JP5346750B2 - V型内燃機関の動弁装置 - Google Patents
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Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、部品の種類を低減し、V型内燃機関の動弁装置を簡単な構造で実現できるようにすることを目的とする。
この構成によれば、一方のバンクの伝達部材を介してクランクシャフトの回転を伝達された吸気カムまたは排気カムの回転が、ギヤによって同じバンクの吸気カムまたは排気カムに伝達される。また、他方のバンクの伝達部材を介してクランクシャフトの回転を伝達された吸気カムまたは排気カムの回転が、ギヤによって同じバンクの吸気カムまたは排気カムに伝達される。これにより、一方のバンク及び他方のバンクの各々が、伝達部材とギヤとによって吸気カム及び排気カムを駆動し、一方のバンクと他方のバンクとで同一の伝達部材及びギヤを用いることができ、部品を共用できるため、V型内燃機関の動弁装置を簡単な構造で実現できる。また、一方と他方の吸気カムがVバンクの内側に設けられているため、Vバンクの内側に吸気用の部品をまとめて効率的に配置できる。また、揺動カムによってロッカアームを押圧して吸気弁及び排気弁を駆動する際の揺動カムの揺動方向が同一になるため、吸気側と排気側とで同一の動弁装置を用いることができ、部品を共用できるため、動弁装置を簡単な構造で実現できる。
この場合、機関弁の位相及び/又はリフト量を変化させる際のリンク機構の揺動方向が同一であるため、吸気側と排気側とで同一の動弁装置を用いることができ、部品を共用できるため、動弁装置を簡単な構造で実現できる。また、リンク機構の揺動方向が同一であるため、吸気側と排気側との動弁装置をリンク等の簡単な機構で互いに連結することで吸気側と排気側との動弁装置を連動させることができ、構造を簡単にできる。さらに、動弁装置の構造が簡単になるため、アクチュエータの配置の自由度が向上する。
この場合、一方及び他方のバンクにおいて、各バンク内でVバンクの外側方向に位置する機関弁が、各バンクの中央により近くなる角度で配置され、機関弁の挟み角が小さくなるため、Vバンクの外側の空間を大きく確保できる。このため、Vバンクの外側に、補機などを配置するスペースをより大きく確保できる。
この場合、一方及び他方のバンクにおいて、各バンク内でVバンクの内側方向に位置する機関弁が、各バンクの中央により近くなる角度で配置され、機関弁の挟み角が小さくなるため、Vバンクの内側の空間を大きく確保できる。このため、Vバンクの内側に、吸気装置や補機などを配置するスペースをより大きく確保できる。
この場合、点火プラグに近接する側のロッカアームの支点と点火プラグとの間に距離を確保でき、点火プラグに近接する側のロッカアームに逃げを形成する必要がないため、吸気側と排気側とでロッカアームを共用して動弁装置を簡単な構造にできる。また、機関弁の燃焼室に対する配置を整えて、燃焼室形状を理想的な形状に近づけることができる。
また、吸気弁及び排気弁を駆動する際の揺動カムの揺動方向が同一になるため、吸気側と排気側とで同一の動弁装置を用いることができ、部品を共用できるため、動弁装置を簡単な構造で実現できる。
さらにまた、Vバンクの内側方向に位置する機関弁が、各バンクの中央により近くなる角度で配置され、機関弁の挟み角が小さくなるため、Vバンクの内側の空間を大きく確保でき、Vバンクの内側に、吸気装置や補機などを配置するスペースをより大きく確保できる。
また、点火プラグは傾斜して設置しても良く、近接する側のロッカアームの支点と点火プラグとの間の距離をより一層確保でき、点火プラグに近接する側のロッカアームに逃げを形成する必要がないため、吸気側と排気側とでロッカアームを共用して動弁装置を簡単な構造にできる。また、機関弁の燃焼室に対する配置を整えて、燃焼室形状を理想的な形状に近づけることができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る動弁装置を適用した自動二輪車を示す右側面図である。この自動二輪車10は、車体フレーム11と、車体フレーム11の前端部に取り付けられたヘッドパイプ12に回動自在に支持された左右一対のフロントフォーク13と、フロントフォーク13の上端部を支持するトップブリッジ14に取り付けられた操舵用のハンドル15と、フロントフォーク13に回転自在に支持された前輪16と、車体フレーム11に支持されたV型内燃機関としてのエンジン17と、エンジン17に排気管18A,18Bを介して連結された排気マフラー19A,19Bと、車体フレーム11の後下部のピボット20に上下に揺動自在に支持されたリアスイングアーム21と、このリアスイングアーム21の後端部に回転自在に支持された後輪22とを備え、リアスイングアーム21と車体フレーム11との間にリアクッション23が配設される。
