JP5376190B2 - ポリウレタン水性分散体 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリウレタン水性分散体及び該ポリウレタン水性分散体を用いて得られる接着剤に関する。更に詳しくは、貼り合わせ直後のコンタクト接着性に優れ、且つ、初期接着強度及び最終接着強度、耐熱クリープ性等にも優れ、良好な塗布性を有するポリウレタン水性分散体及び接着剤に関する。更に、該接着剤を用いて得られる接着物、特に、靴に関する。
一般に、ゴム、皮革、金属、ポリ塩化ビニル(PVC)等のプラスチック、発泡体等の各種基材をポリウレタン系水性溶液、分散液、及びこれらを用いて得られる接着剤を使用して接着する場合、最終接着強度(養生、硬化後の接着強度)、耐久性以外に、貼り合わせ直後および数時間内の接着強度、接着剤の塗布適性が非常に重要である。特に種々の形状の基材に刷毛等を使用して接着剤を塗布する靴等の用途においては、接着剤の刷毛塗り性、レベリング性(均一塗布性)の他に、2つの基材に各々塗布した接着剤面同士のコンタクト接着性に優れることが重要となる。
ポリウレタン水性分散体の接着剤を塗布した基材を貼り合わせるには、刷毛等を用いて接着剤を2つの基材に各々塗布した後、水分を除去して接着性能を発現させるため、通常50〜60℃で乾燥する「再活性工程」を経る。この再活性工程の後、接着剤を塗布した基材同士を貼り合わせる。
特に靴を製造する工程では、様々な形状を呈する基材〔EVA系(エチレン−酢ビ系)等のゴム、天皮、PVC等〕を貼り合わせるのに接着剤が使用される。一般的に靴を接着する工程は、▲1▼基材への接着剤塗布→▲2▼乾燥→▲3▼余熱で貼り合わせが行われている。その際、接着剤面同士を貼り合わせた時のコンタクト接着強度が低い場合には、基材の変形の応力に負けて基材と接着剤との界面剥離もしくは接着剤の凝集破壊により、基材の浮き、剥離等の問題が発生する。このため靴接着を始めとして接着剤面同士を貼り合わせるコンタクト接着を行う分野では、以前よりコンタクト接着性、塗布適性、耐久性等に優れる接着剤が強く要望されていた。
ポリウレタン樹脂水性分散体の製造方法については、米国特許第3,036,998号公報、米国特許第3,756,992号公報等に記載されており公知である。また、特開平9−71720号公報において、ポリイソシアネートにノニオン性親水基含有化合物とイオン性界面活性剤を混合させることにより得られる自己乳化性ポリイソシアネート組成物と水性エマルジョンを用いて得られる耐水性に優れる水系コーティング組成物が記載されている。しかしながら該公報ではイオン性界面活性剤の含有量が0.5〜20重量%と多く、ポリイソシアネート油滴表面にイオン性保護膜を生成させて耐水性を増大することを目的としている。しかもコーティング剤としての使用を目的とした発明であり、コンタクト接着性、塗布適性、接着強度において十分な性能を有するものではなかった。
更に、特許第2894494号公報では親水基としてカルボキシレート基及び/又はスルホネート基を含有するポリイソシアネート重付加物の水性溶液又は分散液の製造法が記載されている。該特許では、基材に塗布した接着剤を再活性する場合に低温で処理出来ることが記載されているが、レベリング性等の塗布適性において満足出来るものではなかった。
発明が解決しようとする課題
従って、本発明の目的は、貼り合わせ直後のコンタクト接着性に優れ、且つ、初期接着強度及び最終接着強度、耐熱クリープ性にも優れ、更に良好な塗布性をも有するポリウレタン水性分散体及び接着剤を提供することにある。
課題を解決するための手段
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す特定のポリウレタン水性分散体を接着剤として使用することにより、貼り合わせ直後のコンタクト接着性に優れ、且つ、初期接着強度及び最終接着強度、耐熱クリープ性にも優れ、更に良好な塗布性が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、有機ポリイソシアネート(A)、水酸基価が10〜350mgKOH/gのポリオール(B)、分子量300以下のポリアミン及び/又は分子量300以下のポリオール(C)を用いて得られる水性分散体(D)と、ジアルキルスルホコハク酸型金属塩、ジアルキルスルホコハク酸型有機塩、アルキルベンゼンスルホン酸型金属塩、及びアルキルベンゼンスルホン酸型有機塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(E)とからなるポリウレタン水性分散体であって、(B)及び(C)の少なくとも1つがカルボン酸の塩であるカルボキシレート基及び/又はスルホン酸の塩であるスルホネート基を含有し、前記ポリオール(B)が、(B−1)芳香族スルホン酸基を含有するジカルボン酸もしくはそのエステル誘導体、(B−2)分子量300以下のポリオール、(B−3)スルホン酸基を含有しないポリカルボン酸もしくはそのエステル誘導体及び/又は環状エステルを用いて得られる芳香族スルホン酸基を含有するポリエステルポリオール、ならびに、芳香族スルホン酸基を含有しない水酸基価が10〜350mgKOH/gのポリオール混合物であり、かつ、ポリウレタン樹脂固形分100重量部に対して、界面活性剤(E)を0.05〜0.5重量部含有することを特徴とするポリウレタン水性分散体であり、
