JP5359791B2 - 車両用シート - Google Patents

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本発明は、サイドエアバッグ装置を備えた車両用シートに関する。
従来、車両用シートに設けられ、シートバックにおけるサイドサポートの骨格を成す押圧アームを、アクチュエータによって駆動することで、サイドサポートを調整するようにした可動式サイドサポート調整装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、シートバックにおけるサイドサポートにサイドエアバッグ装置を内蔵し、サイドエアバッグの展開圧によってバックボードをサイドドア側に屈曲させて、サイドエアバッグを外部へ突出させる車両用シートが知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、車両用シートのシートバック内に可動式のサイドサポート調整装置及びサイドエアバッグ装置(サイドエアバッグモジュール)を共に設けた技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。簡単に説明すると、図10に示される如く、車両用シート100のシートバック114の骨格を成すシートバックフレーム114Aのシート幅方向外側に、サイドエアバッグモジュール120が図示されないボルトとナットにより固定されている。また、サイドエアバッグモジュール120のシート前後方向前方側に、サイドサポート118の骨格を成すサイドサポート骨格部材130が図示されない駆動機構を介して支持されている。さらに、サイドエアバッグモジュール120のシート幅方向外側にはバックボード115の側部115Bが設けられ、側面視でバックボード115の側部115Bのシート前端は、サイドエアバッグモジュール120を覆う位置まで延在されている。そして、センサ等によって車両の側面衝突(が不可避であること)が検出された場合には、サイドエアバッグモジュール120内に設けられたインフレータ126が作動される。すると、サイドエアバッグ124の内部にインフレータ126から発生したガスが供給され、サイドエアバッグ124が膨張される。そして、バックボード115の側部115B及びサイドサポート118のシート幅方向外側部118Bがシート幅方向外側に押し開けられて、サイドエアバッグ124がシート斜め前方外側に突出される構成とされている。
特開2008−220640号公報 特開平8−324372号公報 特表2008−541896号公報
しかしながら、上記先行技術では、車両側方から衝突を受けてドアトリム又はセンターピラー(Bピラー)が車室内に進入すると、バックボード115の側部115Bと、ドアトリム又はセンターピラーとが干渉する。その結果、特にバックボードの側部115Bをシート幅方向外側に十分押し開くことができず、サイドエアバッグ124を展開させるための開口幅が狭くなる。
本発明は、上記の点に鑑み、可動式のサイドサポート調整装置とサイドエアバッグ装置とがシートバックに内蔵された車両用シートにおいて、サイドエアバッグを良好に展開させることができる車両用シートを得ることを目的とする。
請求項1に記載の発明に係る車両用シートは、シートバックのサイドサポートに設けられたサイドパッドを支持する骨格部材と、前記骨格部材をシート幅方向に変位させる骨格変位機構とを有するサイドサポート調整機構と、シートバック内におけるシート幅方向端部に側面視で前記骨格部材とオーバーラップするように折り畳み状態で設けられ、インフレータからガスの供給を受けて膨張されつつ、シートバック表皮に形成された破断部が破断されてシート前後方向の前方に向けて膨出されるサイドエアバッグを有し、シートバックの骨格を成すシートバックフレームのシート幅方向外側に設けられたサイドエアバッグ装置と、前記シートバック表皮の一部であるサイド表皮よりもシート幅方向内側でかつ前記シートバックフレームよりもシート幅方向外側に設けられると共に、シート前後方向前端側が前記破断部に固定され、シート前後方向に弛みを有する、前記シートバック表皮よりも伸び難い外側張力伝達部材と、前記シートバックフレームに固定されると共に、前記張力伝達部材のシート前後方向後端側が固定された後側固定部材と、を有し、さらに、前記後側固定部材は、前記サイドエアバッグ装置のシート幅方向外側に延在され、かつ、側面視で、少なくとも前記インフレータのシート前後方向前端より前方へ延在されていることを特徴とする。
上記構成によれば、骨格変位機構によって骨格部材をシート幅方向に変位させることで、サイドサポートの調整がなされる。ここで、外側張力伝達部材がシートバック表皮の一部であるサイド表皮よりもシート幅方向内側でかつシートバックフレームよりもシート幅方向外側に設けられている。また、外側張力伝達部材は、シート前後方向前端側がシートバック表皮に形成された破断部に固定され、シート前後方向後端側がシートバックフレームに固定された後側固定部材に固定されている。さらに、外側張力伝達部材はシート前後方向に弛みを有している。したがって、骨格部材がシート幅方向内側に変位しても、弛みが伸長されるので、破断部に大きな力が作用して破断部が破断することはない。また、本車両用シートでは、サイドエアバッグが膨張、展開されると、展開圧が外側張力伝達部材を介して破断部に集中するので、すみやかに破断部を開裂させることができる。
さらに、本車両用シートでは、後側固定部材が延在する分だけ、外側張力伝達部材の全長を短くすることができる。これにより、サイドエアバッグが膨張、展開された場合に、サイドエアバッグの展開圧が外側張力伝達部材に作用しても、外側張力伝達部材の伸びが抑えられる。したがって、展開圧が外側張力伝達部材を介して破断部に集中しやすくなる。
請求項に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1に記載の車両用シートにおいて、さらに、シート前後方向前端側が前記シートバック表皮の一部であるフロントサイド表皮に形成された前記破断部に固定されると共に、前記骨格部材と前記サイドパッドとの間に、該骨格部材のシート幅方向内側に沿ってかつ少なくとも一部が、前記サイドパッドのシート幅方向外側に沿って配設され、シート前後方向後端側が前記後側固定部材又は前記後側固定部材に固定された内側固定部材に固定された、前記シートバック表皮よりも伸び難い内側張力伝達部材を有することを特徴とする。
上記構成によれば、サイドエアバッグが膨張、展開されると、展開圧が内側張力伝達部材を介しても破断部に集中するので、よりすみやかに破断部を開裂させることができる。
また、上記構成によれば、内側張力伝達部材が例えばシートバック表皮の内面とサイドパッドとの間を通って配設されている場合には、サイドエアバッグが膨張、展開された場合に、サイドエアバッグの展開圧が直接サイドパッドに作用する。一方、上記構成によれば、サイドエアバッグが膨張、展開された場合に、サイドエアバッグの展開圧が骨格部材を介して内側張力伝達部材に作用する。そのため、サイドエアバッグの展開圧が直接サイドパッドに作用する場合に比べて、サイドパッドに展開圧が加わることが抑制される。その結果、サイドパッドの潰れが抑制されると共に、展開圧が内側張力伝達部材を介して破断部に集中しやすくなる。
請求項に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1又は請求項2に記載の車両用シートにおいて、さらに、シート前後方向前端側が前記シートバック表皮の一部であるフロントサイド表皮に形成された前記破断部に固定されると共に、前記サイドパッドのシート幅方向外側に沿って配設され、シート前後方向後端側が前記骨格部材のシート前後方向前端部に固定された、前記シートバック表皮よりも伸び難い内側張力伝達部材を有することを特徴とする。
上記構成によれば、内側張力伝達部材が例えばフロントサイド表皮の内面とサイドパッドとの間を通って配設されている場合に比べて、内側張力伝達部材の全長を短くすることができる。これにより、サイドエアバッグが膨張、展開された場合に、サイドエアバッグの展開圧が内側張力伝達部材に作用しても、内側張力伝達部材の伸びが抑えられる。したがって、展開圧が内側張力伝達部材を介して破断部に集中しやすくなる。
請求項に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、前記弛みは、側面視で、前記サイドエアバッグ装置よりシート前後方向前方に配置されていることを特徴とする。