側面視においてVバンク100の内側には、V字状のVバンク空間Kが形成されている。Vバンク空間Kには、エンジン吸気系を構成するエアクリーナ41とスロットルボディ42が配設される。スロットルボディ42は、エアクリーナ41で浄化された空気を前バンク110A及び後バンク110Bに供給する。また、各バンク110A,110Bには、エンジン排気系を構成する排気管18A,18Bが接続され、各排気管18A,18Bが車体右側を通ってその後端に排気マフラー19A,19Bが各々接続され、これら排気管18A,18B及び排気マフラー19A,19Bを介して排気ガスが排出される。
図2中、前バンク110Aはピストン周辺を示し、後バンク110Bはカムチェーン周辺を示している。また、図2に示すように、エンジン17の前バンク110A及び後バンク110Bは略同一の構造を有し、後バンク110Bは、シリンダボア135を軸として前バンク110Aの全体を180°回転させたものをエンジン17後部に設けて構成されている。
また、図2において、符号121は中間シャフト(後側バランサシャフト)を示し、符号123はメインシャフトを示し、符号125はカウンタシャフトを示している。クランクシャフト105は車幅方向と平行に延在し、クランクシャフト105を含むこれらシャフト121,123,125は、車体前後方向及び上下方向にずらして互いに平行に配置され、これらシャフトを支持するクランクケース110C内には、クランクシャフト105の回転を、中間シャフト121、メインシャフト123及びカウンタシャフト125の順に伝達する歯車伝達機構が構成されている。
各シリンダヘッド132A,132Bの下面には、ピストン136上方に形成される燃焼室140の天面を構成する燃焼凹部141が形成され、各燃焼凹部141には、点火プラグ142がその先端を臨ませて配置される。点火プラグ142は、燃焼凹部141に配置されるプラグ本体142Aと、プラグ本体142Aの上部に取り付けられるプラグキャップ142Bとを有している。円筒状に形成されたプラグキャップ142Bは、ヘッドカバー133Aの上面まで延びている。
シリンダヘッド132Aの上部には、燃料ポンプ144が設けられ、燃料ポンプ144から燃料配管144Aを介して各インジェクタ143に燃料が供給される。
各吸気ポート145は、図2及び図3に示すように、シリンダヘッド132A,132Bと一体に設けた下部吸気ポート145Bと、シリンダヘッド132A,132Bと別体に設けた上部吸気ポート145Cとを備えている。上部吸気ポート145Cは、下部吸気ポート145Bに対し、よりヘッドカバー133A,133Bに接近する方向に角度を変えて取り付けられている。
また、前バンク110Aでは、吸気側動弁装置50Iは点火プラグ142の後側に配置され、排気側動弁装置50Eは点火プラグ142の前側に配置されている。一方、後バンク110Bでは、吸気側動弁装置50Iは点火プラグ142の前側に配置され、排気側動弁装置50Eは点火プラグ142の後側に配置されている。
図3に示すように、吸気カムシャフト151f,151rには、吸気カムシャフト151f,151rの各々と一体に回転する吸気駆動カム153が形成されている。吸気駆動カム153は、円形のカム面を形成するベース円部155Aと、ベース円部155Aから外周側に突出したカム面を形成するカム山部155Bとを備えている。
また、排気カムシャフト152f,152rには、排気カムシャフト152f,152rの各々と一体に回転する排気駆動カム154が形成されている。排気駆動カム154も同様に、ベース円部155A及びカム山部155Bを有している。
ここで、駆動ギヤ81rと従動ギヤ82rとは、同一形状に形成された同一部品である。このため、吸気カムシャフト151r及び排気カムシャフト152rは同一の回転速度で互いに反対方向に回転する。
ここで、前バンク110Aにおいても、駆動ギヤ81fと従動ギヤ82fとは、同一形状に形成された同一部品である。また、駆動ギヤ81f,81r、従動ギヤ82f,82r、伝達ギヤ83f,83r、カムチェーン84f,84r、及び、駆動スプロケット163は、前バンク110Aと後バンク110Bとで同一形状の同一部品が使用されている。
