JP5360498B2 - クランプ - Google Patents

Description

この発明は、長尺のパイプ、チューブ等の管体或いはロッド、ワイヤー等の棒状部材を所定範囲内において、径の大小に拘わらず確実に保持固定できるとともに、管体等の振動を減衰させることのできるクランプに関するものである。

例えば、従来のクランプは、合成樹脂等から成り一体構造のクランプ本体と半円の凹形状を有した物品受け体と凹形状の上からパイプ等を押さえるクリップ手段を有している。そして、物品受け体の凹形状は、保持する長尺のパイプ、チューブ等の管体と略等しい径を有しており、使用するパイプ等の径に応じて物品受け体の凹形状も変更していた。また、クリップ手段は可撓性を有するもののクランプ本体と凹形状を有した物品受け体との間には、撓み代が殆どなかった。

特開２００５−１７２２２９号公報 特開２００１−９９３５７号公報

従来のクランプは、軟質部材を硬質部材に取り付ける際の作業性が悪い上に、生産性が低いと云う欠点が存在した。
また、保持する管体等の振動を抑制するための軟質部材に撓み代が殆ど無く、充分な制振効果を得ることができなかった。
更に、所定の管体の径に合わせて設計するために、他の管径に流用することは殆ど不可能であった。

この発明は、上記したような不都合を解消するためになされたもので、凹面部材を組み合わせて筒状体を構成するとともに、前記凹面部材の内周側に円弧状の緩衝部材を着脱可能に配設し、この緩衝部材で管体を保持することにより、所定の許容径範囲で保持固定できるとともに、管体の振動を減衰できるクランプを提供するものである。

この発明は、以下のような内容である。
（１）凹面部材を組み合わせて筒状体を構成するとともに前記凹面部材の何れかにクランプを固定するための固定手段を備えたクランプ本体と、前記凹面部材の内周側に配設された略円弧状の緩衝部材とから成り、前記緩衝部材は、略凹面状に構成された保持面を有し、前記凹面部材と対向する側面に膨出形成された脚部を備え、前記緩衝部材は、凹面の内周側に向かって前記脚部から立設された複数の突起を備え、前記突起は、保持面の仮想内周面より突出形成され、前記膨出形成された脚部は、内周側で前記保持面に開口した凹部を有し、前記突起が前記凹部底面から立設されており、前記筒状体を構成した凹面部材の内周に配設された緩衝部材で長尺体を保持することを特徴とする。
（２）（１）に記載のクランプにおいて、前記緩衝部材は、前記凹面部材に形成された取付孔から突出可能な着脱用突起を有するとともに、前記着脱用突起は、前記膨出形成された脚部の外側底部から突出形成されたことを特徴とする。
（３）（１）または（２）に記載のクランプにおいて、前記緩衝部材は、幅方向の中央に形成された脚部を介して前記クランプ本体の凹面部材と接触していることを特徴とする。
（４）（１）〜（３）に記載のクランプにおいて、前記緩衝部材は、それぞれ同一形状に形成されたものが複数備えられたことを特徴とする。

この発明によれば、凹面部材を組み合わせて筒状体を構成するとともに前記凹面部材の何れかにクランプを固定するための固定手段を備えたクランプ本体と、前記凹面部材の内周側に配設された略円弧状の緩衝部材とから成り、前記緩衝部材は、略凹面状に構成された保持面を有し、前記凹面部材と対向する側面に膨出形成された脚部を備え、前記緩衝部材は、凹面の内周側に向かって前記脚部から立設された複数の突起を備え、前記突起は、保持面の仮想内周面より突出形成され、前記膨出形成された脚部は、内周側で前記保持面に開口した凹部を有し、前記突起が前記凹部底面から立設されており、前記筒状体を構成した凹面部材の内周に配設された緩衝部材で長尺体を保持するので、径の異なる長尺体であっても確実に保持することができ、脱落の虞れがない。
また、パイプ等の長尺体に対して緩衝部材の突起と保持面とが２段階に当接することで複数の管径に対応することができる。また、突起の変形を円滑にして管径の変化に対応することができる。
また、前記緩衝部材は、前記凹面部材に形成された取付孔から突出可能な着脱用突起を有するとともに、前記着脱用突起は、前記膨出形成された脚部の外側底部から突出形成されたので、クランプ本体と緩衝部材を組立てる際の組み立て工程を簡易化するとともに防振性能を向上することができる。
また、前記緩衝部材は、幅方向の中央に形成された脚部を介して前記クランプ本体の凹面部材と接触しているので、パイプ等の長尺体の半径方向の振動だけでなく、ピッチング（Pitching）或いはヨーイング（Yawing）方向の振動にも対応することができる。
また、前記緩衝部材は、それぞれ同一形状に形成されたものが複数備えられたので、部品点数の削減を図ることができる。

