JP5348406B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼の連続鋳造方法に関し、詳しくは、鋳型内溶鋼に静磁場を印加することにより凝固完了位置の鋳片幅方向分布を制御しながら凝固末期の鋳片を凝固収縮量に相当する程度の圧下量で圧下し、中心偏析の軽微な鋼の連続鋳造鋳片を製造する連続鋳造方法に関するものである。
鋼の凝固過程では体積収縮(凝固収縮ともいう)が起こり、この収縮に伴って、連続鋳造鋳片の場合には、鋳片の引き抜き方向へ未凝固溶鋼が吸引されて流動する。凝固末期の未凝固相には十分な量の溶鋼が存在しないので、凝固収縮による、この吸引・流動に伴い、炭素、燐、硫黄などの溶質元素が濃縮されたデンドライト樹間の溶鋼(「濃化溶鋼」という)が流動を起こし、それが鋳片の厚み中心部に集積して凝固し、所謂、中心偏析が形成される。凝固末期の溶鋼が流動する要因としては、上記の凝固収縮の他に、溶鋼静圧によるロール間での鋳片バルジング(膨らみ)や、鋳片支持ロールのロールアライメントの不整合なども挙げられる。
この中心偏析は、鋼製品、特に厚鋼板の品質を劣化させる。例えば、石油輸送用や天然ガス輸送用のラインパイプ材においては、サワーガスの作用により中心偏析を起点として水素誘起割れが発生し、また、海洋構造物、貯槽、石油タンクなどにおいても、同様の問題が発生する。しかも近年、鋼材の使用環境は、より低温下或いはより腐食環境下といった厳しい環境での使用を求められることが多く、鋳片の中心偏析を低減することの重要性は益々大きくなっている。
そこで、この中心偏析を防止する手段として、連続鋳造機の相対するロールとの間隔を鋳片引き抜き方向の下流側ほど狭くし、鋳片の引き抜き方向に沿って鋳片の厚み方向に圧下力を作用させて鋳片を凝固収縮量に相当する程度の圧下量で徐々に圧下し、鋳片中心部の体積を減少させ、鋳片の凝固収縮に起因して生じる濃化溶鋼の鋳片中心部への移動を防止する、所謂「軽圧下」が行われている(例えば特許文献1を参照)。
鋳片に軽圧下を施す場合には、鋳片の凝固完了位置(「クレータエンド位置」ともいう)を、圧下ロールが配置された所謂「軽圧下帯」の範囲内またはその近傍に制御する必要があるとともに、スラブ鋳片(以下、単に「鋳片」とも記す)の場合には、鋳片幅方向の凝固完了位置を平坦状に制御することが重要となる。凝固完了位置が鋳片幅方向で異なると、軽圧下帯における圧下量が鋳片幅方向の各位置で異なってしまい、軽圧下量の少ない位置つまり凝固完了位置が鋳造方向に伸張した部位では、十分な圧下量が得られず、中心偏析を抑制できない場合が発生する。これは、軽圧下帯の圧下ロールは、設置スペースや設備コストの制限から、完全凝固した鋳片を圧延するほどの耐荷重を有しておらず、鋳片短辺以外の幅方向の一部分が完全凝固すると、この部分の変形抵抗が大きくなり、その他の部位にはそれ以降ほとんど圧下力が付与されなくなるからである。
そこで、鋳片幅方向における凝固完了位置を平坦化し、軽圧下の効果を鋳片幅方向全体に亘って発現させるべく、特許文献2には、凝固状態判定装置を用いて鋳片の凝固完了位置の鋳片幅方向形状を求め、当該形状に基づき、鋳型背面に設置した、鋳片の短辺側から浸漬ノズル側へ向かって水平方向に移動する移動磁界により発生する、浸漬ノズルからの溶鋼吐出流に対する制動力を調整して、凝固完了位置の鋳片幅方向形状を所定の形状に制御しながら、軽圧下帯にて鋳片を軽圧下する連続鋳造方法が提案されている。この技術は、スラブ鋳片における凝固完了位置の鋳片幅方向形状は、主に鋳型内の溶鋼流動に起因しており、この鋳型内溶鋼流動を移動磁場により制御することで、凝固完了位置の鋳片幅方向形状を所定の形状に調整するという技術である。
特許文献2によって、スラブ鋳片における凝固完了位置の鋳片幅方向形状が比較的容易に制御可能となり、凝固完了位置の鋳片幅方向形状は従来に比べて大幅に改善された。しかしながら、特許文献2では、浸漬ノズルからの溶鋼吐出流の吐出方向とは逆向きに移動する移動磁場による制動力を利用して鋳型内の溶鋼流動を制御しており、移動磁場は静磁場に比較して制動力が弱く、鋳型内の溶鋼流動が十分に抑制されない恐れがあった。また、所望する制動力を得ようとすると、静磁場に比較して多大のエネルギーを費やす必要があった。
ところで、連続鋳造機の鋳型内の溶鋼流動を制動(減速)する手段として、一般的に、静磁場が利用されている。例えば、特許文献3には、鋳型の幅方向全域において静磁場を印加し、浸漬ノズルから鋳型内に供給される溶鋼の吐出流を制動する技術が開示され、特許文献4には、鋳型の幅方向全域に亘って静磁場を印加して溶鋼流動を制御する際に、浸漬ノズルの吐出孔近傍の磁場強度を相対的に小さくする技術が開示され、特許文献5には、鋳型の幅方向全域に亘って静磁場を印加して溶鋼流動を制御する際に、浸漬ノズルの吐出孔近傍の磁場強度を相対的に大きくする技術が開示されている。
