JP5319460B2 - セルスタック装置、燃料電池モジュールおよび燃料電池装置 - Google Patents
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Description
本発明は、複数の燃料電池セルを配列してなるセルスタック装置およびそれを具備する燃料電池モジュールならびに燃料電池装置に関する。
近年、次世代エネルギーとして、燃料ガス(水素含有ガス)と酸素含有ガス(空気等)とを用いて600℃〜1000℃の高温下で発電する燃料電池セルの複数個を、集電部材を介して電気的に直列に接続してなるセルスタックを燃料電池セルに反応ガスを供給するマニホールドに固定してなるセルスタック装置や、それを収納してなる燃料電池モジュール、さらには燃料電池モジュールを収納してなる燃料電池装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
図6は、従来の燃料電池モジュール40を示す外観斜視図である。このような燃料電池モジュール40は、収納容器41内にセルスタック装置47を収納することで構成される。ここで、セルスタック装置47としては、扁平状の燃料電池セル42を、間に集電部材を介して複数個立設させた状態で配列してセルスタック43を構成するとともに、セルスタック43を構成する各燃料電池セル42を、燃料電池セル42の内部に設けられたガス流路(図示せず)に燃料ガスを供給するためのマニホールド44にガラス等の接着材により固定することで、セルスタック装置47が構成されている。なお、図6においては、セルスタック装置47(セルスタック43)の上方に、マニホールド44に供給する燃料ガスを生成するための改質器45が配置されており、改質器45とマニホールド44とが燃料ガス供給管46により接続されている。
このようなセルスタック装置においては、燃料電池セルの上端部側にて、燃料電池セルの発電で使用されなかった燃料ガスを燃焼させ、燃料電池セルの温度を上昇させることにより、燃料電池セルの発電を効率よく行なうことができる。
また、燃料電池セルの上端部側が燃料電池セルに供給される酸素含有ガスにて酸化されることを抑制すべく、燃料電池セルの上端部側に環状の部材を装着した構成のセルスタック装置(例えば、特許文献2参照。)や、燃料電池セルの内部に設けられた複数のガス流路に均一に反応ガスを供給する目的で、燃料電池セルの上端部側に蓋状部材を設けた構成のセルスタック装置(例えば、特許文献3参照。)が提案されている。
しかしながら、燃料電池セルの上端部側にて、燃料電池セルの発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させる構成のセルスタック装置においては、燃料電池セルの上端部側にて燃料電池セルの発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させることにより、燃料電池セルの上端部側の温度が上昇し、燃料電池セルの一部が劣化や破損するおそれがあった。
また、燃料電池セルの上端部側に、燃料電池セルの上端部側を覆うように環状部材や蓋状部材を設けた場合に、燃料電池セルの発電に使用されなかった燃料ガスと酸素含有ガスとの混合が十分に行なわれず、燃料電池セルの発電に使用されなかった燃料ガスを効率よく燃焼させることが難しくなるおそれがあった。
それゆえ、本発明は、燃料電池セルの発電に使用されなかった燃料ガスと酸素含有ガスとの混合を十分に行なうことができ、燃料電池セルの発電に使用されなかった燃料ガスを効率よく燃焼させることができるとともに、燃料電池セルの劣化や破損を抑制することができるセルスタック装置、該セルスタック装置を備える燃料電池モジュール、燃料電池装置を提供することを目的とする。
