JP5291303B2 - ポリアセン化合物及び有機半導体薄膜 - Google Patents

ポリアセン化合物及び有機半導体薄膜 Download PDF

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本発明は、有機半導体材料に関する。また、該有機半導体材料を用いた有機半導体薄膜及び有機半導体素子に関する。
有機半導体を用いたデバイスは、従来の無機半導体デバイスに比べて成膜条件がマイルドであり、各種基板上に半導体薄膜を形成したり、常温で成膜したりすることが可能であるため、低コスト化や、ポリマーフィルム等に薄膜を形成することによるフレキシブル化が期待されている。
有機半導体材料としては、ポリフェニレンビニレン,ポリピロール,ポリチオフェン等の共役系高分子化合物やそのオリゴマーとともに、アントラセン,テトラセン,ペンタセン等のポリアセン化合物を中心とする芳香族化合物が研究されている。特に、ポリアセン化合物は分子間凝集力が強いため高い結晶性を有していて、これによって高いキャリア移動度と、それによる優れた半導体デバイス特性とを発現することが報告されている。
そして、ポリアセン化合物のデバイスへの利用形態としては蒸着膜又は単結晶があげられ、トランジスタ,太陽電池,レーザー等への応用が検討されている(非特許文献1〜3を参照)。
また、蒸着法以外の方法でポリアセン化合物の薄膜を形成する方法として、ポリアセン化合物の一種であるペンタセンの前駆体の溶液を基板上に塗布し、加熱処理してペンタセン薄膜を形成する方法が報告されている(非特許文献4を参照)。この方法は、ポリアセン化合物は溶媒に対する溶解性が低いため、溶解性の高い前駆体の溶液を用いて薄膜を形成し、熱により前駆体をポリアセン化合物に変換するというものである。
一方、置換基を有するポリアセン化合物は、高橋らの報告(非特許文献5),グラハムらの報告(非特許文献6),アンソニーらの報告(非特許文献7)及び,ミラーらの報告(非特許文献8)などに記載されており、さらに非特許文献9には2,3,9,10−テトラメチルペンタセンの合成例が、非特許文献10には2,3,9,10−テトラクロロペンタセンの合成例が、非特許文献11にはパーフルオロペンタセンの合成例がそれぞれ記載されている。
なお、ペンタセンを超える移動度を有する有機半導体材料は、現在のところ知られていない。
「アドバンスド・マテリアルズ」,2002年,第14巻,p.99 ジミトラコポウラスら,「ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス」,1996年,第80巻,p.2501 クロークら,「IEEE・トランザクション・オン・エレクトロン・デバイシス」,1999年,第46巻,p.1258 ブラウンら,「ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス」,1996年,第79巻,p.2136 高橋ら,「ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー」,2000年,第122巻,p.12876 グラハムら,「ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー」,1995年,第60巻,p.5770 アンソニーら,「オーガニック・レターズ」,2000年,第2巻,p.85 ミラーら,「オーガニック・レターズ」,2000年,第2巻,p.3979 「アドバンスド・マテリアルズ」,2003年,第15巻,p.1090 「ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー」,2003年,第125巻,p.10190 「ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー」,2004年,第126巻,p.8138
しかしながら、前述のような前駆体を利用してポリアセン化合物の薄膜を形成する方法は、前記前駆体をポリアセン化合物に変換するために高温処理が必要であるという問題点を有していた(例えば、ペンタセンの場合であれば150℃程度)。また、ポリアセン化合物への変換反応を完全に行うことが難しいため未反応部分が欠陥として残ったり、高温により変性が生じて欠陥となったりするという問題点も併せて有していた。
一方、前述の高橋らの報告等には、各種のポリアセン化合物に置換基を導入した誘導体が記載されているが、有機半導体材料としての特性や薄膜化に関しては記載されていない。また、2,3,9,10−テトラメチルペンタセンや2,3,9,10−テトラクロロペンタセンやパーフルオロペンタセンが合成されているが、それぞれの薄膜の移動度はペンタセンよりも劣っている。これらのペンタセン誘導体は一般の有機溶媒に対する溶解性が乏しく、特に2,3,9,10−テトラクロロペンタセンは高温下での薄膜形成過程において変性が生じるため、半導体としての性質を示さない。
そこで、本発明は、前述のような従来技術が有する問題点を解決し、高い移動度を発現し且つ耐酸化性及び溶媒に対する溶解性に優れる有機半導体材料を提供することを課題とする。また、高い移動度を有する有機半導体薄膜、及び、電子特性の優れた有機半導体素子を提供することを併せて課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1のポリアセン化合物は、下記の化学式(I)で表されるような構造を有することを特徴とする。
Figure 0005291303
ただし、化学式(I)中のR1 ,R2 の少なくとも一方は、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基、アルコキシ基、又はアルキルチオ基であり、他方は水素原子である。このR1 ,R2 が有する脂肪族炭化水素基の炭素数は、3以上9以下である。また、化学式(I)中のR3 ,R4 は、ハロゲン基又は水素原子である。さらに、nは1以上5以下の整数である。
また、本発明に係る請求項2のポリアセン化合物は、請求項1に記載のポリアセン化合物において、R3 ,R4 の少なくとも一方はハロゲン基であり、他方は水素原子であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項3のポリアセン化合物は、請求項1に記載のポリアセン化合物において、R1 ,R2 の一方は、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基、アルコキシ基、又はアルキルチオ基であり、他方は水素原子であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項4のポリアセン化合物は、請求項3に記載のポリアセン化合物において、R3 ,R4 が水素原子であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項5のポリアセン化合物は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリアセン化合物において、R1 ,R2 が有する脂肪族炭化水素基の炭素数が3以上6以下であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項6の溶液は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリアセン化合物を含有することを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項7のインクは、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリアセン化合物を含有することを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項8の有機半導体薄膜は、下記の化学式(I)で表されるような構造を有するポリアセン化合物で構成され、結晶性を有することを特徴とする。
Figure 0005291303
ただし、化学式(I)中のR1 ,R2 の少なくとも一方は、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基、アルコキシ基、又はアルキルチオ基であり、他方は水素原子である。このR1 ,R2 が有する脂肪族炭化水素基の炭素数は、2以上9以下である。また、化学式(I)中のR3 ,R4 は、ハロゲン基又は水素原子である。さらに、nは1以上5以下の整数である。
さらに、本発明に係る請求項9の有機半導体薄膜は、請求項8に記載の有機半導体薄膜において、R3 ,R4 の少なくとも一方はハロゲン基であり、他方は水素原子であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項10の有機半導体薄膜は、請求項8に記載の有機半導体薄膜において、R1 ,R2 の一方は、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基、アルコキシ基、又はアルキルチオ基であり、他方は水素原子であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項11の有機半導体薄膜は、請求項10に記載の有機半導体薄膜において、R3 ,R4 が水素原子であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項12の有機半導体薄膜は、請求項8〜11のいずれか一項に記載の有機半導体薄膜において、R1 ,R2 が有する脂肪族炭化水素基の炭素数が2以上6以下であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項13の有機半導体薄膜は、請求項8〜12のいずれか一項に記載の有機半導体薄膜において、基板上に形成された結晶性の有機半導体薄膜であって、前記ポリアセン化合物の分子の長軸が前記基板の表面に対して垂直方向に配向していることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項14の有機半導体素子は、請求項8〜13のいずれか一項に記載の有機半導体薄膜で少なくとも一部を構成したことを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項15のトランジスタは、ゲート電極,誘電体層,ソース電極,ドレイン電極,及び半導体層を備えるトランジスタにおいて、前記半導体層を請求項8〜13のいずれか一項に記載の有機半導体薄膜で構成したことを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項16のディスプレイ装置は、多数の画素からなる画素面を備えるディスプレイ装置において、前記各画素は、請求項14に記載の有機半導体素子又は請求項15に記載のトランジスタを備えることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項17のディスプレイ装置は、請求項16に記載のディスプレイ装置において、前記有機半導体素子又は前記トランジスタが備える電極,誘電体層,及び半導体層を、請求項6に記載の溶液又は請求項7に記載のインクの印刷又は塗布によって形成したことを特徴とする。
本発明のポリアセン化合物は、細長い形のポリアセン骨格の長軸方向両端部の一方に官能基(ハロゲン基を除く)を有し、且つ、他方にハロゲン基又は水素原子を有する構造であり、ポリアセン骨格の長軸方向両端部以外には、ハロゲン基を含む官能基を全く有していない。本発明者らは、ポリアセン化合物の長軸方向端部に官能基を導入することによって、有機溶剤に対する溶解性が向上し、ハロゲン基を導入することによって、耐酸化性が向上すると考え、前記化学式(I)で表されるような構造を有する新規なポリアセン化合物を見出すに至った。
そして、本発明のポリアセン化合物及びその薄膜は、従来の有機材料中で最も高い移動度を有するペンタセンと同程度又はそれを超える高い移動度を発現することを見出した。また、常温において溶媒に対する溶解性が乏しいペンタセンと比べて、本発明のポリアセン化合物は溶解性が優れていること、及び、耐酸化性が優れていることを見出した。さらに、本発明のポリアセン化合物の薄膜を用いた有機半導体素子は、優れた電子特性を示すことを見出した。
本発明のポリアセン化合物は、高い移動度を発現するとともに、溶媒に対する溶解性及び耐酸化性に優れる。また、本発明の有機半導体薄膜は高い移動度を有している。さらに、本発明の有機半導体素子は優れた電子特性を有している。
本発明のポリアセン化合物は、前述の化学式(I)に示すような構造の化合物であり、分子の長軸方向両端部の一方に官能基(ハロゲン基を除く)を有し、且つ、他方にハロゲン基又は水素原子を有するポリアセン化合物である。このポリアセン化合物が備える官能基(ハロゲン基を含む)は、合計で1個以上4個以下である。このようなポリアセン化合物は、長軸方向両端部に異なる官能基を備えていることから、分子として極性を有しているので、有機溶剤に対する溶解性が優れている。
1 ,R2 は前述のような種類の官能基である。R1 ,R2 は異種の官能基でもよいし、同種の官能基でもよい。例えば、R1 ,R2 の両方がアルキル基でもよいし、一方がアルキル基で他方が水素原子でもよい。また、R3 ,R4 はハロゲン基又は水素原子である。R3 ,R4 の両方がハロゲン基でもよいし、一方がハロゲン基で他方が水素原子でもよい。
ポリアセン骨格の長軸方向端部に官能基を有する本発明のペンタセン化合物は、分子同士のスタッキング時に官能基が障害(立体障害)となるため、分子間の共役面の重なりが阻害されることがある。したがって、端部の官能基又はハロゲン基の数は少ない方が好ましい。また、耐酸化性を向上させる効果が見込まれるハロゲン基の中では、ファンデルワールス半径の最も小さいフッ素原子が好ましい。
