JP5293418B2 - ブレーキ異常検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ブレーキ異常検出装置に関し、特に、ホイールシリンダに圧を増減させるホイールシリンダ圧制御系統の異常を検出するブレーキ異常検出装置に関する。
例えば、ホイールシリンダの目標圧を設定し、ホイールシリンダに作用する制御圧を目標圧に近づけるよう、ホイールシリンダ圧制御系統の作動を制御する電子制御ブレーキ装置が知られている。このような電子制御ブレーキ装置では、一般に制動要求直後の目標値は通常リニアに増大するのに対し、制御圧は目標圧よりも低く乖離しがちとなる。このため、制御圧と基準圧力との比較に基づいてホイールシリンダ圧制御系統に異常があるか否かを判定するブレーキ制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、目標液圧とホイールシリンダ圧との偏差に基づいて故障部位を特定するブレーキ液圧制御装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2007−112293号公報 特開平11−180294号公報
例えば減圧弁の開弁の故障やキャリパからの作動液の漏れなどホイールシリンダ圧制御系統に異常が発生したときには、制御圧を目標圧まで適切に昇圧させることが困難となり得る。このためこのような異常は正確に検出し、異常が発生したときにはフェール処理に速やかに移行させる必要がある。このとき、例えば目標圧より低い値に設定された閾値まで制御圧が昇圧しない状態が継続する場合にホイールシリンダ圧制御系統に異常が発生したと判定する対応が考えられる。
しかしながら、例えば極低温時ではホイールシリンダ圧制御系統の作動液の粘性が高くなり、制動要求が発生したときから制御圧が昇圧するまでに時間がかかる可能性がある。このため上述のような異常判定方法を採用した場合、異常がない場合であってもホイールシリンダ圧制御系統に異常が発生したと誤判定される虞がある。ホイールシリンダ圧制御系統の異常時の制御では、正常時の制御とは運転者に与えるブレーキフィーリングが異なるものとなり得るため、このような誤判定の頻度は出来る限り低くする必要がある。
そこで、本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ホイールシリンダ圧制御系統の異常を適切に検出することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のブレーキ異常検出装置は、ホイールシリンダに作用する制御圧を検出する制御圧検出手段と、ホイールシリンダの目標圧を設定し、前記制御圧を増減させるホイールシリンダ圧制御系統の作動を制御して前記制御圧を前記目標圧に近づけるホイールシリンダ圧制御を実行するホイールシリンダ圧制御手段と、前記ホイールシリンダ圧制御系統の異常を判定するための異常判定閾値を設定し、前記制御圧と前記異常判定閾値との比較に基づいて前記ホイールシリンダ圧制御系統に異常が生じたか否かを判定する異常判定手段と、前記制御圧の増圧に利用されるアキュムレータ圧を検出するアキュムレータ圧検出手段と、を備える。前記異常判定手段は、前記ホイールシリンダ圧制御の実行中において前記アキュムレータ圧と前記制御圧との関係が前記異常判定閾値を変更すべき閾値変更条件を満たしたときに、前記閾値変更条件を満たさないときとは異なる値に前記異常判定閾値を設定する。
発明者による鋭意なる研究開発の結果、アキュムレータ圧と制御圧との関係に着目することにより、例えば目標圧まで制御圧が速やかに昇圧しない場合であっても、それがホイールシリンダ圧制御系統の異常によるものなのか、極低温時などにおける制御圧の昇圧遅れによるものなのかを適切に切り分けることができることが判明した。したがってこの態様によれば、極低温時などによる異常誤判定の頻度を抑制することができ、ホイールシリンダ圧制御系統の異常を適切に検出することが可能となる。
前記異常判定手段は、前記ホイールシリンダ圧制御の実行中において前記アキュムレータ圧と前記制御圧との関係が前記閾値変更条件を満たしたときに、前記閾値変更条件を満たさないときより低い値に前記異常判定閾値を設定し、前記異常判定閾値より前記制御圧が低いときに前記ホイールシリンダ圧制御系統に異常が生じたと判定してもよい。
この態様によれば、例えば減圧弁の開弁の故障やキャリパからの作動液の漏れなどにより目標圧まで制御圧が昇圧しないホイールシリンダ圧制御系統の異常を適切に検出することができる。
前記異常判定手段は、前記ホイールシリンダ圧制御の実行中において前記異常判定閾値より前記制御圧が低い状態が予め設定された期間継続したときに前記ホイールシリンダ圧制御系統に異常が生じたと判定してもよい。
この態様によれば、例えばホイールシリンダ圧制御系統に異常が生じていないにもかかわらず短期間異常判定閾値より制御圧が低くなることによりホイールシリンダ圧制御系統に異常が生じていると判定される可能性を低減させることができる。このため、ホイールシリンダ圧制御系統の異常をより適切に検出することができる。
前記異常判定手段は、前記ホイールシリンダ圧制御の実行中において前記アキュムレータ圧および前記制御圧の双方が増圧している場合に前記閾値変更条件を満たしたと判定し、双方が減圧している場合に前記閾値変更条件を満たさないと判定してもよい。
例えば減圧弁の開弁の故障やキャリパからの作動液の漏れなどの異常がホイールシリンダ圧制御系統に生じている場合は、アキュムレータ圧と制御圧の双方が減圧する。一方、発明者による鋭意なる研究開発の結果、極低温時などにおいて制御圧が緩やかに昇圧する場合は、アキュムレータ圧と制御圧の双方が増圧することが確認された。したがってこの態様によれば、アキュムレータ圧と制御圧とのこのような関係を利用して、ホイールシリンダ圧制御系統に異常が発生したか、極低温時などにおいて制御圧の昇圧遅れが発生したかを適切に切り分けることができる。
前記異常判定手段は、前記閾値変更条件を満たすときは、前記アキュムレータ圧を利用して前記異常判定閾値を設定してもよい。
