JP5306977B2 - ホウ素含有水の処理方法及びホウ素除去剤 - Google Patents
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Description
中でも、ホウ酸、ホウ酸ナトリウムに代表されるホウ素化合物は、ガラス工業をはじめ医薬品、化粧品、染料などの原料、石鹸工業、合金や半導体材料の成分、電気メッキなどの種々の工業用途で利用され、これらの製造工程などから生じる廃水は、ホウ素化合物を含有している。また、発電所から発生する廃水やゴミ焼却場における洗煙廃水、埋立処分場浸出廃水などにもホウ素化合物が含まれることが多い。また、温泉を営む旅館業の廃水中にもホウ素化合物が含まれることがある。このようにホウ素化合物は種々の廃水に含有されている。更に、ホウ素除去に用いたキレート樹脂を硫酸や塩酸等の酸で再生すると、高濃度のホウ素を含む廃液が発生することもある。
一方、ホウ素化合物は動物や植物にとって必須微量元素であるが、過剰の摂取は植物の成長阻害や動物の生殖阻害毒性や神経・消化器系の障害が懸念される。そこで、2001年に水質汚濁防止法施行令の一部が改正され、海域のホウ素及びその化合物の排水基準が230mg/L、河川、湖沼など海域以外の公共用水域におけるホウ素及びその化合物の排水基準が10mg/L以下と定められている。
しかし、凝集沈殿法によると、ホウ素を十分に除去するために大量の薬剤を用いる必要があり、薬剤使用量の増大及び処理に伴う汚泥の発生量の増大を招くという問題がある。また、排水中に塩化物イオンが共存していると除去率が低下するという問題もある。
イオン吸着法においては、比較的高濃度のホウ素を含有する廃水を処理する場合、使用する樹脂に負荷がかかるため効率が悪く、また、樹脂そのもののコストだけでなく再生処理にもコストがかかるという問題がある。
溶媒抽出法によると、抽出剤である有機溶媒がホウ素を除去した処理水へ溶解するため、有機溶媒を除去することが必要であり、また、薬剤損失によりコストが高くなるという問題がある。
蒸発濃縮法によると、蒸発のために熱源が必要であることから、ホウ素化合物を晶析させるために莫大なエネルギーが必要となり、逆浸透膜法はホウ素除去率が低く、膜の閉塞の問題もある。
しかし、これらの方法を用いる場合であっても、依然として多量の薬剤を添加する必要があり、発生汚泥量も多く、その処理が困難である。
また、蒸発濃縮法と凝集沈殿法とを組み合わせてホウ素含有水を処理する方法(特許文献3参照)、並びに、蒸発濃縮法、凝集沈殿法及びイオン吸着法を組み合わせてホウ素含有水を処理する方法(特許文献4参照)も提案されている。
しかし、これらの方法であっても、蒸発のために多くの熱量が必要であり、また装置が大規模になるとともに、処理工程も複雑となり、コストが高くなるという問題がある。
また、廃液中のフッ素や汚泥中のリン酸イオンを除去する有害物質固定化材が提案されているが(特許文献5参照)、塩添加などによっても水溶液中で沈殿を生成しにくいホウ素について効果は知られていない。
また、ホウ素を含んだ排水にアルミニウム塩、難溶性カルシウム塩、及び消石灰を添加しpHを調整する排水処理方法(特許文献6参照)、及びアルカリ土類金属とアルミニウム塩とを組み合わせてホウ素含有水を処理する方法も提案されているが(特許文献7参照)、水中で生成されるカルシウムアルミネート水和物と難溶性カルシウム塩の組み合わせでは、十分なホウ素除去力は得られないという問題がある。
また、水溶性の高いバリウム塩等を用いると、ホウ素処理後の溶液中に高濃度のバリウムが混入するなど、二次汚染が避けられないという問題がある。即ち、塩化バリウムが処理後の溶液や汚泥に混入すると容易に除去や分解ができず、更なる汚染を生じるとの問題がある。
また、ホウ素を含むバリウム化合物の結晶は、非常に細かいため、一般的に用いられるフィルター、及びやや目の細かいフィルターを用いた場合、フィルターを容易に通過し、また、目の細かいフィルターを用いた場合、すぐに目詰まりを生じさせ、ろ過性に劣るという問題がある。
