JP5267375B2 - 光学フィルム - Google Patents

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Description

本発明は光学フィルムに関する。
光学フィルムは連続的に製造された後、ロール状に巻き取られ、フィルムロールとして取り扱われたり、保存されたりする。巻き取り時におけるフィルム同士の張り付きや巻きズレを防止するために、フィルムの幅手方向両端部にはエンボス部を形成するのが一般的である。エンボス部の形成方法としては、加熱されたエンボスロールをフィルム両端部に押し当てるホットエンボス法が知られている。
しかしながら、エンボス部をホットエンボス法により形成すると、エンボスロールを押し当てる面には凹部が、当該面とは反対側の面には凸部が形成されるため、フィルム巻き取り時に凸部と凹部とが重なり、張り付きや巻きズレを十分に防止できなかった。
光学フィルムは、例えば図4に示すように、光学面保護の観点から基材フィルム110の一方の面111にハードコート層120を有するのが一般的である(特許文献1)。さらにハードコート層120はエンボス部形成時に破壊されるのを回避するため、図4に示すように、フィルム幅手方向WDにおいてエンボス部130の形成領域までは形成されないのが一般的である。そのような光学フィルムにおいて、ハードコート層120が存在すると、エンボス部130の凸部131は、ハードコート層120の厚みの分だけ相対的に低くなるため、巻き取り時におけるフィルム同士の張り付きや巻きズレ防止の観点から、より一層高く形成する必要が生じた。しかしながら、凸部131をホットエンボス法によって、より一層高く形成しようとすると、凹部132がより一層深くなり、エンボス部130に孔開きや破断が発生した。
特開2005−77795号公報
そこで、レーザー光を照射して、基材フィルムにおけるレーザー光照射面のみにエンボス部を形成する試みが本発明の発明者によってなされたが、エンボス部に孔開きや破断が容易に発生した。
本発明は、エンボス部形成時の孔開きや破断の発生が防止され、巻き取り時におけるフィルム同士の張り付きや巻きズレが十分に防止できる光学フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、基材フィルムの一方の面に光学薄膜層を備え、基材フィルムの他方の面のフィルム幅手方向の両端部にエンボス部を有する光学フィルムであって、
光学薄膜層が基材フィルムより高い軟化点を有する樹脂層Aを含み、
樹脂層Aが、フィルム厚み方向から観察されたとき、エンボス部形成面における少なくともエンボス部形成領域と重複するように形成されたことを特徴とする。
本発明の光学フィルムによれば、エンボス形成時の孔開きや破断の発生が防止され、しかも巻き取り時におけるフィルム同士の張り付きや巻きズレが十分に防止できる。
本発明に係る光学フィルムの一実施形態を示す概略断面図である。 本発明に係る光学フィルムの別の一実施形態を示す概略断面図である。 (A)〜(C)はそれぞれ本発明に係る光学フィルムのまた別の一実施形態を示す概略断面図である。 従来の光学フィルムの構成を示す概略断面図である。
[光学フィルム]
本発明に係る光学フィルムは、基材フィルムの一方の面に光学薄膜層を備え、基材フィルムの他方の面のフィルム幅手方向両端部にエンボス部を有するものである。フィルム幅手方向とは、連続的に製造される光学フィルムにおける長手方向(移動方向)に対して垂直であって、フィルム面について平行な方向のことである。本明細書中、特定の方向を意味する用語(例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、およびそれらを含む他の用語)を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明は限定的に解釈されるべきものでない。
以下、図1〜図3を用いて本発明を詳しく説明する。図1、図2、図3(A)〜図3(C)はそれぞれ、本発明に係る光学フィルムが基材フィルムの下面に光学薄膜層を備え、基材フィルムの上面にエンボス部を有するときの一実施形態を示すものである。図1、図2、図3(A)〜図3(C)はフィルム長手方向に対して垂直な概略断面図を示すものであり、共通する符号は同様の部材または同様の意味内容を示すものとする。これらの図において、1は基材フィルム、2は光学薄膜層、3はエンボス部、11は基材フィルム1における光学薄膜層形成面、12は基材フィルム1におけるエンボス部形成面、WDはフィルム幅手方向、ADはフィルム厚み方向を示す。
(基材フィルム)
