JP5332492B2 - 排気ガス浄化用複合酸化物及びその製造方法 - Google Patents

排気ガス浄化用複合酸化物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、排気ガス浄化用複合酸化物及びその製造方法に関する。
自動車エンジン等の排気ガスの浄化に用いられる排気ガス浄化用触媒は、Pt等の触媒金属と、高比表面積酸化物(例えば、γ−アルミナ)と、Ce含有酸化物(酸素吸蔵材)とを含有するように構成されることが多い。上記触媒金属は通常上記高比表面積酸化物だけでなく、該Ce含有酸化物にも担持させられている。
近年では、酸素吸蔵材として、Ce含有酸化物に触媒金属を固溶させてなる複合酸化物粒子も利用されている。触媒金属をCe含有酸化物に固溶させると、触媒金属をCe含有酸化物粒子の表面に担持させた場合に比べて、触媒金属の凝集・シンタリングを生じ難くなり、また、酸素吸蔵放出性能も高くなる。例えば、特許文献1には、触媒金属Rhを固溶させてなるCeZrNd複合酸化物が開示され、特許文献2には、触媒金属Pd又はPtを固溶させてなるCeZrAl複合酸化物が開示されている。このようなCeZr系複合酸化物の場合、同じく酸素吸蔵材として知られているCeOに比べて耐熱性が高いが、それは、Zrの働きによると考えられ、また、Zrは酸素吸蔵放出に寄与する酸素欠陥を増大させると考えられている。
また、特許文献3には、空気から酸素を分離するための組成物として、V、Mn、Cu、Mo、W、Pt、Tl、Pb及びBiよりなる群から選択される少なくとも1種の表面ドープ剤を少量含有するCePr複合酸化物を開示する。但し、実施例として開示されている表面ドープ剤はAgであり、他のPt等の金属を表面ドープ剤とする具体例については開示がない。また、当文献には、当該CePr複合酸化物の酸素吸蔵放出性能についての開示もなく、また、そのCePr複合酸化物を排気ガス浄化に利用することについての開示もない。
上記Pd又はPtを固溶させてなるCeZr系複合酸化物及び表面ドープ剤を固溶させてなるCePr複合酸化物はいずれも、成分金属を含有する酸性の原料溶液(硝酸溶液)と塩基性溶液とを混合することにより、それら成分金属を含有する水酸化物沈殿を生成させ、これを焼成する、という共沈法で調製されている。
特開2004−174490号公報 特開平10−182155号公報 特開昭50−73893号公報
特許文献1,2に記載されているCeZr系複合酸化物においても、触媒金属の固溶によって比較的高い酸素吸蔵放出性能が得られる。しかし、当然のことながら、この種の複合酸化物においては、その酸素吸蔵放出性能を更に向上させることが、排気ガス浄化率の向上の観点から望ましい。
また、上記特許文献1〜3では、複合酸化物を共沈法によって得るにあたり、触媒金属源として硝酸塩が利用されているが、例えばジニトロジアミン白金(II)硝酸溶液を用いた場合、原料溶液と塩基性溶液とを混合したとき、Ptが水酸化物として円滑に沈殿しないという問題がある。すなわち、Ptは、仕込量の5割ないし8割程度が水酸化物として沈殿し、残りは当該沈殿物を水洗したときに洗い流されてしまう、という問題である。そのため、複合酸化物のPt濃度を所定値に調整することが難しくなっている。また、このことは、複合酸化物調製時に洗い流されて無駄になるPtが多いこと、そして、流出するPtの回収も面倒になることを意味する。
しかも、Ptの一部は硝酸溶液のまま上記水酸化物沈殿に付着し、その状態で乾燥・焼成が行なわれることから、得られる複合酸化物粒子は、その粒子表面にPtが酸化物として担持された状態になり、粒子表面のPt濃度が高くなる。粒子表面のPt濃度が高いことは、フレッシュ時においては排気ガスの浄化に有利であるものの、高温の排気ガスに晒されたときに、その粒子表面のPtが凝集・シンタリングし易いことから、酸素吸蔵放出性能や排気ガス浄化性能が早期に低下してしまう。
