JP4375408B2 - ブレーキ制御装置及びブレーキ制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に設けられた車輪に付与される制動力を制御するブレーキ制御装置及びブレーキ制御方法に関する。
特許文献1には、液圧ブースタとマスタシリンダと動力液圧源と複数のブレーキシリンダとを含む液圧ブレーキ装置が記載されている。この液圧ブレーキ装置によれば、簡単な回路で、複数のブレーキシリンダと液圧ブースタ、マスタシリンダ及び動力液圧源とを選択的に連通可能とし、制御性を向上させることができる。システムが正常な場合には、動力液圧源からブレーキシリンダに作動液が供給される。異常が検出された場合には、正常時とは異なる他の制御モードに切り替えられる。例えばマスタシリンダからホイールシリンダに作動液を供給する系統と液圧ブースタから残りのホイールシリンダに作動液を供給する系統とに分離するモードに移行する。
特開2006−123889号公報
ところで、発生した異常が作動液の漏れであって、その発生箇所が液圧ブースタからホイールシリンダに作動液を供給するための供給経路である場合には、漏出により液圧ブースタの作動液が費消されてしまう。液圧ブースタの本来の機能はブレーキ操作入力を例えば数倍ないし10倍程度に増幅してマスタシリンダに出力することにより運転者の操作時の負荷を軽減することである。ところが液圧ブースタの作動液、更には液圧ブースタに液圧を発生させるための高圧の蓄圧源の作動液が費消されてしまえば、この機能は果たされなくなる。この場合、例えば液圧ブースタの機能低下とともにブレーキペダルにいわゆるキックバックが生じ、ブレーキペダル操作性あるいはブレーキフィーリングが変化してしまう。
そこで、本発明は、異常発生時のブレーキフィーリングの変化を抑制することができるブレーキ制御技術を提供することを目的とする。
本発明のある態様のブレーキ制御装置は、作動液圧に応じて複数の車輪のそれぞれに制動力を付与する複数のホイールシリンダと、動力の供給により作動液を蓄圧する動力液圧源を利用して複数のホイールシリンダの作動液圧を制御するホイールシリンダ圧制御系統と、収容された作動液をブレーキ操作入力に応じて加圧するマスタシリンダと、動力液圧源を高圧源として該マスタシリンダの作動液圧に合わせて作動液を調圧するレギュレータと、を含むマニュアル液圧源と、レギュレータの作動液圧を用いてブレーキ操作入力を増幅してマスタシリンダに出力する液圧式のブースタ機構と、マニュアル液圧源と複数のホイールシリンダとを接続しており、バックアップ用ブレーキモードにおいてはマスタシリンダから複数のホイールシリンダの少なくとも1つに作動液を供給するためのマスタ系統とレギュレータから残りのホイールシリンダに作動液を供給するためのレギュレータ系統とに分離される作動液供給経路と、異常を検出したときにホイールシリンダ圧制御系統による制御を中止してバックアップ用ブレーキモードに移行し、異常がレギュレータ系統からの漏れ異常であると判定した場合にレギュレータ系統を遮断する制御部と、を備える。
この態様によれば、レギュレータ系統からの漏れ異常が検出された場合にレギュレータ系統は遮断され、レギュレータ及びレギュレータの高圧源である動力液圧源からの作動液の漏出を防ぐことが可能となる。よって、レギュレータ系統と液圧源を共有しているブースタ機構の動作を正常に維持することが可能となり、漏れ異常発生後のブレーキフィーリングの変動を抑制することができる。
制御部は、バックアップ用ブレーキモードへの移行後に動力液圧源の液圧が継続的に減少する場合にレギュレータ系統からの漏れ異常であると判定してもよい。
このようにアキュムレータ圧の変動を用いることにより、比較的簡易にレギュレータ系統からの漏れ異常を判別することができるという点で好ましい。
制御部は、レギュレータ系統で漏れ異常が発生しかつマスタ系統では漏れ異常が発生していないと判定した場合にレギュレータ系統を遮断してもよい。
このようにマスタ系統で漏れ異常が発生していないことを条件に加えることにより、マスタ系統では制動力を発生可能であることが保証される。よって、レギュレータ系統を遮断したとしても、少なくともマスタ系統により制動力を確保することが可能となる。ブレーキフィーリングの急変抑制と制動力の確保の両立を図ることができる。
制御部は、漏れ異常の発生箇所がレギュレータ系統の遮断位置よりもホイールシリンダに近い場合にはレギュレータ系統の遮断を継続し、該発生箇所がレギュレータ系統の遮断位置よりもレギュレータに近い場合にはレギュレータ系統の遮断を解除してもよい。
このようにすれば、液圧源からの作動液の漏出を有効に防止することができる場合にレギュレータ系統を遮断することができる。バックアップ用ブレーキモードにおけるレギュレータ系統の遮断の頻度を低減し、バックアップ用ブレーキモードでの制御をシンプルにすることができるという点で好ましい。
制御部は、漏れ異常の発生箇所がレギュレータ系統の遮断位置よりもレギュレータに近い場合に、レギュレータ系統のホイールシリンダに保持されている作動液圧とレギュレータ圧との大小関係に応じてレギュレータ系統における作動液の流通を制御してもよい。
このようにすれば、例えば運転者によるブレーキペダルの踏み増しなどにより過渡的に増圧されたレギュレータ圧をホイールシリンダに取り込むようにレギュレータ系統での作動液の流通を制御することが可能となる。これによりレギュレータ系統に保持される液圧を増圧して制動力の確保に有効利用することが可能となる。
本発明の別の態様もまた、ブレーキ制御装置である。この装置は、ブレーキ操作入力に応じて作動液を調圧する液圧源と、作動液の供給を受けて車輪に制動力を付与するホイールシリンダと、液圧源を利用してブレーキ操作入力を増幅して出力する液圧式のブースタ機構と、液圧源からホイールシリンダに作動液を供給するための作動液供給経路と、作動液供給経路を通じてホイールシリンダに作動液を供給するブレーキ制御モードにおいて該経路での作動液の漏れ異常が検出された場合に該経路を遮断する制御部と、を備える。
この態様によれば、作動液供給経路からの漏れ異常が検出された場合に当該経路は遮断され、液圧源からの作動液の漏出を防ぐことが可能となる。この液圧源はホイールシリンダ及びブースタ機構に共通に利用される液圧源であるから、作動液供給経路を遮断することによりブースタ機構の動作を正常に維持することが可能となる。よって、漏れ異常発生後のブレーキフィーリングの変動を抑制することができる。
本発明のさらに別の態様は、ブレーキ制御方法である。この方法は、ブレーキ操作入力に応じて調圧される液圧源と、該液圧源を利用して該ブレーキ操作入力を増幅して出力する液圧式のブースタ機構と、該液圧源からホイールシリンダに作動液を供給するための作動液供給経路とを備えるブレーキ制御装置を制御する方法であって、作動液供給経路を通じてホイールシリンダに作動液を供給するブレーキ制御モードにおいて該経路での作動液の漏れ異常が検出された場合に該経路を遮断する。
本発明によれば、異常発生時のブレーキフィーリングの変化を抑制することが可能となる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るブレーキ制御装置20を示す系統図である。同図に示されるブレーキ制御装置20は、車両用の電子制御式ブレーキシステム(ECB)を構成しており、車両に設けられた4つの車輪に付与される制動力を制御する。本実施形態に係るブレーキ制御装置20は、例えば、走行駆動源として電動モータと内燃機関とを備えるハイブリッド車両に搭載される。このようなハイブリッド車両においては、車両の運動エネルギを電気エネルギに回生することによって車両を制動する回生制動と、ブレーキ制御装置20による液圧制動とのそれぞれを車両の制動に用いることができる。本実施形態における車両は、これらの回生制動と液圧制動とを併用して所望の制動力を発生させるブレーキ回生協調制御を実行することができる。
ブレーキ制御装置20は、図1に示されるように、各車輪に対応して設けられたディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLと、マスタシリンダユニット27と、動力液圧源30と、液圧アクチュエータ40とを含む。
ディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLは、車両の右前輪、左前輪、右後輪、および左後輪のそれぞれに制動力を付与する。本実施形態におけるマニュアル液圧源としてのマスタシリンダユニット27は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル24の運転者による操作量に応じて加圧されたブレーキフルードをディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出する。動力液圧源30は、動力の供給により加圧された作動流体としてのブレーキフルードを、運転者によるブレーキペダル24の操作から独立してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出することが可能である。液圧アクチュエータ40は、動力液圧源30またはマスタシリンダユニット27から供給されたブレーキフルードの液圧を適宜調整してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに送出する。これにより、液圧制動による各車輪に対する制動力が調整される。
ディスクブレーキユニット21FR〜21RL、マスタシリンダユニット27、動力液圧源30、および液圧アクチュエータ40のそれぞれについて以下で更に詳しく説明する。各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLは、それぞれブレーキディスク22とブレーキキャリパに内蔵されたホイールシリンダ23FR〜23RLを含む。そして、各ホイールシリンダ23FR〜23RLは、それぞれ異なる流体通路を介して液圧アクチュエータ40に接続されている。なお以下では適宜、ホイールシリンダ23FR〜23RLを総称して「ホイールシリンダ23」という。
ディスクブレーキユニット21FR〜21RLにおいては、ホイールシリンダ23に液圧アクチュエータ40からブレーキフルードが供給されると、車輪と共に回転するブレーキディスク22に摩擦部材としてのブレーキパッドが押し付けられる。これにより、各車輪に制動力が付与される。なお、本実施形態においてはディスクブレーキユニット21FR〜21RLを用いているが、例えばドラムブレーキ等のホイールシリンダ23を含む他の制動力付与機構を用いてもよい。
マスタシリンダユニット27は、本実施形態では液圧ブースタ付きマスタシリンダであり、液圧ブースタ31、マスタシリンダ32、レギュレータ33、およびリザーバ34を含む。液圧ブースタ31は、ブレーキペダル24に連結されており、ブレーキペダル24に加えられたペダル踏力を増幅してマスタシリンダ32に伝達する。動力液圧源30からレギュレータ33を介して液圧ブースタ31にブレーキフルードが供給されることにより、ペダル踏力は増幅される。そして、マスタシリンダ32は、ペダル踏力に対して所定の倍力比を有するマスタシリンダ圧を発生する。
マスタシリンダ32とレギュレータ33との上部には、ブレーキフルードを貯留するリザーバ34が配置されている。マスタシリンダ32は、ブレーキペダル24の踏み込みが解除されているときにリザーバ34と連通する。一方、レギュレータ33は、リザーバ34と動力液圧源30のアキュムレータ35との双方と連通しており、リザーバ34を低圧源とすると共に、アキュムレータ35を高圧源とし、マスタシリンダ圧とほぼ等しい液圧を発生する。レギュレータ33における液圧を以下では適宜、「レギュレータ圧」という。なお、マスタシリンダ圧とレギュレータ圧とは厳密に同一圧にされる必要はなく、例えばレギュレータ圧のほうが若干高圧となるようにマスタシリンダユニット27を設計することも可能である。
動力液圧源30は、アキュムレータ35およびポンプ36を含む。アキュムレータ35は、ポンプ36により昇圧されたブレーキフルードの圧力エネルギを窒素等の封入ガスの圧力エネルギ、例えば14〜22MPa程度に変換して蓄えるものである。ポンプ36は、駆動源としてモータ36aを有し、その吸込口がリザーバ34に接続される一方、その吐出口がアキュムレータ35に接続される。また、アキュムレータ35は、マスタシリンダユニット27に設けられたリリーフバルブ35aにも接続されている。アキュムレータ35におけるブレーキフルードの圧力が異常に高まって例えば25MPa程度になると、リリーフバルブ35aが開弁し、高圧のブレーキフルードはリザーバ34へと戻される。
上述のように、ブレーキ制御装置20は、ホイールシリンダ23に対するブレーキフルードの供給源として、マスタシリンダ32、レギュレータ33およびアキュムレータ35を有している。そして、マスタシリンダ32にはマスタ配管37が、レギュレータ33にはレギュレータ配管38が、アキュムレータ35にはアキュムレータ配管39が接続されている。これらのマスタ配管37、レギュレータ配管38およびアキュムレータ配管39は、それぞれ液圧アクチュエータ40に接続される。
液圧アクチュエータ40は、複数の流路が形成されるアクチュエータブロックと、複数の電磁制御弁を含む。アクチュエータブロックに形成された流路には、個別流路41、42,43および44と、主流路45とが含まれる。個別流路41〜44は、それぞれ主流路45から分岐されて、対応するディスクブレーキユニット21FR、21FL,21RR,21RLのホイールシリンダ23FR、23FL,23RR,23RLに接続されている。これにより、各ホイールシリンダ23は主流路45と連通可能となる。
また、個別流路41,42,43および44の中途には、ABS保持弁51,52,53および54が設けられている。各ABS保持弁51〜54は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされた各ABS保持弁51〜54は、ブレーキフルードを双方向に流通させることができる。つまり、主流路45からホイールシリンダ23へとブレーキフルードを流すことができるとともに、逆にホイールシリンダ23から主流路45へもブレーキフルードを流すことができる。ソレノイドに通電されて各ABS保持弁51〜54が閉弁されると、個別流路41〜44におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
更に、ホイールシリンダ23は、個別流路41〜44にそれぞれ接続された減圧用流路46,47,48および49を介してリザーバ流路55に接続されている。減圧用流路46,47,48および49の中途には、ABS減圧弁56,57,58および59が設けられている。各ABS減圧弁56〜59は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。各ABS減圧弁56〜59が閉状態であるときには、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて各ABS減圧弁56〜59が開弁されると、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通が許容され、ブレーキフルードがホイールシリンダ23から減圧用流路46〜49およびリザーバ流路55を介してリザーバ34へと還流する。なお、リザーバ流路55は、リザーバ配管77を介してマスタシリンダユニット27のリザーバ34に接続されている。
主流路45は、中途に分離弁60を有する。この分離弁60により、主流路45は、個別流路41および42と接続される第1流路45aと、個別流路43および44と接続される第2流路45bとに区分けされている。第1流路45aは、個別流路41および42を介して前輪用のホイールシリンダ23FRおよび23FLに接続され、第2流路45bは、個別流路43および44を介して後輪用のホイールシリンダ23RRおよび23RLに接続される。