また、本発明は、該ポリウレタン水性分散体を用いて得られることを特徴とする接着剤であり、
また、本発明は、該接着剤を用いて得られることを特徴とする接着物であり、
更に、本発明は、該接着剤を用いて得られることを特徴とする靴に関する。
次いで、本発明を実施するにあたり、必要な事項を具体的に以下に述べる。
本発明のポリウレタン水性分散体は、有機ポリイソシアネート(A)、水酸基価が10〜350mgKOH/gのポリオール(B)、分子量300以下のポリアミン及び/又は分子量300以下のポリオール(C)を用いて得られる水性分散体(D)と、ジアルキルスルホコハク酸型金属塩、ジアルキルスルホコハク酸型有機塩、アルキルベンゼンスルホン酸型金属塩、及びアルキルベンゼンスルホン酸型有機塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(E)とからなるポリウレタン水性分散体であって、(B)及び(C)の少なくとも1つがカルボキシレート基及び/又はスルホネート基を含有することを特徴とするポリウレタン水性分散体である。
本発明のポリウレタン水性分散体を調製するに際して使用する有機ポリイソシアネート(A)とは、下記一般式[1]で示されるような化合物である。
R(NCO)n 一般式[1]
(但し、一般式[1]中のRは任意の有機基、n≧2である。)
本発明で使用する有機ポリイソシアネート(A)としては、従来より公知のものが何れも使用できるが、その中で特に代表的なものを例示すると、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ないしは1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(別名イソホロンジイソシアネート;IPDI)、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(別名水添MDI)、
2−ないしは4−イソシアナトシクロヘキシル−2’−イソシアナトシクロヘキシルメタン、1,3−ないしは1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、ビス−(4−イソシアナト−3−メチルシクロヘキシル)メタン、1,3−ないしは1,4−α,α,α’α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,4−ないしは2,6−ジイソシアナトトルエン、2,2’−、2,4’−ないしは4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−ないしはm−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートまたはジフェニル−4,4’−ジイソシアネートなどが挙げられる。
これらの内でも、とりわけ機械的強度などの点からは、芳香族ジイソシアネート化合物の使用が望ましく、また、とりわけ耐久性、耐光性などの点からは、脂肪族ないしは脂環族ジイソシアネート化合物の使用が望ましい。
また、接着性を阻害しない範囲で2官能を越えるポリイソシアネート化合物を併用しても構わない。
本発明において、水性ウレタン樹脂固形分に対するイソシアネート含有率は、8〜25重量%の範囲が好ましい。かかる範囲内であれば、ウレタン分子の凝集力が好適な大きさとなり、低温での再活性が良好に行われ、初期接着強度の発現が遅延することもなく好ましい。
本発明で使用する水酸基価が10〜350mgKOH/gのポリオール(B)、及び、分子量300以下のポリアミン及び/又は分子量300以下のポリオール(C)の少なくとも1つがカルボキシレート基及び/又はスルホネート基を含有する。
本発明で使用する水酸基価が10〜350mgKOH/gのポリオール(B)としては、ポリエステルポリオールが主体的に使用されるが、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等、もしくはこれらの単独或いは混合物、共重合物を使用してもよい。ポリエステルポリオールを用いる場合は、公知慣用の種々のポリオール化合物と、公知慣用の種々のポリカルボン酸類と、或いはそれらの諸反応性誘導体とを公知慣用の種々の方法で反応させることにより調製されるものを用いることができる。
ここで前記ポリオール化合物として特に代表的なものを例示すると、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル1,3−プロパンジオール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環族ジオール、また多官能成分としてグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオールが挙げられる。
一方の前記ポリカルボン酸類としては、脂肪族の中で代表的なものを例示すると、例えば、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪(脂環)族ジカルボン酸、多官能成分としてトリメリット酸、ピロメリット酸シクロヘキサントリカルボン酸等のポリカルボン酸およびそれらの無水物或いはエステル形成性誘導体、
