2作業ヘッドを干渉領域外から干渉領域内に進入させることができる。これにより、第1作業ヘッドと第2作業ヘッドとが互いに干渉するのをより確実に抑制することができる。
上記移動制御部が第2作業ヘッドの作業位置への移動加速度、移動速度および移動の開始タイミングのうちの少なくとも1つを制御する構成において、好ましくは、第1作業ヘッドの退避加速度および退避速度と、第2作業ヘッドの移動加速度および移動速度とに基づいて、第1作業ヘッドと第2作業ヘッドとが互いに干渉しないように干渉領域外に位置する第2作業ヘッドの作業位置への移動の開始タイミングを取得するタイミング取得部をさらに備え、移動制御部は、タイミング取得部により取得された開始タイミングで作業位置への移動を開始するように干渉領域外に位置する第2作業ヘッドの移動の開始タイミングを制御するように構成されている。このように構成すれば、第1作業ヘッドの退避加速度および退避速度に応じて第2作業ヘッドの移動加速度および移動速度を調整する必要がなく、タイミング取得部により取得される開始タイミングに干渉領域外に位置する第2作業ヘッドの作業位置への移動を開始するように開始タイミングを制御するだけで、容易に、第1作業ヘッドと第2作業ヘッドとが互いに干渉するのを抑制しながら干渉領域外に位置する第2作業ヘッドを干渉領域内に迅速に進入させることができる。
この場合、好ましくは、タイミング取得部は、第1作業ヘッドの退避加速度および退避速度と第2作業ヘッドの移動加速度および移動速度とに加えて、第1作業ヘッドが干渉領域外への退避を開始する直前の第1作業ヘッドの位置にも基づいて開始タイミングを取得するように構成されている。このように構成すれば、第1作業ヘッドの退避直前の位置に基づかないで開始タイミングを取得する場合に比べて、タイミング取得部はより精度よく第1作業ヘッドと第2作業ヘッドとが互いに干渉しない開始タイミングを取得することができる。
この発明の第2の局面における部品実装装置は、電子部品を実装するとともに、互いに独立して移動可能な第1実装ヘッドおよび第2実装ヘッドと、第1実装ヘッドおよび第2実装ヘッドが互いに干渉する可能性のある干渉領域内に第1実装ヘッドが位置するとともに第2実装ヘッドが干渉領域外に位置する場合に、第1実装ヘッドが干渉領域内から干渉領域外に退避する際の第1実装ヘッドの少なくとも退避加速度に基づいて、第1実装ヘッドと第2実装ヘッドとが互いに干渉しないように、第1実装ヘッドを干渉領域内から干渉領域外に退避させながら第2実装ヘッドが干渉領域外から干渉領域内の実装位置に移動するように第2実装ヘッドの移動動作を制御する移動制御部とを備え、移動制御部は、第2実装ヘッドを干渉領域外から干渉領域内に移動させる際に、干渉領域内において優先的に移動可能な優先権が第1実装ヘッドに設定されている場合には、第2実装ヘッドを干渉領域近傍の待機位置に移動させた後に干渉領域内に移動させるとともに、優先権が第1実装ヘッドに設定されていない場合には、第2実装ヘッドを待機位置に移動して待機させることなく即座に干渉領域内に移動させるように構成されている。なお、本明細書において、第1実装ヘッドおよび第2実装ヘッドが互いに干渉する可能性とは、第1実装ヘッド自体と第2実装ヘッド自体とが互いに干渉する可能性のみならず、第1実装ヘッドを移動させる移動機構の少なくとも一部と第2実装ヘッドを移動させる移動機構の少なくとも一部とが互いに干渉する可能性、および、第1実装ヘッド(第2実装ヘッド)と第2実装ヘッド(第1実装ヘッド)を移動させる移動機構の少なくとも一部とが互いに干渉する可能性を含む広い概念である。
この発明の第2の局面による部品実装装置では、上記のように、第1実装ヘッドを干渉領域内から干渉領域外に退避させながら第2実装ヘッドが干渉領域外から干渉領域内の実装位置に移動するように第2実装ヘッドの移動動作を制御する移動制御部を設けることによって、実装動作を終了した第1実装ヘッドが干渉領域内に位置する状態でもこれから実装動作を行う第2実装ヘッドを干渉領域内に進入させることができるので、干渉領域外に位置する第2実装ヘッドを干渉領域内に迅速に進入させることができる。また、移動制御部により、第1実装ヘッドが干渉領域内から干渉領域外に退避する際の第1実装ヘッドの少なくとも退避加速度に基づいて、第1実装ヘッドと第2実装ヘッドとが互いに干渉しないように第2実装ヘッドが干渉領域外から干渉領域内の実装位置に移動するように第2実装ヘッドの移動動作を制御することによって、実装動作を終了した第1実装ヘッドの退避途中の状態(少なくとも退避加速度)に応じた移動動作で第2実装ヘッドを干渉領域外から干渉領域内の実装位置に移動させることができるので、第1実装ヘッドの退避途中の状態に関係なく第2実装ヘッドを移動させる場合と異なり、第2実装ヘッドが実装動作を終了した後の退避途中の第1実装ヘッドに干渉してしまうのを抑制することができる。したがって、この部品実装装置では、第1実装ヘッドと第2実装ヘッドとが互いに干渉するのを抑制しながら、干渉領域外に位置する第2実装ヘッドを干渉領域内に迅速に進入させることができる。また、この部品実装装置では、第2実装ヘッドを干渉領域内に迅速に進入させることによって、実装作業時間の短縮を図ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態による表面実装機100の構造について説明する。なお、表面実装機100は、本発明の「部品実装装置」の一例である。
