JP5341668B2 - アンカーピン、ピンニング工法 - Google Patents
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Description
これに鑑みて、前記下穴に挿入される棒状の胴部の片端に0.3mm〜0.5mm厚の薄肉板状の頭部を有するアンカーピンを用い、接着剤を充填した下穴に前記胴部を挿入するとともに前記頭部の前記胴部外周から張り出された部分をタイル表面に当接させた状態で前記アンカーピンをコンクリート躯体に接着固定し、タイルをコンクリート躯体に押さえ込む工法(以下、第3従来工法)も知られている(例えば、特許文献1)。
前記アンカーピンの薄肉板状の頭部は、タイルの前記下穴の開口部を覆い、タイルにおける前記下穴の開口部外周に位置する口縁部の全周にわたって当接するサイズを必要とするため、小型化に限界がある。このため、頭部が美観に与える影響を小さくことが容易でない。
第1の発明は、コンクリート母材に取り付けられたタイルを前記コンクリート母材に押さえ込むピンニング工法用のアンカーピンであって、前記タイルを貫通し前記コンクリート母材に穿孔深さを確保して形成した下穴に挿入されて前記コンクリート母材に固定される胴部と、この胴部の片端の端面の外周部の1又は複数箇所に前記端面の外周から張り出すように突設された係合爪部とを具備し、前記係合爪部はその幅寸法が前記端面外周の4〜20%、かつ前記端面に突設された前記係合爪部の前記幅寸法の合計が前記端面外周の50%以下とされ、前記胴部を前記下穴に挿入し前記係合爪部を前記タイル表面に係合させることで前記胴部の全長を前記下穴内に配置可能となっていることを特徴とするアンカーピンを提供する。
第2の発明は、前記胴部が、前記下穴に挿入されて前記コンクリート母材に接着剤によって接着固定されるものであることを特徴とする第1の発明のアンカーピンを提供する。
第3の発明は、前記胴部は、棒状部と、該棒状部の片端に設けられ前記棒状部に比べて太く形成された頭部とを具備し、前記係合爪部は前記頭部の端面の外周部に突設されていることを特徴とする第1又は2の発明のアンカーピンを提供する。
第4の発明は、前記頭部は、その前記棒状部側の端部から前記端面側に行くにしたがって外径が次第に大きくなるテーパ状部を有することを特徴とする第3の発明のアンカーピンを提供する。
第5の発明は、前記頭部の最大外径が、前記頭部が前記下穴内に収納されたときに前記頭部の最大外径部分の外周と前記下穴内周面との間に前記接着剤の溢出を可能にするクリアランスが確保される大きさとされていることを特徴とする第2に係る請求項3又は4の発明のアンカーピンを提供する。
第6の発明は、前記頭部の最大外径が、前記下穴の穿孔径と略同等に揃えられていることを特徴とする第3又は4の発明のアンカーピンを提供する。
第7の発明は、前記棒状部の外周に前記接着剤による前記コンクリート母材に対する固着力を高めるための凹凸が形成されていることを特徴とする第2に係る第3〜6のいずれかの発明のアンカーピンを提供する。
第8の発明は、前記棒状部がその外周にねじ溝が螺刻されたねじ部とされ、前記ねじ溝と該ねじ溝に沿って延在するねじ山とが前記棒状部の外周の前記凹凸として機能することを特徴とする第7の発明のアンカーピンを提供する。
第9の発明は、前記胴部の前記係合爪部が突設されている端面である基端側端面及び前記係合爪部のうち、少なくとも前記胴部の前記基端側端面が前記タイル表面の色彩と合致するように着色されていることを特徴とする第1〜8のいずれかの発明のアンカーピンを提供する。
第10の発明は、全体が金属製の一体成形品であることを特徴とする第1〜9のいずれかの発明のアンカーピンを提供する。
第11の発明は、前記胴部に、前記下穴に挿入された該胴部を前記コンクリート母材に機械的に固定するための機械的固定部を有することを特徴とする第1〜10のいずれかの発明のアンカーピンを提供する。
第12の発明は、コンクリート母材に取り付けられたタイルを第2、5、7、8、第2の発明に係る第3、4、6、9、10、11のいずれかの発明のアンカーピンを用いて前記コンクリート母材に押さえ込むピンニング工法であって、前記タイルを貫通する下穴を前記コンクリート母材に穿孔深さを確保して穿孔する下穴穿孔工程と、この下穴に接着剤を注入する接着剤注入工程と、前記下穴に前記アンカーピンの胴部を挿入して、胴部片端の端面に突設されている前記係合爪部をタイル表面に係合させるアンカーピン挿入工程とを具備することを特徴とするピンニング工法を提供する。
