JP5332408B2 - 圧粉磁心及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、圧粉磁心及びその製造方法に関する。
モーターや電源回路などの各種電気・電子機器に圧粉磁心が用いられている。一般的に、圧粉磁心は、粉末状の磁性材料を成形することによって得られる。
圧粉磁心の形成に用いられる磁性材料としては、軟磁性材料であるFe系軟磁性金属粉が多く用いられている。Fe系軟磁性金属粉は、材料自体の電気抵抗が低いため、粒体間の絶縁性を高めても、磁心損失(コアロス)が比較的高くなる傾向がある。
高い磁束密度を有する圧粉磁心を得るためには、圧粉磁心を高密度化することが必要となる。ところが、圧粉磁心を高密度化した場合、コアロスが大きくなってしまう傾向がある。そこで、高密度化した場合にコアロスの増加を抑制するために、金属磁性粒子の表面に絶縁被覆を設けて電気抵抗を高くすることが提案されている(例えば、特許文献1)。
また、Fe系軟磁性材料からなる圧粉磁心のコアロスを低減するために、磁性粉末に金属酸化物などの絶縁粒子を添加する方法などが提案されている(例えば、特許文献2)。
特開2008−41685号公報 特開2007−214366号公報
近年、例えばジェネレータ用として、従来よりもさらに低い磁界で高い磁束密度を有する所謂磁化特性に優れる圧粉磁心の開発が求められている。ところが、本発明者らの検討によれば、特許文献1のように単に絶縁被覆を設けたり、金属酸化物などの絶縁粒子を添加したりしただけでは、高い磁束密度を得るべく高密度化を図った場合に、圧粉磁心のコアロスの上昇を十分に抑制できないことが分かった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、十分に低いコアロスと十分に優れた磁化特性とを兼ね備えた圧粉磁心を提供すること、及びそのような圧粉磁心を製造する方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、Fe系粒子と、該Fe系粒子の表面を被覆する絶縁層と、を有する圧粉磁心であって、絶縁層は酸化アルミニウムを含むアルミニウム化合物とリン酸塩を含むリン化合物とを含有し、アルミニウム化合物の含有量がAlに換算して0.01〜0.03質量%であり、密度が7.64g/cm以上である圧粉磁心を提供する。
本発明の圧粉磁心は、上記の通り、高い密度を有することから磁束密度が高く、優れた磁化特性を有している。ここで、通常、圧粉磁心の密度を高くすると、磁性粒子が密着し絶縁抵抗が低下してコアロスが大きくなってしまう。ところが、本発明の圧粉磁心は、軟磁性体であるFe系粒子の表面に設けられる絶縁層が、リン酸塩などのリン化合物とともに、酸化アルミニウムなどのアルミニウム化合物を所定の濃度範囲で含有している。これによって、高密度化した場合にもFe系粒子間の絶縁抵抗が高く保持され、十分に低いコアロスと十分に優れた磁化特性とを両立することができると考えられる。
本発明の圧粉磁心におけるリン化合物の含有量は、HPOに換算して0.05〜0.20質量%であることが好ましい。これによって、コアロスを一層低くし、磁束密度を一層高くすることが可能となる。
本発明の圧粉磁心の絶縁層は、アルミニウム化合物を主成分とするアルミニウム化合物層を有しており、アルミニウム化合物層の厚みが0.4〜1.2nmであることが好ましい。これによって、十分に低いコアロスと十分に優れた磁化特性とを一層高水準で両立することが可能となる。
本発明の圧粉磁心の絶縁層は、アルミニウム化合物の含有量が、Fe系粒子に近接するにつれて徐々に低下する領域を有することが好ましい。このような領域を有する場合、Fe系粒子の表面近傍はアルミニウム化合物の含有量が低くなり、Fe系粒子の表面から離れるにつれてアルミニウム化合物の含有量が高くなる。これによって、高密度化した場合にもFe系粒子間の絶縁抵抗を高く保持しつつ絶縁層の強度を十分に高くすることができる。
