JP5276491B2 - 焼結体の表面緻密化方法 - Google Patents

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本発明は、金属粉末の成形体を焼結してなる焼結体の表面を緻密化する方法に関するものである。特に、種々の形状の焼結体に対して、生産性よく表面の緻密化を行える焼結体の表面緻密化方法に関するものである。
従来、金属粉末の成形体を焼結してなる焼結体が、自動車用部品、一般機械の部品などに利用されている。このような部品のうち、スプロケットや各種の歯車のように、使用時、チェーンや別の歯車といった別の部品と接触して接触応力(ヘルツ応力)を受ける部品では、この接触箇所及びその近傍の疲労強さを高めるために、接触箇所(歯車の場合、代表的には歯面や歯底面)の表面側領域の気孔を低減して緻密化することが行われている。この緻密化には、特許文献1に記載されるように転造やサイジング、その他、鍛造がある。
特開2004-010906号公報
しかし、上記転造は、ダイと共に焼結体を回転させることで緻密化を行うため、適用可能な焼結体の形状が、ホイールギアや円筒状体といった回転可能な形状に限定される。例えば、欠歯歯車や楕円歯車などの歯車やラックなどのように、外周輪郭が回転対称でない異形の素材には、転造を行えない。
一方、鍛造は、焼結体の全面を押圧するため、加圧する荷重が大きいことから金型の寿命が短く、生産性がよくない。また、大掛かりな設備が必要であり、この点からも生産性がよくない。
他方、サイジングは、従来、焼結体の寸法矯正に利用されている手法である。そのため、この設備を転用する、或いは部分的に変更することで緻密化を容易に行え、生産性に優れる。また、サイジングは、外周輪郭が回転対称であるか否かに関わらず、種々の形状の焼結体に適用することができる。しかし、サイジングによる緻密化にあたり、疲労強さを十分に改善するために必要とされる緻密化層を得るための条件が従来検討されていない。特許文献1には、しごき代を0.1mm以上とすることで空孔をつぶすことが記載されているものの、具体的なしごき代と緻密度合いについて開示されていない。
そこで、本発明の目的は、種々の形状の焼結体に対して、生産性よく緻密化することができる焼結体の表面緻密化方法を提供することにある。
本発明は、特定の条件のサイジングにより緻密化を行うことで上記目的を達成する。本発明は、金属粉末の成形体を焼結した焼結体の周面の表面側領域を緻密にする焼結体の表面緻密化方法に係るものであり、サイジングによる緻密化工程を具える。具体的には、パンチで上記焼結体を押してサイジングダイを通過させるときに、このサイジングダイの突起部により当該焼結体の周面が圧縮されることで、この周面の表面側領域を緻密化する工程を具える。そして、上記突起部のアプローチ角θを10°以上20°以下、上記焼結体の圧縮前後の変形量を0.05mm以上0.15mm以下とする。但し、上記変化量(以下、サイジング代と呼ぶ)は、上記サイジングダイの中心線Cから突起部までの最小距離をd1、上記圧縮前の焼結体を上記サイジングダイに配置した状態において、上記中心線Cから、当該焼結体における上記突起部と接触する箇所までの最大距離をDとするとき、この最大距離Dと上記サイジングダイの最小距離d1との差:D-d1とする。
本発明方法によれば、サイジングを採用することで、種々の形状の焼結体に対して、その周面の表面側領域の気孔を低減して、生産性よく緻密化することができる。また、本発明方法によれば、サイジングを採用することで、転造や鍛造に比較して、焼結体の周面における所望の箇所を精度よく、均一的に緻密化することができる。かつ、本発明方法では、サイジングを上述の特定の条件で行うことで、疲労強さを十分に改善するために必要とされる緻密化層、具体的には、気孔率が6%未満で、厚さが300μm〜500μm程度の緻密化層を得ることができる。このような緻密化層を形成できることで、本発明方法は、疲労強さに優れる焼結体部品を提供することができる。以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明方法においてサイジングに利用するダイやパンチは、焼結体の寸法矯正などに利用されているサイジング装置を転用することができる。但し、サイジングダイの突起部のアプローチ角θは、上記特定の範囲を満たすものとする。
