JP5381807B2 - 映像処理回路、その処理方法、液晶表示装置および電子機器 - Google Patents
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Description
このリバースチルトドメインの影響を低減するために、画素電極に合わせて遮光層(開口部)の形状を規定するなどして液晶パネルの構造を工夫する技術(例えば特許文献1参照)や、映像信号から算出した平均輝度値が閾値以下の場合にリバースチルトドメインが発生すると判断して、設定値以上の映像信号をクリップする技術(例えば特許文献2参照)などが提案されている。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、これらの欠点を解消しつつ、リバースチルトドメインを低減する技術を提供することにある。
なお、本発明は、映像処理回路のほか、映像処理方法、液晶表示装置および当該液晶表示装置を含む電子機器としても概念することが可能である。
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る映像処理回路を適用した液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、液晶表示装置1は、制御回路10と、液晶パネル100と、走査線駆動回路130と、データ線駆動回路140とを備える。制御回路10には、映像信号Vid-inが上位装置から同期信号Syncに同期して供給される。映像信号Vid-inは、液晶パネル100における各画素の階調レベルをそれぞれ指定するデジタルデータであり、同期信号Syncに含まれる垂直走査信号、水平走査信号およびドットクロック信号(いずれも図示省略)に従った走査の順番で供給される。
なお、映像信号Vid-inは階調レベルを指定するが、階調レベルに応じて液晶素子の印加電圧が定まるので、映像信号Vid-inは液晶素子の印加電圧を指定するものといって差し支えない。
なお、この実施形態では、走査線112を区別するために、図において上から順に1、2、3、…、(m−1)、m行目という呼び方をする場合がある。同様に、データ線114を区別するために、図において左から順に1、2、3、…、(n−1)、n列目という呼び方をする場合がある。
なお、図1において、素子基板100aの対向面は紙面裏側であるので、当該対向面に設けられる走査線112、データ線114、TFT116および画素電極118については、破線で示すべきであるが、見難くなるのでそれぞれ実線で示す。
図2に示すように、液晶パネル100は、走査線112とデータ線114との交差に対応して、画素電極118とコモン電極108とで液晶105を挟持した液晶素子120が配列した構成である。図1では省略したが、液晶パネル100における等価回路では、実際には図2に示されるように、液晶素子120に対して並列に補助容量(蓄積容量)125が設けられる。補助容量125は、一端が画素電極118に接続され、他端が容量線115に共通接続されている。容量線115は時間的に一定の電圧に保たれている。
ここで、走査線112がHレベルになると、その走査線にゲート電極が接続されたTFT116がオンとなり、画素電極118がデータ線114に接続される。このため、走査線112がHレベルであるときに、データ線114に階調に応じた電圧のデータ信号を供給すると、そのデータ信号は、オンしたTFT116を介して画素電極118に印加される。走査線112がLレベルになると、TFT116はオフするが、画素電極に印加された電圧は、液晶素子120の容量性および補助容量125によって保持される。
液晶素子120では、画素電極118およびコモン電極108によって生じる電界に応じて液晶105の分子配向状態が変化する。このため、液晶素子120は、透過型であれば、印加・保持電圧に応じた透過率となる。液晶パネル100では、液晶素子120毎に透過率が変化するので、液晶素子120が画素に相当する。そして、この画素の配列領域が表示領域101となる。
なお、本実施形態においては、液晶105をVA方式として、液晶素子120が電圧無印加時において黒状態となるノーマリーブラックモードとする。