発明者による鋭意なる研究開発の結果、例えば極低温時における制御圧の昇圧特性はアキュムレータ圧に関連することが判明した。このためこの態様によれば、アキュムレータ圧を利用して簡易に適切な異常判定閾値を設定することができる。
前記異常判定手段は、前記閾値変更条件を満たさないときは、前記目標圧からその目標圧に基づいて算出した偏差圧を引いた値を前記異常判定閾値として設定してもよい。
この態様によれば、極低温時などではない通常の状態において異常判定値を簡易かつ適切に設定することができる。
前記異常判定手段は、前記閾値変更条件を満たすときは、前記目標圧から前記偏差圧を引いて算出した前記異常判定閾値と、前記アキュムレータ圧を利用して算出した前記異常判定閾値と、のうち小さい方を前記異常判定閾値として設定してもよい。
この態様によれば、閾値変更条件を満たさない場合よりも満たす場合の方が異常判定閾値が大きな値となることを回避することができる。このため、ホイールシリンダ圧制御系統の異常をより適切に検出することができる。
本発明によれば、ホイールシリンダ圧制御系統の異常を適切に検出することができる。
本実施形態に係る制動制御装置を示す系統図である。 本実施形態に係るブレーキ異常検出装置の構成を示す機能ブロック図である。 本実施形態に係るブレーキ異常検出装置による異常検出処理の手順を示すフローチャートである。 図3におけるS12の異常判定閾値Pmin設定処理の詳細な手順を示すフローチャートである。 図4におけるS42の閾値変更条件を示す図である。 ホイールシリンダ圧制御系統に異常が生じているときに通常の環境下において制動要求が与えられたときの制御圧Pfrおよびアキュムレータ圧Paccの変化を示す図である。 ホイールシリンダ圧制御系統に異常がないときに極低温下において制動要求が与えられたときの制御圧Pfrおよびアキュムレータ圧Paccの変化を示す図である。 ホイールシリンダ圧制御系統に異常がないときに極低温下において制動要求が与えられたときの制御圧Pfrおよびアキュムレータ圧Paccの変化を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という。)について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る制動制御装置20を示す系統図である。同図に示される制動制御装置20は、車両用の電子制御式ブレーキシステム(ECB)を構成しており、車両に設けられた4つの車輪に付与される制動力を制御する。本実施形態に係る制動制御装置20は、例えば、走行駆動源として電動モータと内燃機関とを備えるハイブリッド車両に搭載される。このようなハイブリッド車両においては、車両の運動エネルギを電気エネルギに回生することによって車両を制動する回生制動と、制動制御装置20による液圧制動とのそれぞれを車両の制動に用いることができる。本実施形態における車両は、これらの回生制動と液圧制動とを併用して所望の制動力を発生させるブレーキ回生協調制御を実行することができる。
制動制御装置20は、図1に示されるように、各車輪に対応して設けられたディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RL(以下、必要に応じて「ディスクブレーキユニット21」と総称する)と、マスタシリンダユニット27と、動力液圧源30と、液圧アクチュエータ40とを含む。
ディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLは、車両の右前輪、左前輪、右後輪、および左後輪のそれぞれに制動力を付与する。本実施形態におけるマニュアル液圧源としてのマスタシリンダユニット27は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル24の運転者による操作量に応じて加圧されたブレーキフルードをディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出する。動力液圧源30は、動力の供給により加圧された作動流体としてのブレーキフルードを、運転者によるブレーキペダル24の操作から独立してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出することが可能である。液圧アクチュエータ40は、動力液圧源30またはマスタシリンダユニット27から供給されたブレーキフルードの液圧を適宜調整してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに送出する。これにより、液圧制動による各車輪に対する制動力が調整される。
ディスクブレーキユニット21FR〜21RL、マスタシリンダユニット27、動力液圧源30、および液圧アクチュエータ40のそれぞれについて以下で更に詳しく説明する。各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLは、それぞれブレーキディスク22とブレーキキャリパに内蔵されたホイールシリンダ23FR〜23RLを含む。そして、各ホイールシリンダ23FR〜23RLは、それぞれ異なる流体通路を介して液圧アクチュエータ40に接続されている。なお以下では適宜、ホイールシリンダ23FR〜23RLを総称して「ホイールシリンダ23」という。
ディスクブレーキユニット21FR〜21RLにおいては、ホイールシリンダ23に液圧アクチュエータ40からブレーキフルードが供給されると、車輪と共に回転するブレーキディスク22に摩擦部材としてのブレーキパッドが押し付けられる。これにより、各車輪に制動力が付与される。なお、本実施形態においてはディスクブレーキユニット21FR〜21RLを用いているが、例えばドラムブレーキ等のホイールシリンダ23を含む他の制動力付与機構を用いてもよい。