基材フィルム1は、特に制限されず、例えば、光学フィルムの分野で従来より使用されている公知の樹脂からなるフィルムが使用可能である。具体的には、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム(CAPフィルム)、セルローストリアセテート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムあるいはポリアリレート系フィルム等を挙げることができる。
本発明には、セルローストリアセテートフィルム(TACフィルム)等のセルロースエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム(PCフィルム)、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム及びポリスルホン系フィルムが透明性、機械的性質、光学的異方性がない点などで好ましく、特にセルロースエステルフィルム(TACフィルム)及びPCフィルムが、それらの中でも、製膜性が容易で加工性に優れているため好ましく用いられ、特にTACフィルムを使用するのが好ましい。
基材フィルム1の軟化点(Tm)は、加工性の観点から、通常は150〜250℃であり、好ましくは180〜230℃である。
基材フィルムのTmは、TMA(RIGAKU社製)によって測定できる。
基材フィルム1の膜厚は本発明の目的が達成される限り特に制限されず、通常は10〜150μm、好ましくは20〜120μmである。
基材フィルム1は公知のいかなる方法によって製造されてよく、例えば、いわゆる溶液流延法や溶融流延法等によって製造可能である。
基材フィルム1には紫外線吸収剤、可塑剤、滑り性向上剤(無機微粒子)等の添加剤が含有されていてよい。
基材フィルム1は延伸処理されていてよく、例えば、長手方向および幅手方向それぞれの方向で1.1〜2.0倍に延伸させたものを使用してもよい。
(樹脂層Aを含む光学薄膜層)
光学薄膜層2は、基材フィルム1より高い軟化点を有する樹脂層Aを含むものであり、図1および図2に示すように当該樹脂層Aのみからなっていてもよいし、図3(A)〜(C)に示すように、当該樹脂層Aとともに1以上の他の層(例えば20〜23)を含んでいてもよい。光学薄膜層2を構成する層がいずれも基材フィルム1の軟化点以下の軟化点を有する層であると、エンボス部形成時において孔開きや破断の発生を十分に防止できない。光学薄膜層2が樹脂層Aとともに1以上の他の層からなる場合、当該他の層の数は特に制限されず、通常は、1〜5、好ましくは1または2である。
光学薄膜層2における樹脂層Aのフィルム厚み方向ADの配置は、特に制限されず、例えば、図1,図2,図3(A),図3(B)に示すように、基材フィルム1に最も近い位置であってもよいし、図3(C)に示すように、基材フィルム1から最も遠い位置であってもよいし、または他の層によって挟持される位置であってもよい。孔開きや破断の発生をより一層有効に防止する観点から、光学薄膜層2における樹脂層Aのフィルム厚み方向ADの好ましい配置は、基材フィルム1に最も近い位置である。
樹脂層Aは、フィルム厚み方向ADから観察されたとき、エンボス部形成面12における少なくともエンボス部形成領域50a,50bと重複するように形成され、通常は少なくとも両方のエンボス部形成領域50a,50bおよびそれらの間の領域51と重複するように形成される。すなわち、フィルム幅手方向WDおよび長手方向における樹脂層Aの形成領域を、エンボス部形成面12における少なくともエンボス部形成領域50a,50bの真下とし、通常は少なくとも両方のエンボス部形成領域50a,50bおよびそれらの間の領域51の真下とする。これによって、後で詳述するように、エンボス部3を基材フィルム1における光学薄膜層形成面11とは反対側の面(他方の面)12に非接触式加熱手段で形成しても、樹脂層Aが耐熱層として働き、孔開きや破断の発生が十分に防止されるようになる。しかも、その結果、エンボス部3を構成する凹部31および凸部32はともにエンボス部形成面12に形成され、光学フィルムにおけるエンボス形成面12とは反対側の面には凹部も凸部も形成されないため、巻き取り時におけるフィルム同士の張り付きや巻きズレが十分に防止されるようになる。エンボス部形成領域50a,50bの真下に樹脂層Aが形成されないと、非接触式加熱手段によるエンボス部形成時において孔開きや破断の発生を十分に防止できない。
図1は、樹脂層Aが、フィルム厚み方向ADから観察されたとき、エンボス部形成面12における両方のエンボス部形成領域50a,50bおよびそれらの間の領域51と重複するように形成された光学フィルムの一例を示す。
エンボス部形成領域とは、基材フィルム1のエンボス部形成面12上において、エンボス部3が形成された領域、またはエンボス部3の形成が予定される領域を意味するものとする。