サイドエアバッグは、シートバック表皮に形成された破断部が破断されてはじめてシート前後方向の前方に向けて展開される。したがって、上記構成のように、弛みがサイドエアバッグ装置よりシート前後方向前方に配置されれば、サイドエアバッグの膨張、展開時に、展開圧力を弛みに迅速に伝達することができる。つまり、サイドエアバッグ装置は、シート前方に膨張、展開されるので、弛みがサイドエアバッグ装置よりシート前後方向後方に配置されている場合には、展開圧力が弛みに伝達されるまでに時間がかかる。これに対して、上記構成では弛みがサイドエアバッグ装置よりシート前後方向前方に配置されているので、上記の通り展開圧力を弛みに迅速に伝達することができる。
請求項に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、前記弛みのシート前後方向前後端は、張力が付与された弾性部材によって互いに連結されていることを特徴とする。
上記構成によれば、弛みの長さを除いた外側張力伝達部材の長さと弾性部材の長さとの合計が、外側張力伝達部材の長さより短くなる。そして、弾性部材には張力が付与されているので、弛みを除いた部分の外側張力伝達部材は弾性部材により引っ張られる。
請求項に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、前記後側固定部材のシート前後方向前端部は、前記骨格部材が前記骨格変位機構によってシート幅方向内側に最大変位した場合におけるサイド表皮と平行に配置されていることを特徴とする。
上記構成によれば、骨格部材が骨格変位機構によってシート幅方向内側に最大変位した場合に、後側固定部材のシート前後方向前端部はシートバック表皮の側部と平行に配置される。そのため、シートバック表皮の側部と後側固定部材のシート前後方向前端部とが干渉しない。
請求項に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、側面視で、前記後側固定部材のシート前後方向前端と、シートバックの後端に設けられたバックボードのシート幅方向外端かつシート前後方向前端とは、同じ位置にあることを特徴とする。
乗員が車両を乗降する際に、乗員の手がバックボードのシート幅方向外端に触れることがある。しかし、上記構成によれば、側面視で、後側固定部材のシート前後方向前端と、バックボードのシート幅方向外端かつシート前後方向前端とが、同じ位置にある。そのため、乗員の手がバックボードのシート幅方向外端に触れても、乗員の手に後側固定部材が触れることがない。したがって、乗員に異物感を与えることがない。
請求項に記載の発明に係る車両用シートは、請求項〜請求項のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、前記内側張力伝達部材には、前記骨格部材のシート前後方向後端より後方に弛みが設けられていることを特徴とする。
例えば小型車のシートにサイドサポート調整機構を設ける場合、サイドサポートのシート幅が大型車のそれに比べて狭くなることがある。したがって、サイドエアバッグを展開させるための開口幅を考慮すると、シートバックのサイドサポートの骨格を成す骨格部材のシート幅方向の変位を大きくする必要がある。上記構成によれば、骨格変位機構によって骨格部材がシート幅方向内側に変位されても、内側張力伝達部材には、骨格部材のシート前後方向後端より後方に弛みが設けられている。これにより、シート幅方向の変位が大きい場合において、骨格部材のシート幅方向内側への変位に伴って内側張力伝達部材が引っ張られても、弛みが伸長して吸収するので、破断部に大きな力が作用して破断部が破断することがない。
請求項に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、さらに、前記サイドエアバッグの展開圧が作用した場合に、前記骨格部材における少なくともシート幅方向の外側部分を含む一部又は全部をシート幅方向内側へ退避させるための骨格可動構造を有することを特徴とする。
上記構成によれば、サイドエアバッグの展開圧が骨格部材に作用すると、骨格部材はシート幅方向内側へ容易に変位する。
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係る車両用シートは、可動式のサイドサポート調整装置とサイドエアバッグ装置とがシートバックに内蔵された車両用シートにおいて、サイドエアバッグを良好に展開させることができるという優れた効果を有する。
また、本発明に係る車両用シートは、後側固定部材が、側面視で、インフレータのシート前後方向前端より後方に位置する場合に比べて、サイドエアバッグの展開性能を向上できるという優れた効果を有する。
また、請求項記載の本発明に係る車両用シートは、外側張力伝達部材だけを設けた場合に比べて、サイドエアバッグの展開性能を向上できるという優れた効果を有する。さらに、本発明に係る車両用シートは、内側張力伝達部材がシートバック表皮の前側部のシート幅方向外側とサイドパッドのシート幅方向内側との間を通って配設されている場合に比べて、サイドエアバッグの展開性能を向上できるという優れた効果を有する。
また、請求項記載の本発明に係る車両用シートは、内側張力伝達部材がシートバック表皮の前側部のシート幅方向外側とサイドパッドのシート幅方向内側との間を通って配設されている場合に比べて、サイドエアバッグの展開性能を向上できるという優れた効果を有する。
また、請求項記載の本発明に係る車両用シートは、弛みがサイドエアバッグ装置よりシート前後方向後方に配置されている場合に比べて、サイドエアバッグの展開性能を向上できるという優れた効果を有する。
また、請求項記載の本発明に係る車両用シートは、弾性部材によって弛みが吸収されるという優れた効果を有する。
また、請求項記載の本発明に係る車両用シートは、骨格部材が骨格変位機構によってシート幅方向内側に最大変位した場合に、シートバック表皮の外観形状を良好に保つことができるという優れた効果を有する。
また、請求項記載の本発明に係る車両用シートは、乗員の手触り感を良好に保つことができるという優れた効果を有する。
また、請求項記載の本発明に係る車両用シートは、小型車のシートであってもサイドエアバッグを良好に展開させることができるという優れた効果を有する。
また、請求項記載の本発明に係る車両用シートは、骨格部材によってサイドエアバッグの展開が妨げられることが防止又は抑制されるという優れた効果を有する。
本実施形態に係る車両用シートを構成するサイドエアバッグの展開状態を拡大して示す底面断面図である。 本実施形態に係る車両用シートを構成するサイドサポートを拡大して示す底面断面図である。 本実施形態に係る車両用シートを構成するサイドサポートの調整状態を拡大して示す底面断面図である。 本実施形態に係る車両用シートの概略構成を示す斜視図である。 図4の5−5線に沿って拡大して示す底面断面図である。 本実施形態に係る車両用シートを構成するサイドエアバッグの展開状態を示す概略側面図である。 本実施形態に係る車両用シートのシート幅方向側部のうち、サイドエアバッグが設けられた側を後方から見た斜視図である。 本実施形態の第一の変形例に係る車両用シートを構成するサイドサポートを拡大して示す、図2に対応する底面断面図である。 本実施形態の第二の変形例に係る車両用シートを構成するサイドサポートを拡大して示す、図2に対応する底面断面図である。 可動式のサイドサポート調整装置及びサイドエアバッグ装置を共に設けた、従来の車両用シートのサイドサポートの概略構成を拡大して示す底面断面図である。
本発明の実施形態及びその変形例に係る車両用シート10について、図1〜図9に基づいて説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印RH、矢印LHは、それぞれ車両用シート10が適用された自動車の前方向(進行方向)、上方向、車幅方向の一方側である右側、他方側である左側を示しており、シート前後方向前方向、シート上下方向上方向、シート幅方向の右側、左側に対応している。以下、『シート前後方向前方』、『シート前後方向後方』、『シート前後方向前側』、『シート前後方向後側』をそれぞれ単に『シート前方』、『シート後方』、『シート前側』、『シート後側』と称する。また、『シート幅方向外側』、『シート幅方向内側』、『シート幅方向外端』、『シート幅方向内端』、『シート幅方向外向き』、『シート幅方向内向き』をそれぞれ単に『シート外側』、『シート内側』、『シート外端』、『シート内端』、『シート外向き』、『シート内向き』と称する。さらに、『シート上下方向上方』、『シート上下方向下方』をそれぞれ単に『シート上方』、『シート下方』と称する。
はじめに、本実施形態の車両用シート10の概略構成について説明する。
