JP5362483B2 - アルキルエーテル化カルボキシアルキルセルロースの製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち本発明は、セルロースまたはその誘導体(A)とアルキル化剤(B)を、アルカリ(C)と特定の化学構造の相間移動触媒(D)の存在下で反応させることを特徴とするアルキルエーテル化セルロース誘導体(E)の製造方法である。
好ましくは、カルボキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースおよびアルキルセルロースであり、特に好ましくは、カルボキシアルキルセルロースである。
好ましくは、アルキルクロライドであり、特に好ましくは、エチルクロライド、メチルクロライドである。
これらの固形アルカリ金属水酸化物の形状は、粒状、フレーク状、粉状の何れでも良い。大きさは、粒状物は好ましくは直径1〜5mm、フレーク状物は好ましくは0.5〜3cm角、粉状物は好ましくは30〜100μmであるが、本発明はこれに限定されない。作業従事者の取り扱い上、粒状が好ましい。
セルロースまたはその誘導体(A)とアルカリ(C)の重量比(A)/(C)は、通常1/0.1〜1/2.0であり、1/0.3〜1/1.5が好ましい。
直鎖の脂肪族炭化水素基としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヤシ油アルキル基およびオレイル基などが挙げられ、分岐の脂肪族炭化水素基としては、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。これらのうち、炭素数が8〜20の直鎖の脂肪族炭化水素基が好ましく、さらに好ましいのは炭素数が10〜18の直鎖の脂肪族炭化水素基である。
R4が脂肪族炭化水素基の具体例は、1つの長鎖アルキル基を有するもの(トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルテトラデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、トリメチルヤシ油アルキルアンモニウム、トリメチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、ジメチルエチルドデシルアンモニウム、ジメチルエチルテトラデシルアンモニウム、ジメチルエチルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルエチルオクタデシルアンモニウム、ジメチルエチルヤシ油アルキルアンモニウム、ジメチルエチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、メチルジエチルドデシルアンモニウム、メチルジエチルテトラデシルアンモニウム、メチルジエチルヘキサデシルアンモニウム、メチルジエチルオクタデシルアンモニウム、メチルジエチルヤシ油アルキルアンモニウムおよびメチルジエチル−2−エチルヘキシルアンモニウムなど)、2つの長鎖アルキル基(炭素数6〜22)を有するもの(ジメチルジヘキシルアンモニウム、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウムおよびジメチルジドデシルアンモニウムなど)、1つの長鎖アルケニル基(炭素数8〜22)を有するもの(トリメチルオレイルアンモニウム、ジメチルエチルオレイルアンモニウムおよびメチルジエチルオレイルアンモニウムなど)が挙げられる。
好ましくはジメチルジデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、メチルジエチルドデシルアンモニウム、およびメチルジエチルヤシ油アルキルアンモニウムが挙げられる。
好ましくはジメチルドデシルベンジルアンモニウム、ジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウム、ジメチルオレイルベンジルアンモニウムおよびジメチル−2−エチルヘキシルベンジルアンモニウムが挙げられる。
酸(F)としては、無機酸、有機酸が挙げられ、無機酸が好ましい。
無機酸の具体例としては、塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、重亜硫酸、燐酸、亜燐酸、次燐酸、メタ燐酸、次亜燐酸、アミド燐酸、炭酸、重炭酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、オルトホウ酸、メタホウ酸、スルファミン酸などが挙げられる。
これらのうち、好ましいのは、塩酸、硫酸、臭化水素酸、硝酸、燐酸、亜燐酸である。
溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリンなどの芳香族炭化水素系溶剤;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサンなどの脂肪族または脂環式炭化水素系溶剤;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどのハロゲン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエステル系またはエステルエーテル系溶剤;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;t−ブタノールなどのアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶剤、N−メチルピロリドンなどの複素環式化合物系溶剤、ならびにこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。
アルキルエーテル化反応開始時の溶媒と、セルロースまたはその誘導体(A)の重量比[溶媒/(A)]は通常、0/1〜10/1、好ましくは0.1/1〜4/1である。
