以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるクレーン100の運転評価装置を適用するクレーン100の概略的な側面図であり、図2は、本発明の一実施形態によるクレーン100の運転評価装置の構成及びクレーン100の制御系統の構成を示したブロック図である。まず、図1及び図2を参照して、クレーン100の構成について説明する。
このクレーン100は、図1に示すように、クローラクレーンであり、クローラ式の下部走行体102と、この下部走行体102上に縦軸まわりに旋回自在に搭載されたクレーン本体としての上部旋回体104と、この上部旋回体104に起伏自在に取り付けられた起伏部材としてのブーム106と、そのブーム106の先端から吊り下げられた吊荷部としての主フック108a及び補フック108bとを備えている。また、クレーン100は、エンジン109(図2参照)を備えており、このエンジン109の駆動力を利用して下部走行体102の走行、上部旋回体104の旋回動作、ブーム106の起伏動作及び前記両フック108a,108bの昇降動作がそれぞれ行われるようになっている。
具体的には、クレーン100には、エンジン109の駆動力を受けて油圧を供給する油圧機構110(図2参照)が設けられており、その油圧機構110から供給される油圧によって前記下部走行体102の走行、前記上部旋回体104の旋回動作、前記ブーム106の起伏動作及び前記両フック108a,108bの昇降動作が行われる。
前記上部旋回体104には、前記油圧機構110から供給される油圧によって駆動するブーム起伏ウィンチ112、主巻ウィンチ114a及び補巻ウィンチ114bが搭載されている。
前記ブーム起伏ウィンチ112は、ブーム106を起伏動作させるためのものであり、このブーム起伏ウィンチ112のドラムには、ブーム起伏ロープ106aが巻かれている。このブーム起伏ロープ106aがブーム起伏ウィンチ112によって巻き取り又は繰り出されることによって、ブーム起伏ロープ106aとそれに繋がりブーム106の先端部に接続されるガイライン106bとを介してブーム106が起伏させられるようになっている。
前記主巻ウィンチ114aは、主フック108aを昇降動作させるためのものであり、この主巻ウィンチ114aのドラムには、主巻ロープ115aが巻かれている。この主巻ロープ115aは、主巻ウィンチ114aのドラムから引き出されてブーム106の先端部のシーブ116aを経由して垂下され、主フック108aを多数本掛けの状態で吊り下げる。この主巻ロープ115aが主巻ウィンチ114aによって巻き取り又は繰り出されることによって、主フック108aが昇降され、主として大重量の吊荷を低速で昇降させる主巻き吊り作業が行われる。
前記補巻ウィンチ114bは、補フック108bを昇降動作させるためのものであり、この補巻ウィンチ114bのドラムには、補巻ロープ115bが巻かれている。この補巻ロープ115bは、補巻ウィンチ114bのドラムから引き出されてブーム106の先端部のシーブ116bを経由して垂下され、補フック108bを多数本掛けの状態で吊り下げている。この補巻ロープ115bが補巻ウィンチ114bによって巻き取り又は繰り出されることによって、補フック108bが昇降され、主として軽量の吊荷を高速で昇降させる補巻き吊り作業が行われる。
また、上部旋回体104には、運転室としてのキャブ104aが設けられている。このキャブ104a内には、オペレータが操作する各種操作レバー118及びアクセル120(図2参照)が設けられている。前記操作レバー118としては、上部旋回体104を旋回動作させるためのもの、ブーム106を起伏動作させるためのもの、主フック108aを昇降動作させるためのもの、補フック108bを昇降動作させるためのものがそれぞれ設けられている。
また、クレーン100には、エンジン109の駆動制御、上部旋回体104の旋回動作の制御及び前記各ウィンチ112,114a,114bの駆動制御を行う駆動部コントローラ122が設けられている。この駆動部コントローラ122には、オペレータによる前記操作レバー118や前記アクセル120の操作に応じた操作信号が入力されるようになっている。なお、アクセル120の操作信号は、アクセル120の踏み込み量に応じた燃料噴射量を指示する信号である。
駆動部コントローラ122は、入力された各操作レバー118の操作信号に応じて油圧機構110の比例弁110aに制御信号を送り、油圧機構110が供給する油圧の制御を行う。これにより、上部旋回体104の旋回動作が制御される。また、前記各ウィンチ112,114a,114bの駆動がそれぞれ制御されてブーム106の起伏動作及び前記両フック108a,108bの昇降動作がそれぞれ制御される。このようにして、オペレータによる各操作レバー118の操作に対応した上部旋回体104の旋回動作、ブーム106の起伏動作及び両フック108a,108bの昇降動作がそれぞれ行われるようになっている。
また、駆動部コントローラ122は、入力されたアクセル120の操作信号に応じてエンジン109に制御信号を送り、エンジン109の駆動制御(回転数制御)を行う。一方、エンジン109から駆動部コントローラ122へは、エンジン109の回転数等のデータが送られる。なお、駆動部コントローラ122には、後述する燃料計8から燃料の残量のデータも送られる。
また、クレーン100には、過負荷防止装置124(図2参照)が設けられている。この過負荷防止装置124は、ブーム106に所定以上の負荷が掛かるときにクレーン100の作動を停止させるか又は減速させ、ブーム106に過負荷が掛かるのを防止するためのものである。なお、この過負荷防止装置124は、前記ブーム106の起立動作時に図略のブーム過巻きリミットスイッチが作動したときや、前記各フック108a,108bの巻き上げ時に図略のフック過巻きリミットスイッチが作動したときに前記各ウィンチ112,114a,114bの駆動を停止させ、それら各ウィンチ112,114a,114bによる過巻きを防止する機能も有している。
具体的には、過負荷防止装置124には、後述する角度検出器2、ガイライン張力検出器4、主巻ロープ張力検出器6a及び補巻ロープ張力検出器6bのそれぞれから検出データが入力されるようになっている。
また、クレーン100には、メモリカード126に格納された設定情報を読み取る読取装置128が設けられており、この読取装置128によって読み取られた設定情報が過負荷防止装置124に入力されるようになっている。その設定情報としては、クレーン100の構成を表す設定データ、例えばブーム106の長さ、重量、前記各フック108a,108bの重量及び各フック108a,108bに対する前記各ロープ115a,115bの掛数等のデータや、クレーン100の能力データ、例えばブーム106に掛かる全体の吊り荷重及び前記各フック108a,108bの吊り作業における実荷重について設定された定格荷重曲線等が含まれる。
過負荷防止装置124では、入力された前記検出データ及び前記設定情報に基づいて実施中のクレーン作業における定格荷重と、そのクレーン作業に用いているフック108a又は108bに掛かる実荷重とを求めるとともに、前記定格荷重に対する前記実荷重の負荷率を求める。そして、過負荷防止装置124は、前記負荷率が所定値に達すると、駆動部コントローラ114へ停止信号を送る。駆動部コントローラ114は、その停止信号を受けて油圧機構110へ制御信号を送ることにより、油圧機構110のソレノイドバルブ110bを閉止させて前記各ウィンチ112,114a,114bの駆動を停止させ、クレーン100の作動を停止させる。
なお、前記負荷率が前記所定値に達してはいないが、接近している場合には、駆動部コントローラ114は、油圧機構110へ制御信号を送ることにより、その油圧機構110の比例弁110aの開度を調整させ、前記各ウィンチ112,114a,114bの駆動速度を低下させてクレーン100の作動速度を低下させる等の制御を行う場合もある。
また、過負荷防止装置124では、前記図略のブーム過巻きリミットスイッチが作動したときにそのリミットスイッチから出力される信号を受けて駆動部コントローラ114へ停止信号を送る。これにより、駆動部コントローラ114は、上記と同様にしてブーム起伏ウィンチ112の駆動を停止させてその過巻きを防止するようになっている。また、前記図略のフック過巻きリミットスイッチが作動したときも同様にして、過負荷防止装置124は、駆動部コントローラ114へ停止信号を送り、駆動部コントローラ114は、各ウィンチ114a,114bの駆動を停止させてそれらによる過巻きを防止する。
また、過負荷防止装置124から駆動部コントローラ114へは、前記各検出器2,4,6a,6bによる検出データ等も送られる一方、駆動部コントローラ114から過負荷防止装置124へは前記操作信号やエンジン109の回転数のデータ、燃料の残量のデータ等が送られるようになっている。