図4には、車両用シート10の概略全体の構成が斜視図にて示されている。ここで、図4は左ハンドル車における運転席シートを示している。また、図5には、図4に示す5−5線に沿った底面断面図が示されている。図4に示される如く、車両用シート10は、車両の乗員が着座するためのシートクッション12と、該シートクッション12のシート後端側に下端が連結されたシートバック14を有して構成されている。
図5に示される如く、シートバック14は、乗員の上体をシート後方から支持するバックレスト16と、バックレスト16におけるシート幅方向両端からシート前方に突出された左右一対のサイドサポート18とを有する。左右一対のサイドサポート18は、乗員の上体を側方から支持するようになっている。
図2には、図4に示す2−2線又は図6に示す2−2線に沿った底面断面図が示されている。図2に示される如く、シートバック14は、シートバックフレーム(以下、単にフレームと称する)14Aに後述するクッション材36、シートバック表皮54が支持されて構成され、バックボード15にてその後部が被覆されている。
図5に示される如く、車両用シート10を構成するシートバック14には、サイドエアバッグモジュール20(サイドエアバッグ装置)と、サイドサポート調整機構22とが内蔵されている。サイドエアバッグモジュール20及びサイドサポート調整機構22は、シートバック14を構成するシートバックフレーム14Aに支持されている。サイドエアバッグモジュール20は、シートバック14におけるシート外側のサイドサポート18内に配設されている。サイドサポート調整機構22は、左右一対のサイドサポート18(の角度、間隔)を調整するように構成されている。
図2に示される如く、サイドエアバッグモジュール20は、折り畳み状態とされガス供給を受けてシート前方に向け膨張、展開されるサイドエアバッグ24と、作動されることでサイドエアバッグ24に供給するガスを発生するインフレータ26と、折り畳み状態のサイドエアバッグ24及びインフレータ26を覆うカバー材28とを含んで構成されている。本実施形態では、インフレータ26は、折り畳み状態のサイドエアバッグ24におけるシート後方の後部内に、シート上下方向に沿う姿勢で設けられている。このインフレータ26は、車両用シート10が適用された車両の側面衝突(が不可避であること)が検出された場合に作動されるようになっている。
これにより、サイドエアバッグモジュール20は、インフレータ26から発生したガスが直接的にサイドエアバッグ24に供給されるようになっている。また、サイドエアバッグモジュール20は、インフレータ26に設けられた図示しないスタッドボルトと図示しないナットによって、フレーム14Aにおけるシート外側でシート上下方向に延在するサイドフレーム部14Bに締結されている。カバー材28は、サイドエアバッグ24の膨張に伴って、容易に破断されるようになっている。
図6に示される如く、サイドエアバッグ24は、シート上下方向(側面視)において、車両用シート10の着座乗員Pの腰部Lから胸部Cまでの領域をカバーするように展開されるようになっている。
図6の例では、展開状態のサイドエアバッグ24は、側面視で上下のチャンバ24U、24Lに区画されている。この例では、着座乗員Pの腰部Lに対応する下側のチャンバ24Lにおいて該着座乗員Pの胸部Cに対応する上側のチャンバ24Uよりも内圧が高く保持されるようになっている。この上下2分割構造(2チャンバ構造)のサイドエアバッグ24は、公知の構成であるので、詳細説明は省略する。
次に、本実施形態におけるサイドサポート調整機構22ついて説明する。本実施形態では、骨格変位機構としてのパドル駆動機構34により調整力を付与させることでサイドサポート18の角度調整がなされている。
図5に示されるサイドサポート調整機構22は、それぞれ骨格部材としての左右一対のパドル30を有しており、左右のパドル30によって左右のサイドサポート18の骨格部を成している。車両用シート10では、パドル30をシート幅方向に変位させることで、サイドサポート18が調整されるようになっている。具体的には、パドル30は、図2及び図3に示される如く、クッション材36におけるサイドサポート18を構成する部分であるサイドパッド36Aをシート外側でかつシート後方から支持している。そして、パドル30をシート幅方向に変位させることで、左右のサイドサポート18(の位置、姿勢、形状)による着座乗員P(図6参照)の拘束状態が調整されるようになっている。
図4に示される如く、本実施形態におけるパドル30は、サイドサポート18(シートバック14)における上下方向の中間部に配置されている。左右のパドル30は、図6に示される如く、車両用シート10の着座乗員Pの腹部(腰部Lと胸部Cとの間)を含む領域に配置されている。すなわち、パドル30は、サイドエアバッグモジュール20(折り畳み状態のサイドエアバッグ24)とシート上下方向にオーバーラップして配置されている。さらに図2及び図3に示される如く、パドル30は、左右のサイドサポート18の調整範囲内において、サイドフレーム部14Bに対しシート外側に張り出す部分を有し、該部分がサイドエアバッグモジュール20のシート前方に位置する構成とされている。
より具体的には、パドル30は、図4に示される如く、サイドパッド36A(図2参照)を支持しているシート前後方向のクッション支持部30Cと、後述する骨格変位機構としてのパドル駆動機構34(図5参照)に支持され、クッション支持部30Cよりシート後方に位置する骨格変位機構支持部30Dとを含んで構成されている。図6に示される如く、パドル30のクッション支持部30Cは、骨格変位機構支持部30D(図5参照)の上端と略同一の高さから上方に突出している上方突出部30CUと、骨格変位機構支持部30Dの下端と略同一の高さから下方に突出している下方突出部30CLとを含んで構成されている。
図5に示される如く、サイドサポート調整機構22は、左右のサイドサポート18を調整するための調整力を発生するパワー部32、該パワー部32からの調整力を受けてパドル30をシート幅方向に変位させる骨格変位機構としてのパドル駆動機構34、及びパドル30を所定の位置に変位させる付勢部材としてのリターンスプリング35をさらに有する。サイドサポート調整機構22は、パワー部32の調整力がパドル駆動機構34によってパドル30の変位力に変換されることで、リターンスプリング35の付勢力に抗してサイドサポート18を調整する構成とされている。なお、左右のパドル30、パドル駆動機構34は基本的に左右対称に構成されている。
パドル駆動機構34は、サイドフレーム部14Bに対するシート内側に固定されたブラケット38を有する。ブラケット38には、シート内側部分に該シート幅方向に沿って長手の長孔(ガイド溝)38Aと、シート外側部分にシート前後方向に沿って長手の長孔(ガイド溝)38Bとが形成されている。各長孔38Aには、パドル30におけるシート後端部から突出されたガイドピン30A、30Bが摺動可能に挿入されている。パドル30は、ガイドピン30A、30Bがブラケット38に対し変位されることで、サイドパッド36A(図2参照)を支持しているシート前後方向のクッション支持部30Cがシート幅方向に変位されるようになっている。
リターンスプリング35は、パドル30のクッション支持部30Cとサイドフレーム部14Bとの間に引張状態で架け渡した引張コイルスプリングとされている。リターンスプリング35の付勢力によってパドル30は、ガイドピン30Aが長孔38Aのシート内端に当接すると共にガイドピン30Bが長孔38Bのシート後端に当接する位置に保持されている。この位置は、パドル30のクッション支持部30Cが最もシート外側でかつシート後端側に位置する初期位置とされており、左右のパドル30が初期位置に位置する状態では左右のサイドサポート18間の間隔が最も広くされる。
サイドサポート調整機構22を構成するパドル駆動機構34は、ガイドピン30Aをシート外側に押圧することで、リターンスプリング35の付勢力に抗してパドル30を変位させるようになっている。これにより、パドル30は、ガイドピン30A、30Bにおいてブラケット38の長孔38A、38Bにガイドされつつ、初期位置に対しクッション支持部30Cがシート内側(矢印A方向、図2参照)に変位(姿勢変化)されるようになっている(図3参照)。
パドル駆動機構34は、操作ケーブル40によってパワー部32の調整力をガイドピン30Aに対する押圧力に変換するようになっている。図5に示される如く、操作ケーブル40は、インナケーブル42と、該インナケーブル42の両端部を除く部分を被覆するアウタケーブル44とを主要部とする被覆ケーブルとされている。インナケーブル42のシート外端42Aは、長孔38Aにおけるシート外端よりもシート外側で、ブラケット38(又はサイドフレーム部14B)に係止されている。インナケーブル42のシート内端42Bは、後述する如くパワー部32によってシート内側に引張られるようになっている。