本発明のセルスタック装置は、内部に第1の反応ガスを流すための第1の反応ガス流路を有する扁平状の導電性支持体の一方側主面に、内側電極層、固体電解質層、外側電極層がこの順に設けられ、他方側主面にインターコネクタが設けられてなる燃料電池セルを、間に集電部材を介して複数個を立設させた状態で配列してなるとともに、隣り合う前記燃料電池セル間に供給される第2の反応ガスと前記第1の反応ガスとにより前記燃料電池セルにて発電を行なう構成のセルスタックと、前記燃料電池セルの下端を固定するとともに、前記燃料電池セルに第1の反応ガスを供給するためのマニホールドとを備え、前記燃料電池セルの上端の上方にて、該燃料電池セルの発電に使用されなかった前記第1の反応ガスと前記第2の反応ガスとを燃焼させる構成のセルスタック装置であって、前記燃料電池セルの上端部に蓋状部材が配置されており、該蓋状部材は、前記燃料電池セルの前記一方側主面および前記他方側主面のそれぞれと空間を形成し、該空間を隣り合う前記燃料電池セル間に供給される第2の反応ガスが流れるための第2の反応ガス流路とするとともに、該第2の反応ガス流路を流れた前記第2の反応ガスと前記第1の反応ガス流路より排出される前記第1の反応ガスとを混合する混合流路を備え、上面に、前記混合流路を流れて混合された混合ガスを排出するための排気口を備えるとともに、セラミックス材料にて形成されていることを特徴とする。
このようなセルスタック装置においては、蓋状部材が、燃料電池セルの一方側主面および他方側主面のそれぞれと空間を形成し、その空間を燃料電池セル間に供給される第2の反応ガスが流れるための第2の反応ガス流路とするとともに、第2の反応ガス流路を流れた第2の反応ガスと第1の反応ガス流路より排出される第1の反応ガスとを混合する混合流路を備えることから、燃料電池セルの発電に用いられなかった第1の反応ガスと第2の反応ガスとを効率よく混合することができる。
そして、混合流路を流れた混合ガスが、燃料電池セルの上端部に設けられた蓋状部材の上面に設けられた排気口より排気されて、主に排気口の上方にて混合ガスが燃焼される。それゆえ、第1の反応ガスと第2の反応ガスとが効率よく混合された混合ガスが燃焼されることから、燃料電池セルの発電に使用されなかった第1の反応ガスと第2の反応ガスとが効率よく燃焼することとなる。
また、蓋状部材をセラミックス材料にて形成することにより、蓋状部材の破損を抑制できるとともに、燃料電池セルの上端部に、混合ガスの燃焼により生じる燃焼熱が伝熱することを抑制でき、燃料電池セルの上端部の温度が過度に上昇することを抑制することができる。それにより、燃料電池セルの劣化や破損を抑制することができる。
また、本発明のセルスタック装置は、前記混合流路が、前記排気口に向けて先細りの形状となっていることが好ましい。
このようなセルスタック装置においては、蓋状部材に設けられた混合流路が、排気口に向けて先細りの形状となっていることから、混合流路内にて、燃料電池セルの発電に使用されなかった第1の反応ガスと第2の反応ガスとがの燃焼が行なわれることを抑制できることから、燃料電池セルの上端部の温度が過度に上昇することを抑制でき、燃料電池セルの一部の劣化や破損を抑制することができる。
また、本発明のセルスタック装置は、前記セルスタックを構成するそれぞれの前記燃料電池セルに対応する前記蓋状部材を複数個備えてなり、それぞれの前記蓋状部材が、前記セルスタックを構成するそれぞれの前記燃料電池セルの上端部に非接合状態にてそれぞれ配置されているとともに、前記燃料電池セルの配列方向における前記セルスタックの両端側からそれぞれの前記蓋状部材を挟み込むことにより、それぞれの前記蓋状部材を固定するための固定部材を備えることが好ましい。
このようなセルスタック装置においては、蓋状部材がセルスタックを構成する燃料電池セルの上端部に非接合状態にてそれぞれ配置されている、すなわち燃料電池セルの上方より蓋状部材を被せることで配置することができることから、燃料電池セルと蓋状部材とを接合するための工程等が不要となり、製造コストを削減することができる。
ここで、それぞれの蓋状部材を燃料電池セルの配列方向におけるセルスタックの両端側から挟み込むことにより各蓋状部材を固定するための固定部材を備えていることから、蓋状部材を効果的に固定することができる。
本発明の燃料電池モジュールは、収納容器内に上記のセルスタック装置を収納してなることを特徴とすることから、燃料電池セルの劣化や破損を抑制することができ、長期信頼性の向上した燃料電池モジュールとすることができる。
本発明の燃料電池装置は、上記の燃料モジュールと、燃料電池モジュールを作動させるための補機とを、外装ケース内に収納してなることから、長期信頼性の向上した燃料電池装置とすることができる。
