以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るガソリンベーパ凝縮容器51を搭載したガソリンベーパ回収装置100全体の回路構成を示す概略回路構成図である。図1に基づいて、ガソリンベーパ回収装置100全体の回路構成について説明する。このガソリンベーパ回収装置100は、ガソリンベーパを吸着又は脱着する2つの吸脱着塔(吸脱着塔11a、吸脱着塔11b)を設け、この2つの吸脱着塔の機能を適宜切り替えてガソリンベーパを回収(吸着)、再利用(脱着)するようになっている。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
ガソリンベーパ回収装置100は、自動車等にガソリンを給油するためのガソリン計量器とともに、ガソリンスタンド等に設置されるようになっている。そして、ガソリンベーパ回収装置100は、自動車等の給油口から大気中に放出されるガソリンベーパを回収し、再利用する機能を有している。このガソリンベーパ回収装置100は、大きく分けてガソリンベーパ凝縮回路10と、冷媒回路40と、ブライン回路50とで構成されている。また、このガソリンベーパ凝縮回路10は、ガソリンベーパ吸着回路20と、ガソリンベーパ脱着回路30とで構成されている。
[ガソリンベーパ吸着回路20]
吸脱着塔11aでガソリンベーパを吸着する場合のガソリンベーパ吸着回路20は、2つの給油ノズル21と、2つの第1電磁弁22と、ガソリン吸引ポンプ23と、ガソリン凝縮器24と、気液分離器25と、第2電磁弁26aと、吸脱着塔11aと、第3電磁弁27aと、第1減圧弁28とがガソリン吸着用配管29で順次接続されて構成される。一方、吸脱着塔11bでガソリンベーパを吸着する場合のガソリンベーパ吸着回路20は、2つの給油ノズル21と、2つの第1電磁弁22と、ガソリン吸引ポンプ23と、ガソリン凝縮器24と、気液分離器25と、第2電磁弁26bと、吸脱着塔11bと、第3電磁弁27bと、第1減圧弁28とがガソリン吸着用配管29で順次接続されて構成される。
第2電磁弁26a及び第2電磁弁26bの切り替えと、第3電磁弁27a及び第3電磁弁27bの切り替えとを制御することで、吸脱着塔11a及び吸脱着塔11bのいずれか一方にガソリンベーパを吸着させるようになっている。すなわち、上記の各電磁弁を制御することで、吸脱着塔11a又は吸脱着塔11bのいずれか一方がガソリンベーパの吸着を行なう吸脱着塔として機能し、他方がガソリンベーパの脱着を行なう脱着塔として機能するようになっているのである。なお、吸脱着塔11aと吸脱着塔11bとの切り替えは、所定の時間間隔で行なったり、吸脱着塔11a又は吸脱着塔11bのうち吸脱着塔として機能しているもののガソリンベーパの出口近傍の濃度に応じて行なったりするとよい。
給油ノズル21は、自動車にガソリンを給油する機能を有している。また、給油ノズル21は、自動車の給油口から放出されるガソリンベーパを吸引する際の入口として機能している。ここでは、2つの給油ノズル21がガソリンベーパ吸着回路20に設けられている場合を例に示しているが、給油ノズル21の設置数を特に限定するものではない。第1電磁弁22は、給油ノズル21から吸引されたガソリンベーパの逆流を防止する機能を有している。この第1電磁弁22は、給油ノズル21の設置数に応じて設けるようになっている。
ガソリン吸引ポンプ23は、ガソリンベーパを給油ノズル21から吸引・加圧(たとえば、200kPaG)する機能を有している。ガソリン凝縮器24は、ガソリンベーパ凝縮容器51内に備えられており、内部を導通するガソリンベーパが冷却されるものである。図1に示すように、このガソリン凝縮器24は、らせん状に構成されている。気液分離器25は、液体状態のガソリンベーパを捕捉することで、液体状態のガソリンベーパと気体状態のガソリンベーパとを分離するものである。
第2電磁弁26a及び第2電磁弁26bは、開閉が制御されることで、ガソリンベーパを含む空気を導通したりしなかったりする機能を有している。吸脱着塔11aは、ガソリンベーパを吸着する吸着塔としての機能と、ガソリンベーパを脱着する脱着塔としての機能とを有している。この吸脱着塔11aの容器1aの内部には、後述する吸着剤冷却器12aと吸着剤13aとが設けられている。吸脱着塔11bの容器1bの内部にも吸脱着塔11aと同様に、後述する吸着剤冷却器12bと吸着剤13bとが設けられており、ガソリンベーパを吸着する吸着塔としての機能と、ガソリンベーパを脱着する脱着塔としての機能とを有している。
吸着剤冷却器12aは、ガソリンベーパ凝縮容器51内に充填されているブライン52によって、吸脱着塔11aの容器1aの内部を冷却する機能を有している。吸着剤冷却器12bも吸着剤冷却器12aと同様に、ガソリンベーパ凝縮容器51内に充填されているブライン52によって、吸脱着塔11bの容器1bの内部を冷却する機能を有している。つまり、吸着剤冷却器12a及び吸着剤冷却器12bを吸脱着塔11a及び吸脱着塔11bに設けることによって、少量の吸着剤13a及び吸着剤13bでガソリンベーパの吸着を行なうことが可能になっている。