そして、本実施形態によるクレーン100の運転評価装置は、上記のような構成のクレーン100に適用されており、クレーン100の停止操作後にオペレータが自分の行ったクレーン100の運転状態を評価するために用いられるものである。以下、この運転評価装置の構成について説明する。
本実施形態によるクレーン100の運転評価装置は、角度検出器2と、ガイライン張力検出器4と、主巻ロープ張力検出器6aと、補巻ロープ張力検出器6bと、燃料計8と、表示装置10と、データ制御部12とを有する。
前記角度検出器2は、水平面に対するブーム106の仰角(以下、ブーム角度という)を検出するものである。前記ガイライン張力検出器4は、ガイライン106bの張力を検出するものである。前記主巻ロープ張力検出器6aは、主巻ロープ115aの張力を検出するものであり、前記補巻ロープ張力検出器6bは、補巻ロープ115bの張力を検出するものである。前記燃料計8は、図略の燃料タンク内の燃料の残量を検出するものである。これら、角度検出器2、ガイライン張力検出器4、主巻ロープ張力検出器6a、補巻ロープ張力検出器6b及び燃料計8は、本発明の検出器の概念に含まれるものである。
前記表示装置10は、所定のデータを画面表示するものであり、キャブ104a内においてオペレータから視認可能な位置に設けられている。
前記データ制御部12は、オペレータによるエンジン109の停止操作後に前記各検出器2,4,6a,6b及び燃料計8による検出データと前記メモリカード126から読み取られた設定情報とに基づいて、エンジン109の直近の起動から今回の停止操作による停止までの間に行われたクレーン作業の燃費効率を解析するための第1燃費指標とそのクレーン作業の内容を解析するための第1作業指標とを導出し、その導出した第1燃費指標及び第1作業指標を表示装置10に表示させるものである。また、このデータ制御部12は、オペレータによるエンジン109の停止操作後にそのエンジン109を稼動させた日におけるそのエンジン109の最初の起動から今回の停止操作による停止までの間に行なわれたクレーン作業の燃費効率を解析するための第2燃費指標とそのクレーン作業の内容を解析するための第2作業指標とを導出し、その導出した第2燃費指標及び第2作業指標も表示装置10に表示させる。なお、データ制御部12は、オペレータによるエンジン109の停止操作が行われると自動的に前記第1及び第2燃費指標と前記第1及び第2作業指標を導出し、それら各指標を表示装置10に表示させる。
具体的には、このデータ制御部12は、前記過負荷防止装置124に組み込まれている。換言すると、前記過負荷防止装置124の制御部が本実施形態による運転評価装置のデータ制御部12としての機能を備えている。従って、このデータ制御部12には、過負荷防止装置124に入力される前記各検出器2,4,6a,6bによる検出データ、前記操作信号のデータ、前記エンジン109の回転数のデータ、前記燃料計8によって検出される燃料の残量のデータ、前記メモリカード126から読み取られた設定情報等が同様に入力される。
そして、このデータ制御部12は、記憶部14と演算部16とを有している。
前記記憶部14は、各種データを記憶する部分である。この記憶部14には、データ制御部12に入力される前記各データ及び前記設定情報や、前記演算部16によって後述のように算出される第1燃費指標、第1作業指標、第2燃費指標及び第2作業指標等が記録される。
前記演算部16は、前記各検出器2,4,6a,6b及び燃料計8による各検出データに基づいて前記第1及び第2燃費指標と前記第1及び第2作業指標の演算を行う。
前記第1燃費指標には、今回のエンジン109の稼動、すなわち今回のクレーン100の稼動によって消費した燃料量(以下、今回の燃料消費量という)と、今回のクレーン100の稼動において1回の吊り作業当たりに消費した燃料量(以下、今回の吊り作業回数当たり燃料消費量という)と、今回のクレーン100の稼動においてモーメント時間の単位時間当たりに消費した燃料量(以下、今回のモーメント時間当たり燃料消費量という)とが含まれる。なお、今回のエンジン109の稼動とは、エンジン109の直近の起動からオペレータによる今回の停止操作によってエンジン109が停止するまでの間のエンジン109の稼動のことを意味する。
演算部16は、燃料計8による検出データに基づいてエンジン109の直近の起動時における燃料の残量とエンジン109の今回の停止時における燃料の残量とを求め、それらの燃料の残量の差から前記今回の燃料消費量を算出する。そして、演算部16は、算出した前記今回の燃料消費量を今回のクレーン100の稼動において行なわれた吊り作業の回数で除することによって前記今回の吊り作業回数当たり燃料消費量を算出する。なお、本実施形態で用いられる吊り作業の回数としては、前記フック108a又は108bを1回巻上げ及び巻下げした場合に1回の吊り作業を行ったとカウントする方式の他に、1回の巻上げと巻下げの間にブーム106の起伏動作又は上部旋回体104の旋回動作が行なわれた場合に1回の吊り作業を行ったとカウントする方式等があり、どのような方式を採用してもよい。演算部16は、これらフック108a,108bの巻上げ及び巻下げ、ブーム106の起伏動作、上部旋回体104の旋回動作をそれぞれ操作レバー118の操作信号に基づいてカウントする。
また、演算部16は、算出した前記今回の燃料消費量を今回のクレーン100の稼動における累計のモーメント時間で除することによって前記今回のモーメント時間当たり燃料消費量を算出する。なお、演算部16は、前記角度検出器2によって検出されるブーム角度と前記設定データのブーム106の長さとに基づいてクレーン100の作業半径を算出する。また、演算部16は、前記ロープ張力検出器6a(6b)によって検出される張力に基づいて吊荷及びフック108a(108b)の荷重を求めるとともに、その荷重から前記設定データのフック108a(108b)の重量を減じて吊り荷重を算出する。そして、演算部16は、算出した前記作業半径に前記吊り荷重を乗じてモーメントを算出するとともに、その算出したモーメントに対応する作業時間を乗じて前記モーメント時間を算出する。
また、前記第1作業指標には、今回のクレーン100の稼動において稼動時間1時間当たりに行われた吊り作業の回数(以下、今回の単位時間当たり吊り作業回数という)と、今回のクレーン100の稼動におけるモーメント時間の稼動時間1時間当たりの値(以下、今回の単位モーメント時間という)とが含まれる。
演算部16は、エンジン109の直近の起動時刻と今回の停止時刻とに基づいて今回のクレーン100の稼動時間を求めるとともに、今回のクレーン100の稼動において行なわれた吊り作業の回数を前記今回のクレーン100の稼動時間で除することによって前記今回の単位時間当たり吊り作業回数を算出する。また、演算部16は、前記今回のクレーン100の稼動における累計のモーメント時間を今回のクレーン100の稼動時間で除することによって前記今回の単位モーメント時間を算出する。
また、前記第2燃費指標には、今回クレーン100を稼動させた1日における累計の燃料消費量(以下、今回の1日の累計燃料消費量という)と、今回クレーン100を稼動させた1日において1回の吊り作業当たりに消費した燃料量(以下、今回の1日における吊り作業回数当たり燃料消費量という)と、今回クレーン100を稼動させた1日においてモーメント時間の単位時間当たりに消費した燃料量(以下、今回の1日におけるモーメント時間当たり燃料消費量という)とが含まれる。なお、前記第2燃費指標に含まれる各指標は、1日にクレーン100を複数回稼動させた場合にはそれら各回の稼動における対応するデータを合算したものとなるが、1日にクレーン100を1回のみ稼動させた時点では、その1回の稼動における指標に等しくなる。このことは、以下の説明における第2燃費指標及び第2作業指標においても同様である。
演算部16は、今回クレーン100を稼動させた1日において各回のクレーン100の稼動により消費された燃料量を積算することによって前記今回の1日の累計燃料消費量を算出する。また、演算部16は、今回クレーン100を稼動させた1日において各回のクレーン100の稼動で行われた吊り作業の回数を積算することによりその1日に行われた吊り作業の回数を求めるとともに、その求めた吊り作業の回数で前記今回の1日の累計燃料消費量を除することによって前記今回の1日における吊り作業回数当たり燃料消費量を算出する。また、演算部16は、今回クレーン100を稼動させた1日のモーメント時間を算出するとともに、その1日のモーメント時間で前記今回の1日の累計燃料消費量を除することによって前記今回の1日におけるモーメント時間当たり燃料消費量を算出する。