また、特許文献6には、複数の鉄心とそれらを取り巻く1個のコイルとからなる、静磁場を発生するための電磁石を鋳型長辺背面に相対させて配置し、分割した各鉄心を、鋳型長辺との間隔がそれぞれ異なるように移動させることにより、鋳型内溶鋼に印加される磁場強度を変化させる技術が開示されている。
特開昭54−107831号公報 特開2004−351481号公報 特開平2−284750号公報 特開2003−117636号公報 特開平10−263763号公報 特開平8−71717号公報
鋳型内の溶鋼流動を制動する手段として、静磁場は移動磁場に比較して効果的であり、移動磁場に替えて静磁場を利用することで、凝固完了位置の鋳片幅方向分布はより均一に制御され、軽圧下による中心偏析低減効果がより一層発現される。しかしながら、従来の静磁場印加技術である特許文献3〜6には以下の問題点がある。
即ち、特許文献3の方法は、鋳型長辺幅方向で均一に静磁場を印加しており、浸漬ノズル吐出流による上昇反転流(吐出流が短辺側に衝突した後、短辺面に沿って鋳型上方に向かう溶鋼流)を制動すべくそれ相応の静磁場を印加すると、吐出流の影響の小さい鋳型長辺中央部では溶鋼流速が極端に遅くなってしまい、凝固シェルへの非金属介在物及び気泡の捕捉が増加する恐れがある。逆に、鋳型長辺中央部の溶鋼流速を所定速度にするために磁場強度を弱くすると、上昇反転流の制動が不可能となる。
特許文献4及び特許文献5の方法は、鋳型幅方向で磁場強度を変化させることはできるが、磁場強度の鋳型幅方向分布は固定であり、鋳造条件の変化などに応じて鋳型幅方向で磁場強度を任意に変更することはできない。特に、浸漬ノズルの左右の吐出孔からの吐出流に偏流(アルミナの付着やアルミナによる閉塞などに起因して一方の吐出孔からの溶鋼流が強くなる現象)が発生しても、鋳型幅方向左右で不均一な磁場強度を印加することができず、偏流に対応した流動制御が実施できない。
また、特許文献6の方法は、鋳片幅方向の磁場強度が変更可能であるが、鉄心の数を増やせば増やすほど各鉄心から発生可能な磁力が小さくなり、鉄心を分割しない場合と比較して溶鋼に付与される磁場強度が小さくなる。また、磁場分布を変更するためには、各鉄心を前後に移動させるアクチュエーターなどが必要であり、設備構造が煩雑であり設備費が高くなる。また、移動する部位を有することから、故障発生の可能性が高い。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、凝固完了位置の鋳片幅方向分布を鋳型内溶鋼の流動制御によって制御しながら、凝固末期の鋳片を凝固収縮量に相当する程度の圧下量で圧下する連続鋳造方法において、従来の移動磁場に替えて、しかも従来の静磁場よりも流動制御に優れた静磁場を利用して鋳型内の溶鋼流動を制動することで、凝固完了位置の鋳片幅方向形状を従来に比較して精度良く制御し、これにより軽圧下の効果を十分に発現させ、中心偏析の軽微な鋳片を鋳造することの可能な、鋼の連続鋳造方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、鋳片全幅に亘って鋳片を貫通する静磁場を印加するための第1の電磁石を、鋳型内に溶鋼を注入する浸漬ノズルの設置位置またはその近傍を境として鋳型長辺幅方向に2つに分割して、鋳型長辺背面に鋳型長辺を挟んで相対させて配置するとともに、鋳型長辺とそれぞれの第1の電磁石との間に、鋳片を貫通する静磁場を印加するための第2の電磁石を、それぞれの第1の電磁石あたり2基以上、鋳型長辺幅方向に並べて配置し、それぞれの第1の電磁石及び第2の電磁石で独立して磁場強度及び極性を制御して鋳型内の溶鋼に静磁場を印加し、鋳型内の溶鋼流動を制御するとともに、鋳片の厚み中心部の固相率が0.4以下の時点から、少なくとも鋳片の厚み中心部の固相率が0.7以上になる時点まで、0.6〜1.5mm/分の範囲内の圧下速度で鋳片を圧下することを特徴とするものである。
第2の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、第1の発明において、前記鋳型長辺には、鋳型長辺温度を測定するための測温素子が鋳型長辺の幅方向に設置されており、この測温素子により測定される鋳型長辺温度の浸漬ノズル左右の平均値に基づいて前記第1の電磁石の磁場強度を制御し、測温素子により測定される鋳型長辺温度の温度分布に基づいて前記第2の電磁石の磁場強度及び極性を制御することを特徴とするものである。