本発明ではまた、リン酸塩を含むリン化合物で被覆されたFe系粒子とステアリン酸アルミニウムとを混合して混合粉末を得る混合工程と、混合粉末に温間成形を施して成形体を形成する成形工程と、を有する、Fe系粒子と該Fe系粒子の表面を被覆する絶縁層とを有し、密度が7.64g/cm以上である圧粉磁心の製造方法を提供する。
本発明の製造方法によれば、十分に低いコアロスと十分に優れた磁化特性とを兼ね備えた圧粉磁心を製造することができる。この要因としては、リン化合物で被覆された鉄粉とステアリン酸アルミニウムとを混合し、温間成形後、熱処理することによって、リン化合物と酸化アルミニウムとを含む絶縁層がFe系粒子の表面に形成され、コアロスが低くなることが挙げられる。また、得られる圧粉磁心は、高い密度を有しているため、低い磁界で高い磁束密度を実現することができる。
本発明の製造方法は、温間成形を100〜150℃で行うことが好ましい。これによって、異常粒成長を抑制しつつ十分に高い密度を有する圧粉磁心を製造することができる。
本発明の製造方法は、成形工程で形成された成形体を500〜600℃で熱処理する熱処理工程を有することが好ましい。これによって、ステアリン酸アルミニウムの酸化がより確実に進行し、絶縁層に酸化アルミニウムを十分に生成させることができる。したがって、絶縁層の抵抗が一層高くなり、コアロスが一層低減された圧粉磁心を得ることができる。
本発明によれば、十分に低いコアロスと十分に優れた磁化特性とを兼ね備えた圧粉磁心を提供すること、及びそのような圧粉磁心を製造する方法を提供することができる。
以下、場合により図面を用いて、本発明の圧粉磁心及びその製造方法の好適な実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の圧粉磁心の微細構造を一部拡大して示す模式断面図である。本実施形態の圧粉磁心10は、複数のFe系粒子12と、該複数のFe系粒子12の間に設けられる絶縁層14とを有する。
圧粉磁心10全体におけるFe系粒子12の含有量は、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。該含有量が低すぎる場合、良好な直流磁化特性が得られ難くなる傾向がある。
圧粉磁心10全体における絶縁層14の含有量は、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.05〜5質量%であり、さらに好ましくは0.5〜1質量%である。絶縁層14の含有量が多くなりすぎると、良好な直流磁化特性が損なわれる傾向がある。一方、絶縁層14の含有量が少なくなりすぎると、コアロスが上昇する傾向がある。
Fe系粒子12は、主成分として鉄を含有する粒子である。Fe系粒子12は、本発明の効果を損なわない範囲で、Co、Si、Niなどの成分を含んでいてもよい。また、Fe系粒子12は、例えば表面の一部が酸化されていてもよい。
圧粉磁心10において、Fe系粒子12の表面全体が、絶縁層14で覆われていることが好ましく、当該絶縁層14が均一な厚みを有することがより好ましい。これによって、複数のFe系粒子12の間に均一な厚みの絶縁層14が設けられることとなり、低いコアロスと優れた磁化特性とを一層高水準で両立することが可能となる。
絶縁層14は、アルミニウム化合物とリン化合物とを含有する。主なアルミニウム化合物としては酸化アルミニウムを、主なリン化合物としてはリン酸鉄などのリン酸塩を挙げることができる。圧粉磁心10全体に対するアルミニウム化合物の含有量は、Alに換算して0.01〜0.03質量%であり、好ましくは0.01〜0.025質量%である。かかる範囲でアルミニウム化合物を含有することによって、コアロスが十分に低減され、直流磁化特性に十分優れる圧粉磁心を得ることができる
圧粉磁心10全体に対するリン化合物の含有量は、HPOに換算して0.05〜0.20質量%であり、好ましくは0.07〜0.12質量%である。これによって、コアロスが十分に低減され、直流磁化特性に十分優れる圧粉磁心を得ることができる。
