JP5323173B2 - ポンプ、特に燃料高圧ポンプ - Google Patents

Description

背景技術
本発明は、請求項１の上位概念部に記載の形式のポンプ、特に燃料高圧ポンプ、すなわち、少なくとも１つのポンプエレメントが設けられており、該ポンプエレメントが、ポンプピストンを有しており、該ポンプピストンが、少なくとも間接的に、つまり直接的または間接的に、駆動軸によって往復運動の形で駆動されるようになっており、該ポンプピストンが、当該ポンプのハウジング部分に設けられたシリンダ孔内に案内されており、該ハウジング部分が、前記シリンダ孔を取り囲む円筒状の区分を有しており、ポンプピストンと駆動軸との間に、バケット形のタペットが配置されており、該タペットが、駆動軸に面した側の底部と、該底部に続いた周壁とを有しており、タペットの該周壁が、ハウジング部分の前記円筒状の区分に沿って摺動可能に案内されており、さらに、ばねが設けられていて、該ばねによってタペットが、駆動軸に向かって負荷されており、ポンプピストンの、駆動軸に面した側の端面が、タペットの前記底部に接触している形式のポンプに関する。

燃料高圧ポンプの形のこのような形式のポンプは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第１０２００４０１３２４６号明細書に基づき公知である。この公知のポンプは少なくとも１つのポンプエレメントを有しており、このポンプエレメントはポンプピストンを備えている。このポンプピストンは少なくとも間接的に駆動軸によって往復運動の形で駆動される。ポンプピストンはポンプのハウジング部分に設けられたシリンダ孔内に摺動可能に案内されており、この場合、このハウジング部分は、シリンダ孔を取り囲む円筒状の区分を有している。ポンプピストンと駆動軸との間には、バケット形のタペットが配置されている。このタペットの外周壁はハウジング部分に設けられた前記円筒状の区分に沿って摺動可能に案内されている。タペットはさらに、駆動軸に向けられた底部を有している。さらに、タペットに作用しかつタペットを駆動軸に向かって負荷するばねが設けられている。ポンプピストンは、その駆動軸に面した側の端面によってタペットの底部に接触している。ポンプピストンとタペットとは、この公知のポンプでは、互いに結合されていない互いに別個の構成部分である。この理由から、ポンプ内へのポンプピストンとタペットとの組込みには手間がかかる。なぜならば、これらの部分が全て互いに別個に提供されていて、ポンプ内でしか接合され得ないからである。

発明の開示
発明の利点
請求項１の特徴部に記載の特徴を有する本発明によるポンプ、すなわちポンプピストンの、タペットの前記底部に面した側の端範囲に、ディスクが固定されており、該ディスクが、ポンプピストンよりも大きな外径を有しており、該ディスクを備えたポンプピストンが、タペット内に、該ディスクに作用する位置固定エレメントによってポンプピストンの長手方向軸線の方向で位置固定されていることを特徴とするポンプには、従来のものに比べて次のような利点がある。すなわち、ポンプピストンとタペットとを、既にポンプ内への組込みの前に構成アッセンブリとして組み立てることができるので、ポンプ内への組込みが簡単化されている。

請求項２以下には、本発明によるポンプの有利な構成および改良形が記載されている。すなわち、請求項２に記載の構成では、ポンプピストンの、タペットの前記底部に接触した端面が、ポンプピストンの長手方向軸線の方向で前記ディスクを越えて突出している。

請求項３に記載の構成では、前記ディスクを備えたポンプピストンが、タペット内で、制限された規模で、ポンプピストンの長手方向軸線に対して直角の方向に可動である。

請求項４に記載の構成では、ポンプピストンが、その全長にわたって、少なくともほぼ一定の直径を有している。これにより、ポンプピストンを特に簡単に製造することができる。

請求項５に記載の構成では、前記ディスクが、ポンプピストンに押し被されている。請求項５に記載の構成を用いると、ポンプピストンにおけるディスクの固定が可能となる。

請求項６に記載の構成では、前記ディスクが、ポンプピストンとタペットの前記周壁との間の範囲に少なくとも１つの開口を有している。

請求項７には、単純に形成された位置固定エレメントが記載されている。すなわち、請求項７に記載の構成では、前記位置固定エレメントが、ばねリングであり、該ばねリングが、タペットの前記周壁の内周面に設けられた環状溝内に半径方向外側に向かってスナップインされており、さらに前記ばねリングが、前記ディスクの、タペットの前記底部とは反対の側に半径方向内側に向かって被さっている。