本発明によれば、連続鋳造機の鋳型内の溶鋼流動が適正に制御されて鋳型内の凝固シェル厚みが均一化し、これにより、凝固完了位置の鋳片幅方向の形状が平坦化し、軽圧下による中心偏析改善効果が鋳片幅方向全体で発現し、中心偏析の軽微な、内部品質に優れた鋳片を鋳造することが実現される。
本発明を適用した垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機の概略図である。 図1に示すスラブ連続鋳造機の鋳型部の概略側断面図である。 図1に示すスラブ連続鋳造機の鋳型部の概略平面図である。 鋳型長辺幅方向における鋳型銅板温度の分布をパターン別に示す図である。 鋳片幅方向における凝固完了位置の分布をパターン別に示す図である。 本発明例における炭素の偏析度(Ci/Co)の鋳片幅方向の分布を示す図である。 比較例における炭素の偏析度(Ci/Co)の鋳片幅方向の分布を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。先ず、本発明に至った経緯について説明する。
本発明者らは、軽圧下の効果を鋳片幅方向全体に亘って発現させることを最終的な目的とし、凝固完了位置の鋳片幅方向分布を平坦化するためには、二次冷却帯における鋳片幅方向の冷却強度の制御のみでは十分ではなく、鋳型内における凝固シェル厚みを鋳片幅方向で均一にすることが極めて重要であるとの知見から、凝固完了位置の鋳片幅方向分布を平坦化するための最適な鋳型内溶鋼流動制御方法を検討した。
その結果、溶鋼流動の制動作用に優れた静磁場を利用することを必須条件とし、仮に、この静磁場の磁場強度を鋳型幅方向で任意に変更することが可能であれば、溶鋼流速の速い位置では、静磁場の強度を上げて溶鋼流動を制動して、凝固シェルへの溶鋼流動による入熱を抑制し、逆に、溶鋼流速が遅い位置では、静磁場の強度を下げて溶鋼流速を確保して、凝固シェルへの溶鋼流動による入熱を確保することで、凝固シェル厚みを鋳片幅方向で均一化でき、また、浸漬ノズルからの吐出流に偏流が発生した場合には、溶鋼吐出量の多い側の磁場強度を相対的に大きくするとともに、溶鋼吐出量の少ない側の磁場強度を相対的に小さくすることで、偏流の影響が抑えられ、凝固シェル厚みを鋳片幅方向で均一化できると考えた。即ち、鋳片幅方向で磁場強度の異なる静磁場を溶鋼流速に応じて印加することで、鋳片幅方向で均一な厚みの凝固シェルが形成されると考えた。
このような磁場分布の静磁場を鋳型内の溶鋼に印加するために、先ず、鋳型内での幅方向の溶鋼流動が不均一化される主たる原因である偏流の抑制を目的に、鋳型幅の中央部、つまり浸漬ノズルが設置される位置またはその近傍を境として鋳型幅方向の左右に、それぞれ、鋳片の幅方向約半分に静磁場を印加することのできる電磁石(「第1の電磁石」と定義する)を1基づつ鋳型長辺背面に鋳型長辺を挟んで相対させて配置することとした。左右の第1の電磁石から印加する磁場強度を相対的に変えることで、左右非対称の偏流を抑制することが可能となる。
更に、第1の電磁石を用いて左右のマクロ的な偏流を抑止した上で、鋳型長辺とそれぞれの第1の電磁石との間に、鋳型長辺幅方向に2基以上の電磁石(「第2の電磁石」と定義する)を配置することとした。鋳型内溶鋼に印加される磁場を強くする場合には、第1の電磁石と第2の電磁石との極性を同一として静磁場を印加し、溶鋼に印加される磁場を弱くする場合には、第1の電磁石と第2の電磁石との極性を逆として静磁場を印加し、また、第1の電磁石で印加される磁場強度を維持する場合には、第2の電磁石からの印加を止めることで、鋳型長辺幅方向における磁場強度分布を変えることが可能となる。つまり、鋳片幅方向各位置の溶鋼流速に応じて磁場強度を調整可能となる。電磁石をこのようにして配置することで、効果的な流動制御が可能になると考えた。
その効果を検証するために、実機スラブ連続鋳造機の1/4のサイズの低融点合金(Bi−Pd−Sn−Cd合金:融点70℃)の連続鋳造実験装置を用い、鋳型内溶湯湯面(以下、「メニスカス」と記す)における溶融合金の流速を測定した。第1の電磁石は、浸漬ノズルの吐出孔の直下に電磁石の上端位置が位置するように配置し、また、メニスカスでの流速の測定は、耐火物の小片ブロックを溶融合金中に浸漬させ、これに働くトルクを測定し、測定されるトルクから流速を換算した。
先ず、磁場を印加しない場合と、鋳型幅方向左右の第1の電磁石に同じ電流を流して鋳型幅方向に均一な静磁場を印加した場合とでメニスカスの流速を測定し、両者を比較した。その結果、メニスカスの流速は、静磁場を印加することで低減することが確認され、鋳型幅方向では、鋳型短辺近傍よりも浸漬ノズル近傍での流速の低減割合の方が大きいことが確認された。