図１は、本発明の第１の実施例であるクランプの開いた状態を示す正面図である。 図２は、同クランプの開いた状態を示す底面図である。 図３は、同クランプの開いた状態を示す側面図である。 図４は、同クランプの閉じた状態を示す正面図である。 図５は、同クランプの開いた状態を示す斜視図である。 図６は、同クランプを構成するクランプ本体の拡大斜視図である。 図７は、同クランプ本体の断面図である。 図８は、同クランプを構成する緩衝部材の拡大斜視図である。 図９は、同緩衝部材の正面図である。 図１０は、同緩衝部材の縦断面図である。

本発明は、凹面部材を組み合わせて筒状体を構成するとともに前記凹面部材の何れかにクランプを固定するための固定手段を備えたクランプ本体と、前記凹面部材の内周側にそれぞれ着脱可能に配設された略円弧状の緩衝部材とから成り、前記筒状体を構成した凹面部材の内周に配設された緩衝部材で長尺体を保持するので、径の異なる長尺体であっても確実に保持することができるとともに、脱落の虞れがない。

以下、一実施の形態を示す図面に基づいて本発明を詳細に説明する。図１は本発明の第１の実施例であるクランプの開いた状態を示す正面図、図２は本発明のクランプの開いた状態を示す底面図、図３はクランプの開いた状態を示す側面図、図４はクランプの閉じた状態を示す正面図、図５はクランプの開いた状態を示す斜視図である。ここで、本発明のクランプ１０は、複数の凹面部材１１を組み合わせて筒状体を構成するとともに前記凹面部材１１の何れかにクランプ１０を固定するための固定手段１２を備えたクランプ本体１３と、前記凹面部材１１の内周側１１ａにそれぞれ着脱可能に配設された略円弧状の緩衝部材１４とから構成されている。

図６、７に示す実施の形態では、クランプ本体１３は、２個の凹面部材１１の一端がヒンジ１５で結合されており、他端に係合手段１６、１７を備えている。また、ヒンジ１５は、硬質樹脂が薄肉でかつ曲面状に形成されており、可撓性を増すよう構成されている。凹面部材１１は、硬質合成樹脂、例えば、ポリアセタール樹脂（ＰＯＭ）、ポリアミド樹脂（ＰＡ）等から成り、緩衝部材１４を取り付けるための一対の貫通した取付孔１８、１８が形成されている。取付孔１８は、凹面部材１１の幅寸法Ｗの中央に設けられており、凹面部材１１の内周側１１ａで一対の取付孔１８に挟まれた部分は、略平坦に形成されている。

係合手段１６は、図１〜７等に示すように凹面部材１１の開放端に設けられており、基端部１６ａと基端部から立設された弾性変形可能な係合片１６ｂとから構成されている。係合片１６の頂部には、断面略三角形の係合突起１６ｃが形成されている。基端部１６ａと係合片１６ｂとは、凹面部材１１の幅寸法Ｗと略等しく形成されている。更に、係合片１６の幅方向の端部には、対向配置される案内片１７ａの端部と当接し、横方向のズレを阻止する横ズレ防止突起１９ａ、１９ｂが形成されている。

係合手段１７は、凹面部材１１の開放端に設けられており、所定の間隔を有して略平行に突設された案内片１７ａと弾性変形可能な係合片１７ｂとから構成されている。係合片１７ｂの頂部には、断面略三角形の係合突起１７ｃが形成されている。そして、係合突起１６ｃと係合突起１７ｃとは係合段部１６ｄ、１７ｄが互いに対向する向きに形成されており、２個の凹面部材１１を互いに近づけて筒状体を構成する際に係合するように配設されている。

固定手段１２は、凹面部材１１の何れか一方に取り付けられている。また、固定手段１２は、断面が長円形の筒体をしており、幅方向の両端に係合片２０が切り起こして形成されている。更に、係合片２０は、弾性変形が可能であり、外側に係合段部２０ａを有し、固定手段１２の筒体の外周面から一部が突出している。
本実施の形態において、固定手段１２の取り付けられ周囲の凹面部材１１から複数の当接片２１が立設されている。当接片２１は、凹面部材１１の一対の取付孔１８に挟まれた平坦部分の外周から斜めに延設されており、先端に円柱部２１ａを有している。したがって、当接片２１の当接角度が変化しても、常に円の一部で対象物に当接することになる。