本発明のセルスタック装置は、燃料電池セルの上端部に、燃料電池セルの一方側主面および他方側主面のそれぞれと空間を形成し、該空間を燃料電池セル間に供給される第2の反応ガスが流れるための第2の反応ガス流路とするとともに、該第2の反応ガス流路を流れた第2の反応ガスと第1の反応ガス流路より排出される第1の反応ガスとを混合する混合流路を備え、上面に、混合流路を流れて混合された混合ガスを排出するための排気口を備えるとともに、セラミックス材料にて形成されている蓋状部材が設けられていることから、燃料電池セルの発電に使用されなかった第1の反応ガスと第2の反応ガスとを効率よく混合することができ、混合された混合ガスを蓋状部材の排気口の上方にて効率よく燃焼させることができる。また、蓋状部材をセラミックス材料にて形成することにより、燃料電池セルの上端部に、混合ガスの燃料により生じる燃焼熱が伝熱することを抑制できることから、燃料電池セルの上端部の温度が過度に上昇することを抑制でき、燃料電池セルの劣化や破損を抑制することができる。あわせて、このセルスタック装置を収納容器内に収納することで、長期信頼性が向上した燃料電池モジュールとすることができ、さらにこの燃料電池モジュールと燃料電池モジュールを動作させるための補機とを外装ケース内に収納することで、長期信頼性が向上した燃料電池装置とすることができる。
図1は、本発明のセルスタック装置の一例を示し、(a)はセルスタック装置を概略的に示す側面図、(b)は(a)のセルスタック装置1の一部を蓋状部材をはずした状態で拡大して示す平面図であり、(a)で示した点線枠で囲った部分を抜粋して示している。なお、以降の図において同一の部材については同一の番号を付するものとする。
ここで、セルスタック装置1は、内部に第1の反応ガス流路9を有して、一対の対向する平坦面をもつ扁平状の導電性支持体10の一方の平坦面上に内側電極層11と、固体電解質層12と、外側電極層13とをこの順に積層してなるとともに、他方の平坦面のうち外側電極層13が形成されていない部位にインターコネクタ14を積層してなる柱状(中空平板状)の燃料電池セル3を、間に集電部材4を介して立設させた状態で配置することで、燃料電池セル3同士を電気的に直列に接続してなるセルスタック2を備えている。
また、インターコネクタ14の外面にはP型半導体層15を設けることもできる。集電部材4を、P型半導体層15を介してインターコネクタ14に接続させることより、両者の接触がオーム接触となって電位降下を少なくし、集電性能の低下を有効に抑制することができる。このP型半導体層15は、外側電極層13の外面に設けることもできる。
そして、セルスタック2を構成する各燃料電池セル3の下端部が、第1の反応ガス流路9を介して燃料電池セル3に第1の反応ガスを供給するためのマニホールド7にガラスシール材(図示せず)等の接合材により固定されている。
なお、図1に示すセルスタック装置1においては、燃料電池セル3として、第1の反応ガス流路9内に燃料ガス(水素含有ガス)を流すとともに、内側電極層11として燃料極層、外側電極層13として空気極層を設けてなる固体酸化物形の燃料電池セル3を示しており、マニホールド7より第1の反応ガスとして燃料ガスを供給し、隣り合う燃料電池セル3間に第2の反応ガスとして酸素含有ガス(空気等)を供給することで、燃料電池セル3の発電が行なわれる。以下の説明において第1の反応ガスとして燃料ガスを、第2の反応ガスとして酸素含有ガスを用いる場合を例示して説明する。
また、セルスタック装置1は、燃料電池セル3の配列方向の両端から集電部材4を介してセルスタック2を挟持するように、マニホールド7に下端が固定された弾性変形可能な導電部材5を具備している。ここで、図1に示す導電部材5においては、燃料電池セル3の配列方向に沿って外側に向けて延びた形状で、セルスタック2(燃料電池セル3)の発電により生じる電流を引出すための電流引出し部6が設けられている。
このようなセルスタック装置においては、燃料電池セル3の上端部側にて、第1の反応ガス流路9より排出され、燃料電池セル3の発電で使用されなかった燃料ガスを燃焼させる構成とすることにより、燃料電池セル3の温度を上昇させるまたは高温に維持することができ、燃料電池セル3(セルスタック装置1)の発電を効率よく行なうことができる。
ここで、図1に示すセルスタック装置1においては、各燃料電池セル3の上端部に蓋状部材8が配置され、これら各蓋状部材8は、セルスタック2を挟持するように配置された導電部材5により挟持されている。なお、蓋状部材8については後述する。