また、メニスカスの流速測定後に鋳型内部に冷却水を通水して鋳型を水冷し、鋳型内壁面に凝固シェルを生成させ、凝固シェル厚みを測定した。その結果、浸漬ノズルと鋳型長辺との間隙が最も小さくなる部位での凝固シェル厚みが、静磁場を印加しない場合に比較して厚くなっていたことから、静磁場を印加することによりこの部位の流速が極端に小さくなり、溶湯が滞留したと推定された。溶湯が滞留すると、その部位への新たな熱の供給が行われず、その部位での凝固シェル厚みが周囲に比べて増加する。また更に、静磁場の強度を低下させて実験したところ、鋳型短辺近傍の流速は静磁場を印加しない場合と比較して余り低下せず、鋳型短辺近傍の凝固シェル厚みは薄くなっていた。
即ち、これらの結果から、静磁場の強度調整により、凝固シェル厚みの制御が可能であることが示された。
そこで、鋳型長辺と第1の電磁石との間に、鋳型幅の1/6の幅を有する第2の電磁石を鋳型幅方向に3基(全体では6基)配置し、各第2の電磁石で極性及び磁場強度を独立して制御可能として実験した。メニスカスの流速を測定しながら第1及び第2の各電磁石の極性及び磁場強度をそれぞれ調整した結果、メニスカスの流速は鋳型幅方向のどの位置においてもほぼ一定の流速に制御できることが分かった。また、その条件下での凝固シェル厚みは、静磁場を印加しない場合及び鋳型幅方向に均一の静磁場を印加した場合に比較して、鋳型幅方向で均一化することが分かった。
また、例えば浸漬ノズルの吐出孔の一方が付着物などにより流路が狭くなることで偏流が発生する場合を想定し、意図的に吐出孔の左右の吐出孔断面積を変更した試験も実施した。メニスカスの流速を測定しながら、メニスカスの流速が速い方の側(=吐出孔断面積の大きい側)の磁場強度が大きくなるように、左右の第1の電磁石の磁場強度を調整することで、浸漬ノズル左右のメニスカスの流速をほぼ対称にすることができ、更には、第2の電磁石の極性及び磁場強度をそれぞれ調整することで、メニスカスの流速を鋳型幅方向のどの位置においてもほぼ一定の流速に制御できることが確認された。つまり、偏流が発生した場合であっても、鋳片幅方向で均一な流速に制御できることが分かった。
本発明は、上記検討結果に基づきなされたものであり、鋳片全幅に亘って鋳片を貫通する静磁場を印加するための第1の電磁石を、鋳型内に溶鋼を注入する浸漬ノズルの設置位置またはその近傍を境として鋳型長辺幅方向に2つに分割して、鋳型長辺背面に鋳型長辺を挟んで相対させて配置するとともに、鋳型長辺とそれぞれの第1の電磁石との間に、鋳片を貫通する静磁場を印加するための第2の電磁石を、それぞれの第1の電磁石あたり2基以上、鋳型長辺幅方向に並べて配置し、それぞれの第1の電磁石及び第2の電磁石で独立して磁場強度及び極性を制御して鋳型内の溶鋼に静磁場を印加し、鋳型内の溶鋼流動を制御するとともに、鋳片の厚み中心部の固相率が0.4以下の時点から、少なくとも鋳片の厚み中心部の固相率が0.7以上になる時点まで、0.6〜1.5mm/分の範囲内の圧下速度で鋳片を圧下することを特徴とする。
鋳片の軽圧下は、鋳片厚み中心部の固相率が0.4以下の時点から開始し、少なくとも鋳片厚み中心部の固相率が0.7以上となる時点まで行う。これは、鋳片厚み中心部の固相率が0.4を越えてから軽圧下を開始しても、それ以前に濃化溶鋼の流動が発生する可能性があり、これにより中心偏析が発生し、軽圧下の効果を十分に発揮することができず、また、溶鋼の流動は、固相率が0.7未満では発生する可能性があり、それよりも早期に軽圧下を停止してしまうと、濃化溶鋼の流動が発生し、これにより中心偏析が発生して、軽圧下の効果を十分に発揮することができないからである。鋳片厚み中心部の固相率は、二次元伝熱凝固計算によって求めることができる。鋳片厚み中心部の固相率が1.0となる位置が凝固完了位置である。
また、軽圧下の圧下速度は0.6〜1.5mm/分の範囲内とすることが必要である。圧下速度が0.6mm/分未満の場合は圧下速度が凝固収縮量に対して小さ過ぎて、濃化溶鋼の流動を抑えることができない恐れがある。一方、圧下速度が1.5mm/分を超える場合は、圧下速度が凝固収縮量よりも大きくなり、濃化溶鋼を絞り出すことによって、鋳片中心部に負偏析を形成する恐れがあるからである。更に、軽圧下セグメントのベアリングへの荷重が高くなり、ベアリング寿命の観点からも望ましくない。また、中心偏析の改善のための軽圧下帯における総圧下量は2〜6mm程度とすれば十分である。
次いで、本発明の具体的な実施方法を、図面を参照して説明する。図1は、本発明を適用した垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機の概略図、図2は、図1に示すスラブ連続鋳造機の鋳型部の概略側断面図、図3は、図1に示すスラブ連続鋳造機の鋳型部の概略平面図である。