一方、溶解性の観点からみると、例えばペンタセン誘導体においてR1 ,R2 が同種の官能基である場合は、官能基が含む脂肪族炭化水素基の炭素数が大きい方が、溶解性が高くなる。また、R1 ,R2 が同種の官能基である場合と比べて、R1 ,R2 の一方のみが官能基で他方が水素原子である場合は、対称性の低い分子構造であるため溶解性が高くなる。さらに、R3 ,R4 のハロゲン基は少ない方が好ましい。特に、R3 ,R4 の両方が水素原子であると高い溶解性を示すため、より好ましい。
以下に、本発明のポリアセン化合物について、さらに詳細に説明する。化学式(I)中のR1 ,R2 の少なくとも一方は、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基等の脂肪族炭化水素基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、エステル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボキシル基、ホルミル基、水酸基、アミノ基、イミノ基、アミド基、シアノ基、シリル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、又はこれらのうちの2以上の基を含む複合官能基であり、他方は水素原子である。
これらの中では、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基等の脂肪族炭化水素基が好ましく、溶媒への溶解性及び結晶性を勘案すると、その炭素数は2〜9個であることが好ましい。そして、高い溶解性と高い結晶性の両方を有するためには、炭素数は2〜6個であることがより好ましい。また、脂肪族炭化水素基は直鎖状や分岐状でもよいし、環状構造でもよい。
アルキル基の例としては、エチル基,n−プロピル基,n−ブチル基,t−ブチル基,n−ヘキシル基,トリフルオロメチル基,ベンジル基等があげられる。また、アルケニル基の例としてはメタクリル基やアクリル基があげられ、アルキニル基の例としてはエチニル基やプロパギル基があげられる。なお、アルケニル基及びアルキニル基においては、二重結合及び三重結合は官能基中のどの位置にあっても差し支えない。二重結合及び三重結合は、官能基の構造を強固とする目的、不飽和結合基を用いてさらに他の分子と反応させる目的、あるいは不飽和結合基同士を反応(結合)又は重合させる目的で利用することができる。
以下に、脂肪族炭化水素基以外の官能基で、長軸方向端部の官能基(R1 ,R2 )として好適なものの例を示す。これらの官能基の場合も、その官能基が含む脂肪族炭化水素基の炭素数は、前述した脂肪族炭化水素基の場合と同様に2以上9以下であることが好ましく、2以上6以下であることがより好ましい。アリールオキシ基の例としては、フェノキシ基,4−メチルフェノキシ基があげられ、アルコキシ基の例としては、エトキシ基,2−メトキシエトキシ基,t−ブトキシ基があげられる。アシル基の例としては、2−メチルプロパノイル基,シクロヘキシルカルボニル基,オクタノイル基,クロロアセチル基,トリフルオロアセチル基,ベンゾイル基があげられる。アリールオキシカルボニル基の例としては、フェノキシカルボニル基,2−ヒドロキシメチルフェノキシカルボニル基があげられる。
また、アミノ基の例としては、アミノ基,ジメチルアミノ基,メチルフェニルアミノ基,フェニルアミノ基があげられる。スルフィド基,ジスルフィド基の例としては、“−S−”や“−S−S−”の部分構造を有する基のすべてがあげられるが、環状構造を有していてもよく、その具体例としてはチオラン環、1,3−ジチオラン環、1,2−ジチオラン環、チアン環、ジチアン環、チオモルホリン環等を含む基があげられる。このような環状構造は、鎖状構造に比べて立体的な影響が少ないという点で好ましく、特に5員環や6員環を形成する官能基はアセン環の平面性を保持するという点で好ましい。
さらに、シリル基の例としては、トリメチルシリル基,ジメチルフェニルシリル基があげられる。スルホニル基の例としては、n−ブチルスルホニル基,n−オクチルスルホニル基,フェニルスルホニル基があげられる。
また、複合官能基の例としては、2−ヒドロキシ−1−プロペニル基,ヒドロキシエトキシエチル基,ヒドロキシエチルチオエチル基,ジメチルアミノカルボニル基があげられる。
ポリアセン骨格の長軸方向の端部に官能基を有するペンタセン化合物は、分子同士のスタッキング時に官能基が障害(立体障害)となる場合があるため、分子間の共役面の重なりが阻害されることがある。したがって、端部の官能基の数は少ない方が好ましく、特に片側の端部にのみ官能基を有する場合は、分子同士がスタッキングする際に官能基を有する端部が交互に反対向きになるように配列できるという点で好ましい。また、片側の端部のみに官能基を有する場合には、分子の長軸方向に極性が生じるため、溶媒への溶解性を向上させるという点でも好ましい。さらに、片側の端部の一方のみに官能基を有する場合には、分子の長軸方向にも短軸方向にも非対称構造となるため、溶解性をさらに向上させるという点で特に好ましい。
さらに、R1 とR2 は連結して、式−A−(CH2 m −A−で示される環を形成してもよい(該式中のAは酸素原子又は硫黄原子であり、mは1以上の整数である)。
なお、長軸方向の端部の官能基(R1 ,R2 )は、上に示した基を2つ以上組み合わせた複合官能基でもよい。
さらに、ポリアセン骨格の縮環数に関しては、前述の化学式(I)中のnが1又は2であることが好ましい。一般に、縮環数が増えていくと有機溶剤への溶解性は低下し、酸素への反応性の向上、つまり耐酸化性が低下する。一方で、縮環数が増加するに従い、HOMO−LUMOギャップが減少することから高い移動度の発現が見込まれる。これら溶解性,安定性,及び半導体特性を勘案すると、nが1(すなわち縮環数が5)のペンタセンと、nが2(すなわち縮環数が6)のヘキサセンが好ましい。
次に、本発明のポリアセン化合物の合成方法について説明する。本発明におけるポリアセン化合物は、まず前駆体であるキノン化合物を合成し、これを還元及び芳香化して合成することができる。例えば、ペンタセン誘導体は、フタルアルデヒド誘導体と1,4−ジヒドロキシアントラセン誘導体とを塩基性条件下でアルドール縮合して環化し、得られたキノン化合物を水素化リチウムアルミニウム,アルミニウムトリアルコキシド等を用いて還元することにより合成することができる。
なお、フタルアルデヒド誘導体及び1,4−ジヒドロキシアントラセン誘導体は、既知法又はその類似法により容易に合成可能である。また、上記キノン化合物の合成方法の例としては、以下に示すものがある。
(1)フタルアルデヒド誘導体及び1,4−ジヒドロキシアントラセンとを塩基性条件下でアルドール縮合して環化する方法(ブレタン・ド・ラ・ソサエテ・キミケ・ド・フランス,5−6巻パート2,539ページ(1977年))。
(2)チエン−2,3−ジアルデヒドと1,4−ジヒドロキシアントラセンとを塩基性条件下で環化縮合する方法(ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー,第57巻,6192ページ(1992年))。
(3)ナフタレン−2,3−ジカルボキシアルデヒドと1,4−ジヒドロキシナフタレン誘導体とを塩基性条件下で環化縮合する方法(シンセシス,第20巻,3505ページ(2005年))。
本発明のポリアセン化合物は上記のような方法で合成した後、昇華,再結晶等の通常の精製法により精製し、高純度化することができる。
本発明のポリアセン化合物は結晶性を有し、この結晶構造はヘリンボン型で、分子が配列した構造を示す。このヘリンボン構造の結晶構造においては、細長い分子が矢筈状にスタックされた格子構造をとる。これら結晶構造は、前述のように精製し、高純度化した結晶を用いて、X線回折により構造決定することができる。
また、本発明のポリアセン化合物は、無置換のポリアセン化合物と同様に斜方晶系構造又は立方晶系構造を示す。ここで、結晶の格子定数a,b,cが決定でき、このc軸格子定数は細長い分子の分子長が配列した格子ユニット長さに対応し、a軸及びb軸格子定数は分子の共役面がスタックした分子カラム面内の格子ユニットの大きさに対応する。
さらに、本発明のポリアセン化合物は、分子の共役面がスタックした面の分子間距離(a軸及びb軸格子定数に対応する)が、無置換のポリアセン化合物と比較して同等又は縮小した構造を示す。このことは分子間のπ電子の重なりが大きく、キャリアが容易に分子間を移動できることにつながり、高い移動度を示す原因と考えられる。また。c軸格子定数はポリアセン化合物の長軸方向の分子長に対応して変化し、ほぼ分子長と同等又は若干小さい値を示す。
さらに、本発明のポリアセン化合物は、分子構造中にハロゲン元素を有しているため、ハロゲン元素を有していないものと比べて耐酸化性が優れている。これは、ハロゲン元素の導入により分子のイオン化ポテンシャルが増加し、酸素等の酸化剤に対する反応性が低下したためである。また、ハロゲン元素の導入により電子受容性分子との電荷移動も抑制されるので、半導体のキャリア濃度変動安定性にもつながる。さらに、本発明のポリアセン化合物で電界効果トランジスタを製造した場合には、ゲート電圧に対してドレイン電流の変化が大きくなり、高いon/off電流比が得られる。
次に、本発明の有機半導体薄膜について説明する。
本発明の有機半導体薄膜の形成方法としては、公知の方法を採用することが可能であり、例えば、真空蒸着,MBE法(Molecular Beam Epitaxy),スパッタリング法,レーザー蒸着法,気相輸送成長法等があげられる。そして、このような方法により、基板表面に薄膜を形成することができる。
本発明で用いるポリアセン化合物は昇華性を示すので、前述の方法で薄膜を形成することが可能である。MBE法,真空蒸着法,及び気相輸送成長法は、ポリアセン化合物を加熱して昇華した蒸気を、高真空,真空,低真空又は常圧で基板表面に輸送して薄膜を形成するものである。また、スパッタリング法は、ポリアセン化合物をプラズマ中でイオン化させて、ポリアセン化合物の分子を基板上に堆積して薄膜を形成する方法である。また、レーザー蒸着法は、レーザー照射によりポリアセン化合物を加熱して蒸気を生成させ、ポリアセン化合物の分子を基板上に堆積して薄膜を形成する方法である。前述の製法のうちMBE法,真空蒸着法,及び気相輸送成長法は、生成する薄膜の平坦性及び結晶性に優れるので好ましい。
MBE法や真空蒸着法における薄膜作製条件としては、例えば、基板温度は室温以上100℃以下とすることが好ましい。基板温度が低温であるとアモルファス状の薄膜が形成されやすく、また、100℃を超えると薄膜の表面平滑性が低下する。また、気相輸送成長法の場合は、基板温度は室温以上200℃以下とすることが好ましい。
また、本発明のポリアセン化合物は、薄膜成長速度が高い場合でも結晶性の良好な薄膜を形成しやすく、高速成膜が可能である。成長速度は、0.1nm/min以上1μm/sec以下の範囲とすることが好ましい。0.1nm/min未満では結晶性が低下しやすく、1μm/secを超えると薄膜の表面平滑性が低下する。
また、本発明の有機半導体薄膜は、ウェットプロセスで形成することも可能である。従来公知の無置換ポリアセン化合物は一般の溶媒に室温では難溶であり、溶液化と溶液の塗布による薄膜形成とが困難であったが、本発明のポリアセン化合物は、官能基の導入により溶媒に対する溶解性が無置換ポリアセン化合物と比べて同等又は高いので、溶液化と溶液の塗布による薄膜形成とが可能である。
本発明の有機半導体薄膜は、本発明のポリアセン化合物の溶液を基板等のベース上に被覆した上、加熱等の方法により前記溶媒を気化させることにより得ることができる。前記溶液をベース上に被覆する方法としては、塗布,噴霧の他、ベースを前記溶液に接触させる方法等があげられる。具体的には、スピンコート,ディップコート,スクリーン印刷,インクジェット印刷,ブレード塗布,印刷(平版印刷,凹版印刷,凸版印刷等)等の公知の方法があげられる。これらの印刷方法には、本発明のポリアセン化合物の溶液に粘度等を調節するための添加物を加えたインクを用いることができる。
このような操作は、通常の大気下又は窒素,アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことができる。ただし、一部のポリアセン化合物の溶液は酸化されやすい場合もあるため、溶液の作製,保存及び有機半導体薄膜の作製は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
また、溶媒を気化させる際には、ベース付近の温度や雰囲気の溶媒蒸気圧により気液界面の溶媒気化速度を調節することによって、結晶成長を制御することができる。さらに、ポリアセン化合物の溶液にベースを接触させて、過飽和状態でベースの表面に有機半導体薄膜を形成させることも可能である。さらに、所望により、ポリアセン化合物の溶液とベースとの界面に、温度勾配,電場,磁場の少なくとも1つを印加して、結晶成長を制御することができる。これらの方法により高結晶性の有機半導体薄膜を製造することが可能であり、得られた有機半導体薄膜は高結晶性であることから半導体特性が優れている。
さらに、有機半導体薄膜の安定性,半導体特性の点から、有機半導体薄膜中に残存する溶媒の量は低いことが好ましい。よって、通常は、有機半導体薄膜を形成した後に再度加熱処理及び/又は減圧処理を施して、有機半導体薄膜中に残存する溶媒をほぼ完全に除去することが好ましい。
上記のような溶液の塗布により形成されたポリアセン薄膜の形態(結晶の組織構造)は、粒子状の結晶からなる組織構造を一部有するとともに、板状結晶からなる組織構造や、板状結晶がベースの表面に広く成長したシート状の組織構造を有する形態である。本発明のポリアセン薄膜におけるシート状の組織構造は、表面が比較的平坦で、結晶の段差部分が平行な線状をなして同一平面内に形成され、粒界組織はほとんど存在しない。
さらに、ベースの表面一面にシート状の結晶が成長した単結晶板状結晶やシート状の組織構造が大きいと、該ポリアセン薄膜を用いて製造された有機半導体素子の輸送特性が、粒子状又は針状結晶からなる組織構造を有するポリアセン薄膜を用いて製造した有機半導体素子に比べ、均一化、高性能化されるため好ましい。