また、第2燃費指標には、今回エンジン109を稼動させた1日におけるそのエンジン109の最初の起動から今回の停止操作によるエンジン109の停止までの期間のエンジン109の回転数分布(以下、今回の1日におけるエンジン回転数分布という)と、今回エンジン109を稼動させた1日におけるフック108a,108bの巻上げ時のエンジン109の回転数分布(以下、巻上げ時エンジン回転数分布という)と、今回エンジン109を稼動させた1日におけるフック108a,108bの巻下げ時のエンジン109の回転数分布(以下、巻下げ時エンジン回転数分布という)とが含まれる。
演算部16は、エンジン109の回転数を複数の回転数範囲に分割し、得られた1日のエンジン109の回転数のデータから前記各回転数範囲ごとに該当する時間が何分あるかを集計することによって前記今回の1日におけるエンジン回転数分布を求める。また、演算部16は、フック108a,108bの巻上げ時と巻下げ時を操作レバー118の操作信号に基づいてそれぞれ判断し、前記今回の1日におけるエンジン回転数分布から前記巻上げ時に該当する部分を抽出して前記巻上げ時エンジン回転数分布を求める一方、前記今回の1日におけるエンジン回転数分布から前記巻下げ時に該当する部分を抽出して前記巻下げ時エンジン回転数分布を求める。
前記第2作業指標には、今回クレーン100を稼動させた1日においてクレーン100の1時間の稼動当たりに行われた吊り作業の回数(以下、今回の1日における単位時間当たり吊り作業回数という)と、今回クレーン100を稼動させた1日におけるモーメント時間の稼動時間1時間当たりの値(以下、今回の1日における単位モーメント時間という)とが含まれる。
演算部16は、今回クレーン100を稼動させた1日において各回のクレーン100の稼動時間(エンジン109の稼動時間)を積算することにより今回の1日のクレーン100の累計稼動時間を求めるとともに、その累計稼動時間で今回クレーン100を稼動させた1日に行われた吊り作業の回数を除することによって前記今回の1日における単位時間当たり吊り作業回数を算出する。また、演算部16は、前記今回クレーン100を稼動させた1日のモーメント時間の積算値を前記今回の1日のクレーン100の累計稼動時間で除することによって前記今回の1日における単位モーメント時間を算出する。
また、第2作業指標には、今回クレーン100を稼動させた1日のモーメント時間(以下、今回の1日のモーメント時間という)と、今回クレーン100を稼動させた1日に行われた吊り作業の回数(以下、今回の1日の累計吊り作業回数という)と、今回クレーン100を稼動させた1日における操作レバー118の操作回数(以下、今回の1日の累計操作回数という)と、今回クレーン100を稼動させた1日における操作レバー118の操作時間(以下、今回の1日の累計操作時間という)と、今回の1日のクレーン100の累計稼動時間に対する前記今回の1日の累計操作時間の比率(以下、今回の1日の操作時間率という)とが含まれる。
演算部16は、操作レバー118の操作信号に基づいて、今回クレーン100を稼動させた1日に行われた操作レバー118の操作回数を積算することにより前記今回の1日の累計操作回数を求める。また、演算部16は、操作レバー118の操作信号に基づいて、今回クレーン100を稼動させた1日に行われた操作レバー118の操作時間を積算することにより前記今回の1日の累計操作時間を求める。そして、演算部16は、求めた前記今回の1日の累計操作時間を前記今回の1日のクレーン100の累計稼動時間で除することによって前記今回の1日の操作時間率を求める。
また、第2作業指標には、今回クレーン100を稼動させた1日における操作レバー118の操作間隔の分布(以下、今回の1日における操作間隔分布という)と、今回クレーン100を稼動させた1日におけるクレーン100の作業半径と実荷重の相関分布(今回の1日のクレーン作業における作業半径と実荷重の相関分布という)とが含まれる。
演算部16は、今回クレーン100を稼動させた1日において操作レバー118の操作間隔、すなわち操作レバー118が操作されてその操作信号が入力されてから次に操作レバー118が操作されてその操作信号が入力されるまでの時間間隔が何秒あったかを複数に分割した時間範囲ごとに集計することによって前記今回の1日における操作間隔分布を求める。また、演算部16は、今回クレーン100を稼動させた1日のクレーン作業での作業半径を複数の所定範囲ごとに分けるとともに、その各範囲の作業半径のクレーン作業が何分ずつ行われたかを集計し、さらにその1日のクレーン作業での実荷重を複数の荷重範囲ごとに分けるとともに、その各荷重範囲のクレーン作業が何分ずつ行われたかを集計することによって前記今回の1日のクレーン作業における作業半径と実荷重の相関分布を求める。
また、第2作業指標には、今回エンジン109を稼動させた1日におけるそのエンジン109の最初の起動から今回のオペレータの停止操作による停止までの間に行われたクレーン作業の安全度合いを解析するための安全指標が含まれる。この安全指標は、具体的には、今回クレーン100を稼動させた1日において過負荷防止装置124が過負荷の発生を判断してクレーン100の作動を停止させた回数(以下、今回の1日における過負荷回数という)と、今回クレーン100を稼動させた1日において過負荷防止装置124が前記各ウィンチ112,114a,114bによる過巻きを検知してそれら各ウィンチ112,114a,114bの駆動を停止させた回数(以下、今回の1日における過巻き回数という)とが含まれる。
演算部16は、今回エンジン109を稼動させた1日において、前記過負荷防止装置124によりクレーン100の作動が停止された回数をカウントすることによって前記今回の1日における過負荷回数を求めるとともに、前記過負荷防止装置124により各ウィンチ112,114a,114bの駆動が停止された回数をカウントすることによって前記今回の1日における過巻き回数を求める。
また、クレーン100には、演算部16によって上記のように導出されて記憶部14に一旦記録された第2燃費指標及び第2作業指標のデータを外部へ送信するとともに、各種データを外部から受信する通信装置20がデータ制御部12と相互に通信可能に設けられている。この通信装置20には、前記各データを送受信するための通信用アンテナ20aと、クレーン100の位置測定のために用いられるGPS測位可能な位置検出用アンテナ20bが設けられている。そして、この通信装置20には、エンジン109の停止を合図にデータ制御部12から記憶部14に記録されていたデータが送られるようになっている。前記データ制御部12及び前記駆動部コントローラ122は、エンジン109の停止後にデータが通信装置20に送られると電源への接続が遮断されるように構成されている一方、通信装置20は、クレーン100の電源がオフのときにもデータの送受信を行う必要があるため、常時電源に接続している。従って、通信装置20から外部へのデータの送信は、エンジン109の停止直後に限らず、その後、時間が経過してからでも行えるようになっている。また、通信装置20は、1回のエンジン109の起動から停止までの期間毎のデータをその期間毎に順次送信するように構成されている。なお、通信装置20は、複数回のエンジン109の起動から停止までの期間のデータを蓄積しておき、1日に1回まとめて送信することも可能となっている。
また、クレーン100には、前記通信装置200とデータ通信可能に認証装置22が設けられている。この認証装置22は、エンジン109の起動前にクレーン100を運転するオペレータが予め登録されているオペレータであるかを認証するためのものである。後述するデータベースサーバ27にクレーン100の運転を許可するオペレータのIDのデータベースが予め登録されており、エンジン109の起動前にオペレータが認証装置22に個人IDカードをセットすることによって認証装置22はその個人IDを通信装置20を介してデータベースサーバ27から読み出した前記IDのデータベースと照合し、前記認証を行う。この際、オペレータの個人IDと登録されているIDとが合致しなかった場合には、エンジン109の起動が許可されないようになっている。この認証装置22によって個人IDカードから読み取られたオペレータのIDを含む個人情報は、通信装置20を介してデータ制御部12に送られ、演算部16によって導出される前記各燃費指標及び前記各作業指標のデータと関連付けられて記憶部14に記録されるようになっている。
図4〜図12は、オペレータによりエンジン109の停止操作が行われた後、表示装置10に表示される各画面の内容を示すものである。これら図4〜図12に示すように、データ制御部12は、オペレータによりエンジン109の停止操作が行われた後、上記のように演算部16によって算出された第1及び第2燃費指標と第1及び第2燃費指標の各データを表示装置10に表示させる。以下、この表示装置10に表示される各画面の内容について説明する。