分離弁60は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。分離弁60が閉状態であるときには、主流路45におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて分離弁60が開弁されると、第1流路45aと第2流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。
また、液圧アクチュエータ40においては、主流路45に連通するマスタ流路61およびレギュレータ流路62が形成されている。より詳細には、マスタ流路61は、主流路45の第1流路45aに接続されており、レギュレータ流路62は、主流路45の第2流路45bに接続されている。また、マスタ流路61は、マスタシリンダ32と連通するマスタ配管37に接続される。レギュレータ流路62は、レギュレータ33と連通するレギュレータ配管38に接続される。
マスタ流路61は、中途にマスタカット弁64を有する。マスタカット弁64は、マスタシリンダ32から各ホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路上に設けられている。マスタカット弁64は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により閉弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされたマスタカット弁64は、マスタシリンダ32と主流路45の第1流路45aとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに規定の制御電流が通電されてマスタカット弁64が閉弁されると、マスタ流路61におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
また、マスタ流路61には、マスタカット弁64よりも上流側において、シミュレータカット弁68を介してストロークシミュレータ69が接続されている。すなわち、シミュレータカット弁68は、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69とを接続する流路に設けられている。シミュレータカット弁68は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により開弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。シミュレータカット弁68が閉状態であるときには、マスタ流路61とストロークシミュレータ69との間のブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されてシミュレータカット弁68が開弁されると、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69との間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。
ストロークシミュレータ69は、複数のピストンやスプリングを含むものであり、シミュレータカット弁68の開放時に運転者によるブレーキペダル24の踏力に応じた反力を創出する。ストロークシミュレータ69としては、運転者によるブレーキ操作のフィーリングを向上させるために、多段のバネ特性を有するものが採用されると好ましい。
レギュレータ流路62は、中途にレギュレータカット弁65を有する。レギュレータカット弁65は、レギュレータ33から各ホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路上に設けられている。レギュレータカット弁65も、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により閉弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされたレギュレータカット弁65は、レギュレータ33と主流路45の第2流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに通電されてレギュレータカット弁65が閉弁されると、レギュレータ流路62におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
液圧アクチュエータ40には、マスタ流路61およびレギュレータ流路62に加えて、アキュムレータ流路63も形成されている。アキュムレータ流路63の一端は、主流路45の第2流路45bに接続され、他端は、アキュムレータ35と連通するアキュムレータ配管39に接続される。
アキュムレータ流路63は、中途に増圧リニア制御弁66を有する。また、アキュムレータ流路63および主流路45の第2流路45bは、減圧リニア制御弁67を介してリザーバ流路55に接続されている。増圧リニア制御弁66と減圧リニア制御弁67とは、それぞれリニアソレノイドおよびスプリングを有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、それぞれのソレノイドに供給される電流に比例して弁の開度が調整される。
増圧リニア制御弁66は、各車輪に対応して複数設けられた各ホイールシリンダ23に対して共通の増圧用制御弁として設けられている。また、減圧リニア制御弁67も同様に、各ホイールシリンダ23に対して共通の減圧用制御弁として設けられている。つまり、本実施形態においては、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、動力液圧源30から送出される作動流体を各ホイールシリンダ23へ給排制御する1対の共通の制御弁として設けられている。このように増圧リニア制御弁66等を各ホイールシリンダ23に対して共通化すれば、ホイールシリンダ23ごとにリニア制御弁を設けるのと比べて、コストの観点からは好ましい。
なお、ここで、増圧リニア制御弁66の出入口間の差圧は、アキュムレータ35におけるブレーキフルードの圧力と主流路45におけるブレーキフルードの圧力との差圧に対応し、減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧は、主流路45におけるブレーキフルードの圧力とリザーバ34におけるブレーキフルードの圧力との差圧に対応する。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力に応じた電磁駆動力をF1とし、スプリングの付勢力をF2とし、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧に応じた差圧作用力をF3とすると、F1+F3=F2という関係が成立する。従って、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力を連続的に制御することにより、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧を制御することができる。
ブレーキ制御装置20において、動力液圧源30および液圧アクチュエータ40は、本実施形態における制御部としてのブレーキECU70により制御される。ブレーキECU70は、CPUを含むマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート等を備える。そして、ブレーキECU70は、上位のハイブリッドECU(図示せず)などと通信可能であり、ハイブリッドECUからの制御信号や、各種センサからの信号に基づいて動力液圧源30のポンプ36や、液圧アクチュエータ40を構成する電磁制御弁51〜54,56〜59,60,64〜68を制御する。