このように、ドライプロセス又はウェットプロセスによりポリアセン化合物からなる有機半導体薄膜が形成できる。
前述したように、本発明のポリアセン化合物は、結晶性及び半導体特性に優れた薄膜を形成することができる。また、本発明の有機半導体薄膜においては、ポリアセン化合物は、分子の長軸をベース面に対して垂直方向に配向している。このことは、ポリアセン化合物の分子の分子凝集力が強く、分子面同士でスタックした分子カラムを形成しやすいためであると考えられる。したがって、有機半導体薄膜のX線回折パターンは、結晶の(00n)面強度が強く現れやすい。この面間距離dは、結晶のc軸格子定数にあたる。
面間距離dと分子の長軸の長さLとの比率、すなわちd/Lが1に近いほどベース面に対する分子の傾きが垂直に近く、反対に0に近いほど平行に近い。通常、dはLと同等又は若干小さい値になるため、d/Lが1を超えることはない。しかし、ポリアセン化合物の分子がスタッキングする際に、同一官能基を有する端部が反対向きになるように交互パッキングした場合にはdがLよりも大きくなることがあり、d/Lが1を超えることもある。薄膜中において優れた半導体特性を示すポリアセン化合物の配向は、d/Lの値としては0.6以上2以下が好ましい。
また、本発明のポリアセン化合物は、その結晶の結晶軸のa軸方向及び/又はb軸方向の分子間距離が縮小する場合があり、この分子間距離の縮小によってキャリア移動が起こりやすく、その結果、高い移動度を示す。このような有機半導体薄膜で構成された有機半導体素子は、層状に形成された分子カラムに沿ってキャリアが流れやすい性質を持つものと思われる。そして、このa軸及びb軸の格子定数は、斜め入射X線回折,透過型電子線回折,薄膜のエッジ部にX線を入射させ回折を測定する方法などによって観測することができる。
さらに、通常の無機半導体薄膜は、その結晶性がベースの材料の結晶性,面方位の影響を受けるが、本発明の有機半導体薄膜は、ベースの材料の結晶性,面方位に関係なく高結晶性の薄膜となる。よって、ベースの材料には、結晶性,非晶性に関係なく種々の材料を用いることが可能である。
例えば、ガラス,石英,酸化アルミニウム,サファイア,チッ化珪素,炭化珪素等のセラミック、シリコン,ゲルマニウム,ガリウム砒素,ガリウム燐,ガリウム窒素等の半導体、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート等),ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリビニルアルコール,エチレンビニルアルコール共重合体,環状ポリオレフィン,ポリイミド,ポリアミド,ポリスチレン,ポリカーボネート,ポリエーテルスルフォン,ポリスルフォン,ポリメチルメタクリレート等の樹脂、紙、不織布などがあげられる。
また、ベースの形状は特に限定されるものではないが、通常はシート状のベースや板状のベース(基板)が用いられる。
本発明の有機半導体薄膜はキャリア移動度が高いことが特徴であり、1×10-4cm2 /V・s以上であることが好ましい。より好ましくは1×10-3cm2 /V・s以上であり、最も好ましくは1×10-2cm2 /V・s以上である。
このような有機半導体薄膜を用いることにより、エレクトロニクス,フォトニクス,バイオエレクトロニクス等の分野において有益な半導体素子を製造することができる。このような半導体素子の例としては、ダイオード,トランジスタ,薄膜トランジスタ,メモリ,フォトダイオード,発光ダイオード,発光トランジスタ,センサ等があげられる。
トランジスタ及び薄膜トランジスタは、ディスプレイ装置に利用することが可能であり、液晶ディスプレイ,分散型液晶ディスプレイ,電気泳動型ディスプレイ,粒子回転型表示素子,エレクトロクロミックディスプレイ,有機発光ディスプレイ,電子ペーパー等の種々の表示素子に利用可能である。トランジスタ及び薄膜トランジスタは、これらの表示素子において表示画素のスイッチング用トランジスタ,信号ドライバ回路素子,メモリ回路素子,信号処理回路素子等に利用される。
半導体素子がトランジスタである場合には、その素子構造としては、例えば、基板/ゲート電極/絶縁体層(誘電体層)/ソース電極・ドレイン電極/半導体層という構造、基板/半導体層/ソース電極・ドレイン電極/絶縁体層(誘電体層)/ゲート電極という構造、基板/ソース電極(又はドレイン電極)/半導体層+絶縁体層(誘電体層)+ゲート電極/ドレイン電極(又はソース電極)という構造等があげられる。このとき、ソース電極,ドレイン電極,ゲート電極は、それぞれ複数設けてもよい。また、複数の半導体層を同一平面内に設けてもよいし、積層して設けてもよい。
トランジスタの構成としては、MOS(メタル−酸化物(絶縁体層)−半導体)型及びバイポーラ型のいずれでも採用可能である。ポリアセン化合物は、通常はp型半導体であるので、ドナードーピングしてn型半導体としたポリアセン化合物と組み合わせたり、ポリアセン化合物以外のn型半導体と組み合わせたりすることにより、素子を構成することができる。
また、半導体素子がダイオードである場合には、その素子構造としては、例えば、電極/n型半導体層/p型半導体層/電極という構造があげられる。そして、p型半導体層に本発明の有機半導体薄膜が使用され、n型半導体層に前述のn型半導体が使用される。
半導体素子における有機半導体薄膜内部又は有機半導体薄膜表面と電極との接合面の少なくとも一部は、ショットキー接合及び/又はトンネル接合とすることができる。このような接合構造を有する半導体素子は、単純な構成でダイオードやトランジスタを作製することができるので好ましい。さらに、このような接合構造を有する有機半導体素子を複数接合して、インバータ,オスシレータ,メモリ,センサ等の素子を形成することもできる。
さらに、本発明の半導体素子を表示素子として用いる場合は、表示素子の各画素に配置され各画素の表示をスイッチングするトランジスタ素子(ディスプレイTFT)として利用できる。このようなアクティブ駆動表示素子は、対向する導電性基板のパターニングが不要なため、回路構成によっては、画素をスイッチングするトランジスタを持たないパッシブ駆動表示素子と比べて画素配線を簡略化できる。通常は、1画素当たり1個から数個のスイッチング用トランジスタが配置される。このような表示素子は、基板面に二次元的に形成したデータラインとゲートラインとを交差した構造を有し、データラインやゲートラインがトランジスタのゲート電極,ソース電極,ドレイン電極にそれぞれ接合されている。なお、データラインとゲートラインとを分割することや、電流供給ライン,信号ラインを追加することも可能である。
また、表示素子の画素に、画素配線,トランジスタに加えてキャパシタを併設して、信号を記録する機能を付与することもできる。さらに、表示素子が形成された基板に、データライン及びゲートラインのドライバ,画素信号のメモリ,パルスジェネレータ,信号分割器,コントローラ等を搭載することもできる。
また、本発明の有機半導体素子は、ICカード,スマートカード,及び電子タグにおける演算素子,記憶素子としても利用することができる。その場合、これらが接触型であっても非接触型であっても、問題なく適用可能である。このICカード,スマートカード,及び電子タグは、メモリ,パルスジェネレータ,信号分割器,コントローラ,キャパシタ等で構成されており、さらにアンテナ,バッテリを備えていてもよい。
さらに、本発明の有機半導体素子でダイオード,ショットキー接合構造を有する素子,トンネル接合構造を有する素子を構成すれば、その素子は光電変換素子,太陽電池,赤外線センサ等の受光素子,フォトダイオードとして利用することもできるし、発光素子として利用することもできる。また、本発明の有機半導体素子でトランジスタを構成すれば、そのトランジスタは発光トランジスタとして利用することができる。これらの発光素子の発光層には、公知の有機材料や無機材料を使用することができる。
さらに、本発明の有機半導体素子はセンサとして利用することができ、ガスセンサ,バイオセンサ,血液センサ,免疫センサ,人工網膜,味覚センサ等、種々のセンサに応用することができる。通常は、有機半導体素子を構成する有機半導体薄膜に測定対象物を接触又は隣接させた際に生じる有機半導体薄膜の抵抗値の変化によって、測定対象物の分析を行うことができる。
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
〔実施例1:2−ヘキシルペンタセンの合成〕
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン1.56gと4−ヘキシルフタルアルデヒド2.25gをピリジン40mlに溶解し、29時間還流させた。生成した黒色の沈殿を濾取し、水とエタノールで洗浄した後、真空乾燥して2−ヘキシルペンタセンキノン1.65gを得た。この反応における収率は41%であった。
得られた2−ヘキシルペンタセンキノンについて質量分析(大気圧化学イオン化法)を行った。結果は以下の通りである。
APCI−MS:m/z=393
また、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果を以下に示す。
1H−NMR(ppm):δ0.91(t,3H)、1.32〜1.40(m,6H)、1.75(quin,2H)、2.84(t,2H)、7.55(d,1H)、7.70(d,1H)、7.70(d,1H)、7.88(s,1H)、8.03(d,1H)、8.12(d,1H)、8.12(d,1H)、8.87(s,1H)、8.90(s,1H)、8.96(s,2H)
〔ポリアセン化合物の製造方法について〕
次に、上記の反応により得られた2−ヘキシルペンタセンキノン0.39gとアルミニウムトリイソプロポキシド4.10gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、8時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。そして、水、エタノール、アセトン、クロロホルムで洗浄した後に真空乾燥して、2−ヘキシルペンタセン16.1mgを得た。この反応における収率は4%であった。
得られた2−ヘキシルペンタセンについて、重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は90℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.95(t,3H)、1.32〜1.40(m,6H)、1.79(quin,2H)、2.81(t,2H)、7.23(d,1H)、7.34(s,2H)、7.70(s,1H)、7.89(d,1H)、7.95(s,2H)、8.59(s,1H)、8.63(s,1H)、8.67(s,2H)、8.95(s,2H)
〔有機半導体薄膜の製造方法について〕
前述のようにして合成した2−ヘキシルペンタセンを窒素雰囲気中でトルエンに100℃で加熱溶解し、青紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度は115℃又は100℃)にスピンコートによりキャストして、膜厚約200nmの2−ヘキシルペンタセン薄膜を形成した。
〔有機半導体素子について〕
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmで、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様の溶液キャストにより2−ヘキシルペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
該トランジスタのシリコン基板をゲートとして、ソース・ドレイン電極間のドレイン電流/ゲート電圧曲線を測定した。その際には、ドレイン電圧を−10Vから−40Vまで、10Vステップで変化させた。その結果、ゲート電圧の減少に伴ってドレイン電流の増加が観測された。
基板温度115℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.15cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は3×103 であった。また、基板温度100℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.033cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は3×104 であった。
〔実施例2:2,3−ジクロロ−9−ヘキシルペンタセンの合成〕
〔中間体の合成方法について〕
2,3−ジクロロ−6,9−ジヒドロキシアントラセン1.40gと4−ヘキシルフタルアルデヒド1.09gをピリジン30mlに溶解し、8時間還流させた。反応溶液をクロロホルム中に注いで得られた褐色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2,3−ジクロロ−9−ヘキシルペンタセンキノン1.12gを得た。この反応における収率は48%であった。
得られた2,3−ジクロロ−9−ヘキシルペンタセンキノンについて、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.87(t,3H)、1.07〜1.40(m,6H)、1.70(quin,2H)、2.75(t,2H)、7.41(d,1H)、7.72(s,1H)、7.84(d,1H)、7.90(s,2H)、8.65( s,2H) 、8.77(s,1H)、8,79(s,1H)
〔ポリアセン化合物の製造方法について〕
次に、上記の反応により得られた2,3−ジクロロ−9−ヘキシルペンタセンキノン47.3mgとアルミニウムトリイソプロポキシド0.41gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。そして、水、アセトンで洗浄した後に真空乾燥して、2,3−ジクロロ−9−ヘキシルペンタセン30.0mgを得た。この反応における収率は68%であった。