図1および図2に示すように、第1実施形態による表面実装機100は、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4のそれぞれをX方向およびY方向に移動させることによってプリント基板1(図2参照)に部品を実装する装置である。なお、第1ヘッドユニット3は、本発明の「第1作業ヘッド(第2作業ヘッド)」および「第1実装ヘッド(第2実装ヘッド)」の一例であり、第2ヘッドユニット4は、本発明の「第2作業ヘッド(第1作業ヘッド)」および「第2実装ヘッド(第1実装ヘッド)」の一例である。表面実装機100は、図2に示すように、X方向に延びる基板搬送コンベア2と、基板搬送コンベア2の上方をXY方向に移動可能な第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4とを備えている。基板搬送コンベア2、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4は、それぞれ、基台5上に配置されている。また、基台5上のY方向側の両端部には、部品を供給するための複数のテープフィーダ6がX方向に配列されている。
基板搬送コンベア2は、図示しない搬送路から搬入されるプリント基板1をX方向に搬送し、所定の実装位置にプリント基板1を配置するように構成されている。また、基板搬送コンベア2は、実装作業が終了したプリント基板1を搬出する機能を有している。なお、第1実施形態では、図示しない搬送路によって基板搬送コンベア2のX1方向側(上流側)からプリント基板1が搬入され、実装作業後、X2方向側(下流側)の図示しない搬送路に搬出される。
第1ヘッドユニット3と第2ヘッドユニット4とは、図1〜3に示すように、互いに同様の構成を有している。また、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、テープフィーダ6の後述する部品取出部6a(図2参照)から部品を取得するとともに、基板搬送コンベア2上のプリント基板1に部品を実装する機能を有している。なお、部品は、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの小型の電子部品である。
また、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4は、図1および図2に示すように、それぞれX方向に延びるヘッドユニット支持部31および41に沿ってX方向に直線移動可能に構成されている。具体的には、図2に示すように、ヘッドユニット支持部31(ヘッドユニット支持部41)は、X方向に延びるボールネジ軸31a(41a)と、ボールネジ軸31a(41a)を回転させるサーボモータ31b(41b)と、X方向のガイドレール(図示せず)とを有している。また、ヘッドユニット支持部31およびヘッドユニット支持部41のそれぞれの両端部には、後述する固定レール部70に設けられた固定子72(図1および2参照)の近傍に配置される界磁コイルからなる可動子73が取り付けられている。
また、第1ヘッドユニット3は、ボールネジ軸31aに螺合されるボールナット32を有する。第2ヘッドユニット4は、ボールネジ軸41aに螺合されるボールナット42を有している。これにより、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、サーボモータ31b(41b)(X軸モータ)によりボールネジ軸31a(41a)が回転されることによって、ヘッドユニット支持部31(41)に対してX方向に移動される。
また、これらのヘッドユニット支持部31および41は、それぞれ、基板搬送コンベア2を跨ぐように設けられたY方向に延びる一対の固定レール部70に沿ってY方向に移動可能に構成されている。また、図1〜3に示すように、X方向に延びるように形成されたヘッドユニット支持部31(41)のX方向の両端部は、それぞれ、他方のヘッドユニット支持部41(31)側(Y2(Y1)方向)に突出する突出部311(411)を有している。具体的には、ヘッドユニット支持部31(41)の両端部の突出部311(411)は、それぞれ、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)よりもY2(Y1)方向に突出している。また、ヘッドユニット支持部31の突出部311には、それぞれ、ヘッドユニット支持部41側(Y2方向)に延びるダンパ312が取り付けられている。
一対の固定レール部70は、それぞれ、ヘッドユニット支持部31および41に共通に用いられるように構成されている。また、一対の固定レール部70は、図1〜図3に示すように、それぞれ、ヘッドユニット支持部31(41)の両端部をY方向に移動可能に支持するガイドレール71と、固定レール部70の内側側面にY方向に沿って配列された複数の永久磁石からなる固定子72(図1および2参照)とを有している。すなわち、ヘッドユニット支持部31(41)の両端部に設けられた可動子73と固定レール部70の固定子72とによってリニアモータ7(Y軸モータ)が構成されている。これにより、ヘッドユニット支持部31(41)は、界磁コイルからなる可動子73に電流が供給されることによって、ガイドレール71に沿ってY方向に直線移動可能である。すなわち、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、ヘッドユニット支持部31(41)およびリニアモータ7により基台5上をXY方向に移動可能である。