絶縁層14は、アルミニウム化合物及びリン化合物の他に炭素や炭化物、その他の金属酸化物を含んでいてもよい。ただし、十分にコアロスを低減する観点から、絶縁層14全体に対するアルミニウム化合物及びリン化合物の合計含有量は、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。
Fe系粒子12の平均粒径は、好ましくは200〜300μmであり、より好ましくは240〜250μmである。該平均粒径が200μm未満の場合、優れた磁気特性が損なわれる傾向があり、300μmを超える場合、コアロスが大きくなる傾向がある。この平均粒径は、例えば、電子顕微鏡で撮影した圧粉磁心10の断面写真における個々の粒子の粒径の算術平均を計算して求めることができる。
絶縁層14の平均厚さは、好ましくは0.1〜200nmであり、より好ましくは0.1〜100nmであり、さらに好ましくは0.3〜50nmである。絶縁層の平均厚さは、圧粉磁心10の断面において、ランダムに選択した隣り合うFe系粒子12間の距離を測定し、算術平均を計算して求めることができる。
被覆層14は、酸化アルミニウムなどのアルミニウム化合物を主成分とするアルミニウム化合物層(酸化アルミニウム層)を備えていてもよい。アルミニウム化合物層の平均厚みは、0.4〜1.2μmであることが好ましい。
図2は、本実施形態の圧粉磁心10の断面を示す図1において、点aから矢印の方向に沿った各元素の濃度変化を示すオージェ(Auger)電子分光分析の結果である。このオージェ分光分析は、絶縁層14からFe系粒子12の中心に向かってスパッタリングしながら実施したものである。
図2中、「Fe’」は、酸素原子と結合している鉄原子、すなわち酸化物状態にある鉄原子から放出されるオージェ電子の強度プロファイルであり、「Fe」は、金属結合状態のFe原子から放出されるオージェ電子の強度プロファイルである。すなわち、図2は、スパッタリングして圧粉磁心10の表面をエッチングしていくと、金属結合状態の鉄の割合(図2中のFe)が徐々に増加し、酸化鉄(図2中のFe’)の割合が減少することを示している。
絶縁層14(スパッタ深さ0〜40nm付近)においては、高い濃度のAl元素及びO元素が検出されており、絶縁層14に酸化アルミニウム(Al)が存在することが示されている。そして、スパッタ深さが大きくなるにつれて、Al元素及びO元素の量が徐々に減少している。すなわち、Fe系粒子12の中心に向かってAlの含有量が徐々に減少していることが示されている。また、P元素も同様に、Fe系粒子12の中心に向かって徐々に減少していることが示されている。一方、Fe元素は、Fe系粒子12の中心に向かって徐々に増加していることが示されている。
なお、Auger電子分光分析は、市販のAuger電子分光分析装置を用いて、例えば加速電圧10kV,照射電流10nAの条件で行うことができる。また、圧粉磁心10のスパッタは、Arエッチング(加速電圧1kV、エッチング速度:42Å/min)で行うことができる。
図6は、従来の圧粉磁心の断面において、図1に示す矢印と同様の方向における各元素の濃度変化を示すオージェ電子分光分析の結果である。従来の圧粉磁心は、Fe系粒子の表面を覆う絶縁層が、Al元素(酸化アルミニウム)を含有していない。このため、Fe系粒子間において十分に高い絶縁を確保することができず、優れた磁化特性と低いコアロスとを両立することができない。
次に、圧粉磁心10の製造方法について以下に説明する。
本実施形態の圧粉磁心10の製造方法は、リン酸塩で被覆されたFe系粒子とステアリン酸アルミニウムとを混合して混合粉末を得る混合工程と、混合粉末に温間成形を施して成形体を形成する成形工程と、得られた成形体に加熱処理を施す熱処理工程とを有する。以下、各工程の詳細について説明する。