以下に、図1において示す燃料電池セル3を構成する各部材について説明する。
燃料極層11は、一般的に公知のものを使用することができ、多孔質の導電性セラミックス、例えば希土類元素が固溶しているZrO2(安定化ジルコニアと称する)とNiおよび/またはNiOとから形成することができる。
固体電解質層12は、電極間の電子の橋渡しをする電解質としての機能を有していると同時に、燃料ガスと酸素含有ガスとのリークを防止するためにガス遮断性を有することが必要とされ、3〜15モル%の希土類元素が固溶したZrO2から形成される。なお、上記特性を有する限りにおいては、他の材料等を用いて形成してもよい。
空気極層13は、一般的に用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、いわゆるABO3型のペロブスカイト型酸化物からなる導電性セラミックスから形成することができる。空気極層13はガス透過性を有していることが必要であり、開気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲にあることが好ましい。
インターコネクタ14は、導電性セラミックスから形成することができるが、燃料ガス(水素含有ガス)および酸素含有ガス(空気等)と接触するため、耐還元性及び耐酸化性を有することが必要であり、それゆえランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO3系酸化物)が好適に使用される。インターコネクタ14は導電性支持体10に形成された複数の第1の反応ガス流路9を流通する燃料ガス、および導電性支持体10の外側を流通する酸素含有ガスのリークを防止するために緻密質でなければならず、93%以上、特に95%以上の相対密度を有していることが好ましい。
導電性支持体10としては、燃料ガスを燃料極層11まで透過するためにガス透過性であること、さらには、インターコネクタ14を介して集電するために導電性であることが要求される。したがって、導電性支持体10としては、かかる要求を満足するものを材質として採用する必要があり、例えば導電性セラミックスやサーメット等を用いることができる。
なお、燃料電池セル3を作製するにあたり、燃料極層11または固体電解質層12との同時焼成により導電性支持体10を作製する場合においては、鉄属金属成分と特定希土類酸化物とから導電性支持体10を形成することが好ましい。また、導電性支持体10は、所要ガス透過性を備えるために開気孔率が30%以上、特に35〜50%の範囲にあるのが好適であり、そしてまたその導電率は300S/cm以上、特に440S/cm以上であるのが好ましい。
さらに、P型半導体層15としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物からなる層を例示することができる。具体的には、インターコネクタ14を構成するランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO3系酸化物)よりも電子伝導性が大きいもの、例えば、BサイトにMn、Fe、Coなどが存在するLaMnO3系酸化物、LaFeO3系酸化物、LaCoO3系酸化物などの少なくとも一種からなるP型半導体セラミックスを使用することができる。このようなP型半導体層15の厚みは、一般に、30〜100μmの範囲にあることが好ましい。
なお、図示はしていないが、固体電解質層12と空気極層13との間に、固体電解質層12と空気極層13との接合を強固とするとともに、固体電解質層12の成分と空気極層13の成分とが反応して電気抵抗の高い反応層が形成されることを抑制する目的で、Ce(セリウム)と他の希土類元素(SmやGd等)とを含有する組成にて形成される中間層を備えることもできる。
さらに、図示はしていないが、インターコネクタ14と導電性支持体10との間に、インターコネクタ14と導電性支持体10との間の熱膨張係数差を軽減する等のために、燃料極層11と類似した組成の密着層を設けることもできる。
