そこで、本発明の解決すべき課題は、装着時におむつの脚周りに沿った部分を着用者の脚周りに確実に密着させることができるとともに、着用者の股下部及び臀部と対向するおむつの部分を効果的に引き締めて着用者の股下部及び臀部とおむつの間に隙間が生じるのを防止できる使い捨ておむつを提供することである。
上記の課題を解決するため、請求項1の発明では、前腹部、後背部、及び前記前腹部と前記後背部との間に設けられた股部とを有するカバー部材と、***液を吸収する吸収素材を有し、前記カバー部材の内部又は肌面側に配置された吸収部材と、前記カバー部材の前記後背部の左右両側の縁部に接合された左右の第1止着部材と、前記カバー部材の前記前腹部の外面側に設けられ、前記左右の第1止着部材が着脱自在に止着される第2止着部材と、前記カバー部材に付与された少なくとも1つの第1脚周り弾性部材と、前記カバー部材に付与された複数の臀部弾性部材とを備え、前記第1脚周り弾性部材は、伸張された状態で、前記カバー部材の前記後背部における前記左右の第1止着部材が接合された左右のファスナー接合部のうちのいずれか一方又はその近傍から、前記股部の左右両側の縁部のうちの一方の縁部に沿って略前側に向けて延び、前記股部の股下部にて前記股部を略横方向に横断した後、前記股部の左右両側の縁部のうちの他方の縁部に沿って略後側に向けて延び、さらに前記左右のファスナー接合部のうちのいずれか他方又はその近傍まで延びており、前記複数の臀部弾性部材は、前記カバー部材における前記第1脚周り弾性部材が前記股部を横断している部分よりも後側の臀部に、縦方向に互いに間隔をあけて略前記横方向に沿って伸張された状態で付与され、前記少なくとも1つの第1脚周り弾性部材と前記複数の臀部弾性部材とは、互いに交差しないように配置されている。
また、請求項2の発明では、請求項1の発明に係る使い捨ておむつにおいて、前記吸収部材の前記吸収素材は、前記縦方向に沿って延びる少なくとも1つの長孔部又は溝部を有する。
また、請求項3の発明では、請求項1の発明に係る使い捨ておむつにおいて、前記吸収部材の前記吸収素材は、前記横方向に間隔をあけて配置された複数の部分集合体によって構成され、前記部分集合体の間に、略前記縦方向に沿って延びる隙間部が設けられている。
また、請求項4の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る使い捨ておむつにおいて、前記第1止着部材は、第1タブと、前記第1タブの前記縦方向の前側に設けられた第2タブとを有し、前記カバー部材の前記後背部の前記横方向の前記左側の縁部又は前記右側の縁部に接合されたファスニング基材と、前記ファスニング基材の前記第1タブに設けられ、前記第2止着部材に着脱自在に止着される第1止着エレメントと、前記ファスニング基材の前記第2タブに設けられ、前記第2止着部材に着脱自在に止着される第2止着エレメントとを備え、前記少なくとも1つの第1脚周り弾性部材うちの最も後端側に位置する第1脚周り弾性部材の左右両側の端部は、前記横方向から見て、前記ファスニング基材の前記第1タブに設けられた前記第1止着エレメントの前記縦方向の前側の端部と、前記第2タブに設けられた前記第2止着エレメントの前記縦方向の前側の端部との間に配置されている。
また、請求項5の発明では、請求項4の発明に係る使い捨ておむつにおいて、前記少なくとも1つの第1脚周り弾性部材のすべての左右両側の端部は、前記横方向から見て、前記ファスニング基材の前記第1タブに設けられた前記第1止着エレメントの前記縦方向の前記前側の端部と、前記ファスニング基材の前記縦方向の前側の端部との間に配置されている。
また、請求項6の発明では、請求項1ないし請求項5のいずれかの発明に係る使い捨ておむつにおいて、前記カバー部材に付与された少なくとも1つの第2脚周り弾性部材をさらに備え、前記第2脚周り弾性部材は、前記カバー部材の前記股部の前記股下部よりも前側の領域において、伸張された状態で、当該領域の左右両側の縁部に沿った部分、及び前記股下部を略前記横方向に横断する部分に、連続的に連なって付与されている。
また、請求項7の発明では、請求項6の発明に係る使い捨ておむつにおいて、前記吸収部材の前記吸収素材は、前記横方向に沿った幅が拡大された前側及び後側の拡幅部と、その前側及び後側の拡幅部の間に設けられ、前記横方向に沿った幅が狭められた括れ部とを有し、すべての前記第2脚周り弾性部材の左右両側の端部は、前記縦方向から見て、前記吸収素材の前記前側の拡幅部の左右両側の縁部よりも前記横方向の内側に位置している。
また、請求項8の発明では、請求項6又は請求項7の発明に係る使い捨ておむつにおいて、前記カバー部材の左右両側の縁部に沿って伸張された状態で付与された少なくとも1つの左右の第3脚周り弾性部材をさらに備え、前記左右の第3脚周り弾性部材は、前記第1脚周り弾性部材及び前記第2脚周り弾性部材と交差している。
また、請求項9の発明では、請求項1ないし請求項8のいずれかの発明に係る使い捨ておむつにおいて、前記複数の臀部弾性部材は、前記カバー部材における前記第1止着部材の前側の縁部よりも前側の領域に付与されている。
また、請求項10の発明では、前腹部、後背部、及び前記前腹部と前記後背部との間に設けられた股部とを有するカバー部材と、***液を吸収する吸収素材を有し、前記カバー部材の内部又は肌面側に配置された吸収部材と、前記カバー部材の前記後背部の左右両側の縁部に接合された左右の第1止着部材と、前記カバー部材の前記前腹部の外面側に設けられ、前記左右の第1止着部材が着脱自在に止着される第2止着部材と、前記カバー部材に付与された少なくとも1つの第1脚周り弾性部材と、前記カバー部材に付与された複数の臀部弾性部材と、を備え、前記第1脚周り弾性部材は、伸張された状態で、前記カバー部材の前記後背部における前記左右の第1止着部材が接合された左右のファスナー接合部のうちのいずれか一方又はその近傍から、前記股部の左右両側の縁部のうちの一方の縁部に沿って略前側に向けて延び、前記股部の股下部にて前記股部を略横方向に横断した後、前記股部の左右両側の縁部のうちの他方の縁部に沿って略後側に向けて延び、さらに前記左右のファスナー接合部のうちのいずれか他方又はその近傍まで延びており、前記複数の臀部弾性部材は、前記カバー部材における前記第1脚周り弾性部材が前記股部を横断している部分よりも後側の臀部に、縦方向に互いに間隔をあけて略前記横方向に沿って伸張された状態で付与され、前記複数の臀部弾性部材は、前記カバー部材における前記第1止着部材の前側の縁部よりも前側の領域に付与されている。