混合工程では、リン酸塩で被覆されたリン酸塩被覆Fe系粒子とステアリン酸アルミニウムとその他の添加剤とを混合してリン酸塩被覆Fe系粒子の表面の少なくとも一部にステアリン酸アルミニウムが付着した混合粉末を調製する。
混合工程で用いるFe系粒子12のFe含有量は、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは95質量%以上である。Fe系粒子12は、Fe以外にNi,Si,Co,Oなどを含んでいてもよい。
リン酸塩被覆Fe系粒子としては、例えば、Somaloy 700(ヘガネス社製、商品名)を用いることができる。
ステアリン酸アルミニウムは、通常の市販品を用いることができる。ステアリン酸アルミニウムの添加量は、十分に低いコアロスと十分に優れた磁化特性とを兼ね備えた圧粉磁心をより確実に得る観点から、Fe系粒子12に対して、好ましくは0.05〜0.2質量%であり、より好ましくは0.08〜0.15質量%である。
なお、混合工程では、各種有機高分子樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及び水ガラス等の各種添加剤を用いることもできる。添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの材料を成形助剤などの無機材料と組み合わせて使用してもよい。
添加剤は、例えば、Fe系粒子12に対して1〜10質量%程度添加することができる。添加剤の添加量が10質量%を超えると透磁率が低下し、コアロスが大きくなる傾向がある。一方、添加材の添加量が1質量%未満の場合には、高い絶縁を確保し難くなる傾向にある。
混合は、Vミキサーを用い、室温で5〜15分間行うことができる。なお、Fe系粒子12の表面にリン酸塩とステアリン酸アルミニウムとが順次付着した被覆構造を得るために、まず、Fe系粒子12にリン酸処理を施して得られるリン酸塩被覆Fe系粒子に、ステアリン酸アルミニウムを添加することが好ましい。このような添加方法によって生成した圧粉磁心10におけるFe系粒子12には、その表面近傍にリン化合物リッチな絶縁層(リン化合物層)が形成され、Fe系粒子12の表面から離れた位置にアルミニウム化合物リッチな絶縁層、すなわちアルミニウム化合物を主成分とするアルミニウム化合物層が形成されることとなる。かかる構造を有することによって、圧粉磁心10のコアロスを一層低減することができる。
成形工程では、まず、プレス機械の金型内に、絶縁層で被覆されたFe系粒子12を充填する。次いで、絶縁層被覆Fe粉末を、空気雰囲気下で、100〜150℃、好ましくは120〜140℃に加熱しながら加圧して温間成形を施すことにより成形体を得る。温間成形における成形条件は特に限定されず、Fe系粒子の形状及び寸法や、圧粉磁芯の形状、寸法及び密度などに応じて適宜決定すればよい。通常、最大圧力は8〜15ton/cm程度、好ましくは10〜12ton/cm程度とし、最大圧力に保持する時間は0.1秒間〜1分間程度とする。
熱処理工程では、温間成形によって得られた成形体を、例えば、窒素雰囲気中、500〜600℃の下で50〜70分間保持する。これにより、絶縁層に含まれるアルミニウム化合物の酸化が一層進行して十分な量の酸化アルミニウムが生成する。したがって、Fe系粒子12間の絶縁抵抗が十分に高くなり、コアロスが十分に低減された圧粉磁心10を得ることができる。
本実施形態の圧粉磁心の製造方法では、成形工程において、温間成形を行っているため、十分に高い密度を有する圧粉磁心を形成することができる。圧粉磁心10の密度は、好ましくは7.66g/cm以上であり、より好ましくは7.67g/cm以上である。このように一層高い密度を有する圧粉磁心は一層優れた磁化特性を有する。
本実施形態の圧粉磁心10は、例えば、8000A/mの磁界で1.7T以上の磁束密度を有し、1kHz,1Tにおいて120W/kg以下のコアロスを有するものとすることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1−1〜1−8、比較例1−1〜1−22)
