以下、本発明をパチンコ機の遊技盤11の製造に用いられる遊技盤製造ライン21として具体化した一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
(1)遊技盤11の構成
図1に示される遊技盤11は、略正方形状の外形を有しており、その遊技盤面11aには、円弧状の外レール12aと、外レール12aの内側に配置された同じく円弧状の内レール12bとが敷設されている。また、レール12a,12bの内側領域である遊技領域12内には、複数の風車13や、遊技領域12のほぼ全域に突設された複数の遊技釘14などが配設されている。風車13及び遊技釘14は、遊技領域12内を流下する遊技球の方向を変更するようになっている。ここで、本実施形態の遊技盤11は、縦471.5mm×横446.5mmの略正方形状をなす一般的な遊技盤(小型遊技盤)よりも大型の遊技盤(大型遊技盤)であり、縦500mm×横482mmの略正方形状をなしている。
また、遊技領域12の略中央部には、開口部を有する枠状のセンター役物15が配設されている。センター役物15は、9本のビス10(図6(a),(b)参照)を用いたビス締めにより、遊技盤11に固定されている。なお、センター役物15の奥側には、複数種類の図柄を変動させる図柄変動ゲームを表示する図柄表示装置(図示略)が配設されている。
図1に示されるように、センター役物15の下方には、普通電動役物ソレノイド(図示略)により開閉動作を行う普通電動役物を備えた始動入賞装置16が配設されている。始動入賞装置16は、2本のビス10を用いた始動口飾り16aのビス締めにより、遊技盤11に固定されている。なお、始動入賞装置16にて遊技球が検知された場合には、図柄表示装置による図柄変動ゲームが行われるとともに、賞球の払い出しが行われるようになっている。また、始動入賞装置16の下方には、大入賞口ソレノイド(図示略)により開閉動作を行う大入賞装置17が配設されている。大入賞装置17は、4本のビス10を用いた大入賞口飾り17aのビス締めにより、遊技盤11に固定されている。さらに、大入賞装置17の左方には、一般入賞装置18a〜18cを有する左サイド飾り18が配設され、大入賞装置17の右方には、一般入賞装置19aを有する右サイド飾り19が配設されている。左サイド飾り18及び右サイド飾り19は、それぞれ3本のビス10を用いたビス締めにより、遊技盤11に固定されている。なお、始動入賞装置16、大入賞装置17及び一般入賞装置18a〜18c,19aの奥方には、入賞した遊技球を検知する遊技球検知スイッチ(図示略)がそれぞれ設けられている。各遊技球検知スイッチにて遊技球が検知された場合には、所定数の賞球の払い出しが行われるようになっている。
図1に示されるように、センター役物15の左側には、遊技球の通過を検知する機能を有するゲート20が設けられている。ゲート20は、2本のビス10を用いたビス締めにより、遊技盤11に固定されている。また、ゲート20の奥方には、通過した遊技球を検知するゲートスイッチ(図示略)が設けられている。なお、ゲートスイッチにて遊技球が検知された場合に乱数を取得し、取得した乱数が所定の乱数値であるか否かを判定した結果に基づいて普通電動役物ソレノイドが駆動される。このような判定(当り判定)によって普通電動役物が開放されるため、始動入賞装置16に遊技球が入賞しやすくなる。
(2)パチンコ機の製造工程
なお、上記した遊技盤11を備えるパチンコ機は、遊技盤工程→中枠工程→最終工程の順序で製造される。
遊技盤工程では、遊技盤11の製造が行われる。詳述すると、図2に示されるように、遊技盤11は、セル貼付工程S1→ベニヤ加工工程S2→釘打ち工程S3→役物ビス締め工程S4→レール圧入工程S5→基板取付工程S6の順序で製造される。セル貼付工程S1では、遊技盤11を構成する合板の表面に対して、接着剤を介してセルが貼付される。ベニヤ加工工程S2では、遊技盤11に対して位置決め用の穴41a,41b(図8〜図10参照)やレールピン穴などをあける多軸穴あけが施される。釘打ち工程S3では、遊技盤11に対して複数の遊技釘14が打ち込まれる。役物ビス締め工程S4では、遊技盤11に対して複数種類の役物(センター役物15、始動口飾り16a、大入賞口飾り17a、左サイド飾り18、右サイド飾り19、ゲート20)のビス締めが行われる。レール圧入工程S5では、遊技盤11に対してレール12a,12bが圧入される。基板取付工程S6では、図柄表示装置を制御する表示制御基板(図示略)の取り付けが行われる。
中枠工程では、機体を構成する中枠に対する下球皿の取付作業、中枠に対する前枠の取付作業、前枠に対する上球皿の取付作業、遊技盤11の合体作業、及び、図示しない打球発射装置、セット盤、音声制御基板等の各種部品の組付作業が順次行われる。
最終工程では、機体の外郭をなす外枠、それぞれ図示しない電源基板、払出制御基板、主制御基板などの組付作業や、機能検査、ロット登録、各種番号(保証番号、管理番号等)の付与などが行われる。その後、パチンコ機が出荷先(遊技ホール)ごとに梱包されて出荷される。
ところで、遊技盤工程において釘打ち工程S3や役物ビス締め工程S4を実行する場合、遊技盤11は遊技盤製造ライン21によって搬送される。以下、遊技盤製造ライン21について説明する。
(3)遊技盤製造ライン21の構成
図3に示されるように、遊技盤製造ライン21は、釘打ち工程S3に用いられる釘打ちライン(図示略)と、役物ビス締め工程S4に用いられるパレット台車搬送ライン24とを備えている。釘打ちライン及びパレット台車搬送ライン24は一直線に延びるラインであり、釘打ちラインの終端はパレット台車搬送ライン24の始端に接続されている。よって、遊技盤製造ライン21は、釘打ちライン→パレット台車搬送ライン24の順に遊技盤11が流れるルートを有している。
なお、釘打ちラインは、10箇所の釘打ちステーションを直列に配置することによって構成され、各釘打ちステーションには、遊技盤11に対して遊技釘14を打ち込むための釘打ち機(図示略)が1台ずつ設置されている。なお本実施形態では、1つの遊技盤11に対する釘打ちを1台の釘打ち機によって行っている。また、釘打ち工程S3が行われる時点では、遊技盤11の裏面が平らになっているため、釘打ちラインは、遊技盤11をコンベア上に載置した状態で搬送するようになっている。
