JP5377058B2 - ハードディスク用基板用の洗浄剤組成物 - Google Patents

ハードディスク用基板用の洗浄剤組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ハードディスク用基板用の洗浄剤組成物、このハードディスク用基板用の洗浄剤組成物を用いたハードディスク用基板の製造方法に関する。
HD(ハードディスク)用基板の製造過程では、被研磨基板に対して行われる最後の研磨の際、通常、シリカ微粒子等の無機微粒子を研磨材(研磨微粒子)として含む研磨液組成物が用いられる。また、HD用基板の製造過程では、被研磨基板の研磨後に洗浄効率を上げるため、研磨後の基板を水で濯ぐ工程がある。この水との接触により研磨後基板に残留している無機微粒子、特に、シリカ微粒子が凝集し、その後の洗浄工程での無機微粒子の除去を困難にしている。
特許文献1には、半導体基板の製造過程において、研磨後の基板を純水で洗浄すると無機微粒子が凝集するため、研磨直後の研磨後基板には純水を接触させず、特定のアミン系洗浄剤で洗浄する洗浄方法が開示されている。
特許文献2には、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位との割合(モル比)が91/9〜95/5であり、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位の全構成単位中に占める割合の合計が90モル%以上の共重合化合物又はその塩を含む洗浄剤組成物が開示されている。特許文献2には、微粒子をより効果的に除去する観点から、洗浄剤組成物がアルカリ性であると好ましく、例えば、アミノアルコール等のアルカリ剤を含んでいると好ましい旨記載されている。
特許文献3には、N,N―ビス(サリチリデン)1,2−エタンジアミン等の芳香環を有する特定のキレート剤とアルカリ成分とを含有する、シリコンウエハの洗浄またはエッチングに用いられるアルカリ性水溶液組成物が開示されている。
特開平11−191544号公報 特開2007−291328号公報 特開2008−305900号公報
HDの急速な高密度化の流れにより、HD用基板に要求される清浄度が高くなっており、わずかな無機微粒子の残留でもHD用基板の品質や歩留まりを下げる原因となっている。また、生産効率を上げるために洗浄時間を短くする傾向にあり、洗浄剤組成物にはさらに優れた洗浄性が求められている。より高密度なハードディスクに用いられる基板において、研磨直後の研磨後基板が、水で濯がれ、次いで洗浄剤組成物を用いた洗浄がされる場合に、これまでの洗浄剤組成物では充分な洗浄性が得られない場合があった。
また、優れた洗浄性を呈することのみならず、洗浄設備等への汚染の少ない、即ち、泡立ちの少ない(即ち、優れた耐泡立ち性を呈する)洗浄剤組成物が望まれている。しかし、洗浄性および耐泡立ち性が優れ、短時間の洗浄でも高度に清浄化されたHD用基板を得ることを可能とする洗浄剤組成物はいまだ得られていない。
本発明は、被研磨基板を、シリカ微粒子を含有する研磨液組成物で研磨した後、水で濯いで得られる被洗浄基板に対して好適に用いられ、優れた洗浄性、および耐泡立ち性を呈し、短時間の洗浄でも高度に清浄化された基板を得るHD用基板用の洗浄剤組成物、およびそれを用いた清浄度の高いHD用基板の製造方法を提供する。
本発明のHD用基板用の洗浄剤組成物は、
アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位との割合(モル比)が91/9〜95/5であり、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位の全構成単位中に占める割合の合計が90モル%以上の共重合化合物および/又はその塩(成分(A))と、
ポリアミン(成分(B))と、
水(成分(C))と、を含有し、
実質的に非イオン性界面活性剤を含有せず、
前記成分(C)以外の成分の重量の総和における前記成分(B)の含有量は30〜95重量%であり、
前記成分(A)と前記成分(B)の重量比{成分(A)/成分(B)}が0.04〜0.8である、
Ni−P含有層を有するハードディスク用基板用洗浄剤組成物である。
本発明のHD用基板の製造方法は、被研磨基板を、シリカ微粒子を含有する研磨液組成物で研磨した後、水で濯いで、被洗浄基板を得る工程と、前記被洗浄基板を本発明の洗浄剤組成物を用いて洗浄する工程とを含む。
本発明によれば、被研磨基板を、シリカ微粒子を含有する研磨液組成物で研磨した後、水で濯いで得られる被洗浄基板に対して好適に用いられ、優れた洗浄性、および耐泡立ち性を呈し、短時間の洗浄でも高度に清浄化された基板を得ることができるHD用基板用の洗浄剤組成物、およびそれを用いたHD用基板の製造方法を提供できる。
本発明者らは、特定の共重合化合物および/又はその塩(成分(A))と、ポリアミン(成分(B))と、水(成分(C))とを含有し、ポリアミン(成分(B))の含有量を所定量とし、かつ、重量比{成分(A)/成分(B)}を所定の値とすることにより、実質的に非イオン性界面活性剤が含まれていなくても、被洗浄基板表面の汚れを効果的に除去できることを見出した。そのメカニズムについては明らかではないが、出願人は下記の通りであると推定している。但し、本発明はこのメカニズムに限定されない。
本発明のHD用基板用の洗浄剤組成物(以下、「本発明の洗浄剤組成物」と略する場合もある。)には、所定の含有量のポリアミン(成分(B))が含まれているので、被洗浄基板表面に含まれるNiを積極的に腐食(エッチング)させることができ、前記エッチングにともない、被洗浄基板表面に付着した汚れ(主として、研磨屑や研磨剤組成物中のシリカ微粒子等を含む。)を当該被洗浄基板から浮き上がらせることができる。また、本発明の洗浄剤組成物では、ポリアミン(成分(B))が後述するNiイオンと錯体を形成するので、被洗浄基板表面に付着したNiイオンが水酸化ニッケルとなって析出することも抑制できる。