樹脂層Aは、形成容易性の観点から、フィルム厚み方向ADから観察されたとき、エンボス部形成面12の全面と重複するように形成されることが好ましい。すなわち、樹脂層Aはフィルム幅手方向WDおよび長手方向それぞれの基材フィルム1の全長にわたって形成されることが好ましい。
図2および図3(A)〜(C)は、樹脂層Aがフィルム幅手方向WDおよび長手方向それぞれの基材フィルム1の全長にわたって形成された光学フィルムの一例を示す。
樹脂層Aと基材フィルム1との軟化点の差は10℃以上、特に10〜60℃であることが好ましく、より好ましくは30〜50℃である。
樹脂層Aの軟化点は基材フィルム1の軟化点と同様の装置によって測定された値を用いている。
樹脂層Aの膜厚は、本発明の目的が達成される限り特に制限されず、通常は0.1〜30μm、好ましくは1〜20μmである。
樹脂層Aは基材フィルム1との間で上記した軟化点の関係を有する限り、光学フィルムの分野で公知のいかなる光学機能層であってもよい。すなわち、樹脂層Aは、例えば、いわゆるハードコート層、防眩層、反射防止層等であってよい。光学フィルムの設計容易性の観点から好ましい樹脂層Aはハードコート層である。
例えば、樹脂層Aがハードコート層である場合、当該ハードコート層は通常、活性線硬化型樹脂層である。
活性線硬化型樹脂層とは紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応などを経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をいう。活性線硬化型樹脂としては紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂などが代表的なものとして挙げられる。紫外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する樹脂でもよい。紫外線硬化型樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂、およびその他の樹脂モノマー等を挙げることが出来る。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る(例えば特開昭59−151110号公報参照)。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る(例えば、特開昭59−151112号公報参照)。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させたものを挙げることが出来る(例えば、特開平1−105738号公報参照)。この光反応開始剤としては、ベンゾイン誘導体、オキシムケトン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体等のうちから、1種もしくは2種以上を選択して使用することが出来る。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメチルジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート等を挙げることが出来る。
他の樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、酢酸ビニル、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることが出来る。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
紫外線硬化型樹脂としては、例えば、アデカオプトマーKR・BYシリーズ KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B、(以上、旭電化工業社製)あるいはコーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(以上、広栄化学工業社製)、あるいはセイカビーム PHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大日精化工業社製)、あるいはKRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ユーシービー社製)、あるいはRC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(以上、大日本インキ化学工業社製)、あるいはオーレックスNo.340クリヤ(中国塗料社製)、あるいはサンラッド H−601(三洋化成工業社製)、あるいはSP−1509、SP−1507(昭和高分子社製)、あるいはRCC−15C(グレース・ジャパン社製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合成社製)あるいはこの他の市販のものから適宜選択して利用することもできる。