また、ブレーキECU70には、レギュレータ圧センサ71、アキュムレータ圧センサ72、および制御圧センサ73が接続される。レギュレータ圧センサ71は、レギュレータカット弁65の上流側でレギュレータ流路62内のブレーキフルードの圧力、すなわちレギュレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。アキュムレータ圧センサ72は、増圧リニア制御弁66の上流側でアキュムレータ流路63内のブレーキフルードの圧力、すなわちアキュムレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。制御圧センサ73は、主流路45の第1流路45a内のブレーキフルードの圧力を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。各圧力センサ71〜73の検出値は、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に所定量ずつ格納保持される。
分離弁60が開状態とされて主流路45の第1流路45aと第2流路45bとが互いに連通している場合、制御圧センサ73の出力値は、増圧リニア制御弁66の低圧側の液圧を示すと共に減圧リニア制御弁67の高圧側の液圧を示すので、この出力値を増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の制御に利用することができる。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67が閉鎖されていると共に、マスタカット弁64が開状態とされている場合、制御圧センサ73の出力値は、マスタシリンダ圧を示す。更に、分離弁60が開放されて主流路45の第1流路45aと第2流路45bとが互いに連通しており、各ABS保持弁51〜54が開放される一方、各ABS減圧弁56〜59が閉鎖されている場合、制御圧センサの73の出力値は、各ホイールシリンダ23に作用する作動流体圧、すなわちホイールシリンダ圧を示す。
さらに、ブレーキECU70に接続されるセンサには、ブレーキペダル24に設けられたストロークセンサ25も含まれる。ストロークセンサ25は、ブレーキペダル24の操作量としてのペダルストロークを検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。ストロークセンサ25の出力値も、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に所定量ずつ格納保持される。なお、ストロークセンサ25以外のブレーキ操作状態検出手段をストロークセンサ25に加えて、あるいは、ストロークセンサ25に代えて設け、ブレーキECU70に接続してもよい。ブレーキ操作状態検出手段としては、例えば、ブレーキペダル24の操作力を検出するペダル踏力センサや、ブレーキペダル24が踏み込まれたことを検出するブレーキスイッチなどがある。
上述のように構成されたブレーキ制御装置20は、ブレーキ回生協調制御を実行することができる。ブレーキ制御装置20は制動要求を受けて制動を開始する。制動要求は、例えば運転者がブレーキペダル24を操作した場合など、車両に制動力を付与すべきときに生起される。制動要求を受けてブレーキECU70は要求制動力を演算し、要求制動力から回生による制動力を減じることによりブレーキ制御装置20により発生させるべき制動力である要求液圧制動力を算出する。ここで、回生による制動力は、ハイブリッドECUからブレーキ制御装置20に供給される。そして、ブレーキECU70は、算出した要求液圧制動力に基づいて各ホイールシリンダ23FR〜23RLの目標液圧を算出する。ブレーキECU70は、ホイールシリンダ圧が目標液圧となるように、フィードバック制御則により増圧リニア制御弁66や減圧リニア制御弁67に供給する制御電流の値を決定する。
その結果、ブレーキ制御装置20においては、ブレーキフルードが動力液圧源30から増圧リニア制御弁66を介して各ホイールシリンダ23に供給され、車輪に制動力が付与される。また、各ホイールシリンダ23からブレーキフルードが減圧リニア制御弁67を介して必要に応じて排出され、車輪に付与される制動力が調整される。本実施形態においては、動力液圧源30、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67等を含んでホイールシリンダ圧制御系統が構成されている。ホイールシリンダ圧制御系統によりいわゆるブレーキバイワイヤ方式の制動力制御が行われる。ホイールシリンダ圧制御系統は、マスタシリンダユニット27からホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路に並列に設けられている。
このとき、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65を閉状態とし、レギュレータ33から送出されるブレーキフルードがホイールシリンダ23へ供給されないようにする。更にブレーキECU70は、マスタカット弁64を閉状態とするとともにシミュレータカット弁68を開状態とする。これは、運転者によるブレーキペダル24の操作に伴ってマスタシリンダ32から送出されるブレーキフルードがホイールシリンダ23ではなくストロークシミュレータ69へと供給されるようにするためである。ブレーキ回生協調制御中は、レギュレータカット弁65及びマスタカット弁64の上下流間には、回生制動力の大きさに対応する差圧が作用する。
なお、本実施形態に係るブレーキ制御装置20は、回生制動力を利用せずに液圧制動力だけで要求制動力をまかなう場合にも、当然ホイールシリンダ圧制御系統により制動力を制御することができる。ブレーキ回生協調制御を実行しているか否かにかかわらず、ホイールシリンダ圧制御系統により制動力を制御する制御モードを以下では適宜「リニア制御モード」と称する。あるいは、ブレーキバイワイヤによる制御と呼ぶ場合もある。
リニア制御モードにおいて要求制動力を液圧制動力のみにより発生させる場合には、ブレーキECU70はレギュレータ圧あるいはマスタシリンダ圧をホイールシリンダ圧の目標圧として制御する。よって、この場合は必ずしもホイールシリンダ圧制御系統によってホイールシリンダ23にブレーキフルードを供給しなくてもよい。運転者によるブレーキペダルの操作に応じて加圧されたマスタシリンダ圧あるいはレギュレータ圧をホイールシリンダにそのまま導入すれば自然に要求制動力を発生させることができるからである。
このため、ブレーキ制御装置20は、例えば停車中のように回生制動力を使用しないときに、レギュレータ33から各ホイールシリンダ23にブレーキフルードを供給するようにしてもよい。レギュレータ33から各ホイールシリンダ23にブレーキフルードを供給する制御モードを以下ではレギュレータモードと称する。つまりブレーキECU70は、停車中においてリニア制御モードからレギュレータモードに切り替えて制動力を発生させるようにしてもよい。車両の停止とともに制御モードを切り替えるようにすれば比較的簡易な制御で制御モードの切り替えを実行することができるという点で好ましい。あるいは、より実際的には、ブレーキECU70は制動により車速が充分に低下したために回生制動を中止するときにリニア制御モードからレギュレータモードに制御モードを切り替えてもよい。
レギュレータモードにおいては、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65及び分離弁60を開弁し、マスタカット弁64を閉弁する。増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67は、制御が停止され閉弁される。シミュレータカット弁68は開弁される。その結果、レギュレータ33から各ホイールシリンダ23にブレーキフルードが供給されることとなり、レギュレータ圧によって各車輪に制動力が付与される。レギュレータ33には動力液圧源30が高圧側として接続されているので、動力液圧源30における蓄圧を活用して制動力を発生させることができるという点で好ましい。
このようにレギュレータモードにおいては、ブレーキECU70は、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67への制御電流の供給を停止して閉弁し、両リニア制御弁を休止させている。このため、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67の動作頻度を低減させることが可能となり、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67を長期間にわたって使用することができるようになる。すなわち、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67の耐久性を向上することができる。