市販のリン酸塩被覆Fe粉末(ヘガネス社製、商品名:Somaloy 700)に対して、市販のステアリン酸アルミニウム(堺化学製:SA−1000)を、表1に示す割合で配合し、Vミキサーにより10分間混合して混合粉末を得た。
得られた混合粉末を金型に充填し130℃で加圧成形する温間成形を行って、外径:17mm、内径:10mm、厚さ:4mmのサイズを有するリング状の圧粉磁心試料をそれぞれ作製した。これらを、実施例1−1〜1−8及び比較例1−1〜1−22の圧粉磁心試料とした。なお、各実施例及び比較例において、温間成形は、表1に示す成形圧力及び成形温度で30分間加熱加圧することによって行った。
<Al化合物及びP化合物含有量の測定>
各実施例及び比較例の圧粉磁心試料中のAl含有量及びP含有量を、ICP発光分析により測定した。結果は表1に示すとおりであった。
<圧粉磁心の密度の測定>
各実施例及び比較例の圧粉磁心試料の寸法と重量とを測定して圧粉磁心の密度を求めた。結果は表1に示す通りであった。
<コアロスの評価>
各実施例及び各比較例の圧粉磁心試料に、被覆導線を1次側に50巻、2次側に10巻し、B−H Analyzer(HEWLETT PACKARD社製、商品名:5060A)を用いて、周波数(f)1kHz、最大磁束密度(Bm)1Tの条件でコアロスを測定した。結果は表1に示す通りであった。
<直流磁化特性評価>
各実施例及び比較例の圧粉磁心試料に、被覆導線を1次側に50巻、2次側に10巻し、直流磁化特性試験装置(メトロン技研株式会社製、商品名:SK110)を用いて、磁界8kA/mにおける磁束密度、及び磁束密度1Tにおける磁界を評価した。結果は表1に示す通りであった。
Figure 0005332408
実施例1−1〜1−8の圧粉磁心は、低いコアロス(135W/kg以下)と優れた磁化特性(1Tとなる磁界が1310A/m以下で、且つ8000A/mの磁界において1700mT以上の磁束密度を有する)とを兼ね備えていた。一方、比較例1−1〜1−22の圧粉磁心は、低いコアロスと優れた磁化特性とを両立することができなかった。
(比較例2−1〜2−3)
ステアリン酸アルミニウムの代わりに、同等の金属含有量を有するステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸マグネシウムをそれぞれ用いたこと以外は実施例1−2と同様にして圧粉磁心試料を作製し、各評価を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 0005332408
表2の結果によれば、比較例2−1〜2−3はいずれもステアリン酸アルミニウムを用いた実施例1−2よりもコアロスが大きくなっていた。特に、ステアリン酸亜鉛を用いた比較例2−2では、コアロスがかなり大きくなっていた。比較例2−2の圧粉磁心試料の絶縁層に含まれる酸化亜鉛は、酸化アルミニウムに比べて電気抵抗率が低く絶縁性に劣っているために、コアロスが大きくなっているものと思われる。
(実施例2−1)
ステアリン酸アルミニウムの配合量を0.10質量%、温間成形時の成形圧力を8ton/cm、成形温度を130℃としたこと以外は実施例1−1と同様にして圧粉磁心試料を作製し、直流磁化特性(B−H特性)を評価した。結果は図3の曲線1に示すとおりであった。
(比較例3−1)
温間成形に代えて、成形温度25℃の冷間成形を行ったこと以外は実施例2−1と同様にして圧粉磁心試料を作製し、直流磁化特性(B−H特性)を評価した。結果は図3の曲線2に示すとおりであった。
図3に示す結果から、温間成形を施すことによって、直流磁化特性に優れる圧粉磁心を形成できることが確認された。
<アルミニウム化合物層の厚さの測定>