また、ヘッドユニット支持部31(41)のX方向の両端部の突出部311(411)がそれぞれ第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)よりもY2(Y1)方向に突出しているので、Y方向の移動において第1ヘッドユニット3の突出部311のダンパ312と第2ヘッドユニット4の突出部411とが互いに干渉する虞はあっても、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4がX方向の移動において互いに干渉することはない。すなわち、第1実施形態では、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4のXY方向の移動において、ヘッドユニット支持部31の突出部311のダンパ312とヘッドユニット支持部41の突出部411との干渉のみ生じる可能性がある。また、第1実施形態では、後述のように、ヘッドユニット支持部31のダンパ312がヘッドユニット支持部41の突出部411に干渉する可能性がある領域が干渉領域として設定される。
また、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、部品を吸着する際には、リニアモータ7によりY1方向(Y2方向)のテープフィーダ6上方(部品供給位置)に移動されると共に、ヘッドユニット支持部31(41)に沿ってX方向に移動されることによって、吸着ノズル35(45)が所定の部品取出部6aの上方に配置されるように構成されている。また、部品を実装する際には、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、リニアモータ7によりプリント基板1上方に移動されると共に、ヘッドユニット支持部31(41)に沿ってX方向に移動されることによって、吸着ノズル35(45)がプリント基板1表面の所定の実装位置に位置するように構成されている。
また、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、まず部品供給位置において部品取出部6aから複数の部品を取得した後Y2(Y1)方向に移動されることによって、複数の部品を保持(吸着)したままプリント基板1上方に移動される。そして、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、X方向、Y方向およびZ方向の移動を繰り返しながら複数の部品をそれぞれプリント基板1表面の所定の実装位置に実装するように構成されている。実装動作が終了すると、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、Y1(Y2)方向に移動されることによってプリント基板1の上方から再び部品供給位置(テープフィーダ6上方)に戻され、部品取出部6aから部品の取得(吸着)作業を実行する。
また、図2に示すように、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4には、それぞれ、X方向に列状に配置された10本の吸着ノズル35および45が取り付けられている。吸着ノズル35(45)は、部品の吸着および搭載を行うために設けられている。また、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)には、吸着ノズル35(45)の先端に負圧状態を発生させる負圧発生器351(図4参照)と、吸着ノズル35(45)を上下方向(Z方向)に移動させるサーボモータ352(Z軸モータ)(図4参照)などの昇降装置とが設けられている。各吸着ノズル35(45)は、負圧発生器351による負圧を利用してテープフィーダ6から供給される部品を吸着して保持することが可能である。
また、各吸着ノズル35(45)は、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)に対して上昇された状態で部品の搬送などを行うように構成されている。また、各吸着ノズル35(45)は、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)に対して下降された状態で部品のテープフィーダ6からの吸着およびプリント基板1への実装を行うように構成されている。また、各吸着ノズル35(45)は、サーボモータ353(R軸モータ)(図4参照)などのノズル回転装置により、その軸を中心として回転可能に構成されている。これにより、表面実装機100では、吸着ノズル35(45)を回転させることによって、ノズルの先端に保持された部品の姿勢(水平面内の向き)を調整することが可能である。
また、図2に示すように、第1ヘッドユニット3のX2方向側の側部および第2ヘッドユニット4のX1方向側の側部には、それぞれ、吸着ノズル35および45に吸着された部品の姿勢を検知するための部品撮像装置36および46が取り付けられている。この部品撮像装置36(46)は、ラインセンサを用いて部品の姿勢を検知するように構成されている。また、部品撮像装置36(46)は、吸着ノズル35(45)に保持された部品の下面を下方向から撮像するように構成されている。また、この部品撮像装置36(46)は、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)に対してX方向(10本の吸着ノズル35(45)が並んでいる方向)に移動可能に取り付けられている。これにより、部品撮像装置36(46)は、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)の10本の吸着ノズル35(45)に保持された部品の下面を下方向から順次撮像することが可能である。
また、第1ヘッドユニット3のX1方向側の側部および第2ヘッドユニット4のX2方向側の側部には、それぞれ、基板撮像装置37および47が取り付けられている。基板撮像装置37(47)は、CCDエリアカメラで構成されている。また、基板撮像装置37(47)は、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)から下方向を撮像するように構成されている。この基板撮像装置37(47)は、部品搭載時に、プリント基板1の表面に設けられた基板マーク(図示せず)を撮像することにより部品の装着位置の基準点を取得するように構成されている。