図1に示すように、スラブ連続鋳造機1には、溶鋼9を注入して凝固させ、鋳片10の外殻形状を形成するための鋳型5が設置され、この鋳型5の上方所定位置には、取鍋(図示せず)から供給される溶鋼9を鋳型5に中継供給するためのタンディッシュ2が設置されている。一方、鋳型5の下方には、サポートロール、ガイドロール及びピンチロールからなる複数対の鋳片支持ロール6が配置されている。鋳造方向に隣り合う鋳片支持ロール6の間隙には、水スプレーノズル或いはエアーミストスプレーノズルなどのスプレーノズル(図示せず)が配置された二次冷却帯が構成され、二次冷却帯のスプレーノズルから噴霧される冷却水(「二次冷却水」ともいう)によって鋳片10は引き抜かれながら冷却されるようになっている。
タンディッシュ2の底部には、溶鋼9の流量を調整するためのスライディングノズル3が設置され、このスライディングノズル3の下面には、浸漬ノズル4が設置されている。また、鋳片支持ロール6の下流側には、鋳造された鋳片10を搬送するための複数の搬送ロール7が設置されており、この搬送ロール7の上方には、鋳造される鋳片10から所定の長さの鋳片10aを切断するための鋳片切断機8が配置されている。
鋳片10の凝固完了位置13を挟んで鋳造方向の前後には、相対する鋳片支持ロール6とのロール間隔を鋳造方向下流に向かって順次狭くなるように設定された、複数対の鋳片支持ロール群から構成される軽圧下帯14が設置されている。ここでは、その全域または一部選択した領域で、鋳片10に軽圧下を行うことが可能である。軽圧下帯14の各鋳片支持ロール間にも鋳片10を冷却するためのスプレーノズルが配置されている。
相対する鋳片支持ロール6とのロール間隔を鋳造方向下流に向かって順次狭くなるように設定することを、「ロール勾配」とも呼んでおり、ロール勾配(単位:mm/m)に鋳造速度(m/分)を乗算した数値が圧下速度(mm/分)となる。従って、所定の圧下速度となるように、鋳造速度に応じてロール勾配を設定する。尚、図1では、軽圧下帯14の範囲内に凝固完了位置13が位置しているが、凝固完了位置13が軽圧下帯14の範囲内に位置することは必須ではなく、鋳片厚み中心部の固相率が0.7となる位置が軽圧下帯14の範囲内に存在すればよい。また、軽圧下帯14に配置される鋳片支持ロール6は「圧下ロール」とも呼ばれている。
図2及び図3に示すように、鋳型5は、相対する一対の鋳型長辺5aと、この鋳型長辺5aに挟持された鋳型短辺5bとで構成され、鋳型長辺5aの背面には、鋳型長辺5aの中心位置、つまり浸漬ノズル4の設置位置を境として鋳片幅方向の左右に、鋳型長辺5aの幅方向のほぼ半分を覆うように、それぞれ第1の電磁石19及び第1の電磁石20が配置されている。鋳型長辺5aを挟んでそれぞれ相対する電磁石19−19間及び電磁石20−20間で、鋳型長辺5aを貫通する静磁場が発生し、鋳型内の未凝固相12には鋳片全幅に亘る静磁場が印加される。第1の電磁石19及び第1の電磁石20は、それぞれ独立して、極性及び磁場強度が調整できるように構成されている。ここで、「極性の調整」とは、例えば図3における上側の電磁石19をN極とするかまたはS極とするかという意味である。当然ながら相対する下側の電磁石19はその逆の極となる。
第1の電磁石19及び第1の電磁石20の鋳造方向設置位置は、目的によって変更すればよく、例えば、浸漬ノズル4の吐出孔4aから吐出される溶鋼9の吐出流15を直接制動しようとする場合には、吐出孔4aの位置に設置すればよく、メニスカス16の溶鋼流速を直接制御しようとする場合には、メニスカス16の位置にすればよい。また、第1の電磁石を鋳造方向に複数段設置することもできる。
また、第1の電磁石19と鋳型長辺5aとの間には、鋳型長辺5aを挟んで相対する第2の電磁石21、電磁石22、電磁石23が配置され、同様に、第1の電磁石20と鋳型長辺5aとの間には、鋳型長辺5aを挟んで相対する第2の電磁石24、電磁石25、電磁石26が配置されている。ここでは、第1の電磁石19及び第1の電磁石20に対してそれぞれ3基の第2の電磁石が配置されているが、2基以上であればその数に制限はない。但し、設置数が増加すると第2の電磁石の寸法が小さくなり、コイルの巻き数が少なくなり、必要な磁場強度を印加できなくなる場合もあるので、必要とする磁場強度に基づき、第2の電磁石の寸法を定め、それにより設置数を決めることが好ましい。
第2の電磁石21〜26も、第1の電磁石19、20と同様に、それぞれ独立して、極性及び磁場強度が調整できるように構成されている。第2の電磁石の極性を第1の電磁石の極性と同一にすれば、鋳型内の未凝固相12に印加される静磁場の強度が増し、逆に、第2の電磁石の極性を第1の電磁石の極性と逆にすれば、鋳型内の未凝固相12に印加される静磁場の強度が小さくなる。
