JP5358554B2 - 腐食電位センサ及び腐食電位センサの設置構造 - Google Patents

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Description

本発明は、腐食電位センサに及び腐食電位センサの設置構造に係り、特に、原子炉の冷却水が表面に接触する、炭素鋼、鉄基合金あるいはニッケル基合金等で作られた構造部材の腐食電位を測定するのに好適な腐食電位センサ及び腐食電位センサの設置構造に関する。
原子力プラントの機器及び配管を構成する、ステンレス鋼またはニッケル基合金製の構造部材は、特定の条件の下で、応力腐食割れ(SCC)の感受性を示す。そこで、原子力プラントの健全性を維持するために、その構造部材に対してSCCの防止策が適用される。近年では、原子力プラントの設備利用率の向上及び長寿命化のような経済性向上の観点からも、SCCの予防策が原子力プラントに適用されている。
SCC防止策として、材料の耐食性向上、応力改善、あるいは腐食環境の緩和を目的とした技術が適用される。沸騰水型原子炉(BWR)では、構造部材の表面に接触する原子炉冷却水(炉水)の腐食環境の改善に基づくSCC対策の一つとして、水素注入が国内外で広く行われている。この水素注入の例が、例えば、特許第2687780号公報に記載されている。炉水中には、原子炉圧力容器内(炉内)で水の放射線分解により生成し、腐食の原因となる酸素や過酸化水素が存在し、これらが腐食環境を形成している。水素注入では、給水系を通じて炉水に水素を添加し、酸素や過酸化水素と反応させて水に還元する。この結果、炉水の酸素濃度及び過酸化水素濃度が低下し、構造部材の腐食電位(ECP)が低下するために、構造部材におけるSCCの発生及びSCCの進展速度が緩和される。
さらに、水素注入時において構造部材の腐食電位の低下を促進させる技術として、例えば、特開平4−223299号公報に記載された貴金属注入の技術が知られている。この技術は、白金族貴金属元素を炉水に注入し、白金族貴金属元素が有する水素の電気化学反応への触媒作用を利用して、水素注入時において構造部材の腐食電位をより大きく低下させる。
これらの腐食環境緩和技術では、構造部材の腐食電位を精度良く知る必要がある。そこで、原子炉内あるいは配管に腐食電位センサを設置し、構造部材の腐食電位を測定することが行われている。腐食電位センサは、使用条件下で、腐食電位測定の基準となる一定の電位(基準電位)を発生する。このため、腐食電位センサは、基準電極、参照電極あるいは照合電極とも呼ばれている。構造部材が、炉水の温度、酸素濃度、過酸化水素濃度及び流速の条件の下で有する電位と、腐食電位センサの有する基準電位との電位差を、電位差計を用いて測定することにより、構造材料の腐食電位を知ることができる。
腐食電位は、通常、どのような基準電極を基準にして得た値かを示して表示する。基準として標準水素電極電位が広く用いられ、各温度における水素の酸化還元反応を0Vとして基準としていることを意味するvs.SHE(versus Standard Hydrogen Electrode)を、電位差の単位であるVの直後に付し、Vvs.SHEのように表記する。腐食電位(ECP)を精度良く測定するためには、腐食電位センサの設置が不可欠であり、腐食電位センサは原子炉の運転条件で使用可能であることが求められる。
腐食電位センサの従来技術が、Proceedings of International Symposium on Plant Aging and Life Prediction of Corrodible Structures, May 15-18, 1995, Sapporo Japan, p413 JSCE-NACE (1995)に記載されているほか、特開2000−65785号公報、特開2000−146891号公報及び特開2009−42111号公報にも記載されている。
特開2000−65785号公報に記載された腐食電位センサは、電極、酸素イオン伝導体(絶縁体)及び金属ボディー(センサ筺体)を備える。酸素イオン伝導体は、酸化ジルコニウム(ジルコニア)で作られ、一端が開放されて一端が閉じられた管状の形状(試験管状の形状)を有している。酸素イオン伝導体の開放端部が、金属ボディーにロウ付けにより接合されている。腐食電位センサの基準電位を発生する電極は、触媒(白金)、酸化銀及びリード線を有する。触媒、酸化銀及びリード線は、一端が閉じられた酸素イオン伝導体内に配置され、触媒が酸素イオン伝導体の閉じられた端部に配置され、酸化銀の充填層が触媒の充填層の隣に配置される。
特開2000−146891号公報に記載された腐食電位センサは、蓋が筒状の絶縁体の一端部に固定され、絶縁体の他端部が内部スリーブで密封され、外部スリーブが絶縁体の外面に取り付けられている。銀塩化銀電極が絶縁体内に配置され、この電極に接続されたリード線が外部スリーブの外に引き出されている。
特開2009−42111号公報は、腐食電位センサを記載している。この腐食電位センサは、白金製の電極、ジルコニア絶縁体、金属製のセンサ筺体及びリード線を有する。基準電位を発生する電極がロウ付けにより絶縁体の一端部に取り付けられ、センサ筺体がセンサ絶縁体の他端部に取り付けられる。
