JP5308732B2 - 航空機用ラジアルタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、航空機用ラジアルタイヤ、特にタイヤの軽量化を実現させつつ、タイヤのビード部の耐久性を向上させた航空機用ラジアルタイヤに関するものである。
航空機用ラジアルタイヤは、10気圧を超える非常に高い充填内圧が公的規格により定められている上、使用に当って、30%を超える大きな撓み変形を受けることから、高度な信頼性を確保するため、正規内圧の四倍以上の安全率をとることが必要とされている。
このため、多くは、有機繊維コードからなるカーカスプライの複数枚を重畳配置して、ラジアルカーカスを構成することにより、タイヤへの、高い耐圧性と、高い耐久性の要求とを満足させている。
ところで、撓みが30%を超える条件の下で使用される航空機用ラジアルタイヤのビード部ではタイヤの回転毎にリムフランジと接触する領域が、倒れこみ変形および復元を繰り返すので、その領域に配設されるラジアルカーカス部分には、走行毎に繰り返される変形に耐え得るような素材、構造を採用することが必須となっている。
この一方で、航空機メーカーからはタイヤの重量低減の厳しい要求が課せられており、タイヤ性能と、タイヤの軽量化の両立がタイヤ設計上重要な課題となっている。
これがため、例えば、特許文献1には、耐久性の向上を図ってなおタイヤの軽量化をも達成することを目的として、カーカスプライを構成するコードとして、従来の6,6ナイロンコード等に変えて、より高強度、高弾性率の有機繊維コード、例えばポリケトン繊維コードを採用し、優れた耐久性の下で、カーカスプライの枚数を減少させて、タイヤの重量を低減させた空気入りラジアルタイヤが提案されている。
しかるに、このような従来のタイヤでは、カーカスプライを構成するコードを、弾性率の高いコードとしてなお、走行時のビード部の繰り返し屈曲等により、そのコードが疲労し、ときに破断に至るおそれがあり、所期したほどの高い耐久性を実現することができない懸念があった。
特開2007−190963号公報
この点につき鋭意検討したところ、ビード部の耐久性に関して、高い弾性率を有するコードでは、荷重負荷時のビード部の変形により、タイヤ幅方向外側に配置されたカーカスプライを構成するコードに長手方向の圧縮力が作用し、この圧縮力がコードの疲労、破断の原因になっているとの知見を得た。
そこで、本発明の目的は、特にタイヤの軽量化を実現させつつ、タイヤのビード部の耐久性を向上させた航空機用ラジアルタイヤを提供することにある。
この発明にかかる航空機用ラジアルタイヤは、一対のビードコアと、これらビードコア間にトロイド状に延在し、タイヤ赤道面に対して70〜90°の範囲の角度で延びる複数本の有機繊維コードからなる少なくとも二枚のカーカスプライにて構成したラジアルカーカスとを具え、このラジアルカーカスが、側部部分を各ビードコアの周りに、タイヤ幅方向の内側から外側へ巻上げた一枚以上のターンアッププライと、このターンアッププライの巻上げ部分を覆って半径方向内方に延びて、ビードコアの周りに到る一枚以上のダウンプライとを有するものであって、少なくとも一枚のカーカスプライを構成する有機繊維コードの引張り破断強度を10.0〜20.0cN/dtexの範囲とするとともに、2.1cN/dtexの引張力作用時の伸度を1.0〜5.0%の範囲とし、適用リムに組付けて、内圧が0kPaの状態から、正規内圧を充填し、規定の質量に対応する負荷を加えることによって、タイヤビード部外表面をリムフランジに密着させるに至るまで間の、そのビード部外表面の変形率Rと、正規内圧を充填し、正規荷重を負荷したタイヤ姿勢における、ビード部外表面の、リムフランジからの離反点位置での、内圧を0kPaとした状態のラジアルカーカスの厚さLとが、
2.0<R/L<4.0
の関係を満たしてなるポリケトン繊維コードである。
ここで、「破断強度」とは、JIS L 1017に準拠した引張り試験を行って測定した結果によって算出した値を意味する。
「伸度」とは、JIS L 1017に準拠した引張り試験を行って測定した結果によって算出した値を意味する。