吸着剤13a及び吸着剤13bは、ガソリンベーパを含む空気からガソリンベーパを吸着するものであり、たとえば平均1vol%以下のガソリンベーパを含む空気とするものである。この吸着剤13a及び吸着剤13bとしては、たとえばシリカゲルやゼオライト、活性炭等を使用するとよい。つまり、吸脱着塔11a又は吸脱着塔11bのいずれか一方の吸着剤13a又は吸着剤13bにガソリンベーパを吸着させ、他方の吸着剤13a又は吸着剤13bでガソリンベーパを脱着させている。そして、吸着と脱着とを交互に切り替えて、連続運転するようになっているのである。
第3電磁弁27a及び第3電磁弁27bは、開閉が制御されることで、1vol%以下のガソリンベーパを含む空気を導通したりしなかったりするものである。第1減圧弁28は、吸脱着塔11a又は吸脱着塔11bを経由した後における1vol%以下のガソリンベーパを含む空気を減圧するものである。ガソリン吸着用配管29は、ガソリンベーパを含む空気を導通する配管である。なお、各電磁弁は、マイクロコンピュータ等の制御手段(図示省略)が行なうようになっている。
[ガソリンベーパ脱着回路30]
吸脱着塔11bでガソリンベーパを脱着する場合のガソリンベーパ脱着回路30は、第2減圧弁31と、第4電磁弁32bと、吸脱着塔11bと、第5電磁弁33bと、脱着ポンプ34とがガソリン脱着用配管35で順次接続されて構成される。一方、吸脱着塔11bでガソリンベーパを吸着する場合のガソリンベーパ脱着回路30は、第2減圧弁31と、第4電磁弁32aと、吸脱着塔11aと、第5電磁弁33aと、脱着ポンプ34とがガソリン脱着用配管35で順次接続されて構成される。
第4電磁弁32a及び第4電磁弁32bの切り替えと、第5電磁弁33a及び第5電磁弁33bの切り替えを、ガソリンベーパ吸着回路20での各電磁弁との制御に応じて制御することで、吸脱着塔11a及び吸脱着塔11bのいずれかでガソリンベーパを脱着させるようになっている。すなわち、ガソリンベーパ脱着回路30の各電磁弁を、ガソリンベーパ吸着回路20の各電磁弁と併せて制御することで、吸脱着塔11aと吸脱着塔11bとを適宜切り替えるようになっているのである。
第2減圧弁31は、吸引された空気を減圧して、たとえば−80kPaGにするものである。第4電磁弁32a及び第4電磁弁32bは、開閉が制御されることで、空気を導通したりしなかったりする機能を有している。ガソリンベーパ脱着回路30を構成する吸脱着塔11bは、上述したようにガソリンベーパを脱着する脱着塔として機能する。また、吸脱着塔11aも吸脱着塔11bと同様に、ガソリンベーパ脱着回路30を構成する場合には、ガソリンベーパを脱着する脱着塔として機能することになる。
第5電磁弁33a及び第5電磁弁33bは、開閉が制御されることで、ガソリンベーパを含む空気を導通したりしなかったりする機能を有している。脱着ポンプ34は、空気を吸脱着塔11b又は吸脱着塔11aに供給するために、外気から空気を吸引する機能を有している。ガソリン脱着用配管35は、空気やガソリンベーパを含む空気を導通する配管である。このガソリン脱着用配管35は、ガソリンベーパ吸着回路20の第1電磁弁22とガソリン吸引ポンプ23との間におけるガソリン吸着用配管29に接続されている。
[冷媒回路40]
冷媒回路40は、圧縮機41と、凝縮器42と、絞り装置43と、冷媒蒸発器44とが冷媒配管45で順次接続されたヒートポンプサイクルとして構成されている。つまり、冷媒回路40は、冷媒配管45内に冷媒を導通し、この冷媒が各構成機器を循環することで、ガソリンベーパ凝縮容器51内に充填されているブライン52を冷却するようになっているのである。また、凝縮器42の近傍には、凝縮器42に空気を供給するためのファン等の送風機46が設けられている。
圧縮機41は、冷媒配管45を流れる冷媒を吸入して、その冷媒を圧縮して高温・高圧の状態にするものである。凝縮器42は、冷媒の凝縮熱を放出し、その冷媒を凝縮液化するものである。絞り装置43は、減圧弁や電子式膨張弁、温度式膨張弁、キャピラリーチューブ等で構成されており、その冷媒を減圧して膨張させるものである。冷媒蒸発器44は、ブライン52から熱を奪い(つまり、ブライン52を冷却し)、その冷媒を蒸発ガス化するものである。
この冷媒回路40に使用できる冷媒について説明する。冷媒回路40に使用できる冷媒には、たとえば可燃性のないHFC(ハイドロフルオロカーボン)冷媒であるR407C(R32/R125/R134a)やR410A(R32/R125)、R404A(R125/R143a/R134a)等がある。その他、自然冷媒である二酸化炭素(CO2 )等を使用することもできる。なお、冷媒回路40に使用できる冷媒をこれらに限定するものではなく、ガソリンベーパ回収装置100の設置場所等の諸条件に応じて決定すればよい。
[ブライン回路50]