本発明方法では、アプローチ角θとサイジング代との双方が上記特定の範囲を満たすことが重要である。アプローチ角θが10°未満かつサイジング代が0.05mm未満の場合、サイジング代が0.05mm以上であるがアプローチ角θが10°未満の場合、及びアプローチ角θが10°以上であるがサイジング代が0.05mm未満の場合では、緻密化前の素材と比較して気孔の低減度合いが少なく、気孔率が十分に低く、かつ上述の厚さを満たす緻密化層が形成できないため、焼結体の疲労強さの十分な向上が望めない。一方、アプローチ角θやサイジング代が大きくなるにつれて、気孔の低減度合いが大きくなるが、アプローチ角θが20°超であると、1回の圧縮量が多過ぎて金型の寿命が短くなる。また、サイジング代が0.15mmを超えると、大きいバリが生じて材料損失が大きくなると共に、バリが素材(ワーク)から外れて金型内に脱落し、このバリが脱落した状態で次回以降の緻密化を実施すると、素材と金型との間にバリが噛み込むことで、素材の外観不良や金型の損傷を招く。従って、アプローチ角θが20°超、サイジング代が0.15mm超のいずれの場合においても生産性の低下を招く。本発明方法では、アプローチ角θ及びサイジング代を特定の範囲とすることで、焼結体の周面の表面側領域の気孔を十分に低減することができる。かつ、本発明方法では、特に、アプローチ角θを特定の範囲とすることで、金型に過度の応力が付与されることを低減して金型の長寿命化を図ることができ、特に、サイジング代を特定の範囲とすることで、300μm以上500μm程度の厚さの緻密化層を形成することができる。好ましくは、アプローチ角θ:15°以上20°以下、サイジング代:0.05mm以上0.1mm以下にする。
更に、上記パンチが上記サイジングダイの突起部を通過するときに、このパンチと突起部との間の隙間(クリアランス)が0μm超100μm以下となるように当該パンチを配置することが好ましい。上記隙間は、上記パンチを上記サイジングダイに配置した状態において、上記サイジングダイの中心線Cから、当該パンチにおける上記突起部を通過する箇所までの最大距離をd2とするとき、上記サイジングダイの最小距離d1と当該最大距離d2との差:d1-d2とする。
上記隙間を100μm超と広くすると、緻密化前の素材と比較して気孔の低減度合いが少なく、得られた焼結体の周面の表面側領域における気孔率が高くなり易いため、上述のように疲労強さの低下を招く。この理由は、焼結体が十分にパンチに支持されないことで、素材の周面が突起部に十分に押圧されないためであると考えられる。より好ましい隙間の範囲は、15μm以上50μm以下である。
本発明方法の対象とする焼結体は、金属粉末の成形体を焼結してなる各種のものが挙げられる。純鉄、鉄合金、鋼、ステンレス鋼といった鉄系材料、純アルミニウム、アルミニウム合金といった軽金属材料などからなる焼結体が代表的である。また、本発明方法では、種々の形状の焼結体に適用することができる。中心に円形状の軸孔を有し、周面が連続する凹凸面で形成された、外周輪郭が回転対称な形状の歯車やスプロケットなどが代表的であるが、外周輪郭の形状に関係なく任意の形状の焼結体に本発明方法を適用できる。
本発明焼結体の表面緻密化方法は、種々の形状の焼結体において、その周面の表面側領域を生産性よく緻密化することができる。得られた焼結体は、気孔が十分に低減され、かつ十分な厚さの緻密化層が存在するため、疲労強さに優れると期待される。
図1は、本発明緻密化方法に利用するサイジング金型を模式的に示す断面説明図である。 図2は、本発明緻密化方法により、焼結体の周面の表面側領域を緻密にする手順を模式的に示す工程説明図である。 図3は、アプローチ角θ(°)及びサイジング代(mm)と気孔率(%)との関係を示すグラフである。 図4は、試料No.1-7の断面の顕微鏡写真(100倍)である。 図5は、サイジングダイの突起部とパンチとの間の隙間(μm)と気孔率(%)との関係を示すグラフである。