Ni−P層を含む被研磨基板の研磨は、酸性下で行われるため、被研磨基板からNiが溶出する。研磨後の被研磨基板に対してアルカリ性の洗浄剤組成物を用いた洗浄が行われると、研磨後の被研磨基板に付着したNiイオンが水酸化ニッケルとして析出する。また、Ni−Pの研磨くずが酸化され、酸化ニッケルとして研磨後の被研磨基板上に残留する。この酸化ニッケル、および水酸化ニッケルが、HD用基板用の歩留まりの向上および、生産時間の短縮化の妨げとなっていると考えられる。
本発明の洗浄剤組成物には、特定の共重合化合物および/又はその塩(成分(A))とポリアミン(成分(B))との重量比{成分(A)/成分(B)}が0.04〜0.8となるように、特定の共重合化合物および/又はその塩(成分(A))が含まれているので、被洗浄基板から前記浮き上がった汚れや被洗浄基板上に残留した酸化ニッケルを特定の共重合化合物および/又はその塩(成分(A))によって、本発明の洗浄剤組成物中に分散させることができる。故に、汚れ等に含まれる無機微粒子、特にシリカ微粒子の凝集を抑制でき、かつ、浮き上がった汚れ等の被洗浄基板表面への再付着も防止できる。
従って、本発明の洗浄剤組成物は、ポリアミン(成分(B))による積極的なエッチングと、Niイオンの捕捉と、特定の共重合化合物および/又はその塩(成分(A))による前記浮き上がった汚れ等の分散および再付着防止とにより短時間の洗浄でも高い洗浄性を呈する。
なお、精密洗浄においては、洗浄剤組成物の1成分として、油汚れを落とすのに適しているとされる非イオン性界面活性剤が用いられることが多い。しかし、HD用基板の製造過程において、被洗浄基板に主として付着する汚れはシリカ微粒子を含む無機汚れであり、被洗浄基板に付着する油汚れは多くない。
前記のとおり、本発明の洗浄剤組成物を用いた洗浄では、ポリアミン(成分(B))により、被洗浄基板表面に含まれるNiが比較的多量にエッチングされるので、非イオン性界面活性剤を実質的に含まなくても、シリカ微粒子以外の汚れ(油汚れ等の有機汚れを含む。)の除去もできる。むしろ、本発明の洗浄剤組成物は、非イオン性界面活性剤を実質的に含まないことにより優れた耐泡立ち性を呈するので、すすぎ性が良好である。よって、本発明の洗浄剤組成物を用いれば、洗浄時間の短縮が可能であり、本発明の洗浄剤組成物は、HD用基板の生産性の向上にも寄与する。
このように、本発明の洗浄剤組成物は、優れた洗浄性、および耐泡立ち性を呈するので、本発明の洗浄剤組成物を用いてHD用基板を製造すれば、洗浄設備等の汚染の低減、および生産性の向上を可能としながら、清浄度の高いHD用基板の製造が可能となる。なお、金属配線等を有するエレクトロニクス部品の洗浄では、配線を断線させるため、金属の腐食を伴わないように行うのが通常である。
本発明の洗浄剤組成物は、少なくとも、特定の共重合化合物及び/又はその塩(成分(A))と、ポリアミン(成分(B))と、水(成分(C))とを配合してなる洗浄剤組成物である。
本発明の洗浄剤組成物は、実質的に非イオン性界面活性剤を含まないが、すすぎ性をより向上させることにより洗浄性を向上させ、かつ、耐泡立ち性をより良くする観点から、非イオン性界面活性剤を全く含まないとより好ましい。なお、「実質的に非イオン性界面活性剤を含まない」とは、非イオン性界面活性剤の含有量が0.01重量%以下であることを意味するが、非イオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.005重量%以下であり、より好ましくは0.001重量%以下であり、さらに好ましくは0重量%である。
次に、本発明の洗浄剤組成物に含まれる各成分について詳述する。
<成分(A):特定の共重合化合物及び/又はその塩>
本発明の洗浄剤組成物に含まれる特定の共重合化合物および/またはその塩(成分(A))は、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位との割合(モル比)が91/9〜95/5であり、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位の全構成単位中に占める割合の合計が90モル%以上の共重合化合物および/またはその塩である。成分(A)は、エッチングにより浮き上がった汚れ等を、本発明の洗浄剤組成物中に分散させ、および、汚れ等に含まれるシリカ微粒子を含む無機微粒子の凝集を抑制する働きをしているものと考えられる。
成分(A)における、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位との割合(モル比)は、シリカ微粒子を含む無機微粒子の凝集防止と成分(A)の水溶性低下による前記無機微粒子の除去性の低下防止とを両立する観点から、91/9〜95/5であるが、同様の観点から、好ましくは91/9〜93/7である。
成分(A)における、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位の全構成単位中に占める割合の合計は、洗浄性を高める観点から90モル%以上であるが、同様の観点から、好ましくは95モル%以上であり、より好ましくは実質100モル%である。