ブライン回路50は、ガソリンベーパ凝縮容器51と、ブラインポンプ53と、吸着剤冷却器12a及び吸着剤冷却器12bとがブライン配管54で順次接続されて構成されている。ガソリンベーパ凝縮容器51は、設置面積の低減を図るために縦長形状(図2参照)で構成されており、ブライン52を貯留するブラインタンクとして機能する。ブライン52は、たとえばプロピレングリコールやガソリン、灯油といった石油系物質等で構成される不凍液である。このブライン52は、冷媒回路40を制御することによって、1〜5℃程度の範囲を維持している。つまり、ガソリンベーパ凝縮容器51内では、ブライン52が攪拌されるようになっており、温度の調節がされているのである。なお、0℃以上でガソリンベーパを凝縮させる場合には、水をブライン52としてもよい。
ブラインポンプ53は、ガソリンベーパ凝縮容器51に貯留されているブライン52を吸引・加圧する機能を有している。つまり、ブライン52は、ブラインポンプ53によってブライン回路50を循環するようになっているのである。吸着剤冷却器12a及び吸着剤冷却器12bは、ガソリンベーパ凝縮容器51から供給されるブライン52によって吸脱着塔11a及び吸脱着塔11bの内部を冷却するようになっている。吸脱着塔11a及び吸脱着塔11bの内部温度を低くすることにより、ガソリンベーパの吸着容量を大きくすることができる。
たとえば、吸脱着塔11aでガソリンベーパが吸着されている場合、吸着剤冷却器12aでは、吸着剤13aにガソリンベーパを吸着する際の吸着熱によってブライン52の温度が上昇し、吸着剤冷却器12bでは、吸着剤13bからガソリンベーパを脱着する際の脱着熱によってブライン52の温度が低下することになっている。吸着剤冷却器12a及び吸着剤冷却器12bのそれぞれから流出したブライン52は、合流し、再度ガソリンベーパ凝縮容器51に流入するようになっている。
また、ガソリンベーパ凝縮容器51の側面には、内部のブライン52の液面を検出するための液面計55が設けられている(図7で詳細に説明する)。なお、図示していないが、ガソリンベーパ凝縮容器51には、内部のブライン52の温度を検知するためのサーミスタや温度計等の温度センサが設けられており、この温度センサが検出した温度情報が図示省略の制御手段に送られて、ブライン52の温度を所定範囲内で維持するように冷媒回路40が制御されるようになっている。この制御手段は、各電磁弁の開閉や、各ポンプの駆動周波数、圧縮機41の駆動周波数、送風機46の回転数、各減圧弁の開度等を制御する。
ここで、ガソリンベーパ回収装置100の動作について説明する。
まず、冷媒回路40を動作させて、冷媒蒸発器44の温度を低下させる。具体的には、圧縮機41を駆動させ、冷媒を循環させることによって、ガソリンベーパ凝縮容器51内に設けられている冷媒蒸発器44の温度を低下させる。このとき、ガソリンベーパ凝縮容器51内に充填されているブライン52を所定の温度にまで低下させる。そして、ブライン52が所定の温度に達したら、圧縮機41の駆動を停止する。なお、ガソリンベーパ凝縮容器51は、保冷剤等で保冷するとよい。
ブライン52の温度が所定の範囲より上昇したら、圧縮機41の駆動を再開する。つまり、図示省略の制御手段は、温度センサからの温度情報に基づいて、ブライン52の温度を所定の範囲で維持するように冷媒回路40(特に、圧縮機41の駆動周波数)を制御しているのである。ガソリンベーパ凝縮容器51内のブライン52の温度が所定の範囲に制御されることで、ガソリンベーパ回収運転の準備が整うことになる。そして、ガソリン計量器からガソリンが給油されると、ガソリンベーパ回収運転が開始される。
ガソリンベーパ回収運転は、給油ノズル21から自動車等のガソリンタンクに給油される際に、給油口から追い出される(排出される)ガソリンベーパ(常温で約20〜30Vol%)をガソリンベーパ凝縮回路10内に吸引することから開始する。つまり、ガソリンベーパ凝縮回路10を構成するガソリン吸引ポンプ23の運転によって、給油ノズル21を介してガソリンベーパ凝縮回路10内にガソリンベーパが吸引されるのである。吸引されたガソリンベーパは、ガソリンベーパ凝縮容器51内のガソリン凝縮器24内を徐々に冷却されながら上方から下方へと流れる。冷却されたガソリンベーパは、その一部が液化してガソリンベーパ凝縮容器51から流出する。
液化したガソリンは、気液分離器25で捕捉、回収され、ガソリンベーパを含む空気から分離される。気液分離器25で捕捉されたガソリンは、給油機等に給油され、再利用されることになる。また、液化しなかったガソリンベーパは、吸脱着塔11aの容器1a又は吸脱着塔11bの容器1bに流入する。つまり、ガソリンベーパ凝縮容器51のみでは、ガソリンベーパの全部を液化、回収することはできないために、ガソリンベーパは吸脱着塔11a及び吸脱着塔11bで吸着及び脱着され、回収されることになる。
吸脱着塔11aでガソリンベーパを吸着する場合は、第2電磁弁26aが開制御、第2電磁弁26bが閉制御され、気液分離器25を流出したガソリンベーパを含む空気が吸脱着塔11aの容器1aに流入する。吸脱着塔11aでは、吸脱着塔11aの容器1a内部に設けられている吸着剤13aでガソリンベーパが吸着される。したがって、ガソリンベーパを含む空気からガソリンベーパが吸着されるので、ガソリンベーパ濃度が低減する。たとえば、吸着剤13aは、ガソリンベーパを吸着することによって、ガソリンベーパの含有量を1vol%以下とする。そして、1vol%以下のガソリンベーパを含む空気は、開制御されている第3電磁弁27a及び第1減圧弁28を経て、大気に放出される。