また、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びそれらの酸無水物もしくはエステル形成性誘導体、p−ヒドロキシ安息香酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸及びそれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
本発明で使用する環状エステルとしては、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等が挙げられる。
また、本発明で使用する芳香族スルホン酸基を含有するジカルボン酸もしくはそのエステル誘導体とは、スルホン酸基の中にカチオンとしてプロトン、Na、K、Li、Ca等の金属イオン、アンモニア、ジエチルアミン、トリエチルアミン等の有機アミンを含む5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5[4−スルホフェノキシ]イソフタル酸の如きジカルボン酸もしくはそのエステル誘導体の塩が挙げられる。
一般的に各種の基材に塗布する場合、作業上の点からタックフリータイム(オープンタイム)は3分以上必要と考えられ、貼り合わせ直後の初期接着強度が大きく、耐熱性等にも優れていることが要求されている。通常タックフリータイム(オープンタイム)を長くするように設計されたポリウレタン水性分散体は、凝集性、結晶性、及び初期の耐熱性が低く接着強度の低下をもたらすことが多い。
本発明で使用するポリオール(B)は、(B−1)芳香族スルホン酸基を含有するジカルボン酸もしくはそのエステル誘導体、(B−2)分子量300以下のポリオール、(B−3)スルホン酸基を含有しないポリカルボン酸もしくはそのエステル誘導体、及び/又は環状エステルを用いて得られる芳香族スルホン酸基を含有するポリエステルポリオールと、芳香族スルホン酸基を含有しない水酸基価が10〜350mgKOH/gのポリオールとの混合物である。
本発明で使用するポリウレタン分子においては、主鎖に芳香環を有することからポリウレタン分子に剛直性が付与されるのと同時に、その立体構造からウレタン分子鎖間の凝集力が一部抑制される性質がある。このため該芳香族スルホン酸基を含有するポリエステルポリオールをポリウレタン分子内に導入することにより、接着剤としてのタックフリータイム(オープンタイム)を長くするだけでなく、同時に凝集力と剛直性を付与することが実現できる。更にポリウレタン樹脂は、分子量の大きいポリオールから成るソフトセグメントが界面へ局在化する性質を持つ。そのためソフトセグメントであるポリオール中に極性基(親水=スルホン酸基)が存在する場合、塩化ビニル(PVC)や金属のような極性基材に対する親和性が増し、接着性の向上が期待できる。
また、本発明で使用する芳香族スルホン酸基を含有するポリエステルポリオールは、芳香族酸のエステルであるため耐加水分解性にも優れ、従来から水性ウレタン樹脂として問題になっていた貯蔵安定性及び耐久性の改善にも有効である。また、低分子ポリオールを任意に選定し、更に、耐水性の良好なラクトンモノマーを該芳香族スルホン酸基を含有するポリエステルポリオール中に導入することにより、該ポリウレタン水性分散体の耐水性、耐熱性、及び凝集力等を任意に調整することが可能である。
上記の(B−1)、(B−2)、(B−3)を用いて得られるポリエステルポリオールの含有率は、親水基であるスルホン酸基の含有量とも関係しており、ポリウレタン樹脂固形分に対して5〜30重量%の範囲が好ましく、スルホン酸基の含有量としては70〜250mmol/kgとなるように調製することが好ましい。かかる範囲であれば、粒子の凝集を生じることなく安定であり、高濃度化、良好な耐水性が可能である。
本発明において、ポリオール(B)として用いることができるポリエーテルポリオールとして特に代表的なものを例示すると、活性水素原子(反応性水素原子)を有する化合物の存在下にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、テトラヒドロフランまたはエピクロルヒドリンなどのような種々の三員環もしくは四員環のエーテル化合物の単独或いは2種以上の混合物を開環重合して得られる重合体である。該ポリエーテルポリオールの具体的なものを例示すると、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコールなどがある。また、一部メタノール、ブタノール等のモノアルコールにてブロック化されたポリエーテルモノオールについては、高分子量化を阻害しない範囲で使用しても構わない。
更に、本発明において、ポリオール(B)として用いることができるポリカーボネートポリオールとして特に代表的なものを例示すると、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコールなどのようなジオール類と、ジメチルカーボネートなどによって代表されるようなジアルキルカーボネート或いはエチレンカーボネートなどによって代表されるような環式カーボネートとの反応生成物などである。
水酸基価が10〜350mgKOH/gのポリオール(B)は、ポリウレタン水性分散体の凝集性と柔軟性等を付与する目的から、ポリウレタン樹脂固形分に対して、55重量%以上含有されることが好ましく、55〜85重量%含有されることがより好ましい。ポリオール(B)の含有量がかかる範囲内であれば、50〜60℃程度の温度で熱溶融するポリウレタン樹脂成分中のソフトセグメント(脂肪族ポリオール)部位が多くなる為、接着面の再活性化が活発となり、貼り合わせ直後から高い接着性能の発現が可能となる。