第1の電磁石19、20及び第2の電磁石21〜26は、鋳型内の溶鋼流動を制御して鋳片幅方向で均一な凝固シェル11を形成させるための装置であり、従って、鋳型内の溶鋼流動状況をオンラインで把握し、把握した溶鋼流動状況に応じて、印加する静磁場の極性及び磁場強度を調整することが重要となる。本発明では、鋳型内の溶鋼流動を把握するにあたって、鋳型長辺5aの幅方向に埋め込んだ測温素子による鋳型長辺5aの銅板温度に基づいて、鋳型内の溶鋼流動状況を把握する。
従って、鋳型長辺5aには、メニスカス16から鋳造方向に10〜135mm離れた位置に測温素子18が埋め込まれている。測温素子18の設置位置が、メニスカス16から鋳造方向に10mm未満では、メニスカス16の鋳造中の上下変動の影響を受けて銅板温度が変動し、溶鋼の流動に起因する温度変化を正確に把握できなく、一方、メニスカス16から鋳造方向に135mmを超えると、溶鋼流速の減衰が大きく、溶鋼流速に起因する銅板温度変化が把握しにくくなる。また、銅板温度の変化を精度良く検出するために、鋳型長辺5aの溶鋼側表面から測温素子18の先端までの距離は15mm程度以下とし、銅板温度の鋳片幅方向分布を精度良く検出するために、測温素子18の鋳型幅方向の設置間隔は200mm以下とすることが好ましい。図2では、測温素子18を鋳型長辺5aの背面側から埋め込んでいるが、鋳型長辺5aの上面側から細孔を開け、その中に測温素子18を配置するようにしてもよい。図3では、測温素子18を省略している。
ここで、本発明者らが、実機連続鋳造機の鋳造において調査した、鋳型長辺5aの銅板温度分布と凝固完了位置13の鋳片幅方向分布との関係を説明する。尚、凝固完了位置13の鋳片幅方向形状は、鋳片10に横波超音波を透過させる方法(例えば、特開2006−208393号公報を参照)を用いて測定した。
図4−Aに示すように、浸漬ノズル内壁へのアルミナ付着により偏流が発生した場合には、鋳型長辺5aの銅板温度は、鋳型幅方向左右の銅板温度絶対値に明らかな差が見られた(左右の銅板温度絶対値に差がある場合を「パターンA」という)。図4−Aの場合、左側の吐出孔4aが閉塞気味であり、右側の吐出孔4aからの吐出流15が強く、右側では鋳片短辺へ衝突した後の上昇反転流が強く、右側のメニスカス16の溶鋼流速が増大し、その結果、右側の銅板温度が左側に比べて高くなったものである。このように、左右の銅板温度を比較することで、偏流の発生を検知することができる。
また、鋳型幅方向左右の銅板温度がほぼ対称である場合にも、その分布は、図4−B(パターンB)、C(パターンC)、D(パターンD)に示すように、概ね3つのパターンに分類された。パターンBは、幅中央部に比べて短辺側の銅板温度が高い場合、パターンCは、鋳型幅方向にほぼ均一な温度分布である場合、パターンDは、幅中央部の銅板温度が短辺側に比べて高い場合である。このような温度パターンになる原因は必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。
即ち、パターンBは、吐出流15の短辺衝突後の上昇反転流が強く、そのために、両短辺側の溶鋼表面流速が大きくなっている場合である。この場合には、両短辺近傍の凝固シェル厚が薄くなる。パターンCは、溶鋼流速が鋳型幅方向でほぼ均一になっている場合である。この場合には、凝固シェル11の厚みが幅方向で均一になる。パターンDは、鋳型内の溶鋼流動が全体的に不足していることに加え、浸漬ノズル4に吹き込まれたArガスの気泡により上昇流が形成され、鋳型幅方向中央部の銅板温度が相対的に高くなったと考えられる。この場合には、鋳型幅方向中央部の凝固シェル厚が薄くなる。
上記の図4−A、B、C、Dに示す銅板温度パターンとなった条件下で測定した凝固完了位置13の鋳片幅方向分布の測定結果を図5−A、B、C、Dに示す。図4と図5とのパターン符合は一致しており、銅板温度分布が例えば図4のパターンAのときの凝固完了位置13の鋳片幅方向分布が図5のパターンAである。
図4及び図5を対比すると、概ね相対的に銅板温度の高かった幅方向位置に相当する部位の凝固完了位置13が下流側に伸びた分布を呈することが分かる。即ち、鋳型内での溶鋼流動に起因する鋳型長辺5aの銅板温度分布から、鋳型内での初期凝固シェル11の形成を通じて凝固完了位置13の鋳片幅方向分布を把握できること、更に、鋳型内の溶鋼流動を制御することで凝固完了位置13の鋳片幅方向分布を制御できることが示された。また更に、凝固完了位置13の鋳片幅方向分布が平坦となるパターンCとなるように鋳型内の溶鋼流動を制御することが重要であることも分かった。