なお、フレームとは、液晶パネル100を駆動することによって、画像の1コマ分を表示させるのに要する期間をいい、同期信号Syncに含まれる垂直走査信号の周波数が60Hzであれば、その逆数である16.7ミリ秒である。
なお、本説明において電圧については、液晶素子120の印加電圧を除き、特に明記しない限り図示省略した接地電位を電圧ゼロの基準とする。液晶素子120の印加電圧は、コモン電極108の電圧LCcomと画素電極118との電位差であり、他の電圧と区別するためである。
なお、ノーマリーブラックモードにおいて、閾値Vth1は、液晶素子の相対透過率を10%とさせる光学的閾値電圧であり、閾値Vth2は、液晶素子の相対透過率を90%とさせる光学的飽和電圧と考えてよい。
したがって、液晶分子の配向乱れに起因する表示上の不具合の発生を抑えるためには、映像信号Vid-inで示される画像において暗画素と明画素とが隣接するときでも、液晶パネル100では、暗画素と明画素とを隣接させないことが重要となる。
遅延回路312は、FIFO(Fast In Fast Out:先入れ先出し)メモリーや多段のラッチ回路などにより構成され、上位装置から供給される映像信号Vid-inを蓄積して、所定時間経過後に読み出して映像信号Vid-dとして出力するものである。なお、遅延回路312における蓄積および読出は、走査制御回路20によって制御される。
なお、ここでいう境界とは、あくまでも階調範囲aにある画素と階調範囲bにある画素とが隣接する部分をいう。このため、例えば階調範囲aにある画素と階調範囲cにある画素とが隣接する部分や、階調範囲bにある画素と階調範囲cにある画素とが隣接する部分については、境界として扱わない。
保存部308は、境界検出部306によって検出された境界の情報を保存して1フレーム期間だけ遅延させて出力するものである。
したがって、境界検出部302で検出される境界は現フレームに係るものであるのに対し、境界検出部306で検出されて保存部308に保存される境界は、現フレームの1つ前のフレームに係るものとなる。このため、境界検出部306が第2境界検出部に相当する。
適用境界決定部304は、境界検出部306によって検出された現フレーム画像の境界のうち、保存部308に保存された前フレーム画像の境界と同じ部分を除外したもの(変化した境界の部分)を、適用境界として決定するものである。
なお、境界検出部302は、少なくとも複数ラインの映像信号を蓄積してからでないと、表示すべき画像における境界を検出することができないので、映像信号Vid-inの供給タイミングを調整する意味で、遅延回路312が設けられている。このため、映像信号Vid-inのタイミングと、遅延回路312から供給される映像信号Vid-dのタイミングとは異なるので、厳密にいえば、両者の水平走査期間等については一致しないことになるが、以降については特に区別しないで説明する。
この構成において、フラグQが「1」であれば、それは、遅延した映像信号Vid-dの画素は、階調範囲aに属し、かつ、現フレームでは境界に隣接しているが、1フレーム前では、境界に隣接していなかった、ということを意味している。フラグQが「1」であれば、セレクター314が入力端bを選択するので、現フレームの映像信号Vid-dは、階調レベルc1を指定する映像信号に補正されて、映像信号Vid-outとして出力される。
一方、フラグQが「0」であれば、それは、遅延した映像信号Vid-dの画素が、
(a)階調範囲aに属していない、
(b)階調範囲aに属し、かつ、現フレームでは境界に隣接しており、かつ、1フレーム前でも境界に隣接していた、
のいずれかである。フラグQが「0」であれば、入力端aに供給された映像信号Vid-dが映像信号Vid-outとして出力される。
なお、図3に括弧下記で示した「c2」については、この実施形態では関係のないものである。
なお、コモン電極108に印加される電圧LCcomは、電圧Vcとほぼ同電圧と考えてよいが、nチャネル型のTFT116のオフリーク等を考慮して、電圧Vcよりも低位となるように調整されることがある。
ここで、1行1列〜1行n列の映像信号Vid-outが出力される水平有効走査期間(Ha)でみたときに、処理された映像信号Vid-outは、D/A変換器316によって、図5の(b)で示されるように正極性または負極性のデータ信号Vxに、ここでは例えば正極性に変換される。このデータ信号Vxは、データ線駆動回路140によって1〜n列目のデータ線114にデータ信号X1〜Xnとしてサンプリングされる。