成分(A)が共重合化合物の塩である場合、無機微粒子の凝集を防止して、洗浄性を高める観点から、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、または分子量300以下の含窒素系化合物による塩が好ましい。分子量300以下の含窒素系化合物としては、例えば、アンモニア、アルキルアミン又はポリアルキルポリアミンにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が付加されたモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、メチルプロパノールアミン、モノブタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン等のアミノアルコール類;テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン等の四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらのなかでも、無機微粒子の凝集をより防止して、洗浄性を高める観点から、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩がさらに好ましい。
成分(A)の共重合体の重量平均分子量は、シリカ微粒子を含む無機微粒子の凝集防止と、成分(A)の水溶性の低下によるシリカ微粒子を含む無機微粒子の除去性の低下防止とを両立する観点から、1,000〜100,000であると好ましく、より好ましくは1,000〜50,000であり、さらに好ましくは5,000〜30,000である。成分(A)の重量平均分子量は、下記のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求めることができる。
(GPC条件)
カラム:G4000PWXL+G2500PWXL(東ソ−社製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファ−/CH3CN=9/1(容量比)
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出:RI
サンプルサイズ:0.2mg/mL
標準物質:ポリエチレングリコール
(重量平均分子量:194,400,600,1000,1500,4000,7000,10000,13000,20000;ジーエルサイエンス社製)
成分(A)は、例えば、水系媒体中で、重合開始剤および連鎖移動剤の存在下で、アクリル酸と、2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とを、公知の重合方法により共重合させ、必要に応じて得られた重合体をアルカリで中和することにより得られる。
重合開始剤としては、2,2'−アゾビスイソブチルニトリル、2,2'−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二硫酸塩二水和物、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、過硫酸ナトリウム、またはNaHSO3等が、連鎖移動剤としては、イソプロピルアルコール、またはNaHSO3等が挙げられる。
成分(A)の重量平均分子量は、一般的には連鎖移動剤の投入量によって制御される。連鎖移動剤が多いほど重量平均分子量は小さくなり、連鎖移動剤が少ないほど重量平均分子量は大きくなる。
成分(A)は、シリカ微粒子を含む無機微粒子の凝集を防止して、洗浄性を向上させる観点から、前記特定の共重合化合物の塩が好ましい。前記特定の共重合化合物のナトリウム塩の水溶液の市販品の例として、(アクリル酸/2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合化合物(92/8(モル比)、重量平均分子量12,000)のナトリウム塩の40重量%水溶液)等が挙げられる。
シリカ微粒子を含む無機微粒子の凝集を防止して洗浄性を向上させる観点から、前記成分(C)以外の成分の重量の総和における、本発明の洗浄剤組成物に含まれる成分(A)の含有量は、好ましくは5〜50重量%であり、より好ましくは15〜25重量%であり、さらに好ましくは15〜18重量%である。
なお、本発明において「前記水(成分(C))以外の成分」は、成分(A)および成分(B)のみからなる場合もあるし、任意成分として、キレート剤(成分(D))、アルカリ金属水酸化物(成分(E))、アルコール、防腐剤、および、酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含む場合もある。その場合、本発明の洗浄剤組成物は、キレート剤(成分(D))、アルカリ金属水酸化物(成分(E))、アルコール、防腐剤、および、酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種と、成分(A)と、成分(B)と、成分(C)とを配合してなる。
<成分(B):ポリアミン>
本発明の洗浄剤組成物に含まれるポリアミンは、アミノ基またはイミノ基を2つ以上有する脂肪族化合物である。ポリアミンは、被洗浄基板表面をエッチングして、被洗浄基板表面に付着した汚れを、当該被洗浄基板上から浮き上がらせ、かつ、被洗浄基板表面に付着したNiイオンが水酸化ニッケルとなって析出することを抑制する働きをしているものと考えられる。ポリアミンとしては、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ネオペンタンジアミン、3−メチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、N−(β―アミノエチル)エタノールアミン、アミノエチルイソプロパノールアミン等が挙げられるが、洗浄性を向上させる観点から、N−(β―アミノエチル)エタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンが好ましく、より好ましくはジエチレントリアミン、N−(β―アミノエチル)エタノールアミンであり、さらに好ましくはN−(β―アミノエチル)エタノールアミンである。
エッチング性能を向上させ、水酸化ニッケルの析出を効果的に抑制することにより洗浄性を向上させる観点から、本発明の洗浄剤組成物に含まれる前記水(成分(C))以外の成分の重量の総和における、成分(B)の含有量は30〜95重量%であるが、同様の観点から、好ましくは35〜65重量%であり、より好ましくは38〜43重量%である。