アルキルエーテル化反応開始時の水と(A)の重量比[水/(A)]は通常、0/1〜0.3/1、好ましくは0.01/1〜0.15/1である。この範囲より多くの水の量になると、不均一性が増してスラリー状反応系を保持できなくなり、凝集を生じるだけではなく、アルキル化剤の主反応への効率が低下する。
例えば、(A)としてグルコース環単位当り0.5個がカルボキシメチル基で置換されたカルボキシメチルセルロースを原料とし、残りの2.5個のうち2.1個がさらにアルキルエーテル化された場合のアルキルエーテル化置換度は、84%である。
具体的には、(E)のアルキルエーテル結合をヨウ化水素酸で開裂し、生じたヨウ素酸からヨウ素を遊離させ、これをチオ硫酸ナトリウムで測定することで求められる。詳細は後述する。
(A)、(B)、(C)を混合し、最後に(C)を投入する方法では、(C)の溶解熱や急激な反応により生成物が着色し易くなり、好ましくない。
通常、医薬品等の薬剤の添加剤、特に腸溶性のコーティング剤、苦みマスキング剤、あるいは頭髪用セット剤として使用することができる。
(1)試料15mgとヨウ化水素酸6mLを分解フラスコに入れた後、窒素を通じて、150℃で1時間加熱する。生成するヨウ化エチルを気相に追い出し,この後1重量%の赤リン懸濁液で洗浄し、吸収管に送る。吸収管には、酢酸カリウム15gを酢酸/無水酢酸混液(9/1)150mLに溶解し、その溶液145mLを量り、臭素5mLを加えておく。
(2)酢酸ナトリウム三水和物溶液が入った共栓三角フラスコに、吸収管の内容物を加える。吸着管の内壁に付着した内容物は、水を加えることで流し出す。次に、振り混ぜながら臭素の赤色が消えるまで、ギ酸を加える。
(3)共栓三角フラスコにヨウ化カリウム3gと希硫酸15mLを加え、栓をして軽く振り混ぜ、5分間放置する。遊離したヨウ素を0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム液で滴定する。
(4)下記式からまずエトキシ基含量(CE)を算出し、これを用いて本発明のアルキルエーテル化置換度(CR)を算出する。
エトキシ基含量(CE)(%)=滴定量(mL)×75.10/試料量(mg)
アルキルエーテル化置換度(CR)(%)=95×CE/(45−44CE)×100
オートクレーブ反応容器にカルボキシメチルセルロース(カルボキシメチル化置換度16.6%、グルコース環単位当りのカルボキシアルキル基の置換基数0.5)(A−1)45.7部、水酸化ナトリウム(C−1)20.8部、ジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウムクロライド(D−1)1.8部、トルエン80.5部、および水3.5部を投じ、窒素置換後、120℃で圧力を見ながらエチルクロライド(B−1)33.5部を徐々に加え、12時間反応した。反応終了後、反応物をグラス容器に移し、水215.9部と硫酸13.3部を加え、析出した粒子を遠心分離機で水洗および脱水し、90℃で減圧乾燥して、カルボキシメチルエチルセルロースを得た。結果を表1に示した。
なお、表1中のアルキルエーテル化反応終了後の外観を示す「凝集」とは、凝集物が多く、不均一な状態であることを示し、「溶液状」とは、これら凝集物が無く、均一な外観であることを示す。
実施例1において、相間移動触媒のジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウムクロライド(D−1)の代わりにジメチルジn−デシルアンモニウムクロライド(D−2)1.8部とした以外は実施例1と同様に操作した。
実施例1において、相間移動触媒のジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウムクロライド(D−1)の代わりにセチルトリメチルアンモニウムクロライド(D’−4)1.8部とした以外は実施例1と同様に操作した。
実施例1において、相間移動触媒のジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウムクロライド(D−1)の代わりにテトラメチルアンモニウムクロライド(D’−1)1.8部とした以外は実施例1と同様に操作した。
実施例1において、相間移動触媒のジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウムクロライド(D−1)の代わりにトリメチルブチルアンモニウムクロライド(D’−2)1.8部とした以外は実施例1と同様に操作した。
実施例1において、相間移動触媒のジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウムクロライド(D−1)の代わりにトリヤシ油メチルアンモニウムクロライド(D’−3)1.8部とした以外は実施例1と同様に操作した。
実施例1において、相間移動触媒を使用しなかったこと以外は実施例1と同様に操作した。
また、反応終了後の均一性が高く、溶液状となるため、ハンドリングが容易になり、生成物の分離、精製の作業性が向上する。
Claims (5)
- セルロースまたはその誘導体(A)とアルキル化剤(B)を、アルカリ(C)と下記一般式(1)で表される相間移動触媒(D)の存在下で反応させることを特徴とするアルキルエーテル化セルロース誘導体(E)の製造方法。
- 相間移動触媒(D)を表す一般式(1)中、R4が炭素数が7〜22のアリールアルキル基である請求項1記載のアルキルエーテル化セルロース誘導体の製造方法。
- 該酸(F)が、無機酸である請求項1または2に記載のアルキルエーテル化セルロース誘導体の製造方法。
- セルロース誘導体(A)の重量に基づいて(D)を0.1〜20重量%含有する請求項1〜3いずれか記載のアルキルエーテル化セルロース誘導体の製造方法。
- セルロース誘導体(A)がカルボキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースおよびアルキルセルロースからなる群より選ばれる1種以上である請求項1〜4いずれか記載の製造方法。
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