一方、1行1列〜1行n列の映像信号Vid-outが出力される水平走査期間では、走査制御回路20が走査線駆動回路130に対し走査信号Y1だけをHレベルとなるように制御する。走査信号Y1がHレベルであれば、1行目のTFT116がオン状態になるので、データ線114にサンプリングされたデータ信号は、オン状態にあるTFT116を介して画素電極118に印加される。これにより、1行1列〜1行n列の液晶素子には、それぞれ映像信号Vid-outで指定された階調レベルに応じた正極性電圧が書き込まれる。
2行1列〜2行n列の映像信号Vid- outが出力される水平走査期間では、走査線駆動回路130によって走査信号Y2だけがHレベルとなるので、データ線114にサンプリングされたデータ信号は、オン状態にある2行目のTFT116を介して画素電極118に印加される。これにより、2行1列〜2行n列の液晶素子には、それぞれ映像信号Vid-outで指定された階調レベルに応じた正極性電圧が書き込まれる。
以下同様な書込動作が3、4、…、m行目に対して実行され、これにより、各液晶素子に、映像信号Vid-outで指定された階調レベルに応じた電圧が書き込まれて、映像信号Vid-inで規定される透過像が作成されることなる。
次のフレームでは、データ信号の極性反転によって映像信号Vid-outが負極性のデータ信号に変換される以外、同様な書込動作が実行される。
詳細には、データ信号Vxの電圧は、正極性であれば、白に相当する電圧Vw(+)から黒に相当する電圧Vb(+)までの範囲で、一方、負極性であれば、白に相当する電圧Vw(-)から黒に相当する電圧Vb(-)までの範囲で、それぞれ基準電圧Vcntから階調に応じた分だけ偏位させた電圧となる。
電圧Vw(+)および電圧Vw(-)は、電圧Vcntを中心に互いに対称の関係にある。電圧Vb(+)およびVb(-)についても電圧Vcntを中心に互いに対称の関係にある。
なお、図5(b)は、データ信号Vxの電圧波形を示すものであって、液晶素子120に印加される電圧(画素電極118とコモン電極108との電位差)とは異なる。また、図5(b)におけるデータ信号の電圧の縦スケールは、図5(a)における走査信号等の電圧波形と比較して拡大してある。
現フレームに対し1フレーム前の映像信号Vid-inで示される画像が例えば図6(1)に示されるとおりであって、現フレームの映像信号Vid-inで示される画像が例えば図6(2)に示されるとおりである場合、すなわち、階調範囲aの暗画素からなるパターンが、階調範囲bにある明画素を背景に左方向に移動する場合、境界検出部306により検出されて保存部308に保存された前フレーム画像の境界と、境界検出部302により検出された現フレーム画像の境界とは、それぞれ図6(3)に示されるとおりである。
したがって、適用境界決定部304によって決定される適用境界は、図7(4)で示されるとおりである。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
以下の説明において、第1実施形態と同じ構成については同一の符号を付して表し、その詳細な説明については適宜省略する。上述した実施形態では、適用境界に隣接する1つ明画素のみについて階調レベルc1に補正していたが、この実施形態では、この明画素を含む2以上の連続する明画素について階調レベルc1に補正する。
この実施形態の映像処理回路30が、第1実施形態の構成と相違する部分は、判別部310の判別内容が変更された点にある。
判別部310は、遅延回路312によって遅延された映像信号Vid-dで示される画素の階調レベルが階調範囲bに属するか否か、および、その画素が適用境界決定部304で決定された適用境界に隣接しているか否かをそれぞれ判別する。判別部310は、その判別結果がいずれも「Yes」である場合に、出力信号のフラグQを例えば「1」として出力し、その判別結果がいずれか1つでも「No」であれば「0」として出力する。判別部310は、或る明画素についてフラグQを「0」から「1」へ切り替えて出力したときには、適用境界に隣接する明画素に連続する、2以上の明画素についてもフラグQを「1」として出力する。ここでは、判別部310は、3つの連続する明画素についてフラグQを「1」として出力する。
