JP2010082497A - 水処理剤及び水処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有害物質含有水中から有害物質を簡便かつ効率的に除去することができ、かつ、有害物質濃度が十分に低下した水と水処理剤を容易に分離することができる水処理剤、及び、簡単な装置、操作により、少ない薬剤量で効率よく有害物質を除去することができ、かつ、有害物質濃度が十分に低下した水と水処理剤を容易に分離することができる水処理方法を提供すること。
【解決手段】(A)カルシウムアルミネート、及び、カルシウムアルミネート水和物を加熱処理することによって得られる物質の少なくともいずれかと、(B)硫酸塩とを含有することを特徴とする水処理剤、及び、前記水処理剤を用いることを特徴とする水処理方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、水処理剤、及び水処理方法に関する。より詳細には、有害物質含有水(例えば、産業廃水)中から有害物質を簡便かつ効率的に除去することができ、かつ、有害物質濃度が十分に低下した水と水処理剤を容易に分離することができる水処理剤、及び、簡単な装置、操作により、少ない薬剤量で効率よく有害物質を除去することができ、かつ、有害物質濃度が十分に低下した水と水処理剤を容易に分離することができる水処理方法に関する。
様々な製品の製造工程や、燃焼ガスの洗煙工程、汚染土壌の浄化工程等から生じる産業廃水には、セレン、銅、クロム、モリブデン、アンチモン、鉛、ヒ素、亜鉛、カドミウム、ニッケル、マンガン、鉄、スズ、コバルト等の重金属類や、ホウ素等種々の有害物質が含まれることがある。これらの有害物質は動植物に悪影響を及ぼすことがあるため、上記廃水は、これらの有害物質を除去した後、河川、湖沼や海域等の公共用水域へ放流することが法律で義務付けられている。
中でも、ホウ酸、ホウ酸ナトリウムに代表されるホウ素化合物は、ガラス工業をはじめ医薬品、化粧品、染料などの原料、石鹸工業、合金や半導体材料の成分、電気メッキなどの種々の工業用途で利用され、これらの製造工程などから生じる廃水は、ホウ素化合物を含有している。また、発電所から発生する廃水やゴミ焼却場における洗煙廃水、埋立処分場浸出廃水などにもホウ素化合物が含まれることが多い。また温泉を営む旅館業の廃水中にもホウ素化合物が含まれることがある。このようにホウ素化合物は種々の廃水に含有されている。一方、ホウ素化合物は動物や植物にとって必須微量元素であるが、過剰の摂取は植物の成長阻害や動物の生殖阻害毒性や神経・消化器系の障害が懸念される。そこで2001年に水質汚濁防止法施行令の一部が改正され、河川、湖沼など海域以外の公共用水域におけるホウ素及びその化合物の排水基準が10mg/L以下に定められた。
一般にホウ素(有害物質)含有水中からホウ素を除去する方法としては、凝集沈殿法、イオン吸着法、溶媒抽出法、蒸発濃縮法、逆浸透膜法などが知られている。しかし、凝集沈殿法にはホウ素を十分に除去するためには大量の薬剤を用いる必要があり、薬剤使用量の増大や汚泥発生量の増大を招くという問題がある。また排水中に塩化物イオンが共存していると除去率が低下するという問題もある。イオン吸着法は比較的高濃度のホウ素を含有する廃水を処理するためには使用する樹脂に負荷がかかるため効率が悪く、また樹脂そのもののコストだけでなく再生処理にもコストがかかるという問題がある。溶媒抽出法には抽出剤である有機溶媒がホウ素を除去した処理水へ溶解するために、有機溶媒を除去することが必要であり、また薬剤損失によりコストが高くなるという問題がある。蒸発濃縮法は蒸発のために熱源が必要であり、ホウ素化合物を晶析させるために莫大なエネルギーが必要となり、逆浸透膜法はホウ素除去率が低く、膜の閉塞の問題もある。
これらの問題を解消するために、アルミニウム化合物及びカルシウム化合物を用いた凝集沈殿法とアニオン交換樹脂を用いたイオン吸着法とを組み合わせてホウ素含有水を処理する方法が提案されている(特許文献1、2)。しかしこの方法でも、多量の薬剤を添加する必要があり、発生汚泥量も多く、その処理が困難である。また、蒸発濃縮法と凝集沈殿法とを組み合わせてホウ素含有水を処理する方法(特許文献3)や蒸発濃縮法、凝集沈殿法及びイオン吸着法を組み合わせてホウ素含有水を処理する方法(特許文献4)も提案されている。しかし、これらの方法であっても、蒸発のために多くの熱量が必要であり、また装置が大規模になるとともに、処理工程も複雑となり、コストが高くなるという問題がある。また、廃液中のフッ素や汚泥中のリン酸イオンを除去する有害物質固定化材が提案されているが(特許文献5)、塩添加などによっても水溶液中で沈殿を生成しにくいホウ素について効果は知られていない。また、ホウ素を含んだ排水にアルミニウム塩、難溶性カルシウム塩、及び消石灰を添加しpHを調整する排水処理方法(特許文献6)やアルカリ土類金属とアルミニウム塩とを組み合わせてホウ素含有水を処理する方法も提案されているが(特許文献7)水中で生成されるカルシウムアルミネート水和物と難溶性カルシウム塩の組み合わせでは、十分なホウ素除去力は得られないという問題がある。
したがって、有害物質含有水中から有害物質を簡便かつ効率的に除去することができ、かつ、ホウ素濃度が十分に低下した水と水処理剤を容易に分離することができる、優れた水処理剤の開発が、未だ望まれているのが現状である。
特開昭57−81881号公報 特開昭57−180493号公報 特開平7−323292号公報 特開平10−314798号公報 特開2000−93927号公報 特開2004−283731号公報 特開2005−262186号公報