また、特開2001−166082号公報に記載された腐食電位センサは、腐食電位を測定する、原子力プラントの構造部材、例えば、再循環系配管と同一材料で構成した試験片、及び基準電極を、再循環系配管内を流れる炉水に接触するように、配置している。
特許第2687780号公報 特開平4−223299号公報 特開2000−65785号公報 特開2000−146891号公報 特開2009−42111号公報
Proceedings of International Symposium on Plant Aging and Life Prediction of Corrodible Structures, May 15-18, 1995, Sapporo Japan, p413 JSCE-NACE (1995)
原子力プラントである沸騰水型原子力プラントの再循環系配管のような炉水の流速が速い部位での腐食電位を、その場の環境条件の下で測定しようとする場合には、腐食電位センサ(ECPセンサ)を再循環系配管に直接設置する必要がある。腐食電位センサの再循環系配管への設置は、再循環系配管に設けられた筒状の測定用座内に腐食電位センサを挿入して腐食電位センサの頭頂部が再循環系配管内を流れる炉水に接触する状態にし、腐食電位センサを測定用座に取り付けることによって行なわれる。
ところが、図3(A)に示すように、腐食電位センサの頭頂部が再循環系配管の内面よりも内側に到達する状態で、腐食電位センサを測定用座に取り付けた場合には、再循環系配管内を流れる炉水の流れが、腐食電位センサに当たって腐食電位センサの頭頂部で乱されてしまう。さらには、腐食電位センサが再循環系配管内の高流速の炉水の流れに直交した状態になっているので、腐食電位センサが流動振動によって破損するまたは腐食電位センサにおいて電極を筐体から電気的に絶縁する目的で使用されている絶縁体が腐食減肉してしまう可能性がある。
そこで、図3(B)に示すように(特開2009−42111号公報の図3参照)、腐食電位センサの頭頂部の先端を、再循環系配管の内面の位置を揃えて配置し、腐食電位センサを測定用座に取り付けることが求められる。その頭頂部の先端を再循環系配管の内面の位置に揃えることは、炭素鋼配管の流動加速腐食(FAC)の影響を評価する場合には、より厳密に要求される。
図3(B)に示すように腐食電位センサを測定用座に取り付けた場合には、腐食電位センサと測定用座の内面の間、及び再循環系配管に形成された腐食電位センサ挿入用の挿入孔の内面の間に、環状の間隙が形成される。これらの間隙内も、再循環系配管内を流れる炉水で満たされている。腐食電位センサによる再循環系配管の腐食電位は、腐食電位センサの電位検知部と再循環系配管内面の間の電位差を測定することによって求められる。
発明者らの検討結果により、以下に示す知見を得ることができた。すなわち、腐食電位センサの頭頂部とこの頭頂部が挿入される構造部材(例えば、配管)の挿入孔の内面との間に形成される間隙の幅が十分広ければ、その頭頂部の側面と挿入孔の内面との電位差は、構造部材の流動している水と接触する表面(例えば、配管の内面)の腐食電位を示している。しかしながら、腐食電位センサの頭頂部とその挿入孔の内面との間に形成される間隙の幅が狭い場合には、その頭頂部の側面と挿入孔の内面との電位差は、構造部材の流動している水と接触する表面(例えば、配管の内面)の腐食電位ではなく、挿入孔内面の腐食電位、または挿入孔内面の腐食電位及び構造部材の流動している水と接触する表面の腐食電位が混成された腐食電位を示すことになる。その間隙の幅が狭い場合には、間隙内の水は、構造部材表面に沿って流れる水の流動の影響を受けずに停滞した状態になり、流動している水に含まれる溶存酸素及び過酸化水素が蓄積されやすい環境になる。このため、挿入孔内面の腐食電位は、構造部材の流動している水と接触する表面の腐食電位と違った値になる。
発明者らは、腐食電位センサの頭頂部の先端を構造部材の流動する水と接触する面に揃えて配置した場合でも、この頭頂部と、構造部材に形成された腐食電位センサの挿入孔の内面との間に形成される間隙の幅が狭くなる場合に、測定された配管の腐食電位の精度が低下するとの新たな知見を見出し、この知見に基づいて、腐食電位センサの頭頂部と、構造部材に形成された腐食電位センサの挿入孔の内面との間に形成される間隙の幅にかかわらず、構造部材の腐食電位を精度良く測定する必要があるとの認識を持つに至った。
本発明の目的は、構造部材の腐食電位を精度良く測定することができる腐食電位センサ及び腐食電位センサの設置構造を提供することにある。
上記した目的を達成するため本発明の特徴は、ケーシングと、ケーシング内に形成された空間内、及びケーシングの一部としてケーシングの端部、のいずれかに配置された基準電極と、基準電極に接続された第1導線と、ケーシングの外面に形成される電位検知部と、ケーシングの外面から離れた状態で電位検知部に対向して前記ケーシングの外部に配置された電極部材とを備え、
ケーシングが筒状の金属部材及び金属部材に取り付けられて少なくとも電位検知部と金属部材の間に配置された絶縁部材とを有し、電極部材が金属部材に取り付けられ、ケーシングが腐食電位測定対象物に取り付けられたときに電極部材に形成された複数の開口が腐食電位測定対象物の表面に接触する水が通るように配置され、電極部材の電位検知部に対向する部分が、腐食電位測定対象物と同じ材質で構成され、電位差計がケーシングの外部で第1導線に接続され、腐食電位測定対象物に接続される第2導線が電位差計に接続されることにある。