一方、パレット台車搬送ライン24は、遊技盤11を固定可能なパレット台車30を一定速度(本実施形態では21m/分)で搬送するようになっている。即ち、役物ビス締め工程S4が行われる時点では、遊技盤11の裏側から配線コード(図示略)が延出されているため、パレット台車搬送ライン24は、遊技盤11をパレット台車30に固定した状態で搬送するようになっている。図3〜図5に示されるように、パレット台車搬送ライン24は、全長が数m〜十数mに設定され、パレット台車30の搬送方向(図3,図4に示す矢印F1方向)に沿って延びるライン本体26を備えている。また、ライン本体26は板状の支持台26aを備えている。この支持台26aは、パレット台車搬送ライン24の設置面に対して平行に配置されている。
また図4,図5に示されるように、パレット台車搬送ライン24は、支持台26aの上面において搬送方向に沿って延設された一対の搬送レール部25を備えている。両搬送レール部25は、断面略L字状をなしており、内部に一対の駆動チェーン27が搬送方向に沿って設けられている。両駆動チェーン27は、回転駆動モータ29(図3参照)によって常時駆動されるようになっている。両駆動チェーン27は、パレット台車30の両端部に接触することにより、パレット台車30を支持台26aの上面から離間させた状態で搬送方向に沿って搬送するようになっている。また、パレット台車搬送ライン24は、パレット台車30上に固定された遊技盤11に対して上記した役物のビス締めを行う10箇所の作業ステーションA1〜A10を直列に配置することによって構成されている。
(3−1)ビス締め機80の構成
各作業ステーションA1〜A10には、遊技盤11に対して役物のビス締めを行うビス締め機80(図6(a),(b)参照)が1台ずつ設置されている。各ビス締め機80は、役物のビス締めを行うための2本のドライバーユニット80a,80bを備えている。このため、1台のビス締め機80を用いると、1度に2本のビス10の締付作業を行うことができる。ゆえに、全てのビス締め機80がビス締めを1回ずつ行えば、最大で20本のビス10の締付作業を行うことができる。
ドライバーユニット80a,80bは、ドライバービット81、吸着パイプ82、一対のチャック爪83及びビス供給装置84を備えている。吸着パイプ82は、ドライバービット81内において上下方向に延びている。一対のチャック爪83は、内部にビス受入空間が生じる閉鎖状態に切り替えられた際に、ビス10を把持するようになっている。ビス供給装置84は、頭部を上にした状態でビス10をビス受入空間内に供給するようになっている。そして、ドライバーユニット80a,80bを駆動すれば、ドライバービット81の回転軸85が回転するとともに、一対のチャック爪83に把持されているビス10が回転するようになっている。
また、図6(a),(b)に示されるドライバーユニット80a,80bは、エアシリンダ90を備えている。エアシリンダ90は、シリンダ本体92と、エア圧によって上下動するピストンロッド93とからなっている。ピストンロッド93は、ドライバーユニット80a,80bに固定されており、シリンダ本体92から下方に突出することにより、ドライバーユニット80a,80b全体を下降させるようになっている。
さらに、ビス締め機80は、吸着装置(図示略)及びモータドライバ回路(図示略)を備えている。吸着装置は、吸着パイプ82内を負圧にしてビス10を吸着させるようになっている。モータドライバ回路は、ドライバーユニット80a,80bを介して回転軸85を回転駆動させるようになっている。
なお、各ビス締め機80は、サイズ及び重さが異なる上記した役物のビス締めを行うようになっている。そして、各ビス締め機80は、パレット台車搬送ライン24の始端側に位置する作業ステーションであるほど、各役物の中で相対的にサイズが小さく、しかも相対的に軽い役物のビス締めを行うようになっている。具体的に言うと、作業ステーションA1に設置されたビス締め機80は、2本のビス10を用いてゲート20のビス締めを行うようになっている。作業ステーションA2に設置されたビス締め機80は、2本のビス10を用いて始動口飾り16aのビス締めを行うようになっている。作業ステーションA3,A4に設置されたビス締め機80は、それぞれ2本のビス10(合計で4本のビス10)を用いて大入賞口飾り17aのビス締めを行うようになっている。作業ステーションA5に設置されたビス締め機80は、3本のビス10を用いて左サイド飾り18のビス締めを行うとともに、1本のビス10を用いて右サイド飾り19のビス締めを行うようになっている。作業ステーションA6に設置されたビス締め機80は、2本のビス10を用いて右サイド飾り19のビス締めを行うようになっている。作業ステーションA7〜A9に設置されたビス締め機80は、それぞれ2本のビス10(合計で6本のビス10)を用いてセンター役物15のビス締めを行うようになっている。作業ステーションA10に設置されたビス締め機80は、3本のビス10を用いてセンター役物15のビス締めを行うようになっている。即ち本実施形態では、ゲート20→始動口飾り16a→大入賞口飾り17a→左サイド飾り18→右サイド飾り19→センター役物15の順序でビス締めを行うようになっている。また本実施形態では、1つの遊技盤11に対する全てのビス締めを、10台のビス締め機80に分担させるようになっている。なお本実施形態では、それぞれのドライバーユニット80a,80bによってビス締めされる役物の取付位置が互いに離間している。例えば、作業ステーションA3に設置されたビス締め機80は、ドライバーユニット80aを用いて大入賞口飾り17aの左上部分のビス締めを行うとともに、ドライバーユニット80bを用いて大入賞口飾り17aの右上部分のビス締めを行うようになっている。よって、ドライバーユニット80a,80bは、役物のビス締めを行う際に互いに干渉し合わないようになっている。