請求項８に記載の構成では、タペットの前記周壁が、前記ディスクの範囲に、前記周壁の、ハウジング部分の前記円筒状の区分に案内された範囲におけるよりも小さな内径と大きな肉厚さとを有している。

以下に、本発明の実施形態を図面につき詳しく説明する。

ポンプの縦断面図である。 図１のＩＩ−ＩＩ線に沿ったポンプの一部の拡大横断面図である。

実施形態の説明
図１および図２には、特に内燃機関の燃料噴射装置に用いられる燃料高圧ポンプであるポンプが図示されている。このポンプはハウジング１２を有している。ハウジング１２は複数の部分から形成されていてよい。ハウジング１２内には、回転駆動される駆動軸１４が、回転軸線１５を中心にして回転可能に支承されている。駆動軸１４は少なくとも１つの偏心体１６を有しており、この偏心体１６は駆動軸１４の回転軸線１５に対して偏心的に形成されている。択一的に、駆動軸１４は偏心体１６の代わりに、少なくとも１つのカムを有していてもよい。このポンプは少なくとも１つまたは複数のポンプエレメント１８を有しており、このポンプエレメント１８はそれぞれ１つのポンプピストン２０を備えている。このポンプピストン２０は駆動軸１４の偏心体１６またはカムによって少なくとも間接的に、つまり直接的または間接的に、駆動軸１４の回転軸線１５に対して少なくともほぼ半径方向における往復運動の形で駆動される。また、上記ポンプが固有の駆動軸１４を有しておらず、ポンプエレメント１８のポンプピストン２０が、偏心体１６またはカムを有する内燃機関の軸によって駆動される構成も考えられる。

ポンプピストン２０はこのポンプのハウジング部分２４に設けられたシリンダ孔２２内に密に案内されている。ポンプピストン２０の、駆動軸１４とは反対の側の端部は、シリンダ孔２２内にポンプ作業室２６を画定している。このポンプ作業室２６は、このポンプ作業室２６内への流入方向に開く流入逆止弁３０を介して、フィードポンプ３２から到来した流入路３４との接続を有している。ポンプ作業室２６は、ポンプピストン２０の、半径方向内側へ向かって駆動軸１４の回転軸線１５に向けられた吸込み行程の際に、前記流入路３４を介して燃料で充填される。ポンプ作業室２６はさらに、このポンプ作業室２６からの流出方向に開く流出逆止弁３６を介して、流出路３８との接続を有している。この流出路３８は、たとえば燃料高圧アキュムレータ４０に通じている。ポンプピストン２０の、半径方向外側へ向かって駆動軸１４の回転軸線１５から離れる方向に向けられた圧送行程の際に、燃料は前記流出路３８を介してポンプ作業室２６から押しのけられる。

ハウジング部分２４は、ハウジング１２に載置されたフランジ状の範囲４２と、このフランジ状の範囲４２から突出した円筒状の区分４４とを有している。シリンダ孔２２はこの円筒状の区分４４の端面を起点としてこの円筒状の区分４４を通って、ポンプ作業室２６が配置されているフランジ状の範囲４２にまで延びている。このフランジ状の範囲４２には、流入逆止弁３０と流出逆止弁３６も配置されている。フランジ状の範囲４２から円筒状の区分４４への移行部には、円筒状の区分４４に比べて直径の大きなセンタリングつば４３が設けられている。このセンタリングつば４３はハウジング１２に設けられた孔４６内に小さな遊びを持って突入して、ハウジング１２に対するハウジング部分２４のセンタリングを確保している。