マスタシリンダユニット27は、本実施形態では液圧ブースタ付きマスタシリンダであり、液圧ブースタ31、マスタシリンダ32、レギュレータ33、およびリザーバ34を含む。液圧ブースタ31は、ブレーキペダル24に連結されており、ブレーキペダル24に加えられたペダル踏力を増幅してマスタシリンダ32に伝達する。動力液圧源30からレギュレータ33を介して液圧ブースタ31にブレーキフルードが供給されることにより、ペダル踏力は増幅される。そして、マスタシリンダ32は、ペダル踏力に対して所定の倍力比を有するマスタシリンダ圧を発生する。
マスタシリンダ32とレギュレータ33との上部には、ブレーキフルードを貯留するリザーバ34が配置されている。マスタシリンダ32は、ブレーキペダル24の踏み込みが解除されているときにリザーバ34と連通する。一方、レギュレータ33は、リザーバ34と動力液圧源30のアキュムレータ35との双方と連通しており、リザーバ34を低圧源とすると共に、アキュムレータ35を高圧源とし、マスタシリンダ圧とほぼ等しい液圧を発生する。レギュレータ33における液圧を以下では適宜、「レギュレータ圧」という。なお、マスタシリンダ圧とレギュレータ圧とは厳密に同一圧にされる必要はなく、例えばレギュレータ圧のほうが若干高圧となるようにマスタシリンダユニット27を設計することも可能である。
マスタシリンダ32とレギュレータ33には、いわゆるアイドルストロークがある。アイドルストロークとは、ブレーキ操作がなされていない状態からブレーキペダル24が踏み込まれてマスタシリンダ32及びレギュレータ33のそれぞれとリザーバ34との接続が遮断されるまでのストロークである。アイドルストロークの間はリザーバ34に連通されているためマスタシリンダ32及びレギュレータ33の液圧は上がらない。本実施形態のマスタシリンダユニット27は、ブレーキペダル踏込当初はストローク増加につれて初めにレギュレータ33のアイドルストロークが縮まり、次いでマスタシリンダ32のアイドルストロークが縮まるように構成されている。つまり、レギュレータ33、マスタシリンダ32の順にリザーバ34との接続が遮断される。
以下では便宜上、レギュレータ33とリザーバ34との接続が遮断されるときのペダルストロークを第1遮断ストロークと称し、マスタシリンダ32とリザーバ34との接続が遮断されるときのストロークを第2遮断ストロークと称する。本実施形態においては第2遮断ストロークのほうが第1遮断ストロークよりも大きい。ペダルストロークが第1遮断ストロークと第2遮断ストロークの間にある場合には、レギュレータ33のほうがマスタシリンダ32よりも高圧となり2つの作動液室間に差圧が生じる。これは、レギュレータ33はリザーバ34から遮断されてストロークに応じて作動液が加圧されるのに対し、マスタシリンダ32はリザーバ34に接続されて液圧が上がらないからである。
動力液圧源30は、アキュムレータ35およびポンプ36を含む。アキュムレータ35は、ポンプ36により昇圧されたブレーキフルードの圧力エネルギを窒素等の封入ガスの圧力エネルギ、例えば14〜22MPa程度に変換して蓄えるものである。ポンプ36は、駆動源としてモータ36aを有し、その吸込口がリザーバ34に接続される一方、その吐出口がアキュムレータ35に接続される。ポンプ36により、アキュムレータ圧は維持されるべき設定範囲(本明細書ではこれを許容範囲という場合もある)に保たれる。ブレーキECU70は、アキュムレータ圧センサ72の測定値に基づいて、アキュムレータ圧が許容範囲の下限を下回った場合にポンプ36をオンとしてアキュムレータ圧を加圧し、アキュムレータ圧が許容範囲の上限を超えた場合にポンプ36をオフとして加圧を終了する。
また、アキュムレータ35は、マスタシリンダユニット27に設けられたリリーフバルブ35aにも接続されている。アキュムレータ35におけるブレーキフルードの圧力が異常に高まって例えば25MPa程度になると、リリーフバルブ35aが開弁し、高圧のブレーキフルードはリザーバ34へと戻される。
上述のように、制動制御装置20は、ホイールシリンダ23に対するブレーキフルードの供給源として、マスタシリンダ32、レギュレータ33およびアキュムレータ35を有している。そして、マスタシリンダ32にはマスタ配管37が、レギュレータ33にはレギュレータ配管38が、アキュムレータ35にはアキュムレータ配管39が接続されている。これらのマスタ配管37、レギュレータ配管38およびアキュムレータ配管39は、それぞれ液圧アクチュエータ40に接続される。
液圧アクチュエータ40は、複数の流路が形成されるアクチュエータブロックと、複数の電磁制御弁を含む。アクチュエータブロックに形成された流路には、個別流路41、42,43および44と、主流路45とが含まれる。個別流路41〜44は、それぞれ主流路45から分岐されて、対応するディスクブレーキユニット21FR、21FL,21RR,21RLのホイールシリンダ23FR、23FL,23RR,23RLに接続されている。これにより、各ホイールシリンダ23は主流路45と連通可能となる。
また、個別流路41,42,43および44の中途には、ABS保持弁51,52,53および54が設けられている。各ABS保持弁51〜54は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされた各ABS保持弁51〜54は、ブレーキフルードを双方向に流通させることができる。つまり、主流路45からホイールシリンダ23へとブレーキフルードを流すことができるとともに、逆にホイールシリンダ23から主流路45へもブレーキフルードを流すことができる。ソレノイドに通電されて各ABS保持弁51〜54が閉弁されると、個別流路41〜44におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