リニア制御モードでの制御中に、例えばいずれかの箇所からの作動液の漏れ等の異常の発生によりホイールシリンダ圧が目標液圧から乖離してしまう場合がある。ブレーキECU70は、例えば制御圧センサ73の測定値に基づいてホイールシリンダ圧の応答異常の有無を周期的に判定している。ブレーキECU70は、例えばホイールシリンダ圧測定値の目標液圧からの乖離量が基準を超える場合にホイールシリンダ圧の制御応答に異常があると判定する。ホイールシリンダ圧の制御応答に異常があると判定された場合には、ブレーキECU70は、リニア制御モードを中止してマニュアルブレーキモードに制御モードを切り替える。また同様にレギュレータモードにおいてもブレーキECU70は異常が検出された場合にマニュアルブレーキモードに制御モードを切り替える。マニュアルブレーキモードにおいては、運転者のブレーキペダル24への入力が液圧に変換され機械的にホイールシリンダ23に伝達されて車輪に制動力が付与される。マニュアルブレーキモードは、フェイルセーフの観点からリニア制御モードのバックアップ用の制御モードとしての役割を有する。
ブレーキECU70は、液圧源及び液圧源からホイールシリンダ23への供給経路を異ならせることによりマニュアルブレーキモードとして複数のモードのうちの1つを選択することができる。本実施形態では、一例としてハイドロブースタモードへの移行を説明する。ハイドロブースタモードにおいては、ブレーキECU70は、すべての電磁制御弁への制御電流の供給を停止する。よって、常開型のマスタカット弁64及びレギュレータカット弁65は開弁され、常閉型の分離弁60及びシミュレータカット弁68は閉弁される。増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67は、制御が停止され閉弁される。
その結果、ブレーキフルードの供給経路はマスタシリンダ側とレギュレータ側との2系統に分離される。マスタシリンダ圧が前輪用のホイールシリンダ23FR及び23FLへと伝達され、レギュレータ圧が後輪用のホイールシリンダ23RR及び23RLへと伝達される。マスタシリンダ32からの作動流体の送出先は、ストロークシミュレータ69から前輪用のホイールシリンダ23FR及び23FLに切り替えられる。また、液圧ブースタ31は機械的にペダル踏力を増幅する機構であるため、ハイドロブースタモードに移行して各電磁制御弁への制御電流が停止されても継続して機能する。ハイドロブースタモードによれば、制御系の異常により各電磁制御弁への通電がない場合であっても液圧ブースタを利用して制動力を発生させることができるという点でフェイルセーフ性に優れている。
なお便宜上、以下では適宜、ハイドロブースタモードでのマスタシリンダ側の系統をマスタ系統と称し、レギュレータ側の系統をレギュレータ系統と称する。本実施形態ではハイドロブースタモードにおいてマスタ系統により前輪側に、またレギュレータ系統により後輪側に作動液が供給されるので、マスタ系統及びレギュレータ系統をそれぞれフロント系統及びリヤ系統と以下では称する場合もある。なお、ハイドロブースタモードにおいてマスタ系統が前輪側に、またレギュレータ系統が後輪側に作動液を供給することは必須ではない。マスタ系統が例えば右前輪及び左後輪へ作動液を供給し、レギュレータ系統が例えば左前輪及び右後輪へ作動液を供給するというように、左右輪がそれぞれ別々の系統に接続されるいわゆるX配管型のブレーキ制御装置であってもよい。
図2は、フロント系統で漏れ異常が発生した場合の液圧の時間変化を示す図である。図3は、リヤ系統で漏れ異常が発生した場合の液圧の時間変化を示す図である。図2及び図3の縦軸は作動液圧を示し、横軸は時間を示す。図2にはリニア制御モードによる制動力制御開始以降にフロント系統で漏れ異常が発生し、異常検出とともにハイドロブースタモードに制御モードが切り替えられた場合のアキュムレータ圧、前輪側のホイールシリンダ圧、及び後輪側のホイールシリンダ圧のそれぞれの時間変化が示されている。図においてアキュムレータ圧、前輪側のホイールシリンダ圧、及び後輪側のホイールシリンダ圧は、それぞれAcc圧、Fr圧、及びRr圧と表記されている。また、図2及び図3には目標液圧も示されている。なお、ここでいう目標液圧とは、異常検出前のリニア制御モードでの制御中はブレーキECU70により演算される目標液圧であり、異常検出後のハイドロブースタモードにおいては運転者によるペダル踏力に応じて正常時に発生する液圧を意味する。
図2及び図3に示されるように、制動開始とともにまず目標液圧が増加する。これに合わせてホイールシリンダ圧は追従して増加する一方、アキュムレータ圧はホイールシリンダ圧を増加させるために消費され減少する。ここでは制動開始後に漏れ異常が発生した場合を想定しているので、ホイールシリンダ圧は目標液圧に完全には追従していない。例えば目標液圧からのホイールシリンダ圧の乖離が所定の閾値を超えるなどの所定の異常判定条件が成立すると、ブレーキECU70は液圧応答異常が発生したものと判定するとともにリニア制御モードからバックアップ用のハイドロブースタモードに制御モードを移行させる。
ハイドロブースタモードへの移行後はフロント系統とリヤ系統とに分離されるため、Fr圧とRr圧とは異なる変化をする。図2に示されるようにフロント系統で漏れ異常が発生した場合には、フロント系統からリヤ系統が分離されることによりRr圧は正常に目標液圧へと追従するようになる。一方、Fr圧は、フロント系統からの漏れ異常の影響により徐々に低下する。ハイドロブースタモードでフロント系統の液圧源であるマスタシリンダ32は、制動中はリザーバ34との間の作動液の流通が遮断されている。このためマスタシリンダ32の収容液量がすべて漏出したときにFr圧はゼロとなる。この場合、残されているRr圧によって車両は制動されることになる。
また、アキュムレータ35はマスタシリンダ32に連通されていない。よって、正常なリヤ系統がフロント系統から分離されると、Acc圧はポンプ36の駆動により正常な液圧範囲へと回復していく。このようにハイドロブースタモードに移行することによりアキュムレータ圧は正常な状態へと回復されるため、その液圧を利用する液圧ブースタ31の倍力機能も正常に維持される。
ところが、リヤ系統で漏れ異常が発生した場合にはハイドロブースタモードに移行しても液圧ブースタ31の機能を維持することができないおそれがある。図3に示されるようにリヤ系統で漏れ異常が発生した場合には、図2とは逆にFr圧が目標圧に向けて追従するようになる。一方Rr圧は漏れ異常の影響により徐々に低下する。本実施形態ではRr圧はレギュレータ圧に等しい。またレギュレータ圧がマスタシリンダ圧に合わせてアキュムレータ35を高圧源として調圧されるようにマスタシリンダユニット27は構成されている。このため、漏れ異常により低下していくRr圧及びレギュレータ圧をマスタシリンダ圧すなわちFr圧に合わせて増圧すべくアキュムレータ35の作動液が消費され、Acc圧も徐々に低下する。マスタシリンダ系統での漏れ異常の場合には漏出液量はマスタシリンダ32の収容液量に限られるので、Acc圧が著しく低下することはない。しかし、レギュレータ系統での漏れ異常ではアキュムレータ35に作動液が蓄圧されている限り漏出が継続することになる。
こうしてAcc圧がアキュムレータ35のガス封入圧にまで低下すると、Acc圧は急激にゼロまで低下してしまう。アキュムレータ35は原理的にガス封入圧以下の液圧で内部に作動液を保持することができないからである。Acc圧がゼロに低下すれば同様にRr圧もゼロまで低下してしまう。また液圧ブースタ31による倍力機能も停止され、Fr圧は、運転者のブレーキペダル踏力により実現される液圧レベル、いわゆる静圧レベルにまで低下する。