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、有害物質含有水中から有害物質を簡便かつ効率的に除去することができ、かつ、有害物質濃度が十分に低下した水と水処理剤を容易に分離することができる水処理剤、及び、簡単な装置、操作により、少ない薬剤量で効率よく有害物質を除去することができ、かつ、有害物質濃度が十分に低下した水と水処理剤を容易に分離することができる水処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、(A)カルシウムアルミネート、及び、カルシウムアルミネート水和物を加熱処理することによって得られる物質の少なくともいずれかと、(B)硫酸塩とを含有する水処理剤が、有害物質除去力に優れ、かつ、有害物質除去後の凝集性(沈降性)にも優れることを見出し、本発明を完成した。また、本発明では上記水処理剤を用いる水処理方法も提供する。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> (A)カルシウムアルミネート、及び、カルシウムアルミネート水和物を加熱処理することによって得られる物質の少なくともいずれかと、(B)硫酸塩とを含有することを特徴とする水処理剤である。
<2> (B)硫酸塩が、硫酸カルシウムである前記<1>に記載の水処理剤である。
<3> 更に、(C)炭酸塩を含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の水処理剤である。
<4> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の水処理剤を用いることを特徴とする水処理方法である。
<5> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の水処理剤を水に分散させた後、有害物質含有水の処理に用いる前記<4>に記載の有害物質含有水の処理方法である。
<6> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の水処理剤を用いて有害物質含有水を処理した後、該処理後の液に(D)高分子凝集剤を添加し、前記処理後の液を前記水処理剤と有害物質が除去された水とに固液分離する前記<4>から<5>のいずれかに記載の水処理方法である。
本発明によれば、前記従来における諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、有害物質含有水中から有害物質を簡便かつ効率的に除去することができ、かつ、有害物質濃度が十分に低下した水と水処理剤を容易に分離することができる水処理剤、及び、簡単な装置、操作により、少ない薬剤量で効率よく有害物質を除去することができ、かつ、有害物質濃度が十分に低下した水と水処理剤を容易に分離することができる水処理方法を提供することができる。
(水処理剤)
本発明の水処理剤は、(A)カルシウムアルミネート、及び、カルシウムアルミネート水和物を加熱処理することによって得られる物質の少なくともいずれかと、(B)硫酸塩とを含有してなり、好ましくは更に(C)炭酸塩を含有してなり、必要に応じて更にその他の成分を含有してなる。
なお、前記「(A)カルシウムアルミネート、及び、カルシウムアルミネート水和物を加熱処理することによって得られる物質の少なくともいずれか」、前記「(B)硫酸塩」、前記「(C)炭酸塩」は、本明細書中において、それぞれ単に「(A)成分」、「(B)成分」、及び、「(C)成分」と称することがある。
<(A)成分>
前記(A)成分は、カルシウムアルミネート、及び、カルシウムアルミネート水和物を加熱処理することによって得られる物質(本明細書中において、単に「カルシウムアルミネート水和物の加熱処理物」と称することがある)の少なくともいずれかである。
−カルシウムアルミネート−
前記カルシウムアルミネートとは、CaOとAlを主体とする化合物の総称であり、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CaAl、CaAl、CaAl1219、CaAl、Ca12Al1433、CaAl14、CaAl1024、CaAlや、これらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、前記カルシウムアルミネートとしては、有害物質除去力を向上させることができる点で、Ca12Al1433、CaAlや、これらの混合物が好ましい。前記カルシウムアルミネートは、1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
また、前記カルシウムアルミネートには不純物が含まれることがあるが、その種類及び含有量は、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば特に制限はなく、具体例としては、例えば、カルシウムアルミネート水和物、Fe、SiO、MgO、TiO、P、Cl等が挙げられる。また、前記カルシウムアルミネートは、結晶性の化合物であってもよいし、非結晶性の化合物であってもよく、また、合成品であってもよいし、天然に産出されるものであってもよい。また、その粒子径も特に制限はなく、例えば、取り扱い上の点から0.1μm以上が好ましい。
ここで、カルシウムアルミネートの水和物として、例えば、CaAl・6HO、CaAl・6HO、CaAl・13HO等が知られているが、前記カルシウムアルミネートとしてこれらの水和物を用いても、本発明において十分な有害物質除去力は得られない。また、例えば、アルミン酸ナトリウムと水酸化カルシウム、若しくは水酸化カルシウムや水酸化アルミニウムを用いて水中でカルシウムアルミネート水和物を生成させながら水処理を行っても、有害物質十分な除去力は得られない。したがって、本発明においては、水和物の状態でないカルシウムアルミネートを用いることが必要である。
