JP5333741B2 - 化学機械研磨用水系分散体およびその製造方法、ならびに化学機械研磨方法 - Google Patents
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に関する。
(A)シリカ粒子と、
(B)アミノ酸と、
を含有する銅膜を研磨するための化学機械研磨用水系分散体であって、前記(A)シリカ粒子は、下記の化学的性質を有することを特徴とする。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(A)シリカ粒子と、(B)アミノ酸と、を含有する銅膜を研磨するための化学機械研磨用水系分散体であって、前記(A)シリカ粒子は、「29Si−NMRスペクトルのシグナル面積から算出されるシラノール基数が、2.0〜3.0×1021個/gである。」という化学的性質を有する。まず、本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体を構成する各成分について説明する。
本実施形態におけるシリカ粒子の「シラノール基」とは、シリカ粒子のケイ素原子に直接結合したヒドロキシル基をいい、立体配置または立体配位については特に限定しない。また、シラノール基の生成条件等も問わない。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(B)アミノ酸を含有する。前記(B)アミノ酸は、グリシン、アラニンおよびヒスチジンから選択される少なくとも1種のアミノ酸であることが好ましい。これらのアミノ酸は、銅イオンと配位結合を形成しやすい性質があり、被研磨面たる銅膜の表面と配位結合を形成する。これにより、銅膜の表面荒れを抑制し高い平坦性を維持しつつ、銅および銅イオンとの親和性を高め、銅膜に対する研磨速度を促進させることができる。また、これらのアミノ酸は、銅膜の研磨によりスラリー中へ溶出した銅イオンと容易に配位することができ銅の析出を防ぐことができる。その結果、銅膜上のスクラッチ等の研磨欠陥の発生を抑制することができる。さらに、これらのアミノ酸は、研磨後の被研磨物表面から不要な金属を効率良く捕捉することができ、被研磨物表面から効率的に不要な金属を除去することができる。また、後述する水溶性高分子を併用する場合において、その種類や添加量にもよるが、水溶性高分子が銅膜表面に吸着することにより研磨を阻害し研磨速度を低下させることがある。このような場合においても、前記(B)アミノ酸を併用することで、水溶性高分子の添加にもかかわらず銅膜の研磨速度を増大させる効果がある。また、前記(B)アミノ酸を含有することで、研磨中に破砕されてシリカ粒子から溶出するナトリウムイオンやカリウムイオンの銅膜表面への吸着を阻害して溶液中への遊離を促すことができ、その結果被研磨物表面から効果的に除去することも可能となる。さらに、前記(B)アミノ酸を含有することで、前記(A)シリカ粒子の有するシラノール基と適度に相互作用することができ、研磨組成物中におけるシリカ粒子の分散安定性を向上させることができる。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(C)含窒素複素環およびカルボキシル基を有する有機酸を含有することができる。前記(C)含窒素複素環およびカルボキシル基を有する有機酸は、前記(B)アミノ酸と併用することにより(B)アミノ酸の効果を高めることができる。(C)含窒素複素環およびカルボキシル基を有する有機酸として、例えば、少なくとも1個の窒素原子を有する複素六員環を含む有機酸、複素五員環からなるヘテロ環化合物を含む有機酸等が挙げられる。より具体的には、キナルジン酸、キノリン酸、キノリン−8−カルボン酸、ピコリン酸、キサンツレン酸、キヌレン酸、ニコチン酸、およびアントラニル酸等が挙げられる。
1.4.1 酸化剤
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、必要に応じて酸化剤を含有することができる。酸化剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、硝酸第二鉄、硝酸二アンモニウムセリウム、硫酸鉄、オゾン、次亜塩素酸とその塩、過ヨウ素酸カリウム、および過酢酸などが挙げられる。これらの酸化剤は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの酸化剤のうち、酸化力、保護膜との相性、および取り扱いやすさなどを考慮すると、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、および過酸化水素が特に好ましい。酸化剤の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して、好ましくは0.05〜5質量%、より好ましくは0.08〜3質量%である。