ところで、上述のセルスタック装置1において、燃料電池セル3の上端部側にて、第1の反応ガス流路9より排出され、燃料電池セル3の発電で使用されなかった燃料ガスを燃焼させる場合に、燃料電池セル3の上端部側の温度が過度に上昇し、燃料電池セル3の一部(特に上端部側)が劣化や破損するおそれがあった。
また、導電性支持体10の内部に設けられた第1の反応ガス流路9より排出される燃料電池セル3の発電に使用されなかった燃料ガスと、隣り合う燃料電池セル3間を流れ、燃料電池セル3の発電に使用されなかった酸素含有ガスとが、これらの各ガスの拡散により混合されて燃焼されることから、燃料電池セル3の発電に使用されなかった燃料ガスを効率よく燃焼させることが難しくなるおそれがあった。
それゆえ、本発明のセルスタック装置1においては、燃料電池セル3の上端部に蓋状部材8が配置されている。
図2は、セルスタック装置1を構成する燃料電池セル3と蓋状部材8とを抜粋して概略的に示す斜視図であり、図3(a)は図2に示す燃料電池セル3と蓋状部材8との断面図であり、(b)はセルスタック装置1の他の例における燃料電池セル3と蓋状部材8との断面図である。
蓋状部材8は、断面図において四角形状から凸形状がくり貫かれたような形状とされている。このような蓋状部材8を燃料電池セル3の上端部に配置した場合に、蓋状部材8の内側と、燃料電池セル3の一方側主面および他方側主面(平坦面)のそれぞれとの間に、隣り合う燃料電池セル3間(燃料電池セル3の外側)に供給されて、燃料電池セル3の発電に使用されなかった酸素含有ガス(第2の反応ガス)が流れる空間(第2の反応ガス流路16)が形成される。
また、蓋状部材8の内側においては、燃料電池セル3の上方に、燃料電池セル3の発電に使用されなかった燃料ガスが流れるための流路が形成されている。ここで、この流路は、第2の反応ガス流路と接続されていることから、第2の反応ガス流路を流れる燃料電池セル3の発電に使用されなかった酸素含有ガスと、燃料電池セル3の発電に使用されなかった燃料ガスとが混合される混合流路17となる。それゆえ、燃料電池セル3の発電に使用されなかった燃料ガスと酸素含有ガスとを効率よく混合することができる。
そして、混合流路17を流れた混合ガスは、蓋状部材8の上面に設けられた排気口18より排気されて燃焼される。それゆえ、燃料電池セル3の発電で使用されなかった燃料ガスを燃焼させる構成のセルスタック装置1において、燃料電池セル3の発電で使用されなかった燃料ガスは、燃料電池セル3の発電で使用されなかった酸素含有ガスと効率よく混合された後、主に排気口18の上方にて燃焼されることとなる。それゆえ、燃料電池セル3の発電に使用されなかった燃料ガスと酸素含有ガスとが効率よく混合された混合ガスを燃焼することで、効率よく燃焼し、燃料電池セル3の温度を効率よく上昇するまたは高温に維持することができる。
また、燃料電池セル3の発電で使用されなかった燃料ガスは、燃料電池セル3の発電で使用されなかった酸素含有ガスと効率よく混合された後、主に排気口18の上方にて燃焼されることから、混合ガスは燃料電池セル3の上端と距離を有して燃焼されることとなる。それにより、燃料電池セル3の発電で使用されなかった燃料ガスの燃焼に伴って生じる燃焼熱が、直接的に燃料電池セル3の上端部に伝熱することが抑制されることから、燃料電池セル3の上端部が過度に高温となることを抑制でき、燃料電池セル3の劣化や破損を抑制することができる。
また、蓋状部材8は、熱伝導率が低くかつ耐熱性を有するセラミックス材料にて形成されていることから、排気口18の上方での燃料電池セル3の発電で使用されなかった燃料ガスの燃焼に伴って生じる燃焼熱が、燃料電池セル3の上端部に伝熱することをさらに抑制することができる。それゆえ、燃料電池セル3の上端部が過度に高温となることを抑制でき、燃料電池セル3の劣化や破損を抑制することができる。
蓋状部材8を形成するためのセラミックス材料としては、熱伝導率が低くかつ耐熱性を有するセラミックス材料を用いることが好ましく、例えば、シリカ、アルミナ、マグネシア、ジルコニア等のセラミックス材料を例示することができる。なお、これらセラミックス材料は、希土類元素が固溶された部分安定化セラミックス材料や安定化セラミックス材料とすることもできる。
ここで、混合流路17の入口の大きさ(断面積)が、排気口18の大きさよりも小さい場合には、混合ガスの燃焼が混合流路17内でも生じる可能性がある。この場合に、燃料電池セル3の劣化や破損を効果的に抑制することができないおそれがある。