請求項1及び請求項10に記載の発明によれば、第1脚周り弾性部材の左右両側の部分が、カバー部材の股下部から左右両側の縁部に沿って略後側に向けて延び、さらに左右のファスナー接合部又はその近傍まで延びている。このため、使い捨ておむつの装着時において、左右の第1止着部材又はその周辺部分が把持されて着用者の腹側に引き上げられたときに、第1止着部材又はその周辺部分に与えられた引き上げのための力が、第1脚周り弾性部材に効率よく伝達され、第1脚周り弾性部材が確実に伸張されながら、おむつの左右両側の脚周り部分(特に、脚周り部分における第1脚周り弾性部材が付与された後側の部分)が着用者の脚周りにしっかりと密着される。そして、その状態で左右の第1止着部材をカバー部材の前腹部の外面側に設けられた第2止着部材に止着することにより、伸張された状態にある左右の第1脚周り弾性部材の収縮力によるおむつの脚周り部に対する締め付け効果を確実に発揮させることができ、おむつの左右両側の脚周り部分を着用者の脚周りに確実に密着させることができる。その結果、着用者の脚周りとおむつとの間に隙間が生じ、その隙間を介して尿等の***物がおむつの外部に漏れのを防止できる。
また、本発明によれば、第1脚周り弾性部材がカバー部材の股下部を略横方向に横断しているため、第1脚周り弾性部材の収縮力によりおむつの股下部を効果的に締め付けて、おむつの股下部を着用者の股下部に密着させることができる。その結果、着用者の股下部とおむつの間に隙間が生じ、その隙間によって尿等の***物の漏れが誘発されるのを防止できる。
また、本発明によれば、複数の臀部弾性部材が、カバー部材における第1脚周り弾性部材が股部を横断している部分よりも後側の臀部に、縦方向に互いに間隔をあけて略横方向に伸張された状態で付与されている。このため、臀部弾性部材の収縮力によりおむつの臀部を効果的に締め付けて、おむつの臀部を着用者の臀部に密着させることができる。その結果、おむつと着用者のとの臀部との間に隙間が生じ、その隙間によって尿等の***物の漏れが誘発させるのを防止できる。
また、本発明によれば、上記の如く、第1脚周り弾性部材及び臀部弾性部材により、おむつの股下部から後側の部分に位置する脚周り部分、及び臀部を効果的に締め付けることができる。このため、本発明に係る使い捨ておむつが、寝た姿勢でいることの多い人(例えば、寝たきりの人)に利用された場合にも、尿等の***物がおむつの後側から漏れるのを効果的に防止できる。
請求項2に記載の発明に関し、使い捨ておむつの装着は、おむつを平面状に展開した状態で、おむつの後背部及び臀部に着用者の後背部及び臀部を載せ、左右の第1止着部材の止着を行う場合が多い。また、おむつの股下部及び臀部には複数の弾性部材が横方向に沿って設けられる場合があり、そのような場合には、弾性部材の収縮力によりおむつの股下部及び臀部に皺が生じる場合がある。このため、おむつの装着時において着用者の臀部をおむつの臀部に載せるときに、おむつの臀部に生じた皺の影響により、着用者の臀部をおむつの臀部との位置合わせがしにくくなる等の装着作業に支障が出る場合がある。
この点に関し、本発明では、吸収部材の吸収素材が縦方向に沿って延びる少なくとも1つの長孔部又は溝部を有する。それ故、臀部弾性部材及び第1脚周り弾性部材におけるカバー部材の股下部を横断している部分の収縮力によってカバー部材の股下部及び臀部に略縦方向に沿って生じる皺を、吸収素材の長孔部又は溝部の位置に生じさせることができ、カバー部材の股下部及び臀部に生じる皺の位置を確実に制御することができる。その結果、おむつの意図しない部分に皺が生じ、おむつの装着がしににくなる等の不都合を回避できる。
また、長孔部又は溝部が圧縮されるように変形することによによって、臀部弾性部材及び第1脚周り弾性部材から吸収素材に与えられる略横方向の締め付けが緩和されるため、臀部弾性部材及び第1脚周り弾性部材からの略横方向の締め付けによって吸収素材に皺が発生するのを軽減でき、おむつに大きな皺が誘発されるのを防止できる。その結果、吸収素材の皺がおむつに大きな皺を誘発することにより、おむつの装着がしににくなる等の不都合を回避できる。
請求項3に記載の発明によれば、吸収部材の吸収素材が横方向に間隔をあけて配置された複数の部分集合体によって構成され、その部分集合体の間に、略縦方向に沿って延びる隙間部が設けられている。それ故、臀部弾性部材及び第1脚周り弾性部材におけるカバー部材の股下部を横断している部分の収縮力によってカバー部材の股下部及び臀部に略縦方向に沿って生じる皺を、吸収素材の部分集合体の間、すなわち隙間部の位置に生じさせることができ、カバー部材の股下部及び臀部に生じる皺の位置を確実に制御することができる。その結果、本発明においても、請求項2に記載の発明とほぼ同様に、おむつの意図しない部分に皺が生じ、おむつの装着がしににくなる等の不都合を回避できる。
また、部分集合体の間に存在する間隙部が圧縮されるように変形することによって、臀部弾性部材及び第1脚周り弾性部材から吸収素材に与えられる略横方向の締め付けが緩和されるため、臀部弾性部材及び第1脚周り弾性部材からの略横方向の締め付けによって吸収素材に皺が発生するのを軽減でき、おむつに大きな皺が誘発されるのを防止できる。その結果、この点においても、請求項2に記載の発明とほぼ同様に、吸収素材の皺がおむつに大きな皺を誘発することにより、おむつの装着がしににくなる等の不都合を回避できる。