図4に示す画面は、効率評価画面であり、クレーン作業の燃費効率及び作業効率の評価を示す画面である。この効率評価画面は、前記停止操作が行われた後、表示装置10に最初に表示される画面である。
この効率評価画面には、最上部にクレーン100の号機番号、オペレータのID、オペレータの氏名、ブーム106の長さ、上部旋回体104に取り付けられるカウンタウェイト104bの状態が左から右へ順番に表示される。これらの表示の下欄には、稼動時間帯表示部32が設けられており、この稼動時間帯表示部32には、今回クレーン100を稼動させた1日におけるそのクレーン100の稼動時間帯が図示される。
さらに、その下欄には、エンジン稼動時間表示欄34が設けられており、このエンジン稼動時間表示欄34には、左から右へ順番に今回のエンジン109の起動時刻と、今回のエンジン109の停止時刻と、今回のエンジン109の稼動時間と、今回エンジン109を稼動させた1日におけるエンジン109の累計稼動時間と、前回エンジン109を稼動させた1日におけるエンジン109の累計稼動時間とがそれぞれ表示される。
さらに下欄には、燃料量表示欄36が設けられている。この燃料量表示欄36には、左から右へ順番に今回のエンジン109の起動時における燃料の残量と、今回のエンジン109の停止時における燃料の残量と、前記今回の燃料消費量と、前記今回の1日の累計燃料消費量と、前回クレーン100を稼動させた1日における累計の燃料消費量とがそれぞれ表示される。なお、前回クレーン100を稼動させた1日とは、今回クレーン100を稼動させた日の前にクレーン100を稼動させた直近の1日のことを意味し、以下の説明においても同様である。
そして、前記燃料量表示欄36の下には、吊り作業回数当たり燃料消費量表示欄38が設けられている。この表示欄38には、左から右へ順番に前記今回の吊り作業回数燃料消費量と、前記今回の1日における吊り作業回数当たり燃料消費量と、前回クレーン100を稼動させた1日において1回の吊り作業当たりに消費した燃料量(以下、前回の1日における吊り作業回数当たり燃料消費量という)とが表示される。
吊り作業回数当たり燃料消費量表示欄38の下には、モーメント時間当たり燃料消費量表示欄40が設けられている。この表示欄40には、左から右へ順番に前記今回のモーメント時間当たり燃料消費量と、前記今回の1日におけるモーメント時間当たり燃料消費量と、前回クレーン100を稼動させた1日においてモーメント時間の単位時間当たりに消費した燃料量(以下、前回の1日におけるモーメント時間当たり燃料消費量という)とが表示される。
モーメント時間当たり燃料消費量表示欄40の下には、単位時間当たり吊り作業回数表示欄42が設けられている。この表示欄42には左から右へ順番に前記今回の単位時間当たり吊り作業回数と、前記今回の1日における単位時間当たり吊り作業回数と、前回クレーン100を稼動させた1日においてクレーン100の1時間の稼動当たりに行われた吊り作業の回数(以下、前回の1日における単位時間当たり吊り作業回数という)とが表示される。
単位時間当たり吊り作業回数表示欄42の下には、単位モーメント時間表示欄44が設けられている。この表示欄44には、左から右へ順番に前記今回の単位モーメント時間と、前記今回の1日における単位モーメント時間と、前回クレーン100を稼動させた1日
におけるモーメント時間の稼動時間1時間当たりの値と(以下、前回の1日における単位モーメント時間という)が表示される。
そして、これらの表示のさらに下には、評価メッセージ表示欄45が設けられている。この評価メッセージ表示欄45には、クレーン作業の燃費効率の評価を表すメッセージ45aと、クレーン作業の作業効率の評価を表すメッセージ45bとが表示される。前記燃費効率の評価を表すメッセージ45aは、今回の1日における吊り作業回数当たり燃料消費量を前回の1日における吊り作業回数当たり燃料消費量と比較するとともに、今回の1日におけるモーメント時間当たり燃料消費量を前回の1日におけるモーメント時間当たり燃料消費量と比較した結果から導かれるものである。前記作業効率の評価を表すメッセージ45bは、今回の1日における単位時間当たり吊り作業回数を前回の1日における単位時間当たり吊り作業回数と比較するとともに、今回の1日における単位モーメント時間を前回の1日における単位モーメント時間と比較した結果から導かれるものである。
図5に示す画面は、1日累積データ画面であり、今回クレーン100を稼動させた1日における各指標の累積データを表示するものである。この画面の最上部の表示内容は、前記効率評価画面と同様のものである。その表示の下側には、稼動時間表示欄58と、操作時間表示欄59と、操作時間率表示欄60と、吊り作業回数表示欄61と、モーメント時間表示欄62と、過負荷回数表示欄63と、過巻き回数表示欄64とが上から下へ順番に並んで設けられている。
稼動時間表示欄58には、左から右へ順番に今回クレーン100を稼動させた1日の累計稼動時間と、前回クレーン100を稼動させた1日の累計稼動時間と、今回の1日の累計稼動時間の前回対比の値とが表示される。
操作時間表示欄59には、左から右へ順番に前記今回の1日の累計操作時間と、前回クレーン100を稼動させた1日における操作レバー118の累計操作時間と、今回の1日の累計操作時間の前回対比の値とが表示される。
操作時間率表示欄60には、左から右へ順番に前記今回の1日の操作時間率と、前回クレーン100を稼動させた1日における同様の操作時間率と、今回の1日の操作時間率の前回対比の値とが表示される。
吊り作業回数表示欄61には、左から右へ順番に前記今回の1日の累計吊り作業回数と、前回クレーン100を稼動させた1日に行われた吊り作業の累計回数と、今回の1日の累計吊り作業回数の前回対比の値とが表示される。
モーメント時間表示欄62には、左から右へ順番に前記今回の1日のモーメント時間と、前回クレーン100を稼動させた1日の累計のモーメント時間と、今回の1日のモーメント時間の前回対比の値とが表示される。
過負荷回数表示欄63には、左から右へ順番に前記今回の1日における過負荷回数と、前回クレーン100を稼動させた1日における過負荷回数と、今回の1日における過負荷回数の前回対比の値とが表示される。
過巻き回数表示欄64には、左から右へ順番に前記今回の1日における過巻き回数と、前回クレーン100を稼動させた1日における過巻き回数と、今回の1日における過巻き回数の前回対比の値とが表示される。
前記各表示欄58〜64のさらに下には、エンジン109の回転数分布図66が表示される。このエンジンの回転数分布図66には、上から下へ順番に前記今回の1日におけるエンジン回転数分布の表示欄66aと、前記巻上げ時エンジン回転数分布の表示欄66bと、前記巻下げ時回転数分布の表示欄66cとが設けられている。本実施形態では、これら各回転数分布の表示欄66a〜66cにおいて、700RPMから2000RPMまでの回転数範囲が100RPM毎に各マスに分割されて左から右へ順番に示されるとともに、最も右側の1つのマス内に2000RPM以上の回転数範囲が表示されるようになっている。そして、各マスには、該当する分割された回転数範囲内にエンジン109の回転数が入った時間の累計が数値で示されるとともに、その数値の大小が視覚化された形態、例えば各マスの色分けによって図示される。
回転数分布図66の下には、操作レバー118の操作間隔分布図67が表示される。この操作間隔分布図67は、前記今回の1日における操作間隔分布を表示するものである。本実施形態では、この操作間隔分布図67において、2秒〜3600秒までの操作間隔の範囲が所定範囲ごとに14個のマスに分割されて左から右へ順番に示されるとともに、最も右側の1つのマス内に3600秒以上の操作間隔に対応する累計時間が表示されるようになっている。そして、各マス内には、該当する操作間隔の範囲内に操作レバー118の操作間隔が入った時間の累計が数値で示されるとともに、その数値の大小が前記エンジンの回転数分布と同様、各マスの色分けによって視覚化された形態により図示される。
図6に示す画面は、作業半径−実荷重分布画面であり、この画面には、今回クレーン100が稼動された1日においてどのような作業半径によりどれだけの実荷重の吊り作業が行われたかを表す前記今回の1日のクレーン作業における作業半径と実荷重の相関分布が図示される。
この画面の作業半径−実荷重分布図では、横軸に作業半径を取るとともに縦軸に実荷重を取り、両軸間の範囲を複数のマスに分割して表示している。そして、作業半径の全範囲を複数に分割した各範囲に該当する作業半径のクレーン作業が行われた累計時間と、実荷重の全範囲を複数に分割した各範囲に該当する実荷重のクレーン作業が行われた累計時間とがそれぞれ対応するマス内に数値で表示される。さらに、この分布図でも累計時間の多少が各マスの色分けによって視覚化された形態により図示される。本実施形態では、0分〜600分までの累計時間を所定範囲ごとに分割した9段階の色分け表示と、600分以上の1段階の色分けとによって合計10段階で累計時間の多少が色分け表示されるようになっている。