金属粉末の成形体を複数作製してそれぞれ焼結して複数の焼結体を用意し、各焼結体を素材として、種々の条件で緻密化のためのサイジングを行ったものを試料とし、得られた各試料の周面の表面側領域における気孔率を測定した。
上記各試料は、原料粉末の準備→成形→焼結→機械加工→緻密化という工程で作製した。
原料粉末として、Fe-1.75%Ni-0.5%Mo+1.5%Cu(単位:質量%)の組成のFe系合金粉末(ヘガネスAB社製Distaloy-AB)に0.2質量%のGr(グラファイト)、0.6質量%の潤滑剤(エチレンビスステアリン酸アミド)を混合した混合粉末を用意した。この原料粉末を冷間金型で圧縮成形し(成形圧力:500MPa)、円筒状の成形体を得た(外径:φ34mm、内径:φ20mm、厚さ:5mm)。得られた成形体をプッシャー型炉に配置し、窒素(N2)雰囲気中、1250℃の温度下で焼結して、焼結材を得た。得られた焼結材に切削加工を行い、外径:φ30.32〜φ30.06mm、内径:φ26mm、厚さ:4.6mmの円筒状の素材、即ち、直径φ26mmの貫通孔を有する素材(初期密度:7.1g/cc)を得た。この素材に緻密化のためのサイジングを施した。
緻密化のためのサイジングには、図1に示すサイジング金型1を用いる。なお、図1,2ではいずれも、サイジングダイ10の中心線C(ここでは、素材Wの貫通孔Whの軸に等しい)に平行に切断した断面であって、中心線Cから左半分のみを示す。サイジング金型1の基本的な構成は、寸法矯正に利用されるサイジング金型と同様であり、貫通したサイジング孔(ここでは円筒状孔)を有するサイジングダイ10と、サイジング孔を通過させるために素材Wを押す円筒状の上パンチ20とを具える。サイジングダイ10は、サイジング孔の内周面10fから中心線Cに向かって突出する突起部11を有する。素材Wは、上パンチ20に押され、サイジング孔を進行していく際に、その周面Wfが突起部11に圧縮されて緻密化される。ここでは、サイジング孔の内周面10fの全周に亘って突起部11が設けられた構成としており、素材Wの周面Wfの全周が圧縮される。サイジング孔の一部にのみ突起部を設けた構成とすると、焼結体の周面を局所的に圧縮することができる。
上記突起部11は、中心線Cに平行に切断した断面が台形状であり、中心線Cに平行な平面からなる平面部11fと、平面部11fとサイジング孔の内周面10fとを繋ぐ一対の傾斜面部11ra,11rbとを有する。突起部において素材を主として押圧する箇所(ここでは平面部11f)は、素材Wの外周輪郭(ここでは円柱状)に概ね相似な形状である。
上記突起部11において、素材Wの進行方向の手前側に位置する傾斜面部11raと平面部11fの延長面がつくる角をアプローチ角θとする。また、中心線Cから平面部11fまでの間のサイジングダイの最小距離をd1、圧縮前の素材Wを図1に示すようにサイジングダイ10に配置した状態において、中心線Cから、素材Wおける突起部11と接触する箇所(ここでは、素材Wの周面Wf)までの最大距離をDとする。ここでは、2×Dが素材の外径φに相当する。素材の最大距離Dをサイジングダイの最小距離d1よりも大きくしておくことで、素材Wの周面Wfが突起部11により圧縮されて、その表面側領域の気孔が低減される。なお、素材Wの進行方向の後方側に位置する傾斜面部11rbと平面部11fの延長面とがつくる角αは、特に問わない。角αは90°でもよく、O°超とすることで、素材Wを取り出し易い。ここでは、角αは鋭角である。
このサイジング金型1は、更に、素材Wの貫通孔Whに挿通配置される円柱状のコアロッド30と、緻密化後の焼結体(試料)が載置される円筒状の下パンチ21とを具える。ここでは、コアロッド30及び下パンチ21は固定されており、サイジングダイ10及び上パンチ20は、図示しない駆動機構により上下に移動することができる。なお、焼結体が筒状ではなく柱状の場合、コアロッドは不要である。また、下パンチを駆動可能な機構にすることもできる。