ポンプピストン２０と、駆動軸１４に設けられた偏心体１６またはカムとの間には、バケット形のタペット５０が配置されている。このタペット５０は、駆動軸１４に面した側の底部５２と、駆動軸１４から離れる方向で前記底部５２に続いている周壁５４とを有しており、この場合、底部５２と周壁５４とは一体に形成されているか、または互いに結合された互いに別個の構成部分として形成されていてよい。タペット５０の周壁５４はハウジング部分２４の円筒状の区分４４に装着されていて、この円筒状の区分４４に小さな遊びを持って摺動可能に案内されている。タペット５０の長手方向軸線は、シリンダ孔２２の長手方向軸線２３およびポンプピストン２０の長手方向軸線と少なくともほぼ同一である。すなわち、タペット５０の長手方向軸線は、シリンダ孔２２の長手方向軸線２３およびポンプピストン２０の長手方向軸線と少なくともほぼ合致している。タペット５０の周壁５４からは、底部５２の近傍で環状つば５６が外方に向かって突出しており、この環状つば５６とハウジング部分２４のフランジ状の範囲４２との間には、プリロード（予荷重）をかけられたばね５８が緊締されている。このばね５８は、圧縮コイルばねとして形成されていると有利である。

ポンプピストン２０はその全長にわたって一定の直径を有していて、駆動軸１４に面した側の端部がシリンダ孔２２から突出している。ポンプピストン２０の、シリンダ孔２２から突出した端部の近傍では、ポンプピストン２０に、このポンプピストン２０に比べて外径の大きなディスク６０が取り付けられている。このディスク６０はポンプピストン２０に押し被せられてプレス嵌めされていると有利である。ディスク６０は図２に図示されているように、そのポンプピストン２０に接触した半径方向内側の範囲に、その半径方向外側の範囲におけるよりも大きな厚さを有していてよい。これにより、タペット５０の底部５２に向かって、ディスク６０には段部が形成されている。ポンプピストン２０の端部は、長手方向軸線２３の方向において、つまり長手方向軸線２３に対して平行な方向において、ディスク６０を少しだけ越えて突出しているので、ポンプピストン２０の端面２１は底部５２に接触しており、それに対してディスク６０は底部５２から僅かな間隔を置いて配置されている。

ディスク６０の外径は、ディスク６０がタペット５０の周壁５４の内部に配置されている範囲における周壁５４の内径よりも少しだけ小さく形成されている。また、ディスク６０が配置されている範囲における周壁５４の内径が、この周壁５４の、円筒状の区分４４に案内された範囲におけるよりも少しだけ小さく形成されていてよい。これにより、周壁５４はディスク６０の範囲において、円筒状の区分４４に案内された範囲におけるよりも大きな肉厚さを有している。タペット５０の周壁５４の内周面には、全周にわたって延びる環状溝６２が加工成形されている。この環状溝６２内には、位置固定エレメント６４が嵌め込まれている。この位置固定エレメント６４は、ディスク６０の、タペット５０の底部５２とは反対の側でこのディスク６０に半径方向内側へ向かって被さって係合している。位置固定エレメント６４は、弾性的なばねリングとして形成されていると有利である。このばねリングは環状溝６２内に、そのプリロード（予荷重）により半径方向外側へ向かってスナップインされている。位置固定エレメント６４とディスク６０とにより、ポンプピストン２０はタペット５０内で長手方向軸線２３の方向で位置固定されており、したがって、ポンプピストン２０は、長手方向軸線２３の方向でディスク６０とタペット５０とに結合されている。ただしこの場合、長手方向軸線２３に対して直角な方向ではタペット５０とポンプピストン２０との間での制限された相対運動が可能となる。タペット５０は少なくとも１つ、有利には複数の開口６６を有しており、ディスク６０はそのポンプピストン２０とタペット５０の周壁５４との間の範囲に、少なくとも１つ、有利には複数の開口６７を有している。これらの開口６６，６７により、タペット５０とハウジング部分２４の円筒状の区分４４との間に画定された空間は、この空間を取り囲む範囲に連通されているので、ポンプピストン２０の往復運動時には、この空間内の圧力補償が確保されている。

駆動軸１４の偏心体１６には、リング７０が回転可能に支承されていてよい。その場合、このリング７０には、タペット５０の底部５２が接触している。リング７０はタペット５０の底部５２の当付け部の範囲に平坦部７２を有しており、この場合、タペット５０の底部５２は同じく少なくともほぼ平坦に形成されているので、底部５２とリング７０との間の面状の当付けが生ぜしめられる。また、図２に示した横断面で見てポンプピストン２０の長手方向軸線２３は、駆動軸１４の回転軸線１５に対して駆動軸１４の回転方向７４において所定の間隔７６だけずらされて延びていてよく、その場合、ポンプピストン２０の長手方向軸線２３は駆動軸１４の回転軸線１５に交差しない。