現フレームに対し1フレーム前の映像信号Vid-inで示される画像が例えば図6(1)に示されるとおりであって、現フレームの映像信号Vid-inで示される画像が例えば図6(2)に示されるとおりである場合、適用境界は図9(1)に示されるとおりである。
映像処理回路30では、適用境界に隣接し、階調レベルが階調範囲bに属する明画素を含む、連続する2以上の明画素を含む明画素群(以下、「補正対象明画素群」という。)について、その各画素が階調レベルc1の映像信号に補正される。この補正対象明画素群は、ここでは3つの連続する明画素により構成される。
以上の処理により、図6(1)で示される画像は、映像処理回路30によって図9(2)に示されるような階調レベルに補正される。
このように、本実施形態の構成でも第1実施形態と同等の効果を奏する。
このため、例えば1フレームが16.7ミリで供給される映像信号Vid-inに対して液晶パネル100を2倍速で駆動するとき、表示画面が更新される時間間隔Sは、半分の8.35ミリ秒となる。ここで、上記応答時間Tが仮に24ミリ秒であったとすると、補正対象として好ましい画素数は、「24」を「8.35」で割った値が「2.874…」であるから、この値のうちの整数部「2」に「1」を加えた「3」ということになる。
このように、本実施形態によれば、液晶パネル100が2倍速以上される場合等、液晶素子の応答時間が、表示画面が更新される時間間隔より長くなる場合でも、補正対象明画素群の数を適切に設定することで、上述したリバースチルトドメインに起因する表示上の不具合の発生を事前に回避することが可能となる。また、映像信号Vid-inで規定される画像のうち、境界付近の画素の階調レベルが局所的に補正されるので、その補正による表示画像の変更がユーザーに知覚される可能性も小さい。また、液晶パネル100の構造を変更する必要がないので、開口率の低下を招くこともないし、また、構造を工夫しないで既に製作された液晶パネルに適用することも可能である。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
以下の説明において、第1、2実施形態と同じ構成については同一の符号を付して表し、その詳細な説明については適宜省略する。上述した第1実施形態では、適用境界に隣接する明画素を階調レベルc1に補正していたが、この実施形態では、明画素に対して適用境界を挟んで隣接する暗画素と、それに連続する暗画素がある場合は、その2以上(複数)の暗画素について階調レベルc2となるようにする。階調レベルc2は、階調レベルaよりも明るい階調レベルである。なお、この実施形態では、明画素の階調レベルの補正は行われないものとする。
セレクター314の入力端bには、階調レベルc2の映像信号が入力される。フラグQが「1」であれば、セレクター314が入力端bを選択するので、現フレームの映像信号Vid-dは、階調レベルc2を指定する映像信号に補正されて、映像信号Vid-outとして出力される。
判別部310は、遅延回路312によって遅延された映像信号Vid-dで示される画素の階調レベルが階調範囲aに属するか否か、および、その画素が適用境界決定部304で決定された適用境界に隣接しているか否かをそれぞれ判別する。判別部310は、その判別結果がいずれも「Yes」である場合に、出力信号のフラグQを例えば「1」として出力し、その判別結果がいずれか1つでも「No」であれば「0」として出力する。判別部310は、或る暗画素についてフラグQを「0」から「1」へ切り替えて出力したときには、適用境界に隣接する暗画素を含む、2以上の暗画素についてもフラグQを「1」として出力する。ここでは、判別部310は、3つの連続する暗画素についてフラグQを「1」として出力する。
現フレームに対し1フレーム前の映像信号Vid-inで示される画像が例えば図6(1)に示されるとおりであって、現フレームの映像信号Vid-inで示される画像が例えば図6(2)に示されるとおりである場合、適用境界は図11(1)に示されるとおりである。