(3−2)台車検知センサ28の構成
図3,図4に示されるように、パレット台車搬送ライン24は、『台車検知手段』である台車検知センサ28を備えている。台車検知センサ28は、各作業ステーションA1〜A10の中から選択された特定の作業ステーションA5,A10と、作業ステーションA5,A10の直前の作業ステーションA4,A9との間の領域B1,B2にそれぞれ配置されている。詳述すると、台車検知センサ28は、各領域B1,B2の終端付近において搬送レール部25の上方に設けられている。台車検知センサ28は、領域B1(または領域B2)から作業ステーションA5(または作業ステーションA10)へのパレット台車30の進入を検知したことを契機として、台車検知信号を出力するようになっている。なお、作業ステーションA5,A10は、ビス締めされるビス10の本数(4本または3本)が、作業ステーションA5,A10とは別の作業ステーションA1〜A4,A6〜A9においてビス締めされるビス10の本数(2本)よりも多くなっている。しかも、作業ステーションA5,A10は、ビス締め時におけるドライバーユニット80a,80bの移動距離が、作業ステーションA1〜A4,A6〜A9でのドライバーユニット80a,80bの移動距離よりも長くなっている。このため、作業ステーションA5,A10は、各作業ステーションA1〜A10のうちビス締めの作業時間が最も長い作業ステーションである。本実施形態では、作業ステーションA5,A10での作業時間Ta1が12秒である一方、作業ステーションA1〜A4,A6〜A9での作業時間Ta2が10秒となっている。また、領域B1,B2は、ビス締めの作業を行うための機構であるビス締め機80が存在しない空き領域である。
(4)パレット台車30の構成
図4,図5,図7〜図9に示されるように、パレット台車30は、縦500mm×横500mmの略正方形状をなすベースフレーム31を備えている。ベースフレーム31は、金属製の板状物によって構成され、本実施形態においては鉄によって構成されている。なお、ベースフレーム31は、合成樹脂などの他の部材によって構成されていてもよい。ベースフレーム31の中央部には、四角形状の収納枠32が設けられ、収納枠32の内側には、遊技盤11に接続される配線コードが収納されるようになっている。収納枠32の外側には、断面長方形状をなす4本の支柱34と断面六角形状をなす2本の支柱35とが設けられており、各支柱34,35の上端に遊技盤11が載置されるようになっている。なお、各支柱34,35の上端部には、合成樹脂等からなる衝撃緩衝板36,37が設けられている。そして、これらの衝撃緩衝板36,37によって、各支柱34,35の上端部に遊技盤11が配置される際の衝撃が緩和されるようになっている。
図5,図7〜図9に示されるように、ベースフレーム31の底部における四隅には、それぞれ車輪38が設けられている。各車輪38は、パレット台車30が上記した一対の搬送レール部25上に配置された際に回転することにより、パレット台車30を搬送レール部25に沿ってスムーズに搬送させるようになっている。また、ベースフレーム31の側面には摩擦板39が設けられている。摩擦板39には、パレット台車30の搬送時に上記した駆動チェーン27が接触するようになっている。この接触により、摩擦板39と駆動チェーン27との間には、好適な摩擦抵抗が作用するようになる。
さらに、ベースフレーム31の外周部には、位置決めピン固定部42,43,44が突設されている。具体的に言うと、収納枠32の外側であって対角となる一方の角部(図7の右下の角部)近傍には、1つの位置決めピン固定部42が設けられ、収納枠32の外側であって他方の角部(図7の左上の角部)近傍には、2つの位置決めピン固定部43,44が設けられている。各位置決めピン固定部42〜44は、遊技盤11に設けられた位置決め用の穴41a,41b(図8〜図10参照)に挿入される位置決めピン46を備えている。
なお、パレット台車30に大型遊技盤(遊技盤11)を固定する場合には、位置決めピン固定部42の位置決めピン46が穴41aに挿入され、位置決めピン固定部44の位置決めピン46が穴41bに挿入される(図8〜図10参照)。この結果、パレット台車30の略中央に遊技盤11が固定される。一方、パレット台車30に小型遊技盤を固定する場合には、位置決めピン固定部42の位置決めピン46が一方の穴に挿入され、位置決めピン固定部43の位置決めピン46が他方の穴に挿入される。なお本実施形態では、位置決めピン固定部42,44の位置決めピン46が上下方向に移動不能に設けられる一方、位置決めピン固定部43の位置決めピン46が上下方向に進退可能に設けられている。即ち、大型遊技盤を固定する際には、位置決めピン固定部43の位置決めピン46が下方に後退することでそれが大型遊技盤に干渉しないようになっている。
図4,図7,図9,図10に示されるように、パレット台車30の搬送方向における後部には、一対の衝撃吸収部材47が突設されている。両衝撃吸収部材47は、円筒状に形成されたゴム製の部材であり、後方に位置するパレット台車30と衝突した際の衝撃を和らげるためのものである。両衝撃吸収部材47は、ベースフレーム31の側面31aにおいて左右に離間配置されている。また、両衝撃吸収部材47の突出量(搬送方向の寸法)は、互いに等しくなっている。そして、両衝撃吸収部材47は、ベースフレーム31の側面31aに突設された取付軸47aを介してベースフレーム31に取り付けられている。
(5)台車ロック51及び台車ストッパ61の構成
図3〜図5,図11に示されるように、パレット台車搬送ライン24は、作業ステーションA5(または作業ステーションA10)に搬入されてきたパレット台車30を停止させる『台車停止手段』である台車ロック51を備えている。台車ロック51は、支持台26aの上面において作業ステーションA5,A10が存在する領域にそれぞれ配置されている。また、台車ロック51は、作業ステーションA5,A10の終端側にそれぞれ配置されるとともに、パレット台車搬送ライン24の幅方向における中央部分に配置されている。