一方、吸脱着塔11bでは、ガソリンベーパの脱着が行なわれる。具体的には、脱着ポンプ34が駆動されることにより、空気が第2減圧弁31で減圧され(たとえば、−80kPaG)、第4電磁弁32bを経て吸脱着塔11bの容器1bに流入する。つまり、吸着剤13bに吸着されているガソリンベーパは、吸脱着塔11bの容器1bに流入した空気によって、吸着剤13bから脱着されるのである。そして、空気に含まれるガソリンベーパの含有量を増加し(つまりガソリンベーパ濃度を高く)、吸脱着塔11bから流出させ、再利用する。
吸脱着塔11bから流出したガソリンベーパは、脱着ポンプ34に吸引され、再度ガソリン吸着用配管29(つまりガソリンベーパ吸着回路20)に流入する。そして、給油ノズル21から流入したガソリンベーパと合流して、ガソリンベーパ凝縮容器51に流入する。このようにして、ガソリンベーパ回収装置100では、ガソリンベーパの回収率の向上を図るようにしている。
吸脱着塔11a及び吸脱着塔11bは、所定の時間間隔や、吸脱着塔11a又は吸脱着塔11bの出口近傍のガソリンベーパ濃度によって、機能を切り替えるようになっている。それは、吸着剤13a及び吸着剤13bでガソリンベーパを吸着できる量には、所定の限界が存在し、連続運転を実行するには、ガソリンベーパの吸着と脱着とを切り替える必要があるからである。上述した例では、吸脱着塔として機能していた吸脱着塔11aが脱着塔として機能させ、脱着塔として機能していた吸脱着塔11bが吸脱着塔として機能させる。なお、吸脱着塔11a及び吸脱着塔11bの切り替えは、各電磁弁の開閉を制御することで行われるようになっている。
図2は、ガソリンベーパ凝縮容器51を説明するための説明図である。図2に基づいて、この実施の形態の特徴事項であるガソリンベーパ凝縮容器51を詳細に説明する。図2(a)は、ガソリンベーパ凝縮容器51を拡大して示す縦断面図であり、図2(b)は、ガソリン凝縮器24と冷媒蒸発器44との配置関係を示す概略断面図である。また、図2(b)には、ガソリン凝縮器24の高さをh2で、冷媒蒸発器44の高さをh1で表している。
図2(a)に示すように、ガソリンベーパ凝縮容器51は縦長形状(たとえば、円柱状や角柱状)に構成されている。ガソリンベーパ凝縮容器51の内部には、配管をらせん形状にしたガソリン凝縮器24と、配管をらせん形状にした冷媒蒸発器44とが設置されている。また、ガソリンベーパ凝縮容器51の内部には、ブライン52が充填されており、このブライン52でガソリン凝縮器24及び冷媒蒸発器44の外周側及び内周側の周囲を満たしている。
ガソリン凝縮器24に接続するガソリン吸着用配管29(ガソリンベーパ入口配管29a)、及び、冷媒蒸発器44に接続する冷媒配管45(冷媒入口配管45a及び冷媒出口配管45b)は、ガソリンベーパ凝縮容器51の上部に配置されている。また、ガソリン凝縮器24に接続するガソリン吸着用配管29(ガソリンベーパ出口配管29b)は、ガソリンベーパ凝縮容器51の下部に配置されている。すなわち、ガソリンベーパは、ガソリンベーパ凝縮容器51の上方から流入し、下方から流出するが、冷媒は、ガソリンベーパ凝縮容器51の上方から流入し、上方から流出するようになっているのである。
ガソリンベーパ凝縮容器51の上部にはブライン入口54aが、下部にはブライン出口54bがそれぞれ設けられている。ブライン入口54a及びブライン出口54bは、ブライン配管54に接続するようになっている。また、図8で詳細に説明するが、ガソリンベーパ凝縮容器51の上部には、安全弁60が設置されている。この安全弁60は、ガソリンベーパ凝縮容器51の内部が高圧状態になってしまうのを未然に防止する機能を有している。
らせん形状に構成されている冷媒蒸発器44は、ガソリン凝縮器24の内周側に設けられるようになっている。冷媒蒸発器44は、ブライン52及びガソリン凝縮器24を冷却する機能を有している。冷媒蒸発器44とガソリン凝縮器24とをこのように配置することで、冷媒配管45の外部からの吸熱を防ぎ、ガソリン凝縮器24からのみ吸熱を行うことができる。つまり、ガソリン凝縮器24を効果的に冷却することができ、ガソリンベーパの出口温度を所定の温度(たとえば、3℃以下)まで確実に低下させることができる。
そして、冷媒蒸発器44は、ガソリンベーパの回収効率を向上させるために、ガソリン凝縮器24に近接させることが好ましい。つまり、冷媒蒸発器44の外周側側部と、ガソリン凝縮器24の内周側側部との距離を接近させて配置させると、ガソリン凝縮器24を効率よく冷却することができるのである。このようにすることによって、ガソリンベーパ凝縮容器51内のブライン52を冷却しつつ、ガソリン凝縮器24内を導通するガソリンベーパも効率良く冷却することが可能になっている。