更に、これらの処理剤を用いて処理された溶液は、アルカリ性又は酸性を示し、中和剤を用いて中和することが必要となるが、アルカリ性又は酸性が強いと中和に必要な中和剤を多量に用いなければならず、処理効率の低下に加え、コストが嵩むという問題がある。
また、ホウ素処理とろ過を行った後、処理溶液を中和すると結晶が析出するため、再度ろ過する必要があるとの問題もある。なお、ホウ素処理後、ろ過を行わず、中和剤で溶液を中性にすると、ホウ素を含有する水に不溶の除去剤からホウ素が処理溶液に再溶解するため、中和処理前にろ過を行う必要がある。
したがって、ホウ素含有水中のホウ素除去性に優れ、金属イオン等の二次汚染を抑制することができ、処理液のろ過性に優れ、中和に要する中和剤の使用量を抑えることができ、中和後も結晶等の析出がないため再度のろ過を必要とせず、加えてホウ素処理時の発生汚泥量を低減することが可能なホウ素処理方法及びホウ素除去剤の提供が望まれているのが現状である。
<1> ホウ素含有水に対して水酸化カルシウム及び酸化カルシウムのいずれかを添加して第1の処理液とする第1の処理工程と、前記第1の処理液に対して過酸化水素及び水に溶解して過酸化水素を発生する化合物のいずれかを添加して第2の処理液とする第2の処理工程と、を少なくとも含むことを特徴とするホウ素含有水の処理方法である。
<2> ホウ素含有水のpHを9.5以下に調整するpH調整工程を含む前記<1>に記載のホウ素含有水の処理方法である。
<3> 第2の処理液に対し高分子凝集剤を添加して、ホウ素を含む凝集物を得る凝集工程を含む前記<1>から<2>のいずれかに記載のホウ素含有水の処理方法である。
<4> ホウ素含有水におけるホウ素の初期濃度が、200mg/L以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載のホウ素含有水の処理方法である。
<5> 水酸化カルシウム及び酸化カルシウムのいずれかのホウ素含有水に対する添加モル濃度が、0.67ミリモル%〜121ミリモル%である前記<1>から<4>のいずれかに記載のホウ素含有水の処理方法である。
<6> 過酸化水素及び水に溶解して過酸化水素を発生する化合物のいずれかのホウ素含有水に対する添加モル濃度が、1.5ミリモル%〜180ミリモル%である前記<1>から<5>のいずれかに記載のホウ素含有水の処理方法である。
<7> ホウ素含有水におけるホウ素の初期濃度が600mg/L〜1,500mg/Lであり、水酸化カルシウム及び酸化カルシウムのいずれかをA成分とし、過酸化水素及び水に溶解して過酸化水素を発生する化合物のいずれかをB成分としたとき、前記A成分と前記B成分とのモル比であるA/Bが0.15〜1.50である前記<1>から<6>のいずれかに記載のホウ素含有水の処理方法である。
<8> ホウ素含有水に対して水酸化カルシウム及び酸化カルシウムのいずれかを添加して第1の処理液とする第1の処理工程と、前記第1の処理液に対して過酸化水素及び水に溶解して過酸化水素を発生する化合物のいずれかを添加して第2の処理液とする第2の処理工程と、を少なくとも含むホウ素含有水の処理方法に用いられ、前記水酸化カルシウム及び酸化カルシウムのいずれかをA成分とし、前記酸化水素及び水に溶解して過酸化水素を発生する化合物のいずれかをB成分としたとき、前記A成分と前記B成分とのモル比であるA/Bが0.10〜6.00であることを特徴とするホウ素除去剤である。
本発明のホウ素含有水の処理方法は、第1の処理工程と、第2の処理工程と、を少なくとも含み、必要に応じて、その他の工程を含むことからなる。
前記第1の処理工程は、ホウ素含有水に対して水酸化カルシウム及び酸化カルシウムのいずれかから選択されるA成分を添加して第1の処理液とする工程としてなる。
中でも、前記ホウ素含有水におけるホウ素の初期濃度の下限としては、200mg/L以上が好ましく、300mg/L以上がより好ましく、600mg/L以上が特に好ましい。