図1(a)、(b)に示すように、ここで説明するアンカーピン10は、建物外壁等のコンクリート躯体21(コンクリート母材)に仕上げ材として取り付けられたタイル22を前記コンクリート躯体21に押さえ込んでコンクリート躯体21からの剥がれや浮きを防止するピンニング工法に用いられるものである。
なお、コンクリート母材(コンクリート躯体)としては、建物外壁、床等の建物躯体の他、例えば、コンクリート製の橋梁、路床等であっても良い。
なお、接着剤24によるコンクリート躯体21に対する固着力を高めるための凹凸としては、前記棒状部12をねじ部とする構成に限定されず、棒状部の外周の多数箇所に凸部又は凹部を形成した構成も採用可能である。
このアンカーピン10の材質としては例えばSUS304等を挙げることができる。
また、コンクリート躯体21からの浮きが生じていないタイル22について、このピンニング工法を実施すれば、タイル22の浮きを予防できる。
また、この係合爪部14は、具体的には、頭部端面13aの外周部に頭部端面13aに突出する突起状に形成された突起部14bと、この突起部14bに頭部端面13aの外周から張り出すように突設され前記頭部端面13aの仮想延長に重なるところに延在する当接面14aを形成する張出部14cとを有する構成であり、形状が単純であることから、製造効率の向上も図ることもできる。
なお、頭部端面13aの着色は、例えば塗料の塗布や鍍金等によって行うことができるが、例えば着色された樹脂製フィルム等の着色シートの貼付によって行っても良い。また、頭部端面13aの着色は、頭部端面13a全体にわたって単色、均等であることに限定されず、タイル表面22aの色彩に応じて、例えば互いに色が異なる部分が存在するようにしても良い。
但し本発明にかかるアンカーピンにあっては、頭部端面13a、係合爪部14のうち少なくとも頭部端面13aにタイル表面22aの色彩と同様の着色が施されていれば良く、係合爪部14にタイル表面22aの色彩と同様の着色が施されていない構成も含む。
また、係合爪部14の頭部端面13a外周からの突出寸法aは、胴部11を下穴23に挿入したときに、各係合爪部14の当接部14aをタイル表面22aに確実に当接できる範囲であれば良いが、タイル仕上げ面(タイル表面22a)からの突出部分をできるだけ小さくして美観に与える影響を低減する点で、この突出寸法aは出来るだけ小さくすることが好ましい。
図3(a)〜(d)に示すアンカーピンの製造方法は、まず、棒状の金属母材30(図3(a)参照。具体的には金属丸棒)にヘッター加工を行って、図3(b)に示すように直棒部31の片端に該直棒部31よりも太い頭部用大径部32を有する頭部用大径部付き棒状体33Aを得るヘッター加工工程を行い、次いで、このヘッター加工工程によって前記頭部用大径部付き棒状体33の前記直棒部31に例えばローリングダイスを用いてねじを加工しねじ部(ねじ部である棒状部12)を得るねじ加工工程と、ヘッター加工工程によって形成した前記頭部用大径部32のプレス加工により前記係合爪部14(爪部)を形成する爪部形成工程とを行う。この爪部形成工程によって、頭部用大径部32の金属材料の一部が係合爪部14となり、頭部13も完成する。そして、頭部端面13aに着色を施すことでアンカーピン10が得られる。
図4(a)〜(d)に示す方法は、まず、棒状の金属母材30(図4(a)参照。具体的には金属丸棒)のヘッター加工によって、直棒部31の片端に該直棒部31よりも太いフランジ付き頭部34(頭部用大径部)を有する頭部用大径部付き棒状体33Bを得るヘッター加工工程を行う。前記フランジ付き頭部34は、図1(a)、(b)、図2に例示したアンカーピン10の頭部13に、該頭部13の頭部端面13aの外周部の全周にわたって突設されて前記頭部端面13aの外周から張り出すように突出されたフランジ部34aを形成したものである。
次に、このヘッター加工工程によって得た前記頭部用大径部付き棒状体33Bの前記直棒部31に例えばローリングダイスを用いてねじ加工を行ってねじ部(ねじ部である棒状部12)とするねじ加工工程(図4(c)参照)と、ヘッター加工工程によって形成した前記フランジ付き頭部34の一部を除去して前記係合爪部14(爪部)を形成する爪部形成工程とを行う。この爪部形成工程によって、頭部13も形成される。
そして、頭部端面13aに着色を施すことでアンカーピン10が得られる。