表面実装機100は、図4に示すように、制御装置101をさらに備え、制御装置101により表面実装機100の各動作が制御されるように構成されている。第1実施形態では、第1ヘッドユニット3と第2ヘッドユニット4と制御装置101とから本発明のヘッド移動装置が構成されている。また、制御装置101は、主制御部102、駆動制御部103、画像処理部104、バルブ制御部105および記憶部106を含んでいる。また、制御装置101は、液晶表示装置などの表示ユニット107と、キーボードなどの入力ユニット108とを備えている。なお、主制御部102は、本発明の「移動制御部」および「タイミング取得部」の一例である。
主制御部102は、論理演算を実行するCPUなどから構成されている。主制御部102は、記憶部106のROMに記憶されている実装プログラム106aに基づいて、駆動制御部103を介して基板搬送コンベア2、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4などの動作を制御するように構成されている。また、主制御部102は、画像処理部104を介して第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)の部品撮像装置36(46)と基板撮像装置37(47)とをそれぞれ制御するように構成されている。また、主制御部102は、バルブ制御部105を介して、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)に設けられた負圧発生器351を制御するように構成されている。これにより、主制御部102は、吸着ノズル35(45)による部品の吸着動作を制御することが可能である。
ここで、第1実施形態では、主制御部102は、記憶部106に記憶された基板データ106bを読み出し、実装対象のプリント基板1の大きさや基板マーク位置を取得するように構成されている。そして、主制御部102は、取得したプリント基板1の大きさに基づいて、ヘッドユニット支持部31のダンパ312がヘッドユニット支持部41の突出部411に干渉する可能性がある領域を干渉領域として設定するように構成されている。具体的には、主制御部102は、プリント基板1の大きさに基づいて、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4のそれぞれが移動する可能性のあるY方向の範囲情報(Y方向座標)を取得する。そして、主制御部102は、取得したY方向の範囲情報に基づいて、ヘッドユニット支持部31のダンパ312がヘッドユニット支持部41の突出部411に干渉する可能性がある範囲を干渉領域として設定するように構成されている。
また、主制御部102は、各ヘッドユニット3(4)の優先権フラグのオン/オフの切り替え動作を行うように構成されている。ここで、優先権フラグとは、干渉領域内において優先的に移動可能なヘッドユニットを設定するためのフラグである。また、主制御部102は、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4の優先権フラグが共にオン状態とならないように、いずれか一方の優先権フラグをオン状態にする場合にはまず他方の優先権フラグをオフ状態にするように構成されている。そして、主制御部102は、優先権フラグがオフ状態のヘッドユニットを干渉領域内から干渉領域外に退避させ、優先権フラグがオン状態のヘッドユニットを干渉領域外から干渉領域内に進入させるように構成されている。
駆動制御部103は、主制御部102から出力される制御信号に基づいて、第1ヘッドユニット3の各部のモータ(サーボモータ31b(X軸モータ)、リニアモータ7(Y軸モータ)、吸着ノズル35の昇降装置のサーボモータ352(Z軸モータ)、および吸着ノズル35のノズル回転装置のサーボモータ353(R軸モータ))の駆動を制御するように構成されている。また、駆動制御部103は、第1ヘッドユニット3と同様に第2ヘッドユニット4の各部のモータの駆動も制御するように構成されている。
また、駆動制御部103は、主制御部102から出力される制御信号に基づいて、基板搬送コンベア2の各部のモータ(駆動モータ、回転モータおよび搬送モータ)などの駆動を制御するように構成されている。なお、これらのサーボモータのエンコーダからの信号は、駆動制御部103を介して主制御部102に出力される。
画像処理部104は、主制御部102から出力される制御信号に基づいて、部品撮像装置36(46)および基板撮像装置37(47)から所定のタイミングで撮像信号の読み出しを行うように構成されている。また、画像処理部104は、読み出した撮像信号に所定の画像処理を行うことにより、部品や基板マークを認識するのに適した画像データを生成するように構成されている。
記憶部106は、CPUを制御するプログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)および装置の動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)などから構成されている。また、記憶部106には、所定のプリント基板1の製造を行うための実装プログラム106aや、実装対象となるプリント基板1の寸法、基準マーク位置などの基板データ106bが記憶されている。
テープフィーダ6は、複数の部品を所定の間隔を隔てて保持したテープが巻き回されたリール(図示せず)を保持している。テープフィーダ6は、リールを回転させることによって、部品を保持するテープを送り出すように構成されている。そして、テープフィーダ6は、テープを送り出すことによって、テープフィーダ6の先端の部品取出部6aから部品を供給するように構成されている。