請求項4に記載の発明によれば、少なくとも1つの第1脚周り弾性部材うちの最も後端側に位置する第1脚周り弾性部材の左右両側の端部は、横方向から見て、第1止着部材のファスニング基材の第1及び第2タブのうちの後側の第1タブに設けられた第1止着エレメントの縦方向の前側の端部と、前側の第2タブに設けられた第2止着エレメントの縦方向の前側の端部との間に配置されている。それ故、おむつの装着作業時において第1止着部材の第1及び第2タブが横方向の内側に引き寄せられたときに第1脚周り弾性部材に作用する張力に関し、前側の第2タブが引き寄せられたときに第1脚周り弾性部材に作用する張力の方が、後側の第1タブが引き寄せられたときに第1脚周り弾性部材に作用する張力よりも強くなっている。このため、おむつの装着時において、左右の第1止着部材の第1及び第2タブのうち、最初に第2タブの止着を行った後で第1タブの止着を行うという具合に、第1及び第2タブの止着を2段階に行うことにより、おむつを着用者の身体に確実にフィットさせることができる。より詳細には、まず第1段階で、左右の第1止着部材の前側の第2タブ又はその周辺部を着用者の腹側内方に引き寄せて、第2タブの第2止着エレメントを第1止着部材に止着する。これによって、第2タブ又はその周辺部分に与えられた引き寄せのための力が、第1脚周り弾性部材に効率よく伝達され、第1脚周り弾性部材が確実に伸張されながら、おむつの左右両側の脚周り部分(特に、脚周りの部分の第1脚周り弾性部材が付与された後側の部分)が着用者の脚周りにしっかりと密着される。続く第2段階で、左右の第1止着部材の後側の第1タブ又はその周辺部を着用者の腹側内方に引き寄せて、第1タブの第1止着エレメントを第1止着部材に止着する。これによって、おむつの臀部から腰回りの部分にかけた部分が着用者の身体にしっかりと密着される。その結果、おむつ全体を着用者の身体に確実にフィットさせることができる。
また、上記の如く、おむつの装着時において着用者の後背部及び臀部をおむつの後背部及び臀部に載せるときに、おむつの後背部に生じた皺の影響により、着用者の後背部及び臀部とおむつの後背部及び臀部との位置合わせがしにくくなる等の装着作業に支障が出る場合がある。この点に関し、本発明では、横方向から見て、カバー部材の後背部における第1止着部材の第1タブに設けられた第1止着エレメントの縦方向の前側の端部よりも後側の部分には、第1脚周り弾性部材が存在しておらず、カバー部材の後背部における第1脚周り弾性部材が付与された領域が抑制されている。このため、おむつの装着時にカバー部材の後背部における第1脚周り弾性部材の収縮力により収縮又は皺が生じる度合い及び範囲を抑制できる。その結果、おむつの後背部において第1脚周り弾性部材の収縮力により収縮又は皺が生じる度合い及び範囲が大きくなり、おむつの装着がしににくなる等の不都合を回避できる。
請求項5に記載の発明によれば、第1脚周り弾性部材のすべての左右両側の端部が、横方向から見て、ファスニング基材の第1タブに設けられた第1止着エレメントの縦方向の前側の端部と、ファスニング基材の縦方向の前側の端部との間に配置されている。このため、左右の第1止着部材の前側の第2タブ又はその周辺部を着用者の腹側に引き上げて、第2タブの第2止着エレメントを第2止着部材に止着する際に、第2タブ又はその周辺部分に与えられた引き寄せのための力が、すべての第1脚周り弾性部材に効率よく伝達される。その結果、第2タブの第2止着部材への止着動作に伴って、すべての第1脚周り弾性部材を確実に伸張させながら、おむつの左右両側の脚周り部分(特に、脚周り部分の第1脚周り弾性部材が付与された後側の部分)を着用者の脚周りにしっかりと密着させることができる。
請求項1に記載の発明によれば、第1脚周り弾性部材と前記複数の臀部弾性部材とは、互いに交差しないように配置され、互いに独立している。このため、おむつの装着時において、左右の第1止着部材又はその周辺部が把持されて着用者の腹側に引き上げられ、その引き上げ力により第1脚周り弾性部材が引き伸ばされる際に、第1脚周り弾性部材の伸張の影響が臀部弾性部材に過度に及び、その影響によりおむつの後側における広範囲の部分に過度に引っ張り力が作用し、おむつの装着が困難になるのを防止できる。
請求項6に記載の発明によれば、第2脚周り弾性部材が、カバー部材の股部の股下部よりも前側の領域において、伸張された状態で、当該領域の左右両側の縁部に沿った部分、及び股下部に連続的に連なって付与されている。このため、第2脚周り弾性部材の収縮力により、おむつの脚周り部分における前側の部分を確実に引き締めて、着用者の脚周りに密着させることができる。
また、第2脚周り弾性部材がカバー部材の股下部を略横方向に横断しているため、第2脚周り弾性部材の収縮力によりおむつの股下部を効果的に締め付けて、おむつの股下部を着用者の股下部に密着させることができる。
請求項7に記載の発明によれば、第2脚周り弾性部材の左右両側の端部が、縦方向から見て、略砂時計形の形状を有する吸収素材の前側の拡幅部の左右両側の縁部よりも横方向の内側に位置している。このため、第2脚周り弾性部材の収縮力が、おむつの前側における吸収素材の左右両側から張り出した部分に及び、この部分が収縮するのを回避できる。これによって、おむつの装着時において、おむつの前側における吸収素材の左右両側から張り出した部分の取り扱いが容易となり、おむつを装着しやすくできる。
請求項8に記載の発明によれば、少なくとも1つの第3脚周り弾性部材が、カバー部材の左右両側の縁部に沿って伸張された状態で付与され、第1脚周り弾性部材及び第2脚周り弾性部材と交差している。このため、第3脚周り弾性部材の収縮力によって、おむつの脚周り部分における第1脚周り弾性部材と第2脚周り弾性部材の間に位置する部分を確実に締め付けることができ、おむつの脚周り部分の全体を着用者の脚周りに密着させることができる。
また、第3脚周り弾性部材が第1脚周り弾性部材及び第2脚周り弾性部材と交差しているため、第1脚周り弾性部材及び第2脚周り弾性部材のおむつの脚周りに沿った部分に、第3脚周り弾性部材を介して前後の繋がりが生じ、第1ないし第3脚周り弾性部材の引き締め力をおむつの脚周りに沿った部分を一体的に作用させることができ、おむつの脚周り部分を着用者の脚周りに確実に密着させることができる。