次いで、本発明で使用する、分子量300以下のポリアミン及び/又は分子量300以下のポリオール(C)とは、1分子中のアミン基の平均官能基数が2以上で、且つ、分子量300以下のポリアミン及び/又は分子量300以下のポリオールである。
本発明で使用する、1分子中のアミン基の平均官能基数が2以上で、且つ、分子量300以下のポリアミンとして特に代表的なものを例示すると、例えば、1,2−ジアミノエタン、1,2−ないしは1,3−ジアミノプロパン、1,2−ないしは1,3−ないしは1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、N,N’−ビス−(2−アミノエチル)ピペラジン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン(イソホロンジアミン)、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス−(4−アミノ−3−ブチルシクロヘキシル)メタン、1,2−、1,3−ないしは1,4−ジアミノシクロヘキサンまたは1,3−ジアミノプロパン等のジアミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン、更にはヒドラジン又はアジピン酸ジヒドラジドなどのヒドラジン誘導体、更には特公昭49−36693やカナダ国特許第928,323号に記載されているスルホン酸ジアミン、或いはN−(2−アミノエチル)−2−アミノプロピオン酸ナトリウムも使用することができる。
また、(C)として、官能基数が2以上で、且つ、分子量300以下のポリオール(B)の具体例で記載したものと同様のポリオールが使用できる。
更に、(C)として、1分子中のアミン基と水酸基との官能基数の合計が2以上で、且つ、分子量300以下のポリアミン、即ち、アミノアルコールも使用することができ、例えば、エタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、プロパノールアミン、N−メチルジイソプロパノールアミン、N−エチルジエチレンアミン、N−エチルジイソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン等が挙げられる。
本発明において、上記の官能基数が2以上で、且つ、分子量300以下のポリアミン及び/又はポリオール(C)を使用することで、ポリウレタン樹脂の凝集力を高め、更に高分子量化による初期耐熱性の向上が可能となる。
次いで、本発明で使用する界面活性剤(E)とは、一般的には洗浄剤、乳化剤、分散剤、浸透剤、可溶化剤、起泡剤等として用いられ、希薄溶液の状態でその溶媒の表面張力や界面張力を著しく低下させるものをいう。
本発明で使用する界面活性剤(E)の分子構造としては、分子が疎水性の部分と親水性の部分を持ち、両性質の部分が適度のバランスを持っているものである。本発明で使用する界面活性剤(E)は、疎水性の部分には炭素数4〜30のアルキル基、芳香族基含有のアルキル基、又はフッ素化アルキル基を含有するものが挙げられ、鎖状炭化水素基もしくはこれに環状炭化水素基、フッ素化アルキル基を含有したものが挙げられ、親水性の部分には非イオン性の極性基もしくはアニオン、カチオン、ベタイン等のイオン性の極性基などが挙げられる。
通常、界面活性剤は、極性の部分の種類により極性部分としてカルボン酸基、硫酸エステル基、アリルスルホン酸基に代表されるように水中で分子が陰イオン化するアニオン型活性剤、極性部がアミン塩もしくは第四級アンモニウム塩等からなる分子が陽イオン化するカチオン型活性剤、極性部分が水酸基、エーテル基、エステル基等に代表されるように分子全体が非イオン性の非イオン型活性剤、一つの分子中にアニオンとカチオンの両方の極性基を含有している両性型活性剤がある。
本発明の接着剤は、前述のポリウレタン水性分散体を用いて得られる。
本発明のポリウレタン水性分散体を接着剤として使用する上で、本発明の目的である優れたコンタクト接着性及び刷毛塗り性、レベリング性等の塗布性、耐熱クリープ性に優れる接着性能は、界面活性剤(E)として、特にアニオン型活性剤であるジアルキルスルホコハク酸型金属塩もしくは有機塩、アルキルベンゼンスルホン酸型金属塩もしくは有機塩を含有することにより達成される。
更に、この中でもジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩及び/又はアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を含有することにより、より優れた接着性能及び塗布性を得ることが可能となる。
靴用途等で行われるコンタクト接着工程では、2つの基材の各々に接着剤が塗布され、接着剤面同士が貼り合わされる。このため両方の接着剤面が接触した際に接着剤の分子が動き易い状態であり、良く馴染むことが重要となる。最終的には両方の接着剤が一体化したような状態になることにより、剥離抵抗の大きい、ひいては接着強度の大きい接着面が得られることになる。