なお、台車ロック51は、ロック用エアシリンダ52を備えている。ロック用エアシリンダ52は、シリンダ本体53と、エア圧によって駆動されるピストンロッド54とを備えている。シリンダ本体53は、支持台26aを貫通するシリンダ収容穴55内に収容されるとともに、作業ステーションA5(または作業ステーションA10)の終端側の端部が、シリンダ収容穴55内においてパレット台車搬送ライン24の幅方向に沿って延びる支持棒56に支持されている。これにより、シリンダ本体53は、作業ステーションA5(または作業ステーションA10)の終端側の端部が上方に位置し、作業ステーションA5(または作業ステーションA10)の始端側の端部が下方に位置しているため、支持台26aの上面に対して傾斜するようになっている(図14(a)参照)。
一方、図11等に示されるように、ピストンロッド54は、シリンダ本体53から搬送方向と同一方向に突出するようになっている。また、ピストンロッド54の先端部には、ブロック状をなすロック片57が設けられ、ロック片57の先端面(搬送方向における前側の端面)は、パレット台車搬送ライン24の幅方向に対して傾斜している。ロック片57は、ピストンロッド54がシリンダ本体53から突出した際に、支持台26aの上面に突設された一対のガイド部材58間に案内されるようになっている。なお、両ガイド部材58間には、ピストンロッド54がシリンダ本体53内に没入した際に、パレット台車30の底面に設けられた円筒状をなす第1係合部59が案内されるようになっている。よって、ロック片57は、ピストンロッド54がシリンダ本体53から突出した際に両ガイド部材58間に案内された第1係合部59に後方から係合することにより、パレット台車30の搬送方向とは逆方向への移動を防止するようになっている。
図3〜図5,図12に示されるように、パレット台車搬送ライン24は、作業ステーションA5(または作業ステーションA10)に搬入されてきたパレット台車30を停止させる『台車停止手段』である台車ストッパ61を備えている。台車ストッパ61は、支持台26aの上面において作業ステーションA5,A10が存在する領域にそれぞれ配置されている。また、台車ストッパ61は、作業ステーションA5,A10の始端側にそれぞれ配置されるとともに、パレット台車搬送ライン24の幅方向における中央部分に配置されている。そして、台車ストッパ61は、パレット台車搬送ライン24の幅方向において台車ロック51とは異なる箇所に配置されている。
なお、台車ストッパ61は、支持台26aの上面に突設された一対の支持部材62と、両支持部材62間に配置されたストッパ板63とを備えている。ストッパ板63は、図示しない回動用アクチュエータを駆動させることにより、ストッパ板63の基端部に設けられた一対の軸受部63aと両支持部材62における作業ステーションA5(または作業ステーションA10)の始端側の端部とを貫通する回動軸64を中心として回動するようになっている。そして、ストッパ板63は、回動時において、先端側の端部が支持台26aを貫通するストッパ収容穴65内に収容されるようになっている。また、ストッパ板63の先端部には、ブロック状をなすストッパ片66が設けられ、ストッパ片66の先端面(搬送方向における前側の端面)には、搬送方向に沿って延びる円柱状の棒状部67が接続されている。一方、ストッパ片66の基端面(搬送方向における後側の端面)は、パレット台車搬送ライン24の幅方向に対して傾斜している。また、ストッパ片66の基端面からは、搬送方向に沿って延びる棒状のピン68が突出している。なお、両支持部材62間には、非回動時において、パレット台車30の底面に設けられた円筒状をなす第2係合部69が案内されるようになっている。よって、ピン68が両支持部材62間に案内された第2係合部69に前方から係合することにより、パレット台車30の搬送方向への移動を防止するようになっている。そして、ストッパ板63が回動すると、ピン68と第2係合部69との係合が解除されるようになっている。従って、パレット台車30は、台車ロック51と台車ストッパ61との2つの機構によって、作業ステーションA5,A10において一旦停止されるようになっている。
(6)エアシリンダ71の構成
図3〜図5,図13に示されるように、パレット台車搬送ライン24は、『加速手段』及び『押圧用アクチュエータ』であるエアシリンダ71を備えている。エアシリンダ71は、支持台26aの上面において、領域B1,B2に配置されている。よって、上記した台車ロック51や台車ストッパ61は、支持台26aの上面においてエアシリンダ71よりも搬送方向における前方に配置されている。また、エアシリンダ71は、領域B1,B2の始端側に配置されるとともに、パレット台車搬送ライン24の幅方向における端部寄りに配置されている。よって、エアシリンダ71は、パレット台車搬送ライン24の幅方向において台車ロック51及び台車ストッパ61とは異なる箇所に配置されている。
なお、エアシリンダ71は、作業ステーションA5,A10に位置しているパレット台車30(第1のパレット台車30a)と、第1のパレット台車30aの搬送方向における後部に接触しているパレット台車30(第2のパレット台車30b)とを一定速度(21m/分)よりも速い速度に加速させるようになっている(図15(b)参照)。よって、作業ステーションA5,A10は、各作業ステーションA1〜A10の中で、ビス締めが終了してからパレット台車30が排出されるまでの排出時間が最も短い作業ステーションである。本実施形態では、作業ステーションA5,A10からのパレット台車30の排出時間Tb1が3秒である一方、作業ステーションA1〜A4,A6〜A9からのパレット台車30の排出時間Tb2が5秒となっている。従って、作業ステーションA5,A10での作業時間Ta1(12秒)と排出時間Tb1(3秒)との合計時間(15秒)は、作業ステーションA1〜A4,A6〜A9での作業時間Ta2(10秒)と排出時間Tb2(5秒)との合計時間(15秒)と等しくなっている。