電極部材が金属部材に取り付けられ、ケーシングが腐食電位測定対象物に取り付けられたときに電極部材に形成された複数の開口が腐食電位測定対象物の表面に接触する水が通るように配置され、電極部材の電位検知部に対向する部分が、腐食電位測定対象物と同じ材質で構成されているので、プラントの構造部材に形成された、腐食電位センサの先端部が挿入される孔部の内面と腐食電位センサのケーシングとの間に形成される間隙の幅にかかわらず、構造部材の腐食電位を精度良く測定することができる。
好ましくは、電極部材が、絶縁部材の金属部材への取り付け部から絶縁部材側で、ケーシングの、電位検知部を含む先端部を覆っている捕捉電極部材であることが望ましい。
上記した特徴を有する腐食電位センサが、プラントの、腐食電位測定対象物である構造部材に設置した筒状の支持座に取り付けられて支持座内に配置されており、
ケーシングの、支持座内に位置する部分の先端が、腐食電位センサの軸方向において、構造部材の水と接触する表面の位置に配置され、
ケーシングの、支持座内に位置する部分の先端部が構造部材に形成された孔部内に挿入された状態で、電極部材が、その孔部の内面よりも腐食電位センサの中心軸側に配置されることによっても、上記した目的を達成することができる。
本発明によれば、プラントの構造部材に形成された、腐食電位センサの先端部が挿入される孔部の内面と腐食電位センサのケーシングとの間に形成される間隙の幅にかかわらず、構造部材の腐食電位を精度良く測定することができる。
本発明の好適な一実施例である実施例1の腐食電位センサを沸騰水型原子力プラントの再循環系配管に設置した構造を示す縦断面図である。 図1に示す捕捉電極部材を示す斜視図である。 腐食電位センサの配管への設置状態を示す説明図であり、(A)は腐食電位センサの先端を配管の内面よりも内側に配置した状態を示す説明図、(B)は腐食電位センサの先端を配管の内面の位置に配置した状態を示す説明図である。 腐食電位センサの頭頂部と再循環系配管の間に発生する電力線を示す説明図であり、(A)は従来の腐食電位センサで発生する電力線を示す説明図、(B)は本発明の一例である腐食電位センサで発生する電力線を示す説明図である。 沸騰水型原子力プラントの炉水の条件下における、表面の一部に白金層を形成したステンレス鋼製の試験片表面の腐食電位の、白金層とステンレス鋼の境界からの変化を示す特性図である。 本発明の他の実施例である実施例2の腐食電位センサを沸騰水型原子力プラントの再循環系配管に設置した構造を示す縦断面図である。 本発明の他の実施例である実施例3の腐食電位センサを沸騰水型原子力プラントの再循環系配管に設置した構造を示す縦断面図である。 図7に示す捕捉電極部材を示す斜視図である。
発明者らは、腐食電位センサを原子力プラントの構造部材に設置してこの腐食電位の先端部を構造部材に形成される孔部内に配置したとき、腐食電位センサに対向する孔部の内面における腐食電位の影響を抑制でき、構造部材の、流動する水に接触する表面の腐食電位を精度良く測定できる腐食電位センサの構成を検討した。
特開2009−42111号公報に記載された腐食電位センサは、ジルコニア絶縁体の先端に取り付けられた電極上、すなわち、白金上での水素の電極反応を利用する。腐食電位センサの軸方向での電極(白金)の先端面、及び電極(白金)の側面が電位検知部となる。
この腐食電位センサを、図4(A)に示すように、配管(例えば、再循環系配管)に溶接にて設置した測定用座及び配管に形成された孔部内に挿入する。腐食電位センサのセンサ筺体がアダプタを介して測定用座に取り付けられる。このとき、絶縁体に取り付けられた電極の先端が、配管の内面の位置に配置されている。この電極の先端面及び側面にそれぞれ電位検知部が形成される。配管の腐食電位の測定は、電極に接続されてジルコニア絶縁体及びセンサ筺体内に配置されたリード線と、配管に接続された配線を、例えば、エレクトロメータに接続し、エレクトロメータにて電極と配管の間の電位差を測定することによって行われる。電極と配管に形成された孔部の間の間隙の幅が小さいとき、電極の側面と孔部の内面の間の距離が最も短いため、電極側面から孔部内面に向かう電力線(図4(A)に直線で示す矢印)は、距離が長い電極の先端から配管の内面に向かう電力線(図4(A)に曲線で示す矢印)よりも多くなる。このため、測定された配管の腐食電位は、孔部の内面の腐食電位及び配管内面の腐食電位が混成された電位となり、腐食電位の測定における電極先端の寄与が電極側面による寄与よりも小さくなる。
そこで、発明者らは、上記した電力線の発生状況を基に、図4(B)に示すように、電極の先端及び側面のそれぞれの実質的に等距離の位置になるように、この電極の先端及び側面と対向するように、他の電極を配置した。なお、便宜的に、腐食電位センサの絶縁体の先端に設けられた電極を第1電極、この第1電極に対向させて配置された電極を第2電極という。第2電極は、複数の支持棒を用いて腐食電位センサのセンサ筺体に取り付けた。第2電極の第1電極の側面に対向する部分、及び支持棒は、腐食電位センサと配管に形成された孔部の内面の間に配置される。図4(B)に示す腐食電位センサも、アダプタを介して測定用座に取り付けられる。図4(B)に示す腐食電位センサでは、第1電極に接続されてジルコニア絶縁体及びセンサ筺体内に配置されたリード線、及び配管に接続された配線がエレクトロメータ(電位測定装置)に接続される。第2電極は、支持棒、センサ筺体、アダプタ及び測定用座を介して配管に電気的に接続されている。