この実施形態の映像処理回路30の構成は、第2実施形態と同等であるが、セレクター314で供給される映像信号のみが異なる。セレクター314では、入力端aに遅延回路312による映像信号Vid-dが供給され、入力端bに補正用として階調レベルc2の映像信号が供給される。セレクター314は、制御端子Selに供給されたフラグQが「1」であれば、入力端bを選択し、該フラグQが「0」であれば、入力端aに供給された映像信号Vid-dを選択して、いずれか一方を映像信号Vid-outとして出力する。
また、明画素に隣接する3つの連続する暗画素を階調レベルc2に補正する構成に限らず、液晶素子120の応答時間と液晶パネル100の駆動速度等にかんがみてその数をさらに多くてしてもよい。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
以下の説明において、第1〜3実施形態と同じ構成については同一の符号を付して表し、その詳細な説明については適宜省略する。上述した第2実施形態では、適用境界に隣接する補正対象明画素群について階調レベルc1に補正し、上述した第3実施形態では、適用境界に隣接する補正対象暗画素群について階調レベルc2に補正していたが、この実施形態ではこれら両方の補正を行う。
詳細には、ノーマリーブラックモードを例にとると、算出部318は、遅延した映像信号Vid-dの画素が明画素であれば階調レベルc1を算出して出力し、その画素が暗画素であれば、階調レベルc2を算出して出力する。セレクター314の入力端bには、階調レベルc2の映像信号が入力される。フラグQが「1」であれば、セレクター314が入力端bを選択するので、現フレームの映像信号Vid-dは、階調レベルc2を指定する映像信号に補正されて、映像信号Vid-outとして出力される。
判別部310は、第2実施形態で説明した判別と、第3実施形態で説明した判別との両方を行う。その内容については既に説明したから省略する。
現フレームに対し1フレーム前の映像信号で示される画像が例えば図6(1)に示されるとおりであって、現フレームの映像信号Vid-inで示される画像が例えば図6(2)に示されるとおりである場合、適用境界決定部304によって決定される適用境界は、図14(1)で示されるとおりとなる。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
以下の説明において、第4実施形態と同じ構成については同一の符号を付して表し、その詳細な説明については適宜省略する。
この実施形態の映像処理回路30による補正処理の具体例について、図16〜図18を参照しつつ説明する。これら各図の(a)〜(c)のそれぞれにおいて、各矩形が1画素に対応しており、矩形の内側に示すアルファベット、またはアルファベット及び数値の組み合わせは、各階調レベルに対応している。また、P1〜P12は各画素を区別するための符号であり、図中左から右に向かって末尾の数字が大きくなる。また、各矩形の下部のグラフにおいて、横軸は各画素の位置を表し、縦軸は各画素位置の画素に対応する液晶素子の印加電圧を表す。
ところで、ユーザーにより知覚されるべき境界の位置は、本来境界B1のみであるが、リバースチルドドメインを抑制するための階調補正を行うことにより、補正対象暗画素群Pix2の階調レベルが隣接暗画素群Pix3よりも高くなるから、境界B2もユーザーに知覚されることがある。
そこで、この実施形態の映像処理回路30では本来知覚されるべきでない境界が目立たないようにするために、以下に説明する境界補正を行う。
まず、補正対象暗画素群Pix2に対する境界補正について説明する。
図16(b)に示すように、映像処理回路30では、隣接暗画素群Pix3の階調レベルが、補正対象暗画素群Pix2の階調レベルを上回らないように、各画素の階調レベルを高くする。この階調レベルについては、算出部318が階調レベルを補正して出力することで実現可能である。ここでは、隣接暗画素群Pix3のうち画素P9〜P12のそれぞれの階調レベルがaからc3(ただし、a<c3<c2)に補正されている。階調レベルc3を得るための液晶素子120への印加電圧はVc3であり、Vc3は、電圧Vaを上回るとともに電圧Vc2を下回る印加電圧である。この印加電圧の補正により、隣接暗画素群Pix3の階調レベルが、補正対象暗画素群Pix2の階調レベル「c1」と階調レベル「a」との間となるので、境界補正を行わない場合に比べて、画素P8、P9間の境界B2が知覚されにくくなる。