本発明の課題は、酸素吸蔵放出性能が高い排気ガス浄化用複合酸化物を提供することにある。
また、本発明の課題は、高温の排気ガスに晒されたときの、酸素吸蔵放出性能や排気ガス浄化性能の低下を生じ難い排気ガス浄化用複合酸化物を提供することにある。
また、本発明の課題は、そのような排気ガス浄化用複合酸化物の製造方法を提供することにあり、特に、複合酸化物調製時に無駄になる触媒金属を少なくすること(流出する触媒金属の回収手間を少なくすること)、複合酸化物の触媒金属濃度を所望値に調整し易くすることを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために、CeとPrと触媒金属とが酸化物粒子を形成するように複合されてなる複合酸化物において、当該酸化物粒子の表層領域における触媒金属の濃度を該粒子全体の触媒金属濃度の2倍未満にした。
また、本発明は、上述の如き複合酸化物を共沈法によって得るにあたり、触媒金属源としてヒドロキソ錯体を用いた。
請求項1に係る発明は、排気ガス浄化用触媒に用いられる排気ガス浄化用複合酸化物であって、
CeとPrと触媒金属とが酸化物粒子を形成するように複合されてなり、
上記Ceの酸化物及び上記Prの酸化物各々の少なくとも一部が互いに固溶し、
上記触媒金属は、上記酸化物粒子に固溶し、その一部が上記酸化物粒子表面に分散して露出しており、
上記酸化物粒子の表面から2nm深さまでの表層領域における上記触媒金属の濃度が、該酸化物粒子全体での該触媒金属の平均濃度の2倍未満であることを特徴とする。
このような複合酸化物によれば、金属成分としてCeとPrとを組み合わせたから、高い酸素吸蔵放出性能が得られ、さらに、このCePr系複合酸化物の粒子表面の触媒金属と粒子内部の触媒金属とが当該粒子の酸素の吸蔵放出を促進し、高い酸素吸蔵放出性能が得られる。
本発明において重要な点は、上記酸化物粒子の表層領域における触媒金属の濃度が、該酸化物粒子全体での該触媒金属の平均濃度の2倍未満になっていることである。
すなわち、従来の複合酸化物粒子は、触媒金属の多くが粒子表面に酸化物となって担持されており、そのため粒子表面の触媒金属濃度が高い。そのような酸化物として担持されている触媒金属は、空燃比リーンの排気ガス雰囲気では、酸素を介してCe等に結合しているが、空燃比リッチになると、その結合が切れて凝集・シンタリングし易いと考えられている。従って、そのような複合酸化物では、高温の排気ガスに晒されると、粒子表面の触媒金属のシンタリングにより、当該複合酸化物では酸素吸蔵放出性能ないしは排気ガス浄化性能が大きく低下する。
これに対して、本発明において、粒子表層の触媒金属濃度が上述の如く粒子全体の平均濃度の2倍未満に抑えられている、ということは、粒子表面に酸化物として担持されている触媒金属量が少ないこと、つまり、触媒金属の多くは上記酸化物粒子に固溶していることを意味する。従って、当該酸化物粒子が高温の排気ガスに晒されても、触媒金属の凝集・シンタリングを生じ難く、凝集・シンタリングするとしても、そのシンタリングの程度は低いことを意味する。つまり、粒子表面の触媒金属がシンタリングしても、酸素吸蔵放出性能ないしは排気ガスの浄化に有効に働く活性点が大きく減少しないことになる。しかも、上記触媒金属の固溶により、上記酸化物粒子自体のシンタリングが抑制され、そのため、高温の排気ガスに晒されても、広い細孔容積が確保され、良好なガス拡散性が維持される。
請求項2に係る発明は、請求項1において、
上記粒子表面に分散露出している触媒金属の粒子径は、1000℃の温度に24時間加熱した後に電子顕微鏡で観察したときに3nm以下であることを特徴とする。