一方、ガソリンベーパ凝縮容器51内部では、ブライン52の温度分布が発生することになる。つまり、ガソリンベーパ凝縮容器51内の上方側でブライン52の温度が高くなり、下方側でブライン52の温度が低くなる。したがって、ガソリンベーパ凝縮容器51内の上方側の冷却が、下方側の冷却よりも重要になってくる。そこで、図2(b)に示すように、冷媒蒸発器44は、ガソリン凝縮器24の内側であって、その上部の高さ位置がガソリン凝縮器24の上部の高さ位置と略同一となるように設置されている。
また、冷媒蒸発器44の高さ位置とガソリン凝縮器24の高さ位置とを略同一とするために、冷媒蒸発器44を構成する配管の管径を6mm以上10mm以下、配管長を10m以上16m以下としている。冷媒蒸発器44を構成する配管の構成と、ガソリンベーパ凝縮容器51内における冷媒蒸発器44の配置位置によって、ガソリン凝縮器24内へ流入する高濃度のガソリンベーパを含む空気(たとえば、80[L/min]の流量)であっても、即時に冷却することができる。
ガソリンベーパ凝縮容器51の上方側で冷却されたブライン52は、対流によって下方側に移動し、ブライン52全体が攪拌され、所定の温度範囲内となるようにブライン52の温度調節がされているのである。また、冷媒蒸発器44をガソリンベーパ凝縮容器51の上方側に設置することで、ガソリンベーパ凝縮容器51内のブライン52の温度調節がされるために、ガソリン凝縮器24の全体を有効に利用することができ、ガソリン凝縮器24内を導通するガソリンベーパを含む空気を効果的に冷却することができる。
さらに、冷媒蒸発器44をガソリンベーパ凝縮容器51の上方側にのみ設置するようにすれば、ガソリン凝縮器24を効率よく冷却することができるとともに、冷媒蒸発器44を小型化・コンパクト化することができる。したがって、ガソリンベーパ凝縮容器51全体も小型化・コンパクト化することができる。なお、ガソリンベーパ凝縮容器51内における冷媒蒸発器44の設置位置は、ガソリン凝縮器24を構成するらせん形状の配管の管径及び配管長で決定する巻数に応じて変化することになる。以下、ガソリン凝縮器24を構成する配管の管径及び配管長について説明する。
ガソリン凝縮器24内には、ガソリンベーパだけでなく空気も含まれている。そのために、この空気に含まれている水分の凍結に注意しなければならない。それは、ガソリン凝縮器24内で空気中の水分が凍結すると、ガソリン凝縮器24が閉塞してしまうことになるからである。つまり、ガソリン凝縮器24が閉塞すると、ガソリンベーパが導通しなくなり、ガソリンベーパの回収効率が低下してしまうことになるのである。そこで、空気に含まれている水分を凍結させずに、ガソリンベーパの回収ができる温度に設定することが要求される。この要求を実現するために、ガソリンベーパの出口温度を3℃以下に設定する場合を例に説明するものとする。
次に本装置において、使用できるガソリン凝縮器24の管径の範囲について説明する。
<管径の下限(6.35mm)>
配管径φ6.35(管内径は4.5mm程度)、長さ30mの場合、我々の試算によると、圧力損失は26.4kPaになる(φ9.52の圧力損失は1.6kPa)。この圧力損失の影響により、ガソリン凝縮器24の出口濃度が、φ9.52の場合に比べ、約1vol%上昇する。ガソリン凝縮器出口の濃度上昇が1vol%程度であれば、下流の吸着塔で吸収できるレベルであり、性能上、特に問題とならない。また、φ6.35の内径は約4.35mm程度であり、この程度の管径であれば、埃などの異物詰まりが発生しにくく、装置の信頼性を確保できる。
<管の上限(12.7mm)>
本発明のような配管をらせん状にする場合、配管をつぶさずに巻径130mmコイル状の製作できるのは管径φ12.7が限界である。巻径130mm以上にした場合、ブラインタンクの直径を大きくする必要があり、その結果、設置スペース(設置面積)が大きくなり、商品としての価値がなくなる。
図3は、ガソリン凝縮器24を構成する配管の管径が6.35[mm]の場合におけるガソリンベーパの出口温度と配管長との関係を示したグラフである。図3では、横軸が配管長[m]を、縦軸が出口温度[℃]をそれぞれ表わしている。また、図3で示す三角形が流速80[L/min]の場合を、四角形が流速60[L/min]の場合をそれぞれ示している。図3に基づいて、管径が6.35[mm]の配管でガソリン凝縮器24を構成した場合に、ガソリンベーパの出口温度を3℃以下にするために必要な配管長ついて説明する。
流速が80[L/min]の場合では、配管長を10[m]としたときのガソリンベーパの出口温度は19.807[℃]、配管長を20[m]としたときのガソリンベーパの出口温度が6.695[℃]、配管長を30[m]としたときのガソリンベーパの出口温度が2.911[℃]、配管長を40[m]としたときのガソリンベーパの出口温度が1.609[℃]となっている。したがって、ガソリンベーパの出口温度を3℃以下にするには、30[m]以上の配管長が必要であるということがわかる。
流速が60[L/min]の場合では、配管長を10[m]としたときのガソリンベーパの出口温度は13.847[℃]、配管長を20[m]としたときのガソリンベーパの出口温度が3.798[℃]、配管長を30[m]としたときのガソリンベーパの出口温度が1.609[℃]となっている。したがって、ガソリンベーパの出口温度を3℃以下にするには、30[m]以上の配管長が必要であるということがわかる。したがって、いずれの流速に対しても、配管長を30[m]以上とすれば、ガソリンベーパの出口温度を3[℃]以下とすることができる。