活性線硬化型樹脂層は、活性線硬化型樹脂を含む組成物を、所定の領域に塗布し、乾燥した後、活性線を照射することによって形成できる。特に紫外線硬化型樹脂層は、紫外線硬化型樹脂を含む組成物を、所定の領域に塗布し、乾燥した後、光源より紫外線を照射することによって形成できる。
活性線硬化型樹脂層の塗布組成物の固形分濃度は10〜95質量%であることが好ましく、塗布方法により適当な濃度が選ばれる。
紫外線硬化型樹脂組成物には、所望により、光反応開始剤、溶剤、光増感剤、光反応希釈剤、酸化防止剤、無機あるいは有機の微粒子等が含有される。
光反応開始剤としては、例えば、ベンゾインおよびその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン等が挙げられる。光反応開始剤の含有量は樹脂組成物に対して0.1〜25質量%、特に1〜15質量%が好ましい。
溶剤としては、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の溶媒が使用できる。2種類以上の溶剤を混合して使用することもできる。好ましくは、プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルを用いる。溶剤の含有量は樹脂組成物に対して5〜90質量%、特に10〜80質量%が好ましい。
酸化防止剤としては、光硬化反応を抑制しないようなものを選んで用いることが出来る。例えば、ヒンダードフェノール誘導体、チオプロピオン酸誘導体、ホスファイト誘導体等を挙げることが出来る。具体的には、例えば、4,4’−チオビス(6−t−3−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、ジ−オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルホスフェート等を挙げることが出来る。酸化防止剤の含有量は樹脂組成物に対して0.1〜20質量%、特に0.1〜10質量%が好ましい。
無機あるいは有機の微粒子は、光学フィルムの表面に防眩性を与えたり、他の物質との対密着性を防いだり、対擦り傷性等を高めるたりすることができる。例えば、無機微粒子としては酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等を挙げることができる。有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコーン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を挙げることができる。無機あるいは有機の微粒子の平均粒径としては、0.01〜10μmである。無機あるいは有機の微粒子の含有量は、樹脂組成物に対して、0.1〜10質量%が好ましい。
紫外線硬化型樹脂組成物の塗布方法としては、特に制限されず、公知の塗布方法が採用可能である。塗布方法の具体例として、例えば、グラビアコーター塗布法、ロール塗布法、グラビアロール塗布法、ワイヤーバー塗布法、ブレード塗布法、ダイ塗布法、スライドホッパー塗布法、スプレー塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。塗布量は、ドライ膜厚が樹脂層Aの膜厚として記載した前記範囲内になるような量であればよい。
紫外線硬化型樹脂を光硬化反応により硬化させるための光源としては、特に限定なく使用出来る。例えば、紫外線を発生する光源であれば低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20〜10000mJ/cm程度あればよく、好ましくは、50〜2000mJ/cmである。
照射時間は、紫外線硬化型樹脂の硬化が達成される限り特に制限されず、通常は、例えば、0.5秒〜5分であり、硬化効率、作業効率とから1秒〜2分がより好ましい。
光学薄膜層2を構成する樹脂層A以外の他の層(例えば、図3における20〜23)は特に制限されず、光学フィルムの分野で公知のいかなる光学機能層であってよい。例えば、いわゆる高屈折率層、低屈折率層等であってよい。そのような樹脂層A以外の他の層の軟化点は特に制限されるものではなく、通常200〜350℃、好ましくは220〜300℃である。