「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、欧州では、ETRTO(European Tyre and Rim Technical Organisation) STANDARD MANUAL、米国ではTRA(THE TIRE and RIM ASSOCIATION INC.)YEAR BOOK等に規定されたリムをいうものとする。
また、「正規内圧」および「規定の質量」とは、それぞれTRA等に記載の、適用サイズにおける最大負荷能力に対応する空気圧および最大負荷能力をいうものとする。
本発明の航空機用ラジアルタイヤでは、タイヤ内に充填する気体としては、通常のもしくは酸素分圧を変えた空気、または、窒素等の不活性ガスを用いることができる。
そして、「変形率R」とは、図1に示すように、適用リムに組み付けたビード部外表面の、タイヤ内圧が0kPaの状態での、ビード部外表面の、リムフランジからの離反点Aと、図2に示すように、正規内圧を充填するとともに、規定の質量に対応する負荷を加えたタイヤ姿勢で、ビード部外表面の同様の離反点Cまでを結ぶ曲率半径R(A〜B〜C(BはA〜C曲線の中点))と、正規内圧を充填し、正規荷重を負荷したタイヤ姿勢での曲率半径となるリムフランジの曲率半径R(A〜B〜C(BはA〜C曲線の中点))とにより、1/R=1/R−1/Rを定めたものである。
「ラジアルカーカスの厚さL」は、離反点Cから、図1に示すように、内圧が0kPaの状態のカーカスプライへの直交する仮想線の厚さをいうものとする。
この変形率Rは、タイヤ内圧が0kPaと、正規内圧、規定の質量に対応する負荷を加えた時との間のビード部外表面の曲率変化から求められるものであり、荷重時の曲率はリムフランジの曲率1/Rとなるため、ビード部外表面がリムフランジによる拘束下で倒れ込み変形等される際の、近似的な曲率である。ラジアルカーカスの厚さLは、ビード部の倒れこみによりラジアルカーカスに倒れ込み変形が生じたときに、ラジアルカーカスの厚さLに比例するカーカスプライの内層と外層との間のペリフェリ差に起因する歪差の発生に関与する。
すなわち、タイヤ幅方向外側に配置されるカーカスプライを構成するコードの長手方向への圧縮力を抑制するためには、変形率Rを大きくし、ラジアルカーカスの厚さLを小さくすることが有効であり、変形率R/Lを指標として、タイヤのビード部の耐久性を向上させることができる。
このようなタイヤでより好ましくは、一枚以上のカーカスプライの有機繊維コードの熱収縮応力σと弾性率Eが下記式(1)および式(2):
σ≧−0.01E+1.2・・・(1)
σ≧0.02・・・(2)
[式中、σは177°Cにおける熱収縮応力(cN/dtex)であり、Eは25°Cにおける49cN荷重時の弾性率(cN/dtex)である。]
の関係を満たすものとする。
ここで、熱収縮応力σとは、一般的なディップ処理を施した加硫前のポリケトン繊維コードの25cmの長さサンプルを、5℃/分の昇温速度で加熱して、177℃で2分間加熱したときのコードに発生する応力(cN/dtex)をいうものとする。弾性率Eとは、JIS L 1017 8.5のコード引張り試験によるSSカーブの49cN時の接線から算出した弾性率(cN/dtex)をいうものとする。
また好ましくは、ポリケトン繊維コードの熱収縮応力を、0.4〜1.5cN/dtexとする。
ポリケトンを、一酸化炭素と、少なくとも一種の不飽和炭化水素との共重合体とし、より好ましくは、その不飽和炭化水素を、エチレンとする。
本発明の航空機用ラジアルタイヤは、少なくとも一枚のカーカスプライを構成する有機繊維コードの引張り破断強度を10.0〜20.0cN/dtexの範囲とするとともに、2.1cN/dtexの引張力作用時の伸度を1.0〜5.0%の範囲の高強度、高弾性コードとすることにより、コード径、カーカスプライ数の低減等に基づいて、タイヤ重量の増加を抑えることができる。