得られた2,3−ジクロロ−9−ヘキシルペンタセンについて、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は100℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.88(t,3H)、1.07〜1.44(m,6H)、1.74(quin,2H)、2.76(t,2H)、7.10〜7.20(m,1H)、7.61(s,1H)、7.77(d,1H)、7.84(s,2H)、8.32(s,2H)、8.42(s,1H)、8.45(s,1H)、8.73(s,2H)
〔有機半導体薄膜の製造方法について〕
前述のようにして合成した2,3−ジクロロ−9−ヘキシルペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに100℃で加熱溶解し、青紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中でシリコン基板上(基板温度120℃)にキャストし成膜して、膜厚120nmの2,3−ジクロロ−9−ヘキシルペンタセン薄膜を形成した。
〔有機半導体素子について〕
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μm及び50μmの素子アレイ構造で、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様の溶液キャストにより2,3−ジクロロ−9−ヘキシルペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
該トランジスタのシリコン基板をゲートとして、ソース・ドレイン電極間のドレイン電流/ゲート電圧曲線を測定した。その際には、ドレイン電圧を−10Vから−40Vまで、10Vステップで変化させた。その結果、ゲート電圧の減少に伴ってドレイン電流の増加が観測された。基板温度120℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.017cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は1×104 であった。
〔実施例3:2,3−ジクロロ−9,10−ジプロピルペンタセンの合成〕
〔中間体の合成方法について〕
6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキシアントラセン279mgと4,5−ジプロピルフタルアルデヒド218mgをピリジン2mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。生成した茶褐色の沈殿を濾取してクロロホルムで洗浄した後、真空乾燥して2,3−ジクロロ−9,10−ジプロピルペンタセンキノン283mgを得た。この反応における収率は61%であった。
得られた2,3−ジクロロ−9,10−ジプロピルペンタセンキノンについて質量分析(2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHBA)をマトリックスとするマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法)を行った。結果は以下の通りである。
MALDI−TOF/MS(DHBA):m/z=461
また、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ1.02(t,6H)、1.68(m,4H)、2.69(t,4H)、7.67(s,2H)、7.85(s,2H)、8.66(s,2H)、8.79(s,2H)
〔ポリアセン化合物の製造方法について〕
次に、上記の反応により得られた2,3−ジクロロ−9,10−ジプロピルペンタセンキノン231mgとアルミニウムトリイソプロポキシド1.02gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、不溶成分を濾取した。アセトン及びクロロホルムで洗浄した後、真空乾燥して青藍色の2,3−ジクロロ−9,10−ジプロピルペンタセン132mgを得た。この反応における収率は62%であった。
得られた2,3−ジクロロ−9,10−ジプロピルペンタセンについて質量分析を行った。結果は以下の通りである。
MALDI−TOF/MS(DHBA):m/z=430
また、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は100℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ1.06(t,6H)、1.77(m,4H)、2.74(t,4H)、7.63(s,2H)、7.83(s,2H)、8.31(s,2H)、8.42(s,2H)、8.74(s,2H)
〔有機半導体薄膜の製造方法について〕
前述のようにして合成した2,3−ジクロロ−9,10−ジプロピルペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに140℃で加熱溶解し、青紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度150℃)にキャストして、膜厚約200nmの2,3−ジクロロ−9,10−ジプロピルペンタセン薄膜を形成した。
〔有機半導体素子について〕
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μm及び50μmの素子アレイ構造で、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様条件での溶液キャストにより2,3−ジクロロ−9,10−ジプロピルペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
該トランジスタのシリコン基板をゲートとして、ソース・ドレイン電極間のドレイン電流/ゲート電圧曲線を測定した。その際には、ドレイン電圧を−10Vから−40Vまで、10Vステップで変化させた。その結果、ゲート電圧の減少に伴ってドレイン電流の増加が観測された。基板温度120℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.041cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は1×105 であった。
〔実施例4:2,3−ジクロロ−9,10−ジヘキシルペンタセンの合成〕
〔中間体の合成方法について〕
6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキシアントラセン279mgと4,5−ジヘキシルフタルアルデヒド302mgをピリジン2mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。生成した淡緑色の沈殿を濾取してアセトン及びクロロホルムで洗浄した後、真空乾燥して2,3−ジクロロ−9,10−ジヘキシルペンタセンキノン237mgを得た。この反応における収率は43%であった。
得られた2,3−ジクロロ−9,10−ジヘキシルペンタセンキノンについて、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は100℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.90(t,6H)、1.34(m,8H)、1.47(m,4H)、1.73(m,4H)、2.82(t,4H)、7.76(s,2H)、7.90(s,2H)、8.66(s,2H)、8.79(s,2H)
〔ポリアセン化合物の製造方法について〕
次に、上記の反応により得られた2,3−ジクロロ−9,10−ジヘキシルペンタセンキノン218mgとアルミニウムトリイソプロポキシド817mgとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、不溶成分を濾取した。アセトン及びクロロホルムで洗浄した後、真空乾燥して青藍色の2,3−ジクロロ−9,10−ジヘキシルペンタセン67mgを得た。この反応における収率は33%であった。
得られた2,3−ジクロロ−9,10−ジヘキシルペンタセンについて、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は100℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.91(t,6H)、1.37(m,8H)、1.50(m,4H)、1.78(m,4H)、2.81(t,4H)、7.68(s,2H)、7.84(s,2H)、8.32(s,2H)、8.44(s,2H)、8.74(s,2H)
〔有機半導体薄膜の製造方法について〕
前述のようにして合成した2,3−ジクロロ−9,10−ジヘキシルペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに100℃で溶解し、青紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(120℃)にキャストして、膜厚約200nmの2,3−ジクロロ−9,10−ジヘキシルペンタセン薄膜を形成した。
〔有機半導体素子について〕
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μm及び50μmの素子アレイ構造で、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様条件での溶液キャストにより2,3−ジクロロ−9,10−ジヘキシルペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
該トランジスタのシリコン基板をゲートとして、ソース・ドレイン電極間のドレイン電流/ゲート電圧曲線を測定した。その際には、ドレイン電圧を−10Vから−40Vまで、10Vステップで変化させた。その結果、ゲート電圧の減少に伴ってドレイン電流の増加が観測された。基板温度120℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.16cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は1×104 であった。
〔実施例5:2,3−ジクロロ−9,10−ビス(ヘキシロキシ)ペンタセンの合成〕 〔中間体の合成方法について〕
6,7−ジクロロ−1,4−ジヒドロキシアントラセン279mgと4,5−ビス(ヘキシロキシ)フタルアルデヒド334mgをピリジン2mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。生成した黄土色の沈殿を濾取してアセトンで洗浄した後、真空乾燥して2,3−ジクロロ−9,10−ビス(ヘキシロキシ)ペンタセンキノン358mgを得た。この反応における収率は62%であった。
得られた2,3−ジクロロ−9,10−ビス(ヘキシロキシ)ペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は40℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.94(t,6H)、1.40(m,8H)、1.56(m,4H)、1.93(m,4H)、4.19(t,4H)、7.31(s,2H)、8.20(s,2H)、8.69(s,2H)、8.79(s,2H)
〔ポリアセン化合物の製造方法について〕
次に、上記の反応により得られた2,3−ジクロロ−9,10−ビス(ヘキシロキシ)ペンタセンキノン289mgとアルミニウムトリイソプロポキシド1.02gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、不溶成分を濾取した。アセトンで洗浄した後、真空乾燥して青藍色の2,3−ジクロロ−9,10−ビス(ヘキシロキシ)ペンタセン139mgを得た。この反応における収率は50%であった。
得られた2,3−ジクロロ−9,10−ビス(ヘキシロキシ)ペンタセンについて、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は100℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.90(t,6H)、1.35(m,8H)、1.54(m,4H)、1.87(m,4H)、4.11(t,4H)、7.08(s,2H)、7.85(s,2H)、8.30(s,2H)、8.32(s,2H)、8.68(s,2H)
〔有機半導体薄膜の製造方法について〕
前述のようにして合成した2,3−ジクロロ−9,10−ビス(ヘキシロキシ)ペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに110℃で溶解し、青紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度120℃)にキャストして、膜厚約200nmの2,3−ジクロロ−9,10−ビス(ヘキシロキシ)ペンタセン薄膜を形成した。
〔有機半導体素子について〕
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は5μmで、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様条件での溶液キャストにより2,3−ジクロロ−9,10−ビス(ヘキシロキシ)ペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