なお、配管長30[m]、管径6.35[mm]の配管を使用する場合、直径130[mm]で、巻数75のらせん形状を形成し、ガソリン凝縮器24を構成するとよい。また、この場合、配管長10[m]、管径9.52[mm]の配管を使用して、直径90[mm]のらせん形状を形成した冷媒蒸発器44をガソリン凝縮器24の内周側に設置する。したがって、冷媒蒸発器44がガソリンベーパ凝縮容器51内の上方側に冷媒蒸発器44が設置されることになり、ガソリン凝縮器24内を導通するガソリンベーパを含む空気を効果的に冷却することができる。
図4は、ガソリン凝縮器24を構成する配管の管径が9.52[mm]の場合におけるガソリンベーパの出口温度と配管長との関係を示したグラフである。図4では、横軸が配管長[m]を、縦軸が出口温度[℃]をそれぞれ表わしている。また、図4で示す三角形が流速80[L/min]の場合を、四角形が流速60[L/min]の場合をそれぞれ示している。図4に基づいて、管径が9.52[mm]の配管でガソリン凝縮器24を構成した場合に、ガソリンベーパの出口温度を3℃以下にするために必要な配管長ついて説明する。
流速が80[L/min]の場合では、配管長を10[m]としたときのガソリンベーパの出口温度は11.63[℃]、配管長を15[m]としたときのガソリンベーパの出口温度が5.511[℃]、配管長を20[m]としたときのガソリンベーパの出口温度が2.915[℃]、配管長を25[m]としたときのガソリンベーパの出口温度が1.813[℃]、配管長を35[m]としたときのガソリンベーパの出口温度が1.345[℃]となっている。したがって、ガソリンベーパの出口温度を3℃以下にするには、20[m]以上の配管長が必要であるということがわかる。
流速が60[L/min]の場合では、配管長を10[m]としたときのガソリンベーパの出口温度は7.000[℃]、配管長を15[m]としたときのガソリンベーパの出口温度が2.915[℃]、配管長を20[m]としたときのガソリンベーパの出口温度が1.611[℃]、配管長を25[m]としたときのガソリンベーパの出口温度が1.195[℃]、配管長を30[m]としたときのガソリンベーパの出口温度が1.062[℃]となっている。したがって、ガソリンベーパの出口温度を3℃以下にするには、15[m]以上の配管長が必要であるということがわかる。したがって、いずれの流速に対しても、配管長を20[m]以上とすれば、ガソリンベーパの出口温度を3[℃]以下とすることができる。
なお、配管長20[m]、管径9.52[mm]の配管を使用する場合、直径130[mm]で、巻数50のらせん形状を形成し、ガソリン凝縮器24を構成するとよい。また、この場合、配管長10[m]、管径9.52[mm]の配管を使用して、直径100[mm]で、巻数30のらせん形状を形成した冷媒蒸発器44をガソリン凝縮器24の内周側に設置する。したがって、冷媒蒸発器44がガソリンベーパ凝縮容器51内の上方側に冷媒蒸発器44が設置されることになり、ガソリン凝縮器24内を導通するガソリンベーパを含む空気を効果的に冷却することができる。
図5は、ガソリン凝縮器24を構成する配管の管径が12.7[mm]の場合におけるガソリンベーパの出口温度と配管長との関係を示したグラフである。図5では、横軸が配管長[m]を、縦軸が出口温度[℃]をそれぞれ表わしている。また、図5で示す三角形が流速80[L/min]の場合を、四角形が流速60[L/min]の場合をそれぞれ示している。図5に基づいて、管径が12.7[mm]の配管でガソリン凝縮器24を構成した場合に、ガソリンベーパの出口温度を3℃以下にするために必要な配管長ついて説明する。
流速が80[L/min]の場合では、配管長を10[m]としたときのガソリンベーパの出口温度は6.995[℃]、配管長を15[m]としたときのガソリンベーパの出口温度が2.911[℃]、配管長を20[m]としたときのガソリンベーパの出口温度が1.609[℃]、配管長を25[m]としたときのガソリンベーパの出口温度が1.194[℃]となっている。したがって、ガソリンベーパの出口温度を3℃以下にするには、15[m]以上の配管長が必要であるということがわかる。
流速が60[L/min]の場合では、配管長を10[m]としたときのガソリンベーパの出口温度は3.798[℃]、配管長を15[m]としたときのガソリンベーパの出口温度が1.609[℃]、配管長を20[m]としたときのガソリンベーパの出口温度が1.133[℃]、配管長を25[m]としたときのガソリンベーパの出口温度が1.029[℃]となっている。したがって、ガソリンベーパの出口温度を3℃以下にするには、15[m]以上の配管長が必要であるということがわかる。したがって、いずれの流速に対しても、配管長を15[m]以上とすれば、ガソリンベーパの出口温度を3[℃]以下とすることができる。