請求項9及び請求項10に記載の発明に関し、使い捨ておむつの装着時には、上記の如く、着用者の後背部をおむつの後背部に載せるときに、おむつの後背部に生じた皺の影響により、着用者の臀部をおむつの臀部との位置合わせがしにくくなる等の装着作業に支障が出る場合がある。
この点に関し、本発明では、複数の臀部弾性部材が、カバー部材における第1止着部材の前側の縁部よりも前側の領域に付与されている。このため、おむつの装着時にカバー部材の後背部に、臀部弾性部材の収縮力により収縮又は皺が生じる度合い及び範囲を抑制できる。その結果、おむつの後背部において臀部弾性部材の収縮力により収縮又は皺が生じる度合い及び範囲が大きくなり、おむつの装着がしににくなる等の不都合を回避できる。
図1は本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつ(以下、単に「おむつ」という)を平面的に展開した状態を示す図であり、図2は図1に示すおむつのA1−A1線に沿った断面図である。なお、図1、図2及び後述する他の図面において、横方向Xは着用者の左右方向に対応しており、縦方向Yは着用者の前後又は上下方向に対応している。また、図1に示すおむつ1の構成において、図1の図面上における上側がおむつ1の後側に対応している。
本実施形態に係るおむつ1は、図1及び図2に示すように、カバー部材11と、吸収部材に相当する吸収コア12と、第1止着部材に相当する左右のファスニング部材13と、第2止着部材に相当する止着シート14とを備えている。
カバー部材11は、前腹部11a、後背部11b、及び前腹部11aと後背部11bとの間に設けられた股部11cとを有している。カバー部材11の前腹部11a、後背部11b及び股部11cは、着用者の前腹部、後背部及び股部にそれぞれあてがわれる。このようなカバー部材11は、バックシート21、トップシート22、及び左右のサイドシート23等を備えて構成されている。また、本実施形態に係るおむつ1では、カバー部材11の左右両側の外縁の形状が略砂時計形に成形されている。なお、本実施形態に係るおむつ1では、吸収コア12をカバー部材11の内部(すなわち、バックシート21とトップシート22との間)に配置しているが、吸収コア12又は吸収コア12を含む吸収部材をカバー部材11の肌面側に付与してもよい。
バックシート21は、不透液性を有し、吸収コア12の外面側に配置されている。バックシート21は、より具体的には例えば、不織布シート211と、不織布シート211の肌面側に貼り合わされた不透液性の樹脂フィルム212とを備えている。不織布シート211には、例えば撥水性を有する合成繊維製不織布等が用いられる。樹脂フィルム212には、例えばポリエチレン等の合成樹脂製フィルム(不透液性でかつ通気性を有するフィルムが好ましい)等が用いられる。
トップシート22は、透液性を有し、おむつ1の肌面側における横方向Xの中央部に、縦方向Yに沿って配置されている。左右のサイドシート23は、不透液性を有し、トップシート22の左右両側の部分に肌面側から重なるように、縦方向Yに沿って配置されている。トップシート22は、透液性の合成繊維製不織布又は織布で形成される。サイドシート23は、撥水性不織布等により形成される。
左右のサイドシート23の横方向Xの内方側の部分は、トップシート22から離反する方向(肌面側)に起立可能な起立部231となっている。この起立部231の横方向X内方側の端部には、少なくとも1つ(本実施形態では3つ)の略糸状の弾性部材31〜33が縦方向Yに沿って伸張された状態で付与されている。この弾性部材31〜33の収縮力によって起立部231が肌面側に向かって立ち上がり、立体ギャザーとして機能する。この立体ギャザーにより***物の横漏れが防止される。なお、この弾性部材31〜33を含む立体ギャザーは省略してもよい。
吸収コア12は、着用者が***した***液(例えば、尿又は便に含まれる水分等)を吸収する吸収素材としての繊維集合体121等を備えて構成されている。より具体的には、吸収コア12は、繊維集合体121と、その繊維集合体121を包む包装シート122とを備えている。繊維集合体121は、集合された繊維を少なくとも備えて構成され、望ましくは、繊維集合体121に混入又は散布された吸収性樹脂粉末を含んでいる。包装シート122は、透液性のシート材(例えば、ティッシュペーパー)によって構成されている。なお、吸収コア12の変形例として、包装シート122を省略してもよい。なお、本実施形態では本発明に係る吸収素材として繊維集合体121を用いたが、繊維集合体121の代わりに(あるいは、繊維集合体121に追加して)、不織布等の透液性のシート材の間に吸収ポリマーを挟み込んで構成された吸収部材を用いてもよい。
また、吸収コア12の繊維集合体121は、図3に示すように、横方向Xに沿った幅が拡大された前後の拡幅部121a,121bと、その前後の拡幅部121a,121bの間に設けられ、前記左右方向に沿った幅が狭められた括れ部121cとを有し、その厚み方向から見て略砂時計形の形状を有している。繊維集合体121の形状の他の例としては、略矩形、略楕円形等の種々の形状が採用可能である。
また、繊維集合体121は、図3及び図4に示すように、縦方向Yに沿って延びる少なくとも1つ(本実施形態では複数(例えば2つ))の長孔部121dが設けられている。長孔部121dの前側の端部121eは、後述する第2脚周り弾性部材42のうちの最も前側に設けられた第2脚周り弾性部材421におけるおむつ1の股下部11fを略横方向Xに横断している部分よりも前側に位置している。長孔部121dの後側の端部121fは、後述する臀部弾性部材44のうちの最も後側に位置する臀部弾性部材441よりも後側に位置している。この長孔部121dの役割については後述する。
左右のファスニング部材13は、カバー部材11の後背部11bの左右両側の縁部に接合され、おむつ1の止着に用いられる。より具体的には、ファスニング部材13は、ファスニング基材131と、略シート状の第1及び第2止着エレメント132,133とを備えている。ファスニング基材131は、横方向Xの外側の縁部から横方向X外方に張り出す第1及び第2タブ131a,131bを有し、不織布等のシート材によって形成されている。第1及び第2タブ131a,131bは、縦方向Yに間隔をあけて、第2タブ131bが第1タブ131aの前側に位置するように形成されている。第1タブ131aの肌面側に第1止着エレメント132が接合され、第2タブ131bの肌面側に第2止着エレメント133が接合されている。