すなわち、1000℃の温度に24時間加熱した後の触媒金属の粒子径が3nm以下であるということは、粒子表面の触媒金属がシンタリングしても、そのシンタリングの程度が低いこと、従って、酸素吸蔵放出ないしは排気ガスの浄化の大きな低下を生じないことを意味する。
請求項3に係る発明は、CeとPrと触媒金属とが酸化物粒子を形成するように複合されて、且つ上記Ceの酸化物及び上記Prの酸化物各々の少なくとも一部が互いに固溶し、上記触媒金属は上記酸化物粒子に固溶し、その一部が上記酸化物粒子表面に分散して露出してなり、排気ガス浄化用触媒に用いられる排気ガス浄化用複合酸化物の製造方法であって、
Ce及びPr各々のイオンと上記触媒金属のヒドロキソ錯体とを含む酸性原料溶液と、塩基性溶液とを混合することにより、上記Ce、Pr及び触媒金属を含む水酸化物を沈殿させ、得られた沈殿物を焼成することを特徴する。
すなわち、従来より触媒金属源、例えばPt源として広く採用されているジニトロジアミン白金(II)硝酸溶液は、アミノ基及びニトロ基を有する。アミノ基はアンモニア溶媒と高い親和性を有し、加えてN−H…Nの水素結合を形成しやすい。このため、水酸化物沈殿を得るための塩基性溶液としてアンモニア水を用いると、Pt源がアンモニア溶媒に結合して、Ptの水酸化物沈殿を生じ難くなる。つまり、水酸化物とならずにCe及びPrの水酸化物に付着するPt源が多くなり、或いは水酸化物沈殿を水洗したときに、アンモニア溶媒と共に洗い流されるPt源が多くなる。
これに対して、本発明が触媒金属源として採用したヒドロキソ錯体は、触媒金属にOH基が配位したものであるから、この原料溶液と塩基性溶液とを混合したときに生ずるCe及びPrの水酸化物に結合し易い。そのため、溶媒中に残る触媒金属量が少なく、仕込量に略対応する濃度で触媒金属が固溶したCePr系複合酸化物が得られる。そうして、触媒金属のヒドロキソ錯体がCe及びPrの水酸化物に結合し易いということは、触媒金属は酸化物の形で粒子表面に担持された状態ではなく、CePr系複合酸化物粒子に固溶した状態になり易いことを意味する。その結果、粒子の表層領域における触媒金属の濃度は、該粒子全体での該触媒金属の平均濃度の2倍未満という低い値に抑えられることになる。
以上のように、本発明に係る排気ガス浄化用複合酸化物によれば、CeとPrと触媒金属とが酸化物粒子を形成するように複合されてなり、Ceの酸化物及びPrの酸化物各々の少なくとも一部が互いに固溶し、触媒金属は上記酸化物粒子に固溶し、その一部が上記酸化物粒子表面に分散して露出しており、上記酸化物粒子の表層領域における上記触媒金属の濃度が、該酸化物粒子全体での該触媒金属の平均濃度の2倍未満であるから、高温の排気ガスに晒されたときの、触媒金属の凝集・シンタリングや当該酸化物粒子自体の凝集・シンタリングが抑制され、酸素吸蔵放出性能を高い状態に維持することができ、触媒の排気ガス浄化性能の向上に有利になる。
また、本発明に係る排気ガス浄化用複合酸化物の製造方法によれば、Ce及びPr各々のイオンと上記触媒金属のヒドロキソ錯体とを含む酸性原料溶液と、塩基性溶液とを混合することにより、上記Ce、Pr及び触媒金属を含む水酸化物を沈殿させ、得られた沈殿物を焼成するようにしたから、仕込量に略対応する濃度で触媒金属が固溶したCePr系複合酸化物が得られ、流出して無駄になる触媒金属量を少なくすることができるとともに、触媒金属濃度の調整が容易になり、しかも、粒子の表層領域における触媒金属の濃度を、該粒子全体での該触媒金属の平均濃度の2倍未満という低い値に抑えることができ、触媒金属のシンタリングを生じ難い、酸素吸蔵放出性能の高い複合酸化物を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は本発明に係る排気ガス浄化用複合酸化物粒子の、大気雰囲気において1000℃の温度に24時間加熱した後のTEM(透過型電子顕微鏡)写真である。