本発明の界面活性剤(E)を含有するポリウレタン水性分散体は、ポリウレタン粒子の周囲に界面活性剤が存在することにより、粒子の移動性および拡散性が向上し、同時に均一な膜厚が形成され、2つの基材の両面に塗布された接着面同士が貼り合わされる際に、接着剤分子の絡み合い、相溶性が著しく増大して高いコンタクト接着性、塗布性、耐熱クリープ性を達成出来るものと考えられる。尚、これらの考察は本発明を理解する上での一助となるものであり、本発明を何ら限定するものでないことは勿論のことである。
本発明のポリウレタン水性分散体に用いる界面活性剤(E)は、ポリウレタン水性分散体中のポリウレタン樹脂固形分100重量部に対して、0.05〜5.0重量部の範囲で含有することが好ましく、より好ましくは0.1〜2.0重量部の範囲である。かかる範囲で界面活性剤(E)を使用することにより、優れた接着性、塗布性及び耐熱クリープ性を得ることが出来、また、ポリウレタン粒子に十分な移動性及び拡散性を付与することが可能で、コンタクト接着性及びレベリング性が良好な接着状態となる。
本発明では、界面活性剤(E)の添加方法は特に限定されるものではなく、ポリウレタン水性分散体の合成時の何れの段階で添加してもよく、反応終了後に後から添加しても構わない。
本発明のポリウレタン水性分散体を調製するに際し使用する有機溶媒として特に代表的なものを例示すると、例えば、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸メチル、アセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2−ジクロルエタン、1,1,2−トリクロルエタン、テトラクロルエチレン、又はN−メチルピロリドンなどが挙げられ、これらの単独又は混合溶媒も使用できる。この中でポリウレタン樹脂の溶解性の高い溶媒として特にアセトン、MEKを用いることは好適である。
また、本発明のポリウレタン水性分散体を調製する際に、公知公用の乳化剤を併用することもできる。中でもノニオン系乳化剤、及び/又はアニオン系乳化剤が好適であり、添加量としては固形分対比でポリウレタン樹脂に対して、10重量%以下添加出来る。このような乳化剤を使用する場合、乳化分散工程前のポリウレタン樹脂溶液、あるいはイソシアネート基が残存するプレポリマーに添加した後、乳化分散することが望ましいが、乳化分散工程終了後に添加しても構わない。
本発明のポリウレタン水性分散体を調製する際に、必要ならばウレタン化触媒を使用することができる。ウレタン化触媒として代表的なものを例示すると、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、またはN−メチルモルホリン等の種々の含窒素化合物、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、またはオクチル酸錫等の種々の金属塩、ジブチルチンジラウレート等の種々の有機金属化合物などが挙げられる。
本発明のポリウレタン水性分散体の調製は公知の方法で行うことが出来るものであり、特に限定されるものではない。代表的な方法を例示すると、分子内に活性水素基を含まない有機溶剤中で、通常、好ましくは30〜150℃、より好ましくは50〜120℃の条件下で、有機ポリイソシアネートとポリオールをイソシアネート基(以下、NCO基と略記)と水酸基(以下、OH基と略記)との当量比が、通常、好ましくはNCO基:OH基=(3〜1):1、より好ましくは(2〜1):1の範囲で、ワンショット法或いは多段法により、(a)プレポリマー反応[NCO基がOH基に対し過剰の場合]、或いは(b)ウレタン化反応[NCO基:OH基=1:1の場合]を行う。
続いて、(a)プレポリマー反応の場合は、分子内に含有するカルボキシレート基及び/又はスルホネート基を、アンモニア、有機アミン、金属水酸化物等をプレポリマー中に投入することにより中和した後、これを水中に投入し乳化分散を行い、最後に得られたNCO基が残存する乳化液中にポリアミンを添加し、鎖伸長する方法が挙げられる。この時ポリアミンの官能基数は2以上が好ましく、プレポリマーの残存NCO基に対し、アミン基(以下、NH基と略記)が当量比として、通常、好ましくはNCO基:NH基=1:(0.5〜1.2)、より好ましくは1:(0.5〜1.0)で鎖伸長を行う。
また、(b)ウレタン化反応の場合は、分子内に含有するカルボキシレート基及び/又はスルホネート基を中和するために、反応溶液中にアンモニア、有機アミン、金属水酸化物等を投入することにより中和し、次いで水を少量づつ投入していき、乳化分散する方法が挙げられる。(a)又は(b)で得られた乳化物に残存する有機溶剤を除去することにより、ポリウレタン水性分散体を得ることが出来る。
本発明のポリウレタン水性分散体を含む水性接着剤としては、該ポリウレタン水性分散体単独でも構わないが、SBRラテックス樹脂やアクリルエマルジョンに代表されるウレタン樹脂以外の水性分散体を(ポリウレタン樹脂固形分/全固形分)で好ましくは1重量%以上、より好ましくは10重量%以上併用しても構わない。
更に、本発明の接着剤の凝集性を阻害しない範囲で通常の接着剤に使用される副資材及び添加剤、例えば、可塑剤、粘着付与剤(ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂石油樹脂、クマロン樹脂等)、充填剤、顔料、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤等を使用することも可能である。