それゆえ、図3(b)に示す蓋状部材8においては、混合流路19が、排気口18に向けて先細りの形状とされている。それにより、混合ガスの燃焼が混合流路内で生じることを抑制でき、燃料電池セル3の劣化や破損をより抑制することができる。
また、上述の蓋状部材8は、セルスタック2を構成する燃料電池セル3の上端部に配置されていればよい。そのため、図1においては、セルスタック2を構成する燃料電池セル3に対応する蓋状部材8を複数個備えてなり、各蓋状部材8を各燃料電池セル3のぞれぞれの上端部に配置してなるセルスタック装置1の一例を示したが、これらの各蓋状部材8を一体的な形状とすることもできる。この場合には、セルスタック装置1の作製工程において、工程を簡略化することができる。
ところで、セルスタック装置1の運転に伴い、燃料電池セル3に反り等の変形が生じる場合がある。ここで、燃料電池セル3の上端部に蓋状部材8を接合して配置すると、燃料電池セル3の上端部に応力が生じ、燃料電池セル3に破損が生じる可能性がある。
また、各燃料電池セル3に対応する蓋状部材8を複数個備え、各蓋状部材8を各燃料電池セル3の上端部に配置するように構成するセルスタック装置1において、各蓋状部材8を各燃料電池セル3の上端部に接合して構成する場合においては、製造工程が煩雑となるおそれがある。
それゆえ、本発明のセルスタック装置1においては、蓋状部材8を各燃料電池セル3の上端部に非接合状態にてそれぞれ配置するように構成することが好ましい。具体的には、図2に示したように、蓋状部材8の内壁の一部が、燃料電池セル3の両端部側(導電性支持体10のうち、端部に配置された反応ガス流路9よりも外側に位置する部位)に接するようにして配置することが好ましい。それにより、燃料電池セル3の上端部に生じる応力を緩和でき、燃料電池セル3に破損が生じることを抑制できる。
ここで、特に、各燃料電池セル3に対応する蓋状部材8を複数個備える構成のセルスタック装置1においては、各燃料電池セル3の上端部に、非接合状態にて各蓋状部材8を配置すると、蓋状部材8が容易に可動できることから、蓋状部材8の安定性が悪くなるおそれがある。それゆえ、セルスタック装置1に各蓋状部材8を燃料電池セル3の配列方向に沿ったセルスタック2の両端側から挟み込むための固定部材を設けることが好ましい。それにより、各蓋状部材8を安定的に各燃料電池セル3の上端部に配置することができる。なお、図1に示すセルスタック装置1においては、導電部材5が固定部材の役割を果たしている例を示しているが、別途固定部材を設けることも可能である。
この場合に、固定部材(導電部材5)を弾性変形可能な部材として構成することが好ましい。それにより、燃料電池セル3に反り等の変形が生じた場合であっても、固定部材(導電部材5)が弾性変形することにより、燃料電池セル3の上端部に生じる応力を緩和できるとともに、各蓋状部材8を安定的に各燃料電池セル3の上端部に配置することができる。
図4は、本発明のセルスタック装置1を収納容器内に収納してなる燃料電池モジュール20(以下、モジュールと略す場合がある。)の断面図である。なお、モジュール20は、図6に示した燃料電池モジュール40と同様の外観であり、図6に示したセルスタック装置47を構成する各燃料電池セル42の上に蓋状部材8が配置された構成となる。
モジュール20を構成する収納容器21は、内壁22と外壁23とを有する二重構造で、外壁23により収納容器21の外枠が形成されるとともに、内壁22によりセルスタック2(セルスタック装置1)を収納する発電室24が形成されている。なお、発電室24には、マニホールド7を介して燃料電池セル3に供給する燃料ガスを生成するための気化部と改質触媒を収納してなる改質部とを備える改質器29が配置されている。改質器29の形状は図6に示した改質器45と同様である。
また、モジュール20(収納容器21)においては、内壁22と外壁23との間を、燃料電池セル3に導入する酸素含有ガスが流通するガス流路としている。
ここで内壁22には、内壁22の上面よりセルスタック2の側面側にまで延び、内壁22と外壁23とで形成されるガス流路に通じて、セルスタック2(燃料電池セル3)に酸素含有ガスを導入するための反応ガス導入部材30が備えられている。また、反応ガス導入部材30の下端に、燃料電池セル3の配列方向に沿って、燃料電池セル3の下端部に酸素含有ガスを導入するための反応ガス導入口25が設けられている。