更に、ホイールシリンダ23は、個別流路41〜44にそれぞれ接続された減圧用流路46,47,48および49を介してリザーバ流路55に接続されている。減圧用流路46,47,48および49の中途には、ABS減圧弁56,57,58および59が設けられている。各ABS減圧弁56〜59は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。各ABS減圧弁56〜59が閉状態であるときには、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて各ABS減圧弁56〜59が開弁されると、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通が許容され、ブレーキフルードがホイールシリンダ23から減圧用流路46〜49およびリザーバ流路55を介してリザーバ34へと還流する。なお、リザーバ流路55は、リザーバ配管77を介してマスタシリンダユニット27のリザーバ34に接続されている。
主流路45は、中途に分離弁60を有する。この分離弁60により、主流路45は、個別流路41および42と接続される第1流路45aと、個別流路43および44と接続される第2流路45bとに区分けされている。第1流路45aは、個別流路41および42を介して前輪用のホイールシリンダ23FRおよび23FLに接続され、第2流路45bは、個別流路43および44を介して後輪用のホイールシリンダ23RRおよび23RLに接続される。
分離弁60は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。分離弁60が閉状態であるときには、主流路45におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて分離弁60が開弁されると、第1流路45aと第2流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。
また、液圧アクチュエータ40においては、主流路45に連通するマスタ流路61およびレギュレータ流路62が形成されている。より詳細には、マスタ流路61は、主流路45の第1流路45aに接続されており、レギュレータ流路62は、主流路45の第2流路45bに接続されている。また、マスタ流路61は、マスタシリンダ32と連通するマスタ配管37に接続される。レギュレータ流路62は、レギュレータ33と連通するレギュレータ配管38に接続される。
マスタ流路61は、中途にマスタカット弁64を有する。マスタカット弁64は、マスタシリンダ32から各ホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路上に設けられている。マスタカット弁64は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により閉弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされたマスタカット弁64は、マスタシリンダ32と主流路45の第1流路45aとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに規定の制御電流が通電されてマスタカット弁64が閉弁されると、マスタ流路61におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
また、マスタ流路61には、マスタカット弁64よりも上流側において、シミュレータカット弁68を介してストロークシミュレータ69が接続されている。すなわち、シミュレータカット弁68は、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69とを接続する流路に設けられている。シミュレータカット弁68は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により開弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。シミュレータカット弁68が閉状態であるときには、マスタ流路61とストロークシミュレータ69との間のブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されてシミュレータカット弁68が開弁されると、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69との間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。
ストロークシミュレータ69は、複数のピストンやスプリングを含むものであり、シミュレータカット弁68の開放時に運転者によるブレーキペダル24の踏力に応じた反力を創出する。ストロークシミュレータ69としては、運転者によるブレーキ操作のフィーリングを向上させるために、多段のバネ特性を有するものが採用されると好ましい。
レギュレータ流路62は、中途にレギュレータカット弁65を有する。レギュレータカット弁65は、レギュレータ33から各ホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路上に設けられている。レギュレータカット弁65も、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により閉弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされたレギュレータカット弁65は、レギュレータ33と主流路45の第2流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに通電されてレギュレータカット弁65が閉弁されると、レギュレータ流路62におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
液圧アクチュエータ40には、マスタ流路61およびレギュレータ流路62に加えて、アキュムレータ流路63も形成されている。アキュムレータ流路63の一端は、主流路45の第2流路45bに接続され、他端は、アキュムレータ35と連通するアキュムレータ配管39に接続される。