次に、図5および図6を参照して、主制御部102による干渉領域内から干渉領域外に退避するヘッドユニットの退避処理について説明する。なお、第1実施形態では、主制御部102による第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4のそれぞれの退避処理は同様である。ここでは、一例として、第2ヘッドユニット4が干渉領域内から干渉領域外に退避する場合の主制御部102による退避処理について説明する。
まず、ステップS1において、主制御部102は、部品の実装動作を終了した第2ヘッドユニット4を干渉領域内から干渉領域外へ移動(退避)させる制御を行う。これにより、第2ヘッドユニット4は、リニアモータ7(Y軸モータ)により、干渉領域内から干渉領域外の部品供給位置まで戻される。そして、主制御部102は、移動(退避)制御を開始した後、ステップS2において、第2ヘッドユニット4の優先権フラグをオン状態からオフ状態に切り替える。たとえば、図6に示す第2ヘッドユニット4の移動状況の一例では、第2ヘッドユニット4は、時刻t2および時刻t6において干渉領域内から干渉領域外への退避動作を開始するとともに、第2ヘッドユニット4の優先権フラグは時刻t2および時刻t6においてオン状態からオフ状態に切り替えられる。
次に、図6および図7を参照して、主制御部102による干渉領域外から干渉領域内に進入するヘッドユニットの進入処理について説明する。なお、第1実施形態では、主制御部102による第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4のそれぞれの進入処理は同様である。ここでは、一例として、第1ヘッドユニット3が干渉領域外から干渉領域内に進入する場合の主制御部102による進入処理について説明する。
まず、第1ヘッドユニット3が部品供給位置において部品を取得し終えた後、ステップS11において、主制御部102は、第2ヘッドユニット4の優先権フラグのオン/オフ状態を確認する。そして、ステップS12において、主制御部102は、第2ヘッドユニット4の優先権フラグがオン状態であるか否かを判断し、オン状態である場合には、ステップS13において、第1ヘッドユニット3が待機位置に移動済みか否かを判断する。ここで、待機位置とは、部品供給位置において部品を取得し終えたヘッドユニットが待機する干渉領域近傍の位置である。図6に示すように、第1ヘッドユニット3の待機位置は、干渉領域のY1方向側の近傍であり、第2ヘッドユニット4の待機位置は、干渉領域のY2方向側の近傍である。
第1ヘッドユニット3がまだ待機位置に移動していない(待機位置に移動済みでない)場合には、ステップS14において、主制御部102は、リニアモータ7を制御することによって、第1ヘッドユニット3を待機位置に移動させる。これにより、第1ヘッドユニット3が干渉領域内に進入することができない間(第1ヘッドユニット3の優先権フラグがオフ状態の間)に、第1ヘッドユニット3を干渉領域に接近させて干渉領域への進入が可能になるまで干渉領域近傍で待機させておくことが可能となる。その後、進入処理動作はステップS11に戻る。また、ステップS13において第1ヘッドユニット3が既に待機位置に移動済みの場合には、ステップS14を経由することなくそのままステップS11に戻る。
ステップS12で第2ヘッドユニット4の優先権フラグがオフ状態である場合には、ステップS15において、主制御部102は、第1ヘッドユニット3の優先権フラグをオフ状態からオン状態に切り替える。たとえば、図6に示す第1ヘッドユニット3の移動状況の一例では、第1ヘッドユニット3の優先権フラグは、時刻t2および時刻t7においてオフ状態からオン状態に切り替えられる。そして、ステップS16において、主制御部102は、第2ヘッドユニット4のY方向の位置(座標)を確認する。これにより、第1ヘッドユニット3を移動させる直前の第2ヘッドユニット4の位置を確認することが可能であるとともに、第1ヘッドユニット3を移動させる直前の第1ヘッドユニット3と第2ヘッドユニット4との離間距離を確認することが可能である。
その後、ステップS17において、主制御部102は、第2ヘッドユニット4が干渉領域内で移動中(退避中)であるか否かを判断する。第2ヘッドユニット4が干渉領域内で移動中(退避中)であれば、ステップS18において、主制御部102は、第1ヘッドユニット3が干渉領域外から干渉領域内の目標位置(実装位置)に移動する際の進入加速度、進入速度および移動開始タイミングを第2ヘッドユニット4が干渉領域内から干渉領域外に退避する際の退避加速度、退避速度および退避開始タイミングに合わせて第1ヘッドユニット3の移動を制御する。具体的には、主制御部102は、第2ヘッドユニット4の退避加速度、退避速度および退避開始タイミングに基づいて、第1ヘッドユニット3の進入加速度のY方向成分の大きさ、進入速度のY方向成分の大きさおよび移動開始タイミングをそれぞれ第2ヘッドユニット4の退避加速度のY方向成分の大きさ、退避速度のY方向成分の大きさおよび退避開始タイミングと略同じになるように第1ヘッドユニット3の移動を制御する。ここで、第1ヘッドユニット3の進入加速度とは、図8に示すように、第1ヘッドユニット3が目標位置(実装位置)への移動を開始してから進入速度(一定速度)に至るまで(時刻t2〜時刻t21まで)の進入加速時間における第1ヘッドユニット3の加速度である。また、第2ヘッドユニット4の退避加速度とは、第2ヘッドユニット4が干渉領域外への移動を開始してから退避速度(一定速度)に至るまで(時刻t2〜時刻t21まで)の退避加速時間における第2ヘッドユニット4の加速度である。