すなわち、そのコードの引張り破断強度が10.0cN/dtex未満では、航空機用タイヤに要求される安全率を達成するために、より多くのプライ枚数、太いコード径等が必要となり、タイヤ重量の増加を招くことになり、一方、20.0cN/dtexを超えると、対となる位置のタイヤがパンクした等の厳しい条件下で走行を続けたときに、ベルト部やビードワイヤ等からタイヤ破裂を引き起こすおそれがある。
また、伸度が1.0%未満では、荷重負荷時のビード部の倒れこみ時にカーカスプライの内層と外層との間のコード強力差が大きくなり、カーカスプライ端でセパーレーションを引き起こすおそれがあり、5.0%を超えると、内圧充填時にタイヤの半径方向、幅方向への膨出量が増加し、耐圧性を損なうおそれがある。
そして、適用リムに組付けて、内圧が0kPaの状態から、正規内圧を充填し、規定の質量に対応する負荷を加えることによって、タイヤビード部外表面をリムフランジに密着させるに至るまで間の、そのビード部外表面の変形率Rと、正規内圧を充填し、正規荷重を負荷したタイヤ姿勢における、ビード部外表面の、リムフランジからの離反点位置での、内圧を0kPaとした状態のラジアルカーカスの厚さLとが、
2.0<R/L<4.0
の関係を満たすことで、荷重が負荷された時のビード部の倒れこみによる、タイヤ幅方向外側に配置されるカーカスプライを構成するコードの長手方向への圧縮力を効果的に抑制することができる。
すなわち、R/Lが2.0未満では、荷重負荷時のビード部の倒れこみにより、タイヤ幅方向外側に配置されるカーカスプライを構成するコードに圧縮力が加わり、走行中のコード疲労を伴うことになり、R/Lが4.0を超えると、荷重負荷時のビード部とリムフランジの接触圧が大きくなり、走行時にビード背面部にクラックが発生するおそれがある。
以下に、図面を参照しながら本発明の航空機用ラジアルタイヤを詳細に説明する。
図3は、本発明の航空機用ラジアルタイヤの一の実施形態を示す幅方向段面図であり、図4は図3のタイヤを適用リムに組み付けて内圧が0kPaのときのビード部をより詳細に示す要部拡大断面図である。
図中1はトレッド部を、2はトレッド部1の側部に連続して半径方向内方に延びる一対のサイドウォール部を、3は各サイドウォール部2の内周側に連続させて設けたビード部をそれぞれ示す。
ここに示すタイヤは、一対のビード部3内に埋設した、ビードコア4と、これらビードコア4間に、トロイド状に延在し、タイヤ赤道面に対して70〜90°の範囲の角度で延びる複数本の有機繊維コードからなる、カーカスプライ5にて構成したラジアルカーカスを具える。
また、ラジアルカーカスのクラウン域の外周側に、四層のコード交錯ベルト層からなるベルト6、タイヤ周方向にジグザグ状に延びるコード等からなるベルト保護層7およびトレッドゴム8を順次に配置し、このトレッドゴム8の表面には、例えば、タイヤ周方向に延びる複数本の周溝等を形成する。
ここにおけるラジアルカーカスは、カーカスプライ5のうち、側部部分を各ビードコア4の周りに、タイヤ幅方向の内側から外側へ巻上げてなるターンアッププライ5aと、これらのターンアッププライ5aの、ビードコア4に対する巻上げ部分を覆って半径方向内方に延びて、少なくとも、ビードコア4の半径方向内方部分まで延在する、ダウンプライ5bとからなる、いわゆるアップダウン構造を有する。
このようなアップダウン構造とすることにより、ターンアッププライ5aおよびダウンプライ5bのそれぞれに働くビードコア4の周りの張力の相殺による、それら相互の引き抜け拘束力の作用下で、カーカスプライ5が引き抜けるのを有効に防止することができる。
その結果、航空機用ラジアルタイヤに求められる耐圧性、耐荷重性等を十分に確保することができる。
そしてこの航空機用ラジアルタイヤでは、少なくとも一枚のカーカスプライ5を構成する有機繊維コードの引張り破断強度を10.0〜20.0cN/dtexの範囲とするとともに、2.1cN/dtexの引張力作用時の伸度を1.0〜5.0%の範囲とし、適用リムに組付けて、内圧が0kPaの状態から、正規内圧を充填し、規定の質量に対応する負荷を加えることによって、タイヤビード部外表面をリムフランジに密着させるに至るまで間の、そのビード部外表面の変形率Rと、正規内圧を充填し、正規荷重を負荷したタイヤ姿勢における、ビード部外表面の、リムフランジからの離反点C位置での、内圧を0kPaとした状態のラジアルカーカスの厚さLとが、