図８は本発明のクランプ１０を構成する緩衝部材１４の拡大斜視図、図９は本発明の緩衝部材の正面図、図１０は本発明の緩衝部材１４の縦断面図である。
緩衝部材１４は、軟質の合成樹脂例えば、熱可塑性エラストマー（ＴＰＥ）、オレフィン系エラストマー（ＴＰＯ）等から成り、凹面部材１１の内周側にそれぞれ着脱可能に配設され、全体が略円弧状に形成されている。また、緩衝部材１４は、略凹面状に構成された保持面２２を有するとともに、凹面部材１１と対向する側面に膨出形成された脚部２３と、この脚部２３の外底から外方に突出形成され、凹面部材１１に形成された取付孔１８から突出可能な着脱用突起２４とを備えている。

また、緩衝部材１４は、保持面２２の内周側に向かって脚部２３の内底面から立設された一対の突起２５を備えており、突起２５は、保持面２２の仮想内周面Ｋより突出形成されているので、パイプ等の長尺体に対して緩衝部材１４の突起２５と保持面２２とが２段階に当接することで複数の管径に対応することができる。更に、突起２５の先端は、両端２５ａが円弧状に形成されると共に、中央部２５ｂがそれより低く平坦に形成されている。また、膨出形成された脚部２３は、内周側で保持面２２に開口した凹部２６を有し、突起２５がこの凹部内底面から立設されている。また、緩衝部材１４は、幅Ｈ方向の中央に形成された脚部２３を介してクランプ本体１３の凹面部材１１と接触するので、パイプ等の長尺体の半径方向の撓みだけでなく、図８に示す矢印Ｘ方向、Ｙ方向の撓みにも対応することができる。また、緩衝部材１４は、それぞれ同一形状に形成されて、凹面部材１１に取り付けられる。

脚部２３に形成された凹部２６は、保持面２２との間に切り欠き２７を有しており、保持面２２の撓みと突起２５の撓みとが互いに影響を受けることを少なくしている。着脱用突起２４は、全体が略楔状に形成されており、脚部２３の外底面から所定の位置に係合段部２４ａを有している。また、着脱用突起２４は、組み付け時に指で把持し易い寸法となっている。

次に、クランプ１０の組み立て手順について説明する。まず、それぞれ別々の金型でクランプ本体１３は、硬質樹脂で緩衝部材１４は軟質樹脂をもって成形される。クランプ本体１３の凹面部材１１に緩衝部材１４を取り付ける。この際、凹面部材１１に形成された取付孔１８に緩衝部材１４の着脱用突起２４を挿通する。軟質樹脂をもって成形された着脱用突起２４は、容易に変形し取付孔１８から引き出され、係合段部２４ａが凹面部材１１の外周壁に係合して固定される。また、着脱用突起２４は、指で摘み易い寸法形状となっているので、緩衝部材１４の凹面部材１１への組み付け作業は容易である。１個のクランプ本体１３に対して、２個の緩衝部材１４が使用されると共に、緩衝部材１４は同一形状のものが使用できるので部品点数の削減を図ることができる。

次に、以上のように構成されたクランプ１０を使用して長尺のパイプ、チューブ等の管体を自動車のエンジンコンパートメント（Engin Compartment）内に設置する場合について説明する。先ず、クランプ１０の固定手段１２を直接車両に形成された図外の取り付け孔に挿着する。固定手段１２を取り付け孔に挿着すると、係合片２０が一旦、弾性変形して後退した後、再度前進して係合段部２０ａが車両の板厚部に係合することでクランプ１０が車両に固定される。また、固定手段１２の周囲に形成された当接片２１は、先端の円柱部２１ａが車両壁面に当接してクランプ１０の姿勢を保持することができる。つまり、当接片２１が弾性変形するので、保持したパイプ等の振動によってクランプ１０自体の取り付け姿勢が所定範囲で自在に変化する。

クランプ１０を固定した後、パイプ等を開成された緩衝部材１４の保持面２２に載せた後、凹面部材１１を閉じて係合手段１６、１７をロックする。係合手段１６の係合突起１６ｃは、係合手段１７の係合突起１７ｃと案内片１７ａの間に挿入され、係合突起１７ｃと係合する。すると、図４に示すように２個の凹面部材１１、１１は組み合わされて筒状体を構成するとともに、緩衝部材１４の保持面２２も対向配置されてパイプを保持する。この際、パイプ表面に突起２５および保持面２２がそれぞれ独立して当接するので保持するパイプ径の許容範囲を大きくすることができる。例えば、パイプ径を１５．９φ、１９φ、２２φ等に対応することができる。また、クランプ本体１３を変えることなく、緩衝部材１４の寸法形状を変更するのみで、種々のパイプ径に対応できる。