また、階調レベルc1である補正対象明画素群Pix1に対して境界B1の反対側には、補正対象明画素群Pix1でない明画素が連続している。この明画素群のことを、補正対象明画素群Pix1と区別するために、以下では「隣接明画素群Pix4」と称する。隣接明画素群Pix4は、各画素(第4画素)の階調レベルが階調範囲bに含まれるものである。ここで、補正対象明画素群Pix1の階調レベルは隣接明画素群Pix4よりも低いから、図17(a)に示す境界B3がユーザーに知覚されることがある。
そこで、映像処理回路30では境界B3が知覚されないようにするために、以下に説明する境界補正を行うようにしてもよい。
図17(b)に示すように、映像処理回路30では、隣接明画素群Pix4の階調レベルが、補正対象明画素群Pix1の階調レベルを上回らないように、隣接明画素群Pix4の各画素の階調レベルを低くする。ここでは、隣接明画素群Pix4のうち画素P2〜P4のそれぞれの階調レベルがbからc4(ただし、c1<c4<b)に補正されている。階調レベルc4を得るための液晶素子120への印加電圧はVc4である。電圧Vc4は、電圧Vbを下回るとともにVc1を上回る印加電圧である。この印加電圧の補正により、隣接明画素群Pix4の階調レベルが、補正対象明画素群Pix1の階調レベル「c1」と階調レベル「b」との間となるので、境界補正を行わない場合に比べて、画素P4、P5間の境界B3が知覚されにくくなる。
なお、この補正対象明画素群に対する境界補正は、第2実施形態の映像処理回路30に算出部318を備えることで実現されてもよい。
映像処理回路30では、図16を用いて説明した上記<A.補正対象暗画素群に対する境界補正>、及び図17を用いて説明した<B.補正対象明画素群に対する境界補正>に対応する補正の両方を行ってもよい。これにより、境界B2,B3の双方を目立たなくすることができる。
なお、この境界補正において階調レベルを補正暗画素および明画素の画素を、ここでは連続する3画素としていたが、これ以外の数であってもよい。一例として、1〜6画素とすれば十分な境界補正の効果を奏する。
図18(a)に示す例では、映像処理回路30は、補正対象暗画素群pix1の階調レベルを変化させ、隣接暗画素群Pix3の階調レベルを変化させていない。具体的には、映像処理回路30は、画素P8の階調レベルを、隣接画素群Pix3よりも高く、且つ階調レベルc2よりも低い階調レベルc3としている。この場合も、画素P8、P9という互いに隣り合う画素どうしの階調レベルの差(印加電圧の差)が小さくなるので、境界B2をユーザーに知覚されにくくすることができる。また、図18(b)に示すように、映像処理回路30は、補正対象暗画素群pix2の階調レベルを変化させ、隣接明画素群Pix4の階調レベルを変化させないようにしてもよい。具体的には、映像処理回路30は、画素P5の階調レベルを、隣接画素群Pix4よりも低く、且つ階調レベルc1よりも高い階調レベルc4としている。この場合も、画素P4、P5という互いに隣り合う画素どうしの階調レベルの差が小さくなるので、境界B3をユーザーに知覚されにくくすることができる。
このように、映像処理回路30が、リバースチルトドメインの抑制を目的として階調レベルが補正された画素群と、その画素群に対して境界とは反対側に隣接する画素群との階調レベルの差(つまり、電位差)を小さくする補正を行うことで、本来なかった境界が知覚されることを抑制することができる。
上述した第2〜第5実施形態において、補正対象明画素群や補正対象暗画素群の各画素の階調レベルはそれぞれ同じでなくてもよい。
また、各実施形態において、液晶素子120は、透過型に限られず、反射型であってもよい。さらに、液晶素子120は、ノーマリーブラックモードに限られず、ノーマリーホワイトモードでもよいのは上述したとおりである。
また、この実施形態においても、液晶105を例えばTN方式として、電圧無印加時において液晶素子120が白状態となるノーマリーホワイトモードとしてもよい。この場合も、映像処理回路30では、隣接する補正対象暗画素群の暗画素に対応する液晶素子への印加電圧との差が小さくなるように、隣接暗画素群に対応する印加電圧を高くしたり、隣接する補正対象明画素群の明画素に対応する液晶素子への印加電圧との差が小さくなるように、隣接明画素群に対応する印加電圧を低くしたりすればよい。