例えば、「前記水(成分(C))以外の成分」が、成分(A)と成分(B)とからなる場合、成分(A)および成分(B)の重量の総和における成分(B)の含有量は、30〜95重量%であるが、好ましくは35〜65重量%であり、より好ましくは38〜43重量%である。例えば、「前記水(成分(C))以外の成分」が、成分(D)および成分(E)のうちの少なくとも1種と、成分(A)と、成分(B)とからなる場合、成分(D)および成分(E)のうちの少なくとも1種と成分(A)と成分(B)の重量の総和における成分(B)の含有量は、30〜95重量%であるが、好ましくは35〜65重量%であり、より好ましくは38〜43重量%である。例えば、「前記水(成分(C))以外の成分」が、成分(D)と、成分(E)と、成分(A)と、および成分(B)とからなる場合、成分(D)と成分(E)と成分(A)と成分(B)との重量の総和における成分(B)の含有量は、30〜95重量%であるが、好ましくは35〜65重量%であり、より好ましくは38〜43重量%である。例えば、「前記水(成分(C))以外の成分」が、アルコール、防腐剤および酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種と、成分(A)と、成分(B)と、成分(D)と、成分(E)とからなる場合、アルコール、防腐剤および酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種と、成分(A)と、成分(B)と、成分(D)と、成分(E)の重量の総和における成分(B)の含有量は、30〜95重量%であるが、好ましくは35〜65重量%であり、より好ましくは38〜43重量%である。
本発明の洗浄剤組成物における、成分(A)と成分(B)の重量比{成分(A)/成分(B)}は、エッチング性能を向上させ、水酸化ニッケルの析出を効果的に抑制することにより洗浄性を向上させる観点から、0.04〜0.8であるが、同様の観点から、好ましくは0.08〜0.7であり、より好ましくは0.08〜0.5である。
<成分(C):水>
本発明の洗浄剤組成物に含まれる水は、溶媒としての役割を果たすことができるものであれば特に制限はない。例えば、超純水、純水、イオン交換水、または蒸留水等を挙げることができるが、超純水、純水、またはイオン交換水が好ましく、超純水がより好ましい。なお、純水及び超純水は、例えば、水道水を活性炭に通し、イオン交換処理し、さらに蒸留したものを、必要に応じて所定の紫外線殺菌灯を照射、又はフィルターに通すことにより得ることができる。本発明では、25℃での電気伝導率は、純水で1μS/cm以下であり、超純水で0.1μS/cm以下を示すものである。
本発明の洗浄剤組成物の態様には、水の含有量が50重量%以上98重量%以下である態様1と、水の含有量が98重量%を超える態様2とが含まれる。態様1では、洗浄剤組成物中の水の含有量(含有率)が比較的少ないので、運搬時、保管時の態様として好適である。態様2の洗浄剤組成物は、例えば、態様1の洗浄剤組成物を希釈することによって得られるが、態様1の状態を経ることなく、水(成分(C))の含有量が98重量%を超えるように、水(成分(C))と残余の成分とを混合して得ることもできるし、洗浄剤組成物の各成分を含む水溶液を混合して得ることもできる。
<任意成分>
本発明の洗浄剤組成物には、成分(A)、(B)、(C)以外に、キレート剤(成分(D))、アルカリ金属水酸化物(成分(E))、アルコール、防腐剤、酸化防止剤等が含まれていてもよい。例えば、アルコールとしては、エタノール、プロパノール等が挙げられ、防腐剤としては、1,2-ベンジソチアゾリン−3−オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン等が挙げられ、酸化防止剤としてはアスコルビン酸、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
(成分(D):キレート剤)
本発明の洗浄剤組成物には、Niイオンを捕らえて被洗浄基板へのNiの析出をさらに抑制することにより、洗浄性をより向上させる観点から、キレート剤(成分(D))が含まれていると好ましい。キレート剤(成分(D))としては、グルコン酸、グルコヘプトン酸などのアルドン酸類;エチレンジアミン四酢酸などのアミノカルボン酸類;クエン酸、リンゴ酸などのヒドロキシカルボン酸類;アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸などのホスホン酸類;およびこれらのアルカリ金属塩、低級アミン塩、アンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、被洗浄基板へのNiの析出を効果的に抑制する観点から、グルコン酸ナトリウム、グルコヘプトン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、または1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等のホスホン酸類が好ましく、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等のホスホン酸類がより好ましい。これらのキレート剤は、単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
Niイオンを捕らえて被洗浄基板へのNiの析出を抑制することにより、洗浄性をより向上させる観点から、前記成分(C)以外の成分の重量の総和における、キレート剤(成分(D))の含有量は、好ましくは5〜40重量%であり、より好ましくは8〜25重量%であり、さらに好ましくは8〜13重量%である。