第2電極は腐食電位を測定する構造部材と同じ材質の金属(例えば、SUS316L)で構成され、配管内を流れている水に接触している。この第2電極を有する腐食電位センサでは、図4(B)に示すように、第1電極の先端及び側面から構造部材に向かう電力線が、構造部材に形成された孔部の内面に到達せず、第1電極に近い第2電極に到達するため、エレクトロメータが第2電極の腐食電位を測定する。この結果、図4(B)に示された腐食電位センサは、腐食電位の測定において、腐食電位センサと孔部の内面の間に形成される間隙、すなわち、炉水停滞部に接する構造部材の部分(孔部の内面)における腐食電位の影響を低減できるので、その分、水の流れに曝された構造部材の表面の腐食電位の寄与が増加する。
このため、腐食電位センサの第1電極と構造部材に形成されて腐食電位センサの先端部が挿入される孔部の内面との間に形成された広い幅の間隙及び狭い幅の間隙にかかわりなく、流動する水に接触する構造部材の腐食電位を精度良く測定することができる
図4(B)に示された腐食電位センサにおいて、腐食電位センサの先端部が挿入された、構造部材の孔部の内面での腐食電位の影響を低減できるのは、導電率が低い、BWRのような炉水の環境では、電位の及ぶ範囲が極めて限定されていることに起因する。これを、図5を用いて詳細に説明する。図5に示す特性は、SUS304ステンレス鋼製の試験片の表面の一部に蒸着により白金層を形成し、この表面の残りの部分をSUS304ステンレス鋼のままにしたその試験片のその表面における腐食電位の測定結果を示している。図5に示された腐食電位分布の測定は、280℃のBWRの炉水条件を模擬した水中にその試験片を浸漬させて、腐食電位センサを、試験片の白金層を形成した表面に沿って走査しながら行った。
試験片を浸漬した水の条件を、酸素に対して水素が化学量論比で2以上になるように調節したので、白金層の腐食電位は、−0.4〜−0.3Vvs.SHEの一定値を示した。表面における白金層とSUS304ステンレス鋼の境界からSUS304ステンレス鋼がむき出しになっている領域に向かって、腐食電位センサを試験片の表面に沿って移動させると、その表面の腐食電位は次第に上昇する。その表面において、上記の境界からSUS304ステンレス鋼がむき出しになっている領域に向かって12mm離れた位置では、腐食電位は完全にSUS304ステンレス鋼の腐食電位と同じ値を示した。このとき、白金層の腐食電位が影響した範囲は、上記の境界から高々5mm程度離れた位置までであった。
SUS304ステンレス鋼がむき出しになっている領域において白金層の腐食電位と同じ値の腐食電位になる領域は、上記境界のごく近傍に存在する。この境界とこの境界から数mm離れた位置の間における、SUS304ステンレス鋼がむき出しになっている領域では、白金の腐食電位とSUS304ステンレス鋼の腐食電位が混成していることが判った。以上のことから、構造部材の、流動する水に接触する表面の腐食電位を精度良く測定するためには、腐食電位センサの第2電極は、孔部の内面よりも第1電極側に配置しなければならないことが分かった。
さらに、特開2000−65785号公報に記載された腐食電位センサでは、セラッミクスで作られたイオン伝導体の、内部に充填された触媒(白金)が接触する領域の外面、すなわち、イオン伝導体の、構造部材の上記した孔部内に配置される先端部の外面(曲面部の外面)が電位検知部になる。このような腐食電位センサにおいても、腐食電位センサの、酸素イオン伝導体の先端部の外面に形成された電位検知部から所定の間隔で離してこの電位検知部に対向して曲面を有する第2電極を配置し、この第2電極でその電位検知部を覆っても良い。
以上の検討結果を反映した本発明の実施例を以下に説明する。
本発明の好適な一実施例である実施例1の腐食電位センサを、図1及び図2を用いて説明する。本実施例の腐食電位センサ1は、銀/塩化銀電極(基準電極)7を有する銀/塩化銀型腐食電位センサである。この腐食電位センサ1は、特開2000−146891号公報に記載された腐食電位センサの構成を有しており、ケーシング30、銀/塩化銀電極7、リード線(導線)8及び捕捉電極部材(電極部材)11を備えている。ケーシング30は、蓋(第2絶縁部材)2、絶縁体(第1絶縁部材)3、外部スリーブ(金属部材)4及びセンサボディ(金属部材)5を有する。
ケーシング30の構成を具体的に説明する。高純度サファイヤ製の蓋2が、高純度サファイヤ製の筒状の絶縁体3の一端部に固定される。蓋2には外面に雄ネジが形成された細径部が設けられ、この細径部の雄ネジが絶縁体3の端部の内面に形成された雌ネジと噛み合って固定される。蓋2は、回り止めのために、周方向の複数個所で絶縁体3に点溶接される。ステンレス鋼製の筒状の外部スリーブの一端部が、絶縁体3の外面にロウ付け部を介して取り付けられる。外部スリーブは、絶縁体3の他端部である細径部を取り囲んでいる。ステンレス鋼製のセンサボディ5の一端部がステンレス鋼製の外部スリーブの他端部にロウ付けにより取り付けられている。センサボディ5の他端部は封鎖されている。外部スリーブ4とセンサボディ5を、金属部材として一体化しても良い。電位検知部27Aが、ケーシング30の外面において蓋2と絶縁体3の間に形成される。
