JP5368932B2 - 複合加工工具および加工方法 - Google Patents
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Description
このように、第1加工部による加工の終了後や複合加工工具による加工終了後に、第1加工部による加工が不要なときには、複合加工工具自体が中心軸線を中心に回転する工具である場合も含めて、前記内周面を加工する第1加工部の第1加工具の径方向位置が加工時よりも径方向内方に確実に位置するように、該第1加工具を径方向内方に位置させることが望ましい。
また、本発明は、第1加工具を有するカートリッチの小型化を図ることを目的とし、さらには、3以上のカートリッチを備える複合加工工具の小径化を図ることを目的とする。
これによれば、第2加工部に先立ってワークの内周面を加工する第1加工部の第1加工具を有するカートリッチは、リトラクト機構が備える付勢部材により径方向内方に付勢された状態で、第1加工具の径方向位置を変更するリトラクト機構の操作部材の位置設定部に当接する。この結果、カートリッチを径方向内方に付勢する付勢部材の付勢力により、第1加工具を位置設定部により変更される各径方向位置に確実に位置させることができ、さらに第1加工部が回転するときの遠心力などの外力がカートリッチに作用する場合にも、第1加工具が位置設定部により設定された径方向位置から径方向に移動することを防止できる。
また、リトラクト機構と位置可変機構とを備えることにより、複合加工工具の送り方向移動時において、第1加工具および第2加工具がこの順でワークの内周面を連続して加工する一方、複合加工工具の反送り方向移動時において、第1,2加工具が内周面を加工しない1ウェイ方式の加工、または、複合加工工具の送り方向移動時において、第1加工具がワークの内周面を加工する一方で第2加工具は該内周面を加工せず、複合加工工具の反送り方向移動時において、第2加工具が第1加工具により加工された内周面を加工する一方で第1加工具が該内周面を加工しない2ウェイ方式の加工が可能になり、複合加工工具の1往復でワークの内周面に2つの加工を施すことができるので、加工効率の向上およびコスト削減が可能になる。
これによれば、カートリッチにおいて、第1加工具の径方向位置を調整可能な調整部材がリトラクト機構の操作部材の位置設定部に当接する当接部を兼ねるので、カートリッチを小型化できる。
これによれば、回動支持部により規定される回動中心線に対して、付勢部材は当接部位よりも遠方の位置でカートリッチを付勢することから、付勢部材の付勢力よりも大きな押付け力でカートリッチを操作部材の位置設定部に当接させることができるので、位置設定部により第1加工具の径方向位置を設定するリトラクト機構の機能を高めながら、付勢部材を小型化できる。
これによれば、付勢部材は、カートリッチと同じ軸線方向位置での周方向幅が軸線方向幅よりも小さい板バネであることから、付勢部材を周方向で小型化できるので、第1加工部が3以上のカートリッチを有する場合にも、付勢部材により付勢される各カートリッチも小型化することができる。この結果、第1加工部が備える3以上のカートリッチによる第1加工具の数の増加により内周面の加工精度を向上しながら、各カートリッチの小型化による第1加工部の小径化、ひいては複合加工工具の小径化が可能になり、該複合加工工具による小径の内周面の加工が可能になる。
これによれば、周方向に等間隔に複数のガイドパッドが配置されることから、それらガイドパッドが周方向に不均等に配置される場合に比べて、動的バランス性能が向上して、第1加工部の中心軸線の振れを抑制する効果を高めることができるので、内周面の加工精度が向上する。
これによれば、第1加工部がリトラクト機構を備え、第2加工部が位置可変機構を備えることにより、複合加工工具の送り工程において、第1加工具および第2加工具がこの順でワークの内周面を連続して加工する一方、複合加工工具の戻り工程において、第1,2加工具が内周面を加工しない1ウェイ方式の加工、または、複合加工工具の送り工程において、第1加工具がワークの内周面を加工する一方で第2加工具は該内周面を加工せず、複合加工工具の戻り工程において、第2加工具が第1加工具により加工された内周面を加工する一方で第1加工具が該内周面を加工しない2ウェイ方式の加工が可能になり、複合加工工具の1往復でワークの内周面に2つの加工を施すことができるので、加工効率の向上およびコスト削減が可能になる。