なお、配管長15[m]、管径12.7[mm]の配管を使用する場合、直径130[mm]で、巻数37のらせん形状を形成し、ガソリン凝縮器24を構成するとよい。また、この場合、配管長10[m]、管径9.52[mm]の配管を使用して、直径90[mm]のらせん形状を形成した冷媒蒸発器44をガソリン凝縮器24の内周側に設置する。したがって、冷媒蒸発器44がガソリンベーパ凝縮容器51内の上方側に冷媒蒸発器44が設置されることになり、ガソリン凝縮器24内を導通するガソリンベーパを含む空気を効果的に冷却することができる。
図6は、図3〜図5の結果をまとめたグラフである。図6に基づいて、ガソリンベーパの出口温度を所定の温度(たとえば、3[℃]以下)にするためのガソリン凝縮器24を構成する配管の管径及び配管長との関係について説明する。図6に示すように、縦軸に伝熱管長L(m)、横軸に管径(mm)をプロットし、近似式を作成すると、(1)式の関係が得られる。
L=190.47/D (1)
(1)式が1/Dに比例する説明をする。ガソリン凝縮器24の能力は、(2)式で表される。
Q=KAΔT (2)
Q:ガソリン凝縮器の能力[W]、K[W/m2 K]、ΔT:温度差[K]、A:伝熱面積[m2 ]である。
ここで、伝熱面積Aを管径Dと伝熱管長Lで表すと、
A=πDL (3)
となる。D:管径[m]、L:伝熱管長[m]である。
(3)式を(2)式に代入し、整理すると(4)式となる。
L=Q/(πKDΔT) (4)
出口温度、ブライン温度、流量は同じなので、K、Q、ΔTもほぼ同じとなり、その結果、伝熱管長Lは1/Dに比例することになる。すなわち、本実施の形態で示したように、1/Dで近似式を作成すれば、φ6.35〜φ12.7の範囲において、ガソリンベーパ凝縮容器51内に収容するガソリン凝縮器24を構成する配管径Dによって、伝熱管長Lを設定することができる。また、配管長に応じてらせん形状の巻数も決定することになる。
以上のように、ガソリンベーパ凝縮容器51は、ガソリン凝縮器24を構成する配管の管径と配管長によって、ガソリンベーパの出口温度を所定の温度とすることが可能であるとともに、冷媒蒸発器44をガソリンベーパ凝縮容器51の上方側に設置することによって、ガソリンベーパ凝縮容器51に流入直後のガソリンベーパを即時に冷却することができ、ガソリン凝縮器24を効率よく冷却することができる。また、冷媒蒸発器44をガソリンベーパ凝縮容器51の上方側に設置することによって、ガソリンベーパ凝縮容器51の小型化・コンパクト化を実現することができる。
図7は、ガソリンベーパ凝縮容器51の側面に設置した液面計55を拡大して示す縦断面図である。図7に基づいて、液面計55について説明する。この液面計55は、ガソリンベーパ凝縮容器51内部に充填されているブライン52の量を視覚で確認することができる。ブライン52は、冷媒蒸発器44及びガソリン凝縮器24の全部を浸す程度の量が充填されていることが要求される。しかしながら、液面計55が設置されていない場合には、ブライン52が漏れ、量が減少していても気づかず、ガソリン凝縮器24と冷媒蒸発器44の一部が空気と接してしまい、知らないうちに伝熱性能が低下することになってしまう。
そこで、ガソリンベーパ凝縮容器51は、その側面に液面計55を設置することによって、ガソリンベーパ凝縮容器51内部のブライン52の量を目視できるようにしているのである。この液面計55は、ブライン52の満水状態の位置に応じて設置するとよい。なお、液面計55は、ブライン52の量が目視できるものであればよく、種類や個数、大きさ等を特に限定するものではない。また、報知手段(ディスプレイ等の表示手段やスピーカ等の音声発生手段)を設けて、液面計55により、ブライン52の量が所定量以上減少したことを検知した場合には、ブライン52の量が減少していることを報知するようにしてもよい。さらに、液面計55により、ブライン52の量が所定量以上減少したことを検知した場合には、ガソリンベーパ回収装置100の運転を停止させてもよい。
図8は、ガソリンベーパ凝縮容器51の上部に設置した安全弁60を拡大して示す縦断面図である。図8に基づいて、安全弁60について説明する。ガソリンベーパ凝縮容器51内には、高圧の冷媒が流れている冷媒蒸発器44が設置されており、ガソリンベーパ凝縮容器51内で冷媒漏れが発生した場合、ガソリンベーパ凝縮容器51内が高圧になる可能性がある。このような状態を放置しておくと、圧力が上昇し、ガソリンベーパ凝縮容器51が破壊し、内部に充填されているブライン52がガソリンベーパ凝縮容器51の外部に漏洩してしまう可能性がある。また、ブライン52には吸湿性があるため、ガソリンベーパ凝縮容器51を開放してしまうと、ブライン52が膨張し、ガソリンベーパ凝縮容器51の外部に溢れ出す可能性がある。
そこで、ガソリンベーパ凝縮容器51の上部に安全弁60を設置し、このような危険な状態を未然に回避するようにしている。ガソリンベーパ凝縮容器51内部の圧力が所定の圧力(たとえば、0.9[kgf/cm2 ・G])以上となった場合、安全弁60を開放させて、内部のブライン52を大気中へ逃がし、高圧圧力による危険な状態を回避することができる。ただし、安全弁60でブライン52を大気中に逃すようにしているが、ガソリンベーパ凝縮容器51が破壊されることによって発生する危険度に比べて、危険度は低いものとなっている。