また、図7に示すように、テーパ状部が存在せず、等径部43のみからなる構成の頭部51も採用可能である。
図8(a)、(b)に例示したアンカーピンは、図1(a)、(b)、図2に例示したアンカーピン10の頭部13を図中符号61の頭部に変更したものである。このアンカーピンに図中符号10Aを付記する。
この構成であれば、胴部70全体を下穴23に挿入したときに、下穴23内周面と頭部71外周面との接触によって下穴23の中心軸線に対するアンカーピン10Bの位置決めを確実に行えるとともに、溝72からの接着剤24の溢出確認による下穴23内の接着剤24中への胴部の確実な埋め込みの把握も行える。
図9(a)、(b)に例示したアンカーピンは、図1(a)、(b)、図2に例示したアンカーピン10の頭部13を図中符号71の頭部に変更したものである。このアンカーピンに図中符号10Bを付記する。
このアンカーピン10Cの場合は、係合爪部14は胴部81の片端(基端)の端面82の外周に突設される。
また、タイル表面に当接させた係合爪部を、下穴23に挿入された胴部及びアンカーピン全体を所望の向きに安定に保つことに有効に寄与させる点では、胴部端面における係合爪部14の形成数が3以上(3〜6個)であることが好ましい。さらに、施工後の美観確保のため、タイル表面に配置される係合爪部の数を少なくすることを加味すれば、胴部端面における係合爪部14の形成数は例えば3又は4個であることがより好ましい。
胴部端面に突設される係合爪部14が2以上である場合は、係合爪部14が胴部端面の外周部の周方向に均等配置されるようにして設けられた構成とすることが好ましい。
胴部端面の外周部に係合爪部が1つだけ設けられている場合は、この係合爪部の幅寸法は、胴部端面の外周寸法の4〜20%であることが好ましい。
このアンカーピン10Dの胴部110の先端部112は、コーン113の打ち込みによって拡張可能な拡張部とされている。この胴部110の先端部112を、以下、拡張部とも言う。
まず、タイル22を貫通する下穴23をコンクリート躯体21に穿孔する下穴穿孔工程を行い、前記下穴23に接着剤24を注入、充填(接着剤充填工程)した後、下穴23にアンカーピン10Dの前記胴部110を挿入し、その先端のコーン113を下穴23の穴奥底23aに突き当てる。そして、例えば胴部110の基端側端面(図示例のアンカーピン10Dにあっては頭部端面13a)に当接させた打ち込み棒91を介して胴部110に打撃力を与えることなどにより、胴部110の拡張部112を概略紡錘形に形成されている前記コーン113に打ち込んで拡張させることで、胴部110をコンクリート躯体21に固着させる。これにより胴部110をコンクリート躯体21に機械的に固定できる。そして、接着剤24が硬化することで、胴部110をコンクリート躯体21に強固に固定できる。
前記アンカーピン10Dにあっては、前記拡張部112が胴部110をコンクリート躯体21に固定する機械的固定部として機能する。
このピンニング工法のアンカーピン挿入工程は、接着剤24が注入された下穴23にアンカーピン10Dの胴部110及びコーン113を挿入した後、アンカーピン10Dの係合爪部14をタイル表面22aに当接させ、胴部110全体を下穴23内に収納することによって完了するものであり、胴部110先端の拡張部112をコーン113への打ち込みによって拡張させ胴部110をコンクリート躯体21に固定することを含む。
前記機械的固定部としては、アンカーピンの胴部を下穴23内にてコンクリート躯体21に対して固定できる構成のものであれば良く、図12(a)、(b)、図13に例示した構成のものに限定されない。また、アンカーピンは、機械的固定部を有する場合、機械的固定部を有していない場合のいずれについても、胴部の基端側の端部に、下穴23の開口部を塞ぐように配置される端面を有する構成とされる。
なお、図示例のアンカーピン10Eは、図1(a)、(b)、図2等を参照して説明した既述のアンカーピン10の胴部11の先端部を先端雄ねじ部15とし、この先端雄ねじ部15に固定用部品120を取り付けた点のみが前記アンカーピン10と異なる点であり、他の構成は既述のアンカーピン10と同様の構成を採用できる。
機械的固定部を具備するアンカーピンを用いたピンニング工法としては、接着剤を注入した下穴23に胴部を挿入して機械的固定部によって固定する工法に限定されず、接着剤を注入していない下穴に胴部を挿入して機械的固定部のみによって胴部をコンクリート躯体21に固定する工法も採用可能である。