該トランジスタのシリコン基板をゲートとして、ソース・ドレイン電極間のドレイン電流/ゲート電圧曲線を測定した。その際には、ドレイン電圧を−10Vから−40Vまで、10Vステップで変化させた。その結果、ゲート電圧の減少に伴ってドレイン電流の増加が観測された。基板温度120℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.034cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は2×104 であった。
〔実施例6:2−クロロ−9,10−ジプロピルペンタセンの合成〕
〔中間体の合成方法について〕
6−クロロ−1,4−ジヒドロキシアントラセン245mgと4,5−ジプロピルフタルアルデヒド218mgをピリジン2mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。エタノールを加えて生成した茶褐色の沈殿を濾取し、真空乾燥して2−クロロ−9,10−ジプロピルペンタセンキノン285mgを得た。この反応における収率は67%であった。
得られた2−クロロ−9,10−ジプロピルペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ1.08(t,6H)、1.77(m,4H)、2.82(t,4H)、7.63(dd,1H)、7.87(s,2H)、8.06(d,1H)、8.09(s,1H)、8.84(s,3H)、8.91(s,1H)
〔ポリアセン化合物の製造方法について〕
次に、上記の反応により得られた2−クロロ−9,10−ジプロピルペンタセンキノン213mgとアルミニウムトリイソプロポキシド1.02gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、不溶成分を濾取した。アセトンで洗浄した後、真空乾燥して青藍色の2−クロロ−9,10−ジプロピルペンタセン101mgを得た。この反応における収率は50%であった。
得られた2−クロロ−9,10−ジプロピルペンタセンについて、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は100℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ1.06(t,6H)、1.76(m,4H)、2.74(t,4H)、7.08(dd,1H)、7.63(s,2H)、7.68(d,1H)、7.73(s,1H)、8.33(s,1H)、8.42(s,3H)、8.75(s,2H)
〔有機半導体薄膜の製造方法について〕
前述のようにして合成した2−クロロ−9,10−ジプロピルペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに115℃で加熱溶解し、青紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度170℃)にキャストして、膜厚約200nmの2−クロロ−9,10−ジプロピルペンタセン薄膜を形成した。
〔有機半導体素子について〕
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μm及び50μmの素子アレイ構造で、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様条件での溶液キャストにより2−クロロ−9,10−ジプロピルペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
該トランジスタのシリコン基板をゲートとして、ソース・ドレイン電極間のドレイン電流/ゲート電圧曲線を測定した。その際には、ドレイン電圧を−10Vから−40Vまで、10Vステップで変化させた。その結果、ゲート電圧の減少に伴ってドレイン電流の増加が観測された。基板温度170℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.076cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は1×104 であった。
〔実施例7:2−クロロ−9,10−ジヘキシルペンタセンの合成〕
〔中間体の合成方法について〕
6−クロロ−1,4−ジヒドロキシアントラセン245mgと4,5−ジヘキシルフタルアルデヒド302mgをピリジン2mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。エタノールを加えて生成した黄緑色の沈殿を濾取し、アセトンで洗浄した後、真空乾燥して2−クロロ−9,10−ジヘキシルペンタセンキノン363mgを得た。この反応における収率は71%であった。
得られた2−クロロ−9,10−ジヘキシルペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.92(t,6H)、1.37(m,8H)、1.47(m,4H)、1.72(m,4H)、2.83(t,4H)、7.63(dd,1H)、7.87(s,2H)、8.06(d,1H)、8.09(s,1H)、8.83(s,3H)、8.91(s,1H)
〔ポリアセン化合物の製造方法について〕
次に、上記の反応により得られた2−クロロ−9,10−ジヘキシルペンタセンキノン256mgとアルミニウムトリイソプロポキシド1.02gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、不溶成分を濾取した。アセトンで洗浄した後、真空乾燥して青藍色の2−クロロ−9,10−ジヘキシルペンタセン20mgを得た。この反応における収率は8%であった。
得られた2−クロロ−9,10−ジヘキシルペンタセンについて、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は100℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.91(t,6H)、1.37(m,8H)、1.50(m,4H)、1.77(m,4H)、2.80(t,4H)、6.98(d,1H)、7.68(s,2H)、7.68(d,1H)、7.71(d,1H)、8.33(s,1H)、8.42(s,1H)、8.44(s,2H)、8.75(s,2H)
〔有機半導体薄膜の製造方法について〕
前述のようにして合成した2−クロロ−9,10−ジヘキシルペンタセンを窒素雰囲気中でトルエンに100℃で加熱溶解し、青紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度100℃)にキャストして、膜厚約200nmの2−クロロ−9,10−ジヘキシルペンタセン薄膜を形成した。
〔有機半導体素子について〕
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmの素子構造で、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様条件での溶液キャストにより2−クロロ−9,10−ジヘキシルペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
該トランジスタのシリコン基板をゲートとして、ソース・ドレイン電極間のドレイン電流/ゲート電圧曲線を測定した。その際には、ドレイン電圧を−10Vから−40Vまで、10Vステップで変化させた。その結果、ゲート電圧の減少に伴ってドレイン電流の増加が観測された。基板温度100℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.064cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は6×104 であった。
〔実施例8:2−プロピルペンタセンの合成〕
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン1.09gと4−プロピルフタルアルデヒド0.76gをピリジン20mlに溶解し、5時間還流させた。生成した黒色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2−プロピルペンタセンキノン0.70gを得た。この反応における収率は46%であった。
得られた2−プロピルペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果を以下に示す。
1H−NMR(ppm):δ1.01(t,3H)、1.78(sex,2H)、2.81(t,2H)、7.53(d,1H)、7.67(d,1H)、7.68(d,1H)、7.85(s,1H)、8.01(d,1H)、8.08(d,1H)、8.09(d,1H)、8.83(s,1H)、8.87(s,1H)、8.90(s,2H)
〔ポリアセン化合物の製造方法について〕
次に、上記の反応により得られた2−プロピルペンタセンキノン0.17gとアルミニウムトリイソプロポキシド1.03gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。そして、水、エタノール、アセトン、クロロホルムで洗浄した後に真空乾燥して、2−プロピルペンタセン83.8mgを得た。この反応における収率は52%であった。
得られた2−プロピルペンタセンについて、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は100℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.99(t,3H)、1.74(sex,2H)、2.68(t,2H)、7.09(d,1H)、7.19〜7.20(m,2H)、7.57(s,1H)、7.74−7.76(m,3H)、8.42〜8.47(m,4H)、8.76(s,2H)
〔有機半導体薄膜の製造方法について〕
前述のようにして合成した2−プロピルペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに110℃で加熱溶解し、青紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度は135℃)にキャストして、膜厚約200nmの2−プロピルペンタセン薄膜を形成した。
〔有機半導体素子について〕
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmで、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様の溶液キャストにより2−プロピルペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
該トランジスタのシリコン基板をゲートとして、ソース・ドレイン電極間のドレイン電流/ゲート電圧曲線を測定した。その際には、ドレイン電圧を−10Vから−40Vまで、10Vステップで変化させた。その結果、ゲート電圧の減少に伴ってドレイン電流の増加が観測された。
基板温度135℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.07cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は6×106 であった。
〔実施例9:2−ドデシルペンタセンの合成〕
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン1.49gと4−ドデシルフタルアルデヒド2.32gをピリジン20mlに溶解し、10時間還流させた。生成した黒色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2−ドデシルペンタセンキノン1.78gを得た。この反応における収率は64%であった。
得られた2−ドデシルペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果を以下に示す。
1H−NMR(ppm):δ0.86(t,3H)、1.25〜1.36(m,18H)、1.74(quin,2H)、2.83(t,2H)、7.54(d,1H)、7.69(d,1H)、7.70(d,1H)、7.87(s,1H)、8.03(d,1H)、8.10(d,1H)、8.11(d,1H)、8.86(s,1H)、8.89(s,1H)、8.93(s,2H)
〔ポリアセン化合物の製造方法について〕
次に、上記の反応により得られた2−ドデシルペンタセンキノン0.96gとアルミニウムトリイソプロポキシド4.11gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、5時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。そして、水、エタノール、アセトン、クロロホルムで洗浄した後に真空乾燥して、2−ドデシルペンタセン0.57gを得た。この反応における収率は64%であった。
得られた2−ドデシルペンタセンについて、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は100℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.86(t,3H)、1.14〜1.26(m,18H)、1.77(quin,2H)、2.74(t,2H)、7.13〜7.20(m,3H)、7.61(s,1H)、7.76〜7.78(m,3H)、8.44〜8.47(m,4H)、8.77(s,2H)
〔実施例10:2,3−ジブチルペンタセンの合成〕
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン2.35gと4,5−ジブチルフタルアルデヒド2.76gをピリジン22mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。エタノールを加えて生成した黄色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2,3−ジブチルペンタセンキノン2.63gを得た。この反応における収率は56%であった。