内部スリーブ(封鎖部材)6が、この細径部の端部に取り付けられて絶縁体3を密封状態で封鎖している。銀/塩化銀電極7は、絶縁体3内に配置され、リード線8に接続される。リード線8が、内部スリーブ6を貫通してセンサボディ5内に配置される。リード線8と内部スリーブ6の間も、密封されている。センサボディ5に取り付けられた鉱物絶縁ケーブル17は、リード線8を含んでいる。
捕捉電極部材11は、図2に示すように、電極部10及び支持部31を有する。電極部10は、円板である電極板28及び複数の電極棒13を有する。各電極棒13が、電極板28の一面に垂直に取り付けられており、ケーシング30の周方向において所定の間隔で配置されている。電極棒13相互間の間隔は蓋2の直径よりも小さくなっている。支持部31は、複数の支持棒12及び複数の円環部材14を有する。各円環部材14が、ケーシング30の軸方向において所定の間隔を持って配置され、ケーシング30の軸方向に伸びる各支持棒12によって互いに連結される。電極部材10及び支持部31の上記した各要素部材は、全て、腐食電位センサ1に対する腐食電位測定対象物である再循環系配管18と同じ材料であるSUS316L鋼製である。
電極部10を構成する電極板28の各電極棒13が取り付けられた一面が、ケーシング30の先端部を構成する蓋2の、平面である端面に所定の間隔で向き合って配置されている。各電極棒13が、蓋2の側面に所定の間隔で向き合って配置されており、環状の電位検知部27Aに対向している。支持部31が電極部10に取り付けられている。支持部31を構成する円環部材14のうち、電極板28に最も近い位置に配置された円環部材14が、各電極棒13の上端に溶接にて取り付けられる。各支持棒12は、外部スリーブ4の外面に溶接にて接合されている。電極板28と蓋2の端面との間の間隔、及び各電極棒13と蓋2の側面との間の間隔は、等しくなっている。
各支持棒12及び各円環部材14が、絶縁体3の外面から離れた位置で絶縁体3を取り囲んでいる。電極部10が、ケーシング30の先端部である蓋2の先端面及び側面を覆っている。
支持部31の各支持棒12及び各円環部材14の表面には、プラズマコーティング法により、絶縁被膜であるジルコニア被膜が形成されている。ジルコニア被膜の替りに、アルミナ、サファイヤまたはダイヤモンドの被膜を形成しても良い。電極部10を構成する電極板28及び各電極棒13は金属面が露出している。
電極部10の金属露出面を腐食電位測定対象物である再循環系配管18の炉水と接触する内面と同じ状態にするために、その金属露出表面に、予め、沸騰水型原子力プラントの炉水を模擬した溶存酸素濃度300ppbの模擬水を500hr以上接触させる予備酸化処理を施す。この処理により、酸化皮膜が、電極部10及び支持棒12,13のそれぞれの金属露出面に予め形成される。
原子力プラントにおける腐食電位センサ1の設置構造は以下の通りである。腐食電位センサ1は、例えば、沸騰水型原子力プラントの原子炉に接続される再循環系配管18に溶接にて取り付けられた筒状の測定用座(支持座)19に取り付けられる。腐食電位センサ1は測定用座19内に挿入されており、腐食電位センサ1のセンサボディ5が、測定用座19の一端に取り付けられたアダプタ20を貫通してこのアダプタ20に溶接にて取り付けられる。この状態で、腐食電位センサ1の蓋2の先端が、再循環系配管18の半径方向において、再循環系配管18の内面の位置に配置されている。リード線8に接続された配線(導線)16が、電位差計(電位差測定装置)15に接続される。電位差計15に接続された配線(導線)17が、再循環系配管18に接続される。
腐食電位センサ1が再循環系配管18に取り付けられた状態で、腐食電位センサ1の先端部(蓋2の部分)が、再循環系配管18に形成された孔部に配置される。この腐食電位センサ1と測定用座19の間、及び腐食電位センサ1の先端部と再循環系配管18に形成された孔部の間に、環状の間隙21が形成される。
腐食電位測定装置は、腐食電位センサ1、電位差計15、リード線8と電位差計15を接続する配線16、及び腐食電位測定対象物(例えば、再循環系配管18)と電位差計15を接続する配線17を備えている。
再循環系配管18に設けた再循環ポンプを駆動することによって、原子炉内の炉水が、吸引されて昇圧され、原子炉内に配置されたジェットポンプに導かれて原子炉容器内の炉心に供給される。再循環系配管18内を流れる炉水は、再循環系配管18の内面に接触すると共に、電極板28の、蓋2の先端の平面に対向している電極板28の平面とは反対側の平面に接触する。さらに、この炉水は、電極板28の周方向に配置されて隣り合う各電極棒13の相互間を通って、蓋2の先端の平面とこの平面に対向する電極板28の平面の間を流れ、両方の平面に接触する。間隙21内にも炉水が存在する。隣り合う各電極棒13のそれぞれの相互間には、炉水が流れる開口が形成される。