この複合酸化物粒子は、触媒金属としてのPtが結晶格子又は原子間に配置されるように固溶したCePr系複合酸化物粒子であり、Ptを除く組成式は、Ce0.9Pr0.1であり、該複合酸化物粒子のPtドープ量、すなわち、粒子全体のPt濃度(平均濃度)は0.5質量%である。同TEM写真の矢符は当該複合酸化物粒子の表面に分散して露出しているPt粒子を指しており、該Pt粒子の直径は3nm以下である。Ptドープ量は0.1質量%以上2.0質量%以下とすることが好ましい。
<排気ガス浄化用複合酸化物粉末の製法>
Ceイオン、Prイオン、及びPtのヒドロキソ錯体を含む酸性溶液を調製する。Ce源としては硝酸セリウム(III)六水和物を、Pr源としては硝酸プラセオジム(III)六水和物を、Pt源(ヒドロキソ錯体)としてはヘキサヒドロキソ白金(IV)酸エタノールアミン溶液又はヘキサヒドロキソ白金(IV)酸硝酸溶液を、それぞれ採用することができる。これらCe源、Pr源及びPt源各々の所定量と水とを混合して原料溶液(酸性)とする。図2はヘキサヒドロキソ白金(IV)錯イオンの構造を示す。
上記原料溶液に塩基性溶液を添加混合して、当該複合酸化物粒子の前駆体であるCe、Pr及びPtの複合水酸化物の沈殿粒子を生成する。この場合、原料溶液を室温で約1時間攪拌した後、これに塩基性溶液として例えば濃度7%程度のアンモニア水を添加すればよい。苛性ソーダ水溶液など他の塩基性溶液を採用することもできる。
上記の粒子前駆体沈殿物を含む溶液を遠心分離器にかけて上澄み液を除去する。この上澄み液を除去した沈殿脱水物にさらにイオン交換水を加えて攪拌し再び遠心分離器にかける(脱水する)、という水洗・脱水操作を必要回数繰り返す。当該水洗・脱水操作により、余剰塩基性溶液が除去される。
上記沈殿脱水物を乾燥させた後、焼成し、粉砕する。乾燥は、例えば大気雰囲気において100℃〜250℃程度の温度に所定時間保持することによって行なうことができる。また、焼成は、例えば大気雰囲気において400℃〜600℃程度の温度に数時間保持することによって行なうことができる。
これにより、CeとPrとPtとが酸化物粒子を形成するように複合されてなり、Ce酸化物及びPr酸化物各々の少なくとも一部が互いに固溶し、Ptは上記酸化物粒子に固溶し、その一部が上記酸化物粒子表面に分散して露出している複合酸化物粒子が得られる。
<各種複合酸化物粒子表層のPt濃度>
以下に述べる実施例1,2、比較例1〜3の各複合酸化物粉末を調製し、各々の表層領域のPt濃度が粒子全体のPtの平均濃度の何倍になっているかを調べた。
−実施例1−
Pt源としてヘキサヒドロキソ白金(IV)酸エタノールアミン溶液を使用し、上述の排気ガス浄化用複合酸化物粉末の製法に従って、実施例1に係る複合酸化物粉末を調製した。Ce/Prモル比は9/1とした。Pt源の仕込み量は粒子全体のPt濃度が0.5質量%となるように調整した。得られた複合酸化物粉末を図面又は表においては「EthanolPtドープ Ce/Pr=9/1」又は「EthanolPtドープ Ce0.9Pr0.1」と記する。
−実施例2−
Ce/Prモル比を1/9とする他は実施例1と同じ条件及び方法で実施例2に係る複合酸化物粉末を調製した。得られた複合酸化物粉末を図面又は表においては「EthanolPtドープ Ce/Pr=1/9」又は「EthanolPtドープ Ce0.1Pr0.9」と記する。
−比較例1−