−−カルシウムアルミネートの合成−−
前記カルシウムアルミネートは、例えば、合成により得ることができ、前記合成は、特に制限はなく、公知の方法によって行うことができる。例えば、水中でカルシウム化合物とアルミニウム化合物とを混合してカルシウムアルミネート水和物を合成した後、高温(好ましくは60℃以上、より好ましくは100℃以上の温度)で焼成することにより合成することができるし、また、アルミニウム化合物とカルシウム化合物とを混合して1,000℃以上、好ましくは1,300℃以上の温度で高温焼成することにより合成する(固相法)こともできる。固相合成法の加熱時間の上限に特に制限はないが、24時間以内が好ましい。長時間焼成すると硬い結晶が生成するため、焼成時間は、10時間以内がより好ましく、5時間以内が特に好ましい。
前記焼成処理に用いる装置としても、特に制限はなく、例えば公知の熱風乾燥機、電気炉、恒温器、流動層乾燥機、真空乾燥機、スプレードライヤー、ロータリーキルン等を用いて行うことができる。このときのカルシウム化合物は、カルシウムを含有するものであれば特に制限はなく、例えば、水酸化カルシウム、硝酸カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム等やこれらの水和物等が挙げられ、これらを1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。アルミニウム化合物は、アルミニウムを含有するものであれば特に制限はなく、例えば、硝酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、炭酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム等やこれらの水和物等が挙げられ、これらを1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。また、これらの原料は純品だけでなくアルミスラッジ等の不純物を含むものであっても使用することができる。
なお、前記したような、水中でカルシウムアルミネート水和物を合成する反応においては、pHは9以上とすることが好ましい。pHの調整が必要なときには、一般的なpH調整剤を使用することができる。pH調整剤は、特に制限はなく、例えば、炭酸ガス、塩酸、硝酸等の酸や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、アンモニア等のアルカリ剤を、1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。また、前記カルシウムアルミネート水和物の合成反応においては、pH調整後、撹拌を実施してもよいし、しなくてもよい。撹拌は常温で実施しても、加温しながら実施してもよい。また、撹拌後は、熟成してもよいし、しなくてもよい。
−カルシウムアルミネート水和物の加熱処理物−
前記カルシウムアルミネート水和物の加熱処理物は、前記カルシウムアルミネート水和物を更に加熱処理することにより得ることができる。カルシウムアルミネート水和物の加熱処理は、好ましくは60℃以上、より好ましくは100℃以上の温度で、10分間以上行うことが好ましく、30分間以上行うことがより好ましい。前記加熱温度の上限としては、特に制限はないが、1,600℃以下が好ましい。また、前記加熱時間の上限としても、特に制限はないが、24時間以内が好ましい。
前記加熱処理は、大気圧環境下で実施してもよいし、減圧しながら実施してもよい。また合成したカルシウムアルミネート水和物を乾燥した後に加熱処理を実施してもよいし、乾燥せずに加熱処理を実施してもよい。前記加熱処理に用いる装置としても、特に制限はなく、例えば公知の熱風乾燥機、電気炉、恒温器、流動層乾燥機、真空乾燥機、スプレードライヤー、ロータリーキルン等を用いて行うことができる。
前記カルシウムアルミネート、及び、カルシウムアルミネート水和物の加熱処理物の少なくともいずれかの使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、処理対象である有害物質含有水量に対して、0.01〜10質量%となるような量で使用されることが好ましく、0.05〜3質量%となるような量で使用されることがより好ましい。前記使用量が、前記好ましい範囲内であると、より有害物質除去力を向上させることができる点で、有利である。
なお、前記カルシウムアルミネート、及び、前記カルシウムアルミネート水和物の加熱処理物は、いずれかを単独で前記(A)成分として使用してもよいし、両者を併用して前記(A)成分として使用してもよい。両者を併用する場合の、前記カルシウムアルミネートと前記カルシウムアルミネート水和物の加熱処理物との使用量比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<(B)成分>
前記(B)成分は、硫酸塩である。
前記硫酸塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸銀、硫酸カルシウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸銅、硫酸マンガン、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムナトリウム、硫酸アルミニウムカリウム等が挙げられる。また、前記硫酸塩としては、これらの水和物であってもよい。