また、前バンク110A及び後バンク110Bにおいて、各駆動ギヤ81f,81rと各従動ギヤ82f,82rとはシリンダ軸線Cに重なる位置で噛み合っている。このように、駆動ギヤ81f,81r及び従動ギヤ82f,82rで構成されるギヤ列を前バンク110A及び後バンク110Bの各々における前後の中央に配置したため、駆動ギヤ81f,81r及び従動ギヤ82f,82rをコンパクトに配置でき、前バンク110A及び後バンク110Bを前後方向に小型化できる。
この中間シャフト121の右端部には、オイルポンプ用駆動スプロケット181と、上記中間側被動歯車177と、この被動歯車177より小径の駆動歯車(以下、中間側駆動歯車という)182とが順に取り付けられている。
オイルポンプ用駆動スプロケット181は、中間シャフト121の後側であって、メインシャフト123下方に配置されたオイルポンプ184の駆動軸185に固定された被動スプロケット186に伝動チェーン187を介して該中間シャフト121の回転力を伝達し、オイルポンプ184を駆動させる。
カウンタシャフト125の左端部は、車体の前後方向に延びるドライブシャフト(不図示)に連結される。これによって、カウンタシャフト125の回転がドライブシャフトに伝達される。
動弁装置50は、図3に示すように、略同一に構成された吸気側動弁装置50Iと排気側動弁装置50Eとが、点火プラグ142を挟んで同一の向きを向いた状態で配置されている。また、前バンク110A及び後バンク110Bの動弁装置50は略同一構造である。このため、本実施の形態では、後バンク110Bの動弁装置50及び、前バンク110Aの排気側動弁装置50Eについての詳細な説明は省略し、主として前バンク110Aの吸気側動弁装置50Iについて説明する。
また、図2に示すように、後バンク110Bにおいても、吸気側及び排気側の各ロッカアームピボット51Aが、対応する各作用部51BよりもVバンク100の外方側に配置されている。
さらに、吸気側及び排気側の各ロッカアーム51を、各ロッカアームピボット51AがVバンク100の外方側に位置する状態で配置し、各ロッカアーム51を同一の向きで配置したため、各動弁カム52が吸気弁147及び排気弁148を開弁する際の各動弁カム52の揺動方向を同一にでき、吸気側及び排気側の各動弁カム52を同一の向きで配置できる。
吸気側カムシャフト151には、ギヤ固定部151Aの側から順に、吸気側カムシャフト151の外周に突出し断面円形形状を有する位置決め部151B、吸気駆動カム153、動弁カム52を揺動可能に支持する動弁カム支持部151C、及び、動弁カム支持部151Cよりも小径に形成されたカラー嵌合部151Dが形成されている。カラー嵌合部151Dには、吸気側カムシャフト151のベアリングとして機能するカムシャフトカラー155が嵌合され、カムシャフトカラー155は吸気側カムシャフト151の端に締めこまれた固定ボルト156によって動弁カム52の側に押し付けられている。
また、カムシャフト支持部201,202における吸気駆動カム153の側の面には、ホルダ53を支持するホルダ支持部201D,202Dがそれぞれ設けられている。
貫通孔52Cには、カム山部52Bがロッカアーム51のローラ51Eから離れる方向、すなわち、吸気弁147を閉弁する方向に動弁カム52を付勢する動弁カムリターンスプリング57(図5参照)の一端が取り付けられる。動弁カムリターンスプリング57は、図5に示すように、吸気側カムシャフト151に巻き掛けられており、その他端はホルダ53に取り付けられる。
また、連結部材59は、吸気側カムシャフト151と平行な軸部59A、59Cと、軸部59Aと軸部59Cとを一体に結合する結合部73とを備えて構成されている。また、結合部73には円筒状の収容部74が形成され、収容部74には、サブロッカアーム54を吸気駆動カム153側に付勢するサブロッカアームリターンスプリング58(以下、リターンスプリングという)が収容されている。
連結部材59の結合部73は、第1プレート53Aと第2プレート53Bとの間の中間部に位置し、サブロッカアーム54の一端が連結されるサブロッカアーム支持部59Bは、結合部73と第1プレート53Aとの間に設けられている。サブロッカアーム支持部59Bは、軸部59Aよりも小径に形成された軸である。
これら第1,第2プレート53A,53B及び連結部材59は、第1プレート53Aの外面側から第1プレート53Aと連結部材59とを締結する一対のボルト53Dと、第2プレート53Bの外面側から第2プレート53Bと連結部材59とを締結する一対のボルト53Eとによって固定される。