樹脂層A以外の他の層の軟化点は基材フィルム1の軟化点と同様の装置によって測定された値を用いている。
(エンボス部)
本発明の光学フィルムは、基材フィルム1における光学薄膜層形成面11とは反対側の面(他方の面)12のフィルム幅手方向両端部にエンボス部3を有する。エンボス部をフィルム幅手方向両端部に有するとは、光学フィルムとして一般的に使用されない両端部にエンボス部が形成されるという意味である。基材フィルム1のエンボス部形成面12における端面からエンボス部3までの距離Lは通常、50mm以下であり、好ましくは1〜30mmである。
本発明の光学フィルムは、エンボス部3を、基材フィルム1の他方の面12のみに有する。すなわち、エンボス部3は凹部31および凸部32を有し、当該凹部31および凸部32がともに前記他方の面12に形成されている。詳しくは、フィルムの長手方向に対して垂直な断面における前記他方の面12において、凹部31の両側に凸部32が形成される。そのような凹部31および凸部32はフィルム長手方向について略平行に連続的または断続的に形成される。
エンボス部3の寸法は本発明の目的が達成される限り特に制限されるものではない。本発明において光学フィルムにおけるエンボス部形成面12に対して反対側の面にはエンボス部に由来する凸部も凹部も形成されないため、エンボス部形成面12に形成される凸部32の高さhは比較的低くても、巻き取り時におけるフィルム同士の張り付きや巻きズレを有効に防止できる。
凹部31の深さdは通常、0.5μm以上、特に0.5〜20μmであり、好ましくは0.5〜10μmである。
凸部32の高さhは通常、3〜30μm、特に3〜25μmであり、好ましくは3〜20μmである。
エンボス部3の幅w(幅手方向長さ)は通常、3〜20mm、好ましくは5〜20mmである。
エンボス部3の凸部間距離wは通常、1〜5mm、好ましくは1〜3mmである。
凹部31の深さdおよび凸部32の高さhはエンボス部形成面12の中央部の高さを基準にしたときの値である。
凸部32の高さh、凹部31の深さd、幅wおよび凸部間距離wは以下の方法によって測定された平均値を用いるものとする。
10ヶ所において光学フィルムを長手方向に対して垂直に切り取って、切り口を光学顕微鏡(キーエンス社製)によって倍率10倍で観察する。
(その他)
本発明の光学フィルムにおけるエンボス部形成面12に対して反対側の面は、凹凸偏差が0.5μm以下、好ましくは0.1μm以下である。すなわち、光学フィルムにおけるエンボス部形成面12に対して反対側の面には、高さが0.5μm以上の凸部および深さが0.5μm以上の凹部は形成されない。
凹凸偏差は以下の方法によって測定された値を用いている。
エンボス形成部を100箇所、垂直方向に切り取って、断面を光学顕微鏡(キーエンス社製)で測定し、その凹凸部の高さの100点の標準偏差から算出した。
光学フィルムにおけるエンボス部形成面12に対して反対側の面における凸部の高さおよび凹部の深さは、エンボス部形成面12における凸部32の高さh等と同様の方法によって測定された値を用いるものとする。
[光学フィルムの実施形態]
本発明の具体的な一実施形態として、光学フィルムが特に図1,図2の構成を有する場合、樹脂層Aを上記ハードコート層とすると、当該光学フィルムはハードコートフィルムとして有用である。
本発明の具体的な別の一実施形態として、光学フィルムが特に図3(A)の構成を有する場合、樹脂層Aを上記ハードコート層とし、他の層20をいわゆる防眩層とすると、当該光学フィルムは防眩フィルムとして有用である。
本発明の具体的なまた別の一実施形態として、光学フィルムが特に図3(B)の構成を有する場合、樹脂層Aを上記ハードコート層とし、他の層21,22をそれぞれいわゆる高屈折率層および低屈折率層とすると、当該光学フィルムは反射防止フィルムとして有用である。
高屈折率層とは、透明フィルム基材の屈折率より高い層を言う。
高屈折率層21は通常、屈折率1.5〜2.2、特に1.5〜2.0を有するものである。
高屈折率層の屈折率を調整する手段は、導電性粒子の種類、添加量が支配的である。
高屈折率層の膜厚は、光学干渉層としての特性から、5nm〜1μmであることが好ましく、10nm〜0.3μmであることがさらに好ましく、30nm〜0.2μmであることが最も好ましい。
高屈折率層の屈折率を調整するのに用いられる導電性粒子について説明する。導電性粒子は、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化亜鉛、インジウム酸スズ(ITO)、アンチモン酸スズ(ATO)、及びアンチモン酸亜鉛よりなる群の中から選ばれた少なくとも1種の導電性微粒子である。導電性粒子は、媒体に分散した分散体の状態で、高屈折率層を形成するための塗布液に供される。分散溶媒の具体例としては、水、アルコール、ケトン、ケトンアルコール、エステル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、アミド、エーテル、エーテルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。