200mg/L未満であると、効率的にホウ素を除去できないことがある。
前記A成分の添加モル濃度が、0.67ミリモル%未満であると、ホウ素除去力が不十分となることがあり、121ミリモル%を超えると、多量の汚泥が発生し、ろ過工程の負荷が大きくなることがある。
前記A成分の添加処理時間としては、特に制限はないが、例えば、0.5分から600分が好ましい。
前記第2の処理工程は、前記第1の処理液に対して過酸化水素及び水に溶解して過酸化水素を発生する化合物のいずれかから選択されるB成分を添加して第2の処理液とする工程としてなる。
前記ホウ素含有水の処理方法は、前記A成分と前記B成分の添加順序を逆にしても、前記A成分と前記B成分を同時に添加しても、高いホウ素除去力が得られず、前記A成分と前記B成分の添加に関して、前記第1の処理工程後に前記第2の処理工程を実施することを技術の重要な核としている。ここで、第1の処理工程後とは、ホウ素含有水に対してA成分を添加し終えた状態を示す。
前記B成分の添加モル濃度が、1.5ミリモル%未満であると、ホウ素除去力が不十分となることがあり、180ミリモル%を超えても、ホウ素除去力の大幅な向上は期待できないことがある。
前記B成分の添加処理時間としては、特に制限はないが、例えば、0.5分から600分が好ましい。
前記第1の処理工程及び前記第2の処理工程に用いられる前記A成分を水酸化カルシウム及び酸化カルシウムのいずれかとし、前記B成分を過酸化水素及び水に溶解して過酸化水素を発生する化合物のいずれかとすることが極めて重要である。
前記A成分をバリウム化合物、ナトリウム化合物、他のカルシウム化合物(例えば、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム)等としても高いホウ素除去率が得られず、前記B成分を他の酸化剤(例えば、過酸化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム等の過酸化物)としても高いホウ素除去率が得られない。また、前記A成分と前記B成分で合成することのできる過酸化カルシウムを用いても高いホウ素除去力は得られない。このような結果となる理由は定かではないが、前記A成分と前記B成分との組み合わせにおいて、初めて高いホウ素除去率が得られる。
また、前記A成分と前記B成分との組み合わせ(以下、ホウ素除去剤ということがある)においては、塩化バリウム等の金属イオンによる二次汚染を抑制することができ、処理液のろ過性に優れ、中和に要する中和剤の使用量を抑えることができ、中和後にも結晶等の析出による濁りの発生がなく再度ろ過を行う必要がないとの相乗効果が得られ、極めて利便性のよい産業排水等のホウ素含有水からホウ素を除去する処理プロセスが提供可能となる。
ここで、本発明者らの検討により、前記ホウ素含有水におけるホウ素の初期濃度に応じて、前記A成分及び前記B成分の適切な配合比に関する更なる知見が得られている。
即ち、前記ホウ素の初期濃度が200mg/L以上300mg/L以下の場合、前記A成分及び前記B成分のモル比であるA/Bとしては、0.10〜0.50が好ましく、0.15〜0.20がより好ましい。
前記ホウ素の初期濃度が300mg/Lより大きく600mg/L以下の場合、前記A成分及び前記B成分のモル比であるA/Bとしては、0.15〜1.00が好ましく、0.17〜0.80がより好ましく、0.30〜0.50が特に好ましい。
前記ホウ素の初期濃度が600mg/Lより大きく1,000mg/L以下の場合、前記A成分及び前記B成分のモル比であるA/Bとしては、0.15〜1.50が好ましく、0.17〜1.20がより好ましく、0.30〜1.00が特に好ましい。
前記ホウ素の初期濃度が1,000mg/Lより大きく1,500mg/L以下の場合、前記A成分及び前記B成分のモル比であるA/Bとしては、0.17〜1.50が好ましく、0.30〜1.20がより好ましく、0.35〜1.20が特に好ましい。