腐食電位センサ1は、以下のようにして、再循環系配管18の腐食電位を測定する。腐食電位センサ1が上記したように再循環系配管18に取り付けられた状態で、沸騰水型原子力プラントが運転されているとき、再循環系配管18内を流れる炉水が、蓋2に形成された雄ネジと絶縁体3に形成された雌ネジの間の隙間を介して、絶縁体3内の銀/塩化銀電極7が配置された領域内に浸入する。このため、銀/塩化銀電極7は、絶縁体3内で炉水に浸漬される。内部スリーブ6が絶縁体3の鉱物絶縁ケーブル17側の端部を密封しているので、絶縁体3内に浸入した炉水が鉱物絶縁ケーブル17に接触することを防止できる。
ケーシング30の外面に形成された電位検知部27Aが、蓋2に形成された雄ネジと絶縁体3に形成された雌ネジの間の隙間に存在する水、及び絶縁体3内の水を通して銀/塩化銀電極7に電気的に接続される。電位検知部27Aは、また、蓋2と電極部10の間を流れる炉水を通して電極部10に電気的に接続される。
本実施例では、銀/塩化銀電極7が基準電極となり、電位検知部27Aと電極部10の間の電位差が電位差計15で測定される。電位差計15は、配線17、再循環系配管18、アダプタ20、センサボディ5及び支持棒12によって電極部10に電気的に接続され、さらに、配線16、リード線8、銀/塩化銀電極7、絶縁体3内に浸入した炉水、及び蓋2に形成された雄ネジと絶縁体3に形成された雌ネジの間の隙間に存在する水によって電位検知部27Aに電気的に接続される。さらに、電位検知部27Aと電極部10、具体的には、電位検知部27Aと各電極棒13が、これらの間に存在する炉水を介して電気的に導通される。このため、電位検知部27Aと電極部10との間に電力線が発生し、電位検知部27Aと材質が再循環系配管18と同じである電極部10の間の電位差が電位差計15で測定される。この測定された電位差に基づいて再循環系配管18の腐食電位が求められる。
本実施例の腐食電位線センサ1によれば、電位検知部27Aに最も近接した導体が再循環系配管18ではなく、再循環系配管18と同材質である電極部10となる。このため、電位差計15は、再循環系配管18に形成された、腐食電位センサ1の先端部が挿入された孔部の内面の腐食電位ではなく、その内面よりも電位検知部27Aに近い、再循環系配管18と同材質である電極部10の腐食電位を測定することになる。したがって、腐食電位センサ1は、間隙21の幅にかかわらず、すなわち、炉水が停滞する間隙の影響を低減することができ、再循環系配管18の、流動する炉水が接触する内面の腐食電位を精度良く測定することができる。特に、再循環系配管18内を流れる炉水が、前述したように、電極部10に形成された複数の開口(隣り合う電極棒13の相互間の間隙)を通して流れるので、電位検知部27Aがその流動する炉水に曝される。電位検知部27と電極部10の間に存在する炉水が、流動状態にあって停滞することがないので、再循環系配管18の腐食電位を示す電極部10の腐食電位を精度良く測定することができる。
本実施例では、捕捉電極部材11、すなわち、電極部10が蓋2を取り囲んでいるので、何らかの原因で、蓋2が絶縁体3から脱落したとしても、脱落した蓋2を捕捉電極部材11で捕捉することができる。したがって、脱落した蓋2が、再循環系配管18内を流れる炉水の流れにのって運ばれることを防止することができる。絶縁体3が、外部スリーブ4から脱落した場合でも、脱落した外部スリーブ4を、捕捉電極部材11で捕捉することができる。
本実施例は、蓋2に対向する電極部10を、脱落した蓋2を捕捉する電位検知部捕捉手段として用いているので、電極部10と電位検知部捕捉手段を別々に設ける場合に比べて、腐食電位センサ1の構成を単純化することができる。また、電位検知部捕捉手段の構成を、電位検知部27Aと電極部10の間の電位差を計測する電気回路の一部として用いているので、電極部10と電位差計15をつなぐ電気回路の構成を単純化することができる。
捕捉電極部材11に相互間に間隙を形成するように配置した複数の電極棒13を用いているので、蓋2と電極部10の間に炉水を容易に供給することができる。また、各支持棒12及び各円環部材14のそれぞれの表面をジルコニア被膜で覆っているので、支持部31を、電極部10と電位差計15をつなぐ電気回路の一部として利用することができる。
本実施例の腐食電位センサ1の絶縁体3の端面の一部を電極板28に対向させた形状にすることによって、この絶縁体3と蓋2との間でケーシング30の外面に形成される電位検知部27Aを、電極板28に対向させることも可能である。
本実施例の腐食電位センサ1は、沸騰水型原子力プラントの他の配管(例えば、原子炉浄化系配管、原子炉の底部に接続されたドレン配管及び給水配管等)に設置して該当する配管の腐食電位の測定に用いることができる。さらに、加圧水型原子力プラント及び火力プラントにおける配管等の腐食電位の測定にも、使用することができる。
本発明の他の実施例である実施例2の腐食電位センサを、図6を用いて説明する。本実施例の腐食電位センサ1Aは、特開2009−42111号公報に記載された腐食電位センサの構成を有し、ケーシング30A、捕捉電極部材11及びリード線8を備えている。本実施例で用いるケーシング30Aは、電極29、絶縁体3、外部スリーブ4及びセンサボディ5を有する。ケーシング30Aは、実施例1に用いられるケーシング30において銀/塩化銀電極7を削除して蓋2をジルコニウム製の電極29に替えた構成を有する。