これらの中でも、前記硫酸塩としては、より有害物質除去力を向上させることができる点で、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウムが好ましく、中でも、硫酸カルシウムが特に好ましい。前記硫酸塩は、1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
なお、前記硫酸塩は、そのままの状態で使用してもよいし、水に溶解又は分散させた状態で使用してもよい。また、前記硫酸塩は、例えば、硫酸と対応する水酸化物とを水中で混合することにより生成することができる(例えば、硫酸と水酸化カルシウムで硫酸カルシウムを生成することができ、硫酸と水酸化ナトリウムで硫酸ナトリウムを生成することができる)が、この生成された硫酸塩を含む水溶液の状態で使用してもよい。
前記硫酸塩の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、処理対象である有害物質含有水量に対して、0.01〜10質量%となるような量で使用されることが好ましく、0.05〜3質量%となるような量で使用されることがより好ましい。前記使用量が、前記好ましい範囲内であると、より有害物質除去力を向上させることができる点で、有利である。
<(A)成分/(B)成分>
前記水処理剤における、前記(A)成分、及び前記(B)成分の使用量比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、質量比で、(A)成分:(B)成分=20:80〜90:10となるように使用されることが好ましく、25:75〜75:25となるように使用されることがより好ましく、30:70〜70:30となるように使用されることが更に好ましい。前記使用量比が、前記好ましい範囲内であると、より有害物質除去力を向上させることができる点で、有利である。
<(C)成分>
前記(C)成分は、炭酸塩である。
前記炭酸塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウムナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸マグネシウムやこれらの水和物等が挙げられる。これらの中でも、前記炭酸塩としては、より有害物質除去力を向上させることができる点で、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムが好ましく、中でも、炭酸カルシウムが特に好ましい。前記炭酸塩は、1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
前記炭酸塩の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、処理対象である有害物質含有水量に対して、0.01〜10質量%となるような量で使用されることが好ましく、0.05〜3質量%となるような量で使用されることがより好ましい。前記使用量が、前記好ましい範囲内であると、より有害物質除去力を向上させることができる点で、有利である。
<その他の成分>
また、本発明の水処理剤は、前記(A)成分、及び、前記(B)成分(好ましくは更に前記(C)成分のみからなるものであってもよいし、更に適宜その他の成分を含有してなるものであってもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲内で、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、原料として用いたカルシウム化合物や、酸やアルカリ等のpH調整剤などが挙げられる。なお、前記その他の成分の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<製造、剤型>
本発明の水処理剤は、例えば、前記(A)成分、前記(B)成分、好ましくは更に前記(C)成分、並びに必要に応じてその他の成分を混合することにより、製造することができる。また、前記水処理剤は、塊状、粒状、粉状等、いずれの状態でも使用することができる。粒状、粉状の水処理剤は、例えば、粉砕することにより製造することができる。粉砕方法は特に制限はなく、公知の装置を用いて行うことができ、前記(A)成分、前記(B)成分、好ましくは更に前記(C)成分、並びに必要に応じてその他の成分のそれぞれを、混合する前に粉砕してもよいし、前記(A)成分、前記(B)成分、好ましくは更に前記(C)成分、並びに必要に応じてその他の成分を、混合した後に粉砕してもよい。
なお、前記水処理剤としては、前記(A)成分、前記(B)成分、好ましくは更に前記(C)成分が予め混合された混合物を、有害物質含有水中に一度に添加して用いる態様のもののみに限定されず、例えば、前記(A)成分、前記(B)成分、好ましくは更に前記(C)成分、並びに必要に応じてその他の成分を、有害物質含有水中に別々に添加して用いる態様のものであってもよい。
<用途>
本発明の水処理剤は、有害物質含有水中から有害物質を簡便かつ効率的に除去することができ、かつ、有害物質除去後の凝集性(沈降性)にも優れるので、有害物質濃度が十分に低下した水と水処理剤を容易に分離することができる。そのため、本発明の水処理剤は、例えば後述する本発明の水処理方法に、好適に利用可能である。
(水処理方法)
本発明の水処理方法は、前記した本発明の水処理剤を用いて行うことを特徴とする。
<対象となる水>
本発明の水処理方法において処理対象となる水(処理対象水)としては、何らかの有害物質を含有する水であれば、特に制限はなく、例えば、様々な製品の製造工程や、燃焼ガスの洗煙工程、汚染土壌の浄化工程等から生じる産業廃水等が挙げられる。処理対象となる有害物質としても、特に制限はなく、例えば、セレン、銅、クロム、モリブデン、アンチモン、鉛、ヒ素、亜鉛、カドミウム、ニッケル、マンガン、鉄、スズ、コバルト等の重金属類や、ホウ素等が挙げられる。特に、本発明の水処理方法は、ホウ素含有水に適している。