前記ホウ素の初期濃度が1,500mg/Lより大きく2,000mg/L以下の場合、前記A成分及び前記B成分のモル比であるA/Bとしては、0.20〜2.00が好ましく、0.30〜2.00がより好ましく、0.50〜1.50が特に好ましい。
前記ホウ素の初期濃度が2,000mg/Lより大きく2,500mg/L以下の場合、前記A成分及び前記B成分のモル比であるA/Bとしては、0.35〜6.00が好ましく、0.40〜6.00がより好ましく、0.50〜3.00が特に好ましい。
前記ホウ素の初期濃度が2,500mg/Lより大きく3,000mg/L以下の場合、前記A成分及び前記B成分のモル比であるA/Bとしては、0.50〜6.00が好ましく、0.60〜6.00がより好ましく、0.80〜3.00が特に好ましい。
前記ホウ素の初期濃度が3,000mg/Lより大きく3,500mg/L以下の場合、前記A成分及び前記B成分のモル比であるA/Bとしては、0.80〜6.00が好ましく、1.30〜6.00がより好ましく、特に1.50〜3.00が好ましい。
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、pH調整工程、凝集工程、必要に応じて後処理工程が挙げられる。
このようなpH調整工程としては、特に制限はないが、前記第1の処理工程に用いられる前記ホウ素含有水に対して、pH調整剤を添加し、予めpHを調整する工程であることが好ましい。
調整されるpHとしては、特に制限はないが、9.5以下が好ましく、8.9以下がより好ましく、8.4以下が特に好ましい。
前記pHが9.5を超えると、高いホウ素除去率が得られないことがある。
前記pHとしては、1以上であることが好ましい。
また、前記pH調整剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫酸、硝酸、塩酸等の一般的な酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の一般的なアルカリ剤等が挙げられる。
前記凝集工程としては、特に制限はないが、前記第2の処理工程後、更に処理後の液に対して前記高分子凝集剤を添加し、除去されたホウ素を含む前記ホウ素除去剤と処理後の水とを固液分離する工程であることが好ましい。
前記高分子凝集剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン系高分子凝集剤、ノニオン系高分子凝集剤、カチオン系高分子凝集剤、両性系高分子凝集剤などが挙げられる。中でも、前記高分子凝集剤としては、アニオン系高分子凝集剤、カチオン系高分子凝集剤、両性系高分子凝集剤が好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記高分子凝集剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、処理対象とされたホウ素含有水量に対して、0.00005質量%〜1質量%が好ましく、0.0001質量%〜0.5質量%がより好ましい。
前記使用量が、前記好ましい範囲内であると、よりホウ素除去剤の凝集性を高めることができ、効率的に固液分離を行うことができる点で、有利である。
前記固液分離を行うことにより、ホウ素処理後の前記ホウ素除去剤を容易に回収することができ、回収されたホウ素除去剤は、例えば、適切な処理を施した後、再びホウ素含有水のホウ素除去に用いることができる。具体的には、ホウ素処理後に回収される、水に不溶の物質(ホウ素除去剤)に乾燥、もしくは加熱処理を施すことによって、得られた処理物を再びホウ素含有水のホウ素除去に用いることができる。また、ホウ素処理後に回収されるホウ素除去剤を含むスラリー溶液を再びホウ素含有水のホウ素除去に用いることもできる。この加熱処理物やスラリー溶液は、飽和ホウ素吸着量に至るまでは、好適にホウ素含有水のホウ素除去への再利用が可能である。