また、リトラクト機構と位置可変機構とを備えることにより、複合加工工具の送り方向移動時において、第1加工具および第2加工具がこの順でワークの内周面を連続して加工する一方、複合加工工具の反送り方向移動時において、第1,2加工具が内周面を加工しない1ウェイ方式の加工、または、複合加工工具の送り方向移動時において、第1加工具がワークの内周面を加工する一方で第2加工具は該内周面を加工せず、複合加工工具の反送り方向移動時において、第2加工具が第1加工具により加工された内周面を加工する一方で第1加工具が該内周面を加工しない2ウェイ方式の加工が可能になり、複合加工工具の1往復でワークの内周面に2つの加工を施すことができるので、加工効率の向上およびコスト削減が可能になる。
図1を参照すると、本発明が適用された複合加工工具1は、工作機械(図示されず)に装着されて中心軸線L1を中心に回転駆動される軸状の本体2と、いずれも本体2に設けられる第1加工部としての切削加工部であるスカイビング加工部6および第2加工部としてのバニシング加工部7と、リトラクト機構8とを備える。
そして、スカイビング加工部6によりワークWが加工された後に、バニシング加工部7により該ワークWが加工される。この実施形態では、複合加工工具1の送り方向への移動時には、スカイビング加工部6によりスカイビング加工が行なわれ、次いで複合加工工具1の反送り方向への移動時にバニシング加工部7によりバニシング加工が行なわれる。
ワークWは、例えば貫通孔が設けられた円筒状部材であり、例えば、油圧または空気圧用アクチュエータのシリンダ、ショックアブソーバのシリンダである。
第1ガイド群G1の各ガイドパッド16は、各切削刃22と同じ軸線方向位置(すなわち、軸線方向において各切削刃22と重なる位置)に、かつ軸線方向で切削刃22の軸線方向長さよりも長い範囲に渡って延びている。
このため、回動中心線L2が延びている方向(この実施形態で、軸線方向でもある。)から見たとき、回動中心線L2または支持軸12に対して、板バネ35の押圧部35bおよび基体21の被押圧部21bは、当接部位Pおよびカートリッチ20の重心よりも遠方に位置する。
スライダ71は、バニシングローラ63が内周面Sと接触する場合に生じる摩擦力により、複合加工工具1が送り方向に移動するとき、第2取付部5およびマンドレル61に対して反送り方向にバニシングローラ63と共に移動し、複合加工工具1が反送り方向に移動するとき、第2取付部5およびマンドレル61に対して送り方向にバニシングローラ63と共に移動する。
また、送り方向でのスライダ7の移動は、スラスト軸受68が調整ナット67と軸線方向で当接することにより規定され、送り方向でのスライダ71およびバニシングローラ63の最大移動位置は、調整ナット67により設定される。したがって、そして、調整ナット67を有する位置可変機構70によりバニシング加工による加工孔の径が変更可能である。
さらに、マンドレル61との協働により軸線方向に移動することでバニシングローラ63の径方向位置を変更するスライダ71は、反送り方向にフリー移動する。ここでフリー移動とは、弾性部材(例えば、バネ)の弾性力による抵抗力を受けることなく移動することを意味する。
駆動機構40の圧力室44に高圧空気が供給されず、ピストン43が戻しバネ45に付勢されてソケット46と当接する図2に示される位置にあるとき、第1駆動ロッド41は、第2駆動ロッド42およびリトラクトピン30を送り方向に駆動しない。このため、リトラクトピン30は、戻しバネ37により付勢されてストッパ33aにより規制された図4(a)に実線で示される軸線方向での第1位置を占める。リトラクトピン30がこの第1位置にあるとき、板バネ35により径方向内方に常時付勢されている各カートリッチ20が、その調整部材24にて位置設定部31の大径部32に当接し(図3(c),図4(a)参照)、各カートリッチ20、したがって各切削刃22が、内周面Sをスカイビング加工する第1加工位置である拡径位置を占める(図3(b),図4参照)。
このため、バニシングローラ63は、マンドレル61に案内されながら内周面Sに倣って径方向内方に移動して、後記する拡径位置よりも小径であって、バニシングローラ63が内周面Sを加工しない第2非加工位置である縮径位置を占める。そして、ステム65が固定ネジ62と当接するとき、バニシングローラ63は回転軸線L1からの距離が最小の縮径位置を占める。
また、反送り方向へのスライダ71の移動時は、スライダ71が前記フリー移動することから、バニシングローラ63は内周面Sとの間の小さな摩擦力で容易に移動するため、複合加工工具1の移動抵抗が小さくなる。