一方、アウタケーブル44は、シート外端面がガイドピン30Aに対しシート内側から非拘束で接触されると共に、シートの内端部が固定具46を介してフレーム14Aに固定的に支持されている。なお、図5において、固定具46とフレーム14Aとの支持構造は図示を省略している。インナケーブル42は、アウタケーブル44とガイドピン30Aとの接触を担保するため、ガイドピン30Aを貫通している。そして、図5に示される如く、操作ケーブル40は、パドル30が初期位置に位置する状態で弛んでいる。
これにより、パドル駆動機構34では、インナケーブル42のシート内端42Bをシート内向き(操作対象のパドル30側とは反対側)に引張ることで、アウタケーブル44は弛みが解消されつつガイドピン30Aをシート幅方向の外向きに押圧する構成とされている。また、サイドサポート調整機構22では、図3に示される如きサイドサポート18の調整状態からインナケーブル42のシート内端42Bをシート外向きに変位させると、パドル30はリターンスプリング35の付勢力で初期位置側に変位させるようになっている。
パワー部32は、駆動源としてのモータ48と、モータ48のトルクをインナケーブル42のシート内向きへの引張力に変換するケーブル引張機構50とを主要部として構成されている。モータ48は、ブラケット52を介してフレーム14Aに支持(この支持構造は図示省略)されており、給電によりシート幅方向に沿った出力軸48Aを軸線廻りに正逆回転させ得る電気モータとされている。本実施形態では、ケーブル引張機構50は、出力軸48Aの回転をシート幅方向に沿った直線運動に変換する送りねじ機構とされている。
具体的には、ケーブル引張機構50は、シート幅方向に長手とされモータ48によって自軸廻りに回転されるスクリュー50Aと、該スクリュー50Aに螺合ナット50Bとを有する。本実施形態では、パワー部32は左右のパドル30(パドル駆動機構34)で共用されており、左右のスクリュー50A、これらに螺合するナット50Bは、互いに逆ねじとされている。これにより、ケーブル引張機構50は、左右のスクリュー50Aがモータ48によって正回転されると、左右のナット50Bを互いに近接させ(シート内向きに変位させ)、左右のスクリュー50Aがモータ48によって逆回転されると、左右のナット50Bを互いに離間させる(シート外向きに変位させる)構成とされている。
そして、サイドサポート調整機構22では、インナケーブル42のシート内端42Bが左右対応するナット50Bに接続されている。このため、車両用シート10では、モータ48によってスクリュー50Aを正回転させると、インナケーブル42が引張られてアウタケーブル44がガイドピン30Aを車幅方向外向きに押圧し、図3に示される如くパドル30がシート前方でかつシート内向きに変位されるようになっている。これにより、上記の通り左右のサイドサポート18が互いに近接するように調整される構成である。なお、パワー部32のモータ48は、着座乗員Pによる図示しない手元スイッチ等の操作に応じてスクリュー50Aを正逆回転させるようになっている。
以上説明した車両用シートでは、パドル30は、ガイドピン30Aに対しシート内側からアウタケーブル44を接触させているパドル駆動機構34によっては、矢印A方向(図2参照)への変位が拘束されない構成とされている。このため、パドル30は、そのクッション支持部30Cにシート後方側からリターンスプリング35の付勢力に抗し得る荷重が入力された場合に、該リターンスプリング35の付勢力に抗して矢印A方向に(回転)変位されるようになっている。この際、操作ケーブル40のインナケーブル42は、ガイドピン30Aに対し摺動するか、又はガイドピン30Aと長孔38Aのシート外端との間で撓むこととなり、パドル30の矢印A方向への変位に対し殆ど抵抗力を生じさせない(生じる抵抗力が小さい)構成である。また、アウタケーブル44は、パドル30の矢印A方向に変位に伴って該パドル30の後部が離間されるので、パドル30の矢印A方向への変位に対し抵抗力を生じさせない構成である。
リターンスプリング35の付勢力は、サイドエアバッグ24(図2参照)が展開に伴いパドル30をシート前方に押圧する押圧力(展開圧に基づく押圧力)に対し十分に小さい。したがって、車両用シート10では、サイドエアバッグモジュール20のインフレータ26(図2参照)が作動されると、図1に示される如くサイドエアバッグ24に押圧されたパドル30が矢印A方向(図2参照)に変位されるようになっている。本実施形態では、パドル30を矢印A方向に非拘束としつつ該矢印A方向に駆動し得るパドル駆動機構34(操作ケーブル40のアウタケーブル44によるガイドピン30Aの押圧構造)が本発明における骨格可動構造に相当する。
次に、本実施形態の要部に係る構成について説明する。
本実施形態に係る車両用シート10には、図2及び図3に示される如く、シートバック14を構成するシートバック表皮54に、サイドエアバッグ24の展開に伴って開裂される破断部56が形成されている。より具体的には、本実施形態では、表皮材54はシート前側部54Fとシート側部54Sとを含んで構成されている。そして、破断部56は、シート上下方向に沿ったシートバック表皮54のシート前側部54Fとシート側部54Sの縫製部とされており、サイドサポート18のシート前後方向前端でかつシート外端に配置されている。なお、縫製部は所定値以上の引張力が作用した場合に、破断されるように破断荷重が設定されている。
ここで、サイドサポート18内には、サイドエアバッグ24の膨張、展開に基づく展開圧を受けて破断部56に伝達する張力伝達部材としての力布60が設けられている。図6及び図7に示される如く、力布60はシート上下方向の上方側と下方側とに設けられている。上方側に設けられた力布は、着座乗員Pの胸部Cに対応する高さに設けられている。以降ではこの力布を「胸部対応力布60C」と称する。また、下方側に設けられた力布は、着座乗員Pの腰部Lに対応する高さに設けられている。以降ではこの力布を「腰部対応力布60L」と称する。なお、力布60は、サイドエアバッグ24の展開圧を受けても伸びの少ない、ポリエステル不織布や綿布などで構成されている。
図6に示される如く、腰部対応力布60Lは、側面視でパドル30の下方突出部30CLに対応する高さに設けられている。すなわち、腰部対応力布60Lの一部は、側面視で、パドル30とオーバーラップして配置されている。また、腰部対応力布60Lの一部は、側面視でサイドエアバッグモジュール20とオーバーラップして配置されている。図7に示される如く、腰部対応力布60Lは、サイドフレーム部14Bよりシート外側に設けられた腰部外側力布60LOと、サイドフレーム部14Bよりシート内側に設けられた腰部内側力布60LIとで構成されている。
具体的には、図2に示される如く、腰部外側力布60LOは、その一端側が、サイド表皮54Sのシート前端54Sのシート前端54SFに縫製され、他端側が、フレーム14Aに固定された後述する後側固定部材としての第一の力布ブラケット62に係止されている。腰部外側力布60LOのシート前方側は、サイド表皮54Sのシート内側に沿って設けられている。図7に示される如く、後述する第一の力布ブラケット62のシート前端側でかつシート下方側には、シート上下方向に開口するスリット状の開口62CLが設けられており、この開口62CLに腰部外側力布60LOの他端側が通されると共に、腰部外側力布60LOの他端が折り返されている。そして、腰部外側力布60LOの他端が腰部外側力布60LOの一部に縫製されている。
図2に示される如く、パドル30が初期位置(パドル30のクッション支持部30Cが最もシート外側でかつシート後端側に位置する初期位置)にある場合において、腰部外側力布60LOには、シート前後方向に弛む弛み64LOが設けられている。この弛み64LOの長さは約40ミリメートルとされ、腰部外側力布60LOの全長は、パドル30がシート内側に最大変位された場合(図3参照)に弛み64LOが解消される長さに設定されている。この弛み64LOは、バックボード15の側部のシート前端15Aよりシート前方に設けられていると共に、インフレータ26のシート前端より前方に設けられている。また、弛み64LOは、パドル30のシート外端かつシート前端30Fより後方に設けられている。この弛み64LOのシート前後方向前後端は、張力が付与された弾性部材である弛み吸収用ゴム66によって互いに連結されている。