また、詳細には、主制御部102は、第1ヘッドユニット3の進入加速時間(時刻t2〜時刻t21まで)における単位時間毎の加速度のY方向成分の大きさを第2ヘッドユニット4の退避加速時間における単位時間毎の加速度のY方向成分の大きさと略同じになるように第1ヘッドユニット3の移動を制御する。すなわち、図7のステップS18の動作によって、図8に示すように、第1ヘッドユニット3の進入加速時間(時刻t2〜時刻t21まで)での曲線部分を含む傾きが第2ヘッドユニット4の退避加速時間(時刻t2〜時刻t21まで)での傾きと一致する。また、時刻t21後において、第1ヘッドユニット3の進入速度のY方向成分の大きさと第2ヘッドユニット4の退避速度のY方向成分の大きさとが一致する。これにより、図6に示すように、第2ヘッドユニット4が干渉領域内から干渉領域外に出るまでの間、第1ヘッドユニット3と第2ヘッドユニット4とのY方向の間隔を略一定に維持したまま第1ヘッドユニット3を干渉領域外から干渉領域内に進入させることが可能である。なお、図5に示す退避処理と図7に示す進入処理とは、表面実装機100が起動している間主制御部102により継続的に並行して実行されており、第2ヘッドユニット4が退避動作を開始する時刻と第1ヘッドユニット3が目標位置(実装位置)に移動を開始する時刻とを略一致させることが可能である。
また、ステップS17において、第2ヘッドユニット4が干渉領域内で移動中でない場合には、ステップS19において、主制御部102は、進入加速度等を調整することなく第1ヘッドユニット3を目標位置(実装位置)に移動させる。具体的には、主制御部102は、第2ヘッドユニット4が既に干渉領域外に位置している場合には、進入加速度、進入速度および移動開始タイミングを調整することなく、第1ヘッドユニット3を即座に目標位置(実装位置)に移動させる。たとえば、図6に示す第1ヘッドユニット3の移動状況の一例では、第2ヘッドユニット4は時刻t7において既に干渉領域外に位置しているので、時刻t7において、第1ヘッドユニット3の優先権フラグがオン状態に切り替えられるとともに、第1ヘッドユニット3は即座に部品供給位置から目標位置(実装位置)への移動を開始する。このように第1ヘッドユニット3の優先権フラグがオン状態に切り替えられた際に第2ヘッドユニット4が既に干渉領域外に位置しており、第1ヘッドユニット3と第2ヘッドユニット4との干渉の虞がない場合には、第1ヘッドユニット3を即座に移動させることによって、第1ヘッドユニット3を干渉領域外から干渉領域内に迅速に進入させることができる。
第1実施形態では、上記のように、第2ヘッドユニット4を干渉領域内から干渉領域外に退避させながら第1ヘッドユニット3が干渉領域外から干渉領域内の目標位置(実装位置)に移動するように第1ヘッドユニット3の進入加速度および進入速度を第2ヘッドユニット4の退避加速度および退避速度に合わせて第1ヘッドユニット3の移動を制御する主制御部102を設けることによって、第2ヘッドユニット4が干渉領域内に位置する状態でも第1ヘッドユニット3を干渉領域内に進入させることができるので、干渉領域外に位置する第1ヘッドユニット3を干渉領域内に迅速に進入させることができる。また、主制御部102により、第2ヘッドユニット4が干渉領域内から干渉領域外に退避する際の第2ヘッドユニット4の退避加速度および退避速度に基づいて、第2ヘッドユニット4と第1ヘッドユニット3とが互いに干渉しないように第1ヘッドユニット3が干渉領域外から干渉領域内の目標位置(実装位置)に移動するように第1ヘッドユニット3の進入加速度および進入速度を第2ヘッドユニット4の退避加速度および退避速度に合わせて第1ヘッドユニット3の移動を制御する。これにより、第2ヘッドユニット4の退避途中の状態に応じた進入加速度および進入速度で第1ヘッドユニット3を干渉領域外から干渉領域内の目標位置(実装位置)に移動させることができるので、第2ヘッドユニット4の退避途中の状態に関係なく第1ヘッドユニット3を移動させる場合と異なり、第1ヘッドユニット3が退避途中の第2ヘッドユニット4に干渉してしまうのを抑制することができる。したがって、この表面実装機100では、第2ヘッドユニット4と第1ヘッドユニット3とが互いに干渉するのを抑制しながら、干渉領域外に位置する第1ヘッドユニット3を干渉領域内に迅速に進入させることができる。また、この表面実装機100では、ヘッドユニットを干渉領域内に迅速に進入させることによって、第1ヘッドユニット3と第2ヘッドユニット4とによる実装作業時間の短縮を図ることができる。
また、第1実施形態では、主制御部102により、第1ヘッドユニット3が目標位置(実装位置)への移動を開始してから進入速度に至るまでの第1ヘッドユニット3の干渉領域内での進入加速度のY方向成分の大きさが第2ヘッドユニット4が干渉領域外への移動を開始してから退避速度に至るまでの第2ヘッドユニット4の干渉領域内での退避加速度のY方向成分の大きさと略同じになるとともに、第1ヘッドユニット3の干渉領域内での進入速度のY方向成分の大きさが第2ヘッドユニット4の干渉領域内での退避速度のY方向成分の大きさと略同じになるように、第1ヘッドユニット3の進入加速度および進入速度を制御することによって、第2ヘッドユニット4と第1ヘッドユニット3とのY方向の間隔を略一定に維持したまま第1ヘッドユニット3を干渉領域外から目標位置(実装位置)に移動させることができるので、第2ヘッドユニット4と第1ヘッドユニット3とが互いに干渉するのをより抑制することができる。