得られた2,3−ジブチルペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ1.01(t,6H)、1.51(m,4H)、1.71(m,4H)、2.84(t,4H)、7.70(dd,2H)、7.87(s,2H)、8.12(dd,2H)、8.84(s,2H)、8.93(s,2H)
〔ポリアセン化合物の製造方法について〕
次に、上記の反応により得られた2,3−ジブチルペンタセンキノン0.42gとアルミニウムトリイソプロポキシド2.04gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、5時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。アセトンで洗浄した後に真空乾燥して、2,3−ジブチルペンタセン107mgを得た。この反応における収率は27%であった。
得られた2,3−ジブチルペンタセンについて、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は100℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.99(t,6H)、1.48(m,4H)、1.73(m,4H)、2.78(t,4H)、7.17(dd,2H)、7.65(s,2H)、7.78(dd,2H)、8.44(s,2H)、8.48(s,2H)、8.78(s,2H)
〔有機半導体薄膜の製造方法について〕
前述のようにして合成した2,3−ジブチルペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに100℃で加熱溶解し、赤紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度は105℃)にキャストして、膜厚約200nmの2,3−ジブチルペンタセン薄膜を形成した。
〔有機半導体素子について〕
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmで、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様の溶液キャストにより2,3−ジブチルペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
該トランジスタのシリコン基板をゲートとして、ソース・ドレイン電極間のドレイン電流/ゲート電圧曲線を測定した。その際には、ドレイン電圧を−10Vから−40Vまで、10Vステップで変化させた。その結果、ゲート電圧の減少に伴ってドレイン電流の増加が観測された。
基板温度105℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.05cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は2×106 であった。
〔実施例11:2−ブトキシペンタセンの合成〕
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン0.42gと4−ブトキシフタルアルデヒド0.41gをピリジン4mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。エタノールを加えて生成した淡緑色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2−ブトキシペンタセンキノン0.36gを得た。この反応における収率は47%であった。
得られた2−ブトキシペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ1.03(t,3H)、1.58(m,2H)、1.88(m,2H)、4.15(t,2H)、7.31(d,1H)、7.34(s,1H)、7.69(dd,2H)、7.99(d,1H)、8.11(dd,2H)、8.76(s,1H)、8.84(s,1H)、8.91(s,2H)
〔ポリアセン化合物の製造方法について〕
次に、上記の反応により得られた2−ブトキシペンタセンキノン0.19gとアルミニウムトリイソプロポキシド1.02gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、3時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。アセトンで洗浄した後に真空乾燥して、2−ブトキシペンタセン0.11gを得た。この反応における収率は64%であった。
得られた2−ブトキシペンタセンについて、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は100℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.97(t,3H)、1.52(m,2H)、1.80(m,2H)、4.07(t,2H)、7.02(d,1H)、7.04(s,1H)、7.18(m,2H)、7.71(d,1H)、7.79(m,2H)、8.34(s,1H)、8.42(s,1H)、8.47(s,2H)、8.72(s,1H)、8.75(s,1H)
〔有機半導体薄膜の製造方法について〕
前述のようにして合成した2−ブトキシペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに135℃で加熱溶解し、赤紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度は135℃)にキャストして、膜厚約200nmの2−ブトキシペンタセン薄膜を形成した。
〔有機半導体素子について〕
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmで、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様の溶液キャストにより2−ブトキシペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
該トランジスタのシリコン基板をゲートとして、ソース・ドレイン電極間のドレイン電流/ゲート電圧曲線を測定した。その際には、ドレイン電圧を−10Vから−40Vまで、10Vステップで変化させた。その結果、ゲート電圧の減少に伴ってドレイン電流の増加が観測された。
基板温度135℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.06cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は3×105 であった。
〔実施例12:2−イソペンチロキシペンタセンの合成〕
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン0.50gと4−イソペンチロキシフタルアルデヒド0.53gをピリジン4.8mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。エタノールを加えて生成した淡緑色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2−イソペンチロキシペンタセンキノン0.17gを得た。この反応における収率は18%であった。
得られた2−イソペンチロキシペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ1.02(d,6H)、1.79(dt,2H)、1.92(m,1H)、4.18(t,2H)、7.33(d,1H)、7.36(s,1H)、7.70(dd,2H)、7.99(d,1H)、8.11(dd,2H)、8.78(s,1H)、8.85(s,1H)、8.92(s,2H)
〔ポリアセン化合物の製造方法について〕
次に、上記の反応により得られた2−イソペンチロキシペンタセンキノン0.31gとアルミニウムトリイソプロポキシド1.61gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。アセトンで洗浄した後に真空乾燥して、2−イソペンチロキシペンタセン0.15gを得た。この反応における収率は51%であった。
得られた2−イソペンチロキシペンタセンについて、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は100℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.96(d,6H)、1.73(dt,2H)、1.86(m,1H)、4.12(t,2H)、7.02(d,1H)、7.06(s,1H)、7.19(m,2H)、7.71(d,1H)、7.78(m,2H)、8.34(s,1H)、8.42(s,1H)、8.47(s,2H)、8.72(s,1H)、8.75(s,1H)
〔有機半導体薄膜の製造方法について〕
前述のようにして合成した2−イソペンチロキシペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに110℃で加熱溶解し、赤紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度は115℃)にキャストして、膜厚約200nmの2−イソペンチロキシペンタセン薄膜を形成した。
〔有機半導体素子について〕
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmで、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様の溶液キャストにより2−イソペンチロキシペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
該トランジスタのシリコン基板をゲートとして、ソース・ドレイン電極間のドレイン電流/ゲート電圧曲線を測定した。その際には、ドレイン電圧を−10Vから−40Vまで、10Vステップで変化させた。その結果、ゲート電圧の減少に伴ってドレイン電流の増加が観測された。
基板温度115℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.031cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は9×103 であった。
〔実施例13:2−ヘキシロキシペンタセンの合成〕
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン0.42gと4−ヘキシロキシフタルアルデヒド0.47gをピリジン4mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。エタノールを加えて生成した深緑色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2−ヘキシロキシペンタセンキノン0.49gを得た。この反応における収率は61%であった。
得られた2−ヘキシロキシペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.94(t,3H)、1.39(m,4H)、1.55(m,2H)、1.88(m,2H)、4.13(t,2H)、7.31(d,1H)、7.33(s,1H)、7.68(dd,2H)、7.98(d,1H)、8.10(dd,2H)、8.75(s,1H)、8.83(s,1H)、8.90(s,2H)
〔ポリアセン化合物の製造方法について〕
次に、上記の反応により得られた2−ヘキシロキシペンタセンキノン0.41gとアルミニウムトリイソプロポキシド2.04gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。アセトンで洗浄した後に真空乾燥して、2−ヘキシロキシペンタセン0.27gを得た。この反応における収率は72%であった。
得られた2−ヘキシロキシペンタセンについて、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は100℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.90(t,3H)、1.34(m,4H)、1.50(m,2H)、1.83(m,2H)、4.08(t,2H)、7.03(d,1H)、7.06(s,1H)、7.17(m,2H)、7.71(d,1H)、7.78(m,2H)、8.35(s,1H)、8.42(s,1H)、8.47(s,2H)、8.72(s,1H)、8.75(s,1H)
〔有機半導体薄膜の製造方法について〕
前述のようにして合成した2−ヘキシロキシペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに110℃で加熱溶解し、赤紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度は135℃)にキャストして、膜厚約200nmの2−ヘキシロキシペンタセン薄膜を形成した。
〔有機半導体素子について〕
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmで、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様の溶液キャストにより2−ヘキシロキシペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
該トランジスタのシリコン基板をゲートとして、ソース・ドレイン電極間のドレイン電流/ゲート電圧曲線を測定した。その際には、ドレイン電圧を−10Vから−40Vまで、10Vステップで変化させた。その結果、ゲート電圧の減少に伴ってドレイン電流の増加が観測された。