そして、切削刃22が縮径位置にある状態の戻り工程において、拡径位置にあるバニシングローラ63により内周面S(図2参照)がバニシング加工される。
このとき、切削刃22は縮径位置にあるため、バニシング加工が施された内周面Sに切削刃22が接触すること、したがって傷を付けることが防止される。
ワークWの内周面Sがスカイビング加工部6の切削刃22により加工された後にバニシング加工部7のバニシングローラ63により加工される複合加工工具1において、リトラクト機構8は、切削刃22の径方向位置を変更する位置設定部31を有すると共に本体2に対して移動可能に支持されるリトラクトピン30と、リトラクトピン30を駆動する駆動機構40と、切削刃22を有するカートリッチ20を径方向内方に付勢して位置設定部31に当接させる板バネ35とを備え、リトラクトピン30は、駆動機構40により駆動されて位置設定部31を通じてカートリッチ20の位置を変更することにより、切削刃22の径方向位置を変更する。
この構造により、バニシング加工部7に先立ってワークWの内周面Sを加工するスカイビング加工部6の切削刃22を有するカートリッチ20は、リトラクト機構8が備える板バネ35により径方向内方に付勢された状態で、切削刃22の径方向位置を変更するリトラクト機構8のリトラクトピン30の位置設定部31に当接する。この結果、カートリッチ20を径方向内方に付勢する板バネ35の付勢力により、切削刃22を位置設定部31により変更される各径方向位置に確実に位置させることができ、さらにスカイビング加工部6が回転するときの遠心力やクーラントの液圧などの外力がカートリッチ20に作用する場合にも、切削刃22が位置設定部31により設定された径方向位置から径方向に移動することを防止できて、リトラクト機構8の機能を向上させることができる。
この構造により、複合加工工具1の送り工程において、切削刃22がワークWの内周面Sを加工する一方でバニシングローラ63は該内周面Sを加工せず、複合加工工具1の戻り工程において、バニシングローラ63が切削刃22により加工された内周面Sを加工する一方で切削刃22が該内周面Sを加工しない2ウェイ方式の加工が可能になり、複合加工工具1の1往復でワークWの内周面Sに2つの加工を施すことができるので、加工効率の向上およびコスト削減が可能になる。
マンドレル61の外周面61aが送り方向に小径となるテーパ面で構成され、バニシングローラ63の外周面63aが送り方向に大径となるテーパ面で構成されて、バニシングローラ63が、複合加工工具1の送り工程時に、位置可変機構70により第2加工位置を占め、複合加工工具1の戻り工程時に、位置可変機構70により第2非加工位置を占めるように、バニシング加工部7が構成されてもよい。
この構造により、複合加工工具1の送り工程において、切削刃22およびバニシングローラ63がこの順で内周面Sを連続して加工する一方、戻り工程において、切削刃22およびバニシングローラ63が内周面Sを加工しない1ウェイ方式の加工が行われる。この結果、前記実施形態と同様に、複合加工工具1の1往復でワークWの内周面Sに2つの加工を施すことができるので、加工効率の向上およびコスト削減が可能になる。
複合加工工具1がワークWに対して相対的に送り方向(または反送り方向)に移動する形態の別の例として、複合加工工具1が軸線方向に移動することなく、ワークWが軸線方向に移動する形態、複合加工工具1およびワークWが共に軸線方向に移動する形態であってもよい。
位置設定部31は、外径が異なる3以上の部分から構成されてもよく、また外径が連続的に変化する部分、例えばテーパ面を有する部分から構成されてもよい。このような位置設定部31によれば、最も径方向内方の縮径位置に対して複数の拡径位置を設定できる。
スカイビング加工部6が備えるカートリッチ20の数である前記所定数は、2または4以上の数であってもよい。
カートリッチ20を径方向内方に向けて付勢するバネ部材は、板バネ35以外に、コイルバネまたは皿バネであってもよい。
回動中心線L2は、中心軸線L1と交差する平面に含まれる直線であって、かつ中心軸線L1に平行でない直線であってもよい。
第1,第2駆動ロッド41,42を駆動する前記駆動体は、第1駆動ロッド41を押圧して送り方向に移動させるプッシュロッドであってもよく、また該駆動体に駆動力を作用させる前記駆動力発生部は、流体圧力を使用した機構以外に、電磁気力を使用した機構(例えばソレノイド)、またはマニュアル式の機構であってもよい。