Pt源として図3に示すジニトロジアミン白金(II)の硝酸溶液(通称;白金Pソルト)を使用し、他は実施例1と同じ条件及び方法で比較例1に係る複合酸化物粉末を調製した。この場合も、Pt源の仕込み量は粒子全体のPt濃度が0.5質量%となるように調整した。なお、先に説明したように、ジニトロジアミン白金(II)の硝酸溶液を用いる場合は、水酸化物とならずにCe及びPrの水酸化物に付着するPt源が多くなり、或いは水酸化物沈殿を水洗したときに、アンモニア溶媒と共に洗い流されるPt源が多くなる。そこで、事前に、粒子全体のPt濃度が0.5質量%となるようにするための予備実験を行い、その結果、Pt源の仕込み量を目標値の1.25倍にすると、粒子全体のPt濃度が目標値となることが分かった。そのため、比較例1におけるPt源の仕込み量は0.625質量%相当量とした。得られた複合酸化物粉末を図面又は表においては「Pt−Pドープ Ce/Pr=9/1」又は「Pt−Pドープ Ce0.9Pr0.1」と記する。
−比較例2−
Ce/Prモル比を1/9とする他は比較例1と同じ条件及び方法で比較例2に係る複合酸化物粉末を調製した。得られた複合酸化物粉末を図面又は表においては「Pt−Pドープ Ce/Pr=1/9」又は「Pt−Pドープ Ce0.1Pr0.9」と記する。
−比較例3−
Ce/Prモル比=9/1のCePr複合酸化物粉末とジニトロジアミン白金(II)硝酸溶液とを混合し、蒸発乾固することにより、比較例3に係る複合酸化物粉末を調製した。Pt担持量は当該複合酸化物粉末の0.5質量%となるようにした。得られた複合酸化物粉末を図面又は表においては「Pt−P乾固 Ce/Pr=9/1」又は「Pt−P乾固 Ce0.9Pr0.1」と記する。
−Pt濃度測定−
上記実施例1,2及び比較例1〜3の各複合酸化物粒子の表層領域(表面から2nm深さまでの領域)のPt濃度をXPS(X線光電子分光)分析によって測定し、表面Pt濃度比(表層領域のPt濃度/粒子全体のPt濃度)を求めた(ここで、表面からの特性X線の侵入深さはその特性X線の強度に依存することが知られており、今回は1000eVの強度のX線を用いていることから、上記「2nm」を特定した。)。結果を図4に示す。
各複合酸化物粒子の表面Pt濃度比をみると、実施例1,2は2倍未満であるが、比較例1〜3はいずれも当該濃度比が2倍よりも大きくなっている。従って、実施例1,2では、複合酸化物粒子表面に酸化物となって担持されているPt量が各比較例よりも少なく、Ptの多くは該複合酸化物粒子に固溶している、ということができる。表面Pt濃度比は1.8倍以下が好ましく、更に好ましいのは1.5倍以下である。また、表面Pt濃度比は1倍よりも大きいことが好ましい。これは、当該複合酸化物粒子の表面に露出している触媒金属を、酸素を吸蔵放出するための仲介物として存在させる、並びに排気ガス浄化に寄与せしめる、という目的のためである。
<各種複合酸化物粒子の細孔容積、細孔径、結晶子径、比表面積>
上記実施例1,2及び比較例1〜3の各複合酸化物粉末に加えて、さらに次の実施例3,4及び比較例4〜6の各複合酸化物粉末を調製し、各々の細孔容積等を調べた。
−実施例3−
Ce/Prモル比を7/3とする他は実施例1と同じ条件及び方法で実施例3に係る複合酸化物粉末を調製した。得られた複合酸化物粉末を図面又は表においては「EthanolPtドープ Ce/Pr=7/3」又は「EthanolPtドープ Ce0.7Pr0.3」と記する。
−実施例4−
Ce/Prモル比を5/5とする他は実施例1と同じ条件及び方法で実施例4に係る複合酸化物粉末を調製した。得られた複合酸化物粉末を図面又は表においては「EthanolPtドープ Ce/Pr=5/5」又は「EthanolPtドープ Ce0.5Pr0.5」と記する。
−比較例4−
Ce/Prモル比を5/5とする他は比較例1(Pt−Pドープ)と同じ条件及び方法で比較例4に係る複合酸化物粉末を調製した。得られた複合酸化物粉末を図面又は表においては「Pt−Pドープ Ce/Pr=5/5」又は「Pt−Pドープ Ce0.5Pr0.5」と記する。