本発明のポリウレタン水性分散体は、このもの単独でも使用できるが、公知公用の水性分散体に使用可能な架橋剤を使用することも出来る。代表的なものを例示すると、例えば、アミノ樹脂、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、ポリイソシアネート化合物のような2官能以上のものが挙げられる。この中でもポリイソシアネート化合物を使用することが好ましく、ポリウレタン樹脂固形分に対し、好ましくは0.1〜50重量%の範囲で使用することが出来る。
これらの代表的なものを例示すると、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の3量体からなるポリイソシアネート化合物、または該ポリイソシアネート化合物とエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、長鎖高級アルコール等の低分子活性水素化合物等が反応してなる複数のイソシアネート基末端を分子中に含有する化合物およびその水分散体を挙げることが出来る。
本発明のポリウレタン水性分散体は、接着剤、粘着剤、コーティング剤、塗料、繊維および紙の処理剤等に使用することが出来る。この中で、繊維、PVC等のプラスチック、皮革、ゴム、発泡体、木材、金属、ガラス等の基材の接合に適しており、とりわけ靴をはじめとして、繊維製品、建材、真空成形、自動車、包装材料の用途に使用される接着剤として好適である。
本発明は、該接着剤を用いて得られることを特徴とする接着物であり、
また、特に、該接着剤を用いて得られることを特徴とする靴である。
尚、本発明の態様は、上述したように、有機ポリイソシアネート(A)、水酸基価が10〜350mgKOH/gのポリオール(B)、分子量300以下のポリアミン及び/又は分子量300以下のポリオール(C)を用いて得られる水性分散体(D)と、ジアルキルスルホコハク酸型金属塩、ジアルキルスルホコハク酸型有機塩、アルキルベンゼンスルホン酸型金属塩、及びアルキルベンゼンスルホン酸型有機塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(E)とからなるポリウレタン水性分散体であって、(B)及び(C)の少なくとも1つがカルボキシレート基及び/又はスルホネート基を含有することを特徴とするポリウレタン水性分散体にかかるものである。
本発明の他の態様の一つとしては、(C)が、1分子中のアミン基の平均官能基数が2以上で、且つ、分子量300以下のポリアミン及び/又は分子量300以下のポリオールである上記のポリウレタン水性分散体にかかるものである。
本発明の他の態様の一つとしては、界面活性剤(E)が有するアルキル基が、炭素数4〜30のアルキル基、芳香族基含有のアルキル基、又はフッ素化アルキル基の何れかである上記の各ポリウレタン水性分散体にかかるものである。
本発明の他の態様の一つとしては、界面活性剤(E)が、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩及び/又はアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩である上記の各ポリウレタン水性分散体にかかるものである。
本発明の他の態様の一つとしては、ポリウレタン水性分散体中のポリウレタン樹脂固形分100重量部に対して、界面活性剤(E)を0.05〜5.0重量部含有する上記の各ポリウレタン水性分散体にかかるものである。
本発明の他の態様の一つとしては、ポリオール(B)が、(B−1)芳香族スルホン酸基を含有するジカルボン酸もしくはそのエステル誘導体、(B−2)分子量300以下のポリオール、(B−3)スルホン酸基を含有しないポリカルボン酸もしくはそのエステル誘導体、及び/又は環状エステルを用いて得られる芳香族スルホン酸基を含有するポリエステルポリオールと、芳香族スルホン酸基を含有しない水酸基価が10〜350mgKOH/gのポリオールとの混合物である上記の各ポリウレタン水性分散体にかかるものである。
本発明の他の態様の一つとしては、ポリオール(B)をポリウレタン水性分散体中のポリウレタン樹脂固形分に55重量%以上含有する上記の各ポリウレタン水性分散体にかかるものである。
本発明の他の態様の一つとしては、ポリウレタン水性分散体中のポリウレタン樹脂固形分に対して、スルホン酸金属塩基を70〜250mmol/kg含有する上記の各ポリウレタン水性分散体にかかるものである。
本発明の他の態様の一つとしては、上記の各ポリウレタン水性分散体を用いて得られることを特徴とする接着剤にかかるものである。
本発明の他の態様の一つとしては、上記の接着剤を用いて得られることを特徴とする接着物にかかるものである。
本発明の他の態様の一つとしては、上記の接着剤を用いて得られることを特徴とする靴にかかるものである。
以下、本発明を実施例と比較例により、一層、具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において、部および%は、特に断わりのない限り、全て重量基準であるものとする。尚、本発明のポリウレタン水性分散体の接着剤に関する性能評価方法については以下の通りである。
[タックフリータイム(オープンタイム)の評価方法]
ポリウレタン水性分散体の接着剤を、刷毛を使用して1mm(厚さ)×20mm(巾)×300mm(長さ)のPVCシートに100g/m2塗布し、50℃で6分間熱風循環乾燥機に入れ再活性する。乾燥機より取り出した該基材表面の接着剤のタックが消失し、接着面同士をゴムローラーで加圧して貼り合わせても接着しなくなる時間を測定し、タックフリータイム(オープンタイム)とした。