第1加工部および第2加工部が、軸線方向において互いに重なる位置に配置されてもよい。
第1加工部は、スカイビング加工部6以外の切削加工部であってもよく、また研削加工部であってもよい。第2加工部は、バニシング加工部7以外に、切削加工部または研削加工部であってもよい。
2 本体
6 スカイビング加工部
7 バニシング加工部
8 リトラクト機構
16,17 ガイドパッド、
20 カートリッチ、
22 切削刃
24 調整部材
30 リトラクトピン
31 位置設定部
35 板バネ
40 駆動機構
63 バニシングローラ
70 位置可変機構
W ワーク
L1 中心軸線
L2 回動中心線
Claims (6)
- ワークに対して中心軸線を中心に相対的に回転する本体と、前記本体に設けられた第1加工部および第2加工部とを備え、前記ワークの内周面が前記第1加工部の第1加工具により加工された後に前記第2加工部の第2加工具により加工される複合加工工具において、
前記第1加工具の径方向位置を前記内周面を加工する第1加工位置と、前記内周面を加工しない第1非加工位置とに変更可能なリトラクト機構と、
前記第2加工具の径方向位置を、前記内周面を加工する第2加工位置と、前記内周面を加工しない第2非加工位置とに変更可能な位置可変機構と、を備え、
前記第1加工部は、前記第1加工具を有する1以上のカートリッチを備え、
前記リトラクト機構は、前記第1加工具の径方向位置を変更する位置設定部を有すると共に前記本体に対して移動可能に支持される操作部材と、前記操作部材を駆動する駆動機構と、前記カートリッチを径方向内方に付勢して前記位置設定部に当接させる付勢部材とを備え、
前記操作部材は、前記駆動機構により駆動されて前記位置設定部を通じて前記カートリッチの位置を変更することにより、前記第1加工具の径方向位置を変更するものであり、
前記複合加工工具が前記ワークに対して相対的に送り方向に移動する場合、前記リトラクト機構は前記第1加工具に前記第1加工位置を占めさせる一方、前記位置可変機構は前記第2加工具に前記第2加工位置および前記第2非加工位置の一方の位置を占めさせ、
前記複合加工工具が前記ワークに対して相対的に反送り方向に移動する場合、前記リトラクト機構は前記第1加工具に前記第1非加工位置を占めさせる一方、前記位置可変機構は前記第2加工具に前記第2加工位置および前記第2非加工位置の他方の位置を占めさせることを特徴とする複合加工工具。 - 請求項1記載の複合加工工具において、
前記カートリッチは、前記第1加工具の径方向位置を調整可能な調整部材を有し、
前記カートリッチは、前記調整部材において前記位置設定部に当接することを特徴とする複合加工工具。 - 請求項1または2記載の複合加工工具において、
前記カートリッチは、前記本体に対して回動中心線を中心に回動可能に回動支持部に支持され、
前記回動中心線と前記付勢部材とが、前記カートリッチにおける前記位置設定部との当接部位を挟んで配置されることを特徴とする複合加工工具。 - 請求項1から3のいずれか1項記載の複合加工工具において、
前記第1加工部は、周方向に等しい間隔を置いて配置された3以上の同一の前記カートリッチを備え、
前記第1加工具と前記第2加工具とが、軸線方向に直列に配置され、
前記付勢部材は、前記カートリッチと同じ軸線方向位置での周方向幅が軸線方向幅よりも小さい板バネであることを特徴とする複合加工工具。 - 請求項1から4のいずれか1項記載の複合加工工具において、
前記第1加工部は、複数の前記カートリッチと、互いに周方向に等しい間隔を置いて配置された複数の同一のガイドパッドを備え、
前記各ガイドパッドは、周方向で隣接する前記第1加工具の、周方向での中央に配置されることを特徴とする複合加工工具。 - 請求項1から5のいずれか1項記載の複合加工工具による加工方法において、
前記複合加工工具の送り工程時に、前記第1加工具は前記リトラクト機構により前記第1加工位置を占める一方、前記第2加工具は前記位置可変機構により前記第2加工位置および前記第2非加工位置の一方の位置を占め、
前記複合加工工具の戻り工程時に、前記第1加工具は前記リトラクト機構により前記第1非加工位置を占める一方、前記第2加工具は前記位置可変機構により前記第2加工位置および前記第2非加工位置の他方の位置を占めることを特徴とする加工方法。
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