要するに、ハイドロブースタモードでの制動中にレギュレータ系統で漏れ異常が発生するとアキュムレータ35から作動液が漏出し、アキュムレータ圧がガス封入圧を下回ったときに液圧ブースタ31による倍力機能が急に消失されることになる。そうすると、液圧ブースタ31が機能していたときと同程度のマスタシリンダ圧を発生させるのに必要とされる運転者のペダル踏力が急増する。このときペダルからの蹴り返しいわゆるキックバックが生じて、ブレーキフィーリングが大きく変化する。
そこで、このようなブレーキフィーリングの変化を抑えるために、本実施形態においては、発生した異常がレギュレータ系統からの漏れであると判定された場合にレギュレータ系統での作動液の流通を遮断する。つまりレギュレータ33とホイールシリンダ23との間での作動液の流通がないように作動液の流通経路を制御する。漏れの発生箇所が遮断位置よりも下流側つまりホイールシリンダ側であればレギュレータ33及びアキュムレータ35からの作動液の漏出が食い止められる。よって、液圧ブースタ31の機能が継続され、ブレーキフィーリングが大きく変動するのを防ぐことができる。
本実施形態においては、ブレーキ制御システムで何らかの異常が検出されたときにブレーキECU70は制御モードをバックアップ用のブレーキモードに切り替える。切替前の制御モードは例えばリニア制御モード又はレギュレータモードであり、あるいは他の制御モードであってもよい。バックアップ用ブレーキモードは好ましくはマスタ系統とレギュレータ系統とに作動液の供給経路を分離する例えば上述のハイドロブースタモードである。
ブレーキECU70は、バックアップ用ブレーキモードに移行した後に、発生した異常がレギュレータ系統からの漏れ異常であるか否かを判定する。ブレーキECU70は、例えば図3に示されるようにバックアップ用ブレーキモードにおいてアキュムレータ圧が継続的に減少する場合に、漏れ異常がレギュレータ系統で生じていると判定することができる。異常がレギュレータ系統からの漏れ異常であると判定された場合には、ブレーキECU70は、レギュレータ系統を遮断する。厳密には、漏れ異常の発生箇所が遮断位置の下流側でなければ液圧源からの作動液漏出を止めることはできない。しかし、ブレーキフィーリングの急変を抑えることを優先する場合には、漏れ発生箇所を正確に特定する前にまずレギュレータ系統を迅速に遮断することが望ましい。レギュレータ系統を遮断する効果をより高めるためには、レギュレータ系統においてレギュレータ33に最も近接する開閉弁を閉弁することが好ましい。本実施形態においては例えばレギュレータカット弁65を閉弁することによりレギュレータ系統が遮断される。
また、ブレーキECU70は、レギュレータ系統で漏れ異常が発生しかつマスタ系統では漏れ異常が発生していないと判定された場合にレギュレータ系統を遮断してもよい。つまり、レギュレータ系統を遮断する前にマスタ系統で漏れ異常が発生していないことを確認するようにしてもよい。このような確認はフェイルセーフ上の観点から好ましい。レギュレータ系統が遮断された場合には、マスタ系統でのみ制動力制御が可能となるからである。
図4は、本実施形態に係るレギュレータ系統の遮断処理を説明するためのフローチャートである。図4に示される処理は、異常検出時にハイドロブースタモードに移行したときにブレーキECU70により実行される。
ブレーキECU70は、まずレギュレータ系統に漏れが生じているか否かを判定し(S10〜S12)、次いでマスタ系統に漏れが生じているか否かを判定する(S13)。レギュレータ系統に漏れ異常が生じておりかつマスタ系統に漏れ異常が生じていないと判定された場合に、ブレーキECU70はレギュレータカット弁65を閉弁してレギュレータ系統を遮断する(S14)。ここで、レギュレータ系統に漏れが生じているか否かは、基本的にはアキュムレータ圧に基づいて判定することが可能である。図3に示されるように、レギュレータ系統に漏れ異常が生じている場合にはアキュムレータ圧が継続的に減少していくからである。
ブレーキECU70は、図4に示される処理が開始されると、まず動力液圧源30の蓄圧用ポンプ36のモータ36aがON状態とされてから所定時間以上経過しているか否かを判定する(S10)。この判定は、アキュムレータ圧の瞬間的な低下を継続的減少と誤判定しないようにするために行われる。例えば極低温時などにおけるブレーキフルード粘度の上昇を原因としてアキュムレータ圧が瞬間的に低下する場合がある。
モータ36aがON状態とされてから所定時間以上経過していると判定された場合には(S10のYes)、ブレーキECU70は、アキュムレータ圧Paccが所定の閾値αを下回っているか否かを判定する(S11)。閾値αは、マスタ系統からの漏れ異常が発生した場合に想定されるアキュムレータ圧の最小値よりも小さい値に設定される。これにより、アキュムレータ圧が閾値αを下回った場合にはマスタ系統からの漏れではなくレギュレータ系統からの漏れであると判定することが可能となる。また閾値αは、アキュムレータ35のガス封入圧以上の値に設定することが望ましい。図3を参照して説明したようにアキュムレータ圧が封入圧を下回ると静圧ブレーキとなってしまうからである。
アキュムレータ圧が閾値αを下回っていると判定された場合には(S11のYes)、ブレーキECU70は、アキュムレータ圧Paccが継続的に減少しているか否かを判定する(S12)。ブレーキECU70は、ハイドロブースタモードに移行して以降、アキュムレータ圧の減少が継続しているか否かを判定する。この判定を付加することにより、レギュレータ系統での漏れ異常か否かをより精度よく判定することが可能となる。この判定は、例えば応答遅れ異常の検出以降のアキュムレータ圧測定値に基づいて判定することができる。例えば、応答遅れ異常の検出以降所定時間内に取得されたアキュムレータ圧測定値に例えば適宜のフィルタ処理等を行うことによりアキュムレータ圧が単調に減少していると判定される場合にアキュムレータ圧の減少が継続しているものと判定することができる。
アキュムレータ圧が継続的に減少していると判定された場合には(S12のYes)、レギュレータ系統に漏れ異常が発生したものと考えることができる。これをもってブレーキECU70が直ちにレギュレータカット弁65を閉弁してレギュレータ系統を遮断してもよいが、本実施形態では上述のようにマスタ系統で漏れ異常が発生していないことを確認する。
そこで、ブレーキECU70は、アキュムレータ圧が継続的に減少していると判定された場合に(S12のYes)、マスタ系統で漏れ異常が発生しているか否かを判定する(S13)。この判定は、例えばRr圧とFr圧との差と所定の閾値との比較により可能である。ハイドロブースタモードにおいてRr圧はレギュレータ圧センサ71の測定値Pregにより得られ、Fr圧は制御圧センサ73の測定値Pfrにより得られる。よってレギュレータ圧と制御液圧との差Preg−Pfrが所定の閾値β(β>0)を超える場合にマスタ系統で漏れ異常が発生していると判定することができる。なぜなら、マスタ系統での漏れ異常の場合には図2に示されるようにFr圧が時間とともに低下してPreg−Pfrの値が大きくなるためである。このようにRr圧及びFr圧の値に基づいてマスタ系統での漏れ異常の有無を判定することができる。
マスタ系統で漏れ異常が発生していないと判定された場合には(S13のNo)、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65を閉弁してレギュレータ系統を遮断する(S14)。この場合ブレーキECU70はレギュレータ系統での漏れ異常発生を示すフラグを立てて記憶してもよい。このようにして図4に示される処理は終了する。ブレーキECU70は、運転者によるブレーキペダル操作が解除されるまで、すなわち当該制動の終了までレギュレータ系統の遮断状態を継続する。
一方、図4の処理においては、レギュレータ系統で漏れ異常が発生しているとは判定されなかった場合、またはマスタ系統で漏れ異常が発生していると判定された場合(S13のYes)には、ブレーキECU70は、処理を終了し次の実行タイミングで本処理を再度実行する。レギュレータ系統で漏れ異常が発生しているとは判定されなかった場合とは、本実施形態では具体的には、モータ36aがON状態とされてから所定時間が経過していないと判定された場合(S10のNo)、アキュムレータ圧が閾値αを超えていると判定された場合(S11のNo)、及びアキュムレータ圧の減少が継続的ではないと判定された場合(S12のNo)である。