図3〜図5,図13に示されるように、エアシリンダ71は、『加速手段本体』であるシリンダ本体72と、エア圧によって駆動される『押圧部材』であるピストンロッド73とからなっている。ピストンロッド73は、シリンダ本体72から搬送方向と同一方向に突出するようになっている。さらに、ピストンロッド73の先端部74には、係止部材75と、『係止部材移動手段』であるバネ76とが設けられている。係止部材75の先端面(上端面)の一部は、搬送方向に対して傾斜している。また、係止部材75は、第2のパレット台車30bの後部に係止する上位置(図13(b)参照)、及び、第2のパレット台車30bの後部に係止しない下位置に変位するようになっている。なお、係止部材75は、上位置に変位した状態で、第2のパレット台車30bの後部において衝撃吸収部材47が突設されていない領域R1に係止可能となっている。なお、領域R1は、第2のパレット台車30bの後部において一対の衝撃吸収部材47の外側に位置する領域である。そして、係止部材75が領域R1に係止した状態でピストンロッド73をシリンダ本体72から突出させれば、係止部材75は、第2のパレット台車30bの搬送方向における後部を押圧するようになる。
図5,図13に示されるように、バネ76は、係止部材75を上方に付勢して垂直方向に移動させるようになっている。バネ76は、先端部74内に収容され、一方の端部(基端部)が先端部74の底部に固定されるとともに、他方の端部(先端部)が係止部材75の下面に固定されている。なお、係止部材75は、ピストンロッド73をシリンダ本体72に没入させる場合に、第2のパレット台車30bよりも後方に位置する第3のパレット台車30cの底面に接触することにより、バネ76の付勢力に抗して上位置から下位置まで下降するようになっている(図17(a)参照)。
(7)遊技盤製造ライン21の電気的構成
図3に示されるように、遊技盤製造ライン21は、遊技盤製造ライン21全体を制御する制御部100を備えている。制御部100はCPU101を備えており、CPU101には、ROM102及びRAM103が接続されている。CPU101は、遊技盤製造ライン21全体を制御するための各種処理を実行し、その処理結果に応じて各種の制御コマンドを演算処理するようになっている。そして、CPU101は、制御コマンドを所定の制御信号として出力するようになっている。ROM102には、遊技盤製造ライン21を制御するための制御プログラムなどが記憶されている。また、RAM103には、遊技盤製造ライン21の動作に必要な各種の情報が一時的に記憶されるようになっている。
また、CPU101は、ビス締め機80のエアシリンダ90、台車ロック51(ロック用エアシリンダ52)、台車ストッパ61(回動用アクチュエータ)及びエアシリンダ71等に対してそれぞれドライバ回路(図示略)を介して接続され、それらを駆動制御するようになっている。また、CPU101は、ドライバーユニット80a,80bに対してそれぞれモータドライバ回路(図示略)を介して接続され、それらを駆動制御するようになっている。さらに、CPU101には台車検知センサ28が接続されている。
次に、パレット台車搬送ライン24において実行される役物ビス締め工程S4を、図面に基づいて詳細に説明する。
図2に示されるように、役物ビス締め工程S4では、第1のステップS4−1→第2のステップS4−2→第3のステップS4−3の順で作業が行われる。第1のステップS4−1において、CPU101は、作業ステーションA5(または作業ステーションA10)に第1のパレット台車30aが搬入されたこと(即ち、台車検知センサ28から台車検知信号が入力されたこと)を契機として、台車ロック51及び台車ストッパ61に駆動信号を出力する。その結果、台車ロック51を構成するピストンロッド54がシリンダ本体53から突出した後、ロック片57が第1のパレット台車30aの第1係合部59に後方から係合することにより、第1のパレット台車30aの搬送方向とは逆方向への移動が防止される。また、台車ストッパ61を構成するストッパ板63が回動用アクチュエータによって回動した後、ピン68が第1のパレット台車30aの第2係合部69に前方から係合することにより、第1のパレット台車30aの搬送方向への移動が防止される。よって、第1のパレット台車30aが台車ロック51及び台車ストッパ61によって停止する(図14(a)参照)とともに、第1のパレット台車30a上に固定された遊技盤11に対するビス締めが開始される。
遊技盤11に対するビス締めは以下のように行われる。即ち、CPU101は、ビス締め機80を上下方向に移動させる第1モータ(図示略)と、ビス締め機80を横方向に移動させる第2モータ(図示略)を駆動させる制御を行い、ビス締め機80を役物の取付位置に移動させる。そして、ビス締め機80が取付位置に到達すると、CPU101は、ビス供給装置84を駆動させる制御を行い、一対のチャック爪83によって生じたビス受入空間内にビス10を供給する。次に、CPU101は、エアシリンダ90に駆動信号を出力し、シリンダ本体92内にピストンロッド93を没入させる。また、CPU101は、吸着装置に駆動信号を出力し、吸着パイプ82内を負圧にしてビス10を吸着させる。さらに、CPU101は、モータドライバ回路に駆動信号を出力し、ドライバーユニット80a,80bを介して回転軸85を回転駆動させる。その結果、ビス10がドライバービット81に保持されて芯出しされた状態となる。
そして、CPU101は、エアシリンダ90に駆動信号を出力し、シリンダ本体92からピストンロッド93を突出させる。その結果、ドライバービット81が下降してビス10が遊技盤11上に到達し、ビス10が役物に形成されているビス孔を通過して遊技盤11にねじ込まれる。その後、遊技盤11に対するビス締めが完了すると、CPU101は、モータドライバ回路に駆動信号を出力し、ドライバーユニット80a,80bを停止させる。また、CPU101は、エアシリンダ90に駆動信号を出力し、シリンダ本体92内にピストンロッド93を没入させる。