腰部内側力布60LIは、その一端側が、フロントサイド表皮54Fのシート外端54FOに縫製され、他端側が、第一の力布ブラケット62に固定された後述する内側固定部材としての第二の力布ブラケット68に係止されている。腰部内側力布60LIは、フロントサイド表皮54Fのシート外端54FOから、サイドパッド36Aのシート外側に沿って配設されていると共に、サイドパッド36Aのシート外側とパドル30のシート内側との間を通って配設され、第二の力布ブラケット68に係止されている。図7に示される如く、後述する第二の力布ブラケット68のシート前端側には、シート上下方向に開口するスリット状の開口68Lが設けられており、この開口68Lに腰部内側力布60LIの他端側が通されると共に、腰部内側力布60LIの他端が折り返されている。そして、腰部内側力布60LIの他端が、腰部内側力布60LIの一部に縫製されている。
また、図2に示される如く、パドル30が初期位置にある場合において、腰部内側力布60LIには、パドル30のシート前後方向後端より後方に、パドル30がシート幅方向に変位した場合に対応できる程度の弛み64LIが設けられている。
胸部対応力布60Cは、図6に示される如く、側面視でパドル30の上方突出部30CUより上方に配置されている。すなわち、側面視で胸部対応力布60Cとパドル30とはオーバーラップして配置されていない。その一方で、胸部対応力布60Cの一部は、側面視でサイドエアバッグモジュール20とオーバーラップして配置されている。図7に示される如く、胸部対応力布60Cは、サイドフレーム部14Bよりシート外側に設けられた胸部外側力布60COと、サイドフレーム部14Bよりシート内側に設けられた胸部内側力布60CIとで構成されている。
胸部対応力布60Cの配設方法は基本的には腰部対応力布60Lのそれと同様であるので図示は省略するが、胸部外側力布60COは、一端側が、サイド表皮54Sのシート前端54SFに縫製され、他端側が、フレーム14Aに固定された後述する第一の力布ブラケット62に係止されている。胸部外側力布60COの一部は、サイド表皮54Sのシート内側に沿って設けられている。図7に示される如く、後述する第一の力布ブラケット62のシート前端側でかつシート上方側には、シート上下方向に開口するスリット状の開口62CUが設けられており、この開口62CUに胸部外側力布60COの他端側が通されると共に、胸部外側力布60COの他端が折り返されている。そして、胸部外側力布60COの他端が、胸部外側力布60COの一部に縫製されている。
胸部外側力布60COには、パドル30が初期位置にある場合において、弛みが設けられている。この弛みの長さは約15ミリメートルとされ、胸部外側力布60COの全長は、パドル30がシート内側に最大変位された状態で弛みが解消される長さに設定されている。なお、図6に示される如く、側面視において、胸部外側力布60COはパドル30とオーバーラップして配置されていないので、胸部外側力布60COに設けられた弛みの長さは、腰部外側力布60LOに設けられた弛み64LOの長さよりも短く設定されている。
胸部内側力布60CIは、一端側が、フロントサイド表皮54Fのシート外端54FOに縫製され、他端側が、第一の力布ブラケット62に固定された後述する内側固定部材としての第三の力布ブラケット70(図7参照)に係止されている。胸部内側力布60CIは、フロントサイド表皮54Fのシート幅方向外端54FOから、サイドパッド36Aのシート外側でかつシートフレーム14Aのシート内側を通って配設され、第三の力布ブラケット70に係止されている。図7に示される如く、後述する第三の力布ブラケット70のシート前端側には、シート上下方向に開口するスリット状の開口70Uが設けられており、この開口70Uに胸部内側力布60CIの他端側が通されると共に、胸部内側力布60CIの他端が折り返されている。そして、胸部内側力布60CIの他端が、胸部内側力布60CIの一部に縫製されている。
また、パドル30が初期位置にある場合において、胸部内側力布60CIには、パドル30がシート幅方向に変位した場合に対応できる程度の弛みが設けられている。
第一の力布ブラケット62は、図2に示される如く、フレーム14Aの後端部に固定されて、サイドエアバッグモジュール20よりシート後方に位置してシート幅方向に延在するシート幅方向部62Aと、シート幅方向部62Aの外端からシート斜め外側前方に延在する斜外前方向部62Bと、斜外前方向部62Bのシート前端からシート斜め内側前方に延在する斜内前方向部62Cと、シート幅方向部62Aの内端からシート斜め内側前方に突出する斜内前突出部62Dとを含んで構成されている。図7に示される如く、斜内前突出部62Dは、シート上方側とシート下方側とに設けられている。この上側の斜内前突出部62Dと下側の斜内前突出部62Dとの間の高さに対応する位置に、図示しないサイドサポート調整機構が配置されている。
第一の力布ブラケット62のシート上下方向長さは、サイドエアバッグモジュール20のそれより長く設定されており、側面視において、サイドエアバッグモジュール20は第一の力布ブラケット62によって覆われている(図示省略)。また、第一の力布ブラケット62は、図6に示される如く側面視で、サイドエアバッグモジュール20とオーバーラップして配置されていると共に、図2に示される如く、インフレータ26のシート前端より前方へ延在されている。すなわち、斜内前方向部62Cのシート前端62Fは、インフレータ26のシート前端より前方に位置している。斜内前方向部62C(図2参照)の前端側でかつシート上方側には、胸部外側力布60COが係止されている。また、斜内前方向部62Cの前端側でかつシート下方側には、腰部外側力布60LOが係止されている。さらに、図3に示される如く、斜内前方向部62Cは、パドル30がパドル駆動機構34(図5参照)によってシート内側に最大変位した場合において、サイド表皮54Sと平行となるように配置されている。
図2に示される如く、第二の力布ブラケット68は、第一の力布ブラケット62の斜内前突出部62Dに固定された固定部68Aと、固定部68Aのシート内端からシート前方に延在するシート前後方向部68Bとで構成されている。図7に示される如く、第二の力布ブラケット68のシート上下方向長さは、胸部対応力布60Cの上下方向長さより長く設定されている。第二の力布ブラケット68のシート前後方向部68Bの前端は、側面視でサイドエアバッグモジュール20の後端より後方に位置している。また、第二の力布ブラケット68のシート前後方向部68Bの前端側には、シート上下方向に開口するスリット状の開口68Lが設けられ、この開口68Lに腰部内側力布60LIが通されている。
図7に示される如く、第三の力布ブラケット70は、第二の力布ブラケット68と同様のものであり、第一の力布ブラケット62の斜内前突出部62Dに固定された固定部70Aと、固定部70Aのシート内端からシート前方に延在するシート前後方向部70Bとで構成されている。シート前後方向部70Bの前端側には、胸部内側力布60CIが係止されている。
次に、本実施形態の要部に係る作用を説明する。
上記構成の車両用シート10では、図5に示される如く、着座乗員P(図6参照)が図示しない手元スイッチをサイドサポート18がシート内方に変位される側に操作すると、モータ48によってスクリュー50Aが正回転される。すると、左右のナット50Bがそれぞれシートの内側に変位され、インナケーブル42が引張られることでアウタケーブル44がガイドピン30Aをシート外向きに押圧する。これにより、左右のパドル30は、サイドパッド36A(図2参照)及びシートバック表皮54と共にそれぞれの矢印A方向に変位され、サイドサポート18のバックレスト16に対する角度が小さくなり、左右のサイドサポート18の間隔が狭まる。
ここで、図2に示される如く、本実施形態では、左右一対のサイドサポート18(図5参照)のうちサイドエアバッグモジュール20が設けられている側のサイドサポート18には、腰部外側力布60LOが配設されている。また、腰部外側力布60LOには弛み64LOが設けられている。したがって、左右のパドル30が矢印A方向に変位され、サイドサポート18のバックレスト16に対する角度が小さくなり、左右のサイドサポート18の間隔が狭まるにつれて、腰部外側力布60LOの一端と、他端との直線距離が長くなる。それに伴い弛み64LOが解消されつつ、パドル30がシート内方に最大変位された場合には、図3に示される如く、弛み64LOが完全に解消された状態とされる。したがって、パドル30がパドル駆動機構34によってシート内側に変位しても、破断部(縫製部)56に大きな力が作用して破断部56が破断することはない。なお、パドル30がシート内側に変位すると、図3に示される如く、腰部外側力布60LOがサイドエアバッグモジュール20のカバー材28と干渉して、サイドエアバッグモジュール20(サイドエアバッグ24及びカバー材28)の形状が変形する。