ポリアミン(成分(B))とキレート剤(成分(D))との重量比{成分(B)/成分(D)}は、エッチングによる被洗浄基板に付着した無機微粒子および無機微粒子以外の汚れの除去性を向上させ、および、Niの析出を抑制することにより、洗浄性をより向上させる観点から、好ましくは1〜10であり、より好ましくは2〜5であり、更に好ましくは3〜5である。
(成分(E):アルカリ金属水酸化物)
本発明の洗浄剤組成物には、被洗浄基板表面に付着したシリカ微粒子を溶解することにより、洗浄性をより向上させる観点から、アルカリ金属水酸化物(成分(E))が含まれていると好ましい。アルカリ金属水酸化物としては、洗浄性向上の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が好ましいが、洗浄剤組成物の長期保管安定性を確保する観点から、水酸化カリウムがより好ましい。
(洗浄剤組成物のpH)
本発明の洗浄剤組成物は、被洗浄基板表面に付着したシリカ微粒子を溶解することにより、洗浄性をより向上させる観点から、25℃におけるそのpHが9〜14であると好ましく、より好ましくは11〜14であり、さらに好ましく12〜14である。pHの前記範囲内の値への調製には、アルカリ金属水酸化物(成分(E))を用いると好ましい。なお、pHは、pHメータ(東亜電波工業社製、HM−30G)を用いて測定できる。
シリカ微粒子の溶解による洗浄性の向上と洗浄剤組成物の長期保管安定性の確保とを両立させる観点から、前記成分(C)以外の成分の重量の総和における、アルカリ金属水酸化物の含有量は、好ましくは5〜40重量%であり、より好ましくは10〜37重量%であり、さらに好ましくは20〜34重量%である。
アルカリ金属水酸化物(成分(E))とポリアミン(成分(B))との重量比{成分(E)/成分(B)}は、エッチング性能を向上させること、および、水酸化ニッケルの析出をより効果的に抑制することにより、洗浄性をより向上させる観点、および、シリカ微粒子の溶解による洗浄性の向上と洗浄剤組成物の長期保管安定性の確保とを両立させる観点から、好ましくは0.1〜3であり、より好ましくは0.2〜0.9であり、更に好ましくは0.5〜0.8である。
本発明の洗浄剤組成物には、シリカ微粒子の溶解と、Niイオンの捕捉とにより、洗浄性をさらに向上させる観点から、成分(D)および成分(E)が含まれていると好ましい。
(洗浄剤組成物の調製方法)
本発明の洗浄剤組成物の調製方法は、何ら制限されないが、例えば、成分(A)、成分(B)、および必要に応じて任意成分を、水(成分(C))に添加して混合する方法が挙げられる。各成分を水(成分(C))に添加する順序等については特に制限はない。混合方法も公知の方法を採用すればよいが、攪拌中の水に各成分が添加されることが好ましい。各成分を水に添加する時の、水の温度は20〜50℃が好ましい。攪拌モーターの回転数は、通常、周速0.1m/s〜0.65m/sが好ましい。水以外の全成分を水に添加した後の攪拌時間は、通常、0.5〜2時間が好ましい。
(HD用基板の製造方法)
本発明のHD用基板の製造方法は、被研磨基板を、シリカ微粒子を含む研磨材(研磨微粒子)を含有する研磨液組成物を用いて研磨した後、水で濯いで、被洗浄基板を得る工程と、この工程後に被洗浄基板を本発明の洗浄剤組成物で洗浄する工程とを含む。
HD用基板としては、例えば、アルミニウム基板等の金属基板上にNi−P層が形成された円形基板等が挙げられる。これらのHD用基板上に、スパッタ等の方法により、磁性層が形成されることによって、HDが得られる。前記磁性層を構成する金属材料としては、例えば、クロム、タンタル、または白金等とコバルトとの合金であるコバルト合金等が挙げられる。
HD用基板の製造過程には、HD用基板の少なくとも一方の主面の表面平滑性を向上させるために、例えば、シリカ微粒子を含む無機微粒子からなる研磨材と、この研磨材の分散溶媒(例えば水)とを含む研磨液組成物を用いて、被研磨基板の少なくとも一方の主面を研磨する研磨工程が含まれる。この研磨工程を経た被研磨基板(研磨後基板)の研磨面には、研磨液組成物由来の汚れ(シリカ微粒子等の無機微粒子、有機物など)や装置や研磨パッドなどの設備由来の金属イオンや有機物等が付着している。本発明の洗浄剤組成物は、これらの汚れに対して優れた洗浄性を呈するので、本発明のHD用基板の製造方法によれば、清浄度の高いHD用基板を製造できる。
被研磨基板の研磨は、例えば、研磨対象物と研磨パッドとの間に、前記研磨液組成物を供給し、被研磨基板と研磨パッドとが接した状態で、被研磨基板に所定の圧力(荷重)をかけながら、研磨パッドを被研磨基板に対して相対運動させることにより行える。なお、前記研磨は、従来公知の研磨装置により行うことができる。
研磨液組成物は、そのまま使用してもよいし、濃縮液であれば希釈して使用すればよい。濃縮液を希釈する場合、その希釈倍率は、特に制限されず、濃縮液における各成分の濃度(研磨材の含有量等)や研磨条件等に応じて適宜決定できる。
研磨パッドは、特に制限されず、従来公知のものが使用できる。研磨パッドの材質としては、有機高分子等が挙げられ、有機高分子としては、ポリウレタン等が挙げられる。研磨パッドの形状は、不織布状が好ましい。
研磨荷重は、研磨時に被研磨基板の研磨面に加えられる定盤の圧力を意味する。本発明の製造方法における研磨荷重は、ロールオフを効果的に抑制しながら生産性を向上させるために、3〜50kPaが好ましく、より好ましくは5〜40kPa、さらに好ましくは7〜30kPaである。研磨荷重の調整は、定盤や被研磨基板等への空気圧や重りの負荷によって行うことができる。
研磨液組成物の供給速度は、コスト低減と研磨速度の向上との両立の観点から、被研磨基板1cm2あたり0.01〜0.25mL/minが好ましく、より好ましくは0.025〜0.2mL/min、さらに好ましくは0.05〜0.15mL/minである。