また、第1実施形態では、主制御部102により、第1ヘッドユニット3が目標位置(実装位置)への移動を開始してから進入速度に至るまでの干渉領域内での単位時間毎の加速度のY方向成分の大きさが第2ヘッドユニット4が干渉領域外への移動を開始してから退避速度に至るまでの干渉領域内での単位時間毎の加速度のY方向成分の大きさと略同じになるように第1ヘッドユニット3の単位時間毎の加速度を制御することによって、第2ヘッドユニット4と第1ヘッドユニット3との所定方向の間隔が単位時間毎においても略一定に維持されたまま第1ヘッドユニット3が目標位置(実装位置)に移動されるので、第2ヘッドユニット4と第1ヘッドユニット3とが互いに干渉するのをさらに抑制することができる。
また、第1実施形態では、主制御部102により、第2ヘッドユニット4が干渉領域内から干渉領域外に退避する際の第2ヘッドユニット4の移動の開始タイミングと略同じタイミングで干渉領域外に位置する第1ヘッドユニット3が目標位置(実装位置)への移動を開始するように第1ヘッドユニット3の移動の開始タイミングを制御することによって、干渉領域内から干渉領域外への退避を開始する直前の干渉領域内に位置する第2ヘッドユニット4と、干渉領域外から目標位置(実装位置)への移動を開始する直前の干渉領域外に位置する第1ヘッドユニット3との間隔を略維持したまま第1ヘッドユニット3を干渉領域外から干渉領域内に進入させることができる。これにより、第1ヘッドユニット3と第2ヘッドユニット4とが互いに干渉するのをより確実に抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、進入加速度および進入速度を調整することなく干渉領域外に位置するヘッドユニットを干渉領域内に進入させる際のヘッドユニットの移動の開始タイミングを調整する例について説明する。図9〜図11を参照して、本発明の第2実施形態における主制御部102による干渉領域外から干渉領域内に進入するヘッドユニットの進入処理について説明する。なお、図7に示した上記第1実施形態の進入処理と同じ動作については、図7のステップ番号と同じ番号を付して詳細な説明を省略する。また、上記第1実施形態での説明と同様に、この第2実施形態では、一例として、第1ヘッドユニット3が干渉領域外から干渉領域内に進入する場合の主制御部102による進入処理について説明する。
図9のステップS17で第2ヘッドユニット4が干渉領域内で移動中である場合には、ステップS181において、主制御部102は、干渉領域外に位置する第1ヘッドユニット3の干渉領域内への移動の開始タイミングを取得する。具体的には、主制御部102は、第2ヘッドユニット4の退避加速度、退避速度および退避を開始する直前の位置(座標)と、第1ヘッドユニット3の進入加速度、進入速度および現在位置(座標)とに基づいて、第1ヘッドユニット3と第2ヘッドユニット4とが互いに干渉しないための第1ヘッドユニット3の移動の開始タイミングを取得する。詳細には、主制御部102は、第2ヘッドユニット4の退避加速度のY方向成分の大きさ、退避速度のY方向成分の大きさおよび退避を開始する直前のY方向の位置(Y方向座標)と、第1ヘッドユニット3の進入加速度のY方向成分の大きさ、進入速度のY方向成分の大きさおよび現在のY方向の位置(Y方向座標)とに基づいて、第1ヘッドユニット3の移動の開始タイミングを取得する。この際、主制御部102は、予め設定されている第1ヘッドユニット3の進入加速度および進入速度に基づいて、第1ヘッドユニット3の進入加速度のY方向成分の大きさおよび進入速度のY方向成分の大きさをそれぞれ取得する。また、主制御部102は、予め設定されている第2ヘッドユニット4の退避加速度および退避速度に基づいて、第2ヘッドユニット4の退避加速度のY方向成分の大きさおよび退避速度のY方向成分の大きさをそれぞれ取得する。
その後、ステップS182において、主制御部102は、第1ヘッドユニット3がステップS181で取得した開始タイミング(移動開始時刻)に目標位置(実装位置)への移動を開始するように第1ヘッドユニット3のリニアモータ7を制御する。たとえば、予め設定されている第1ヘッドユニット3の進入加速度のY方向成分の大きさが第2ヘッドユニット4の退避加速度のY方向成分の大きさよりも大きく、かつ、第1ヘッドユニット3の進入速度のY方向成分の大きさが第2ヘッドユニット4の退避速度のY方向成分の大きさよりも大きい場合、図10および図11に示すように、主制御部102は、第2ヘッドユニット4が退避を開始する時刻t2に対して所定時間だけ遅い時刻t21(開始タイミング)に第1ヘッドユニット3の目標位置(実装位置)への移動を開始する。
また、ステップS17において、第2ヘッドユニット4が既に干渉領域外に位置している場合には、主制御部102は、第1ヘッドユニット3の移動の開始タイミングを取得することなく第1ヘッドユニット3を目標位置(実装位置)に移動させる。たとえば、図10に示す第1ヘッドユニット3の移動状況の一例では、第2ヘッドユニット4は時刻t7において既に干渉領域外に位置しているので、時刻t7において、第1ヘッドユニット3の優先権フラグがオン状態に切り替えられるとともに、第1ヘッドユニット3は即座に部品供給位置から目標位置(実装位置)への移動を開始する。
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
第2実施形態では、上記のように、主制御部102により、第2ヘッドユニット4の退避加速度および退避速度と、第1ヘッドユニット3の進入加速度および進入速度とに基づいて、第2ヘッドユニット4と第1ヘッドユニット3とが互いに干渉しないように干渉領域外に位置する第1ヘッドユニット3の目標位置(実装位置)への移動の開始タイミングを取得するとともに、取得した開始タイミングで目標位置(実装位置)への移動を開始するように干渉領域外に位置する第1ヘッドユニット3の移動の開始タイミングを制御する。これにより、第2ヘッドユニット4の退避加速度および退避速度に応じて第1ヘッドユニット3の進入加速度および進入速度を調整する必要がなく、また、第2ヘッドユニット4の退避加速度および退避速度と第1ヘッドユニット3の進入加速度および進入速度とがそれぞれ互いに異なっていても、取得した開始タイミングに干渉領域外に位置する第1ヘッドユニット3の目標位置(実装位置)への移動を開始するように開始タイミングを制御するだけで、容易に、第2ヘッドユニット4と第1ヘッドユニット3とが互いに干渉するのを抑制しながら干渉領域外に位置する第1ヘッドユニット3を干渉領域内に迅速に進入させることができる。