酸化剤の含有量が前記範囲未満の場合には、銅膜に対する十分な研磨速度が得られないことがあり、一方、前記範囲を超えると、銅膜のディッシングやエロージョンを引き起こすおそれがある。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、必要に応じて水溶性高分子を含有することができる。水溶性高分子を添加することにより、銅膜のディッシングやコロージョンの発生を効果的に抑制することができる。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、必要に応じて界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン界面活性剤またはカチオン界面活性剤が挙げられる。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体のpHは、好ましくは6〜12、より好ましくは7〜11.5、特に好ましくは8〜11である。pHが6未満であると、シリカ粒子の表面に存在するシラノール基同士の水素結合を切ることができず、シリカ粒子の凝集を引き起こすことがある。一方、pHが12よりも大きいと、塩基性が強すぎるためウエハの欠陥を引き起こすことがある。pHを調整するための手段としては、例えば、水酸化カリウム、アンモニア、エチレンジアミン、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)等の塩基性塩に代表されるpH調整剤を添加することによりpHを調整することができる。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、純水に直接(A)シリカ粒子、(B)アミノ酸、およびその他の添加剤を添加して混合・撹拌することにより調製することができる。このようにして得られた化学機械研磨用水系分散体をそのまま使用してもよいが、各成分を高濃度で含有する(濃縮された)化学機械研磨用水系分散体を調製し、使用時に所望の濃度に希釈して使用してもよい。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、銅膜を表面に有する被処理体(例えば、半導体装置)の化学機械研磨に好適に用いることができる。すなわち、本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体によれば、(B)アミノ酸を含有することにより銅膜の表面荒れを抑制し高い平坦性を維持しつつ、銅および銅イオンとの親和性を高め、銅膜に対する研磨速度を促進させることができる。これにより、通常の研磨圧力条件下においても銅膜および低誘電率絶縁膜に欠陥を引き起こすことなく、表面の銅膜を高速かつ選択的に研磨することができる。また、本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体によれば、ウエハの金属汚染を低減することができる。
本実施形態に係る化学機械研磨方法の一具体例について、図面を用いて詳細に説明する。
図4に、本実施形態に係る化学機械研磨方法に用いられる被処理体100を示す。
被処理体100のバリアメタル膜50の上に堆積した銅膜60を除去するために、本発明に係る化学機械研磨用水系分散体を用いて化学機械研磨を行う。まず、化学機械研磨により、バリアメタル膜50が表出するまで銅膜60を研磨し続ける。通常バリアメタル膜50が表出したことを確認した上で研磨を停止させる必要がある。しかしながら、本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、銅膜に対する研磨速度が非常に高い反面、バリアメタル膜をほとんど研磨しない。このため、図5に示すように、バリアメタル膜50が表出した時点で化学機械研磨を進行できなくなるため、化学機械研磨を自己停止(セルフストップ)させることができる。
・ヘッド回転数;好ましくは30〜120rpm、より好ましくは40〜100rpm
・定盤回転数/ヘッド回転数比;好ましくは0.5〜2、より好ましくは0.7〜1.5
・研磨圧力;好ましくは60〜200gf/cm2、より好ましくは100〜150gf/cm2
・化学機械研磨用水系分散体供給速度;好ましくは50〜400mL/分、より好ましくは100〜300mL/分
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
3号水硝子(シリカ濃度24質量%)を水で希釈し、シリカ濃度3.0質量%の希釈ケイ酸ナトリウム水溶液とした。この希釈ケイ酸ナトリウム水溶液を、水素型陽イオン交換樹脂層を通過させ、ナトリウムイオンの大部分を除去したpH3.1の活性ケイ酸水溶液とした。その後、すぐに撹拌下10質量%水酸化カリウム水溶液を加えてpHを7.2に調整し、さらに続けて加熱し沸騰させて3時間熱熟成した。得られた水溶液に、先にpHを7.2に調整した活性ケイ酸水溶液の10倍量を6時間かけ少量ずつ添加し、シリカ粒子の平均粒径を26nmに成長させた。