また、サブロッカアーム54は、リターンスプリング58により付勢されており、サブロッカアーム54のローラ54Aは常に吸気駆動カム153に押し付けられている。
リンク部54Dは偏心部54Cの端に連続して設けられ、動弁カム52に連結されている。このように、サブロッカアーム54は偏心部54Cが偏心することで、吸気側カムシャフト151上の軸方向に異なる位置に設けられた吸気駆動カム153と動弁カム52とを連結している。
上記のように構成された動弁装置50において、図4を参照し、吸気カムシャフト151fが図中の反時計方向に回転されると、吸気カムシャフト151fと一体に回転する吸気駆動カム153のカム山部155Bにより、サブロッカアーム54がローラ54Aを介して押し上げられて軸部59Aを中心として揺動し、これに伴い、コネクトリンク55を介して動弁カム52が、吸気カムシャフト151fを中心として、図4中の時計回り、すなわち、カム山部52Bの先端がVバンク100の外側から内側に向かって回転する方向に回転する。そして、動弁カム52の回転によりカム山部52Bがローラ51Eを介してロッカアーム51を押圧し、ロッカアーム51を介して吸気弁147が押し下げられ、吸気弁147が開弁される。
また、吸気カムシャフト151fがさらに回転されて吸気駆動カム153のベース円部155Aがローラ54Aに当接する状態では、サブロッカアーム54がリターンスプリング58により押し下げられると共に、動弁カム52が動弁カムリターンスプリング57より図4中の反時計回りに回転させられてベース円部52Aがローラ51Eに当接する。これにより、吸気弁147は弁ばね149(図2参照)により押し上げられて閉弁される。
ここで、動弁カム52の揺動の初期位置とは、サブロッカアーム54のローラ54Aが吸気駆動カム153(排気側では排気駆動カム154)のベース円部155Aに当接しており、サブロッカアーム54がカム山部155Bによって押し上げられていない状態における動弁カム52の揺動位置を指している。
図7は、駆動機構60を側面側から見た縦断面図であり、図8は、駆動機構60を前部側から見た縦断面図である。
駆動機構60は、図7に示すように、連結リンク部材63を介してホルダ53に連結されている。駆動機構60は、吸気カムシャフト151fと排気カムシャフト152fとに跨って配置されたボールねじ61と、吸気カムシャフト151fの近傍に設けられ、ボールねじ61上を軸方向に移動可能なナット62とを備え、ナット62とホルダ53との間に連結リンク部材63が設けられている。
ボールねじ61の端部には被動ギヤ64が固着され、被動ギヤ64には電動のアクチュエータ70(図10参照)がギヤ輪列を介して連結されている。被動ギヤ64は、排気カムシャフト152rよりも前方に配置されている。
アクチュエータ70は、電子制御ユニット(ECU)により制御され、このECUがアクチュエータ70を駆動することにより、ボールねじ61を介してホルダ53が揺動され、吸気弁147及び排気弁148の開閉の作動特性がエンジン17の運転状態に応じて制御される。
ボールねじ61における吸気カムシャフト151fの側の外周面には、ナット62と係合する螺旋状のねじ山61A及び螺旋状の軸ねじ溝61Cが形成されている。
ナット側リンク63Aの一端部は、ナット62を両側方から挟み込み、ボルト66によってナット62に固定されている。ナット側リンク63Aの他端部は、ピン67によってホルダ側リンク63Bの一端部に揺動可能に支持されている。ホルダ側リンク63Bの他端部は、偏心ピン68によって第2プレート53Bに揺動可能に支持されている。偏心ピン68は、六角ボルト68Aと、六角ボルト68Aの頭部に偏心して一体形成された偏心軸68Bとを備えて構成されている。六角ボルト68Aは、スプリングワッシャ68C及び六角ナット68Dによって第2プレート53Bに固定され、偏心軸68Bは、ナット側リンク63Aに回転自在に支持される。
リンク機構56I,56Eの位置が変化することにより、ローラ54A及び動弁カム52は、吸気カムシャフト151f及び排気カムシャフト152fを中心にそれぞれ揺動し、吸気カムシャフト151f及び排気カムシャフト152fに対して周方向に位置が変位されて、吸気駆動カム153及び排気駆動カム154の回転に対する動弁カム52の揺動の位相、及び、揺動の初期位置が変更される。このように、吸気駆動カム153及び排気駆動カム154の各々に対する各動弁カム52の揺動の位相及び揺動位置を変化させることで、各動弁カム52のカム山部52Bがローラ51Eに当接する時期、期間、及び、カム山部52Bがローラ51Eを押し下げる量を変更できるため、吸気弁147及び排気弁148の開閉時期(位相)、開弁期間、及び、リフト量を変更することができる。