第1及び第2止着エレメント132,133と、後述する止着シート14とは、着脱自在に係合するループ材とフック材とによって構成されるいわゆる面ファスナーを構成しており、例えば、第1及び第2止着エレメント132,133にフック材が用いられ、止着シート14にループ材が用いられる。止着シート14の表面には、複数のループ構造が形成されている。止着エレメント132,133の表面には、止着シート14のループ構造に着脱自在に係合する複数のフック構造が形成されている。なお、変形例として、第1及び第2止着エレメント132,133にループ材を用い、止着シート14にフック材を用いてもよい。また、第1及び第2止着エレメント132,133及び止着シート14として、互いに着脱自在に止着できれば面ファスナーに限らず、任意の構成を採用できる。例えば、第1及び第2止着エレメント132,133及び止着シート14として、粘着テープ及びその粘着テープが着脱自在に付着される付着シートを用いてもよい。
左右のファスニング部材13のファスニング基材131の横方向Xの内方側の縁部は、図1及び図5に示すように、バックシート21とサイドシート23との間に挟み込まれた状態で接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)等の接合手段によりカバー部材11の後背部11bと接合されている。カバー部材11の後背部11bの左右両側の縁部におけるファスニング基材131を接合された領域が、後述するファスナー接合部11dになっている。
止着シート14は、シート状の形態を有し、カバー部材11の前腹部11aの外面側に接合されており、左右のファスニング部材13の第1及び第2タブ131a,131bに付与された第1及び第2止着エレメント132,133が着脱自在に止着される。より詳細には、本実施形態では、止着シート14は、その後側の縁部が、カバー部材11の前腹部11aを超えて股部11c側にはみ出すようにして、カバー部材11の外面側に接合されている。
また、カバー部材11には、少なくとも1つ(本実施形態では複数)の第1脚周り弾性部材41、少なくとも1つ(本実施形態では複数)の第2脚周り弾性部材42、少なくとも1つ(本実施形態では複数)の第3脚周り弾性部材43、複数の臀部弾性部材44、少なくとも1つ(本実施形態では複数)の前側ウエスト弾性部材45、及び、少なくとも1つ(本実施形態では複数)の後側ウエスト弾性部材46が設けられている。第1及び第2脚周り弾性部材41,42は、カバー部材11の左右の脚周り部分及び股下部11fの引き締めるためのものである。第3脚周り弾性部材43は、カバー部材11の左右の脚周り部分を引き締めるためのものである。臀部弾性部材44は、カバー部材11の後述する臀部11gを引き締めるためのものである。前側及び後側ウエスト弾性部材45,46は、カバー部材11の前側及び後側の縁部を引き締めるためのものである。
複数の第1脚周り弾性部材41は、カバー部材11の後背部11bにおける左右のファスナー接合部11dのうちのいずれか一方又はその近傍から、股部11cの左右両側の縁部11eのうちの一方の縁部11eに沿って略前側に向けて延び、股部11cの股下部11fにて股部11cを略横方向Xに横断している。そして、複数の第1脚周り弾性部材41は、股部11cを横断した後、股部11cの左右両側の縁部11eのうちの他方の縁部11eに沿って略後側に向けて延び、さらに左右のファスナー接合部11dのうちのいずれか他方又はその近傍まで延びている。複数の第1脚周り弾性部材41は、このような配索経路に沿って互いに間隔をあけて伸張された状態でカバー部材11に接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)等の接合手段により接合されている。本実施形態では、第1脚周り弾性部材41の左右両側の端部41aは、左右のファスナー接合部11dの横方向Xの内側の縁部の近傍に縦方向Yに沿って整列されて配置されている。
より具体的には、複数の第1脚周り弾性部材41うちの最も後端側に位置する第1脚周り弾性部材411の左右両側の端部411aは、横方向Xから見て、ファスニング基材131の第1タブ131aに設けられた第1止着エレメント132の縦方向Yの前側の端部P1と、第2タブ131bに設けられた第2止着エレメント133の縦方向Yの前側の端部P2との間に配置されている。
さらに具体的には、すべての第1脚周り弾性部材41の左右両側の端部41aは、横方向Xから見て、ファスニング基材131の第1タブ131aに設けられた第1止着エレメント132の縦方向Yの前側の端部P1と、ファスニング基材131の縦方向Yの前側の端部P3との間に配置されている。
より詳細には、本実施形態では、すべての第1脚周り弾性部材41の左右両側の端部41aは、横方向Xから見て、ファスニング基材131の縦方向Yの中央P4とファスニング基材131の縦方向Yの前側の端部P3との間に配置されている。また、複数の第1脚周り弾性部材41うちの最も後端側に位置する第1脚周り弾性部材411の左右両側の端部411aは、横方向Xから見て、ファスニング基材131の縦方向Yの中央P4と第2タブ131bに設けられた第2止着エレメント132の縦方向Yの後側の端部P5との間に配置されている。さらに詳細には、最も後端側に位置する第1脚周り弾性部材411の左右両側の端部411aは、横方向Xから見て、ファスニング基材131の縦方向Yの中央P4に配置されている。
また、本実施形態では、複数の第1脚周り弾性部材41のうちの過半数の弾性部材41は、カバー部材11の縦方向Yの中央P6よりも前側にて股部11cを横断している。複数の第1脚周り弾性部材41のうちの残りの弾性部材41は、カバー部材11の縦方向Yの中央P6よりも後側にて股部11cを横断している。