また、前記ろ過の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知のろ過フィルターを用いてろ過する方法が挙げられる。
本発明のホウ素除去剤は、前記本発明のホウ素含有水の処理方法に用いられ、前記成分Aと前記成分Bとのモル比であるA/Bが0.10〜6.00であることとしてなる。
該ホウ素除去剤によれば、特にホウ素の初期濃度が600mg/L〜1,500mg/Lのホウ素含有水に対して、高いホウ素除去率が得られる。
前記ホウ素の初期濃度が、200mg/L以上300mg/L以下、300mg/Lより大きく600mg/L以下、600mg/Lより大きく1,000mg/L以下、1,000mg/Lより大きく1,500mg/L以下、1,500mg/Lより大きく2,000mg/L以下、2,000mg/Lより大きく2,500mg/L以下、2,500mg/Lより大きく3,000mg/L以下、及び3,000mg/Lより大きく3,500mg/L以下の各場合においては、前記本発明のホウ素含有水の処理方法について説明をした、前記ホウ素の初期濃度に対応するA/Bの数値範囲のホウ素除去剤が、更に提供される。
これ以外の事項については、本発明の前記ホウ素含有水に記載の事項すべてを適宜適用することができる。
125mLのマヨネーズ瓶にホウ素溶液100g(初期ホウ素濃度1,000mg/L、ホウ酸を用いて調製、pH5.2)と撹拌子を入れ、350rpmで撹拌した。ここに所定量のカルシウム化合物(水酸化カルシウム又は酸化カルシウム)を添加し(第1の処理工程)、5分間撹拌した後、所定量の30質量%過酸化水素水を添加し(第2の処理工程)、更に1時間撹拌し、実施例1〜11におけるホウ素含有水の処理を行った。
ここで、カルシウム化合物及びその添加量(前記ホウ素溶液における添加濃度)、過酸化水素水の添加量(前記ホウ素溶液における添加濃度)については、下記表1−1、1−2に示す条件とした。
実施例6において、硫酸を用いてホウ素溶液のpHを5.2から2.0に変えたこと以外は、実施例6と同様にして、実施例12におけるホウ素含有水の処理を行った。
また、実施例6において、水酸化ナトリウムを用いてホウ素溶液のpHを所定pHに変更したことと、ナトリウム濃度を変更したこと以外は、実施例6と同様にして、実施例13〜15におけるホウ素含有水の処理を行った。
ここで、ナトリウムの濃度、ホウ素溶液のpHについては、下記表2に示す条件とした。
また、実施例4において、水酸化ナトリウムを用いてホウ素溶液のpHを5.2から9.4に変え、ナトリウム濃度を0mg/Lから1,020mg/Lに変えたこと以外は、実施例4と同様にして、実施例16におけるホウ素含有水の処理を行った。
実施例1において、ホウ素溶液のホウ素濃度を所定濃度、所定pHに変え、カルシウム化合物と過酸化水素の添加濃度を所定量に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例17〜25におけるホウ素含有水の処理を行った。
ここで、ホウ素溶液のホウ素濃度、pH、カルシウム化合物と過酸化水素の添加濃度については、下記表3−1、3−2に示す条件とした。
実施例1において、ホウ素溶液に対する、カルシウム化合物及び過酸化水素の添加量を所定量に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例26及び実施例27におけるホウ素含有水の処理を行った。
ここで、カルシウム化合物(前記ホウ素溶液における添加濃度)及び過酸化水素の添加量(前記ホウ素溶液における添加濃度)については、下記表4に示す条件とした。
500mLビーカーにホウ素溶液(ホウ素濃度1,020mg/L、ホウ酸を用いて調製、pH5.1)400gを入れ、宮本製作所製ジャーテスター(MJS−2)にセットした。200rpmで撹拌しながら水酸化カルシウム2.88gを添加し(第1の処理工程)、5分間撹拌した。その後、30質量%過酸化水素水6.40gを添加し(第2の処理工程)、1時間撹拌した。その後、所定の高分子材料の0.1質量%水溶液15.0gを添加し、5分撹拌して実施例28〜32におけるホウ素含有水の処理を行った。