図2においては、反応ガス導入部材30が、収納容器21の内部に横並びに並置された2つのセルスタック2間に位置するように配置されているが、セルスタック2の数により、例えば反応ガス導入部材30をセルスタック2の両側面側から挟み込むように配置してもよい。具体的には、セルスタック2を1つだけ備えるセルスタック装置1を収納する場合には、反応ガス導入部材30を2つ設け、セルスタック2を両側面側から挟み込むように配置することができる。
また発電室24内には、モジュール20内の熱が極端に放散され、燃料電池セル3(セルスタック2)の温度が低下して発電量が低減しないよう、モジュール20内の温度を高温に維持するために、板状やブランケット等の形状の断熱材26が適宜設けられている。
断熱材26は、セルスタック2の近傍に配置することが好ましく、特には、燃料電池セル3の配列方向に沿ってセルスタック2の側面側に配置するとともに、セルスタック2の側面の外形と同等またはそれ以上の大きさを有する断熱材26を配置することが好ましい。なお、好ましくは、断熱材26はセルスタック2の両側面側に配置することが好ましい。それにより、セルスタック2の温度が低下することを効果的に抑制できる。さらには、反応ガス導入部材30より導入される酸素含有ガスが、セルスタック2の側面側より排出されることを抑制でき、セルスタック2を構成する燃料電池セル3間の酸素含有ガスの流れを促進することができる。
この場合において、セルスタック2の側面に配置される断熱材26は、その上端が蓋状部材8の下端と接して配置するような大きさとすることができる。それにより、燃料電池セル3の外側より供給され、燃料電池セル3の発電に使用されなかった酸素含有ガスを、蓋状部材8の第2の反応ガス流路16に効率よく流すことができる。
また、燃料電池セル3の配列方向に沿った内壁22の内側には、排ガス用内壁27が設けられており、内壁22と排ガス用内壁27との間が、発電室24内の排ガスが上方から下方に向けて流れる排ガス流路とされている。なお、排ガス流路は、収納容器21の底部に設けられた排気孔28と通じている。
ここで、燃料電池セル3の発電に使用されずに、蓋状部材8の第2の反応ガス流路18を流れた酸素含有ガスと、燃料電池セル3の発電に使用されずに、第1の反応ガス流路9より排出される燃料ガスとが、蓋状部材8の混合流路19を流れた後に、排気口18より排出される。
そのため、燃料電池セル3の発電に使用されなかった燃料ガスと酸素含有ガスとは、蓋状部材8の上方で、改質器29との間の領域にて燃焼されることとなる。なお、図4においては、この燃焼領域を一点鎖線にて示している。それにより、燃料電池セル3の温度を上昇させることができ、セルスタック装置1の起動を早めることができる。あわせて、燃料電池セル3(セルスタック2)の上方に配置された改質器6を温めることができ、改質器6で効率よく改質反応を行なうことができる。
また、燃料電池セル3の上端部に蓋状部材8を配置していることから、燃料電池セル3の上端部が過度に高温となることを抑制でき、燃料電池セル3の劣化や破損を抑制することができる。それにより、長期信頼性の向上したモジュール20とすることができる。
なお、図示してはいないが、セルスタック2の上方には、蓋状部材8の排気口18より排出される混合ガスを燃焼させるための着火装置を備えることが好ましい。着火装置としては、例えば、着火ヒーターやバーナー等を用いることができる。
図5は、外装ケース内に図4で示したモジュール20と、モジュール20を動作させるための補機(図示せず)とを収納してなる本発明の燃料電池装置の一例を示す分解斜視図である。なお、図5においては一部構成を省略して示している。
図5に示す燃料電池装置31は、支柱32と外装板33から構成される外装ケース内を仕切板34により上下に区画し、その上方側を上述したモジュール20を収納するモジュール収納室35とし、下方側をモジュール20を動作させるための補機を収納する補機収納室36として構成されている。なお、補機収納室36に収納する補機を省略して示している。
また、仕切板34には、補機収納室36の空気をモジュール収納室35側に流すための空気流通口38が設けられており、モジュール収納室35を構成する外装板33の一部に、モジュール収納室35内の空気を排気するための排気口38が設けられている。