図2に示される第2のステップS4−2では、第1のパレット台車30a上に固定された遊技盤11に対するビス締めの実行中に、第2のパレット台車30bが、エアシリンダ71の上側を通過した後、第1のパレット台車30aの搬送方向における後部に接触して停止する(図14(b)参照)。なお、パレット台車搬送ライン24の駆動チェーン27は常時動作しているため、第2のパレット台車30bは一定速度で搬送される。また、第2のパレット台車30bがエアシリンダ71の上側を通過するとき、係止部材75は、第2のパレット台車30bに押されることによって、バネ76の付勢力に抗して上位置から下位置まで下降する。そして、第2のパレット台車30bがピストンロッド73の上側を通過し終わると、係止部材75は、バネ76の付勢力によって下位置から上位置まで上昇する。また、第2のステップS4−2では、第2のパレット台車30bよりも後方に位置する第3のパレット台車30cが、エアシリンダ71の上側において、第2のパレット台車30bの搬送方向における後部に接触して停止する(図15(a)参照)。
続く第3のステップS4−3において、CPU101は、第1のパレット台車30a上に固定された遊技盤11に対するビス締めが完了したことを契機として、台車ロック51及び台車ストッパ61に駆動信号を出力する。その結果、台車ロック51を構成するピストンロッド54がシリンダ本体53内に没入し、ロック片57と第1係合部59との係合が解除される。また、台車ストッパ61を構成するストッパ板63が回動用アクチュエータによって回動し、ピン68と第2係合部69との係合が解除される。よって、台車ロック51及び台車ストッパ61による第1のパレット台車30aの停止が解除される(図15(a)参照)。そして、パレット台車搬送ライン24の駆動チェーン27によって、作業ステーションA5(または作業ステーションA10)からの第1のパレット台車30aの排出が開始されると同時に、作業ステーションA5(作業ステーションA10)への第2のパレット台車30bの進入が開始される。
なお、第3のステップS4−3において、CPU101は、作業ステーションA5(または作業ステーションA10)への第2のパレット台車30bの進入が台車検知センサ28によって検知されたこと(即ち、台車検知センサ28から台車検知信号が入力されたこと)を契機として、エアシリンダ71に駆動信号を出力する。これにより、ピストンロッド73がシリンダ本体72から突出するとともに、係止部材75が第2のパレット台車30bの搬送方向における後部を押圧する(図15(b),図16(a)参照)。その結果、第1のパレット台車30a及び第2のパレット台車30bがエアシリンダ71によって一定速度よりも速い速度に加速される。そして、作業ステーションA5(または作業ステーションA10)からの第1のパレット台車30aの排出と作業ステーションA5(または作業ステーションA10)への第2のパレット台車30bの進入とが同時に完了する。
第3のステップS4−3の終了後、CPU101は、台車ロック51及び台車ストッパ61に駆動信号を出力する。その結果、台車ロック51を構成するピストンロッド54がシリンダ本体53から突出した後、ロック片57が第2のパレット台車30bの第1係合部59に後方から係合する。また、台車ストッパ61を構成するストッパ板63が回動用アクチュエータによって回動した後、ピン68が第2のパレット台車30bの第2係合部69に前方から係合する。よって、第2のパレット台車30bが台車ロック51及び台車ストッパ61によって停止するとともに、第2のパレット台車30b上に固定された遊技盤11に対するビス締めが開始される。
また、CPU101は、エアシリンダ71に駆動信号を出力し、ピストンロッド73をシリンダ本体72内に没入させる(図16,図17参照)。この場合、ピストンロッド73は第3のパレット台車30cの下側を通過する。なお、ピストンロッド73が第3のパレット台車30cの下側を通過するときには、係止部材75がバネ76の付勢力に抗して上位置から下位置まで下降する(図16(b),図17(a)参照)。そして、ピストンロッド73が第3のパレット台車30cの下側を通過し終わったときには、係止部材75がバネ76の付勢力によって下位置から上位置まで上昇する(図17(b)参照)。
なお、ビス締めが終了した遊技盤11は、ライン本体26の終端付近でパレット台車30から取り外された後、図示しない搬送機などによってレール圧入工程S5を行うラインに移送される。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態の遊技盤製造ライン21は、パレット台車搬送ライン24がパレット台車30を一定速度で搬送するものであるが、第3のステップS4−3において、エアシリンダ71が作業ステーションA5,A10にある第1のパレット台車30aを一定速度よりも速い速度に加速させるようになっている。その結果、作業ステーションA5,A10から第1のパレット台車30aを排出させる排出時間Tb1が短縮されるため、これに伴って、排出時間Tb1と作業時間Ta1との合計時間が短縮される。しかも、第3のステップS4−3では、エアシリンダ71が第2のパレット台車30bを一定速度よりも速い速度に加速させるとともに、作業ステーションA5,A10への第2のパレット台車30bの進入を作業ステーションA5,A10からの第1のパレット台車30aの排出と同時に完了させている。その結果、作業ステーションA5,A10に第2のパレット台車30bを進入させる進入時間が短縮される。さらに、作業ステーションA5,A10への第2のパレット台車30bの進入が台車検知センサ28によって検知されると、エアシリンダ71による第1のパレット台車30aの加速が自動的に開始されるため、第1のパレット台車30a及び第2のパレット台車30bが互いに衝突することなく確実に搬送される。以上のことから、全ての作業ステーションA1〜A10においてパレット台車30をスムーズに搬送することができるため、遊技盤11の生産性が向上する。