更に、本発明のクランプ１０は、自動車等の振動によって固定したパイプが振動した場
合、パイプが４個の突起２５と２個の緩衝部材１４で保持されているので効果的に振動を減衰することができる。また、突起２５は膨出形成された脚部２３の凹部内底面から立設されているので、変形の際に緩衝部材１４の変形の影響を受け難い。したがって、突起２５と緩衝部材１４とが異なる弾性係数に基づき、異なる振動特性に対応することができる。軟質樹脂から成形された緩衝部材１４は、脚部２３を介して凹面部材（クランプ本体１３）に挿着されているので変形範囲を大きくすることができ、減衰性能を向上することができる。また、脚部２３が緩衝部材１４の幅Ｈ方向の中央に設けられているので、緩衝部材１４は、保持するパイプがピッチング方向或いはヨーイング方向に移動することも許容できる。したがって、長尺のパイプ、チューブ等の管体の保持する許容範囲が拡大する。また、図８に示すように軟質材は、圧縮するよりも曲げる方がより柔軟性を発揮でき、曲げ変形を利用して管径の許容範囲を向上できると共に、防振効果が向上する。

また、係合手段１６、１７において係合片１６ｂと係合片１７ｂとが係合した際に横（幅）方向の移動が横ズレ防止突起１９ａ、１９ｂによって阻止されるので、一旦ロックすると外れることがなく、パイプ等が自動車の走行中に脱落する虞れがない。更に、突起２５の先端は、両端２５ａが円弧状に形成されると共に、中央部２５ｂがそれより低く平坦に形成されているので、パイプ等との当接性が増す。

上記した実施の形態において、クランプ本体１３を構成する凹面部材１１の数は、２個の場合について説明したが、３個以上であってもよい。

尚、以上の実施例は、パイプを保持する場合について説明したが、チューブ等の管体或いはロッド、ワイヤー等の棒状部材であっても適用できる。また、緩衝部材の振動特性を変更することにより、種々の固有振動に対応することができる。本発明は上述の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の設計変更が可能である。

１０ クランプ
１１ 凹面部材
１１ａ 内周側
１２ 固定手段
１３ クランプ本体
１４ 緩衝部材
１５ ヒンジ
１６ 係合手段
１６ａ 基端部
１６ｂ 係合片
１６ｃ 係合突起
１６ｄ 係合段部
１７ 係合手段
１７ａ 案内片
１７ｂ 係合片
１７ｃ 係合突起
１７ｄ 係合段部
１８ 取付孔
１９ 横ズレ防止突起
２０ 係合片
２０ａ 係合段部
２１ 当接片
２１ａ 円柱部
２２ 保持面
２３ 脚部
２４ 着脱用突起
２５ 突起
２６ 凹部
２７ 切り欠き

Claims (4)

1. 凹面部材を組み合わせて筒状体を構成するとともに前記凹面部材の何れかにクランプを固定するための固定手段を備えたクランプ本体と、
   前記凹面部材の内周側に配設された略円弧状の緩衝部材とから成り、
   前記緩衝部材は、略凹面状に構成された保持面を有し、前記凹面部材と対向する側面に膨出形成された脚部を備え、
   前記緩衝部材は、凹面の内周側に向かって前記脚部から立設された複数の突起を備え、前記突起は、保持面の仮想内周面より突出形成され、
   前記膨出形成された脚部は、内周側で前記保持面に開口した凹部を有し、前記突起が前記凹部底面から立設されており、
   前記筒状体を構成した凹面部材の内周に配設された緩衝部材で長尺体を保持することを特徴とするクランプ。
2. 請求項１に記載のクランプにおいて、
   前記緩衝部材は、前記凹面部材に形成された取付孔から突出可能な着脱用突起を有するとともに、前記着脱用突起は、前記膨出形成された脚部の外側底部から突出形成されたことを特徴とするクランプ。
3. 請求項１または請求項２に記載のクランプにおいて、
   前記緩衝部材は、幅方向の中央に形成された脚部を介して前記クランプ本体の凹面部材と接触していることを特徴とするクランプ。
4. 請求項１から請求項３の何れか１項に記載のクランプにおいて、
   前記緩衝部材は、それぞれ同一形状に形成されたものが複数備えられたことを特徴とするクランプ。

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