このような燃料電池装置31においては、燃料電池セル3の劣化や破損を抑制することができ、長期信頼性が向上したモジュール20を収納してなることから、長期信頼性が向上した燃料電池装置31とすることができる。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
例えば、上述したセルスタック装置1においては、第1の反応ガスとして燃料ガスを、第2の反応ガスとして酸素含有ガスを用いる場合について例示したが、第1の反応ガスとして酸素含有ガスを、第2の反応ガスとして燃料ガスを用いる構成とすることもできる。この場合においては、燃料電池セル3の第1の反応ガス流路9に燃料ガスを供給し、第2の反応ガス流路に酸素含有ガスを供給する例を示したが、反応ガス流路13に酸素含有ガスを供給し、燃料電池セル3の外側に燃料ガスを供給する構成としてもかまわない。その場合においては、内側電極層を空気極層11とし、外側電極層を燃料極層12とする構成の燃料電池セル3とすればよい。またこの場合において、モジュール20を構成する収納容器21は適宜構成を変更すればよい。
1:セルスタック装置
2:セルスタック
3:燃料電池セル
5:導電部材
8:蓋状部材
9:第1の反応ガス流路
16:第2の反応ガス流路
17、19:混合流路
18:排気口
20:燃料電池モジュール
31:燃料電池装置
2:セルスタック
3:燃料電池セル
5:導電部材
8:蓋状部材
9:第1の反応ガス流路
16:第2の反応ガス流路
17、19:混合流路
18:排気口
20:燃料電池モジュール
31:燃料電池装置
Claims (5)
- 内部に第1の反応ガスを流すための第1の反応ガス流路を有する扁平状の導電性支持体の一方側主面に、内側電極層、固体電解質層、外側電極層がこの順に設けられ、他方側主面にインターコネクタが設けられてなる燃料電池セルを、間に集電部材を介して複数個を立設させた状態で配列してなるとともに、隣り合う前記燃料電池セル間に供給される第2の反応ガスと前記第1の反応ガスとにより前記燃料電池セルにて発電を行なう構成のセルスタックと、前記燃料電池セルの下端を固定するとともに、前記燃料電池セルに第1の反応ガスを供給するためのマニホールドとを備え、前記燃料電池セルの上端の上方にて、該燃料電池セルの発電に使用されなかった前記第1の反応ガスと前記第2の反応ガスとを燃焼させる構成のセルスタック装置であって、
前記燃料電池セルの上端部に蓋状部材が配置されており、
該蓋状部材は、前記燃料電池セルの前記一方側主面および前記他方側主面のそれぞれと空間を形成し、該空間を隣り合う前記燃料電池セル間に供給される第2の反応ガスが流れるための第2の反応ガス流路とするとともに、該第2の反応ガス流路を流れた前記第2の反応ガスと前記第1の反応ガス流路より排出される前記第1の反応ガスとを混合する混合流路とを備え、上面に、前記混合流路を流れて混合された混合ガスを排出するための排気口を備えるとともに、セラミックス材料にて形成されていることを特徴とするセルスタック装置。 - 前記混合流路が、前記排気口に向けて先細りの形状となっていることを特徴とする請求項1に記載のセルスタック装置。
- 前記セルスタックを構成するそれぞれの前記燃料電池セルに対応する前記蓋状部材を複数個備えてなり、それぞれの前記蓋状部材が、前記セルスタックを構成するそれぞれの前記燃料電池セルの上端部に非接合状態にてそれぞれ配置されているとともに、前記燃料電池セルの配列方向における前記セルスタックの両端側からそれぞれの前記蓋状部材を挟み込むことにより、それぞれの前記蓋状部材を固定するための固定部材を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセルスタック装置。
- 収納容器内に、請求項1乃至請求項3のうちいずれかに記載のセルスタック装置を収納してなることを特徴とする燃料電池モジュール。
- 請求項4に記載の燃料電池モジュールと、該燃料電池モジュールを作動させるための補機とを、外装ケース内に収納してなることを特徴とする燃料電池装置。
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