高屈折率層には、エネルギー線硬化型樹脂を導電性粒子のバインダーとして、塗膜の製膜性や物理的特性の向上のために含有させることが好ましい。
高屈折率層を塗布する際に有機溶媒が用いられることが好ましい。
高屈折率層は上記した組成物をグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、またはスプレー塗布、インクジェット塗布等を用いてハードコート層表面にウェット膜厚0.1〜100μmで塗布し、塗布後、加熱乾燥し、必要に応じて硬化して形成される。
低屈折率層とは透明フィルム基材の屈折率よりも低い層をいう。
低屈折率層22は通常、屈折率1.20〜1.45、特に1.30〜1.45を有するものである。
低屈折率層を形成する組成物は、少なくとも光硬化系バインダー、光重合開始剤、中空微粒子、レベリング剤、溶剤を含有することが好ましい。
低屈折率層の膜厚は、光学干渉層としての特性から、5nm〜0.5μmが好ましく、10nm〜0.3μmがより好ましく、30nm〜0.2μmであることが更に好ましい。
低屈折率層は、中空微粒子として、外殻層を有しかつ内部が多孔質または空洞であるシリカ微粒子を含有することが好ましい。このような中空シリカ微粒子の平均粒径は5〜200nm、好ましくは10〜70nmが望ましい。中空シリカ微粒子の粒径は変動係数が1〜40%の単分散であることが好ましい。分散媒としては、水、アルコール、及びケトン、ケトンアルコール、プロピレンモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が好ましい。
低屈折率層を形成する塗布組成物中の固形分濃度は、1〜4質量%であることが好ましく、固形分濃度を4質量%以下とすることによって、塗布ムラが生じにくくなり、1質量%以上とすることによって、乾燥負荷が軽減される。
低屈折率層は、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法を用いて、低屈折率層を形成する上記塗布組成物を塗布し、塗布後、加熱乾燥し、硬化処理することで形成される。塗布量は、ウェット膜厚として0.05〜100μmが適当で、好ましくは、0.1〜50μmである。また、ドライ膜厚が上記膜厚となるように塗布組成物の固形分濃度は調整される。
硬化方法としては、加熱することによって熱硬化させる方法、紫外線等の光照射によって硬化させる方法などが挙げられる。熱硬化させる場合は、加熱温度は50〜300℃が好ましく、好ましくは60〜250℃、更に好ましくは80〜150℃である。光照射によって硬化させる場合は、照射光の露光量は10mJ/cm〜10J/cmであることが好ましく、100mJ/cm〜500mJ/cmがより好ましい。
本発明の具体的なさらに別の一実施形態として、光学フィルムが特に図3(C)の構成を有する場合、樹脂層Aを上記ハードコート層とし、他の層23を中間層とすると、当該光学フィルムはハードコートフィルムとして有用である。
[光学フィルムの製造方法]
本発明に係る光学フィルムは、基材フィルム1の一方の面11に、上記した光学薄膜層2の各層を、上記した方法で形成した後、基材フィルム1の他方の面12のフィルム幅手方向両端部にエンボス部3を形成することによって製造できる。
具体的には、本発明に係る光学フィルムは、基材フィルム1の一方の面11に光学薄膜層2のうち少なくとも樹脂層Aまでの層を形成した後、フィルム幅手方向の両端部における基材フィルム1の他方の面12にエンボス部3を形成することによって製造できる。
光学薄膜層2のうち少なくとも樹脂層Aまでの層を形成するとは、光学薄膜層2のうち樹脂層Aが基材フィルム1に最も近い層である場合(例えば、図1,図2,図3(A),図3(B))は樹脂層Aを形成するという意味であり、光学薄膜層2が樹脂層Aよりも基材フィルム1に近い層を1層以上で有する場合(例えば、図3(C))は当該全ての近い層を形成した後、樹脂層Aを形成するという意味である。光学薄膜層2が樹脂層Aよりも基材フィルム1から遠い層を1層以上で有する場合(例えば、図3(A),図3(B))において、当該1層以上の遠い層はそれぞれ独立して、樹脂層Aの形成後であって、エンボス部3の形成前に形成されてもよいし、または樹脂層Aを形成し、エンボス部3を形成した後に形成されてもよい。