第1の電磁石19、20及び第2の電磁石21〜26の具体的な運転方法は、例えば以下のようにして実施することができる。
第1の電磁石19及び第1の電磁石20で偏流を制御する場合には、図4−Aに示すように、鋳型長辺5aの幅方向左右の平均値(Tr及びTl)を求め、両者の差の絶対値(|Tr−Tl|)に基づき左右の第1の電磁石19及び第1の電磁石20の印加強度を制御する。つまり、平均温度の高い側の方を磁場強度を強くし、左右の磁場強度の差は両者の平均温度の差に基づく。また、第1の電磁石19、20は、鋳型内の全体の溶鋼流動を制御しており、偏流がない場合には、メニスカス16における溶鋼流速が所定の値になるように、即ち、銅板温度の平均温度が鋳造速度で決まる所定の値になるように、第1の電磁石19及び第1の電磁石20から同一の磁場強度の静磁場を印加する。
第2の電磁石21〜26は、パターンCに示すように、鋳型長辺5aの銅板温度を鋳型幅方向で均一にする役割を担っており、溶鋼流速が速いつまり銅板温度が高い部位では、第1の電磁石19または第1の電磁石20と極性を同一として静磁場を印加し、磁場強度を増加させて溶鋼への制動力を高め、逆に、溶鋼流速が遅いつまり銅板温度が低い部位では、第1の電磁石19または第1の電磁石20と極性を逆として静磁場を印加し、磁場強度を減少させて溶鋼への制動力を弱める。このようにすることで、メニスカス16の溶鋼流速が均一化され、凝固完了位置13の鋳片幅方向分布が平坦化される。このように、第2の電磁石21〜26から印加する静磁場の磁場強度は鋳型銅板温度分布に基づくものとする。尚、溶鋼流動の制御を容易とするために、鋳型長辺5aの幅方向左右の第2の電磁石毎に磁場強度を調整すればよい。つまり、例えば鋳型長辺右側の温度分布において、温度が相対的に高い位置では磁場強度を強くし、温度が相対的に低い位置では磁場強度を弱くし、これらの磁場強度の差は銅板温度の差に基づくものとする。
第1の電磁石19、20及び第2の電磁石21〜26は、制御装置(図示せず)により、自動的に上記のように運転するように構成されている。
このように構成されるスラブ連続鋳造機1を用い、以下のようにして溶鋼9を連続鋳造する。
溶鋼9を取鍋(図示せず)からタンディッシュ2に注入し、タンディッシュ内の溶鋼量が所定量になったなら、スライディングノズル3を開き、浸漬ノズル4を介して溶鋼9を鋳型5に注入する。溶鋼9は、吐出孔4aから鋳型短辺5bに向かう吐出流15となって鋳型内に注入される。鋳型内に注入された溶鋼9は鋳型5で冷却され、凝固シェル11を形成する。そして、鋳型内に所定量の溶鋼9が注入されたなら鋳片支持ロール6の内のピンチロールを駆動して、外殻を凝固シェル11とし、内部に溶鋼9の未凝固相12を有する鋳片10の引き抜きを開始する。鋳片10は、鋳片支持ロール6に支持されつつ下方に連続的に引き抜かれる。引き抜き開始後は、メニスカス16の位置を鋳型内のほぼ一定位置に制御しながら、鋳造速度を増速して所定の鋳造速度とする。メニスカス16の上にはモールドパウダー17を添加する。モールドパウダー17は溶融して、溶鋼9の酸化防止や、凝固シェル11と鋳型5との間に流れ込んで潤滑剤としての効果を発揮する。
鋳造速度が所定値になった以降、第1の電磁石19、20及び第2の電磁石21〜26は、測温素子18によって測定される銅板温度に基づき、鋳型内の溶鋼9に静磁場を印加する。静磁場の強度及び極性は、測温素子18によって測定される銅板温度が変化すれば、それに応じて変化する。そして、鋳片10は、二次冷却帯で冷却され、凝固シェル11の厚みを増大して、軽圧下帯14にて適宜な量の軽圧下量が付加され、凝固完了位置13で中心部までの凝固を完了する。中心部まで凝固完了した鋳片10を鋳片切断機8により切断して鋳片10aを得る。
この場合、予め伝熱凝固計算などを用いて、種々の鋳造条件下における凝固シェル11の厚み並びに鋳片厚み中心部の固相率を求めておき、軽圧下帯14に入る時点での鋳片厚み中心部の固相率が0.4以下になるように、鋳造速度及び二次冷却水量などの鋳造条件を調整する。軽圧下を開始する時点の鋳片厚み中心部の固相率は0.4以下であればいくらであっても構わない。また、少なくとも鋳片10の厚み中心部の固相率が0.7以上になる時点までは、鋳片10の圧下を継続する。圧下速度が0.6〜1.5mm/分の範囲内になるように、予定する鋳造速度に応じてロール勾配を予め調整しておく。
以上説明したように、本発明によれば、鋳型内の溶鋼流動が適正に制御されて鋳型内の凝固シェル厚みが均一化し、これにより、鋳片幅方向の凝固完了位置13の形状が平坦化し、軽圧下による中心偏析改善効果が鋳片幅方向全体で発現し、中心偏析の軽微な、内部品質に優れた鋳片10aを鋳造することが実現される。