ポンプの組立て時では、ハウジング１２の外部でディスク６０をポンプピストン２０に固定し、特にプレス嵌めによりポンプピストン２０に押し被せることができる。引き続き、ディスク６０を備えたポンプピストン２０をタペット５０内に挿入し、位置固定エレメント６４を嵌め込むことができる。次いで、ポンプピストン２０とタペット５０とから成るアッセンブリに、ばね５８を装着し、この構成ユニットを次いでハウジング部分２４に取り付けることができる。この場合、ポンプピストン２０はシリンダ孔２２内に導入され、タペット５０の周壁５４は円筒状の区分４４に押し被される。次いで、ポンプピストン２０とタペット５０とを備えたハウジング部分２４をハウジング１２内に挿入することができる。

Claims (6)

1. ポンプであって、少なくとも１つのポンプエレメント（１８）が設けられており、該ポンプエレメント（１８）が、ポンプピストン（２０）を有しており、該ポンプピストン（２０）が、少なくとも間接的に駆動軸（１４）によって往復運動の形で駆動されるようになっており、該ポンプピストン（２０）が、当該ポンプのハウジング部分（２４）に設けられたシリンダ孔（２２）内に案内されており、該ハウジング部分（２４）が、前記シリンダ孔（２２）を取り囲む円筒状の区分（４４）を有しており、ポンプピストン（２０）と駆動軸（１４）との間に、バケット形のタペット（５０）が配置されており、該タペット（５０）が、駆動軸（１４）に面した側の底部（５２）と、該底部（５２）に続いた周壁（５４）とを有しており、タペット（５０）の該周壁（５４）が、ハウジング部分（２４）の前記円筒状の区分（４４）に沿って摺動可能に案内されており、さらに、ばね（５８）が設けられていて、該ばね（５８）によってタペット（５０）が、駆動軸（１４）に向かって負荷されており、ポンプピストン（２０）の、駆動軸（１４）に面した側の端面（２１）が、タペット（５０）の前記底部（５２）に接触している形式のものにおいて、
   ポンプピストン（２０）の、タペット（５０）の前記底部（５２）に面した側の端範囲に、ディスク（６０）が固定されており、
   該ディスク（６０）が、ポンプピストン（２０）よりも大きな外径を有しており、
   該ディスク（６０）を備えたポンプピストン（２０）が、タペット（５０）内に、該ディスク（６０）に作用する位置固定エレメント（６４）によってポンプピストン（２０）の長手方向軸線（２３）の方向で位置固定されており、
   前記位置固定エレメント（６４）が、ばねリングであり、該ばねリングが、タペット（５０）の前記周壁（５４）の内周面に設けられた環状溝（６２）内に半径方向外側に向かってスナップインされており、さらに前記ばねリングが、前記ディスク（６０）の、タペット（５０）の前記底部（５２）とは反対の側に半径方向内側に向かって被さっており、
   タペット（５０）の前記周壁（５４）が、前記ディスク（６０）の範囲に、前記周壁（５４）の、ハウジング部分（２４）の前記円筒状の区分（４４）に案内された範囲におけるよりも小さな内径と大きな肉厚さとを有していることを特徴とするポンプ。
2. ポンプピストン（２０）の、タペット（５０）の前記底部（５２）に接触した端面（２１）が、ポンプピストン（２０）の長手方向軸線（２３）の方向で前記ディスク（６０）を越えて突出している、請求項１記載のポンプ。
3. 前記ディスク（６０）を備えたポンプピストン（２０）が、タペット（５０）内で、制限された規模で、ポンプピストン（２０）の長手方向軸線（２３）に対して直角の方向に可動である、請求項１または２記載のポンプ。
4. ポンプピストン（２０）が、その全長にわたって、少なくともほぼ一定の直径を有している、請求項１から３までのいずれか１項記載のポンプ。
5. 前記ディスク（６０）が、ポンプピストン（２０）に押し被されている、請求項１から４までのいずれか１項記載のポンプ。
6. 前記ディスク（６０）が、ポンプピストン（２０）とタペット（５０）の前記周壁（５４）との間の範囲に少なくとも１つの開口（６７）を有している、請求項１から５までのいずれか１項記載のポンプ。

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