アキュムレータ流路63は、中途に増圧リニア制御弁66を有する。また、アキュムレータ流路63および主流路45の第2流路45bは、減圧リニア制御弁67を介してリザーバ流路55に接続されている。増圧リニア制御弁66と減圧リニア制御弁67とは、それぞれリニアソレノイドおよびスプリングを有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、それぞれのソレノイドに供給される電流に比例して弁の開度が調整される。
増圧リニア制御弁66は、各車輪に対応して複数設けられた各ホイールシリンダ23に対して共通の増圧制御弁として設けられている。また、減圧リニア制御弁67も同様に、各ホイールシリンダ23に対して共通の減圧制御弁として設けられている。つまり、本実施形態においては、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、動力液圧源30から送出される作動流体を各ホイールシリンダ23へ給排制御する1対の共通の制御弁として設けられている。このように増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67を各ホイールシリンダ23に対して共通化すれば、ホイールシリンダ23ごとにリニア制御弁を設けるのと比べて、コストの観点からは好ましい。
なお、ここで、増圧リニア制御弁66の出入口間の差圧は、アキュムレータ35におけるブレーキフルードの圧力と主流路45におけるブレーキフルードの圧力との差圧に対応し、減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧は、主流路45におけるブレーキフルードの圧力とリザーバ34におけるブレーキフルードの圧力との差圧に対応する。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力に応じた電磁駆動力をF1とし、スプリングの付勢力をF2とし、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧に応じた差圧作用力をF3とすると、F1+F3=F2という関係が成立する。従って、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力を連続的に制御することにより、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧を制御することができる。
制動制御装置20において、動力液圧源30および液圧アクチュエータ40は、本実施形態における制御部としてのブレーキECU70により制御される。ブレーキECU70は、CPUを含むマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート等を備える。そして、ブレーキECU70は、上位のハイブリッドECU(図示せず)などと通信可能であり、ハイブリッドECUからの制御信号や、各種センサからの信号に基づいて動力液圧源30のポンプ36や、液圧アクチュエータ40を構成する電磁制御弁51〜54,56〜59,60,64〜68を制御する。
また、ブレーキECU70には、レギュレータ圧センサ71、アキュムレータ圧センサ72、および制御圧センサ73が接続される。レギュレータ圧センサ71は、レギュレータカット弁65の上流側でレギュレータ流路62内のブレーキフルードの圧力、すなわちレギュレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。アキュムレータ圧センサ72は、増圧リニア制御弁66の上流側でアキュムレータ流路63内のブレーキフルードの圧力、すなわちアキュムレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。制御圧センサ73は、主流路45の第1流路45a内のブレーキフルードの圧力を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。主流路45はホイールシリンダ23に接続されているため、制御圧センサ73は、ホイールシリンダ23に作用する制御圧を検出することになる。各圧力センサ71〜73の検出値は、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に格納保持される。
分離弁60が開状態とされて主流路45の第1流路45aと第2流路45bとが互いに連通している場合、制御圧センサ73の出力値は、増圧リニア制御弁66の低圧側の液圧を示すと共に減圧リニア制御弁67の高圧側の液圧を示すので、この出力値を増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の制御に利用することができる。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67が閉鎖されていると共に、マスタカット弁64が開状態とされている場合、制御圧センサ73の出力値は、マスタシリンダ圧を示す。更に、分離弁60が開放されて主流路45の第1流路45aと第2流路45bとが互いに連通しており、各ABS保持弁51〜54が開放される一方、各ABS減圧弁56〜59が閉鎖されている場合、制御圧センサの73の出力値は、各ホイールシリンダ23に作用する作動流体圧、すなわちホイールシリンダ圧を示す。
さらに、ブレーキECU70に接続されるセンサには、ブレーキペダル24に設けられたストロークセンサ25も含まれる。ストロークセンサ25は、ブレーキペダル24の操作量としてのペダルストロークを検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。
また、ブレーキECU70にはストップランプスイッチが接続されている。ストップランプスイッチはブレーキペダル24が踏み込まれるとオン状態となる。これによりストップランプが点灯される。また、ブレーキペダル24の踏込が解除されるとストップランプスイッチはオフ状態となり、ストップランプは消灯される。ストップランプスイッチの点灯状態を示す信号がストップランプスイッチからブレーキECU70へと所定時間おきに入力され、ブレーキECU70の所定の記憶領域に格納保持される。