ここで、高分子凝集剤含有水溶液については、下記表5に示す条件とした。
125mLのマヨネーズ瓶にホウ素溶液(初期ホウ素濃度1,000mg/L、ホウ酸を用いて調製、pH5.2)100gと撹拌子を入れ、350rpmで撹拌した。ここに所定量のカルシウム化合物、又は30質量%過酸化水素水を添加し、1時間撹拌して、比較例1〜3におけるホウ素含有水の処理を行った。
ここで、カルシウム化合物及びその添加量、過酸化水素水の添加量については、下記表6に示す条件とした。
125mLのマヨネーズ瓶にホウ素溶液(初期ホウ素濃度1,000mg/L、ホウ酸を用いて調製、pH5.2)100gと撹拌子を入れ、350rpmで撹拌した。ここに所定量のアルカリ化合物、カルシウム化合物、バリウム化合物を添加し、5分間撹拌した後、所定量の30質量%過酸化水素水、もしくは酸化剤を添加し、更に1時間撹拌し、比較例4〜13におけるホウ素処理水の処理を行った。
125mLのマヨネーズ瓶にホウ素溶液(初期ホウ素濃度1,000mg/L、ホウ酸を用いて調製、pH5.2)100gと撹拌子を入れ、350rpmで撹拌した。ここに所定量の過酸化カルシウムを添加し、1時間撹拌し、比較例14におけるホウ素処理水の処理を行った。
ここで、アルカリ化合物及びその添加量(前記ホウ素溶液における添加濃度)、カルシウム化合物の添加量(前記ホウ素溶液における添加濃度)、バリウム化合物及びその添加量(前記ホウ素溶液における添加濃度)、過酸化水素水の添加量(前記ホウ素溶液における添加濃度)、酸化剤及びその添加量(前記ホウ素溶液における添加濃度)、並びに、添加の組み合わせについては、下記表7−1、7−2に示す条件とした。
特開2007−283216号公報に記載の方法を参考に、比較例15におけるホウ素含有水の処理を行った。具体的には、125mLのマヨネーズ瓶にホウ素溶液(ホウ素濃度1,000mg/L、ホウ酸を用いて調製、ナトリウム濃度0mg/L、バリウム濃度0mg/L、pH5.2)100gと撹拌子を入れ、350rpmで撹拌した。ここに30質量%過酸化水素水0.93gを添加し、30分撹拌した。続いて、塩化バリウム・2水和物0.39gを添加し、5分撹拌した後、5mol/L水酸化ナトリウム2.77g添加してpHを11.5にした。その後、1時間撹拌して、比較例15におけるホウ素含有水の処理を行った。
処理後のホウ素濃度(mg/L) 612
処理液中のナトリウム濃度(mg/L) 2,280
処理液中のバリウム濃度(mg/L) 31
処理により増加した金属濃度(mg/L) 2,311
ろ液の濁度(度) 60
ろ過時の目詰まりの無さ ×
pH調整に要した0.5mol/L硫酸溶液重量(g) 6.1
pH調整後の溶液濁度(度) 43
特開2007−283216号公報に記載の方法を参考に、比較例16におけるホウ素含有水の処理を行った。具体的には、比較例15において、過酸化水素と塩化バリウム・2水和物の添加順を逆にしたこと以外は、比較例15と同様にして、比較例16におけるホウ素含有水の処理を行った。
処理後のホウ素濃度(mg/L) 622
処理液中のナトリウム濃度(mg/L) 2,220
処理液中のバリウム濃度(mg/L) 30
処理により増加した金属濃度(mg/L) 2,250
ろ液の濁度(度) 60
ろ過時の目詰まりの無さ ×
pH調整に要した0.5mol/L硫酸溶液重量(g) 6.2
pH調整後の溶液濁度(度) 38
特開平10−76276号公報に記載の方法を参考にして、比較例17におけるホウ素含有水の処理を行った。具体的には、125mLのマヨネーズ瓶にホウ素溶液(ホウ素濃度1,000mg/L、ホウ酸を用いて調製、ナトリウム濃度0mg/L、カルシウム濃度0mg/L、アルミニウム濃度0mg/L、pH5.2)100gと撹拌子を入れ、350rpmで撹拌した。ここに87質量%過酸化ナトリウム0.0406g添加し、30分撹拌した後、硫酸アルミニウム14〜18水和物(硫酸アルミニウム=55.3%)0.671gと水酸化カルシウム0.134gを添加し、更に5mol/L水酸化ナトリウム溶液2.16gを添加し、pHを10に調整した。その後、1時間撹拌して比較例17におけるホウ素含有水の処理を行った。