基準電極である電極29は、絶縁体3の端部に取り付けられ、絶縁体3を密封する。リード線8が電極29に接続される。本実施例の腐食電位センサ1Aの他の構成は、腐食電位センサ1と同じである。本実施例の腐食電位センサ1Aも、腐食電位センサ1と同様に、再循環系配管18の測定用座19に取り付けられ、測定用座19内に配置される。本実施例では、電極29の外面が電位検知部27Bになる。電極部10の電極板28が電極29の端面と所定間隔をおいて配置され、各電極棒13が電極29の側面と所定間隔をおいて配置される。電極部10の電極板28及び各電極棒13が、電位検知部27Bと対向している。
本実施例も、実施例1と同様に、捕捉電極部材11を備えているので、実施例1で生じる各効果を得ることができる。捕捉電極部材11は、絶縁体3から脱落した電極29を、実施例1における脱落した蓋2と同様に、捕捉する。さらに、捕捉電極部材11は、外部スリーブ4から脱落した絶縁体3及び電極29も捕捉することができる。
本発明の他の実施例である実施例3の腐食電位センサを、図7及び図8を用いて説明する。本実施例の腐食電位センサ1Bは、特開2000−65785号公報に開示された腐食電位センサの構成を有し、ケーシング30B、リード線8及び捕捉電極部材11Aを備えている。本実施例で用いるケーシング30Bは、電極、絶縁体3A及びセンサボディ5を有する。
絶縁体3Aは、酸化ジルコニウム(ジルコニア)で作られ、一端が開放されて一端が閉じられた管状の形状(試験管状の形状)を有している。絶縁体3Aは酸素イオンに対しては固体電解質として作用し、酸素イオンを介して外部と腐食電位センサ1Bの内部は平衡が成立する。絶縁体3Aの開放端部が、センサボディ5内に挿入されてセンサボディ5にロウ付けにより接合されている。腐食電位センサ1Bの基準電位を発生する電極は、白金粉末23、銀ワイヤ24及び酸化銀粉末25を有する。白金粉末23、銀ワイヤ24及び酸化銀粉末25は、一端が閉じられた絶縁体3A内に配置され、白金粉末23が絶縁体3Aの閉じられた端部に配置され、酸化銀粉末25の充填層が白金粉末23の充填層の隣に配置される。
酸化銀粉末25は腐食電位センサ1A内で酸素分圧を一定に保つために用いられている。高温で酸化銀の一部が銀と酸素に分解する。腐食電位センサ1B内は体積が一定であるため、ある酸素分圧で銀と酸素が結合して酸化銀が形成される反応が無視できない速度となって平衡となる。この結果、酸化銀、銀及び酸素は使用温度の下で平衡となって酸素分圧が一定に保たれる。このような酸素分圧を一定にする作用は、酸化銀の他、ニッケル/酸化ニッケル、鉄/酸化鉄、水銀/酸化水銀などの金属と金属酸化物の組み合わせによっても得られる。酸素分圧の高い系が好ましいが、分解しやすいと腐食電位センサが不安定となる。
また、白金粉末23は絶縁体3Aを通して腐食電位センサ1A内に入ってきた酸素イオンが速やかに電子を得て酸素イオンとなる触媒作用と、酸素イオンと電子を反応させることによってその位置で電流を集める集電作用とを担っている。
白金粉末23及び酸化銀粉末25のそれぞれの充填層は、絶縁体3Aの内面に接触している。白金粉末23の充填部が位置する絶縁体3Aの先端部の外面は、曲面を有し、半球面形状になっている。絶縁体3Aの開放端部が、絶縁体3A内に挿入されたサファイヤピストン(封鎖部材)26によって封鎖される。サファイヤピストン26は、絶縁体3Aに固定され、白金粉末23の充填層及び酸化銀粉末25の充填層を保持する。銀ワイヤ24は酸化銀粉末25の充填層内に配置される。サファイヤピストン26を貫通して酸化銀粉末25の充填層に達したリード線8は、銀ワイヤ24に接続される。実施例1と同様に、センサボディ5に取り付けられた鉱物絶縁ケーブル17は、リード線8を含んでいる。
本実施例における電位検知部27Cは、白金粉末23の充填部が接触する、絶縁体3Aの内面と相対する、絶縁体3Aの外面であり、前述の先端部の外面である半球面を含んでいる。
捕捉電極部材11Aは、図8に示すように、電極部10A及び支持部31を有する。電極部10Aは金網状の電極22を含んでいる。支持部31は、実施例1と同様に、複数の支持棒12及び複数の円環部材14を有する。電極22、各支持棒12及び各円環部材14は、腐食電位センサ1Bに対する腐食電位測定対象物である再循環系配管18と同じ材質であるSUS316L鋼製である。金網状の電極22は、絶縁体3Aの先端部(電位検知部27C)と同様に半球面形状をしており、絶縁体3Aの先端部を覆っている。このため、絶縁体3Aの先端部の外面と電極22の間の寸法は、絶縁体3Aの先端部全体に亘って等しくなっている。
電極22は金属面が露出している。支持部31の全表面には、プラズマコーティング法によりジルコニア被膜が形成されている。
電極22の金属露出面を腐食電位測定対象物である再循環系配管18の炉水と接触する内面と同じ状態にするために、それらの金属露出表面に、予め、沸騰水型原子力プラントの炉水を模擬した溶存酸素濃度300ppbの模擬水を500hr以上接触させる予備酸化処理を施す。この処理により、酸化皮膜が、電極22の金属露出面に予め形成される。