また、第2実施形態では、主制御部102により、第2ヘッドユニット4の退避加速度および退避速度と第1ヘッドユニット3の進入加速度および進入速度とに加えて、第2ヘッドユニット4が干渉領域外への退避を開始する直前の第2ヘッドユニット4のY方向の位置(Y方向座標)にも基づいて開始タイミングを取得することによって、第2ヘッドユニット4の退避の開始直前の位置に基づかないで開始タイミングを取得する場合に比べて、主制御部102はより精度よく第2ヘッドユニット4と第1ヘッドユニット3とが互いに干渉しない開始タイミングを取得することができる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1実施形態および第2実施形態では、本発明のヘッド移動装置を表面実装機に適用する例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、ヘッド移動装置を特開2002−162439号公報などに開示された複数のヘッド(作業ヘッド)を備えた部品試験装置(ICハンドラ)などの表面実装機以外の他の装置に適用してもよいし、特開平6−126228号公報などに開示された接着剤の塗布装置などにおいてヘッドが複数設けられている場合に本発明のヘッド移動装置を適用してもよい。
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、主制御部により、干渉領域内に位置するヘッドユニットが干渉領域外に退避する際の退避加速度および退避速度の両方に基づいて、干渉領域外に位置するヘッドユニットの干渉領域内への移動動作を制御する構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、主制御部により、干渉領域内に位置するヘッドユニットが干渉領域外に退避する際の退避加速度のみに基づいて、干渉領域外に位置するヘッドユニットの干渉領域内への移動動作を制御する構成であってもよい。
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、主制御部により、ヘッドユニットの移動機構の一部としてのヘッドユニット支持部の突出部およびダンパが互いに干渉する可能性のある領域を干渉領域として設定する例を示したが、本発明はこれに限らず、主制御部により、2つのヘッドユニット自体が互いに干渉する可能性のある領域を干渉領域として設定してもよいし、一方のヘッドユニット自体と他方のヘッドユニットの移動機構の一部とが互いに干渉する可能性のある領域を干渉領域として設定してもよい。
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、主制御部により干渉領域の設定をプリント基板の大きさに基づいて設定する構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、プリント基板表面の部品の実装位置に基づいて干渉領域を設定してもよいし、ヘッドユニットが部品供給位置から移動してプリント基板表面に部品を実装し、再び部品供給位置に戻るまでの実装ターン毎(1往復毎)のヘッドユニットの移動範囲に基づいて干渉領域を設定してもよい。また、プリント基板に部品を実装する実装点ごとのヘッドユニットの移動範囲、または、複数の実装点を1グループとしたグループごとのヘッドユニットの移動範囲に基づいて干渉領域を設定してもよい。
また、上記第2実施形態では、第1ヘッドユニット3の進入加速度のY方向成分の大きさが第2ヘッドユニット4の退避加速度のY方向成分の大きさよりも大きく、かつ、第1ヘッドユニット3の進入速度のY方向成分の大きさが第2ヘッドユニット4の退避速度のY方向成分の大きさよりも大きい場合の例を示して説明したが、本発明はこれに限らず、第1ヘッドユニット3の進入加速度のY方向成分の大きさが第2ヘッドユニット4の退避加速度のY方向成分の大きさよりも小さく、かつ、第1ヘッドユニット3の進入速度のY方向成分の大きさが第2ヘッドユニット4の退避速度のY方向成分の大きさよりも小さくてもよいし、第1ヘッドユニット3の進入加速度のY方向成分または進入速度のY方向成分のいずれか一方だけが第2ヘッドユニット4の退避加速度のY方向成分または退避速度のY方向成分のそれぞれの大きさよりも大きくてもよい。この場合、干渉領域外に位置する第1ヘッドユニット3が干渉領域内に移動する際の移動の開始タイミングが、干渉領域内に位置する第2ヘッドユニット4の干渉領域外への退避の開始タイミングよりも早くてもよい。
また、上記第2実施形態では、図9のステップS17で他方が干渉領域内で移動中の場合に、ステップS181において移動の開始タイミングを取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、ヘッドユニットが干渉領域内への進入の前に待機位置で待機する場合には、図9のステップS14の後、予め移動の開始タイミングを取得してもよい。
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、部品実装装置の一例として、2つのヘッドユニットを備えた表面実装機を示したが、本発明はこれに限らず、3つ以上のヘッドユニットを備えた表面実装機であってもよい。