研磨後基板に対する水を用いた濯ぎ方法は、例えば、研磨装置を用い前記研磨液組成物に代えて水を供給する方法、超音波洗浄装置の水浴槽内で接触させる方法、水をスプレー状に射出して接触させる方法(シャワー方式)などが挙げられるが、なかでも、pHが低い研磨液組成物と研磨後基板とが長時間接触することにより生じる研磨後基板の過剰エッチングを防ぐ観点から、研磨装置を用い前記研磨液組成物に代えて水を供給する方法が好ましい。
濯ぎに用いられる水は、不要な不純物を研磨後基板に付着させないという理由から、超純水または純水のうちの少なくとも1種の水であると好ましい。
水を用いた濯ぎ方法が、例えば、研磨装置を用い前記研磨液組成物に代えて水を供給する方法である場合、前記研磨パッドにより研磨後基板に所定の圧力(荷重)をかけ、かつ、研磨パッドを前記研磨後基板に対して相対運動させながら、水を供給すると、余分な研磨液組成物を効率的に除去でき、好ましい。
濯ぎに用いられる水の量は、研磨液組成物由来の酸をできるだけ除去し、かつ、過度の研磨後基板の腐食を抑制するという理由から、研磨後基板の単位面積当たり、好ましくは20〜80mL/cm2、より好ましくは25〜80mL/cm2、さらに好ましくは30〜80mL/cm2である。
研磨液組成物による研磨後、水で濯がれることにより得られた被洗浄基板を本発明の洗浄剤組成物で洗浄する工程では、例えば、(a)被洗浄基板(洗浄対象)を洗浄剤組成物に浸漬するか、および/または、(b)洗浄剤組成物を射出して、被洗浄基板の洗浄対象の表面上に洗浄剤組成物が供給される。
前記方法(a)における、被洗浄基板の洗浄剤組成物への浸漬条件としては、特に制限はないが、例えば、洗浄剤組成物の温度は、高い安全性の確保の観点と、洗浄時間を短くする観点とから、20〜100℃であると好ましく、浸漬時間は、高い洗浄性の確保の観点と、洗浄時間を短くする観点とから、10秒〜30分間であると好ましい。また、シリカ微粒子を含む無機微粒子の除去性およびシリカ微粒子を含む無機微粒子の分散性を高める観点から、洗浄剤組成物には超音波振動が付与されていると好ましい。超音波の周波数としては、好ましくは20〜2000kHzであり、より好ましくは100〜2000kHzであり、さらに好ましくは1000〜2000kHzである。
前記方法(b)では、シリカ微粒子を含む無機微粒子の洗浄性や油分の溶解性を促進させる観点から、超音波振動が与えられている洗浄剤組成物を射出して、洗浄対象の表面に洗浄剤組成物を接触させて洗浄するか、又は、洗浄剤組成物を洗浄対象の表面上に射出により供給し、洗浄剤組成物が供給された表面を洗浄用ブラシでこすることにより洗浄すると好ましい。さらには、超音波振動が与えられている洗浄剤組成物を射出により前記表面に供給し、かつ、洗浄剤組成物が供給された表面を洗浄用ブラシでこすることにより洗浄すると好ましい。
洗浄剤組成物を洗浄対象の表面に供給する手段としては、スプレ−ノズル等の公知の手段を用いることができる。また、洗浄用ブラシとしては、特に制限はなく、例えばナイロンブラシやPVAスポンジブラシ等の公知のものを使用することができる。超音波の周波数としては、方法(a)で採用される周波数と同様であればよい。
前記洗浄は、前記方法(a)及び/又は前記方法(b)に加えて、揺動洗浄、スピンナー等の回転を利用した洗浄、およびパドル洗浄等の、公知の洗浄方法のうちの少なくとも1つの方法で行ってもよい。
前記被洗浄基板の洗浄工程では、洗浄対象である被洗浄基板を一枚ずつ洗浄してもよいが、複数枚の被洗浄基板を一度にまとめて洗浄してもよい。また、洗浄の際に用いる洗浄槽の数は1つでも複数でも良い。
表1および表2に記載の組成となるように各成分を配合及び混合することにより、実施例1〜8及び比較例1〜11の洗浄剤組成物(態様1の洗浄剤組成物)を得た。
得られた洗浄剤組成物を使用して以下の試験(1)〜(6)を行った。また、各洗浄剤組成物(態様1の洗浄剤組成物)を水で100倍に希釈して得た希釈液(態様2の洗浄剤組成物)のpHをpHメーター(東亜電波工業社製、HM-30G)を用いて測定し、その結果を表1および表2に示した。
(1)ゼータ電位測定試験
水100gに酸化ニッケル粉末(シグマアルドリッチ社製、Nanopowder、純度99.8%)1gを添加して、酸化ニッケル分散液を調製した。次に、前記各洗浄剤組成物(態様1の洗浄剤組成物)を水で100倍に希釈して得た希釈液(態様2の洗浄剤組成物)50gに、あらかじめ調製した前記酸化ニッケル分散液0.1gを添加し、24時間静置し、測定サンプルとした。測定サンプルをゼータ電位測定装置(日本ルフト社製、型番:Model 502)に15ml注入し、50mVの電圧で測定を行った。ゼータ電位を3回測定し、その平均値を後述の評価基準に従って評価して、その結果を表1および表2に示した。
なお、Ni−P層を有する被研磨基板を研磨すると、Ni−Pを含む研磨屑が出るが、この研磨屑に含まれるNi−Pは、自然酸化により、または研磨液組成物中の酸化剤により酸化されて酸化ニッケルとなる。ゼータ電位が高いと、酸化ニッケル同士の反発が強くなる。すなわち、ゼータ電位が高いほど、酸化ニッケル粒子の分散性が高いことを意味し、この試験により、洗浄剤組成物における、酸化ニッケル粒子の分散性を評価できる。
(ゼータ電位の評価基準)
A:60mV以上
B:40mV以上60mV未満
C:40mV未満
(2)エッチング量測定試験
前記各洗浄剤組成物(態様1の洗浄剤組成物)を水で100倍に希釈して得た希釈液(態様2の洗浄剤組成物)によるNiエッチング量を後述の評価基準に基づき評価した。その結果は表1および表2に示している。
(a)容積が2Lのポリエチレン容器(底面の直径125mm×高さ185mm)に各希釈液70gを入れ、25℃の恒温槽中で3時間保管された前記希釈液を試験液とする。
(b)Ni−Pメッキされたアルミニウム合金からなる基板(外径:95mmφ、内径:25mmφ、厚さ:1.27mm)を試験液に10分間浸漬する。