図7〜図10に示す画面は、自己履歴画面であり、前記認証装置22によって認証されたオペレータによる各燃費指標又は各作業指標の履歴をトレンドグラフとしてそれぞれ表示するものである。これら自己履歴の画面のうち、図7は、自己履歴の作業実績を表示するものであり、図8は、自己履歴の燃費効率を表示するものである。また、図9は、自己履歴の作業効率を表示するものであり、図10は、自己履歴の各指標を比較表示するものである。これら各自己履歴の画面表示は、認証装置22によって認証されたオペレータの情報に基づいて後述のデータベースサーバ27に保存された自己履歴のデータが通信装置20を介してデータ制御部12に送られるとともに、データ制御部12がその自己履歴のデータを表示装置10に表示させることによって得られる。
図7の自己履歴の作業実績を表示する画面では、クレーン100を稼動させた日における1日の累計の吊り作業回数と1日の累計のモーメント時間との日毎の履歴が同じトレンドグラフ上に示される。
図8の自己履歴の燃費効率を表示する画面では、クレーン100を稼動させた日において1回の吊り作業当たりに消費した燃料量(吊り作業当たり燃料消費量)とモーメント時間の単位時間当たりに消費した燃料量(モーメント時間当たり燃料消費量)との日毎の履歴が同じトレンドグラフ上に表示される。
図9の自己履歴の作業効率を表示する画面では、クレーン100を稼動させた日においてクレーン100の1時間の稼動当たりに行われた吊り作業の回数(吊り作業回数時間効率)と、クレーン100を稼動させた日におけるモーメント時間の稼動時間1時間当たりの値(モーメント時間時間効率)との日毎の履歴が同じトレンドグラフ上に表示される。
図10の自己履歴の各指標を比較表示する画面では、今回クレーン100を稼動させた1日における各指標を同じ時刻歴グラフ上に表示する。具体的には、その1日の中での吊り作業回数の変化とモーメント時間の変化と瞬時燃料消費量の変化と積算燃料消費量の変化とを同じ時刻歴グラフ上に表示する。なお、前記瞬時燃料消費量は、各時刻において消費された燃料量を示すものであり、前記積算燃料消費量は、瞬時燃料消費量の積算値である。
図11に示す画面は、自社内評価比較画面であり、オペレータが所属する会社に属する複数のオペレータ間において各燃費指標及び各作業指標のデータを比較表示するものである。この画面の表示は、認証装置22によって認証されたオペレータの情報に基づいて後述のデータベースサーバ27に保存されたそのオペレータ本人のデータが通信装置20を介してデータ制御部12に送られるとともに、データベースサーバ27に保存された自社内の他のオペレータのデータが通信装置20を介してデータ制御部12に送られ、データ制御部12がそれらのデータを表示装置10に比較表示させることによって得られる。
この自社内評価比較画面においてデータが表示される領域には、最も上に認証装置22によって認証されたオペレータ本人の成績を表示する本人成績欄70が設けられている。その下には対象となる自社のオペレータの成績の平均値を表示する自社平均値欄71が設けられている。さらにその下には、自社の他の複数のオペレータの成績が並んで表示される自社他オペレータ成績欄73が設けられている。なお、この自社他オペレータ成績欄73には、個人情報の保護のため、他のオペレータの氏名等は表示されず、そのオペレータが運転したクレーン100の号機番号が各欄に表示されるようになっている。
本人成績欄70には、左から右へ順番に前記今回の1日における吊り作業当たり燃料消費量と、前記今回の1日におけるモーメント時間当たり燃料消費量と、前記今回の1日における単位時間当たり吊り作業回数と、前記今回の1日における単位モーメント時間とが表示される。自社平均値欄71と自社他オペレータ成績欄73には、前記本人成績欄70の表示項目と同じ項目の指標が左から右へ順番にそれぞれ表示される。そして、本人成績欄70と自社他オペレータ成績欄73の各表示項目には、対象となる自社のオペレータの成績中におけるその項目の値の順位も表示されるようになっている。
そして、前記各表示項目の列の下には、優先昇順ボタン74がそれぞれ配設されている。この優先昇順ボタン74をオペレータが押すことによって、前記自社他オペレータ成績欄73にその押された優先昇順ボタン74に対応する項目の値が高いものから他のオペレータの成績が上下に昇順で並ぶように切り替えられる。
図12に示す画面は、同機種評価比較画面であり、オペレータ本人と、そのオペレータが運転したクレーン100と同機種のクレーン100を運転した他の複数のオペレータとの間で各燃費指標及び各作業指標のデータを比較表示するものである。この画面の表示は、前記自社内評価比較画面と同様、データベースサーバ27に保存された各オペレータのデータをデータ制御部12が表示装置10に表示させることによって得られる。
この同機種評価比較画面において、比較データが表示される領域には、最も上に認証装置22によって認証されたオペレータ本人の成績を表示する本人成績欄76が設けられている。その下には対象となる機種のクレーン100を運転した全オペレータの成績の平均値を表示する機種平均値欄77が設けられている。さらにその下には、対象となる機種のクレーン100を運転した他の複数のオペレータの成績が並んで表示される同機種他オペレータ成績欄78が設けられている。なお、この同機種他オペレータ成績欄73には、個人情報の保護のため、他のオペレータの氏名等は表示されず、そのオペレータが運転したクレーン100の号機番号が各欄に表示されるようになっている。
この同機種評価比較画面の上記以外の表示項目や優先昇順ボタン79による切り替え表示の構成は、前記自社内評価比較画面の構成と同様である。
以上説明した図4〜図12の各画面は、オペレータが各画面の下部に配置された各表示ボタン46〜51もしくは図7〜図10の上部に配置された各表示ボタン53〜56を押すことによって切り替えられるようになっている。
具体的には、効率評価表示ボタン46を押すことによって図4の効率評価画面が表示され、1日累積ボタン47を押すことによって図5の1日累積データ表示画面が表示される。また、作業半径−実荷重ボタン48を押すことによって図6の作業半径−実荷重分布画面が表示され、自己履歴ボタン49を押すことによって図7の自己履歴の作業実績画面が表示される。また、自社比較ボタン50を押すことによって図11の自社内評価比較画面が表示され、同機種比較ボタン51を押すことによって図12の同機種評価比較画面が表示される。そして、図7〜図10の各自己履歴の画面において作業実績ボタン53を押すことによって図7の作業実績を表示する画面が表示され、燃費効率ボタン54を押すことによって図8の燃費効率を表示する画面が表示される。また、作業効率ボタン55を押すことによって図9の作業効率を表示する画面が表示され、比較ボタン56を押すことによって図10の各指標を比較表示する画面が表示される。
図3には、本発明の一実施形態によるクレーン100の運転評価システムの構成が示されている。本実施形態による運転評価システムは、上記の運転評価装置と、前記通信装置20と、離隔地端末24と、中継アンテナ25と、メールサーバ26と、データベースサーバ27と、アプリケーションサーバ28とを備える。そして、本実施形態では、複数のクレーン100が存在し、その各クレーン100に運転評価装置及び通信装置20を含む上記クレーン100の構成が同様に設けられている。
前記離隔地端末24は、前記各クレーン100の通信装置20から送信された第2燃費指標及び第2作業指標を含む各種データを表示するものであり、前記各クレーン100から離れた任意の場所にある事務所等に設置されている。この離隔地端末24は、PC端末からなり、各種データを表示する表示装置24aを備えている。
前記各クレーン100の通信装置20から送信されたデータは、中継アンテナ25とメールサーバ26とを経由してデータ処理に適した形に処理された後、前記データベースサーバ27に蓄積されるようになっている。このデータベースサーバ27は、本発明のサーバの概念に含まれるものである。また、データベースサーバ27には、認証装置22でのオペレータの認証に用いられるオペレータのIDのデータベースが予め登録される。前記アプリケーションサーバ28には、データベースサーバ27に蓄積されたデータを各オペレータ別に統計処理し、後述の各種帳票を作成するプログラムが記憶されている。このアプリケーションサーバ28は、本発明の統計処理部の概念に含まれる。