前記ホウ素含有水は、通常オルトホウ酸(HBO)の形でホウ素を含有するが、ホウ酸塩やその他の形でホウ素を含むものであってもよい。このようなホウ素含有水としては、種々の工程、工場から排出される廃水などが挙げられる。また、本発明の水処理剤は、有害物質含有水のpHが2〜14の範囲で使用することができ、中でも、pH2〜13の範囲で使用することが好ましく、pH3〜12の範囲で使用することがより好ましい。なお、前記水処理剤は、有害物質含有水中に塩化物イオンなどの他のイオンが共存しても使用することができる。また、前記水処理剤に含まれるカルシウムアルミネートやカルシウムアルミネート水和物の加熱処理物がアルカリ性であるため、通常は、処理時のホウ素含有水は弱アルカリ性になる。有害物質含有水が強酸性溶液である場合には、必要に応じて、水酸化ナトリウムや水酸化カルシウムを添加して、弱アルカリ性にすることができる。
<水処理剤による水処理方法>
本発明の水処理方法は、前記水処理剤が有害物質含有水と接触することができればよく、その方法に特に制限はない。例えば、有害物質含有水中に所定量の前記水処理剤を添加して有害物質を除去した後、前記水処理剤を固液分離により分離する方法(添加法)や、前記水処理剤を充填した充填塔へ有害物質含有水を通水させることによって有害物質を除去する方法(充填法)などが挙げられる。いずれの方法においても、効率的に有害物質を除去することが可能である。
−添加法の処理条件−
添加法における水処理剤の添加量は、特に制限はなく、有害物質含有水の有害物質濃度に応じて適宜決定される。また、添加法における水処理剤の添加方法にも、特に制限はなく、例えば、廃水処理設備の配管などの流路や貯水槽に添加する方法などが挙げられる。また、添加法における処理時間にも、特に制限はなく、例えば10分間以上、好ましくは30分間以上とすることができる。また処理中に撹拌しても、しなくてもよい。撹拌するとき、装置、操作などは特に制限されず、従来公知である装置、操作を用いることができる。
−−前処理工程−−
なお、前記添加法においては、前記水処理剤を予め水に分散させた(前処理工程)後、有害物質含有水の処理に用いることが好ましい。予め水に分散させた状態で水処理剤を使用することにより、低撹拌力条件下で有害物質含有水の処理を行った場合であっても、有害物質を効率的に除去することができる点で、有利である。前記水処理剤を水に分散させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、従来公知の撹拌装置を用いて行うことができる。また、前記水処理剤を分散させる際の水の使用量としても、特に制限はなく、例えば、水処理剤が、0.1〜20%となる量の水を使用することが好ましい。
−−後処理工程−−
なお、本発明の水処理剤は凝集性(沈降性)に優れるため、凝集剤を添加しなくとも、容易に水処理剤と有害物質が除去された水とに固液分離することができるが、有害物質含有水の処理後、直ちに次工程に移行する必要がある場合や、例えば、前記のように、水処理剤を予め水に分散させた後、有害物質含有水の処理に用いたような場合(前処理工程を行った場合)では、水処理剤の凝集性(沈降性)はやや低下する。したがって、このような場合には、有害物質除去処理の後、処理後の液に、高分子凝集剤(本明細書中において、「(D)成分」と称することがある)を添加し(後処理工程)、水処理剤と有害物質が除去された水とを固液分離することが好ましい。前記高分子凝集剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン系高分子凝集剤、ノニオン系高分子凝集剤、カチオン系高分子凝集剤、両性系高分子凝集剤などが挙げられる。中でも、前記高分子凝集剤としては、アニオン系高分子凝集剤、ノニオン系高分子凝集剤、両性系高分子凝集剤が好ましい。前記高分子凝集剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、処理対象とされた有害物質含有水量に対して、0.0001〜1質量%となるような量で使用されることが好ましく、0.005〜0.5質量%となるような量で使用されることがより好ましい。前記使用量が、前記好ましい範囲内であると、より水処理剤の凝集性を高めることができる点で、有利である。
また、前記固液分離は、デカンテーション、濾過、遠心分離などの手段により通常の装置を用いて実施することができる。前記固液分離を行うことにより、有害物質含有水除去処理後の水処理剤を容易に回収することができ、回収された水処理剤は、例えば、適切な処理を施した後、再び有害物質含有水の水処理剤に用いることができる。具体的には、有害物質含有水除去処理後に回収される、水に不溶の物質(水処理剤)に加熱処理を施すことによって、得られた加熱処理物を再び有害物質含有水の水処理剤に用いることができる。この加熱処理物は、飽和有害物質吸着量に至るまでは、好適に有害物質含有水の水処理剤への再利用が可能である。
−充填法の処理条件−
充填法における充填塔への水処理剤の充填量は、特に制限はなく、充填塔の大きさや、有害物質含有水の通水速度などに応じて適宜決定される。
充填法における充填塔は、特に制限はなく、公知のものを用いることができ、またその数も特に制限はなく、例えば、充填塔1基のみを使用することもできるし、複数基の充填塔を直列につなぎ使用することもできる。
充填法における水処理剤の充填層への流入は上向流でも下向流でもよく、空間速度(SV)にも特に制限はないが、例えば1〜120hr−1、好ましくは5〜50hr−1とすることができる。
<用途>