上記サイジング金型1を用いて緻密化のためのサイジングを行うには、以下の手順で行う。図2(I)に示すように、素材Wをサイジングダイ10のサイジング孔の一方の開口部(ここでは上方側開口部)から挿入し、その上に上パンチ20を配置する。次に、図2(II)に示すように上パンチ20により素材Wを下方に押して、サイジング孔を通過させ、下パンチ21に載置する。このとき、素材Wの周面の表面側領域は、突起部11により圧縮される。そして、図2(III)に示すように、突起部11を通過した素材W(試料)を下パンチ21により支持した状態で、サイジングダイ10及び上パンチ20を試料から離すように上方に移動させ、試料をサイジング孔から取り出す。なお、図2(III)では素材Wが圧縮されて小さくなった状態を誇張して示す。
上述の手順の他、突起部を通過した素材を上パンチと下パンチとで支持し、この支持状態でサイジングダイのみを下方に移動させて素材を取り出してもよい。この場合、素材は、図2(II)に示す工程と、上記サイジングダイの下方移動とにより、突起部を合計2回通過することになる。このように複数回に亘って、緻密化のためのサイジングを行うことができる。複数回行う場合、緻密化層の厚さを厚くすることができる。
[試験例1]
試験例1では、サイジング孔において最も狭い箇所の直径(ここでは、中心線Cを挟んで対向する平面部間の距離)をφ30mm、即ち、サイジングダイの最小距離d1=15mmに一定とし、アプローチ角θ及びサイジング代を表1に示すように種々の大きさに変更して緻密化を行った。サイジング代は、上記各素材の最大距離Dと上記サイジングダイの最小距離d1との差:(D-d1)とする。ここでは、上述のように素材の大きさを変化させることで最大距離Dを変え、サイジング代を異ならせた。また、この試験では、上パンチが上記突起部を通過するときに、この上パンチと突起部との間の隙間(上記中心線Cから上パンチにおける突起部を通過する箇所までの最大距離をd2とするとき、サイジングダイの最小距離d1と当該最大距離d2と差:d1-d2)を40μmに一定にした。
得られた各試料について、断面を光学顕微鏡観察し(100倍)、各観察像において周面から貫通孔に向かう方向(以下、厚さ方向と呼ぶ)に500μmまでの全領域に存在する気孔の面積を求め、上記500μmまでの全領域の面積に対する気孔の合計面積の割合を気孔率(%)とした。その結果を表1及び図3に示す。上記観察像では、気孔が黒色に見え、金属部分が灰色に見える。従って、二値化処理などの画像処理を利用することで、上記観察像から気孔率を簡単に求められる。また、上記緻密化処理を行っていない焼結体についても周面から500μmまでの全領域における気孔率を同様にして求めた(試料No.100)。
また、得られた各試料について、生じたバリの長さを測定し、長さが0.5mm以上のバリの有無を調べた。更に、各試料を作製後、金型内にバリが脱落したかどうかを目視にて確認した。それらの結果を表1に示す。なお、脱落したバリが存在した場合、脱落したバリについても長さを測定した。
表1,図3に示すように、アプローチ角θを10°以上20°以下、かつサイジング代を0.05mm以上0.15mm以下として緻密化を行った試料は、緻密化を行っていない試料No.100と比較して、表面側領域の気孔率が非常に小さいことが分かる。また、サイジング代が0.05mm以上であってもアプローチ角θが10°未満である試料、逆にアプローチ角θが10°〜20°であってもサイジング代が0.05mm未満である試料は、緻密化を行っていない試料No.100と比較して、気孔率の低減度合いが少ない、或いはほとんど差がないことが分かる。これに対して、サイジング代を0.05mmとし、アプローチ角を10°とすると、表面側領域の気孔率が急激に低減されていることが分かる。
また、アプローチ角θを10°以上20°以下、かつサイジング代を0.05mm以上0.15mm以下として緻密化を行った試料は、上記緻密化された領域が周面の表面側に十分に存在する。図4は、試料No.1-7を示しており、試料(焼結体)の左側縁が周面、右側縁が貫通孔である。図4に示すように、試料の周面の表面側領域では、気孔(黒色の粒)が非常に少なく、緻密であることが分かる。また、気孔が低減された緻密な領域が周面から厚さ方向(図4において左右方向)に500μm程度存在することが分かる。なお、アプローチ角θを10°以上20°以下、かつサイジング代を0.05mm以上0.15mm以下として緻密化を行った各試料について、気孔率が5%以下である領域の厚さを測定したところ、500〜800μm程度であった。