2.0<R/L<4.0
の関係を満たす。
上記条件を満足する、カーカスプライ5を構成するコード材料としては、綿、レーヨン、セルロースなどの天然高分子繊維、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリベンゾアゾール、ポリケトン等の合成高分子繊維が好適に用いられる。これらの繊維は、単独であるいは複数の繊維を混合して使用することができる。
この航空機用ラジアルタイヤでより好ましくは、一枚以上のカーカスプライ5の有機繊維コードの熱収縮応力σと弾性率Eが下記式(1)および式(2):
σ≧−0.01E+1.2・・・(1)
σ≧0.02・・・(2)
[式中、σを177°Cにおける熱収縮応力(cN/dtex)とし、Eを25°Cにおける49cN荷重時の弾性率(cN/dtex)とする。]
の関係を満たすポリケトン繊維コードとする。
この構成により、ラジアルカーカス5に高い破断強力を付与して、航空機用ラジアルタイヤに要求される耐圧性を満足させた上で、従来のナイロン繊維コードをカーカスプライ5に適用した場合よりもカーカスプライ5の枚数を減らすことで、タイヤ重量の大幅な低減を達成することができる。
ポリケトン繊維コードは、温度の上昇に伴って熱収縮して大きな熱収縮応力および弾性力を発揮し、温度の低下に伴って伸張変形する可逆性を有するので、走行中におけるコード疲労によるカーカスプライ5の破断を防ぎ、優れたタイヤ耐久性を確保することができる。
また、σ≧−0.01E+1.2であることに加え、σ≧0.02を満たすことにより、離着陸等の高速走行(高温)時の、遠心力の作用によるトレッド部1の半径方向外方への迫り出しを抑制するとともに、ビード部3のゴム歪を低減することができる。
すなわち、σ<−0.01E+1.2の場合、および、σ<0.02の場合はいずれも、高速走行(高温)時の、トレッド部1の半径方向外方への迫り出し抑制効果が不十分で、内圧保持性の向上が望めない傾向がある。
ポリケトン繊維コードは、好ましくは熱収縮応力を0.4〜1.5cN/dtex、より好ましくは0.6〜1.0cN/dtexの範囲とする。
それが0.4cN/dtex未満の場合には、タイヤ製造時の加熱による引き揃え効率が低下し、タイヤとしての強度が不十分となる傾向がある。一方、1.5cN/dtexを超える場合には、加硫時に有機繊維コードの収縮力が大きくなりすぎ、結果的にタイヤ内部のコード乱れやゴムの配置乱れを引き起こし、耐久性の悪化やユニフォーミティーの悪化する傾向がある。
ポリケトン繊維コードは、化1で表される繰り返し単位から実質的になるポリケトン製の繊維よりなる。
Figure 0005308732
ポリケトンは、一酸化炭素COと不飽和炭化水素との共重合体であり、例えば、高分子鎖中で各CO単位の隣に、エチレン単位等が一つずつ位置する交互共重合体である。また、ポリケトンは、一酸化炭素と特定の不飽和炭化水素の一種との共重合体であってもよく、一酸化炭素と不飽和炭化水素の二種以上との共重合体であってもよい。式中のAを形成する不飽和炭化水素としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、シクロペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、スチレン、アセチレン、アレン等の不飽和炭化水素化合物や、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ビニルアセテート、アクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ウンデセン酸、ウンデセノール、6−クロロヘキセン、N−ビニルピロリドン、スルニルホスホン酸のジエチルエステル、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、ビニルピロリドン及び塩化ビニル等の不飽和結合を含む化合物等であってもよい。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