本発明の水処理方法によれば、簡単な装置及び操作により、少ない薬剤量(水処理剤量)で効率よく有害物質を除去することができ、かつ、有害物質濃度が十分に低下した水と水処理剤を容易に分離することができる。そのため、本発明の水処理方法は、例えば、各種産業廃水における有害物質除去(特に、ホウ素除去)に、好適に利用可能である。
以下、実施例、及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。また、以下の実施例、比較例中、「A−1」〜「A−5」、「B−1」〜「B〜6」、「C−1」、「C−2」、「D−1」〜「D−5」、「E−1」、「E−2」、「F−1」、「F−2」((E)成分と(F)成分は、(A)成分の比較成分)、「G−1」、「G−4」の各成分の詳細は、表1に示す通りである。
なお、「G−1」〜「G−4」の各成分は、「A−1」、「A−2」、「A−3」、「A−5」、「E−1」、「E−2」の各成分の合成に用いている。
なお、上記表1中、合成品として示した「A−1」、「A−2」、「A−3」、「A−5」、「E−1」、「E−2」の各成分については、以下の合成方法により、合成した。
<A−1、E−2の合成方法>
水1L中に水酸化アルミニウム(G−1)41.2gと水酸化カルシウム(G−2)58.8gとを混合し、100℃で12時間撹拌、24時間熟成し、反応させた。反応終了後、沈殿物を濾過、室温で乾燥し、不溶性固体(E−2)81.7gを得た。この固体E−2を500℃で3時間焼成して固体(A−1)59.5gを得た。それぞれの生成物を広角X線回折測定により分析し、固体A−1がCa12Al1433であり、固体E−2がCaAl・6HOであることを確認した。
<A−2の合成方法>
水酸化アルミニウム(G−1)4.1gと水酸化カルシウム(G−2)5.9gを混合し、るつぼの中に入れ、焼成炉((株)モトヤマ製、SUPER BURN)を用いて1,400℃で7時間加熱し、硬い結晶性の固体7.0g得た。この固体を乳鉢で粉砕し、固体(A−2)7.0g得た。この固体A−2を広角X線回折測定により測定し、CaAlであることを確認した。
<A−3の合成方法>
水酸化アルミニウム(G−1)4.1gと水酸化カルシウム(G−2)5.9gを混合し、るつぼの中に入れ、焼成炉((株)モトヤマ製、SUPER BURN)を用いて1,400℃で2時間加熱し、軟らかい固体を得た。この固体を乳鉢で粉砕し、固体(A−3)7.0gを得た。この固体A−3を広角X線回折測定により測定し、CaAlであることを確認した。
<A−5、E−1の合成方法>
水1L中に硝酸アルミニウム・9水和物(G−3)14.1gと、硝酸カルシウム・4水和物(G−4)26.6gとを混合し、水酸化ナトリウムでpHを12に調整した後、室温で1時間撹拌し、反応させた。反応終了後、沈殿物を濾過、室温で乾燥し、不溶性固体(E−1)10.9gを得た。この固体を広角X線回折測定により測定し、CaAl・6HOであることを確認した。また、この固体E−1を500℃で3時間焼成して固体(A−5)を得た。
なお、以下の実施例、比較例における、(1)ホウ素除去力の評価方法、(2)凝集性(沈降性)の評価方法、(3)有害物質除去力の評価、(4)高分子添加による凝集性(沈降性)の評価、(5)固液分離の評価方法は、それぞれ以下の通りである。
(1)ホウ素除去力の評価方法(実施例1〜35、比較例1〜15)
得られた実施例1〜35、比較例1〜15の水処理剤について、下記表2〜5に示す条件でホウ素含有水を処理したときのホウ素除去率を算出することにより、ホウ素除去力を評価した。具体的には、75mLの市販のマヨネーズ瓶に、ホウ素含有水50.0gと、所定量の水処理剤(ホウ素除去剤)を添加し、5時間以上激しく撹拌した後、10分間静置した。処理液を濾過し、必要に応じて純水で希釈した後、ICP発光分析装置((株)パーキンエルマージャパン製、optima5300DV)を用いてホウ素濃度を測定した。ホウ素除去率は下記式(1)により算出した。なお、前記ホウ素除去率は100%に近い方が、ホウ素除去力が高いことを示す。本発明では、60%以上をホウ素除去率の合格レベルとした。結果を表2〜5に示す。
[式]
ホウ素除去率(%)=(1−C/C)×100 ・・・式(1)
:処理後のホウ素濃度(mg/L)
:処理前の初期ホウ素濃度(mg/L)
(2)水処理剤の凝集性(沈降性)の評価(実施例1〜35、比較例1〜15)
また、実施例1〜35、比較例1〜15の水処理剤について、ホウ素除去後の凝集性(沈降性)を、以下のようにして評価した。75mLの市販のマヨネーズ瓶に、ホウ素含有水50.0gと、所定量の水処理剤を添加し、5時間以上激しく撹拌した後、静置した。10分後、気液界面の高さと固液界面の高さを測定し、下記式(2)により凝集率(沈降率)を算出した(図1参照)。なお、凝集率は100%に近い方が、凝集性が良好であることを示すが、凝集率が100%の場合は、水処理剤がホウ素含有水に溶解したことを示し、凝集性に優れることの指標とはならない(比較例7、8、10)。本発明では、50%以上(かつ100%未満)を凝集率の合格レベルとした。結果を表2〜5に示す。
[式]
凝集率(%)=(1−b/a)×100 ・・・式(2)
a:気液界面の高さ(mm)
b:固液界面の高さ(mm)
なお、表中、「添加濃度」とは、処理対象となるホウ素含有水に対する各成分の濃度(質量%)を示す。
なお、表中、「添加濃度」とは、処理対象となるホウ素含有水に対する各成分の濃度(質量%)を示す。
なお、表中、「添加濃度」とは、処理対象となるホウ素含有水に対する各成分の濃度(質量%)を示す。
なお、表中、「添加濃度」とは、処理対象となるホウ素含有水に対する各成分の濃度(質量%)を示す。