30…金属母材(金属丸棒)、31…直棒部、32…頭部用大径部、33A、33B…頭部用大径部付き棒状体、33C…頭部付き棒状体、34…フランジ付き頭部、34a…フランジ部、
41…頭部、42…テーパ状部、43…等径部、51…頭部、61…頭部、61a…端面(頭部端面)、71…頭部、72…溝、81…胴部、82…端面、
91…打ち込み棒、
110…胴部、111…割り溝、112…拡張部(胴部の先端部)、113…コーン、113a…取付用細径部、114…(胴部の)先端面、115…コーン取付孔、
120…固定用部品、121…弾性片、122…螺着リング部、123…当接部、
a…(係合爪部の)突出寸法、C…クリアランス。
Claims (12)
- コンクリート母材に取り付けられたタイルを前記コンクリート母材に押さえ込むピンニング工法用のアンカーピンであって、
前記タイルを貫通し前記コンクリート母材に穿孔深さを確保して形成した下穴に挿入されて前記コンクリート母材に固定される胴部と、この胴部の片端の端面の外周部の1又は複数箇所に前記端面の外周から張り出すように突設された係合爪部とを具備し、前記係合爪部はその幅寸法が前記端面外周の4〜20%、かつ前記端面に突設された前記係合爪部の前記幅寸法の合計が前記端面外周の50%以下とされ、
前記胴部を前記下穴に挿入し前記係合爪部を前記タイル表面に係合させることで前記胴部の全長を前記下穴内に配置可能となっていることを特徴とするアンカーピン。 - 前記胴部が、前記下穴に挿入されて前記コンクリート母材に接着剤によって接着固定されるものであることを特徴とする請求項1記載のアンカーピン。
- 前記胴部は、棒状部と、該棒状部の片端に設けられ前記棒状部に比べて太く形成された頭部とを具備し、前記係合爪部は前記頭部の端面の外周部に突設されていることを特徴とする請求項1又は2記載のアンカーピン。
- 前記頭部は、その前記棒状部側の端部から前記端面側に行くにしたがって外径が次第に大きくなるテーパ状部を有することを特徴とする請求項3記載のアンカーピン。
- 前記頭部の最大外径が、前記頭部が前記下穴内に収納されたときに前記頭部の最大外径部分の外周と前記下穴内周面との間に前記接着剤の溢出を可能にするクリアランスが確保される大きさとされていることを特徴とする請求項2に係る請求項3又は4記載のアンカーピン。
- 前記頭部の最大外径が、前記下穴の穿孔径と略同等に揃えられていることを特徴とする請求項3又は4記載のアンカーピン。
- 前記棒状部の外周に前記接着剤による前記コンクリート母材に対する固着力を高めるための凹凸が形成されていることを特徴とする請求項2に係る請求項3〜6のいずれかに記載のアンカーピン。
- 前記棒状部がその外周にねじ溝が螺刻されたねじ部とされ、前記ねじ溝と該ねじ溝に沿って延在するねじ山とが前記棒状部の外周の前記凹凸として機能することを特徴とする請求項7記載のアンカーピン。
- 前記胴部の前記係合爪部が突設されている端面である基端側端面及び前記係合爪部のうち、少なくとも前記胴部の前記基端側端面が前記タイル表面の色彩と合致するように着色されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のアンカーピン。
- 全体が金属製の一体成形品であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のアンカーピン。
- 前記胴部に、前記下穴に挿入された該胴部を前記コンクリート母材に機械的に固定するための機械的固定部を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のアンカーピン。
- コンクリート母材に取り付けられたタイルを請求項2、5、7、8、請求項2に係る請求項3、4、6、9、10、11のいずれかに記載のアンカーピンを用いて前記コンクリート母材に押さえ込むピンニング工法であって、
前記タイルを貫通する下穴を前記コンクリート母材に穿孔深さを確保して穿孔する下穴穿孔工程と、この下穴に接着剤を注入する接着剤注入工程と、前記下穴に前記アンカーピンの胴部を挿入して、胴部片端の端面に突設されている前記係合爪部をタイル表面に係合させるアンカーピン挿入工程とを具備することを特徴とするピンニング工法。
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