処理後のホウ素濃度(mg/L) 767
処理液中のナトリウム濃度(mg/L) 2,010
処理液中のカルシウム濃度(mg/L) 420
処理液中のアルミニウム濃度(mg/L) 53
処理により増加した金属濃度(mg/L) 2,483
ろ液の濁度(度) 0.2
ろ過時の目詰まりの無さ ○
pH調整に要した0.5mol/L硫酸溶液重量(g) 4.5
pH調整後の溶液濁度(度) 20
実施例6の第1の処理工程及び第2の処理工程において、カルシウム化合物と過酸化水素水の添加順を逆にしたこと以外は、実施例6と同様にして、比較例18におけるホウ素含有水の処理を行った(下記表8参照)。
また、実施例6において、第1の処理工程及び第2の処理工程に代えて、ホウ素溶液にカルシウム化合物及び過酸化水素水を同時に加え、1時間攪拌を行ったこと以外は、実施例6と同様にして、比較例19におけるホウ素含有水の処理を行った(下記表8参照)。
実施例1〜27及び比較例1〜19におけるホウ素含有水の処理後の溶液を約0.5mLサンプリングし、0.45μmのフィルターでろ過した後、硝酸溶液で希釈し、ICP発光分光装置 (株)パーキンエルマージャパン製、optima5300DVでホウ素濃度、並びにカルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、及びバリウムの金属イオン濃度を測定した。
ホウ素除去率の算出は、前記測定結果に基づき、下式(1)により行った。
ホウ素除去率(%)=(1−C1/C0)×100 ・・・式(1)
C1:処理後のホウ素濃度(mg/L)
C0:処理前の初期ホウ素濃度(mg/L)
また、ホウ素除去率に対する評価は、以下の評価基準に基づいて評価する。
好ましい 70%以上
より好ましい 80%以上
特に好ましい 85%以上
※)ただし、ホウ素除去率は、100%に近い方が、ホウ素除去力が高いことを示す。
金属イオン濃度増加分=処理後の金属イオン濃度−処理前の金属イオン濃度
また、前記金属イオンによる二次汚染に対する評価は、処理前後で増加した金属イオン濃度の合計(mg/L)から、以下の評価基準に基づいて評価する。
○:1,500mg/L以下
◎:750mg/L以下
以上のホウ素除去力に関する結果を、下記表1−1〜表8に示す。また、二次汚染に関する結果を下記表1−1〜表4、表6〜表8に示す。なお、比較例15〜17については、前記の通りである。
実施例1〜27及び比較例1〜17におけるホウ素含有水の処理後の溶液上記処理液を有限会社桐山製作所No.5Cのろ紙(緻密ろ過用、直径60mm)を用いて吸引ろ過した後、日本電色工業株式会社Water Analyzer 2000Nを用いてろ液の濁度を測定した。
ろ過性に対する評価は、以下の評価基準に基づいて評価する。
濁度(度)
○:10度以下
◎:5以下
※)ただし、濁度は、数値が小さい方が溶液の濁りが少ないことを示す。
0.45μmのフィルター(ラボラボカンパニー株式会社 CAフィルター、直径25mm)を用いて、前記ろ過性の測定に用いたろ液をろ過し、ろ液重量が75gになるまでろ過を行った。指で軽くシリンジを押しながらろ過し、ろ過速度が明らかに低下し、フィルターの目詰まりを感じた時点でフィルターを交換した。
前記ろ過時の目詰まりの無さに関する測定結果に基づき、以下の評価基準により評価を行った。
○:フィルターを交換せずろ過が終了した
△:目詰まりが感じられたためフィルターを1個交換した
×:目詰まりが感じられたためフィルターを2個以上交換した
以上のろ過性に関する結果を下記表1−1〜表4、及び表6〜表8に示す。なお、比較例15〜17については、前記の通りである。