3.2.1 ポリビニルピロリドン水溶液の調製
フラスコに、N−ビニル−2−ピロリドン60g、水240g、10質量%の亜硫酸ナトリウム水溶液0.3gおよび10質量%のt−ブチルヒドロパーオキシド水溶液0.3gを添加し60℃窒素雰囲気下で5時間撹拌することによりポリビニルピロリドン(K30)を生成させた。得られたポリビニルピロリドン(K30)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製、装置型番「HLC−8120」、カラム型番「TSK−GEL α−M」、溶離液はNaCl水溶液/アセトニトリル)にて測定した結果、ポリエチレングリコール換算の重量平均分子量(Mw)は4万であった。また、モノマーの仕込み量より計算されるアミノ基の量は0モル/gであり、カチオン性官能基の量は0モル/gであった。
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素置換用ガラス管、および撹拌装置を取り付けたフラスコに、ジエチルアミノメチルメタクリレート70質量部、セチルアクリレート5質量部、ステアリルメタクリレート10質量部、N−ビニルピロリドン10質量部、ブチルメタアクリレート5質量部、およびイソプロピルアルコール100質量部を入れ、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.2質量部加え、窒素気流下60℃で重合させた。次いで、ジエチルアミノエチルメタクリレートを1モルに対して0.35倍のモル数の硫酸ジエチルを添加し、窒素気流下50℃で10時間還流加熱してビニルピロリドン/メタクリル酸ジエチルアミノメチル共重合体を合成した。
ヒドロキシエチルセルロースは、ダイセル化学社製、商品名「ダイセルHEC SP900」(分子量140万)を用いた。
イオン交換水50質量部、シリカに換算して0.5質量部を含有するシリカ粒子分散体Aをポリエチレン製の瓶に入れ、これにアラニンを1.2質量部、アセチレンジオール型ノニオン系界面活性剤(商品名「サーフィノール485」、エアープロダクト社製)を0.03質量部、ポリビニルピロリドン(K30)水溶液(重量平均分子量4万)をポリマー量に換算して0.05質量部に相当する量を添加し、さらに10質量%の水酸化カリウム水溶液を添加して化学機械研磨用水系分散体のpHを9.3に調整した。次いで、過硫酸アンモニウムを1.5質量部添加し、15分間撹拌した。最後に、全成分の合計量が100質量部となるようにイオン交換水を加えた後、孔径5μmのフィルターでろ過することにより、pHが9.3の化学機械研磨用水系分散体S1を得た。
3.4.1 パターンなし基板の研磨評価
化学機械研磨装置(荏原製作所社製、型式「EPO112」)に多孔質ポリウレタン製研磨パッド(ニッタ・ハース社製、品番「IC1000」)を装着し、化学機械研磨用水系分散体S1〜S10のいずれか1種を供給しながら、下記の各種研磨速度測定用基板につき、下記の研磨条件にて1分間研磨処理を行い、下記の手法によって研磨速度、ウエハ汚染を評価した。その結果を表2に併せて示す。
(1)研磨速度測定用基板
・膜厚15,000オングストロームの銅膜が積層された8インチ熱酸化膜付きシリコン基板。
・膜厚2,000オングストロームのタンタル膜が積層された8インチ熱酸化膜付きシリコン基板。
・ヘッド回転数:70rpm
・ヘッド荷重:200gf/cm2
・テーブル回転数:70rpm
・化学機械研磨水系分散体の供給速度:200mL/分
銅膜およびタンタル膜について、電気伝導式膜厚測定器(KLAテンコール社製、形式「オムニマップRS75」)を用いて、研磨処理後の膜厚を測定し、化学機械研磨により減少した膜厚および研磨時間から研磨速度を算出した。
前記「3.4.1a 研磨速度の測定」と同様にして、銅膜を研磨処理した。次いで試料表面に超純水を滴下し、銅膜表面上の残留金属を抽出した後、その抽出液についてICP−MS(横河アナリティカルシステムズ社製、型番「Agilent7500s」)にて定量した。その結果を表2に併せて示す。ウエハ汚染は、3.0atom/cm2以下であることが好ましく、2.5atom/cm2以下であることがより好ましい。
化学機械研磨装置(荏原製作所社製、型式「EPO112」)に多孔質ポリウレタン製研磨パッド(ニッタ・ハース社製、品番「IC1000」)を装着し、化学機械研磨用水系分散体S1〜S10のいずれか1種を供給しながら、下記のパターン付きウエハにつき、被研磨面にタンタル膜が検出された時点を研磨終点としたこと以外は、前記「3.4.1a 研磨速度の測定」における研磨条件と同様に研磨処理を行い、下記の手法によって平坦性および欠陥の有無を評価した。その結果を表2に併せて示す。