このようにしてレギュレータ系統で漏れ異常が発生していると判定された場合には、ブレーキECU70は、次回以降の制動においてもレギュレータ系統を遮断するようにしてもよい。このようにすれば、制動がなされていないときにアキュムレータ圧がある程度蓄圧されて次回以降の制動中にブレーキフィーリングの急変が生じるのを防止することができる。
図5は、レギュレータ系統での漏れ異常と判定された場合の次回以降の制動時の処理を説明するためのフローチャートである。図5に示される処理は、レギュレータ系統での漏れ異常と判定された場合の次回以降の制動がハイドロブースタモードで行われる場合に実行される。
まずブレーキECU70は、制動要求の有無を判定する(S15)。制動オフの状態であると判定された場合には(S15のNo)、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65を特に制御せず初期状態のまま開弁状態としておく(S18)。逆に制動オンの状態であると判定された場合には(S15のYes)、ブレーキECU70は、漏れ判定フラグがオンであるか否かを判定する(S16)。この漏れ判定フラグは、レギュレータ系統での漏れ異常発生を示すフラグである。また、漏れ判定フラグは、レギュレータカット弁65の下流側での漏れ異常発生を示すフラグであってもよい。漏れ異常の発生箇所がレギュレータカット弁65の下流側であることを特定する方法の一例は図6及び図7を参照して後述される。
漏れ判定フラグがオフである場合には(S16のNo)、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65を特に制御せず初期状態のまま開弁状態とする(S18)。一方、漏れ判定フラグがオンである場合には(S16のYes)、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65を閉弁する(S17)。このようにして、レギュレータ系統での漏れ異常と判定された場合に、次回以降の制動でもレギュレータカット弁65を閉弁してブレーキフィーリングの急変を抑えることができる。
続いて本実施形態の変形例を説明する。上述の実施形態とは異なり、ブレーキECU70は、状況に応じて制動終了前にレギュレータ系統の遮断を解除してもよい。バックアップ用ブレーキモードでは本来レギュレータ系統は連通状態とされている。このためレギュレータ系統を遮断することが有意義であるときに限って遮断状態とするようにしてもよい。
例えば漏れ異常の発生箇所がレギュレータ系統の遮断位置よりもレギュレータ33に近いと特定される場合にレギュレータ系統の遮断を解除してもよい。例えば遮断後に動力液圧源30における液圧が回復する傾向にあるか否かを判定することにより、漏れ異常の発生箇所が遮断位置の上流側(つまりレギュレータ側)または下流側(つまりホイールシリンダ側)のいずれであるかを判別することができる。遮断位置の上流側から漏れている場合には動力液圧源30の液圧は引き続き減少する一方、遮断位置の下流側から漏れている場合には漏れ箇所が分離されるため動力液圧源30の液圧は回復していくと考えられるからである。
図6は、本実施形態の第1の変形例に係る処理を説明するためのフローチャートである。この処理は、レギュレータ系統の遮断後に追加的に実行される。図4に示される処理でいえば、レギュレータカット弁65の閉弁後に実行される。なお、動力液圧源30の液圧が回復傾向にあることをより精度よく判定するためには、動力液圧源30の液圧が回復傾向を示すのに必要とされる所定の待ち時間が経過してから以下の処理を実行することが望ましい。
図6に示されるように、まずブレーキECU70は、アキュムレータ圧が回復傾向にあるか否かを判定する(S20)。これは、例えばレギュレータカット弁65の閉弁以降のアキュムレータ圧測定値に基づいて判定することができる。例えば、レギュレータカット弁65の閉弁以降の所定時間内に得られたアキュムレータ圧測定値に例えば適宜のフィルタ処理等を行うことによりアキュムレータ圧が増加していると判定される場合に、アキュムレータ圧が回復傾向にあるものと判定することができる。
アキュムレータ圧が回復傾向にあると判定された場合には(S20のYes)、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65の閉弁状態を継続する(S22)。この場合ブレーキECU70は、運転者がブレーキペダル操作を解除するまですなわち当該制動の終了までレギュレータ系統の遮断状態を継続する。レギュレータカット弁65の閉弁によりアキュムレータ圧が回復したということであるから、漏れの発生箇所はレギュレータカット弁65の下流側であると特定することができる。このとき後輪側の制動力は作動液の漏れにより徐々に低下するものの、液圧ブースタ31の機能を継続させることができるためFr圧として液圧ブースタ31により増幅された液圧を確保することができる。よって前輪側の制動力により車両は制動される。
一方、アキュムレータ圧が回復していないと判定された場合には(S20のNo)、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65を開弁する(S24)。レギュレータカット弁65を閉弁してもアキュムレータ圧が回復しないということは、漏れの発生箇所はレギュレータカット弁65の上流側であることが疑われる。あるいはアキュムレータ35やポンプ36などの動力液圧源30における機械的な異常の可能性もある。いずれにしてもレギュレータカット弁65の閉弁によりアキュムレータ圧が回復しないのであれば、レギュレータカット弁65を開弁しておいてもよいといえる。レギュレータカット弁65は常開型の電磁制御弁であるから、レギュレータカット弁65を開弁することにより消費電力を低減することができる。このようにして図6に示される処理は終了される。
更に本実施形態の第2の変形例を説明する。上述の第1の変形例のようにレギュレータカット弁65を閉弁してもアキュムレータ圧が回復しない場合には、例えばレギュレータカット弁65の上流側からの漏れが疑われる。複数箇所に同時に異常が生じることがきわめて希であることから、レギュレータカット弁65の下流側で漏れが生じている可能性はかなり低いと考えられる。そうすると、レギュレータカット弁65の閉弁(図4のS14)によってRr圧はレギュレータカット弁65閉弁時の液圧に保持されていることになる。この場合アキュムレータ圧は徐々に減少していくことになるから、やがて液圧ブースタ31の機能が停止してFr圧は図3に示されるように静圧レベルに低下する。よって、保持されているRr圧を車両の制動のために有効利用することが望ましい。
そこで、第2の変形例においては、漏れ異常の発生箇所がレギュレータ系統の遮断位置よりもレギュレータに近いと判定される場合に、ブレーキECU70はレギュレータ圧に応じてレギュレータ系統の遮断状態を継続または解除する。例えば、レギュレータ系統のホイールシリンダに保持されている液圧に比較してレギュレータ圧が高圧となったときに、レギュレータ系統の遮断状態を解除して保持液圧を増圧するようにしてもよい。例えば運転者がブレーキペダル24を踏み増した場合には、過渡的にレギュレータ圧が高圧となり得る。このようにすれば、レギュレータ系統のホイールシリンダに保持されている液圧を車両制動に有効利用することができる。
図7は、本実施形態の第2の変形例に係る処理を説明するためのフローチャートである。この処理は、第1の変形例と同様にレギュレータ系統の遮断後に追加的に実行される。第1の変形例と同一の部分については以下では適宜説明を省略する。