中和に必要な酸量に関し、前記ろ過性の測定に用いたろ液(濁度0.1以下)75gを0.5mol/L硫酸で中和し、pHを7にするのに要した0.5mol/L硫酸重量を測定した。
中和に必要な酸量の評価は、pH調整に要した(0.5mol/L)硫酸の重量(g)から、以下の評価基準により評価する。
○:5.0g以下
◎:3.5以下
なお、比較例3、7、8、10、11における中和性は、ろ液(濁度0.1以下)75gを1.0mol/L水酸化ナトリウムで中和し、pHを7にするのに要した1.0mol/L水酸化ナトリウム重量を測定した。
このときの中和に必要なアルカリ量の評価は、pH調整に要した(1.0mol/L)水酸化ナトリウムの重量(g)から、以下の評価基準により評価する。
○:5.0g以下
◎:3.5g以下
以上の中和性に関する結果を下記1−1〜表4、及び表6〜表8に示す。なお、比較例15〜17については、前記の通りである。
実施例28〜32におけるホウ素含有水の処理後の溶液の凝集性に関し、上澄み75gをサンプリングし、濁度を測定した。
ここで、凝集性の評価は、前記濁度の測定結果に基づき、以下の評価基準により行う。
濁度(度)
○:10度以下
◎:5以下
また、該処理液約0.5mLをサンプリングし、0.45μmのフィルターでろ過、硝酸溶液で希釈し、ICP発光分光装置 (株)パーキンエルマージャパン製、optima5300DVを用いて溶液中のホウ素濃度を測定した。前記ホウ素除去力の評価は、前述の通りである。
以上の凝集性及びホウ素除去力に関する結果を下記表5に示す。
Claims (8)
- ホウ素含有水に対して水酸化カルシウム及び酸化カルシウムのいずれかを添加して第1の処理液とする第1の処理工程と、
前記第1の処理液に対して過酸化水素及び水に溶解して過酸化水素を発生する化合物のいずれかを添加して第2の処理液とする第2の処理工程と、
を少なくとも含むことを特徴とするホウ素含有水の処理方法。 - ホウ素含有水のpHを9.5以下に調整するpH調整工程を含む請求項1に記載のホウ素含有水の処理方法。
- 第2の処理液に対し高分子凝集剤を添加して、ホウ素を含む凝集物を得る凝集工程を含む請求項1から2のいずれかに記載のホウ素含有水の処理方法。
- ホウ素含有水におけるホウ素の初期濃度が、200mg/L以上である請求項1から3のいずれかに記載のホウ素含有水の処理方法。
- 水酸化カルシウム及び酸化カルシウムのいずれかのホウ素含有水に対する添加モル濃度が、0.67ミリモル%〜121ミリモル%である請求項1から4のいずれかに記載のホウ素含有水の処理方法。
- 過酸化水素及び水に溶解して過酸化水素を発生する化合物のいずれかのホウ素含有水に対する添加モル濃度が、1.5ミリモル%〜180ミリモル%である請求項1から5のいずれかに記載のホウ素含有水の処理方法。
- ホウ素含有水におけるホウ素の初期濃度が600mg/L〜1,500mg/Lであり、水酸化カルシウム及び酸化カルシウムのいずれかをA成分とし、過酸化水素及び水に溶解して過酸化水素を発生する化合物のいずれかをB成分としたとき、前記A成分と前記B成分とのモル比であるA/Bが0.15〜1.50である請求項1から6のいずれかに記載のホウ素含有水の処理方法。
- ホウ素含有水に対して水酸化カルシウム及び酸化カルシウムのいずれかを添加して第1の処理液とする第1の処理工程と、前記第1の処理液に対して過酸化水素及び水に溶解して過酸化水素を発生する化合物のいずれかを添加して第2の処理液とする第2の処理工程と、を少なくとも含むホウ素含有水の処理方法に用いられ、
前記水酸化カルシウム及び酸化カルシウムのいずれかをA成分とし、前記過酸化水素及び水に溶解して過酸化水素を発生する化合物のいずれかをB成分としたとき、前記A成分と前記B成分とのモル比であるA/Bが0.10〜6.00であることを特徴とするホウ素除去剤。
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