複数の第2脚周り弾性部材42は、カバー部材11の股部11cの股下部11fよりも前側の領域において、股部11cの前側端部における左右両側の縁部のうちのいずれか一方から、股部11cの左右両側の縁部11eのうちの一方の縁部11eに沿って略後側に向けて延び、股下部11fの前側にて股部11cを略横方向Xに横断している。そして、複数の第2脚周り弾性部材42は、股部11cを横断した後、股部11cの左右両側の縁部11eのうちの他方の縁部11eに沿って略前側に向けて延び、さらに股部11cの前側端部における左右両側の縁部のうちのいずれか他方まで延びている。複数の第2脚周り弾性部材42は、このような配索経路に沿って互いに間隔をあけて伸張された状態でカバー部材11に接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)等の接合手段により接合されている。
より具体的には、すべての第2脚周り弾性部材42の左右両側の端部42aは、縦方向Yから見て、吸収コア12の繊維集合体121の前側の拡幅部121aの左右両側の縁部P7よりも横方向Xの内側に位置している。
左右の複数の第3脚周り弾性部材43は、カバー部材11の左右両側の縁部に沿って伸張された状態で付与されている。本実施形態では、複数の第3脚周り弾性部材43は、カバー部材11の股下部11fにおける左右両側の縁部の横方向Xのやや内側を通過するように、縦方向Yに沿って直線的に付与されている。複数の第3脚周り弾性部材43の前側の端部43aは、カバー部材11の前腹部11aの後側の縁部付近に位置している。複数の第3脚周り弾性部材43の後側の端部43bは、カバー部材11の後背部11bの縦方向Yの中間部付近に位置している。また、左右の複数の第3脚周り弾性部材43は、第1脚周り弾性部材41の左右両側の部分及び第2脚周り弾性部材42の左右両側の部分と交差している。
複数の臀部弾性部材44は、カバー部材11における臀部11gに縦方向Yに互いに間隔をあけて略横方向Xに沿って伸張された状態で、カバー部材11に接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)等の接合手段により接合されている。本実施形態において、カバー部材11における臀部11gとは、股部11cにおける複数の第1脚周り弾性部材41が股部11cを横断している部分よりも後側に位置する領域をいう。また、臀部弾性部材44と第1脚周り弾性部材41とは、互いに交差しないように配置されている。また、すべての臀部弾性部材44は、カバー部材11におけるファスニング部材13のファスニング基材131の前側の縁部P3よりも前側であって、最も後側に位置する第1脚周り弾性部材411が股部11cを横断している部分よりも後側の領域に付与されている。
複数の前側ウエスト弾性部材45は、カバー部材11の前腹部11aの前側の縁部に沿って伸張された状態で、カバー部材11に接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)等の接合手段により接合されている。複数の前側ウエスト弾性部材45は、カバー部材11の前腹部11aの前側の縁部に沿って伸張された状態で、カバー部材11に接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)等の接合手段により接合されている。
第1及び第2脚周り弾性部材41,42及び臀部弾性部材44は、第1弾性脚周り弾性部材41について代表して図2に示すように、バックシート21における不織布シート211と樹脂フィルム212との間に配置されている。左右の第3脚周り弾性部材43は、図2に示すように、その一部の弾性部材43がトップシート22の左右両側の縁部の肌面側に位置するようにして、バックシート21と左右のサイドシート23との間に配置されている。前側及び後側ウエスト弾性部材45,46は、後側ウエスト弾性部材46について代表して図6に示すように、トップシート22とバックシート21との間に配置されている。また、上述の弾性部材31〜33,41〜46を構成する弾性材(例えば、弾性糸)には、例えば使い捨ておむつに多用される弾性伸縮材料(ポリウレタン糸、天然ゴム等)が用いられる。
本実施形態に係るおむつ1の装着は、例えば、おむつ1を平面状に展開した状態で、おむつ1の後背部11b及び臀部11gに着用者の後背部及び臀部を載せる。続いて、股部11cの前側の部分及び前腹部11aを着用者の腹側に引き上げるとともに、後背部11bの左右両側の部分を着用者の腹側に引き上げる。続いて、左右のファスニング部材13の第1及び第2タブ131a,131bに付与されている第1及び第2止着エレメント132,133を止着シート14に止着させる。なお、本実施形態では、左右のファスニング部材13の第1及び第2タブ131a,131bの止着は、後述するように、第1段階で第2タブ131bの止着を行った後、第2段階で第1タブ131aの止着を行うのが望ましい。
おむつ1が装着された状態で***が行われた場合には、尿等の***物がおむつ1の肌面側表面で受け止められる。このとき、***物に含まれる液体成分は、トップシート22を透過して吸収コア12に到達し、吸収コア12によって吸収される。
本実施形態に係るおむつ1では、上記の如く、第1脚周り弾性部材41の左右両側の部分が、カバー部材11の股下部11fから左右両側の縁部11eに沿って略後側に向けて延び、さらに左右のファスナー接合部11d又はその近傍まで延びている。このため、おむつ1の装着時において、左右のファスニング部材13又はその周辺部分が把持されて着用者の腹側に引き上げられたときに、ファスニング部材13又はその周辺部分に与えられた引き上げのための力が、第1脚周り弾性部材41に効率よく伝達され、第1脚周り弾性部材41が確実に伸張されながら、おむつ1の左右両側の脚周り部分(特に、脚周り部分における第1脚周り弾性部材41が付与された後側の部分)が着用者の脚周りにしっかりと密着される。そして、その状態で左右のファスニング部材13をカバー部材11の前腹部11aの外面側に設けられた止着シート14に止着することにより、伸張された状態にある左右の第1脚周り弾性部材41の収縮力によるおむつ1の脚周り部に対する締め付け効果を確実に発揮させることができ、おむつ1の左右両側の脚周り部分を着用者の脚周りに確実に密着させることができる。その結果、着用者の脚周りとおむつ1との間に隙間が生じ、その隙間を介して尿等の***物がおむつ1の外部に漏れのを防止できる。