−比較例5−
Ce/Prモル比を5/5とする他は比較例3(Pt−P乾固)と同じ条件及び方法で比較例5に係る複合酸化物粉末を調製した。得られた複合酸化物粉末を図面又は表においては「Pt−P乾固 Ce/Pr=5/5」又は「Pt−P乾固 Ce0.5Pr0.5」と記する。
−比較例6−
Ce/Prモル比を1/9とする他は比較例3(Pt−P乾固)と同じ条件及び方法で比較例6に係る複合酸化物粉末を調製した。得られた複合酸化物粉末を図面又は表においては「Pt−P乾固 Ce/Pr=1/9」又は「Pt−P乾固 Ce0.1Pr0.9」と記する。
−細孔容積、細孔径、結晶子径、比表面積の測定結果−
上記実施例1〜4及び比較例1〜6の各複合酸化物について、大気雰囲気において750℃又は1000℃の温度に24時間加熱するエージングを行なった後の、細孔容積、細孔径、結晶子径、及びBET比表面積の測定結果を表1に示す。なお、表1において、「細孔径」は平均細孔径であり、「結晶子径」はX線回折装置を用い、シェラーの式(結晶子径(hkl)=0.9λ/(β1/2・cosθ),ここで、hklはミラー指数、λは特性X線の波長(オングストローム)、β1/2は(hkl)面の半価幅(ラジアン)、θはX線反射角度である。)により求めた。また、「EthanolPtドープ Ce/Pr=1/9」及び「Pt−P乾固 Ce/Pr=1/9」は1000℃×24時間のエージングによってPr11の分相を生ずることから、該エージング後の結晶子径は母相酸化物と分相酸化物の平均値となっている。
実施例の「EthanolPtドープ」品は、Ce/Pr=1/9のケースが例外になるが、基本的には、比較例の「Pt−Pドープ」品及び「Pt−P乾固」品とは違って、平均細孔径の大きさに比べて細孔容積が大きくなっており、BET比表面積も大きくなっている。このことは、実施例に係る複合酸化物粒子は、細孔数が多くてガスの拡散性が良いこと、従って、酸素吸蔵放出性能が高いことを意味する。
また、シェラー式による平均結晶子径をみると、実施例の「EthanolPtドープ」品は、比較例の「Pt−P乾固」品よりも小さくなっており、エージングによる粒成長が甚だしくないこと、即ち、耐熱性が高いことがわかる。
ここに、Ce/Prモル比が1/9以上9/1以下である「EthanolPtドープ」の複合酸化物においては、1000℃×24時間エージング後のシェラー式による結晶子径が60nm未満であること、750℃×24時間エージング後の細孔容積が0.12cm/g以上であること、或いは750℃×24時間エージング後の平均細孔径が35nm未満であることが好ましい。
<酸素吸蔵放出性能>
上記実施例1〜4及び比較例1,3,4の複合酸化物粉末、並びに「EthanolPtドープCeO」粉末について、大気雰囲気において750℃の温度に24時間加熱するエージング後の酸素吸蔵放出量を調べた。「EthanolPtドープCeO」粉末は、実施例1の製法においてPr源の量を零として調製したものであり、Pt濃度は0.5質量%である。酸素吸蔵放出量の測定にあたっては、供試材0.10gに、5%Oガス(残;He)を100mL/分の流速で供給しながら、20℃/分の速度で昇温させていき、600℃の温度に20分間保持した後、室温まで冷却する前処理(酸素吸蔵処理)を行なった。しかる後、2%COガス(残;He)を100mL/分の流速で供給しながら、10℃/分の速度で昇温させていき、供試材から放出されるCO量の温度による変化を計測した。そのCO放出量は供試材の酸素放出量に対応する。