基板温度135℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.006cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は6×105 であった。
〔実施例14:2−オクチロキシペンタセンの合成〕
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン0.42gと4−オクチロキシフタルアルデヒド0.52gをピリジン4mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。エタノールを加えて生成した緑色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2−オクチロキシペンタセンキノン0.44gを得た。この反応における収率は50%であった。
得られた2−オクチロキシペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.90(t,3H)、1.37(m,8H)、1.55(m,2H)、1.89(m,2H)、4.15(t,2H)、7.33(d,1H)、7.35(s,1H)、7.70(dd,2H)、8.00(d,1H)、8.12(dd,2H)、8.78(s,1H)、8.85(s,1H)、8.92(s,2H)
〔ポリアセン化合物の製造方法について〕
次に、上記の反応により得られた2−オクチロキシペンタセンキノン0.22gとアルミニウムトリイソプロポキシド1.02gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。アセトンで洗浄した後に真空乾燥して、2−オクチロキシペンタセン0.14gを得た。この反応における収率は70%であった。
得られた2−オクチロキシペンタセンについて、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は100℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.88(t,3H)、1.27(m,8H)、1.50(m,2H)、1.85(m,2H)、4.08(t,2H)、7.03(d,1H)、7.06(s,1H)、7.20(m,2H)、7.73(d,1H)、7.80(m,2H)、8.36(s,1H)、8.43(s,1H)、8.48(s,2H)、8.73(s,1H)、8.75(s,1H)
〔有機半導体薄膜の製造方法について〕
前述のようにして合成した2−オクチロキシペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに110℃で加熱溶解し、赤紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度は115℃)にキャストして、膜厚約200nmの2−オクチロキシペンタセン薄膜を形成した。
〔有機半導体素子について〕
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmで、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様の溶液キャストにより2−オクチロキシペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
該トランジスタのシリコン基板をゲートとして、ソース・ドレイン電極間のドレイン電流/ゲート電圧曲線を測定した。その際には、ドレイン電圧を−10Vから−40Vまで、10Vステップで変化させた。その結果、ゲート電圧の減少に伴ってドレイン電流の増加が観測された。
基板温度115℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.035cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は7×100 であった。
〔実施例15:2,3−ジブトキシペンタセンの合成〕
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン0.42gと4,5−ジブトキシフタルアルデヒド0.56gをピリジン4mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。エタノールを加えて生成した黄緑色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2,3−ジブトキシペンタセンキノン0.59gを得た。この反応における収率は65%であった。
得られた2,3−ジブトキシペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ1.04(t,6H)、1.58(m,4H)、1.93(m,4H)、4.20(t,4H)、7.33(s,2H)、7.69(dd,2H)、8.11(dd,2H)、8.72(s,2H)、8.91(s,2H)
〔ポリアセン化合物の製造方法について〕
次に、上記の反応により得られた2,3−ジブトキシペンタセンキノン0.23gとアルミニウムトリイソプロポキシド1.02gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。アセトンで洗浄した後に真空乾燥して、2,3−ジブトキシペンタセン0.16gを得た。この反応における収率は76%であった。
得られた2,3−ジブトキシペンタセンについて、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は100℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ1.04(t,6H)、1.59(m,4H)、1.93(m,4H)、4.17(t,4H)、7.08(s,2H)、7.29(dd,2H)、7.91(dd,2H)、8.38(s,2H)、8.62(s,2H)、8.82(s,2H)
〔有機半導体薄膜の製造方法について〕
前述のようにして合成した2,3−ジブトキシペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに110℃で加熱溶解し、赤紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度は100℃)にキャストして、膜厚約200nmの2,3−ジブトキシペンタセン薄膜を形成した。
〔有機半導体素子について〕
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmで、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様の溶液キャストにより2,3−ジブトキシペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
該トランジスタのシリコン基板をゲートとして、ソース・ドレイン電極間のドレイン電流/ゲート電圧曲線を測定した。その際には、ドレイン電圧を−10Vから−40Vまで、10Vステップで変化させた。その結果、ゲート電圧の減少に伴ってドレイン電流の増加が観測された。
基板温度100℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.050cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は1.5×104 であった。
〔実施例16:2−ブチルチオペンタセンの合成〕
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン3.13gと4−ブチルチオフタルアルデヒド3.31gをピリジン30mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。エタノールを加えて生成した淡緑色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2−ブチルチオペンタセンキノン3.77gを得た。この反応における収率は64%であった。
得られた2−ブチルチオペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ1.00(t,3H)、1.56(m,2H)、1.77(m,2H)、3.10(t,2H)、7.51(d,1H)、7.69(dd,2H)、7.80(s,1H)、7.94(d,1H)、8.09(dd,2H)、8.74(s,1H)、8.81(s,1H)、8.89(s,2H)
〔ポリアセン化合物の製造方法について〕
次に、上記の反応により得られた2−ブチルチオペンタセンキノン0.40gとアルミニウムトリイソプロポキシド2.04gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。アセトンで洗浄した後に真空乾燥して、2−ブチルチオペンタセン0.21gを得た。この反応における収率は56%であった。
得られた2−ブチルチオペンタセンについて、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は100℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.91(t,3H)、1.47(m,2H)、1.71(m,2H)、3.01(t,2H)、7.16(d,1H)、7.20(dd,2H)、7.70(s,1H)、7.70(d,1H)、7.79(dd,2H)、8.35(s,1H)、8.41(s,1H)、8.47(s,2H)、8.74(s,2H)
〔有機半導体薄膜の製造方法について〕
前述のようにして合成した2−ブチルチオペンタセンを窒素雰囲気中で1,2,4−トリクロロベンゼンに135℃で加熱溶解し、赤紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度は135℃)にキャストして、膜厚約200nmの2−ブチルチオペンタセン薄膜を形成した。
〔有機半導体素子について〕
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmで、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様の溶液キャストにより2−ブチルチオペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
該トランジスタのシリコン基板をゲートとして、ソース・ドレイン電極間のドレイン電流/ゲート電圧曲線を測定した。その際には、ドレイン電圧を−10Vから−40Vまで、10Vステップで変化させた。その結果、ゲート電圧の減少に伴ってドレイン電流の増加が観測された。
基板温度135℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.0057cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は5×104 であった。
〔実施例17:2−ノナフルオロヘキシロキシペンタセンの合成〕
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン0.67gと4−ノナフルオロヘキシロキシフタルアルデヒド1.30gをピリジン6.5mlに溶解し、窒素雰囲気下で6時間還流させた。エタノールを加えて生成した淡緑色の沈殿を濾取し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して2−ノナフルオロヘキシロキシペンタセンキノン0.97gを得た。この反応における収率は54%であった。
得られた2−ノナフルオロヘキシロキシペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ2.75(m,2H)、4.47(t,2H)、7.34(d,2H)、7.37(s,1H)、7.70(dd,2H)、8.03(d,1H)、8.12(dd,2H)、8.80(s,1H)、8.87(s,1H)、8.92(s,1H)
〔ポリアセン化合物の製造方法について〕
次に、上記の反応により得られた2−ノナフルオロヘキシロキシペンタセンキノン0.29gとアルミニウムトリイソプロポキシド1.02gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、水溶液に不溶の生成物を濾取した。アセトンで洗浄した後に真空乾燥して、2−ノナフルオロヘキシロキシペンタセン0.17gを得た。この反応における収率は64%であった。
得られた2−ノナフルオロヘキシロキシペンタセンについて、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は100℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ2.64(m,2H)、4.36(t,2H)、7.00(d,1H)、7.02(s,1H)、7.20(m,2H)、7.72(d,1H)、7.79(m,2H)、8.35(s,1H)、8.43(s,1H)、8.48(s,2H)、8.72(s,1H)、8.73(s,1H)
〔実施例18:2,3−ジプロピルペンタセンの合成〕
〔中間体の合成方法について〕
1,4−ジヒドロキシアントラセン1.26gと4,5−ジプロピルフタルアルデヒド1.31gをピリジン14mlに溶解し、窒素雰囲気下で18時間還流させた。エタノールを加えて生成した黄緑色の沈殿を濾取し、アセトンで洗浄した後、真空乾燥して2,3−ジプロピルペンタセンキノン1.80gを得た。この反応における収率は77%であった。