上述のように構成された制動制御装置20は、ブレーキ回生協調制御を実行することができる。制動制御装置20は制動要求を受けて制動を開始する。制動要求は、例えば運転者がブレーキペダル24を操作した場合など、車両に制動力を付与すべきときに生起される。制動要求を受けてブレーキECU70は要求制動力を演算し、要求制動力から回生による制動力を減じることにより制動制御装置20により発生させるべき制動力である要求液圧制動力を算出する。ここで、回生による制動力の実効値は、ハイブリッドECUから制動制御装置20に供給される。そして、ブレーキECU70は、算出した要求液圧制動力に基づいて各ホイールシリンダ23FR〜23RLの目標液圧を算出する。ブレーキECU70は、ホイールシリンダ圧が目標液圧となるように、フィードバック制御則により増圧リニア制御弁66や減圧リニア制御弁67に供給する制御電流の値を決定する。
その結果、制動制御装置20においては、ブレーキフルードが動力液圧源30から増圧リニア制御弁66を介して各ホイールシリンダ23に供給され、車輪に制動力が付与される。また、各ホイールシリンダ23からブレーキフルードが減圧リニア制御弁67を介して必要に応じて排出され、車輪に付与される制動力が調整される。制動制御装置20において、マスタシリンダユニット27、動力液圧源30、液圧アクチュエータ40、およびディスクブレーキユニット21は、制御圧を増減させることによりホイールシリンダ圧を増減させるホイールシリンダ圧制御系統として機能する。このホイールシリンダ圧制御系統によりいわゆるブレーキバイワイヤ方式の制動力制御が行われる。なお、本実施形態に係る制動制御装置20は、回生制動力を利用せずに液圧制動力だけで要求制動力をまかなう場合にも、当然ホイールシリンダ圧制御系統により制動力を制御することができる。
ブレーキバイワイヤ方式の制動力制御を行う場合には、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65を閉状態とし、レギュレータ33から送出されるブレーキフルードがホイールシリンダ23へ供給されないようにする。更にブレーキECU70は、マスタカット弁64を閉状態とするとともにシミュレータカット弁68を開状態とする。これは、運転者によるブレーキペダル24の操作に伴ってマスタシリンダ32から送出されるブレーキフルードがホイールシリンダ23ではなくストロークシミュレータ69へと供給されるようにするためである。ブレーキ回生協調制御中は、レギュレータカット弁65及びマスタカット弁64の上下流間には、回生制動力の大きさに対応する差圧が作用する。またブレーキECU70は、分離弁60を開状態とする。これにより各ホイールシリンダ圧が共通の液圧に制御される。
ここで、例えば減圧リニア制御弁67の開弁の故障や各ディスクブレーキユニットのキャリパからの作動液の漏れなど、ホイールシリンダ圧制御系統に異常が発生したときには、制御圧が目標圧まで適切に昇圧しない場合が生じ得る。このため、制動制御装置20が搭載された車両には、このような異常を検出すべくブレーキ異常検出装置が設けられている。
図2は、本実施形態に係るブレーキ異常検出装置100の構成を示す機能ブロック図である。なお、図2においてブレーキECU70は、CPU、ROM、RAMなどのハードウェア、およびソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックが描かれている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェアおよびソフトウェアの組合せによって様々な形で実現することができる。
ブレーキ異常検出装置100は、ブレーキECU70、ストロークセンサ25、レギュレータ圧センサ71、アキュムレータ圧センサ72、および制御圧センサ73を備える。ブレーキECU70は、ホイールシリンダ圧制御部102および異常判定部104を有する。
ホイールシリンダ圧制御部102は、制動要求があったときにストロークセンサ25やレギュレータ圧センサ71などの検出結果を利用して目標圧を設定する。ホイールシリンダ圧制御部102は、液圧アクチュエータ40やモータ36aの作動を制御して制御圧を目標圧に近づけるホイールシリンダ圧制御を実行する。目標圧の算出方法や制御圧の増減方法は公知であるため説明を省略する。
ホイールシリンダ圧制御部102は、ストロークセンサ25の検出結果に基づいてブレーキペダル24が踏み込まれたと判定したときに制動要求があったと判定する。なお、制動要求があったと判定されるのはこの場合に限られないことは勿論である。例えば車両の挙動制御によってストロークセンサ25などの検出結果にかかわらず車輪に制動力を与える必要があると判定された場合に、ホイールシリンダ圧制御部102は制動要求があったと判定してもよい。このような車両の挙動制御もまた公知であるため説明を省略する。
異常判定部104は、設定された目標圧や取得したアキュムレータ圧Paccの検出結果などを利用してホイールシリンダ圧制御系統の異常を判定するための異常判定閾値を設定する。異常判定部104は、制御圧センサ73によって検出された制御圧と設定した異常判定閾値との比較に基づいてホイールシリンダ圧制御系統に異常が生じたか否かを判定する。具体的には、異常判定部104は、異常判定閾値より制御圧が低いときにホイールシリンダ圧制御系統に異常が生じたと判定する。
図3は、本実施形態に係るブレーキ異常検出装置100による異常検出処理の手順を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、車両のイグニッションスイッチがオンにされたときに開始し、その後車両のイグニッションスイッチがオフにされるまで所定時間毎に繰り返し実行される。
異常判定部104は、ストロークセンサ25の検出結果などを利用して制動要求があるか否かを判定する(S10)。制動要求がある場合(S10のY)、異常判定部104は、異常判定閾値Pmin設定処理を実行して異常判定閾値Pminを設定する(S12)。異常判定閾値Pmin設定処理については後述する。