排気側動弁装置50Eでは、駆動機構60によってホルダ53が図4中の時計回り方向(矢印A方向)に揺動されると、ローラ54A及び動弁カム52は時計回り方向に回転され、カム山部52Bはローラ51Eに近くなると共に、ローラ54Aは、時計回転方向に回転するカム山部155Bに、より遅い時期に当接する位置に移動する。この状態で排気カムシャフト152fが回転されると、カム山部155Bによるローラ54Aの押し上げの開始時期が遅くなると共に、カム山部52Bがローラ51Eを押し下げる期間及び押し下げ量が大きくなる。これにより、排気弁148の開弁時期が遅くなると共に、排気弁148の開弁期間及びリフト量が大きくなる。
吸気弁147及び排気弁148は、駆動機構60により駆動される動弁装置50によって、図9に示すように、開閉時期、開閉期間、及び、最大リフト量が変更される。
吸気弁147は、吸気弁147のリフト量が最大となる最大バルブ作動特性Uimax及び、吸気弁147のリフト量が最小となる最小バルブ作動特性Uiminを境界値として、最小バルブ作動特性Uiminと最大バルブ作動特性Uimaxとの間の任意のバルブ特性で開閉作動される。同様に、排気弁148は、排気弁148のリフト量が最大となる最大バルブ作動特性Uemax及び、排気弁148のリフト量が最小となる最小バルブ作動特性Ueminを境界値として、最小バルブ作動特性Ueminと最大バルブ作動特性Uemaxとの間の任意のバルブ特性で開閉作動される。
また、最大バルブ作動特性Uimax,Uemaxの側に特性を変化させる際の各動弁カム52の揺動方向は、各動弁カム52が吸気弁147及び排気弁148を開弁する際の各動弁カム52の揺動方向と同一方向である。このため、駆動機構60によって各ホルダ53を介してリンク機構56I,56Eを同一方向に揺動させる簡単な構成によって、所望のバルブ作動特性を得ることができる。
図2及び図10に示すように、前バンク110Aでは、排気側動弁装置50Eと吸気側動弁装置50Iとは、シリンダボア135の前後にそれぞれ並んで位置し、各サブロッカアーム54が同一方向を向いた状態で配置されている。詳細には、各ホルダ53は、サブロッカアーム54の各リンク部54Dがそれぞれ後側を指向した状態で配置されている。 また、アクチュエータ70は、前側シリンダヘッド132Aの前部の右側面に固定され、ボールねじ61の被動ギヤ64に接続されている。
さらに、前バンク110Aと後バンク110Bとは、動弁装置50、駆動ギヤ81f,81r、従動ギヤ82f,82r、伝達ギヤ83f,83r、及び、カムチェーン84f,84rを含む内部構造が略同一に構成され、後バンク110Bは、前バンク110Aの全体をシリンダボア135を軸として180°回転させて、クランクケース110Cの後部に取り付けるようにして構成されている。
さらにまた、点火プラグ142を排気側動弁装置50Eの側に前傾して配置したため、点火プラグ142に近接する側のロッカアームピボット51Aと点火プラグ142との間の距離をより一層確保でき、点火プラグ142に近接する側のロッカアーム51に逃げを形成する必要がないため、吸気側と排気側とでロッカアーム51を共用して動弁装置50を簡単な構造にできる。加えて、点火プラグ142を傾けて配置することにより、吸気弁147及び排気弁148の配置の自由度が向上したため、吸気弁147及び排気弁148の燃焼室140に対する配置を整えて、燃焼室140の形状を理想的な形状に近づけることができる。
上記実施の形態では、動弁装置50は、吸気弁147及び排気弁148の開閉時期(位相)、開弁期間、及び、リフト量を変更可能であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、吸気弁147の開閉時期(位相)及び/又はリフト量を変更可能な動弁装置に適用できる。
図11は、実施の形態の変形例における後バンク110Bを示す側面図である。
なお、この変形例において、上記実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
また、図示は省略したが、前バンク110Aにおいても、各ロッカアームピボット51Aが、対応する各作用部51BよりもVバンク100の内方側に位置する向きで配置されている。
50 動弁装置
50E 排気側動弁装置(可変動弁機構)