また、第1脚周り弾性部材41がカバー部材11の股下部11fを略横方向Xに横断しているため、第1脚周り弾性部材41の収縮力によりおむつ1の股下部11fを効果的に締め付けて、おむつ1の股下部11fを着用者の股下部に密着させることができる。その結果、着用者の股下部とおむつ1の間に隙間が生じ、その隙間によって尿等の***物の漏れが誘発されるのを防止できる。
また、複数の臀部弾性部材44が、カバー部材11における第1脚周り弾性部材41が股部11cを横断している部分よりも後側の臀部11gに、縦方向Yに互いに間隔をあけて略横方向Xに伸張された状態で付与されている。このため、臀部弾性部材44の収縮力によりおむつ1の臀部11gを効果的に締め付けて、おむつ1の臀部11gを着用者の臀部に密着させることができる。その結果、おむつ1と着用者のとの臀部との間に隙間が生じ、その隙間によって尿等の***物の漏れが誘発させるのを防止できる。
また、本実施形態に係るおむつ1によれば、上記の如く、第1脚周り弾性部材41及び臀部弾性部材44により、おむつ1の股下部11fから後側の部分に位置する脚周り部分、及び臀部11gを効果的に締め付けることができる。このため、本実施形態に係るおむつ1が、寝た姿勢でいることの多い人(例えば、寝たきりの人)に利用された場合にも、尿等の***物がおむつの後側から漏れるのを効果的に防止できる。
また、おむつの装着時の装着作業に関し、着用者の臀部をおむつの臀部に載せるときに、おむつ1の臀部11gに生じた皺の影響により、着用者の臀部をおむつの臀部との位置合わせがしにくくなる等の装着作業に支障が出る場合がある。また、おむつの股下部及び臀部には、本実施形態に係るおむつ1のように、複数の弾性部材が横方向に沿って設けられる場合があり、そのような場合には、弾性部材の収縮力によりおむつの股下部及び臀部に皺が生じる場合がある。
この点に関し、実施形態では、吸収コア12の繊維集合体121が縦方向Yに沿って延びる少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の長孔部121dを有する。それ故、図7に示すように、臀部弾性部材44、及び第1及び第2脚周り弾性部材41,42におけるカバー部材11の股下部11fを横断している部分の収縮力によってカバー部材11の股下部11f及び臀部11gに略縦方向Yに沿って生じる皺51,52を、繊維集合体121の長孔部121dの位置に生じさせることができる。これによって、カバー部材11の股下部11f及び臀部11gに生じる皺51,52の位置を確実に制御することができるため、おむつ1の意図しない部分に皺が生じ、おむつ1の装着がしににくなる等の不都合を回避できる。
また、繊維集合体121の長孔部121dが圧縮されるように変形することによって臀部弾性部材44及び第1及び第2脚周り弾性部材41,42から繊維集合体121に与えられる略横方向Xの締め付けが緩和されるため、臀部弾性部材44及び第1及び第2脚周り弾性部材41,42からの略横方向Xの締め付けによって繊維集合体121に皺が発生するのを防止でき、繊維集合体121に皺が発生することによりおむつ1に大きな皺が誘発されるのを防止できる。その結果、繊維集合体121の皺がおむつ1に大きな皺を誘発することにより、おむつ1の装着がしににくなる等の不都合を回避できる。
また、本実施形態では、複数の第1脚周り弾性部材41のうちの最も後端側に位置する第1脚周り弾性部材411の左右両側の端部411aは、横方向Xから見て、ファスニング部材13のファスニング基材131の後側の第1タブ131aに設けられた第1止着エレメント132の縦方向Yの前側の端部P1と、前側の第2タブ131bに設けられた第2止着エレメント133の縦方向Yの前側の端部P2との間に配置されている。それ故、おむつ1の装着作業時においてファスニング部材13の第1及び第2タブ131a,131bが横方向Xの内側に引き寄せられたときに第1脚周り弾性部材41に作用する張力に関し、前側の第2タブ131bが引き寄せられたときに第1脚周り弾性部材41に作用する張力の方が、後側の第1タブ131aが引き寄せられたときに第1脚周り弾性部材41に作用する張力よりも強くなっている。このため、おむつの装着時において、左右のファスニング部材13の第1及び第2タブ131a,131bのうち、最初に第2タブ131bの止着を行った後で第1タブ131aの止着を行うという具合に、第1及び第2タブ131a,131bの止着を2段階に行うことにより、おむつ1を着用者の身体に確実にフィットさせることができる。より詳細には、まず第1段階で、左右のファスニング部材13の前側の第2タブ131b又はその周辺部を着用者の腹側内方に引き寄せて、第2タブ131bの第2止着エレメント133を止着シート14に止着する。これによって、第2タブ131b又はその周辺部分に与えられた引き寄せのための力が、第1脚周り弾性部材41に効率よく伝達され、第1脚周り弾性部材41が確実に伸張されながら、おむつ1の左右両側の脚周り部分(特に、脚周りの部分の第1脚周り弾性部材41が付与された後側の部分)が着用者の脚周りにしっかりと密着される。続く第2段階で、左右のファスニング部材13の後側の第1タブ131a又はその周辺部を着用者の腹側内方に引き寄せて、第1タブ131aの第1止着エレメント132を止着シート14に止着する。これによって、おむつ1の臀部から腰回りの部分にかけた部分が着用者の身体にしっかりと密着される。その結果、おむつ1全体を着用者の身体に確実にフィットさせることができる。