異常判定閾値Pminが設定されると、異常判定部104は、制御圧Pfrが異常判定閾値Pminより低いか否かを判定する(S14)。制御圧Pfrが異常判定閾値Pminより低い場合(S14のY)、異常判定部104は、ホイールシリンダ圧制御系統に異常が生じている可能性があることを示す準異常状態と判定する。準異常状態と判定した場合、異常判定部104は、自身が保持する異常判定カウンタNcをインクリメントし(S16)、異常判定カウンタNcが基準回数Nrefより大きいか否かを判定することにより、準異常状態が予め設定された期間継続したか否かを判定する(S18)。異常判定カウンタNcが基準回数Nref以下の場合(S18のN)、準異常状態は予め設定された期間まで継続していないと判定され、それ以降の処理がスキップされる。
異常判定カウンタNcが基準回数Nrefを超えた場合(S18のY)、異常判定部104は、準異常状態が予め設定された期間継続したと判定し、ホイールシリンダ圧制御系統に異常が発生したと判定する(S20)。このように異常判定部104は、ホイールシリンダ圧制御の実行中において異常判定閾値Pminより制御圧Pfrが低い状態が予め設定された期間継続したときにホイールシリンダ圧制御系統に異常が生じたと判定する。これにより、一時的に制御圧Pfrが低下することでホイールシリンダ圧制御系統に異常が生じたと判定されることを回避することができる。
ホイールシリンダ圧制御系統に異常が発生したと判定された場合、ホイールシリンダ圧制御部102は、フェール処理を実行する。このフェール処理においては、ホイールシリンダ圧制御部102は増圧リニア制御弁66を閉弁させると共にレギュレータカット弁65を開弁させる。これにより、ブレーキペダル24の踏み込み操作によってレギュレータ流路62を通じてホイールシリンダ圧を直接増圧可能な状態となる。このようなフェール処理は公知であるため説明を省略する。フェール処理が実行されると、増圧リニア制御弁66などによる制動制御は終了される。
制動要求がない場合(S10のN)、または制御圧Pfrが異常判定閾値Pmin以上の場合(S14のN)、異常判定部104は、異常判定カウンタNcがゼロより大きいか否かを判定する(S22)。異常判定部104は、異常判定カウンタNcがゼロより大きい場合は(S22のY)異常判定カウンタNcをゼロにリセットし(S24)。異常判定カウンタNcがゼロの場合は(S22のN)異常判定カウンタNcをそのまま維持する。
図4は、図3におけるS12の異常判定閾値Pmin設定処理の詳細な手順を示すフローチャートである。異常判定部104は、まず目標圧Prefを予め設定された関数に入力して偏差圧Pbを算出する(S40)。偏差圧Pbは、例えば目標圧Prefに所定の値を掛けて算出した値であってもよい。このような偏差圧Pbの設定方法は公知であるため説明を省略する。偏差圧Pbが算出されると、異常判定部104は、閾値変更条件を満たすか否かを判定する(S42)。
図5は、図4におけるS42の閾値変更条件を示す図である。図5において、dPacc/dtはアキュムレータ圧Paccの変圧勾配であり、dPfr/dtは制御圧Pfrの変圧勾配である。異常判定部104は、図3の異常判定処理の繰り返し間隔t1ごとにアキュムレータ圧Paccおよび制御圧Pfrをサンプリングして保持する。異常判定部104は、こうしてサンプリングされたアキュムレータ圧Paccおよび制御圧Pfrを用いて、最小二乗法によりアキュムレータ圧の変圧勾配dPacc/dtおよび制御圧の変圧勾配dPfr/dtを算出する。なお、これらの算出方法が最小二乗法に限られないことは勿論である。
図5において「+」は正の値であることを示し、「−」は負の値であることを示す。図5においてゼロは正の値に含めるものとする。このように異常判定部104は、ホイールシリンダ圧制御の実行中においてアキュムレータ圧および制御圧の双方が増圧している場合に閾値変更条件を満たしたと判定し、双方が減圧している場合に閾値変更条件を満たさないと判定する。
例えば減圧弁の開弁の故障やキャリパからの作動液の漏れなどの異常がホイールシリンダ圧制御系統に生じている場合は、アキュムレータ圧と制御圧の双方が減圧する。一方、例えば極低温時などにおいて作動液の粘性が高くなると、増圧リニア制御弁66を開弁させても制御圧Pfrは急峻に昇圧せず緩やかに昇圧する。このような場合は、アキュムレータ圧Paccと制御圧Pfrの双方が増圧することが発明者による鋭意なる研究開発の結果確認されている。したがって、このようにアキュムレータ圧Paccと制御圧Pfrとの関係を利用することにより、車両が置かれる環境が極低温か否かを簡易に判定することができる。
なお、本実施形態では、アキュムレータ圧の変圧勾配dPacc/dtと制御圧の変圧勾配dPfr/dtがプラスとマイナスの組み合わせ、およびマイナスとプラスの組み合わせのいずれの場合においても、車両が置かれる環境が極低温にある可能性があるものとして閾値変更条件を満たすものとしている。
図4に戻る。制御圧Pfrを目標圧Prefに近づけるホイールシリンダ圧制御の実行中において閾値変更条件を満たさない場合(S42のN)、異常判定部104は、極低温ではない通常の状態と判定し、目標圧Prefから偏差圧Pbを引いた値を異常判定閾値Pminとして設定する(S48)。
図6は、ホイールシリンダ圧制御系統に異常が生じているときに通常の環境下において制動要求が与えられたときの制御圧Pfrおよびアキュムレータ圧Paccの変化を示す図である。図6において横軸は時間tを示し、縦軸は圧力Pを示す。極低温ではない通常の環境下では、図6に示すように異常判定閾値Pminは目標圧Prefから偏差圧Pbを引いた値に設定される。
例えばホイールシリンダ圧制御系統のいずれかにおいて作動液の漏れなどの異常が発生した場合、制御圧Pfrは目標圧Prefに達することができず、徐々に低下していく。このとき、アキュムレータ圧Paccも徐々に低下していく。異常判定部104は、制御圧Pfrが異常判定閾値Pmin未満となる期間が、基準時間Tref(Tref=Nref×t1)に達したときに、ホイールシリンダ圧制御系統に異常が生じたと判定する。