特にポリマーの力学特性や耐熱性等の点から、不飽和炭化水素としてエチレンを主体とするものを用いたポリケトンが好ましい。
また、ポリケトン繊維コードの原料のポリケトンは、部分的にケトン基同士、不飽和炭化水素由来の部分同士が結合していてもよいが、不飽和炭化水素由来の部分とケトン基が交互に配列している部分の割合が97質量%以上であることが好ましい。
さらに、ポリケトンの重合度としては、下記式:
Figure 0005308732
(式中、t及びTは、純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノール及びヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間であり;Cは、上記希釈溶液100mL中の溶質の質量(g)である)で定義される極限粘度[η]が1〜20dL/gの範囲にあることが好ましく、2〜10dL/gの範囲にあることが更に好ましく、3〜8の範囲にあることがより一層好ましい。極限粘度が1dL/g未満では、分子量が小さ過ぎて、高強度のポリケトン繊維コードを得ることが難しくなる上、紡糸時、乾燥時及び延伸時に毛羽や糸切れ等の工程上のトラブルが多発することがあり、一方、極限粘度が20dL/gを超えると、ポリマーの合成に時間及びコストがかかる上、ポリマーを均一に溶解させることが難しくなり、紡糸性及び物性に悪影響が出ることがある。
ここで、ポリケトンの未延伸糸の紡糸方法としては、公知の方法を採用することができ、具体的には、特開平2−112413号、特開平4−228613号、特表平4−505344号に記載のようなヘキサフルオロイソプロパノールやm−クレゾール等の有機溶剤を用いる湿式紡糸法、国際公開第99/18143号、国際公開第00/09611号、特開2001−164422号、特開2004−218189号、特開2004−285221号に記載のような亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液を用いる湿式紡糸法が挙げられる。
例えば、有機溶剤を用いる湿式紡糸法では、ポリケトンポリマーをヘキサフルオロイソプロパノールやm−クレゾール等に0.25〜20質量%の濃度で溶解させ、紡糸ノズルより押し出して繊維化し、次いでトルエン、エタノール、イソプロパノール、n−ヘキサン、イソオクタン、アセトン、メチルエチルケトン等の非溶剤浴中で溶剤を除去、洗浄してポリケトンの未延伸糸を得ることができる。
一方、水溶液を用いる湿式紡糸法では、例えば、亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液に、ポリケトンポリマーを2〜30質量%の濃度で溶解させ、50〜130℃で紡糸ノズルから凝固浴に押し出してゲル紡糸を行い、更に脱塩、乾燥等してポリケトンの未延伸糸を得ることができる。
また、例えば特開平2−112413号公報に記載の方法に従って、ポリマーを例えばヘキサフルオロイソプロパノール、m−クレゾール等に0.25〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%の濃度で溶解させ、紡糸ノズルより押し出して繊維化し、次いでトルエン、エタノール、イソプロパノール、n−ヘキサン、イソオクタン、アセトン、メチルエチルケトン等の非溶剤浴、好ましくはアセトン浴中で溶剤を除去、洗浄して紡糸原糸を得、さらに(融点−100℃)〜(融点+10℃)、好ましくは(融点−50℃)〜(融点)の範囲の温度で延伸処理する溶液紡糸法を採用することができる。
得られたポリケトンの未延伸糸は、(i)多段熱延伸を行い、多段熱延伸の最終延伸工程で特定の温度及び倍率で延伸する方法や、(ii)熱延伸を行い、熱延伸終了後の繊維に高い張力をかけたまま急冷却する方法が好ましい。上記(i)又は(ii)の方法でポリケトンの繊維化を行うことで、ポリケトン繊維コードの作製に好適な所望のフィラメントを得ることができる。