図7に示されるように、アキュムレータ圧が回復していないと判定された場合には(S20のNo)、ブレーキECU70は、保持されているRr圧(以下「保持Rr圧」)とレギュレータ圧Pregとを比較する(S26)。レギュレータカット弁65の閉弁時における制御圧センサ73またはレギュレータ圧センサ71の測定値が保持Rr圧としてブレーキECU70に記憶されている。保持Rr圧がレギュレータ圧以下であると判定された場合には(S26のYes)、ブレーキECU70はレギュレータカット弁65の閉弁状態を維持する(S22)。仮にレギュレータカット弁65を開弁すれば、保持Rr圧がレギュレータ圧に合わせて減圧されてしまうからである。
これに対して保持Rr圧よりもレギュレータ圧が高圧であると判定された場合には(S26のNo)、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65を開弁する(S28)。レギュレータ圧のほうが高圧であるから、レギュレータカット弁65の開弁によりホイールシリンダにレギュレータ圧が導入されてRr圧は増圧される。ブレーキECU70は、このときのレギュレータ圧Pregの測定値を新たな保持Rr圧として更新して記憶する(S30)。このようにして図7に示される処理は終了され、以後は周期的に繰り返し実行される。
なお、レギュレータカット弁65の閉弁中に本制御処理よりも優先度の高い処理においてレギュレータカット弁65の開弁が必要とされた場合には、レギュレータカット弁65を開弁してもよい。本制御処理よりも優先度の高い処理としては、例えば後輪のABS制御などがある。
以上のように本実施形態によれば、レギュレータ系統での漏れ異常が検出された場合にレギュレータ系統が遮断され、液圧源からの作動液の漏出を止めることが可能となる。これにより、液圧ブースタ機構の動作を継続させることが可能となり、異常時のブレーキフィーリングの急変を防ぐことができる。
本実施形態では、コスト低減の観点からレギュレータ系統に共通の減圧リニア制御弁67が設けられている。制御弁を増設することによりブレーキ制御システムにおける漏れ異常の発生リスクがある程度高まると予想される。ところが、上述のようにレギュレータ系統での漏れ異常発生時のブレーキフィーリング及び制動力確保への対策がとられているため、フェイルセーフ性能と制御弁の増設によるコスト低減効果との両立を図ることができる。
また、本実施形態のブレーキ制御装置20はいわゆる前後配管である。すなわち、前輪側のホイールシリンダ23FR及び23FLにはマスタ系統から作動液が供給され、後輪側のホイールシリンダ23RR及び23RLにはレギュレータ系統から作動液が供給される。このため、左右のホイールシリンダが別々の系統に接続されるいわゆるX配管の場合とは異なって、レギュレータ系統を遮断しても左右の制動力バランスへの影響が小さいという点で好ましい。
本発明の一実施形態に係るブレーキ制御装置を示す系統図である。 フロント系統で漏れ異常が発生した場合の液圧の時間変化を示す図である。 リヤ系統で漏れ異常が発生した場合の液圧の時間変化を示す図である。 本実施形態に係るレギュレータ系統の遮断処理を説明するためのフローチャートである。 レギュレータ系統での漏れ異常と判定された場合の次回以降の制動時の処理を説明するためのフローチャートである。 本実施形態の第1の変形例に係る処理を説明するためのフローチャートである。 本実施形態の第2の変形例に係る処理を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
20 ブレーキ制御装置、 23 ホイールシリンダ、 27 マスタシリンダユニット、 31 液圧ブースタ、 32 マスタシリンダ、 33 レギュレータ、 34 リザーバ、 60 分離弁、 64 マスタカット弁、 65 レギュレータカット弁、 66 増圧リニア制御弁、 67 減圧リニア制御弁、 70 ブレーキECU、 71 レギュレータ圧センサ、 72 アキュムレータ圧センサ、 73 制御圧センサ。

Claims (6)

  1. 作動液圧に応じて複数の車輪のそれぞれに制動力を付与する複数のホイールシリンダと、
    動力の供給により作動液を蓄圧する動力液圧源を利用して前記複数のホイールシリンダの作動液圧を制御するホイールシリンダ圧制御系統と、
    収容された作動液をブレーキ操作入力に応じて加圧するマスタシリンダと、前記動力液圧源を高圧源として該マスタシリンダの作動液圧に合わせて作動液を調圧するレギュレータと、を含むマニュアル液圧源と、
    前記レギュレータの作動液圧を用いてブレーキ操作入力を増幅して前記マスタシリンダに出力する液圧式のブースタ機構と、
    前記マニュアル液圧源と前記複数のホイールシリンダとを接続しており、バックアップ用ブレーキモードにおいては前記マスタシリンダから前記複数のホイールシリンダの少なくとも1つに作動液を供給するためのマスタ系統と前記レギュレータから残りのホイールシリンダに作動液を供給するためのレギュレータ系統とに分離される作動液供給経路と、
    異常を検出したときに前記ホイールシリンダ圧制御系統による制御を中止して前記バックアップ用ブレーキモードに移行し、異常が前記レギュレータ系統からの漏れ異常であると判定した場合に前記レギュレータ系統を遮断する制御部と、
    を備え
    前記制御部は、前記漏れ異常の発生箇所が前記レギュレータ系統の遮断位置よりも前記レギュレータに近い場合に、前記レギュレータ系統のホイールシリンダに保持されている作動液圧とレギュレータ圧との大小関係に応じて前記レギュレータ系統における作動液の流通を制御することを特徴とするブレーキ制御装置。
  2. 前記制御部は、前記バックアップ用ブレーキモードへの移行後に前記動力液圧源の液圧が継続的に減少する場合に前記レギュレータ系統からの漏れ異常であると判定することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
  3. 前記制御部は、前記レギュレータ系統で漏れ異常が発生しかつ前記マスタ系統では漏れ異常が発生していないと判定した場合に前記レギュレータ系統を遮断することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
  4. 前記制御部は、前記漏れ異常の発生箇所が前記レギュレータ系統の遮断位置よりも前記ホイールシリンダに近い場合には前記レギュレータ系統の遮断を継続し、該発生箇所が前記レギュレータ系統の遮断位置よりも前記レギュレータに近い場合には前記レギュレータ系統の遮断を解除することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
  5. ブレーキ操作入力に応じて作動液を調圧する液圧源と、
    作動液の供給を受けて車輪に制動力を付与するホイールシリンダと、
    前記液圧源を利用してブレーキ操作入力を増幅して出力する液圧式のブースタ機構と、
    前記液圧源から前記ホイールシリンダに作動液を供給するための作動液供給経路と、
    前記作動液供給経路を通じて前記ホイールシリンダに作動液を供給するブレーキ制御モードにおいて該経路での作動液の漏れ異常が検出された場合に該経路を遮断する制御部と、
    を備え
    前記制御部は、前記漏れ異常の発生箇所が前記作動液供給経路の遮断位置よりも前記液圧源に近い場合に、前記ホイールシリンダに保持されている作動液圧と前記液圧源の作動液圧との大小関係に応じて前記作動液供給経路における作動液の流通を制御することを特徴とするブレーキ制御装置。
  6. ブレーキ操作入力に応じて調圧される液圧源と、該液圧源を利用して該ブレーキ操作入力を増幅して出力する液圧式のブースタ機構と、該液圧源からホイールシリンダに作動液を供給するための作動液供給経路とを備えるブレーキ制御装置を制御する方法であって、
    前記作動液供給経路を通じて前記ホイールシリンダに作動液を供給するブレーキ制御モードにおいて該経路での作動液の漏れ異常が検出された場合に該経路を遮断し、
    前記漏れ異常の発生箇所が前記作動液供給経路の遮断位置よりも前記液圧源に近い場合に、前記ホイールシリンダに保持されている作動液圧と前記液圧源の作動液圧との大小関係に応じて前記作動液供給経路における作動液の流通を制御することを特徴とするブレーキ制御方法。
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