図7は、ホイールシリンダ圧制御系統に異常がないときに極低温下において制動要求が与えられたときの制御圧Pfrおよびアキュムレータ圧Paccの変化を示す図である。極低温時では、ホイールシリンダ圧制御系統の作動液の粘性が高くなり、制動要求が発生しても図7に示すように制御圧Pfrが緩やかに昇圧する。この場合、通常の環境下と同様に異常判定閾値Pminを設定すると、ホイールシリンダ圧制御系統に異常がないにもかかわらず制御圧Pfrが異常判定閾値Pmin未満となる場合が生じ得る。さらにその状態が基準時間Tref継続すると、ホイールシリンダ圧制御系統に異常が生じたと判定される虞がある。
図4に戻る。そこで異常判定部104は、ホイールシリンダ圧制御の実行中においてアキュムレータ圧と制御圧との関係が異常判定閾値を変更すべき閾値変更条件を満たしたときに、閾値変更条件を満たさないときとは異なる値に異常判定閾値を設定する。具体的には、異常判定部104は、ホイールシリンダ圧制御の実行中において閾値変更条件を満たす場合(S42のY)、まずアキュムレータ圧Paccを利用して最小供給能力圧Pxを算出する(S44)。本実施形態では、異常判定部104はアキュムレータ圧Paccから所定圧力を引くことにより最小供給能力圧Pxを算出している。次に異常判定部104は、MIN(Pref−Pb、Px)、すなわち目標圧Prefから偏差圧Pbを引いて算出した異常判定閾値Pminと、アキュムレータ圧Paccを利用して算出した異常判定閾値Pminと、のうち小さい方を異常判定閾値Pminとして設定する。(S46)。
図8は、ホイールシリンダ圧制御系統に異常がないときに極低温下において制動要求が与えられたときの制御圧Pfrおよびアキュムレータ圧Paccの変化を示す図である。異常判定部104は、ホイールシリンダ圧制御の実行中において閾値変更条件を満たしたときに、閾値変更条件を満たさないときより低い値に異常判定閾値を設定する。このとき、異常判定閾値Pminは、アキュムレータ圧Paccを利用して図8に示すように緩やかに傾斜する閾値として設定される。これにより、制御圧Pfrが緩やかに昇圧してもホイールシリンダ圧制御系統が正常であれば異常判定閾値Pminを下回ることを回避することができ、極低温時における異常誤判定の発生頻度を抑制することができる。
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を本実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。
20 制動制御装置、 23 ホイールシリンダ、25 ストロークセンサ、 35 アキュムレータ、 66 増圧リニア制御弁、 67 減圧リニア制御弁、 70 ブレーキECU、 71 レギュレータ圧センサ、 72 アキュムレータ圧センサ、 73 制御圧センサ、 100 ブレーキ異常検出装置、 102 ホイールシリンダ圧制御部、 104 異常判定部。

Claims (7)

  1. ホイールシリンダに作用する制御圧を検出する制御圧検出手段と、
    ホイールシリンダの目標圧を設定し、前記制御圧を増減させるホイールシリンダ圧制御系統の作動を制御して前記制御圧を前記目標圧に近づけるホイールシリンダ圧制御を実行するホイールシリンダ圧制御手段と、
    前記ホイールシリンダ圧制御系統の異常を判定するための異常判定閾値を設定し、前記制御圧と前記異常判定閾値との比較に基づいて前記ホイールシリンダ圧制御系統に異常が生じたか否かを判定する異常判定手段と、
    前記制御圧の増圧に利用されるアキュムレータ圧を検出するアキュムレータ圧検出手段と、
    を備え、
    前記異常判定手段は、前記ホイールシリンダ圧制御の実行中において前記アキュムレータ圧と前記制御圧との関係が前記異常判定閾値を変更すべき閾値変更条件を満たしたときに、前記閾値変更条件を満たさないときとは異なる値に前記異常判定閾値を設定することを特徴とするブレーキ異常検出装置。
  2. 前記異常判定手段は、前記ホイールシリンダ圧制御の実行中において前記アキュムレータ圧と前記制御圧との関係が前記閾値変更条件を満たしたときに、前記閾値変更条件を満たさないときより低い値に前記異常判定閾値を設定し、前記異常判定閾値より前記制御圧が低いときに前記ホイールシリンダ圧制御系統に異常が生じたと判定することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ異常検出装置。
  3. 前記異常判定手段は、前記ホイールシリンダ圧制御の実行中において前記異常判定閾値より前記制御圧が低い状態が予め設定された期間継続したときに前記ホイールシリンダ圧制御系統に異常が生じたと判定することを特徴とする請求項2に記載のブレーキ異常検出装置。
  4. 前記異常判定手段は、前記ホイールシリンダ圧制御の実行中において前記アキュムレータ圧および前記制御圧の双方が増圧している場合に前記閾値変更条件を満たしたと判定し、双方が減圧している場合に前記閾値変更条件を満たさないと判定することを特徴とする請求項2または3に記載のブレーキ異常検出装置。
  5. 前記異常判定手段は、前記閾値変更条件を満たすときは、前記アキュムレータ圧を利用して前記異常判定閾値を設定することを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載のブレーキ異常検出装置。
  6. 前記異常判定手段は、前記閾値変更条件を満たさないときは、前記目標圧からその目標圧に基づいて算出した偏差圧を引いた値を前記異常判定閾値として設定することを特徴とする請求項5に記載のブレーキ異常検出装置。
  7. 前記異常判定手段は、前記閾値変更条件を満たすときは、前記目標圧から前記偏差圧を引いて算出した前記異常判定閾値と、前記アキュムレータ圧を利用して算出した前記異常判定閾値と、のうち小さい方を前記異常判定閾値として設定することを特徴とする請求項6に記載のブレーキ異常検出装置。
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