本実施例における原子力プラントでの腐食電位センサ1Bの設置構造を説明する。本実施例のその設置構造は、実施例1と同様に、腐食電位センサ1Bのセンサボディ5が、再循環系配管18に取り付けられた測定用座19にアダプタ20を介して取り付けられる。腐食電位センサ1Bは測定用座19内に挿入され、腐食電位センサ1Bの先端部、すなわち、絶縁体3Aの先端部(半球面になっている部分)が、再循環系配管18に形成された孔部内に配置されており、絶縁体3Aの先端(半球面部の頂点)が、再循環系配管18の半径方向において、再循環系配管18の内面の位置に配置される。実施例1と同様に、リード線8が配線16により電位差計15に接続され、再循環系配管18に接続された配線17も電位差計15に接続される。
実施例1と同様に、電極22が、電位検知部である絶縁体3Aと、再循環系配管18に形成された孔部の内面の間に形成された環状の間隙21内に配置されて、その孔部の内面よりも絶縁体3A側に配置されている。
このような本実施例も、実施例1で生じる各効果を得ることができる。
実施例2及び3も、実施例1と同様に、沸騰水型原子力プラントの他の配管(例えば、原子炉浄化系配管、原子炉の底部に接続されたドレン配管及び給水配管等)に設置して該当する配管の腐食電位の測定に用いることができ、さらに、加圧水型原子力プラント及び火力プラントにおける配管等の腐食電位の測定にも、使用することができる
1,1A,1B…腐食電位センサ、2…蓋、3,3A…絶縁体、4…外部スリーブ、5…センサボディ、6…内部スリーブ、7…銀/塩化銀電極、8…リード線、10,10A…電極部、11,11A…捕捉電極部材、12…支持棒、13…電極棒、14…円環部材、15…電位差計、16,17…配線、18…再循環系配管、19…測定用座、21…間隙、22,29…電極、23…白金粉末、24…銀ワイヤ、25…酸化銀粉末、27A,27B,27C…電位検出部、28…電極板、30,30A,30B…ケーシング、31…支持部。

Claims (7)

  1. ケーシングと、前記ケーシング内に形成された空間内、及び前記ケーシングの一部として前記ケーシングの端部、のいずれかに配置された基準電極と、前記基準電極に接続された第1導線と、前記ケーシングの外面に形成される電位検知部と、前記ケーシングの外面から離れた状態で前記電位検知部に対向して前記ケーシングの外部に配置された電極部材とを備え、
    前記ケーシングが筒状の金属部材及び前記金属部材に取り付けられて少なくとも前記電位検知部と前記金属部材の間に配置された絶縁部材とを有し、前記電極部材が前記金属部材に取り付けられ、前記ケーシングが腐食電位測定対象物に取り付けられたときに前記電極部材に形成された複数の開口が前記腐食電位測定対象物の表面に接触する水が通るように配置され、前記電極部材の前記電位検知部に対向する部分が、前記腐食電位測定対象物と同じ材質で構成され、電位差計が前記ケーシングの外部で前記第1導線に接続され、前記腐食電位測定対象物に接続される第2導線が前記電位差計に接続されることを特徴とする腐食電位センサ。
  2. 前記電極部材が、前記絶縁部材の前記金属部材への取り付け部から前記絶縁部材側で、前記ケーシングの、前記電位検知部を含む先端部を覆っている捕捉電極部材である請求項1に記載の腐食電位センサ。
  3. 前記ケーシングが、前記金属部材、及び前記絶縁部材である第1絶縁部材と共に、前記第1絶縁部材の端部に取り付けられて前記第1絶縁部材との間に前記電位検知部を形成する第2絶縁部材を有しており、
    基準電極が前記第1絶縁部材内に配置され、
    前記基準電極が配置された前記第1絶縁部材内の領域を封鎖する封鎖部材が、前記金属部材内に配置されて前記第1絶縁部材に取り付けられ、
    前記基準電極に接続された第1導線が、前記封鎖部材を通って前記金属部材の外部に達している請求項2に記載の腐食電位センサ。
  4. 前記ケーシングが、前記金属部材及び前記絶縁部材と共に、前記絶縁部材の端部に取り付けられて前記絶縁部材を封鎖し、外面が前記電位検知部になる基準電極を有しており、 前記基準電極に接続された第1導線が、前記絶縁部材内及び前記金属部材内に配置されて前記金属部材の外部に達している請求項2に記載の腐食電位センサ。
  5. 前記捕捉電極部材が、前記電位検知部を含む先端部を覆っている電極部、及び前記電極部を前記金属部材に取り付ける支持部を有し、絶縁被膜が前記支持部の表面に形成されている請求項2ないしのいずれか1項に記載の腐食電位センサ。
  6. 前記絶縁被膜が、ジルコニア、アルミナ、サファイヤ及びダイヤモンドの中から選ばれた少なくとも1種の物質で形成される請求項に記載の腐食電位センサ。
  7. 請求項1ないしのいずれか1項に記載された腐食電位センサが、プラントの、前記腐食電位測定対象物である構造部材に設置した筒状の支持座に取り付けられて前記支持座内に配置されており、
    前記ケーシングの、前記支持座内に位置する部分の先端が、前記腐食電位センサの軸方向において、前記構造部材の水と接触する表面の位置に配置され、
    前記ケーシングの、前記支持座内に位置する部分の先端部が前記構造部材に形成された孔部内に挿入された状態で、前記電極部材が、前記孔部の内面よりも前記腐食電位センサの中心軸側に配置されることを特徴とする腐食電位センサの設置構造。
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