得られた未延伸糸の延伸法としては、未延伸糸を未延伸糸のガラス転移温度よりも高い温度に加熱して引き伸ばす熱延伸法が好ましく、更に、未延伸糸の延伸は、上記(ii)の方法では一段で行ってもよいが、多段で行うことが好ましい。熱延伸の方法としては、特に制限はなく、例えば、加熱ロール上や加熱プレート上に糸を走行させる方法等を採用することができる。ここで、熱延伸温度は、110℃〜(ポリケトンの融点)の範囲が好ましく、総延伸倍率は、10倍以上であることが好ましい。
上記(i)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、多段熱延伸の最終延伸工程における温度は、110℃〜(最終延伸工程の一段前の延伸工程の延伸温度−3℃)の範囲が好ましく、また、多段熱延伸の最終延伸工程における延伸倍率は、1.01〜1.5倍の範囲が好ましい。一方、上記(ii)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、熱延伸終了後の繊維にかける張力は、0.5〜4cN/dtexの範囲が好ましく、また、急冷却における冷却速度は、30℃/秒以上であることが好ましく、更に、急冷却における冷却終了温度は、50℃以下であることが好ましい。ここで、熱延伸されたポリケトン繊維の急冷却方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、ロールを用いた冷却方法が好ましい。なお、こうして得られるポリケトン繊維は、弾性歪みの残留が大きいため、通常、緩和熱処理を施し、熱延伸後の繊維長よりも繊維長を短くすることが好ましい。ここで、緩和熱処理の温度は、50〜100℃の範囲が好ましく、また、緩和倍率は、0.980〜0.999倍の範囲が好ましい。
有機繊維コードは、例えば、ポリケトンからなるフィラメント束を複数本、好ましくは2本又は3本撚り合わせてなり、これも例えば、ポリケトンからなるフィラメント束に下撚りをかけ、次いで、これを複数本合わせて、逆方向に上撚りをかけることで、双撚り構造の撚糸コードとして得ることができる。
次に、図3に示すような構造を有する、サイズが46×17R20 30PRのラジアルタイヤを試作し、表1,2に示すように、それぞれの諸元を変化させた実施例タイヤ1、比較例タイヤ1〜比較例タイヤ5のそれぞれにつき、重量、安全率、最外層カーカスプライコードの残強度を評価した。
なお、カーカスプライの有機繊維コードに用いられる材質のポリケトンは、ほぼ100%が上記(化1)で表される繰り返し単位からなり、その97モル%以上が1−オキソトリメチレンである。
Figure 0005308732
Figure 0005308732
(タイヤ重量)
実施例タイヤ1、および比較例タイヤ1〜比較例タイヤ5のそれぞれの、タイヤ重量を測定した。その結果を、指数値で表3に示す。
なお、表中の指数値は、比較例タイヤ1の値をコントロールとして求めたものであり、数値が小さいほど、重量が小さいものとした。
(安全率)
実施例タイヤ1、および比較例タイヤ1〜比較例タイヤ5のそれぞれにつき、タイヤをリムサイズ46×17R20のリムに装着し、タイヤ内を水で満たし内圧を上昇させたとき、タイヤが破壊する圧力と、TRAで定められた規定内圧に対する比(タイヤが破壊する圧力/TRAで定められた正規内圧)を測定した。その評価結果を表3に示す。
なお、FAAの定めるTSOでは、航空機用タイヤについては安全率4倍以上に規定されている。数値が大きいほど耐圧性が良好である。
(最外層プライコード残強度)
実施例タイヤ1、および比較例タイヤ1〜比較例タイヤ5のそれぞれにつき、タイヤをリムサイズ46×17R20のリムに装着し、内圧を1530kPaとし、負荷質量を20870kgとして、ドラム試験機上にて、速度64km/h、10分走行して、110分冷却するタキシング試験を100サイクル繰り返し実施した後に、ビード部の最外層プライコードを解剖により採取し、残強度をコード引張り試験機で測定した。その評価結果を表3に示す。