(c)前記基板を試験液から取り出した後、試験液についてICP発光分析装置(パーキンエルマー社製、Optima5300)にてニッケルの発光強度を測定して、Niエッチング量を定量する。
(Niエッチング量の評価基準)
A:2.5ppm以上
B:1.5ppm以上2.5ppm未満
C:0.6ppm以上1.5ppm未満
D:0.6ppm未満
(3)硫酸ニッケルの溶解性試験
前記各洗浄剤組成物(態様1の洗浄剤組成物)を水で100倍に希釈して得た希釈液(態様2の洗浄剤組成物)19.95gに,硫酸ニッケル6水和物(シグマアルドリッチ社製、試薬特級)を0.05g添加した。24時間後、硫酸ニッケル6水和物が添加された希釈液のうちの上澄み液をフィルター(アドバンテック社製、DISMIC-25HP020AN、孔径0.2μm)でろ過し、当該上澄み液を試験液とした。前記試験液について、ICP発光分析装置(パーキンエルマー社製、Optima5300)を用いてニッケルの発光強度を測定して、試験液中のNi濃度を定量した。Niイオン濃度が高いほど、希釈液に対する硫酸ニッケルの溶解度が高いことを示す。なお、試験液中のNi濃度の高低は、基板研磨時に生成されるNiイオンがアルカリ性の洗浄剤組成物中で、水酸化ニッケルとして析出することが抑制されるか否かの目安になる。Ni濃度が高ければ、水酸化ニッケルが析出し難く、Ni濃度が低ければ、水酸化ニッケルが析出し易い。
(硫酸ニッケルの溶解性評価基準)
A:700ppm以上
B:500ppm以上700ppm未満
C:500ppm未満
(4)シリカ溶解性試験
100mlポリ容器内で、前記洗浄剤組成物(態様1の洗浄剤組成物)を水で100倍に希釈して得た希釈液(態様2の洗浄剤組成物)20gに、シリカ粉末(日本アエロジル社製、アエロジル50)を0.1g添加した。次いで、これらをマグネティックスターラー(回転子:40mm、外周部周速:1.5m/s)で15分間撹拌し、上澄み液をフィルター(アドバンテック社製、DISMIC-25HP020AN、孔径0.2μm)でろ過し、当該上澄み液を試験液とした。前記試験液について、ICP発光分析装置(パーキンエルマー社製、Optima5300)用いてSiの発光強度を測定して、試験液中のSi濃度を定量した。試験液中のSi濃度が高ければ高いほど、希釈液について、被洗浄基板表面に付着したシリカ微粒子(研磨材)を溶解により除去する能力が高いことを意味する。
(シリカ溶解性の評価基準)
A:50ppm以上
B:20ppm以上50ppm未満
C:20ppm未満
(5)耐泡立ち性試験
前記各洗浄剤組成物(態様1の洗浄剤組成物)を水で100倍に希釈して得た希釈液(態様2の洗浄剤組成物)60mlを200mlのシリンダーに入れ、蓋をした。次いで、シリンダーを20往復手振りで強振動させ、30秒間静置させた後の泡高さ(液面から泡の一番高い所までの高さ)を測定し、後述の評価基準に従って、耐泡立ち性を評価した。泡高さが低いほど、耐泡立ち性が良好なことを示す。なお、シリンダーを強振動させる際の、ストローク長は30cmとし、手振り速度は2回/秒とした。
(耐泡立ち性の評価基準)
A:泡高さが20ml未満
B:泡高さが20ml以上
(6)洗浄性試験
1.被洗浄基板の調製
Ni−Pメッキされたアルミニウム合金からなる基板(外径:95mmφ、内径:25mmφ、厚さ:1.27mm、表面粗さ(算術平均粗さ、Ra):1nm,10枚)の両主面を後述する研磨液組成物を供給しながら両面加工機により研磨した。研磨条件は後述のとおりとした。次いで、研磨液組成物に代えて純水を供給し、研磨後基板を純水により後述の条件で濯いで、被洗浄基板(洗浄対象)を得た。
2.研磨条件
研磨機:両面9B研磨機(スピ−ドファム社製)
研磨パッド:スエードタイプ(厚さ:0.9mm、平均開孔径:30μm、フジボウ社製)
研磨液組成物:コロイダルシリカスラリー(品番:メモリード2P-2000、花王社製)
本研磨:荷重 100g/cm2、時間 300秒、研磨液組成物流量 100mL/min
3.濯ぎ条件
純水の電気伝導度:0.71μS/cm
荷重 :30g/cm2
時間 :20秒
純水供給量: 約2L/min
各希釈液(態様2の洗浄剤組成物)を用いて、後述の洗浄方法により前記被洗浄基板を洗浄し、各希釈液(態様2の洗浄剤組成物)のシリカ微粒子に対する洗浄性を評価した。
4.洗浄剤組成物による洗浄方法
被洗浄基板を洗浄装置(3段式:1段目ロールブラシ−2段目ロールブラシ−3段目超音波シャワー)にて以下の条件で洗浄した。
(a)洗浄:洗浄装置にセットされた被洗浄基板を搬送待機箇所へセットし、次いで、1枚の被洗浄基板を洗浄装置の1段目のロールブラシが在る箇所へ搬送し、被洗浄基板の両主面の各々に、回転しているロールブラシを押し当て、前記希釈液(25℃)を被洗浄基板の両主面の各々に射出しながら7秒間洗浄した。希釈液の供給量は24.5g/7秒とした。
(b)濯ぎ:希釈液による洗浄後の被洗浄基板を、洗浄装置の2段目のロールブラシが在る箇所へ搬送し、次いで、前記(a)の洗浄の際と同様に、被洗浄基板の両主面の各々に、回転しているロールブラシを押し当て、25℃の超純水を被洗浄基板の両主面の各々に射出しながら7秒間すすぎを行った。その後、被洗浄基板を3段目の超音波シャワーへ搬送し、950kHzの超音波が付与された25℃の超純水を被洗浄基板の両主面の各々に射出しながら7秒間すすぎを行った。950kHzの超音波が付与された25℃の超純水の供給量は105g/7秒とした。
(c)乾燥:スピンチャックに保持された濯ぎ後の洗浄後基板を、高速回転(外周部周速:1.5m/s)させて液切り乾燥を1分間行った。
5.シリカ微粒子の洗浄性評価
前記(a)〜(c)を経た洗浄後基板の表面におけるシリカ微粒子の残存数を後述する方法で調べることにより、各希釈液の洗浄性を評価した。結果を表1および表2に示している。