[コンタクト接着性の評価方法]
ポリウレタン水性分散体の接着剤を塗布したPVCシート同士を貼り合わせた後、1分後に手で接着面を剥離し接着剤の凝集破壊の程度を観察して接着剤同士の食い込み状態からコンタクト接着性の良否を評価した。尚、表2の評価基準は、下記に従って行った。
◎;剥離抵抗感がかなり強く、基材両面の接着剤が剥離時に伸びる状態。
○;剥離抵抗感が強く、基材両面の接着剤が剥離時に伸びる状態。
△;剥離抵抗感が弱く、基材両面の接着剤が伸びずに剥離する状態。
×;剥離抵抗感がなく、容易に剥離する状態。
[初期接着強度の評価方法]
タックフリータイム(オープンタイム)の場合と同様にして、2枚のPVCシートに各接着剤を100g/m2塗布した。50℃で6分間熱風循環乾燥機に入れ再活性する。この乾燥機より取り出したPVC基材の接着面同士をゴムローラーで加圧して貼り合わせて、貼り合わせしてから2分後の剥離強度をデジタルゲージにて測定した。
[経時剥離強度の評価方法]
初期接着強度の評価方法と同様にして作製した貼り合わせ試験片について、貼り合わせ後2時間、及び1日の剥離強度を引張試験機で測定した。引張速度100mm/分で180度剥離の強度を求めた。
[耐熱クリープの評価方法]
初期接着強度の評価方法と同様にして作製した貼り合わせ試験片について、3日間室温にて養生硬化させた。該試験片に1kgの錘を吊して、70℃で30分間熱風循環乾燥機に入れ、180度のクリープ試験を行った。100mmの標線間を剥離した距離(mm)または錘が落下した時間を測定した。
《参考例》芳香族スルホン酸金属塩基を含有するポリエステルポリオール(1)の調製例
温度計、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた反応容器中で窒素ガスを導入しながら、5−スルホソジウムイソフタル酸ジメチル(DMS)1480部と1,6−ヘキサンジオール1240部、及びジブチル錫オキサイド0.5部を仕込み、塔頂温度が60〜70℃になるように反応容器内温度を180〜190℃で酸価が1mgKOH/g以下になるまでエステル交換反応を行い、次に210℃で2時間反応させる。次いで、100℃まで冷却した後、ε−カプロラクトン2280部を仕込み、180℃で3時間開環重合反応することにより、水酸基価120mgKOH/g、酸価0.3mgKOH/gのポリエステルポリオール(1)を得た。その結果を参考例として、表−1に示す。
Figure 0005376190
《実施例1》
ポリエステルポリオール(1)30部をメチルエチルケトン(略称MEK)60部を加え十分撹拌溶解し、イソホロンジイソシアネート(略称IPDI)34部及びヘキサメチレンジイソシアネート(略称HDI)4部を加えて80℃で3時間反応させた。次いで、メチルエチルケトン95部を投入し60℃まで冷却後、1,4−ブチレングリコール5部と、1,4−ブチレングリコールとアジピン酸から成るポリエステルであるブチレンアジペート(水酸基価=37mgKOH/g)160部を加え80℃にて反応を行った。その後、イソシアネート値が0.79%以下になったら、40℃まで冷却し、水280部を加え十分撹拌混合した後、10%ピペラジン水溶液29.7部(残存イソシアネート基に対しアミン基として95当量%)を加えて乳化分散した。得られた乳化液を脱溶剤することによって水分散体を得た。
これに界面活性剤として、ネオコール YSK(ジアルキルスルホコハク酸エステルナトリウム塩 有効成分70%:第一工業製薬(株)製)を1.0部添加し攪拌混合することにより、不揮発分50%の水分散体を得た。得られた該水分散体100部にSN−シックナー A−812(サンノプコ(株)社製)を1部添加して増粘した後、水に分散し得るイソシアネート架橋剤CR−60N(大日本インキ化学工業(株)製)を3部加えることにより接着剤を調製した。
次いで、調製した接着剤を2枚のPVCシートに刷毛で100g/m2塗布した後、接着面同士を貼り合わせ、各接着性能の評価を行った。本発明の接着剤は、刷毛塗りした後に均一な膜厚を示し、貼り合わせた基材は、コンタクト接着性、初期接着強度、耐熱クリープ性に優れるものであった。
《実施例2》
実施例1のネオコール YSKの添加量を1.7部に変更した以外は実施例1と同様の合成を行い、不揮発分50%の水分散体を得た。得られた該水分散体を実施例1と同様にして接着剤を調製した後、接着面同士を貼り合わせ、各接着性能の評価を行った。本発明の接着剤は、刷毛塗り時の展延性に優れ、コンタクト接着性も大きく良好な接着性能を示した。
《実施例3》
実施例1において、ネオコール YSKの代わりにネオペレックス F−25(組成;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 有効成分25%:花王(株)製)を用い該添加量を4.7部に変更した以外は実施例1と同様の合成を行い、不揮発分50%の水分散体を得た。得られた該水分散体を実施例1と同様にして接着剤を調製した後、接着面同士を貼り合わせ、各接着性能の評価を行った。本発明の接着剤は、コンタクト接着性に優れ、塗布性、耐熱クリープ性も良好な結果を示すものであった。
《実施例4》