また、図6に示される如く、胸部外側力布60COは側面視でパドル30とオーバーラップして配置されていないが、図2において左右のパドル30が矢印A方向に変位されることで、サイドサポート18のバックレスト16に対する角度が小さくなり、左右のサイドサポート18の間隔が狭まるので、胸部外側力布60COの一端と、他端との直線距離が長くなる。それに伴い胸部外側力布60COに設けられた弛みが解消されつつ、パドル30がシート内方に最大変位された場合には、弛みが完全に解消された状態とされる。したがって、パドル30がパドル駆動機構34によってシート内側に変位しても、破断部(縫製部)56に大きな力が作用して破断部56が破断することがない。
また、図2に示される如く、腰部内側力布60LIは、その一端側が、フロントサイド表皮54Fのシート前側部54Fのシート外端54FOに縫製され、他端側が、第二の力布ブラケット68に係止されている。そして、腰部内側力布60LIには、パドル30のシート後端より後方に弛み64LIが設けられている。したがって、左右のパドル30が矢印A方向に変位され、サイドサポート18のバックレスト16に対する角度が小さくなり、左右のサイドサポート18の間隔が狭まるにつれて、腰部内側力布60LIが引っ張られる。特に、小型車の場合、大型車に比べてサイドサポート18のシート幅方向長さが短くなることがある。そのため、シートバック14内にサイドサポート調整機構22と、サイドエアバッグモジュール20とを共に設けた場合、パドル30のシート内側への変位量が同じであっても、サイドエアバッグ24を展開させるための開口幅は異なる。すなわち、サイドサポート18のシート幅方向長さが大きい方が、開口幅も大きくなる。したがって、小型車においてサイドエアバッグ24を良好に展開させるためには、パドル30のシート幅方向の変位を大きくする必要がある。このとき、腰部内側力布60LIに弛み64LIが設けられていれば、パドル30がパドル駆動機構34(図5参照)によってシート幅方向に変位しても、破断部(縫製部)56に大きな力が作用して破断部56が破断することがない。
また、胸部内側力布60CIには、弛みが設けられている。そして、図6に示される如く、胸部対応力布60Cは、側面視でパドル30の上方突出部30CUより高い位置に配置されている。したがって、図2において左右のパドル30が矢印A方向に変位され、サイドサポート18のバックレスト16に対する角度が小さくなり、左右のサイドサポート18の間隔が狭まるにつれて、胸部内側力布60CIの一端と、他端との直線距離が長くなる。それに伴い弛みが解消されつつ、パドル30がシート内方に最大変位された場合には、弛みが完全に解消された状態とされる。したがって、パドル30がパドル駆動機構34(図5参照)によってシート内側に変位しても、破断部(縫製部)56に大きな力が作用して破断部56が破断することがない。
一方、図5に示される如く、着座乗員P(図6参照)が図示しない手元スイッチをサイドサポート18がシート外方に変位される側に操作すると、左右のナット50Bがそれぞれシートの外側に変位されて操作ケーブル40が弛み、左右のパドル30はそれぞれリターンスプリング35の付勢力によって初期位置側に変位される。これにより、サイドサポート18のバックレスト16に対する角度が大きくなり、左右のサイドサポート18の間隔が広がる。これにより、腰部外側力布60LO、胸部外側力布60COの一端と、他端との直線距離が短くなる。それに伴い、腰部外側力布60LO、胸部外側力布60COが弛みはじめ、パドル30が初期位置に戻された場合には、腰部外側力布60LOに弛み64LOが形成され、胸部外側力布60COにも弛みが形成された状態とされる(腰部外側力布60LOに弛み64LOが形成された状態は図2を参照)。また、腰部内側力布60LI、胸部内側力布60CIにもそれぞれ弛みが形成された状態とされる。
次に、サイドエアバッグ装置(サイドエアバッグモジュール20)作動時について説明する。
車両用シート10が適用された車両の該車両用シート10が配置された側(ニアサイド)への側面衝突が検出された場合、サイドエアバッグモジュール20のインフレータが作動される。すると、サイドエアバッグ24の内部にインフレータ26から発生したガスが供給され、サイドエアバッグ24が膨張、展開される。
ここで、本実施形態では、図6に示される如く、展開状態のサイドエアバッグ24は、着座乗員Pの胸部Cに対応する上側のチャンバ24Uと、着座乗員Pの腰部Lに対応する下側のチャンバ24Lとに区画されている。したがって、図2において、サイドエアバッグ24の膨張、展開に伴い、サイドエアバッグ24の下側のチャンバ24Lと上側のチャンバ24Uとがそれぞれカバー部材28を介して腰部対応力布60L、胸部対応力布60Cと当接する。そして、腰部対応力布60L、胸部対応力布60Cがサイドエアバッグ24の展開圧により押圧される。腰部対応力布60L、胸部対応力布60Cは、一端がシートバック表皮54に固定され、他端が力布ブラケット(第一の力布ブラケット62、第二の力布ブラケット68、第三の力布ブラケット70のいずれか)にそれぞれ係止されているので、サイドエアバッグ24の展開圧によって、腰部対応力布60L、胸部対応力布60Cに張力が付与される。その後、腰部外側力布60LOに設けられた弛み64LO、腰部内側力布60LIに設けられた弛み64LI、胸部外側力布60COに設けられた弛み、胸部内側力布60CIに設けられた弛みが、サイドエアバッグ24の展開形状に沿うように解消される。胸部対応力布60C、腰部対応力布60Lは伸びが少ない素材とされているので、シートバック表皮54の伸長が抑制されると共に、破断部56には、胸部対応力布60C、腰部対応力布60Lを介してサイドエアバッグ24の展開圧がロスされることなく伝達される。その結果、破断部56に応力が集中する。
また、腰部外側力布60LOに設けられた弛み64LOは、バックボード15の側部のシート前端15Aよりシート前方に配置されていると共に、インフレータ26のシート前端より前方に配置されている。したがって、サイドエアバッグ24の膨張、展開時に、腰部外側力布60LOに設けられた弛み64LOがサイドエアバッグモジュール20よりシート後方に配置されている場合又はバックボード15の側部のシート前端15Aよりシート後方に配置されている場合に比べて、展開圧を迅速に伝達することができる。これにより、すみやかにサイドエアバッグ24を展開させることができる。
また、図2に示される如く、第一の力布ブラケット62がインフレータ26のシート前端より前方へ延在されている。したがって、サイドエアバッグ24が膨張、展開されると、サイドエアバッグ24の一部と第一の力布ブラケット62とがカバー部材28を介して当接する。そのため、第一の力布ブラケット62によってサイドエアバッグ24の一部のシート幅方向への膨張が抑制され、図1に示される如く、サイドエアバッグ24はシート前方へ展開されやすくなる。
また、第一の力布ブラケット62が延在する分だけ、腰部外側力布60LO、胸部外側力布60COの全長が短くなる。したがって、サイドエアバッグ24の展開圧を腰部外側力布60LO、胸部外側力布60COが受けているときに、腰部外側力布60LO、胸部外側力布60COの伸びが抑えられる。そのため、シートバック表皮54に設けられた破断部56に展開圧が伝達されて、破断部56に応力が集中しやすくなる。
さらに、第一の力布ブラケット62の斜内前方向部62Cは、パドル30がパドル駆動機構34(図5参照)によってシート内側に最大変位した場合において、サイド表皮54Sと平行となるように配置されている(図3参照)。これにより、パドル30がパドル駆動機構34によってシート内側に最大変位した場合において、第一の力布ブラケット62の斜内前方向部62Cの先端とシートバック表皮54とが強く干渉しない。したがって、シートバック表皮54の外観形状を良好に保つことができる。なお、第一の力布ブラケット62の斜内前方向部62Cは、パドル30がパドル駆動機構34(図5参照)によってシート内側に最大変位した場合において、サイド表皮54Sと平行となるように配置されていなくても、第一の力布ブラケット62の斜内前方向部62Cの先端とシートバック表皮54とが強く干渉しない範囲内であれば、平行に含まれるものとする。