また、上記の如く、おむつ1の装着時において着用者の後背部及び臀部をおむつ1の後背部11b及び臀部11gに載せるときに、おむつ1の後背部11bに生じた皺の影響により、着用者の後背部及び臀部とおむつ1の後背部11b及び臀部11gとの位置合わせがしにくくなる等の装着作業に支障が出る場合がある。この点に関し、実施形態では、横方向Xから見て、カバー部材11の後背部11bにおけるファスニング部材13の第1タブ131aに設けられた第1止着エレメント132の縦方向Yの前側の端部P2よりも後側の部分には、第1脚周り弾性部材41が存在しておらず、カバー部材11の後背部11bにおける第1脚周り弾性部材41が付与された領域が抑制されている。このため、おむつ1の装着時にカバー部材11の後背部11bにおける第1脚周り弾性部材41の収縮力により収縮又は皺が生じる度合い及び範囲を抑制できる。その結果、おむつ1の後背部11bにおいて第1脚周り弾性部材41の収縮力により収縮又は皺が生じる度合い及び範囲が大きくなり、おむつ1の装着がしににくなる等の不都合を回避できる。
また、本実施形態では、すべての第1脚周り弾性部材41の左右両側の端部41aが、横方向Xから見て、ファスニング基材131の第1タブ131aに設けられた第1止着エレメント132の縦方向Yの前側の端部P1と、ファスニング基材131の縦方向Yの前側の端部P3との間に配置されている。このため、左右のファスニング部材13の前側の第2タブ131b又はその周辺部を着用者の腹側に引き上げて、第2タブ131bの第2止着エレメント133を止着シート14に止着する際に、第2タブ131b又はその周辺部分に与えられた引き寄せのための力が、すべての第1脚周り弾性部材41に効率よく伝達される。その結果、第2タブ131bの止着シート14への止着動作に伴って、すべての第1脚周り弾性部材41を確実に伸張させながら、おむつ1の左右両側の脚周り部分(特に、脚周り部分の第1脚周り弾性部材41が付与された後側の部分)を着用者の脚周りにしっかりと密着させることができる。
また、第1脚周り弾性部材41と臀部弾性部材44とは、互いに交差しないように配置され、互いに独立している。このため、おむつ1の装着時において、左右のファスニング部材13又はその周辺部が把持されて着用者の腹側に引き上げられ、その引き上げ力により第1脚周り弾性部材41が引き伸ばされる際に、第1脚周り弾性部材41の伸張の影響が臀部弾性部材44に過度に及び、その影響によりおむつ1の後側における広範囲の部分に過度に引っ張り力が作用し、おむつ1の装着が困難になるのを防止できる。
また、本実施形態では、複数の第2脚周り弾性部材42が、カバー部材11の股部11cの股下部11fよりも前側の領域において、伸張された状態で、当該領域の左右両側の縁部11eに沿った部分、及び股下部11fに連続的に連なって付与されている。このため、第2脚周り弾性部材42の収縮力により、おむつ1の脚周り部分における前側の部分を確実に引き締めて、着用者の脚周りに密着させることができる。
また、第2脚周り弾性部材42がカバー部材11の股下部11fを略横方向Xに横断しているため、第2脚周り弾性部材42の収縮力によりおむつ1の股下部11fを効果的に締め付けて、おむつ1の股下部11fを着用者の股下部に密着させることができる。
また、本実施形態では、すべての第2脚周り弾性部材42の左右両側の端部42aは、縦方向Yから見て、吸収コア12の繊維集合体121の前側の拡幅部121aの左右両側の縁部P7よりも横方向Xの内側に位置している。このため、第2脚周り弾性部材42の収縮力が、おむつ1の前側における繊維集合体121の前側の拡幅部121aから左右両側に張り出した部分(特に、前腹部11aの左右両側の部分)に及び、この部分が収縮するのを回避できる。これによって、おむつ1の装着時において、おむつ1の前側における繊維集合体121の前側の拡幅部121aから左右両側に張り出した部分(特に、前腹部11aの左右両側の部分)の取り扱いが容易となり、おむつ1を装着しやすくできる。
また、本実施形態では、複数の第3脚周り弾性部材43が、カバー部材11の左右両側の縁部11eに沿って伸張された状態で付与され、第1脚周り弾性部材41及び第2脚周り弾性部材42と交差している。このため、第3脚周り弾性部材43の収縮力によって、おむつ11の脚周り部分における第1脚周り弾性部材41と第2脚周り弾性部材42の間に位置する部分を確実に締め付けることができ、おむつ1の脚周り部分の全体を着用者の脚周りに密着させることができる。
また、第3脚周り弾性部材43が第1脚周り弾性部材41及び第2脚周り弾性部材42と交差しているため、第1脚周り弾性部材41及び第2脚周り弾性部材42のおむつ1の脚周りに沿った部分に、第3脚周り弾性部材43を介して前後の繋がりが生じ、第1ないし第3脚周り弾性部材41〜43の引き締め力をおむつ1の脚周りに沿った部分を一体的に作用させることができ、おむつ1の脚周り部分を着用者の脚周りに確実に密着させることができる。
本実施形態では、臀部弾性部材44が、カバー部材11におけるファスニング部材13のファスニング基材131の前側の縁部P3よりも前側の領域に付与されている。このため、おむつ11の装着時にカバー部材11の後背部11bに、臀部弾性部材44の収縮力により収縮又は皺が生じる度合い及び範囲を抑制できる。その結果、おむつ1の後背部11bにおいて臀部弾性部材44の収縮力により収縮又は皺が生じる度合い及び範囲が大きくなり、おむつ1の装着がしににくなる等の不都合を回避できる。
なお、上述の図3及び図4に示す繊維集合体121の変形例としては、以下の図8及び図9に示す構成が挙げられる。図8に示す構成では、繊維集合体121に長孔部121dの代わりに、縦方向Yに沿って延びる少なくとも1つ(図8の構成では複数(例えば、2つ))の溝121gが設けられている。また、図9に示す構成では、繊維集合体121が、横方向Xに間隔をあけて配置された複数(図9に示す構成では3つ)の部分集合体121s〜121uによって構成され、部分集合体121s〜121uの間に、略縦方向Yに沿って延びる隙間部121v,121wが設けられている。この図8及び図9に示す構成においても、上述の図3及び図4に示す構成とほぼ同様効果が得られる。