得られた2,3−ジプロピルペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ1.06(t,6H)、1.70〜1.79(m,4H)、2.79(t,4H)、7.68(dd,2H)、7.85(s,2H)、8.10(dd,2H)、8.82(s,2H)、8.91(s,2H)
〔ポリアセン化合物の製造方法について〕
次に、上記の反応により得られた2,3−ジプロピルペンタセンキノン1.6gとアルミニウムトリイソプロポキシド8.2gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、6時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、不溶成分を濾取した。アセトン及びクロロホルムで洗浄した後、真空乾燥して青藍色の2,3−ジプロピルペンタセン500mgを得た。この反応における収率は34%であった。
得られた2,3−ジプロピルペンタセンについて、重水素化1,2−ジクロロベンゼンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は100℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ1.07(t,6H)、1.78(m,4H)、2.76(t,4H)、7.22(m,2H)、7.65(s,2H)、7.79(dd,2H)、8.45(s,2H)、8.49(s,2H)、8.79(s,2H)
〔有機半導体薄膜の製造方法について〕
前述のようにして合成した2,3−ジプロピルペンタセンを窒素雰囲気中で1, 2, 4−トリクロロベンゼンに120℃で加熱溶解し、青紫色の溶液(濃度は0.1質量%)を得た。該溶液を窒素雰囲気中で加熱したシリコン基板上(基板温度120℃)にキャストして、膜厚約200nmの2,3−ジプロピルペンタセン薄膜を形成した。
〔有機半導体素子について〕
n型ドーパントでヘビードープされたシリコン基板(厚さ200nmの熱酸化膜を表面に備えた基板)の表面に、ソース・ドレイン電極として金電極のパターンを形成した。この金電極のパターンは、短冊状のパターンが並行に形成されているものであり、パターン間(チャネル長)は20μmの素子構造で、パターン長さ(チャネル幅)は500μmである。
このような電極パターンが形成されたシリコン基板上に、上記と同様条件での溶液キャストにより2,3−ジプロピルペンタセン薄膜を形成し、トランジスタ構造とした。
該トランジスタのシリコン基板をゲートとして、ソース・ドレイン電極間のドレイン電流/ゲート電圧曲線を測定した。その際には、ドレイン電圧を−10Vから−40Vまで、10Vステップで変化させた。その結果、ゲート電圧の減少に伴ってドレイン電流の増加が観測された。
基板温度120℃で作製した薄膜トランジスタの電流飽和領域のゲート電圧依存性から求めた移動度は、0.82cm2 /V・sであり、オン/オフ電流比は2×108 であった。
〔実施例19:2,3−ジフルオロ−9−ヘキシルペンタセンの合成〕
〔中間体の合成方法について〕
6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロキシアントラセン0.66gと4−ヘキシルフタルアルデヒド0.75gをエタノール50mlで溶解して得た混合溶液を0℃に冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液0.5mlを添加して2時間反応させた。生成した黄緑色の沈殿を濾取し、エタノールとアセトンで洗浄した後、真空乾燥して2,3−ジフルオロ−9−ヘキシルペンタセンキノン1.1gを得た。この反応における収率は85%であった。
得られた2,3−ジフルオロ−9−ヘキシルペンタセンキノンについて、重水素化クロロホルムを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.92(t,3H)、1.32 1.42(m,6H)、1.74(quin,2H)、2.85(t,2H)、7.60(d,1H)、7.84(m,2H)、7.90(s,1H)、8.04(d,1H), 8.86( s, 2H ), 8.90( s, 2H )
〔ポリアセン化合物の製造方法について〕
次に、上記の反応により得られた2,3−ジフルオロ−9−ヘキシルペンタセンキノン0.32gとアルミニウムトリイソプロポキシド3.0gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、1時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、不溶成分を濾取した。アセトン、クロロホルム及びテトラクロロエタンで洗浄した後、真空乾燥して青藍色の2,3−ジフルオロ−9−ヘキシルペンタセン21mgを得た。この反応における収率は7%であった。
得られた2,3−ジフルオロ−9−ヘキシルペンタセンについて、質量分析(電子イオン化法)を行った。結果は以下の通りである。
EI−MS:m/z=398
また、重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタンを溶媒として用いて核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は130℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ0.98(t,3H)、1.40〜1.52(m,6H)、1.84(quin,2H)、2.92(t,2H)、7.10(d,1H)、7.39(m,2H)、7.63(s,1H)、7.90(d,1H)、8.59(s,2H)、8.63(s,2H)、8.91(s,2H)
〔実施例20:2,3−ジフルオロ−9, 10−メチレンジオキシペンタセンの合成〕 〔中間体の合成方法について〕
6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロキシアントラセン0.14gと4,5−メチレンジオキシフタルアルデヒド0.2gをエタノール20mlで溶解して得た混合溶液を0℃に冷却し、5%水酸化ナトリウム水溶液を0.3ml添加して2時間反応させた。生成した黄緑色の沈殿を濾取し、エタノールとアセトンで洗浄した後、真空乾燥して2,3−ジフルオロ−9, 10−メチレンジオキシペンタセンキノン0.23gを得た。この反応における収率は75%であった。
得られた2,3−ジフルオロ−9, 10−メチレンジオキシペンタセンキノンについて、重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタンを溶媒として用いて、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ6.16(s,2H)、7.37(s,2H)、7.85(m,2H)、8.67(s,2H)、8.80(s,2H)
〔ポリアセン化合物の製造方法について〕
次に、上記の反応により得られた2,3−ジフルオロ−9,10−メチレンジオキシペンタセンキノン0.22gとアルミニウムトリイソプロポキシド2.3gとの混合物を、窒素雰囲気下においてアルミニウムトリイソプロポキシドが溶融状態となるように加熱し、2時間加熱反応させた。冷却後、混合物を希塩酸で処理し、不溶成分を濾取した。アセトン、クロロホルム、及びテトラクロロエタンで洗浄した後、真空乾燥して青藍色の2,3−ジフルオロ−9,10−メチレンジオキシペンタセン71mgを得た。この反応における収率は35%であった。
得られた2,3−ジフルオロ−9,10−メチレンジオキシペンタセンについて質量分析(電子イオン化法) を行った。結果は以下の通りである。
EI−MS:m/z=358
また、重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタンを溶媒として用いて核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った(測定温度は130℃)。結果は以下の通りである。
1H−NMR(ppm):δ6.04(s,2H)、7.17(s,2H)、7.62(m,2H)、8.41(s,2H)、8.56(s,2H)、8.79(s,2H)
〔ポリアセン化合物の溶解性について〕
実施例1〜20において合成した各ペンタセン誘導体の溶媒に対する溶解性を調べた。室温においてペンタセン誘導体を1,2,4−トリクロロベンゼンに加えて(ペンタセン誘導体の添加量は、1,2,4−トリクロロベンゼンの0.1質量%である)、その溶解性を評価したところ、2−ヘキシルペンタセンなど12種のペンタセン誘導体は溶解性が高いため、室温でも均一溶液となった(図1を参照)。
これに対して、他の8種のペンタセン誘導体は、前記12種のペンタセン誘導体と比べて溶解性が若干低いため均一溶液が得られなかった。これら8種のペンタセン誘導体の溶解性は、溶解残渣の量から、図1に示すような序列であった。
この結果から、官能基の種類についてはプロピル基よりもヘキシル基の方が溶解性を向上させる効果が高いことが分かった。また、ポリアセン骨格の長軸方向に非対称である構造の化合物の方が、対称構造の化合物と比較して溶解性が高いことが明らかとなった。さらに、ハロゲン基は溶解性を低下させる作用があることが示唆された。
本発明は、エレクトロニクス,フォトニクス,バイオエレクトロニクス等において好適である。
実施例1〜20のペンタセン誘導体の1,2,4−トリクロロベンゼンに対する溶解性を示す図である。 実施例1のペンタセン誘導体の重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタン溶液における 1H−NMRスペクトルを示す図である。

Claims (17)

  1. 下記の化学式(I)で表されるような構造を有することを特徴とするポリアセン化合物。
    Figure 0005291303
    ただし、化学式(I)中のR1 ,R2 の少なくとも一方は、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基、アルコキシ基、又はアルキルチオ基であり、他方は水素原子である。このR1 ,R2 が有する脂肪族炭化水素基の炭素数は、3以上9以下である。また、化学式(I)中のR3 ,R4 は、ハロゲン基又は水素原子である。さらに、nは1以上5以下の整数である。
  2. 3 ,R4 の少なくとも一方はハロゲン基であり、他方は水素原子であることを特徴とする請求項1に記載のポリアセン化合物。
  3. 1 ,R2 の一方は、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基、アルコキシ基、又はアルキルチオ基であり、他方は水素原子であることを特徴とする請求項1に記載のポリアセン化合物。
  4. 3 ,R4 が水素原子であることを特徴とする請求項3に記載のポリアセン化合物。
  5. 1 ,R2 が有する脂肪族炭化水素基の炭素数が3以上6以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリアセン化合物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリアセン化合物を含有することを特徴とする溶液。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリアセン化合物を含有することを特徴とするインク。
  8. 下記の化学式(I)で表されるような構造を有するポリアセン化合物で構成され、結晶性を有することを特徴とする有機半導体薄膜。
    Figure 0005291303
    ただし、化学式(I)中のR1 ,R2 の少なくとも一方は、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基、アルコキシ基、又はアルキルチオ基であり、他方は水素原子である。このR1 ,R2 が有する脂肪族炭化水素基の炭素数は、2以上9以下である。また、化学式(I)中のR3 ,R4 は、ハロゲン基又は水素原子である。さらに、nは1以上5以下の整数である。
  9. 3 ,R4 の少なくとも一方はハロゲン基であり、他方は水素原子であることを特徴とする請求項8に記載の有機半導体薄膜。
  10. 1 ,R2 の一方は、アルキル基,アルケニル基,アルキニル基、アルコキシ基、又はアルキルチオ基であり、他方は水素原子であることを特徴とする請求項8に記載の有機半導体薄膜。
  11. 3 ,R4 が水素原子であることを特徴とする請求項10に記載の有機半導体薄膜。
  12. 1 ,R2 が有する脂肪族炭化水素基の炭素数が2以上6以下であることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の有機半導体薄膜。
  13. 基板上に形成された結晶性の有機半導体薄膜であって、前記ポリアセン化合物の分子の長軸が前記基板の表面に対して垂直方向に配向していることを特徴とする請求項8〜12のいずれか一項に記載の有機半導体薄膜。
  14. 請求項8〜13のいずれか一項に記載の有機半導体薄膜で少なくとも一部を構成したことを特徴とする有機半導体素子。
  15. ゲート電極,誘電体層,ソース電極,ドレイン電極,及び半導体層を備えるトランジスタにおいて、前記半導体層を請求項8〜13のいずれか一項に記載の有機半導体薄膜で構成したことを特徴とするトランジスタ。
  16. 多数の画素からなる画素面を備えるディスプレイ装置において、前記各画素は、請求項14に記載の有機半導体素子又は請求項15に記載のトランジスタを備えることを特徴とするディスプレイ装置。
  17. 前記有機半導体素子又は前記トランジスタが備える電極,誘電体層,及び半導体層を、請求項6に記載の溶液又は請求項7に記載のインクの印刷又は塗布によって形成したことを特徴とする請求項16に記載のディスプレイ装置。
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