(3)有害物質(ニッケル、亜鉛、鉄、銅、鉛、マンガン)除去力の評価(実施例24〜35)
得られた実施例24〜35の水処理剤について、下記表6に示す条件で、ホウ素とホウ素以外の有害物質(ニッケル、亜鉛、鉄、銅、鉛、マンガン)含有水(処理対象水)を処理したときのホウ素除去率と有害物質除去率を算出することにより、ホウ素と有害物質除去力を評価した。具体的には、75mLの市販のマヨネーズ瓶に、ホウ素と有害物質含有水(処理対象水)50.0gと、所定量の水処理剤を添加し、所定の時間激しく撹拌した後、10分間静置した。処理液を濾過し、必要に応じて純水で希釈した後、ICP発光分析装置((株)パーキンエルマージャパン製、optima5300DV)、又は、イオン電極(サーモエレクトロン(株)製、Orion370)を用いてホウ素と有害物質濃度を測定した。有害物質濃度は、前記ICP発光分析装置を用いて測定した。ホウ素除去率は、上記式(1)、有害物質除去率は下記式(3)により算出した。なお、前記有害物質除去率は100%に近い方が、有害物質除去力が高いことを示す。本発明では、50%以上を有害物質除去率の合格レベルとした。結果を表6に示す。
[式]
有害物質除去率(%)=(1−C’/C’)×100 ・・・式(3)
C’:処理後の有害物質濃度(mg/L)
C’:処理前の初期有害物質濃度(mg/L)
なお、表中、「添加濃度」とは、処理対象となるホウ素とホウ素以外の有害物質(ニッケル、亜鉛、鉄、銅、鉛、マンガン)含有水に対する各成分の濃度(質量%)を示す。
(4)高分子添加による凝集性(沈降性)の評価(実施例36〜47)
ホウ素処理後の処理液の入ったビーカーを、ジャーテスター(宮本製作所、MJS−2)にセットした。120rpmで撹拌しながら、必要に応じて高分子凝集剤((D)成分)含有水溶液を添加し、120rpmで5分間撹拌後、30rpmで2分間撹拌した。3分間静置後、上澄み溶液をサンプリングし、日本電色工業(株)Water Analyzer 2000Nを用いて濁度を測定した。なお、濁度の値が小さい程、水処理剤の凝集性(沈降性)が高いことを示し、濁度の値は、30ド以下であることが好ましい。
(5)固液分離の評価方法(実施例36〜47)
直径240mmのろ紙(東洋濾紙社、No.5B)をロートにセットし、ホウ素処理後の処理液(又は、ホウ素処理と高分子凝集剤処理とを行った後の処理液)を注ぎ、ろ過を行った。10分後のろ液重量を測定した。なお、ろ液重量の値が大きい程、固液分離が良好に行われたことを示し、ろ液重量は、150g以上であることが好ましい。
[実施例36〜38:前処理工程なしで処理した場合の実施例]
(実施例36)
500mLのビーカーに、ホウ素濃度30mg/L(pH6)のホウ素溶液水350g、A−3(CaAl)0.70gとB−1(硫酸カルシウム・2水和物)0.70gを添加し、ビーカーの底から1.5cmに撹拌羽根(60mm×19×4t、撹拌棒(直径8mm))をセットし、スリーワンモーター(Fine社、FBL1200)を用い、400rpmで5時間撹拌して、ホウ素処理を行った。ホウ素処理後の処理液について、ホウ素除去力を評価した結果、ホウ素除去率は、97.1%であり、ホウ素を効率的に除去できることがわかった。
ホウ素処理後の処理液の入った500mLビーカーをジャーテスターにセットし、120rpmで撹拌しながら0.1%高分子(D−1)水溶液7.0gを添加し、120rpmで5分撹拌後、30rpmで2分間撹拌した。3分間静置した後、上澄み溶液をサンプリングし、濁度を測定し、残りは、ろ液重量測定に用いた。固液分離性を評価した結果、濁度は、5ド、ろ液重量は、305gとなり固液分離性は良好であった。
(実施例37)
B−1(硫酸カルシウム・2水和物)の添加量を0.70gから0.55gに変え、また、C−1(炭酸カルシウム)0.15gを添加したこと以外は、実施例36と同様にして、ホウ素処理を行った。ホウ素処理後の処理液について、ホウ素除去力を評価した結果、ホウ素除去率は、99.5%であり、ホウ素を効率的に除去できることがわかった。
また、このホウ素処理後の処理液の固液分離性を実施例36と同様の方法により評価した結果、濁度は、5ド、ろ液重量は、300gとなり固液分離性は良好であった。
(実施例38)
初期のホウ素濃度を100mg/L(pH6)にしたことと、A−3(CaAl)0.70gに代えてA−1(Ca12Al1433)1.75gを用いたこと、B−1(硫酸カルシウム・2水和物)の添加量を0.70gから1.75gに変えたこと以外は、実施例36と同様にして、ホウ素処理を行った。ホウ素処理後の処理液について、ホウ素除去力を評価した結果、ホウ素除去率は、92.1%であり、ホウ素を効率的に除去できることがわかった。
また、このホウ素処理後の処理液の固液分離性の評価は、0.1%高分子(D−1)水溶液の添加量を17.5gに変えたこと以外は、実施例36と同様の方法により評価した結果、濁度は、8ド、ろ液重量は、295gとなり固液分離性は良好であった。
[実施例39:前処理工程なし、低撹拌速度で処理した場合の実施例]
(実施例39)
撹拌速度を400rpmに変えて150rpmにしたこと以外は、実施例38と同様にホウ素処理を行った結果、ホウ素除去率は、72.2%であり、ホウ素を効率的に除去できることがわかった。
また、このホウ素処理後の処理液の固液分離性を実施例38と同様の方法により評価した結果、濁度は、7ド、ろ液重量は、302gとなり固液分離性も良好であった。
[実施例40:前処理工程を行い、低撹拌速度で処理した場合の実施例]
(実施例40)
500mLのビーカーに、水175g、A−1(Ca12Al1433)1.75gとB−1(硫酸カルシウム・2水和物)1.75gを添加し、ビーカーの底から1.5cmに前記撹拌羽根をセットしたスリーワンモーターを用い、400rpmで20時間撹拌して、水処理剤の分散液を調製した(前処理工程)。