前記離隔地端末24は、インターネット経由で前記各サーバ26〜28に接続可能となっている。そして、離隔地端末24は、クレーン100の運転を許可するオペレータのIDを送信することにより、前記データベースサーバ27に登録された前記IDのデータベースを更新させる機能を有する。すなわち、離隔地端末24は、本発明のオペレータ情報更新部としての機能も有する。また、離隔地端末24において表示装置24aに表示されるWEB画面から帳票出力メニューを選択することにより、前記アプリケーションサーバ28に記憶されたプログラムに従って前記データベースサーバ27に蓄積されたデータが加工される。これにより、図13〜図15に示す各種帳票が作成されて離隔地端末24の表示装置24aに画面表示されるようになっている。なお、これら帳票は、離隔地端末24において印刷表示することも可能となっている。
図13に示す帳票は、クレーン100を稼動させた1日のデータの集計結果を示す日報である。この日報の上部には、クレーン100の所在場所、現場名、運転したオペレータ名、クレーン100の機種名称、号機番号、エンジン109の種類、エンジン109の号機番号等のデータが表示される。その下には、クレーン100のフック108a,108bに対するロープ115a,115bの掛数、作業モード、ブーム106の長さ等のクレーン100の構成を示す設定データや、クレーン100の製造年月日、離隔地端末24の識別番号、燃料消費量に関するデータ等が表示される。
さらに、その下には実施された吊り作業における無負荷の作業と有負荷の作業の時間割合を示す図と、1日の各稼動時間の記録とが表示される。この各稼動時間の記録欄には、走行時間と、旋回時間と、クレーン操作時間と、アイドル時間と、段取時間とがそれぞれ、数値(分)、全体の稼動時間に対する割合(%)、棒グラフで表示される。また、各稼動時間の記録欄には、クレーン100を稼動させた1日が終了した時点での時間計の計測時間と、その1日のクレーン100の稼動時間も示される。
それらの表示のさらに下には、クレーン100を稼動させた1日におけるエンジン109の稼動状況が表示される。この稼動状況表示欄には、エンジン109の稼動時間帯が図示される。
前記稼動状況表示欄の下の右側には、図6の作業半径−実荷重分布画面で示された作業半径と実荷重の相関分布と同様の内容が図示され、その下には行われた吊り作業の負荷率の分布が表示される。この負荷率の分布は、吊り作業の負荷率を所定範囲ごとに分割し、分割された各範囲の負荷率に該当する吊り作業が行われた時間を各範囲毎に集計して表示したものである。この負荷率の分布の表示の下には、クレーン作業において各フック108a,108bを吊るロープ115a,115bに掛かった負荷レベルの分布及びブーム106を吊るガイライン106bに掛かった負荷レベルの分布が表示される。この表示では、前記ロープ115a,115b及び前記ガイライン106bに掛かる負荷を複数の段階にレベル分けし、その各レベルに該当する負荷が前記ロープ115a,115b及びガイライン106bに掛かった時間を各レベルごとに集計して表示したものである。
そして、前記負荷の分布の表示の下には、図5の1日累積データ画面で示されたエンジン109の回転数分布図及び操作レバー118の操作間隔分布図と同様のものが表示される。
一方、前記作業半径と実荷重の相関分布の表示部の左側には、上から順番にクレーン作業記録と、過負荷防止装置記録と、情報発生状況と、通信状況と、位置情報と、風速の情報とが表示される。
前記クレーン作業記録には、クレーン100を稼動させた1日に行われたクレーン作業の実績が表示される。具体的には、このクレーン作業記録には、1日に行われた吊り作業回数と、過去から行われた累計の吊り作業回数と、1日のクレーン作業におけるモーメント時間と、過去からの累計のモーメント時間と、1日の吊り作業中における最大負荷率及び最大実荷重とが表示される。
前記過負荷防止装置記録には、クレーン100を稼動させた1日において過負荷防止装置124が作動した結果が表示される。この過負荷防止装置記録には、前記今回の1日における過負荷回数及び前記今回の1日における過巻き回数が表示される。なお、ここでは、ブーム106の過巻き回数も表示される。
前記情報発生状況には、安全情報やその他の情報が表示される。
前記通信状況には、対象となる1日に行われた通信装置20からのデータの送信回数が表示される。
前記位置情報には、クレーン100の存在する位置に関する情報が表示される。
前記風速の情報には、作業現場の平均風速値と最大風速値が表示される。
図14に示す帳票は、クレーン100の1週間の稼動状況の集計結果を示す週報である。この週報の上部には、前記日報の上部と同様の内容が表示される。その下には、1週間での各稼動時間の記録が表示される。これは、前記日報における1日の各稼動時間の記録と同様の項目について1週間の期間で集計した結果を示すものである。さらにその下には、1週間のエンジン109の稼動状況が表示される。この稼動状況表示欄には、前記1日のエンジン109の稼動状況が1週間分図示される。
エンジン109の稼動状況表示欄の下には、前記クレーン作業記録、前記過負荷防止装置記録、前記情報発生状況及び前記通信状況を1週間の期間で集計したものがそれぞれ表示される。そして、これらの表示のさらに下には、前記エンジン109の回転数分布図及び前記操作レバー118の操作間隔分布図を1週間の期間で集計したものが表示される。
図15に示す帳票は、クレーン100の任意の期間の稼動状況の集計結果を示す期間報である。この期間報の上部には、前記日報の上部と同様の内容が表示される。その下には、前記任意の期間に実施された無負荷の吊り作業と有負荷の吊り作業の時間割合を示す図と、前記任意の期間の各稼動時間の記録とが表示される。これらは、前記日報の対応する表示内容を前記任意の期間で集計して表示するものである。
さらに下には、過負荷防止装置124関係のデータが表示される。前記日報の過負荷防止装置記録と同様の項目について前記任意の期間で集計した回数が表示されるとともに、その回数の1日当たりの値が示される。
過負荷防止装置124関係のデータの下には、前記安全情報及び前記その他の情報の発生頻度が表示される。さらにその下には、前記任意の期間におけるクレーン100の稼動日数、通信回数、燃料消費量、作業時の燃費、エンジン109の起動回数等が表示される。
そして、さらに下には、前記任意の期間に行われた2つのクレーン作業の形態における各種データを比較表示する部分が設けられている。この部分の上部には、クレーン100の走行時間、旋回時間、操作時間、アイドリング時間、段取時間、各形態に費やされた総時間、最大実荷重、最大実荷重の平均値、各形態での稼動日数、吊り作業回数、モーメント時間、平均モーメント時間が数値で表示される。その下部には、各形態における前記任意の期間での作業半径と実荷重の相関分布図と、前記吊り作業の負荷率の分布図と、前記各フック108a,108bを吊るロープ115a,115bに掛かった負荷レベルの分布図と、前記ブーム106を吊るガイライン106bに掛かった負荷レベルの分布図とが比較表示される。
なお、上記したクレーン100の表示装置10に表示される図4〜図12の各画面の表示内容のデータは、各クレーン100の通信装置10から送信されてデータベースサーバ27に蓄積される。そして、離隔地端末24は、その表示内容のデータをデータベースサーバ27から取り込むことによって表示装置24に図4〜図12と同様の画面表示を行うことが可能となっている。また、離隔地端末24は、それら図4〜図12の内容を印刷表示することも可能となっている。
図16は、本発明の一実施形態によるクレーン100の運転評価装置の動作を説明するためのフローチャートである。次に、本実施形態によるクレーン100の運転評価装置の動作について図16を参照しながら説明する。
まず、オペレータにより電源のスイッチがオンされた後、認証装置22においてオペレータの認証が必要か否かの判断が行われる(ステップS1)。オペレータの認証が必要と判断された場合には、データ制御部12が表示装置10に「個人IDカードをセットしてください」というメッセージを表示させる(ステップS3)。その後、オペレータが認証装置22に個人IDカードをセットする(ステップS5)と、予め登録されているオペレータのIDのデータベースがデータベースサーバ27から通信装置20に読み込まれ、オペレータの個人IDが前記データベースの登録IDと照合される。そして、認証装置22においてオペレータの個人IDが前記登録IDに合致しているか否かの判断が行われる(ステップS7)。オペレータの個人IDが前記登録IDに合致していないと判断された場合には、エンジン109の起動が許可されない(ステップS9)。この場合には、エンジン109を起動させることができず、クレーン100の電源をオフにせざるを得なくなる。一方、オペレータの個人IDが前記登録IDに合致していると判断された場合には、エンジン109の起動が許可される(ステップS11)。