結果を図5に示す。Ce/Pr=9/1(Ce0.9Pr0.1)である実施例の「EthanolPtドープ」品及び比較例の「Pt−Pドープ」品をみると、実施例は、比較例よりも、酸素放出量が多く、且つその放出ピーク温度が低温側にある。Ce/Pr=5/5(Ce0.5Pr0.5)である実施例の「EthanolPtドープ」品及び比較例の「Pt−Pドープ」品をみても、実施例は、比較例よりも、酸素放出量が多く、且つその放出ピーク温度が低温側にある。これから、実施例に係る「EthanolPtドープ」の複合酸化物粉末は、耐熱性が高く、酸素吸蔵放出性能が優れていること、従って、排気ガス浄化用触媒に有用であることがわかる。なお、「EthanolPtドープCe0.1Pr0.9」に関し、酸素放出量のピークが低温部と高温部の2箇所に現れているのは、Pr11の分相が影響していると考えられる。
図6はCe/Pr=9/1(Ce0.9Pr0.1)である実施例の「EthanolPtドープ」品と比較例の「Pt−P乾固」品の50℃〜600℃での酸素放出量を比較したものである。同図から、実施例は酸素放出量が多いことがわかる。
図7は、図5の実施例1〜4及び「EthanolPtドープCeO」のデータに基いて、「EthanolPtドープ」品に関し、Pr/(Ce+Pr)モル比が50℃〜600℃での酸素放出量に及ぼす影響をみたものである。なお、同図の「□」は「Pt−P乾固Ce0.9Pr0.1」品についてのプロットである。同図によれば、Pr比率が高くなるに従って酸素放出量(トータル量)が増大することがわかる。
なお、上記実施例の複合酸化物の金属成分はCe、Pr及びPtであるが、これにZrなど他の金属成分を配合することもできる。
本発明の実施例に係る複合酸化物粒子のTEM写真である。 ヘキサヒドロキソ白金(IV)錯イオンの構造式を示す図である。 ジニトロジアミン白金(II)の構造式を示す図である。 各種複合酸化物粒子の表面Pt濃度比を示すグラフ図である。 各種複合酸化物粉末の酸素吸蔵放出量の温度変化を示すグラフ図である。 本発明の実施例に係る複合酸化物と従来の複合酸化物の酸素放出量を比較したグラフ図である。 本発明の実施例に係る複合酸化物のPr/(Ce+Pr)モル比と酸素放出量との関係を示すグラフ図である。

Claims (3)

  1. 排気ガス浄化用触媒に用いられる排気ガス浄化用複合酸化物であって、
    CeとPrと触媒金属とが酸化物粒子を形成するように複合されてなり、
    上記Ceの酸化物及び上記Prの酸化物各々の少なくとも一部が互いに固溶し、
    上記触媒金属は、上記酸化物粒子に固溶し、その一部が上記酸化物粒子表面に分散して露出しており、
    上記酸化物粒子の表面から2nm深さまでの表層領域における上記触媒金属の濃度が、該酸化物粒子全体での該触媒金属の平均濃度の2倍未満であることを特徴とする排気ガス浄化用複合酸化物。
  2. 請求項1において、
    上記粒子表面に分散露出している触媒金属の粒子径は、1000℃の温度に24時間加熱した後に電子顕微鏡で観察したときに3nm以下であることを特徴とする排気ガス浄化用複合酸化物。
  3. CeとPrと触媒金属とが酸化物粒子を形成するように複合され、且つ上記Ceの酸化物及び上記Prの酸化物各々の少なくとも一部が互いに固溶し、上記触媒金属は上記酸化物粒子に固溶し、その一部が上記酸化物粒子表面に分散して露出してなり、排気ガス浄化用触媒に用いられる排気ガス浄化用複合酸化物の製造方法であって、
    Ce及びPr各々のイオンと上記触媒金属のヒドロキソ錯体とを含む酸性原料溶液と、塩基性溶液とを混合することにより、上記Ce、Pr及び触媒金属を含む水酸化物を沈殿させ、得られた沈殿物を焼成することを特徴する排気ガス浄化用複合酸化物の製造方法。
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