50I 吸気側動弁装置(可変動弁機構)
51 ロッカアーム
51A ロッカアームピボット(支点)
51B 作用部(作用点)
52 動弁カム(揺動カム)
54A ローラ
56E、56I リンク機構
70 アクチュエータ
80E 排気カム
80I 吸気カム
81f、81r 駆動ギヤ(ギヤ)
84f カムチェーン(一方のバンクの伝達部材)
84r カムチェーン(他方のバンクの伝達部材)
100 Vバンク
105 クランクシャフト
110A 前バンク(一方のバンク)
110B 後バンク(他方のバンク)
131A 前側シリンダブロック(シリンダブロック)
131B 後側シリンダブロック(シリンダブロック)
140 燃焼室
142 点火プラグ
147 吸気弁(機関弁)
148 排気弁(機関弁)
151 吸気側カムシャフト(カムシャフト)
152 排気側カムシャフト(カムシャフト)
Claims (5)
- シリンダブロック(131A,131B)をV型に配置し、カムシャフト(151,152)に連動する機関弁(147,148)の位相及び/又はリフト量を可変とする可変動弁機構を備えたV型内燃機関の動弁装置において、
一方のバンク(110A)の吸気カム(80I)または排気カム(80E)を回転駆動するクランクシャフト(105)の回転を前記吸気カム(80I)または排気カム(80E)に伝達する伝達部材(84f)と、
一方のバンク(110A)の伝達部材(84f)で回転伝達された吸気カム(80I)または排気カム(80E)の回転を同じバンク(110A)の吸気カム(80I)または排気カム(80E)に伝達するギヤ(81f)と、
他方のバンク(110B)の吸気カム(80I)または排気カム(80E)を回転駆動するクランクシャフト(105)の回転を前記吸気カム(80I)または排気カム(80E)に伝達する伝達部材(84r)と、
他方のバンク(110B)の伝達部材(84r)で回転伝達された吸気カム(80I)または排気カム(80E)の回転を同じバンク(110B)の吸気カム(80I)または排気カム(80E)に伝達するギヤ(81r)とを備え、一方と他方の吸気カム(80I,80I)はVバンク(100)の内側に設けられており、
前記吸気カム(80I)及び排気カム(80E)はロッカアーム(51,51)の支点(51A,51A)と作用点(51B,51B)との中間部を押圧して前記機関弁(147,148)を駆動する揺動カム(52,52)を含み、該揺動カム(52,52)の揺動方向が同一であるとともに、排気側と吸気側のロッカアーム(51,51)の支点(51A,51A)はそれぞれ同一方向に設けられていることを特徴とするV型内燃機関の動弁装置。 - 前記吸気カム(80I)または前記排気カム(80E)を有する前記カムシャフト(151,152)を中心に揺動し、前記揺動カム(52,52)を支持するリンク機構(56I,56E)を備え、
アクチュエータ(70)によって前記リンク機構(56I,56E)の揺動位置が変化されることで前記機関弁(147,148)の位相及び/又はリフト量が可変とされ、
前記機関弁(147,148)の位相及び/又はリフト量を変化させる際の前記リンク機構(56I,56E)の揺動方向が吸気側と排気側とで同一であること、
を特徴とする請求項1記載のV型内燃機関の動弁装置。 - 前記揺動カム(52,52)の揺動方向は、該揺動カム(52,52)の先端が前記Vバンク(100)の外側から内側に向かって回転した際、前記機関弁(147,148)を押し下げる方向であり、前記ロッカアーム(51,51)の前記支点(51A,51A)は前記Vバンク(100)の外側方向に配置されたこと、
を特徴とする請求項1または2記載のV型内燃機関の動弁装置。 - 前記揺動カム(52,52)の揺動方向は、該揺動カム(52,52)の先端が前記Vバンク(100)の内側から外側に向かって回転した際、前記機関弁(147,148)を押し下げる方向であり、前記ロッカアーム(51,51)の前記支点(51A,51A)は前記Vバンク(100)の内側方向に配置されたこと、
を特徴とする請求項1または2記載のV型内燃機関の動弁装置。 - 燃焼室(140)中央に点火プラグ(142)が設けられ、前記点火プラグ(142)は、該点火プラグ(142)に近接する側の前記ロッカアーム(51)の前記支点(51A)とは反対側の前記ロッカアーム(51)の前記支点(51A)側に傾斜して設けられたこと、
を特徴とする請求項3または4記載のV型内燃機関の動弁装置。
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