次に、SEM−EDS分析によって、絶縁層におけるアルミニウム化合物(Al)層の厚さを以下の手順で測定した。まず、上記の通り作製した圧粉磁心の中から、アルミニウム化合物の含有量が異なる複数の圧粉磁心を選択し、それぞれの圧粉磁心の破断面において、絶縁層部分の約200×300μm角領域で、Al強度比の測定を行った。分析深さは約0.2μmとし、一つの圧粉磁心試料について、それぞれ2箇所測定を行い、平均値を求めた。
図4は、圧粉磁心におけるAl換算のアルミニウム化合物の含有量と、絶縁層におけるSEM−EDS分析によるAl強度比との関係を示す図である。なお、SEM−EDS分析の条件は、加速電圧3kV、照射電流5nA、計測時間200秒、視野倍率200倍とした。アルミニウム化合物の含有量が増加するにつれて、Al強度比が大きくなることが確認された。
次に、Al換算のアルミニウム化合物の含有量とFe系粒子の比表面積とから、SEM−EDS分析によるAl強度比をアルミニウム化合物層の厚さに換算した。図5は、圧粉磁心におけるAl換算のアルミニウム化合物の含有量と、アルミニウム化合物層の平均厚さとの関係を示す図である。
SEM−EDS分析によれば、Al強度比(I)とアルミニウム化合物層の平均厚さ(d)には、d(nm)=18.6×Iの関係が成立する。かかる関係式を用いて、酸化アルミニウム層の厚みを求めることができる。なお、図5に示すとおり、アルミニウム化合物の含有量(c)とアルミニウム化合物層の平均厚さ(d)は、概ねd(nm)=40×c(質量%)の関係が成立することが確認された。
本実施形態の圧粉磁心の微細構造を一部拡大して示す模式断面図である。 本実施形態の圧粉磁心10の断面を示す図1において、点aから矢印の方向に沿った各元素の濃度変化を示すオージェ電子分光分析の結果である。 実施例2−1及び比較例3−1における直流磁化特性の結果を示す図である。 圧粉磁心におけるAl換算のアルミニウム化合物の含有量と絶縁層におけるSEM−EDS分析によるAl強度比との関係を示す図である。 圧粉磁心におけるAl換算のアルミニウム化合物の含有量とアルミニウム化合物層の平均厚さとの関係を示す図である。 従来の圧粉磁心の断面において、図1に示す矢印と同様の方向における各元素の濃度変化を示すオージェ電子分光分析の結果である。
符号の説明
10…圧粉磁心、12…Fe系粒子、14…絶縁層。

Claims (6)

  1. Fe系粒子と、該Fe系粒子の表面を被覆する絶縁層と、を有する圧粉磁心であって、
    前記絶縁層は酸化アルミニウムを含むアルミニウム化合物とリン酸塩を含むリン化合物とを含有し、
    前記アルミニウム化合物の含有量がAlに換算して0.013〜0.025質量%であり、密度が7.67g/cm以上である圧粉磁心。
  2. 前記絶縁層は、前記アルミニウム化合物を主成分とするアルミニウム化合物層を有する請求項1に記載の圧粉磁心。
  3. 前記絶縁層は、前記アルミニウム化合物の含有量が前記Fe系粒子に近接するにつれて徐々に低下する領域を有する請求項1又は2に記載の圧粉磁心。
  4. リン酸塩を含むリン化合物で被覆されたFe系粒子とステアリン酸アルミニウムとを混合して混合粉末を得る混合工程と、
    前記混合粉末に温間成形を施して成形体を形成する成形工程と、を有する、
    Fe系粒子と該Fe系粒子の表面を被覆する絶縁層とを有し、前記絶縁層は酸化アルミニウムを含むアルミニウム化合物とリン酸塩を含むリン化合物とを含有し、
    前記アルミニウム化合物の含有量がAl に換算して0.013〜0.025質量%であり、密度が7.67g/cm以上である圧粉磁心の製造方法。
  5. 前記絶縁層は、前記アルミニウム化合物を主成分とするアルミニウム化合物層を有する、請求項4に記載の圧粉磁心の製造方法。
  6. 前記絶縁層は、前記アルミニウム化合物の含有量が前記Fe系粒子に近接するにつれて徐々に低下する領域を有する、請求項4又は5に記載の圧粉磁心の製造方法。
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