前記分散液のスリーワンモーターの撹拌速度を150rpmに設定し、ここに200mg/Lのホウ素水溶液(pH6)175gを添加(初期ホウ素濃度;100mg/L)し、150rpmで5時間撹拌し、ホウ素処理を行った。
ホウ素処理後の処理液について、ホウ素除去力を評価した結果、ホウ素除去率は、91.9%であり、前処理工程を行うことにより、撹拌力が小さい条件下でもホウ素を効率的に除去できることがわかった。
また、このホウ素処理後の処理液の固液分離性を実施例38と同様の方法により評価した結果、濁度は、9ド、ろ液重量は、295gとなり固液分離性は良好であった。
[実施例41:前処理工程を行い、撹拌無しで処理した場合の実施例]
実施例40と同様にして、前処理工程を行い、水処理剤の分散液を調製した。
次いで、撹拌速度を150rpmに変え、ここに200mg/Lのホウ素水溶液(pH6)175gを添加(初期ホウ素濃度;100mg/L)し、1分間撹拌した後、5時間静置し、ホウ素処理を行った。
ホウ素処理後の処理液について、ホウ素除去力を評価した結果、ホウ素除去率は、80.5%であり、前処理工程を行うことにより、撹拌力を付与できない条件下でもホウ素を効率的に除去できることがわかった。
また、このホウ素処理後の処理液の固液分離性を実施例38と同様の方法により評価した結果、濁度は、8ド、ろ液重量は、288gとなり固液分離性は良好であった。
[実施例42〜47:前処理工程、及び、後処理工程を行った場合の実施例]
A−1(Ca12Al1433)1.75gに代えてA−3(CaAl)0.44gを用いたこと、また、B−1(硫酸カルシウム・2水和物)の添加量を1.75gに変えて0.44gとしたこと以外は、実施例40と同様にして前処理工程を行い、水処理剤の分散液を調製した。
ここに40mg/Lのホウ素水溶液(pH9)175gを入れ(初期ホウ素濃度20mg/L)、400rpmで3時間撹拌し、ホウ素処理を行った。
ホウ素処理後の処理液の入った500mLビーカーを、ジャーテスター(宮本製作所、MJS−2)にセットした。120rpmで撹拌しながら、表7に示す(D)成分(高分子凝集剤)を添加し(実施例42を除く)、120rpmで5分間撹拌後、30rpmで2分間撹拌し、高分子凝集剤処理を行った(後処理工程)。
上記のようにして、(1)ホウ素除去力、(2)凝集性(沈降性)、(3)固液分離性をそれぞれ評価した。結果を表7示す。
なお、表中、「添加濃度」とは、処理対象となるホウ素含有水に対する各成分の濃度(質量%)を示す。
表7の結果、前処理工程(水処理剤を予め水に分散させる工程)のみならず、後処理工程(ホウ素処理後に(D)高分子凝集剤を添加する工程)を行うことにより、ホウ素処理後の水処理剤の凝集性を高めることができ、水処理剤と処理後の水との固液分離を効率的に行えるようになることが示された。中でも、(D)高分子凝集剤として、アニオン系高分子凝集剤であるD−1、D−2、ノニオン系高分子凝集剤であるD−3、両性系高分子凝集剤であるD−4を使用した場合に、特にホウ素処理後の水処理剤の凝集性を高めることができ、水処理剤と処理後の水との固液分離を効率的に行えるようになることが示された。
[比較例15(水中でカルシウムアルミネート水和物が生成される系において硫酸カルシウムを添加した場合)]
75mLの市販のマヨネーズ瓶に、ホウ素含有水(ホウ素濃度105mg/L、pH9)50.0gとナトリウムアルミネート(F−1)0.5質量%と水酸化カルシウム(G−2)0.5質量%、硫酸カルシウム・2水和物(B−1)0.5質量%を添加して、5時間撹拌し、ホウ素処理を実施した。ホウ素除去率は20.1%であり、ホウ素濃度はやや低減されたが、その効果は低かった。
この系では、水中でカルシウムアルミネート水和物が生成されたと考えられるが、このカルシウムアルミネート水和物と、添加した硫酸カルシウムとでは、ホウ素除去力が低く、本発明におけるカルシウムアルミネート、及び、カルシウムアルミネート水和物を加熱処理することによって得られる物質の少なくともいずれかを用いた実施例1〜23よりも、ホウ素除去率が劣っている。
また、この時の凝集率は、72%であった。
本発明の水処理剤及び水処理方法は、例えば、有害物質(例えば、ホウ素)の排水基準を満たすことを目的とした、各種産業廃水における有害物質除去に非常に有用である。
図1は、水処理剤の凝集性(沈降性)の評価方法を示した図である(a:気液界面の高さ(mm)、b:固液界面の高さ(mm)を示す)。

Claims (6)

  1. (A)カルシウムアルミネート、及び、カルシウムアルミネート水和物を加熱処理することによって得られる物質の少なくともいずれかと、(B)硫酸塩とを含有することを特徴とする水処理剤。
  2. (B)硫酸塩が、硫酸カルシウムである請求項1に記載の水処理剤。
  3. 更に、(C)炭酸塩を含有する請求項1から2のいずれかに記載の水処理剤。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の水処理剤を用いることを特徴とする水処理方法。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載の水処理剤を水に分散させた後、有害物質含有水の処理に用いる請求項4に記載の水処理方法。
  6. 請求項1から3のいずれかに記載の水処理剤を用いて有害物質含有水を処理した後、該処理後の液に(D)高分子凝集剤を添加し、前記処理後の液を前記水処理剤と有害物質が除去された水とに固液分離する請求項4から5のいずれかに記載の水処理方法。
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