(2)本願出願人は、遊技盤11の生産性を向上させるものとして、作業ステーションA5,A10の近傍にあるパレット台車(第1のパレット台車30a及び第2のパレット台車30b)を加速させる技術を提案している。しかしながら、パレット台車30a,30bを加速させると、第1のパレット台車30aが、搬送方向における前方に位置している他のパレット台車30に衝突するおそれがあるため、他のパレット台車30に固定された遊技盤11に対する作業が邪魔されてしまい、遊技盤11の生産性が低下する可能性がある。
そこで本実施形態では、第1のステップS4−1において、作業ステーションA5,A10に搬入されてきた第1のパレット台車30aを台車ロック51及び台車ストッパ61によって停止させるようになっている。そして、第3のステップS4−3において、台車ロック51及び台車ストッパ61による第1のパレット台車30aの停止を解除するようになっている。即ち、パレット台車搬送ライン24は、基本的にパレット台車30を一定速度で搬送しているが、加速が必要なタイミング(第3のステップS4−3)では第1のパレット台車30aを加速可能とする一方、加速が不要なタイミング(第1のステップS4−1)では第1のパレット台車30aを加速不能としている。その結果、作業ステーションA5,A10に位置している第1のパレット台車30aと上記した他のパレット台車30との衝突が回避される。しかも本実施形態では、一対の衝撃吸収部材47がパレット台車30の後部に設けられているため、第3のステップS4−3において第1のパレット台車30aと他のパレット台車30とが仮に衝突したとしても、両者が衝突した際の衝撃は衝撃吸収部材47によって吸収される。これにより、他のパレット台車30に固定された遊技盤11に対する作業が邪魔されにくくなるため、遊技盤11の生産性低下を防止することができる。
(3)例えば、釘打ちラインにおいて、1つの遊技盤11に対する釘打ちを複数台の釘打ち機に分担させることにより、各種作業の作業効率を向上させることが考えられる。しかしながら、遊技釘14には高い位置精度が求められるため、1つの遊技盤11に対する釘打ちを複数台の釘打ち機に分担させることは、遊技釘14が位置ずれしやすくなるために困難である。
一方、役物(センター役物15、始動口飾り16a、大入賞口飾り17a、左サイド飾り18、右サイド飾り19、ゲート20)には、遊技釘14ほど高い位置精度は求められない。よって、本実施形態のパレット台車搬送ライン24では、1つの遊技盤11に対する役物のビス締めを10台のビス締め機80に分担させることにより、作業効率を向上させることができる。
(4)特開2003−38741号公報に記載の従来技術では、並列に配置された複数の作業ステーションに搬送物を振り分けることにより、作業の流れを円滑にする技術が開示されている。しかし、作業ステーションを並列に配置しただけでは、作業ステーションごとに生じる処理時間の差を小さくすることができないため、搬送物をスムーズに搬送することができない。
それに対して、本実施形態の第3のステップS4−3では、処理時間の差を埋めるべく、作業ステーションA1〜A4,A6〜A9の場合よりも作業時間が長い特定の作業ステーションA5,A10においてパレット台車30を加速させるようになっている。その結果、作業ステーションA5,A10からのパレット台車30の排出時間が作業ステーションA1〜A4,A6〜A9の場合よりも短縮される。これにより、作業ステーションA1〜A10ごとに生じる処理時間(作業時間と排出時間との合計時間)の差を小さくすることができるため、搬送物であるパレット台車30をスムーズに搬送することができる。
(5)本実施形態のエアシリンダ71は、全ての作業ステーションA1〜A10ごとに配置されているのではなく、特定の作業ステーションA5,A10(領域B1,B2)のみに配置されている。なお、エアシリンダ71によってパレット台車30が加速されると、パレット台車30の摩擦板39とパレット台車搬送ライン24の駆動チェーン27とが摺動して磨耗する可能性があるが、パレット台車30が加速される領域はパレット台車搬送ライン24の一部の領域のみである。このため、パレット台車搬送ライン24全体での部品(駆動チェーン27など)の消耗を抑えることができる。
また本実施形態では、パレット台車30を加速させる加速手段としてエアシリンダ71を用いている。このため、加速手段が不要となった場合には、エアを遮断するだけで簡単に加速手段を停止させることができる。この場合、パレット台車搬送ライン24を、パレット台車30を加速せずに一定速度で搬送する通常の搬送ラインとして使用できるため、パレット台車30が加速されることに起因する無闇な部品消耗を抑えることができる。さらに、加速手段がエアシリンダ71であるため、比較的低コストでかつ容易に加速手段を設置することができる。
また、パレット台車30の速度変更にインバータ等を用いることが考えられるが、その際には、一旦パレット台車搬送ライン24を停止させる必要がある。しかし本実施形態では、パレット台車30の速度変更にエアシリンダ71を用いているため、パレット台車搬送ライン24を停止させなくても、エアシリンダ71を駆動させるエア量を調節するだけで、パレット台車30の速度変更を行うことができる。
(6)本実施形態では、相対的にサイズが小さいために軽い役物(ゲート20や始動口飾り16aなど)、即ち、触れるだけで簡単に外れる役物を早い段階(作業ステーションA1,A2)でビス締めするため、役物の紛失を防止することができる。仮に、相対的にサイズが大きい役物(センター役物15など)を早い段階でビス締めすると、パレット台車30の搬送時に発生する振動や遊技盤11の撓みによる役物の取付不良などを原因として役物が外れた際に、役物が遊技盤面11aを傷付けてしまう可能性がある。また、役物をビス締めする際には、既に多数の遊技釘14が遊技盤11に打ち込まれているため、役物が外れると、役物が遊技釘14によって傷付けられる可能性がある。