また、前記ステップS1において、オペレータの認証が必要ないと判断された場合には、データ制御部12が表示装置10に「エンジン起動できます」というメッセージを表示させる(ステップS13)。その後、前記ステップS11のエンジン109の起動許可が行われる。
次に、オペレータがエンジン109を起動させる(ステップS15)と、前記各作業指標を構成するための作業量データ及び前記安全指標を構成するための安全データがデータ制御部12の記憶部14に記録開始される(ステップS16)とともに、前記各燃費指を構成するための燃料消費データが駆動部コントローラ122に記録開始され(ステップS17)、さらに通信装置20においてデータベースサーバ27へ自社の他のオペレータのクレーン作業のデータ、同機種を運転した他のオペレータのクレーン作業のデータ、自己履歴のデータ、前回クレーン100を稼動させた1日における各種データ等の問い合わせが開始される(ステップS18)。
そして、オペレータにより通常のクレーン作業が行われ(ステップS19)、その後、オペレータによりエンジン109の停止操作が行われる(ステップS20)。このエンジン109の停止操作が行われた後には、表示装置10に最初に表示される画面として図4の効率評価画面が表示される(ステップS21)。
その後、データ制御部12において10秒以内に表示装置10の画面操作がないか否かの判断、すなわち表示装置10において画面を切り替えるための表示ボタン46〜51が10秒間押されていないか否かの判断が行われる(ステップS22)。ここで、10秒以内に画面操作がないと判断された場合には、データ制御部12の記憶部14に記録されたデータ及び駆動部コントローラ122に記録されたデータが通信装置20へ送信され(ステップS23)、その後、電源がオフされる(ステップS25)。
一方、前記ステップS22において、10秒以内に表示装置10の画面操作があったとデータ制御部12によって判断された場合には、認証装置22においてオペレータの認証が必要か否かの判断が行われる(ステップS27)。ここで、オペレータの認証が必要でないと判断された場合には、前記ステップS23及びステップS25の処理が行われる。一方、オペレータの認証が必要であると判断された場合には、データ制御部12において、表示装置10で押された表示ボタンは1日累積ボタン47であるか否かの判断が行われる(ステップS29)。
ここで、表示装置10において押された表示ボタンは1日累積ボタン47であると判断された場合には、表示装置10に図5の1日累積データ画面が表示され(ステップS31)、その後、前記ステップS21以降の処理が繰り返し行われる。
一方、前記ステップS29において、表示装置10で押された表示ボタンは1日累積ボタン47ではないと判断された場合には、次にデータ制御部12において、表示装置10で押された表示ボタンは自己履歴ボタン49であるか否かの判断が行われる(ステップS33)。ここで、表示装置10で押された表示ボタンは自己履歴ボタン49であると判断された場合には、表示装置10に図7の自己履歴の作業実績画面が表示される(ステップS35)。この後、前記ステップS21以降の処理が繰り返し行われる。
一方、前記ステップS33において、表示装置10で押された表示ボタンは自己履歴ボタン49ではないと判断された場合には、次にデータ制御部12において、表示装置10で押されたボタンは自社比較ボタン50であるか否かの判断が行われる(ステップS37)。ここで、表示装置10で押された表示ボタンは自社比較ボタン50であると判断された場合には、表示装置10に図11の自社内評価比較画面が表示される(ステップS39)。この後、前記ステップS21以降の処理が繰り返し行われる。
一方、前記ステップS37において、表示装置10で押された表示ボタンは自社比較ボタン50ではないと判断された場合には、次にデータ制御部12において、表示装置10で押された表示ボタンは同機種比較ボタン51であるか否かの判断が行われる(ステップS41)。ここで、表示装置10で押された表示ボタンは同機種比較ボタン51であると判断された場合には、表示装置10に図12の同機種評価比較画面が表示される(ステップS43)。この後、前記ステップS21以降の処理が繰り返し行われる。
一方、前記ステップS41において、表示装置10で押されたボタンは同機種比較ボタン51ではないと判断された場合には、前記ステップS22以降の処理が繰り返し行われる。
本実施形態によるクレーン100の運転評価装置の動作は、以上のようにして行われる。
以上説明したように、本実施形態では、エンジン109の停止操作後に、それまでの作業期間、すなわちエンジン109の直近の起動から前記停止操作による停止までの間に行われたクレーン作業の燃費効率を解析するための第1燃費指標及びそのクレーン作業の内容を解析するための第1作業指標が表示装置10に表示されるので、オペレータは、その表示内容に基づき自分が行ったクレーン作業の燃費効率及び作業効率を十分に検討することができる。これにより、オペレータに燃費効率及び作業効率の向上を促すことができ、クレーン作業の総体的なコスト削減を図ることができる。さらに、本実施形態では、第1燃費指標及び第1作業指標がエンジン109の停止操作後に表示装置10に表示されるため、オペレータはクレーン作業中にはその作業のみに集中することができる一方、エンジン109の停止操作後には表示装置10に表示された第1燃費指標及び第1作業指標の確認のみに集中することができる。このため、オペレータはクレーン作業の精度維持と自分が行った作業内容の検討の両方を十分に行うことができる。従って、本実施形態によれば、オペレータがクレーン作業の精度維持と作業内容の検討の両方を十分に行うことができるとともに、クレーン作業の総体的なコスト削減を図ることができる。
また、本実施形態では、第1燃費指標に前記今回の吊り作業回数当たり燃料消費量と、前記今回のモーメント時間当たり燃料消費量とが含まれる。このため、オペレータが、それら両燃料消費量の観点から自分の行ったクレーン作業の燃費効率を検討することができる。オペレータは、これら燃料消費量が少ないほど自分の行ったクレーン作業の燃費効率が良かったと判断することができる。
また、本実施形態では、第1作業指標に前記今回の単位時間当たり吊り作業回数と、前記今回の単位モーメント時間とが含まれる。このため、オペレータが、それらの値の観点から自分の行ったクレーン作業の作業効率を検討することができる。オペレータは、前記今回の単位時間当たり吊り作業回数が多いほど、効率的なクレーン作業を行ったと判断でき、前記今回の単位モーメント時間の値が大きいほど、多くのクレーン作業をこなしたと判断できる。
また、本実施形態では、エンジン109の停止操作後に当該エンジン109を稼動させた日におけるそのエンジン109の最初の起動から前記停止操作による停止までの間に行われたクレーン作業の燃費効率を解析するための第2燃費指標とそのクレーン作業の内容を解析するための第2作業指標とが表示装置10に表示されるので、オペレータが、表示された第2燃費指標及び第2作業指標に基づいて、その日の最初のクレーン作業から直前に停止した直近のクレーン作業までの燃費効率及び作業効率を総括して検討することができる。
また、本実施形態では、前記第2作業指標に、前記今回の1日の吊り作業回数と、今回の1日のモーメント時間と、今回の1日の累計操作時間と、前記今回の1日における操作間隔分布とが含まれる。このため、オペレータが、それらの指標の観点からその日に自分が行った最初のクレーン作業から直近のクレーン作業までの作業効率を検討することができる。
オペレータは、前記今回の1日の吊り作業回数が多いほど、自分が行った今回の1日のクレーン作業においてより多くの荷役作業を行ったと判断できる。また、オペレータは、前記今回の1日のモーメント時間が多いほど、自分が行った今回の1日のクレーン作業においてより多くの仕事量をこなしたと判断できる。また、オペレータは、前記今回の1日の累計操作時間が多いほど、自分が行った今回の1日のクレーン作業においてより多くのクレーン操作を行ったと判断できる。オペレータは、これら今回の1日における第2作業指標の各値を前回の1日における対応する各値と比較することによって、その第2作業指標の各値の多少を判断することができる。また、オペレータは、前記今回の1日における操作間隔分布から、自分が行った今回の1日のクレーン作業において操作レバー118を操作していない期間がいつどれだけあったかを把握することができる。
また、本実施形態では、前記第2燃費指標に、前記エンジン109を稼動させた日におけるそのエンジン109の最初の起動から前記停止操作による停止までの間のエンジン109の回転数分布が含まれる。このため、オペレータが、その日に自分が行った最初のクレーン作業から直近のクレーン作業までの燃費効率を前記エンジン109の回転数分布の観点から検討することができる。そして、この構成によれば、エンジン109の回転数分布が表示装置10に表示されるので、オペレータがその日に自分の行った最初のクレーン作業から直近のクレーン作業までの作業中にその作業量に見合ったエンジン109の制御を行ったかを一目で認識することができる。