尚、図1に示す連続鋳造機は垂直曲げ型連続鋳造機であるが、本発明は垂直曲げ型連続鋳造機に限定されるものではなく、湾曲型連続鋳造機であってもまた垂直型連続鋳造機であっても、上記と同様に本発明を適用することができる。
図1に示すスラブ連続鋳造機を用いて本発明を実施した本発明例を説明する。
化学成分が、C:0.15質量%、Si:0.15質量、Mn:1.0質量%、P:0.015質量%、S:0.005質量%、Ti:0.01質量%、sol.Al:0.03質量%の中炭素鋼を、断面形状が、幅1950mm、厚み250mmのスラブ鋳片に鋳造した。軽圧下帯におけるロール勾配を1mあたり0.53mmとし、鋳造速度は1.5m/分とした。第1の電磁石からは最大0.18テスラの静磁場が印加され、第2の電磁石からは、−0.06(逆極性)〜+0.06(正極性)テスラの静磁場が印加される。測温素子としては熱電対を用い、メニスカスから50mm下方の位置に50mm間隔で設置した。
鋳型銅板温度が幅方向で均一になるように、つまりパターンCとなるように、第1の電磁石及び第2の電磁石により鋳型内溶鋼に静磁場を印加するとともに、軽圧下帯で鋳片を圧下しながら軽圧下帯の範囲内で凝固させた。軽圧下帯入側での鋳片中心部の固相率は0.1であった。
また、比較のために、第1の電磁石及び第2の電磁石から鋳型内溶鋼に静磁場を印加せずに、その他の鋳造条件を同一とする鋳造(比較例)も実施した。
鋳造後の鋳片から検査用の鋳片全幅試料を採取し、中心偏析を調査した。鋳片の厚み中心部から鋳片幅方向に100mm間隔で5mm直径のドリルで切り粉を採取し、この切り粉を燃焼式炭素分析装置により定量分析して炭素濃度(Ci)を求め、炭素の偏析度(Ci/Co)により中心偏析を評価した。ここで、Coは、鋳片の厚み1/4位置から5mm直径のドリル採取した切り粉の炭素分析値であり、この値を代表値とした。
図6に、本発明例における炭素の偏析度(Ci/Co)の鋳片幅方向の分布を示し、図7に、比較例における炭素の偏析度(Ci/Co)の鋳片幅方向の分布を示す。
図6及び図7を比較すると明らかなように、本発明例では偏析度(Ci/Co)が鋳片幅方向で均一化され、しかも偏析度(Ci/Co)が小さいことが分かる。これに対して、比較例では、鋳片短辺から200〜300mmの領域において、偏析度(Ci/Co)が高く、偏析が悪化していることが分かる。比較例の鋳型銅板温度分布は図4−Bに示すパターンBであり、鋳型内溶鋼流動により短辺近傍の凝固シェル厚みが薄肉化し、短辺面から200〜300mmの範囲の凝固完了位置が下流側に伸び、軽圧下の効果が得られなかったと考えられる。
1 スラブ連続鋳造機
2 タンディッシュ
3 スライディングノズル
4 浸漬ノズル
4a 吐出孔
5 鋳型
5a 鋳型長辺
5b 鋳型短辺
6 鋳片支持ロール
7 搬送ロール
8 鋳片切断機
9 溶鋼
10 鋳片
11 凝固シェル
12 未凝固相
13 凝固完了位置
14 軽圧下帯
15 吐出流
16 メニスカス
17 モールドパウダー
18 測温素子
19、20 第1の電磁石
21、22、23、24、25、26 第2の電磁石

Claims (2)

  1. 鋳片全幅に亘って鋳片を貫通する静磁場を印加するための第1の電磁石を、鋳型内に溶鋼を注入する浸漬ノズルの設置位置またはその近傍を境として鋳型長辺幅方向に2つに分割して、鋳型長辺背面に鋳型長辺を挟んで相対させて配置するとともに、鋳型長辺とそれぞれの第1の電磁石との間に、鋳片を貫通する静磁場を印加するための第2の電磁石を、それぞれの第1の電磁石あたり2基以上、鋳型長辺幅方向に並べて配置し、それぞれの第1の電磁石及び第2の電磁石で独立して磁場強度及び極性を制御して鋳型内の溶鋼に静磁場を印加し、鋳型内の溶鋼流動を制御するとともに、鋳片の厚み中心部の固相率が0.4以下の時点から、少なくとも鋳片の厚み中心部の固相率が0.7以上になる時点まで、0.6〜1.5mm/分の範囲内の圧下速度で鋳片を圧下することを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
  2. 前記鋳型長辺には、鋳型長辺温度を測定するための測温素子が鋳型長辺の幅方向に設置されており、この測温素子により測定される鋳型長辺温度の浸漬ノズル左右の平均値に基づいて前記第1の電磁石の磁場強度を制御し、測温素子により測定される鋳型長辺温度の温度分布に基づいて前記第2の電磁石の磁場強度及び極性を制御することを特徴とする、請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。
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