次に、上述した実施形態に係る液晶表示装置を用いた電子機器の一例として、液晶パネル100をライトバルブとして用いた投射型表示装置(プロジェクター)について説明する。図19は、このプロジェクターの構成を示す平面図である。
この図に示されるように、プロジェクター2100の内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット2102が設けられている。このランプユニット2102から射出された投射光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイックミラー2108によってR(赤)色、G(緑)色、B(青)色の3原色に分離されて、各原色に対応するライトバルブ100R、100Gおよび100Bにそれぞれ導かれる。なお、B色の光は、他のR色やG色と比較すると、光路が長いので、その損失を防ぐために、入射レンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124からなるリレーレンズ系2121を介して導かれる。
ライトバルブ100R、100G、100Bによってそれぞれ変調された光は、ダイクロイックプリズム2112に3方向から入射する。そして、このダイクロイックプリズム2112において、R色およびB色の光は90度に屈折する一方、G色の光は直進する。したがって、各原色の画像が合成された後、スクリーン2120には、投射レンズ2114によってカラー画像が投射されることとなる。
Claims (9)
- 複数の画素の各々に対応して画素電極が設けられた第1基板と、コモン電極が設けられた第2基板とで液晶を挟持し、前記画素電極、前記液晶および前記コモン電極とで液晶素子が構成された液晶パネルに対し、
各画素に対する印加電圧を、前記画素毎の印加電圧を指定した映像信号に基づいて規定する映像処理回路であって、
現フレームの映像信号を解析することによって、当該映像信号で指定される印加電圧が第1電圧を下回る第1画素と、前記印加電圧が前記第1電圧よりも大きい第2電圧以上である第2画素との境界を検出する第1境界検出部と、
現フレームよりも1つ前のフレームの映像信号を解析することによって、前記第1画素と前記第2画素との境界を検出する第2境界検出部と、
前記第1境界検出部によって検出された境界のうち、前記第2境界検出部によって検出された境界から変化した部分から、当該部分を離れる方向に連続するm個(mは1以上の整数)の前記第2画素に対応する液晶素子への印加電圧を、前記現フレームの映像信号で指定される印加電圧から、前記第2電圧を下回るように補正する補正部と
を備え、
前記液晶パネルの表示を更新する時間間隔をSとし、
前記補正部による補正後の電圧に切り替わったときの当該液晶素子の応答時間をTとした場合に、
S<Tであるとき、
前記mは、前記応答時間Tを前記時間間隔Sで割った値の整数部の値により定められる
ことを特徴とする映像処理回路。 - 前記補正部は、
前記変化した部分から、当該部分を離れる方向に連続するn個(nは1以上の整数)の前記第1画素に対応する液晶素子への印加電圧を、前記現フレームの映像信号で指定される印加電圧から、前記第1電圧以上に補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の映像処理回路。 - 複数の画素の各々に対応して画素電極が設けられた第1基板と、コモン電極が設けられた第2基板とで液晶を挟持し、前記画素電極、前記液晶および前記コモン電極とで液晶素子が構成された液晶パネルに対し、
各画素に対する印加電圧を、前記画素毎の印加電圧を指定した映像信号に基づいて規定する映像処理回路であって、
現フレームの映像信号を解析することによって、当該映像信号で指定される印加電圧が第1電圧を下回る第1画素と、前記印加電圧が前記第1電圧よりも大きい第2電圧以上である第2画素との境界を検出する第1境界検出部と、
現フレームよりも1つ前のフレームの映像信号を解析することによって、前記第1画素と前記第2画素との境界を検出する第2境界検出部と、