走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S-4800)を用いて5,000倍(視野範囲:20μm角)の倍率下で、乾燥後の基板を観察し、観察視野内で観察される基板表面に残存するシリカ微粒子の数を数えた。この観察を(基板の両主面でランダムにそれぞれ10点)行い、5枚の基板について、合計100点(10点×2×5枚=100点)実施した。観察された100点における全微粒子個数及び後述する評価基準に基づき、シリカ微粒子の洗浄性を7段階で評価した。シリカ微粒子個数が少ないほど、洗浄性は優れている。
(微粒子の洗浄性評価基準)
レベルA:全微粒子個数が0個である。
レベルB:全微粒子個数が1〜2個である。
レベルC:全微粒子個数が3〜4個である。
レベルD:全微粒子個数が5〜6個である。
レベルE:全微粒子個数が7〜8個である。
レベルF:全微粒子個数が9〜10個である。
レベルG:全微粒子個数が11個以上である。
表1および表2に記載の結果より、前記水(成分(C))以外の成分の総重量を100重量%とした場合に成分(B)の含有量が30〜95重量%であり、かつ重量比{成分(A)/成分(B)}が0.04〜0.8である実施例1〜8の希釈液は、比較例の希釈液よりも、微粒子に対する洗浄性および耐泡立ち性が優れていることが確認できた。
特に、実施例8の希釈液については、pHを13.8に調製することによりシリカ微粒子の溶解性が高まっていると考えられる。また、実施例8の希釈液はキレート剤も含むので、Niの析出が抑制されていると考えられる。このため、他の実施例の希釈液よりも洗浄性が優れていると考えられる。
また、非イオン性界面活性剤を含む比較例10では、非イオン性界面活性剤を含むことによりすすぎ性が悪いため、成分(C)以外の成分の重量の総和における前記成分(B)の含有量が30〜95重量%内の値であり、かつ重量比{成分(A)/成分(B)}が0.04〜0.8内の値であっても、洗浄性が悪かった。
Figure 0005377058
Figure 0005377058
なお、表1および表2中の各成分の詳細は後述のとおりである。
[成分(A)]
アクリル酸/2-アクリルアミト゛-2-メチルフ゜ロハ゜ンスルホン酸(92/8(モル比))の共重合化合物(重量平均分子量12,000)のNa塩の水溶液(固形分40重量%)
[成分(B)]
N-(β-アミノエチル)エタノールアミン(和光純薬社製、和光1級)
シ゛エチレントリアミン(和光純薬社製、鹿特級)
トリエチレンテトラミン(関東化学社製)
[任意成分]
(成分(D))
1-ヒト゛ロキシエチリテ゛ン-1,1-シ゛ホスホン酸の水溶液(ソルーシア社製、デイクエスト2010R、固形分60重量%)
(成分(E))
水酸化カリウムの水溶液(関東化学社製、鹿特級、固形分48重量%)
[その他の成分]
モノエタノールアミン(和光純薬社製、和光1級)
メチルシ゛エタノールアミン(キシダ化学社製、1級)
非イオン性界面活性剤(花王社製、エマルゲンLS-110)
P-トルエンスルホン酸Naの水溶液(明友産業社製、固形分90重量%)
本発明の洗浄剤組成物をそのまま、または、必要に応じて希釈して、被洗浄基板の表面の洗浄に用いることにより、短時間の洗浄でも、清浄度の高いHD用基板を得ることができる。よって、本発明は、製品の歩留まり向上に寄与し得る。

Claims (7)

  1. アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に
    由来の構成単位との割合(モル比)が91/9〜95/5であり、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位の全構成
    単位中に占める割合の合計が90モル%以上の共重合化合物および/又はその塩(成分(
    A))と、
    ポリアミン(成分(B))と、
    水(成分(C))と、を含有し、
    実質的に非イオン性界面活性剤を含有せず、
    前記成分(C)以外の成分の重量の総和における前記成分(B)の含有量は30〜95重量%であり、
    前記成分(A)と前記成分(B)の重量比{成分(A)/成分(B)}が0.04〜0.8であ
    り、
    前記成分(B)が、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ネオペンタンジアミン、3−メチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、N−(β―アミノエチル)エタノールアミン、又はアミノエチルイソプロパノールアミンである、Ni−P含有層を有するハードディスク用基板用洗浄剤組成物。
  2. キレート剤をさらに含有する請求項1に記載のNi−P含有層を有するハードディスク用基板用洗浄剤組成物。
  3. 前記キレート剤が、ホスホン酸類である請求項2に記載のNi−P含有層を有するハードディスク用基板用洗浄剤組成物。
  4. 25℃でのpHが9〜14である請求項1〜3の何れかの項に記載のNi−P含有層を有するハードディスク用基板用洗浄剤組成物。
  5. 前記成分(C)以外の成分の重量の総和における前記成分(A)の含有量は5〜50重量%である請求項1〜4の何れかの項に記載のNi−P含有層を有するハードディスク用基板用洗浄剤組成物。
  6. 前記重量比{成分(A)/成分(B)}が、0.4〜0.5である、請求項1〜5の何れかの項に記載のNi−P含有層を有するハードディスク用基板用洗浄剤組成物。
  7. 被研磨基板を、シリカ微粒子を含有する研磨液組成物で研磨した後、水で濯いで、被洗浄基板を得る工程と、前記被洗浄基板を請求項1〜6のいずれかの項に記載の洗浄剤組成物を用いて洗浄する工程とを含む、Ni−P含有層を有するハードディスク用基板の製造方法。
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