一方で、図2に示される如く、腰部内側力布60LIはサイドパッド36Aのシート外側に沿って配設されていると共に、サイドパッド36Aのシート外側とパドル30のシート内側との間を通って配設され、一端側がフロントサイド表皮54Fのシート外端54FOに縫製され、他端側が第二の力布ブラケット68に係止されている。したがって、サイドエアバッグ24が膨張、展開された場合に、サイドエアバッグ24の展開圧がパドル30を介して腰部内側力布60LIに作用する。ところで、腰部内側力布60LIが例えばフロントサイド表皮54Fの内面とサイドパッド36Aとの間を通って配設されている場合には、サイドエアバッグ24が膨張、展開された場合に、サイドエアバッグ24の展開圧が直接サイドパッド36Aに作用する。このため、本実施形態では、サイドエアバッグ24の展開圧が直接サイドパッドに作用する場合に比べて、サイドパッド36Aに展開圧が加わることが抑制される。したがって、サイドパッド36Aの潰れを抑制できるとともに、展開圧が腰部内側力布60LIを介して破断部56に集中しやすくなる。また、腰部内側力布60LIをシートバック表皮54のシート幅方向外側とサイドパッド36Aのシート内側との間を通って配設する場合に比較して、腰部内側力布60LIの全長を短くすることができる。その結果、腰部内側力布60LIの伸びが抑えられるので、シートバック表皮54に設けられた破断部56に展開圧が伝達されて、破断部56に応力が集中しやすくなる。
また、サイドエアバッグ24の展開圧をクッション支持部30Cにおいて受けたパドル30は、矢印A方向(図2参照)に変位され、該クッション支持部30Cがサイドエアバッグ24の展開領域(展開経路)から退避される。
そして、破断部56に所定値以上の応力が作用すると、破断部56の縫製糸が破断されて、破断部56が開裂される。具体的には、例えば腰部を例にとって見れば、腰部外側力布60LOと腰部内側力布60LIとの両方がサイドエアバッグ24の展開圧を受け、破断部56(縫製部)に引張力が作用する。ここで、図1の二点鎖線に示される如く、破断部56に所定値の力が作用する直前では、腰部外側力布60LOの弛み64LO、腰部内側力布60LIの弛み64LIは解消され、腰部外側力布60LOとサイド表皮54Sとが、吸収用ゴム66を介して当接されている。このとき、吸収用ゴム66は伸長されており、サイド表皮54Sは、シート幅方向に膨らんでいる。また図示は省略するが、フロントサイド表皮54Fは、シート前方及びシート幅方向に膨らんでいる。そしてさらにサイドエアバッグ24の展開圧が腰部外側力布60LO及び腰部内側力布60LIを介して破断部56に伝達されて破断部56に所定値以上の応力が作用すると、破断部56が開裂される。
これにより、車両用シート10では、図1に示される如く、サイドエアバッグ24がシート前方に展開される。車両用シート10の着座乗員Pは、そのシート外側(衝突側)で展開されたサイドエアバッグ24によって、側面衝突に対し保護される。このとき、伸長されていた吸収用ゴム66は収縮されていると共に、弛みが解消されていた腰部外側力布60LOに、再び弛み64LOが形成されている。
このように、本実施形態に係る車両用シート10では、サイドエアバッグモジュール20及びサイドサポート機構22がシートバック14のサイドサポート18に内蔵された構成において、弛みを有する力布60を設けることで、サイドエアバッグ24を良好に展開させることができる。
また、上記実施形態では、力布60を設けて破断部56に応力を集中させて開裂させ、サイドエアバッグ24を展開する構成とされているので、図10に示される如くバックボード115の側部115Bを開いてサイドエアバッグ124を展開させる従来の構成に比べて、バックボード15の剛性を落とす必要がない。そのため、サイドドアを開いて乗員が乗降する際に乗員がバックボード15に触れても、バックボード15の手触りを良好に保つことができる。
なお、上記実施形態では、図2に示される如く、腰部内側力布60LIは、その一端側が、フロントサイド表皮54Fのシート外端54FOに縫製され、他端側が、第二の力布ブラケット68に係止されていた。そして、腰部内側力布60LIのシート前方側は、シートバック表皮54のサイド表皮54Fのシート外端54SFから、サイドパッド36Aのシート外側に沿って配設されると共に、サイドパッド36Aのシート外側とパドル30のシート内側との間を通って、第二の力布ブラケット68に係止されていた。しかしながら、図8に示される如く、腰部内側力布60LIの一端側が、フロントサイド表皮54Fのシート外端54FOに縫製され、サイドパッド36Aのシート外側に沿って配設され、他端側がパドル30のシート前端かつシート外端30Fに係止されていてもよい。
この場合、上記実施形態に比べて、さらに腰部内側力布60LIの全長を短くすることができる。そのため、腰部内側力布60LIの伸びがさらに抑えられるので、サイドエアバッグ24が膨張、展開した場合に、展開圧が腰部内側力布60LIを介して破断部56に集中しやすくなる。したがって、さらにすみやかに破断部56を開裂させることができ、より迅速にサイドエアバッグ24の展開を完了させることができる。
さらに、上記実施形態では、第一の力布ブラケット62は、側面視で、インフレータ26のシート前端より前方へ延在されていた。しかしながら、図9に示される如く、サイドエアバッグモジュール20のシート後端よりも後側に、第一の力布ブラケット62のシート前端62Fが位置していてもよい。サイドエアバッグ24のシート幅方向の膨張を抑制させるという点でみれば、側面視で、第一の力布ブラケット62は少なくともインフレータ26のシート前端より前方へ延在されている方がよい。なお、側面視で、第一の力布ブラケット62のシート前端(すなわち斜内前方向部62Cのシート前端62F)と、バックボード15の側部のシート前端15Aとが、略同じ位置にあれば、乗員の車両乗降時に、乗員の手がバックボード15に触れても、手触り感を良好に保つことができる。なお、ここでの同じ位置とは、側面視で第一の力布ブラケット62のシート前端とバックボード15の側部のシート前端15Aとが完全に同じ位置でない場合であっても、手触り感を良好に保つことができる範囲内であれば含まれる。
さらに、上記実施形態では、図2に示される如く、腰部外側力布60LOに設けられた弛み64LOは、バックボード15の側部のシート前端15Aより、シート前方に設けられていると共に、インフレータ26のシート前端より前方に設けられていた。また、弛み64LOは、パドル30のシート外端かつシート前端30Fより後方に設けられていた。しかしながら、図8及び図9に示される如く、弛み64LOは、サイドエアバッグモジュール20よりシート前方に配置されていてもよい。この場合には、展開圧を弛みにより迅速に伝達することができる。
さらに、上記実施形態において、第二の力布ブラケット68又は第三の力布ブラケット70のシート前後方向部68B、70Bの前端は、側面視でパドル30のクッション支持部30Cのシート後端かつシート内端30R近傍まで延在されていてもよい。この場合、腰部内側力布60LI又は胸部内側力布60CIの全長をさらに短くすることができる。そのため、腰部内側力布60LI又は胸部内側力布60CIの伸びがさらに抑えられるので、サイドエアバッグが膨張、展開した場合に、展開圧が腰部内側力布60LI又は胸部内側力布60CIを介して破断部56に集中しやすくなる。したがって、さらにすみやかに破断部56を開裂させることができ、より迅速にサイドエアバッグの展開を完了させることができる。
なお、車両用シート10では、サイドエアバッグ24の展開圧によってパドル30が矢印A方向に変位されることで、該サイドエアバッグ24のシート前方への展開が許容される。しかも、車両用シート10では、パドル駆動機構34がパドル30の矢印A方向(図2参照)への変位を拘束しない(拘束力が極めて小さい)構成であるため、サイドエアバッグ24は、ガス供給開始から短時間でパドル30を押し退けてシート前方に展開される。このため、着座乗員Pが側面衝突に対し良好に保護される。
特に、車両用シート10では、パドル30の矢印A方向への変位を許容するパドル駆動機構34を採用したため、上記の通りサイドエアバッグ24を良好に展開させ得る構成において、モータ48の動力でサイドサポート18を容易に調整することができる。
さらに、車両用シート10では、サイドエアバッグ24が展開される際に、ブラケット38によるパドル30の保持状態が維持される。すなわち、車両用シート10では、サイドエアバッグモジュール20の作動に伴ってパドル30がシートバック14から分離されてしまうことがない。
またさらに、車両用シート10では、上記の2分割のサイドエアバッグ24を有するため、腰部Lにおいて着座乗員Pをしっかりと支持しつつ、胸部Cを適切な荷重(反力)で支持することができる。すなわち、側面視でサイドエアバッグ24とオーバーラップして配置されたパドル30を、サイドエアバッグ24の展開圧によって平面視で該サイドエアバッグ24の展開領域から退避させる構造を有することで、着座乗員Pを良好に保護し得る大型のサイドエアバッグ24を良好に展開させることができる。