図4において、周面の左上側に存在する棒状の灰色の領域は、バリである。アプローチ角θを10°以上20°以下、かつサイジング代を0.05mm以上0.15mm以下として緻密化を行った試料は、表1に示すようにバリが素材から外れることが無かった。このことから、アプローチ角θかつサイジング代を特定の範囲とすることで、バリの脱落に伴う生産性の低下を抑制できると言える。また、サイジング代を0.15mm超とすると、大きなバリが生じた。
更に、アプローチ角θを20°超とした場合(サイジング代:0.05mm)、金型の寿命が明確に低下した。
以上から、アプローチ角θを10°以上20°以下、かつサイジング代を0.05mm以上0.15mm以下としてサイジングにより緻密化を行うことで、気孔率が5%以下、更には4%以下といった気孔が非常に低減された緻密な領域を周面の表面側に十分に形成することができる。従って、上記緻密化により、疲労強さに優れる焼結体が得られると期待される。
[試験例2]
試験例2では、アプローチ角θ:15°、サイジング代:0.05mmに固定し、上パンチとサイジングダイの突起部との間の隙間を変化させて緻密化を行い、得られた各試料について試験例1と同様にして気孔率を求めた。その結果を表2及び図5に示す。
表2及び図5に示すように、上記隙間(クリアランス)を100μm超とすると、周面の表面側領域の気孔率が8%以上と高く、気孔の低減度合いが小さいことが分かる。そのため、焼結体の周面の表面側に、気孔が十分に低減された緻密化層が存在し難いと考えられる。これに対して、上記隙間を100μm以下とした試料は、周面の表面側領域の気孔率が低く、気孔が十分に低減された緻密化層が存在することで、これらの試料は、疲労強さに優れると期待される。
なお、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、焼結体の組成、焼結体の形状を適宜変更することができる。
本発明焼結体の表面緻密化方法は、ホイールギアなどの各種の歯車、スプロケット、その他の部品であって、金属粉末の成形体を焼結した焼結体からなるものに対して、周面の表面側領域を緻密にする際に好適に利用することができる。
1 サイジング金型 10 サイジングダイ 10f 内周面 11 突起部
11f 平面部 11ra,11rb 傾斜面部 20 上パンチ 21 下パンチ
30 コアロッド W 素材 Wf 周面 Wh 貫通孔

Claims (2)

  1. 金属粉末の成形体を焼結した焼結体の周面の表面側領域を緻密にする焼結体の表面緻密化方法であって、
    パンチで前記焼結体を押してサイジングダイを通過させるときに、前記サイジングダイの突起部により当該焼結体の周面が圧縮されることで、この周面の表面側領域を緻密化する工程を具え、
    前記突起部のアプローチ角θを10°以上20°以下、前記焼結体の圧縮前後の変形量を0.05mm以上0.15mm以下とすることを特徴とする焼結体の表面緻密化方法。
    但し、前記変形量は、前記サイジングダイの中心線Cから突起部までの最小距離をd1、前記圧縮前の焼結体を前記サイジングダイに配置した状態において、前記中心線Cから、当該焼結体における前記突起部と接触する箇所までの最大距離をDとするとき、前記焼結体の最大距離Dと前記サイジングダイの最小距離d1との差:D-d1とする。
  2. 前記パンチが前記突起部を通過するときに、このパンチと突起部との間の隙間が0μm超100μm以下となるように当該パンチを配置することを特徴とする請求項1に記載の焼結体の表面緻密化方法。
    但し、前記隙間は、前記パンチを前記サイジングダイに配置した状態において、前記中心線Cから、当該パンチにおける前記突起部を通過する箇所までの最大距離をd2とするとき、前記サイジングダイの最小距離d1と当該最大距離d2との差:d1-d2とする。
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