なお、比較例タイヤ1のコード強力をコントロールとして求めたものであり、数値が大きいほど良好である。
Figure 0005308732
表3の結果から、実施例タイヤは、比較例タイヤ1〜比較例タイヤ5に対し、タイヤ重量の増加を抑えつつ、安全率、ビード部のプライコード疲労性の向上を達成することができた。
本発明の航空機用ラジアルタイヤの一の実施形態を、適用リムに組み付けて内圧が0kPaのときのビード部の要部拡大断面図である。 本発明の航空機用ラジアルタイヤの一の実施形態を、正規内圧を充填するとともに、規定の質量に対応する負荷を加えたときのビード部の要部拡大断面図である。 本発明の航空機用ラジアルタイヤの一の実施形態を示す幅方向段面図である 図3のタイヤを適用リムに組み付けて内圧が0kPaのときのビード部をより詳細に示す要部拡大断面図である。 従来の航空機用ラジアルタイヤを適用リムに組み付けて内圧が0kPaのときのビード部の要部拡大断面図である。 従来の航空機用ラジアルタイヤを適用リムに組み付けて内圧が0kPaのときのビード部の要部拡大断面図である。 従来の航空機用ラジアルタイヤを適用リムに組み付けて内圧が0kPaのときのビード部の要部拡大断面図である。 従来の航空機用ラジアルタイヤを適用リムに組み付けて内圧が0kPaのときのビード部の要部拡大断面図である。
符号の説明
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 ビードコア
5 カーカスプライ
5a ターンアッププライ
5b ダウンプライ
6 ベルト
7 ベルト保護層
8 トレッドゴム

Claims (5)

  1. 一対のビードコアと、これらビードコア間にトロイド状に延在し、タイヤ赤道面に対して70〜90°の範囲の角度で延びる複数本の有機繊維コードからなる少なくとも二枚のカーカスプライにて構成したラジアルカーカスとを具え、このラジアルカーカスが、側部部分を各ビードコアの周りに、タイヤ幅方向の内側から外側へ巻上げた一枚以上のターンアッププライと、このターンアッププライの巻上げ部分を覆って半径方向内方に延びて、ビードコアの周りに到る一枚以上のダウンプライとを有してなる航空機用ラジアルタイヤにおいて、
    少なくとも一枚のカーカスプライを構成する有機繊維コードの引張り破断強度を10.0〜20.0cN/dtexの範囲とするとともに、2.1cN/dtexの引張力作用時の伸度を1.0〜5.0%の範囲とし、
    適用リムに組付けて、内圧が0kPaの状態から、正規内圧を充填し、規定の質量に対応する負荷を加えることによって、タイヤビード部外表面をリムフランジに密着させるに至るまで間の、そのビード部外表面の変形率Rと、正規内圧を充填し、正規荷重を負荷したタイヤ姿勢における、ビード部外表面の、リムフランジからの離反点位置での、内圧を0kPaとした状態のラジアルカーカスの厚さLとが、
    2.0<R/L<4.0
    の関係を満たしてなることを特徴とする航空機用ラジアルタイヤ。
  2. 一枚以上のカーカスプライの有機繊維コードの熱収縮応力σと弾性率Eが下記式(1)および式(2):
    σ≧−0.01E+1.2・・・(1)
    σ≧0.02・・・(2)
    [式中、σは177°Cにおける熱収縮応力(cN/dtex)であり、Eは25°Cにおける49cN荷重時の弾性率(cN/dtex)である。]
    の関係を満たすポリケトン繊維コードである請求項1に記載の航空機用ラジアルタイヤ。
  3. ポリケトン繊維コードの熱収縮応力は、0.4〜1.5cN/dtexである請求項に記載の航空機用ラジアルタイヤ。
  4. ポリケトンは、一酸化炭素と、少なくとも一種の不飽和炭化水素との共重合体である請求項2または3に記載の航空機用ラジアルタイヤ。
  5. 不飽和炭化水素が、エチレンである請求項4に記載の航空機用ラジアルタイヤ。
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