以上上記実施形態について説明したが、本発明の実施形態はこれらの実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。例えば、サイドエアバッグ24の展開圧によって全体的に矢印A方向に変位されるパドル30に代えて、サイドエアバッグ24の展開圧によって部分的に変位されるパドルを備えていてもよい。さらに、パドル30を一方向に駆動するパドル駆動機構34を有するサイドサポート調整機構22に代えて、パドルを双方向に駆動するサイドサポート機構を備えていてもよい。
また、ガイドピン30A、30Bによるブラケット38との被ガイド状態が維持されつつ矢印A方向に変位されるパドル30に代えて、ブラケット38に対し一部分離されるパドルを備えていてもよい。
また、上記実施形態では、サイドエアバッグ24のチャンバが2分割構造である例を示した。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば、サイドエアバッグ24のチャンバが3分割構造であっても良い。
また、上記実施形態では、サイドエアバッグ24がシートバック14におけるシート外側部(ニアサイド)に設けられた例を示した。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば、サイドエアバッグ24がシートバック14におけるシート内側部(ファーサイド)に設けられた構成としても良い。この場合、シート方向内外のサイドエアバッグは、共通のインフレータ26からガス供給を受ける構成としても良い。
さらに、上記実施形態では、パドル駆動機構34が送りねじ機構を利用して構成された例を示した。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば、ラックアンドピニオン機構やリニアモータなどを利用してパドル駆動機構34を構成しても良く、また、上記実施形態では、アウタケーブル44がガイドピン30Aをシート外側に押圧することで、パドル30等のシート内側への変位を許容しつつ該パドル30等をシート内側に駆動する例を示した。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば押圧ロッドをシート幅方向に駆動されるように配置し、該押圧ロッドにてガイドピン30A等を押圧するように構成することも可能である。
さらに、上記実施形態では、モータ48の駆動力でサイドサポート18を調整する例を示した。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば、着座乗員Pが手動でサイドサポート18を調整する構成としても良い。例えば、パドルがシート上下方向に回動軸を有して、その軸が円筒の内面と摩擦係合されており、手動でサイドサポートに力を加えた場合にパドルの回動軸が円筒の内面に対して摩擦抵抗を受けつつ回動可能とされており、所定値以上の外力(例えばサイドエアバッグ24の展開圧)が作用した場合に、パドルが容易に回動される構成も、請求項1に含まれる。
さらに、上記実施形態では、側面視でパドル30のクッション支持部30Cの上方突出部30CUが胸部対応力布60Cとオーバーラップして配置されず、下方突出部30LUが腰部対応力布60Lとオーバーラップして配置されている例を示した。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば、上方突出部30CUが胸部対応力布60Cとオーバーラップして配置されていてもよい。
10 車両用シート
14 シートバック
14A シートバックフレーム
15 バックボード
18 サイドサポート
20 サイドエアバッグモジュール(サイドエアバッグ装置)
22 サイドサポート調整機構
24 サイドエアバッグ
26 インフレータ
30 パドル(骨格部材)
34 パドル駆動機構(骨格変位機構、骨格可動構造)
36A サイドパッド
54 シートバック表皮
54S サイド表皮
54F フロントサイド表皮
56 破断部
60CI 胸部内側力布(内側張力伝達部材)
60CO 胸部外側力布(外側張力伝達部材)
60LI 腰部内側力布(内側張力伝達部材)
60LO 腰部外側力布(外側張力伝達部材)
64L1 弛み
64LO 弛み
66 吸収用ゴム(弾性部材)
62 第一の力布ブラケット(後側固定部材)
68 第二の力布ブラケット(内側固定部材)
70 第三の力布ブラケット(内側固定部材)

Claims (9)

  1. シートバックのサイドサポートに設けられたサイドパッドを支持する骨格部材と、前記骨格部材をシート幅方向に変位させる骨格変位機構とを有するサイドサポート調整機構と、
    シートバック内におけるシート幅方向端部に側面視で前記骨格部材とオーバーラップするように折り畳み状態で設けられ、インフレータからガスの供給を受けて膨張されつつ、シートバック表皮に形成された破断部が破断されてシート前後方向の前方に向けて膨出されるサイドエアバッグを有し、シートバックの骨格を成すシートバックフレームのシート幅方向外側に設けられたサイドエアバッグ装置と、
    前記シートバック表皮の一部であるサイド表皮よりもシート幅方向内側でかつ前記シートバックフレームよりもシート幅方向外側に設けられると共に、シート前後方向前端側が前記破断部に固定され、シート前後方向に弛みを有する、前記シートバック表皮よりも伸び難い外側張力伝達部材と、
    前記シートバックフレームに固定されると共に、前記張力伝達部材のシート前後方向後端側が固定された後側固定部材と、
    を有し、
    さらに、前記後側固定部材は、前記サイドエアバッグ装置のシート幅方向外側に延在され、かつ、側面視で、少なくとも前記インフレータのシート前後方向前端より前方へ延在されている、
    車両用シート。
  2. 請求項1に記載の車両用シートにおいて、さらに、シート前後方向前端側が前記シートバック表皮の一部であるフロントサイド表皮に形成された前記破断部に固定されると共に、前記骨格部材と前記サイドパッドとの間に、該骨格部材のシート幅方向内側に沿ってかつ少なくとも一部が、前記サイドパッドのシート幅方向外側に沿って配設され、シート前後方向後端側が前記後側固定部材又は前記後側固定部材に固定された内側固定部材に固定された、前記シートバック表皮よりも伸び難い内側張力伝達部材を有することを特徴とする車両用シート。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の車両用シートにおいて、さらに、シート前後方向前端側が前記シートバック表皮の一部であるフロントサイド表皮に形成された前記破断部に固定されると共に、前記サイドパッドのシート幅方向外側に沿って配設され、シート前後方向後端側が前記骨格部材のシート前後方向前端部に固定された、前記シートバック表皮よりも伸び難い内側張力伝達部材を有することを特徴とする車両用シート。
  4. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、前記弛みは、側面視で、前記サイドエアバッグ装置よりシート前後方向前方に配置されていることを特徴とする車両用シート。
  5. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、前記弛みのシート前後方向前後端は、張力が付与された弾性部材によって互いに連結されていることを特徴とする車両用シート。
  6. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、前記後側固定部材のシート前後方向前端部は、前記骨格部材が前記骨格変位機構によってシート幅方向内側に最大変位した場合におけるサイド表皮の側部と平行に配置されていることを特徴とする車両用シート。
  7. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、側面視で、前記後側固定部材のシート前後方向前端と、シートバックの後端に設けられたバックボードのシート幅方向外端かつシート前後方向前端とは、同じ位置にあることを特徴とする車両用シート。
  8. 請求項〜請求項のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、前記内側張力伝達部材には、前記骨格部材よりシート前後方向後端側に弛みが設けられていることを特徴とする車両用シート。
  9. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、さらに、前記サイドエアバッグの展開圧が作用した場合に、前記骨格部材における少なくともシート幅方向の外側部分を含む一部又は全部をシート幅方向内側へ退避させるための骨格可動構造を有することを特徴とする車両用シート。
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