シリコン基板上にシリコン窒化膜1,000オングストロームを堆積させ、その上に低誘電率絶縁膜(Black Diamond膜)を4,500オングストローム、更にPETEOS膜を500オングストローム順次積層させた後、「SEMATECH 854」マスクパターン加工し、その上に250オングストロームのタンタル膜、1,000オングストロームの銅シード膜および10,000オングストロームの銅メッキ膜を順次積層させたテスト用の基板を用いた。
研磨処理工程後のパターン付きウエハの被研磨面につき、高解像度プロファイラー(KLAテンコール社製、形式「HRP240ETCH」)を用いて、銅配線幅(ライン、L)/絶縁膜幅(スペース、S)がそれぞれ100μm/100μmの銅配線部分におけるディッシング量(nm)を測定した。その結果を表2に併せて示す。なお、ディッシング量は、銅配線上面が基準面(絶縁膜上面)よりも上に凸である場合はマイナスで表示した。ディッシング量は、−5〜30nmであることが好ましく、−2〜20nmであることがより好ましい。
研磨処理工程後のパターン付きウエハの被研磨面につき、1cm×1cmの銅の領域について、欠陥検査装置(KLAテンコール社製、形式「2351」)を使用して10nm2〜100nm2の大きさの欠陥数を評価した。表2において、○はコロージョンの数が0〜10個であり最も好ましい状態である。△は11個〜100個でありやや好ましい状態である。×は101個以上のコロージョンが存在する状態であり、研磨性能不良と判断される。
実施例1〜6では、銅膜に対する研磨速度が8,000オングストローム/分以上と十分高く、バリアメタル膜に対する研磨速度が1〜3オングストローム/分と十分に低かった。したがって、銅膜に対する研磨選択性に優れていることがわかった。また、いずれの実施例においてもウエハ汚染はほとんどなく欠陥も認められず、化学機械研磨用水系分散体の保存安定性も良好であった。
Claims (10)
- (A)シリカ粒子と、
(B)アミノ酸と、
を含有する銅膜を研磨するための化学機械研磨用水系分散体であって、
前記(A)シリカ粒子は、下記の化学的性質を有する、化学機械研磨用水系分散体。
29Si−NMRスペクトルのシグナル面積から算出されるシラノール基数が、2.0〜3.0×1021個/gである。 - 請求項1において、
前記(B)アミノ酸は、グリシン、アラニンおよびヒスチジンから選択される少なくとも1種である、化学機械研磨用水系分散体。 - 請求項1または2において、
さらに、(C)含窒素複素環およびカルボキシル基を有する有機酸を含有する、化学機械研磨用水系分散体。 - 請求項3において、
前記(C)含窒素複素環およびカルボキシル基を有する有機酸は、キナルジン酸またはキノリン酸である、化学機械研磨用水系分散体。 - 請求項1ないし4のいずれか一項において、
さらに、前記(A)シリカ粒子は、下記の化学的性質を有する、化学機械研磨用水系分散体。
ICP発光分析法またはICP質量分析法による元素分析およびイオンクロマト法によるアンモニウムイオンの定量分析から測定されるナトリウム、カリウムおよびアンモニウムイオンの含有量が、ナトリウムの含有量:5〜500ppm、カリウムおよびアンモニウムイオンから選択される少なくとも1種の含有量:100〜20000ppmの関係を満たす。 - 請求項1ないし5のいずれか一項において、
前記(A)シリカ粒子の長径(Rmax)と短径(Rmin)との比率(Rmax/Rmin)は、1.0〜1.5である、化学機械研磨用水系分散体。 - 請求項1ないし6のいずれか一項において、
前記(A)シリカ粒子のBET法を用いて測定した比表面積から算出される平均粒径は、10nm〜100nmである、化学機械研磨用水系分散体。 - 請求項1ないし7のいずれか一項において、
pHは、6〜12である、化学機械研磨用水系分散体。 - バリアメタル膜上に銅膜が形成された被処理体を化学機械研磨する方法であって、
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の化学機械研磨用水系分散体を用いて、前記銅膜を化学機械研磨し、前記バリアメタル膜が表出した時点で化学機械研磨を停止する、化学機械研磨方法。 - (A)シリカ粒子と、(B)アミノ酸と、を添加して化学機械研磨用水系分散体を製造するための方法であって、
前記(A)シリカ粒子は、下記の化学的性質を有する、化学機械研磨用水系分散体。
29Si−NMRスペクトルのシグナル面積から算出されるシラノール基数が、2.0〜3.0×1021個/gである。
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