なお、本実施形態を以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、2箇所の作業ステーションA5,A10が特定の作業ステーションとして用いられていた。しかし、作業ステーションA5,A10のいずれか一方を特定の作業ステーションとして用いてもよい。具体的に言うと、作業ステーションA5,A10のいずれか一方において、台車ロック51、台車ストッパ61及びエアシリンダ71を省略してもよい。また、作業ステーションA1〜A4,A6〜A9の少なくとも1つを特定の作業ステーションとして用いてもよい。
なお、特定の作業ステーションは、できるだけパレット台車搬送ライン24の終端側に位置する作業ステーション(例えば作業ステーションA10)であることが好ましい。仮に、特定の作業ステーションがパレット台車搬送ライン24の始端側に位置する作業ステーション(例えば作業ステーションA1)であると、終端側に位置する作業ステーションへのパレット台車30の搬送が遅れるため、パレット台車搬送ライン24よりも下流側のラインでの作業が遅れる可能性がある。
・上記実施形態では、ゲート20→始動口飾り16a→大入賞口飾り17a→左サイド飾り18→右サイド飾り19→センター役物15の順序でビス締めを行うようになっていたが、ビス締めの順序を任意に変更してもよい。
・上記実施形態のパレット台車搬送ライン24は、一直線に延びるラインであって、エアシリンダ71が、作業ステーションA5,A10と作業ステーションA4,A9との間の領域B1,B2に配置されるとともに、台車ロック51及び台車ストッパ61が、作業ステーションA5,A10に配置されていた。しかし図18に示されるように、パレット台車搬送ライン24は、上流側搬送ライン24aと下流側搬送ライン24bとがパレット台車30の搬送方向を変更する搬送方向変更部111を介して屈曲するように構成されていてもよい。なお、搬送方向変更部111では、パレット台車30の搬送方向を変更する必要があるため、作業時間が長くなる傾向にある。よって、この場合、エアシリンダ71を、例えば搬送方向変更部111よりも下流側搬送ライン24bが延びる方向における後方に配置するとともに、台車ロック51及び台車ストッパ61を、例えば搬送方向変更部111に配置することが好ましい。
このようにした場合、第1のステップS4−1では、搬送方向変更部111に第1のパレット台車30aが搬入されてきたことを契機として、第1のパレット台車30aが台車ロック51及び台車ストッパ61によって停止するとともに、第1のパレット台車30a上に固定された遊技盤11に対する作業が開始される。第2のステップS4−2では、第1のパレット台車30a上に固定された遊技盤11に対する作業の実行中に、第2のパレット台車30bが、搬送方向変更部111に位置している第1のパレット台車30aに接触して停止する。第3のステップS4−3では、台車ロック51及び台車ストッパ61による第1のパレット台車30aの停止を解除することにより、搬送方向変更部111からの第1のパレット台車30aの排出が開始されると同時に、搬送方向変更部111への第1のパレット台車30aの進入が開始される。なお第3のステップS4−3では、搬送方向変更部111への第2のパレット台車30bの進入が台車検知センサ28によって検知されたことを契機として、エアシリンダ71が第1のパレット台車30aを一定速度よりも速い速度に加速させる。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)請求項1において、前記パレット台車の前記搬送方向における後部に衝撃吸収部材が突設され、前記第3のステップにおいて、前記衝撃吸収部材は、前記加速手段によって加速された前記第1のパレット台車と、前記第1のパレット台車よりも搬送方向における前方に位置している他のパレット台車とが衝突した際の衝撃を吸収可能であることを特徴とする遊技盤搬送ライン。
(2)請求項3において、前記台車ロック及び前記台車ストッパは、前記パレット台車搬送ラインの幅方向における中央部分に配置されていることを特徴とする遊技盤搬送ライン。
(3)遊技盤を固定可能なパレット台車を一定速度で搬送するパレット台車搬送ラインを備える遊技盤製造ラインにおいて、前記パレット台車搬送ラインは、前記パレット台車を搬送する上流側搬送ラインと下流側搬送ラインとが前記パレット台車の搬送方向を変更する搬送方向変更部を介して屈曲するように構成されるとともに、前記搬送方向変更部よりも前記下流側搬送ラインが延びる方向における後方に配置され、前記搬送方向変更部に位置している第1のパレット台車を前記一定速度よりも速い速度に加速させる加速手段と、前記搬送方向変更部に配置され、前記搬送方向変更部に搬入されてきたパレット台車を停止させる台車停止手段と、前記搬送方向変更部への第2のパレット台車の進入を検知する台車検知手段とを備え、前記遊技盤は、前記搬送方向変更部に前記第1のパレット台車が搬入されてきたことを契機として、前記第1のパレット台車が前記台車停止手段によって停止するとともに、前記第1のパレット台車上に固定された遊技盤に対する作業が開始される第1のステップと、前記第1のパレット台車上に固定された遊技盤に対する作業の実行中に、前記第2のパレット台車が、前記搬送方向変更部に位置している前記第1のパレット台車に接触して停止する第2のステップと、前記第1のパレット台車上に固定された遊技盤に対する作業が完了したことを契機として、前記台車停止手段による前記第1のパレット台車の停止を解除することにより、前記パレット台車搬送ラインによって、前記搬送方向変更部からの前記第1のパレット台車の排出が開始されると同時に、前記搬送方向変更部への前記第1のパレット台車の進入が開始される第3のステップとを経て製造され、前記第3のステップでは、前記搬送方向変更部への前記第2のパレット台車の進入が前記台車検知手段によって検知されたことを契機として、前記加速手段が前記第1のパレット台車を前記一定速度よりも速い速度に加速させ、前記搬送方向変更部からの前記第1のパレット台車の排出と前記搬送方向変更部への前記第2のパレット台車の進入とを同時に完了させることを特徴とする遊技盤製造ライン。