ポリエステルポリオール(1)30部をメチルエチルケトン60部を加え十分撹拌溶解し、イソホロンジイソシアネート36部及びヘキサメチレンジイソシアネート5部を加えて80℃で3時間反応させた。次いで、メチルエチルケトン95部を投入し60℃まで冷却後、1,4−ブチレングリコール6部と、1,4−ブチレングリコールとアジピン酸から成るポリエステルであるブチレンアジペート(水酸基価=37mgKOH/g)140部を加え80℃にて反応を行った。
その後、イソシアネート値が1.06%以下になったら、40℃まで冷却し、水260部を加え十分撹拌混合した後、10%ピペラジン水溶液38.3部(残存イソシアネート基に対しアミン基として95当量%)を加えて乳化分散した。得られた乳化液を脱溶剤することによって水分散体を得た。これにネオコール YSKを1.6部添加し攪拌混合することにより、不揮発分50%の水分散体を得た。得られた該水分散体を実施例1と同様にして接着剤を調製した後、接着面同士を貼り合わせ、各接着性能の評価を行った。本発明の接着剤は、実施例1と同様に優れたコンタクト接着性、塗布性を有するものであった。
《比較例1》
実施例1において、ネオコール YSKを添加しないこと以外は実施例1と同様にして合成を行い、不揮発分50%の水分散体を得た。得られた該水分散体を実施例1と同様にして接着剤を調製した後、接着面同士を貼り合わせ、各接着性能の評価を行ったところ、塗布性、初期接着強度において十分なものではなかった。
《比較例2》
実施例4において、ネオコール YSKを添加しないこと以外は実施例4と同様にして合成を行い、不揮発分50%の水分散体を得た。得られた該水分散体を実施例1と同様にして接着剤を調製した後、接着面同士を貼り合わせ、各接着性能の評価を行ったところ、コンタクト接着性に劣り、耐熱クリープ性も不十分なものであった。
《比較例3》
実施例1のネオコール YSKの添加量を10部に変更した以外は実施例1と同様の合成を行い、不揮発分50%の水分散体を得た。得られた該水分散体を実施例1と同様にして接着剤を調製した後、接着面同士を貼り合わせ、各接着性能の評価を行った。塗布性、接着強度、耐熱クリープ性において低いレベルのものであった。
Figure 0005376190
Figure 0005376190

発明の効果
本発明は、従来のポリウレタン水性分散体において問題であったコンタクト接着性、塗布適性を解決するものであり、貼り合わせ直後のコンタクト接着性に優れ、且つ、初期接着強度及び最終接着強度、耐熱クリープ性にも優れ、良好な塗布性を有するポリウレタン水性分散体、及びそれを用いた接着剤を提供し、ゴム、皮革、金属、ポリ塩化ビニル(PVC)等のプラスチック、発泡体等の各種基材の接着に好適であり、特に靴用接着に有用である。

Claims (8)

  1. 有機ポリイソシアネート(A)、水酸基価が10〜350mgKOH/gのポリオール(B)、分子量300以下のポリアミン及び/又は分子量300以下のポリオール(C)を用いて得られる水性分散体(D)と、ジアルキルスルホコハク酸型金属塩、ジアルキルスルホコハク酸型有機塩、アルキルベンゼンスルホン酸型金属塩、及びアルキルベンゼンスルホン酸型有機塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(E)とからなるポリウレタン水性分散体であって、(B)及び(C)の少なくとも1つがカルボン酸の塩であるカルボキシレート基及び/又はスルホン酸の塩であるスルホネート基を含有し、前記ポリオール(B)が、(B−1)芳香族スルホン酸基を含有するジカルボン酸もしくはそのエステル誘導体、(B−2)分子量300以下のポリオール、(B−3)スルホン酸基を含有しないポリカルボン酸もしくはそのエステル誘導体及び/又は環状エステルを用いて得られる芳香族スルホン酸基を含有するポリエステルポリオール、ならびに、芳香族スルホン酸基を含有しない水酸基価が10〜350mgKOH/gのポリオール混合物であり、かつ、ポリウレタン樹脂固形分100重量部に対して、界面活性剤(E)を0.05〜0.5重量部含有することを特徴とするポリウレタン水性分散体。
  2. 界面活性剤(E)が有するアルキル基が、炭素数4〜30のアルキル基、芳香族基含有のアルキル基、又はフッ素化アルキル基の何れかである請求項1に記載のポリウレタン水性分散体。
  3. 界面活性剤(E)が、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩及び/又はアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩である請求項1又は2に記載のポリウレタン水性分散体。
  4. ポリオール(B)をポリウレタン水性分散体中のポリウレタン樹脂固形分に55重量%以上含有する請求項1〜の何れか一項に記載のポリウレタン水性分散体。
  5. ポリウレタン水性分散体中のポリウレタン樹脂固形分に対して、スルホン酸金属塩基を70〜250mmol/kg含有する請求項1〜の何れか一項に記載のポリウレタン水性分散体。
  6. 請求項1〜の何れかに記載のポリウレタン水性分散体を用いて得られることを特徴とする接着剤。
  7. 請求項に記載の接着剤を用いて得られることを特徴とする接着物。
  8. 請求項に記載の接着剤を用いて得られることを特徴とする靴。
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