なお、安全弁60は、ガソリンベーパ凝縮容器51の内部圧力が高圧状態になるのを防止できるようなものであればよく、種類や個数、大きさ等を特に限定するものではない。また、報知手段を設けて、安全弁60が作動したことを報知するようにしてもよい。さらに、安全弁60が作動した場合には、ガソリンベーパ凝縮容器51の内部が高圧状態になっているために、このような危険な状態を回避するまで、ガソリンベーパ回収装置100の運転を停止させるようにしてもよい。
図9は、ガソリン吸引ポンプ23の吐出側のガソリン吸着用配管29を説明するための説明図である。図9に基づいて、ガソリン吸引ポンプ23の吐出側のガソリン吸着用配管29について説明する。図9に示すように、ガソリン吸引ポンプ23の吐出側のガソリン吸着用配管29にトラップ構造を設け、液化したガソリンの逆流を防止している。ガソリンベーパは、ガソリン凝縮器24に到達するまでに冷却され、液化することがある。この液化したガソリンが、逆流し、ガソリン吸引ポンプ23に流れ込むと、ガソリン吸引ポンプ23が故障する可能性ある。
ガソリン吸引ポンプ23で吸引したガソリンベーパは、2[kgf/cm2 ・G]程度まで圧縮され、ガソリン凝縮器24に流入する。そして、ガソリンベーパは、ガソリン凝縮器24で冷却、凝縮される。その際、圧縮されたガソリンベーパがガソリン吸引ポンプ23の吐出側のガソリン吸着用配管29内で凝縮、液化する可能性や、ガソリン凝縮器24内の液化ガソリンが逆流する可能性がある。そうすると、ガソリン吸引ポンプ23が液化ガソリンを圧縮することになってしまい、故障することになりかねない。そこで、ガソリン吸引ポンプ23の吐出側のガソリン吸着用配管29にトラップ構造を設け、液化したガソリンの逆流を防止している。なお、トラップ構造は、液化したガソリンが逆流しない形状であればよく、U字状やS字状等の形状で構成するとよい。
図10は、ガソリンベーパ凝縮容器51の下部に設置するガソリンベーパ出口配管29bの接続の仕方を説明するための説明図である。図10に基づいて、ガソリンベーパ凝縮容器51の下部に設置するガソリンベーパ出口配管29bの接続の仕方について説明する。これまでは、ガソリンベーパ出口配管29bをガソリンベーパ凝縮容器51に直接ろう付けすることで、ガソリンベーパ出口配管29bを設置するようになっていた。しかしながら、ガソリンベーパ出口配管29bとガソリンベーパ凝縮容器51とは、異種金属で構成されているために、シール性が低下し、密着性が悪くなるとともに、ガソリンベーパ凝縮容器51が変形してしまう可能性があった。
このようなろう付けには、フラックスを使用することが多い。しかしながら、フラックスがガソリンベーパ凝縮容器51内に残留することになると、ガソリンベーパ凝縮容器51の化学的劣化の要因になっていた。そこで、ここでは、ろう付けすることなく、ガソリンベーパ出口配管29bをガソリンベーパ凝縮容器51に設置するようにしている。図10に示すように、ガソリンベーパ凝縮容器51の下部外側に突出しているガソリンベーパ出口配管29bに第1ナット61を取り付ける。この第1ナット61は、ガソリンベーパ凝縮容器51の下部に溶接することで、固定する。なお、第1ナット61は、ガソリンベーパ凝縮容器51と同種金属のものを使用するとよい。
第1ナット61を溶接したら、パッキン62をガソリンベーパ出口配管29bに取り付ける。そして、第2ナット63をパッキン62の下側から取り付ける。このパッキン62は、第1ナット61とガソリンベーパ出口配管29bとの隙間をなくすために設けられる。第2ナット63を締結することによって、ガソリンベーパ出口配管29bを確実に設置することができ、ガソリンベーパ凝縮容器51の歪みや、ブライン回路50内に異物が混入することを防止することができる。
1a 容器、1b 容器、10 ガソリンベーパ凝縮回路、11a 吸脱着塔、11b 吸脱着塔、12a 吸着剤冷却器、12b 吸着剤冷却器、13a 吸着剤、13b 吸着剤、20 ガソリンベーパ吸着回路、21 給油ノズル、22 第1電磁弁、23 ガソリン吸引ポンプ、24 ガソリン凝縮器、25 気液分離器、26a 第2電磁弁、26b 第2電磁弁、27a 第3電磁弁、27b 第3電磁弁、28 第1減圧弁、29 ガソリン吸着用配管、29a ガソリンベーパ入口配管、29b ガソリンベーパ出口配管、30 ガソリンベーパ脱着回路、31 第2減圧弁、32a 第4電磁弁、32b 第4電磁弁、34 脱着ポンプ、35 ガソリン脱着用配管、40 冷媒回路、41 圧縮機、42 凝縮器、43 絞り装置、44 蒸発器、45 冷媒配管、45a 冷媒入口配管、45b 冷媒出口配管、46 送風機、50 ブライン回路、51 ガソリンベーパ凝縮容器、52 ブライン、53 ブラインポンプ、54 ブライン配管、54a ブライン入口、54b ブライン出口、55 液面計、60 安全弁、61 第1ナット、62 パッキン、63 第2ナット、100 ガソリンベーパ回収装置。