前記第1境界検出部によって検出された境界のうち、前記第2境界検出部によって検出された境界から変化した部分から、当該部分を離れる方向に連続するn個(nは1以上の整数)の前記第1画素に対応する液晶素子への印加電圧を、前記現フレームの映像信号で指定される印加電圧から、前記第1電圧以上に補正する補正部と
を備え、
前記液晶パネルの表示を更新する時間間隔をSとし、
前記補正部による補正後の電圧に切り替わったときの当該液晶素子の応答時間をTとした場合に、
S<Tであるとき、
前記nは、前記応答時間Tを前記時間間隔Sで割った値の整数部の値により定められる
ことを特徴とする映像処理回路。 - 前記nは2以上であり、
前記補正部は、
前記n個の前記第1画素に対応する液晶素子への印加電圧を、前記変化した部分から離れるにつれて低い電圧とするように補正する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の映像処理回路。 - 前記mは2以上であり、
前記補正部は、
前記m個の前記第2画素に対応する液晶素子への印加電圧を、前記変化した部分から離れるにつれて高い電圧とするように補正する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の映像処理回路。 - 複数の画素の各々に対応して画素電極が設けられた第1基板と、コモン電極が設けられた第2基板とで液晶を挟持し、前記画素電極、前記液晶および前記コモン電極とで液晶素子が構成された液晶パネルに対し、各画素に対する印加電圧を、前記画素毎の印加電圧を指定した映像信号に基づいて規定する映像処理方法であって、
現フレームの映像信号を解析することによって、当該映像信号で指定される印加電圧が第1電圧を下回る第1画素と、前記印加電圧が前記第1電圧よりも大きい第2電圧以上である第2画素との境界を検出し、
現フレームよりも1つ前のフレームの映像信号を解析することによって、前記第1画素と前記第2画素との境界を検出し、
現フレームで検出された境界のうち、前記1つ前のフレームで検出された境界から変化した部分から、当該部分を離れる方向に連続するm個(mは1以上の整数)の前記第2画素に対応する液晶素子への印加電圧を、前記現フレームの映像信号で指定される印加電圧から、前記第2電圧を下回るように補正し、
前記液晶パネルの表示を更新する時間間隔をSとし、
前記補正部による補正後の電圧に切り替わったときの当該液晶素子の応答時間をTとした場合に、
S<Tであるとき、
前記mは、前記応答時間Tを前記時間間隔Sで割った値の整数部の値により定められる
ことを特徴とする映像処理方法。 - 複数の画素の各々に対応して画素電極が設けられた第1基板と、コモン電極が設けられた第2基板とで液晶を挟持し、前記画素電極、前記液晶および前記コモン電極とで液晶素子が構成された液晶パネルに対し、各画素に対する印加電圧を、前記画素毎の印加電圧を指定した映像信号に基づいて規定する映像処理方法であって、
現フレームの映像信号を解析することによって、当該映像信号で指定される印加電圧が第1電圧を下回る第1画素と、前記印加電圧が前記第1電圧よりも大きい第2電圧以上である第2画素との境界を検出し、
現フレームよりも1つ前のフレームの映像信号を解析することによって、前記第1画素と前記第2画素との境界を検出し、
現フレームで検出された境界のうち、前記1つ前のフレームで検出された境界から変化した部分から、当該部分を離れる方向に連続するn個(nは1以上の整数)の前記第1画素に対応する液晶素子への印加電圧を、前記現フレームの映像信号で指定される印加電圧から、前記第1電圧以上に補正し、
前記液晶パネルの表示を更新する時間間隔をSとし、
前記補正部による補正後の電圧に切り替わったときの当該液晶素子の応答時間をTとした場合に、
S<Tであるとき、
前記nは、前記応答時間Tを前記時間間隔Sで割った値の整数部の値により定められる
ことを特徴とする映像処理方法。 - 前記液晶パネルと、
請求項1ないし5のいずれかに記載の映像処理回路と
を備えることを特徴とする液晶表示装置。 - 請求項8に記載された液晶表示装置を有することを特徴とする電子機器。
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