また、本実施形態では、データ制御部12の演算部16が、エンジン109の回転数分布のうちフック108a,108bの巻上げ時と巻下げ時に該当する部分をそれぞれ抽出して統計処理し、その統計処理したデータを表示装置10に表示させるので、オペレータがフック108a,108bの巻上げ時に対して動力を要しないフック108a,108bの巻下げ時に無駄な燃料消費を行っていなかったかを容易に検討することができる。
また、本実施形態では、データ制御部12の演算部16が、前記今回の1日におけるエンジン回転数分布と、前記巻上げ時エンジン回転数分布と、前記巻下げ時エンジン回転数分布と、前記今回の1日における操作間隔分布と、前記今回の1日における作業半径と実荷重の相関分布とについて、それら各データの数値を複数の所定範囲ごとに集計し、それら各範囲ごとの集計結果を表示装置10において複数に分割されたマスごとに数値で表示させるとともにその数値の大小を色分けで表示させる。このため、前記各データの分布が数値とその大小が色分けされた表示とで認識可能となるので、オペレータが直感的にその各データの分布の傾向を把握しやすくなる。
また、本実施形態では、今回クレーン100を稼動させた1日の中での吊り作業回数、モーメント時間、瞬時燃料消費量及び積算燃料消費量の変化がそれぞれ時刻歴グラフとして表示装置10に表示されるので、オペレータがそれらのデータの時間推移を一目で把握することができる。このため、オペレータが、燃料消費が多い時間帯や燃料消費が少ない時間帯、又は、作業が行われていない無駄な時間を容易に見つけることができる。
また、本実施形態では、前記今回クレーン100を稼動させた1日の中での吊り作業回数、モーメント時間、瞬時燃料消費量及び積算燃料消費量の変化が同じ時刻歴グラフ上に表示されるので、オペレータがそれら各データの時間推移を相互に比較しやすくなる。このため、オペレータがその日最初のクレーン作業から直近のクレーン作業までの間にどの程度燃費効率と作業効率を両立させてクレーン作業を行っていたか、換言すればエンジン109の稼動に消費された燃料がどの程度有効にクレーン作業に置換されたかについて検討しやすくすることができる。
また、本実施形態では、エンジン109の起動前にクレーン100を運転するオペレータが予め登録されているオペレータであるかを認証するための認証装置22がクレーン100に設けられているので、認証装置22により、クレーン100を運転するオペレータが予め登録されたオペレータに相違ないかを確認することができる。さらに、本実施形態では、クレーン100を運転するオペレータが予め登録されたオペレータでない場合には、エンジン109の起動を許可しないので、クレーン100の盗難防止や、無許可の人間によるクレーン操作の禁止を図ることができる。
また、本実施形態では、認証装置22によって認証されたオペレータによる前記1日の累計の吊り作業回数、前記1日の累計のモーメント時間、前記吊り作業当たり燃料消費量、前記モーメント時間当たり燃料消費量、前記吊り作業回数時間効率及び前記モーメント時間時間効率の日ごとの履歴がトレンドグラフとして表示装置10に表示されるので、オペレータが自分の行ったクレーン作業についてそれら各データの日ごとの履歴をトレンドグラフで確認することができる。このため、オペレータが自分のクレーン作業の習熟度が向上しているかを容易に確認することができる。
また、本実施形態では、クレーン100の運転評価システムが、クレーン100に設けられた通信装置20と、クレーン100から離れた場所に設置された離隔地端末24とを備え、離隔地端末24は、通信装置20から送信された第2燃費指標及び第2作業指標のデータを表示する。このため、本実施形態のクレーン100の運転評価システムによれば、クレーン100から離れた場所において離隔地端末24により第2燃費指標及び第2作業指標のデータを確認することができ、管理者等が作業現場から離れた場所にいながらオペレータが行ったクレーン作業の燃費効率及び作業効率を把握することができる。
また、本実施形態では、複数のクレーン100の第2燃費指標及び第2作業指標のデータがその各クレーン100に設けられた通信装置20によってそれぞれ送信され、離隔地端末24は、各通信装置20から送信された各クレーン100ごとの第2燃費指標及び第2作業指標のデータを表示する。このため、管理者等が作業現場から離れた場所にいながら複数のクレーン100のそれぞれによって行われたクレーン作業の燃費効率及び作業効率を把握することができる。
また、本実施形態では、アプリケーションサーバ28に記憶されたアプリケーションによってクレーン100の通信装置20から送信された第2燃費指標及び第2作業指標のデータがその通信装置20から送信されたオペレータの情報に基づいてそのオペレータ別に統計処理されるとともに、その統計処理されたデータが離隔地端末24に帳票として表示されるので、管理者等が作業現場から離れた場所において各オペレータ別にその各オペレータが行ったクレーン作業の燃費効率及び作業効率を把握することができる。
また、本実施形態では、データ制御部12が、認証装置22により認証されたオペレータが行ったクレーン作業の前記今回の1日における吊り作業当たり燃料消費量、前記今回の1日におけるモーメント時間当たり燃料消費量、前記今回の1日における単位時間当たり吊り作業回数及び前記今回の1日における単位モーメント時間の各データと、データベースサーバ27から読み出した他のオペレータの対応する前記各データとを比較した形態で表示装置10に表示させるので、オペレータが自分の行ったクレーン作業の燃費効率及び作業効率が他のオペレータが行ったクレーン作業の燃費効率及び作業効率と比較してどのようなレベルにあるかを把握することができる。
この表示装置10での比較表示が自社内の各オペレータ間での比較の場合には、自社の各オペレータのクレーン作業において優れている所を定量評価することができ、自社のオペレータ全体でクレーン作業のレベルアップを図ることができる。
また、本実施形態では、離隔地端末24が、認証装置22によって認証されたオペレータによる前記安全指標を所定期間ごとに統計処理するので、オペレータもしくは管理者等が離隔地端末24によって統計処理された安全指標のデータを確認することにより、オペレータの行なったクレーン作業が燃費効率及び作業効率を求めるばかりでなく、安全運転も伴っているかを検討することができる。
また、本実施形態では、離隔地端末24が、クレーン100の運転を許可するオペレータの情報を送信して認証装置22でのオペレータの認証に用いられるデータベースサーバ27に予め登録されたオペレータの情報を更新させるので、管理者等が作業現場に赴くことなく離れた場所からクレーンの運転を許可するオペレータの情報の更新を行うことができ、管理者等の利便性を向上することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、本発明による運転評価装置及び運転評価システムは、ブームの先端にジブが接続されたアタッチメントを起伏部材として用いるラッフィングタイプのクレーンや、車輪によって走行するホイールタイプのクレーン、又は設置式のクレーン等にも適用可能である。
また、上記実施形態では、各指標のうち数値分布を表すものについてその数値の大小の程度を色分けで表示したが、これに限らず、その数値の大小を立体3Dグラフによって表示してもよい。
また、操作レバー118の操作信号に基づく操作間隔及び操作時間の演算や、エンジン109の回転数のデータに基づくエンジン回転数分布の演算をデータ制御部12の演算部16の代わりに駆動部コントローラ122で行ってもよい。この場合に、通信装置20を駆動部コントローラ122と接続、通信するように構成し、駆動部コントローラ122で求められた各燃費指標及び各作業指標を通信装置20から送信する一方、サーバ26〜28からのデータを通信装置20で受信して駆動部コントローラ122に送るようにしてもよい。なお、この場合には、駆動部コントローラ122が本発明のデータ制御部の概念に含まれるものとなる。
また、前記各燃費指標として、アクセル120の踏み込み量の分布、すなわちエンジン109における燃料噴射量の指示量の分布が含まれていてもよい。
また、オペレータがエンジン109の停止操作を行った後、オペレータもしくはその他の人間が表示装置10に画面表示をさせるための操作を行うことに応じてデータ制御部12が表示装置10に前記第1燃費指標及び前記第1作業指標を表示させるようになっていてもよい。また、この際、同時に前記第2燃費指標及び前記第2作業指標が表示装置10に表示されるようになっていてもよい。