樹脂層Aは、前記したように、フィルム厚み方向ADから観察されたとき、エンボス部形成面12における少なくともエンボス部形成領域50a,50bと重複するように形成されるが、樹脂層A形成時において、エンボス部は未だ形成されていないので、後で形成される予定のエンボス部形成領域50a,50bを想定して、樹脂層Aが形成されればよい。
エンボス部3は、詳しくは、長手方向に搬送されるフィルムにおいて、フィルム幅手方向の両端部における基材フィルム1の他方の面12に、非接触式加熱手段を適用することによって形成される。エンボス部3は当該他方の面12に非接触式加熱手段によって形成されるので、エンボス部3の凹部31および凸部32はともに基材フィルム1の他方の面12に形成される。他の加熱手段、例えば、ホットエンボスローラ等を用いてエンボス部を形成すると、エンボスローラとの接触面には凹部が、当該接触面とは反対側の面には凸部が形成されるので、結果としてエンボス部は光学フィルムの表裏にわたって形成される。
非接触加熱手段は、基材フィルムに対して非接触で加熱することによって、凹凸を付与できるものであれば、特に限定されず、通常は光照射手段が使用される。
光照射手段としては、基材フィルムを局所的に溶融可能な光を照射できるものであればよく、例えば、レーザー光照射手段、干渉光露光手段が挙げられる。光強度の観点から好ましい光照射手段はレーザー光照射手段である。
光照射手段、特にレーザー光照射手段によって照射される光は、光照射方向に垂直な方向の断面形状が通常、円形である。そのような光が照射されると、中心部は温度が比較的高くなるためフィルム材料が蒸発するが、周辺部は温度が比較的低くなるためフィルム材料は融解状態に留まる。その結果、中心部の蒸発の反作用で、周辺部の融解領域が押しやられ、凹部と凸部が形成されるものと考えられる。
レーザー光照射手段の具体例として、例えば、炭酸ガスレーザー光照射装置、YAGレーザー光照射装置、Arレーザー光照射装置、エキシマレーザー光照射装置等が挙げられる。
光照射手段の照射条件は基材フィルムへの照射によって上記した凸部および凹部を付与できれば特に制限されず、例えば、炭酸ガスレーザー光照射装置を使用する場合、搬送速度が100m/分のとき、光強度は10〜100W、特に10〜80Wとすることが好ましい。
(実施例1)
図2に示すような構成を有するハードコートフィルムを製造した。
まず、溶液流延製膜法によりトリアセチルセルロースフィルム(基材フィルム1)を製膜した。詳しくはドープ液を調製し、搬送速度60m/分のベルト支持体に溶液流涎しながら乾燥した後、ベルトから剥離した。次いで、剥離したフィルムを、テンターで延伸した後、120℃の乾燥工程で乾燥させ、フィルム幅1430mm、膜厚80μmの基材フィルムを製造した。
次いで、連続的に基材フィルム1の一方の面11全面にハードコート層Aを形成した。詳しくは基材フィルム1を搬送速度20m/分で搬送しながら、紫外線硬化型樹脂層形成用塗布液を基材フィルム1の一方の面にマイクログラビアコーターを用いて塗布し、90℃で乾燥の後、紫外線ランプを用いて紫外線を照射し、塗布層を硬化させ、ドライ膜厚10μmの紫外線硬化型樹脂層(ハードコート層)Aを形成した。ハードコート層を形成したフィルムを、ハードコートフィルムと呼ぶものとする。紫外線照射部の照度は100mW/cmであり、照射量は0.2J/cmであった。基材フィルムの軟化点は260℃、ハードコート層の軟化点は300℃であった。
紫外線硬化型樹脂層形成用塗布液は以下の方法で調製した。
下記紫外線硬化型樹脂組成物材料を攪拌、溶解した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、紫外線硬化型樹脂層形成用塗布液を調製した。
ペンタエリスリトールトリアクリレート 20質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 60質量部
ウレタンアクリレート(新中村化学工業社製 商品名U−4HA) 50質量部
イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 20質量部
イルガキュア907(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 12質量部
ポリエーテル変性シリコーンオイル(信越化学社製;KF−351) 0.8質量部
ポリオキシアルキルエーテル(花王社製;エマルゲン1108) 1.0質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 110質量部
酢酸エチル 110質量部
次いで、連続的に基材フィルム1の他方の面12の幅手方向両端部に対してレーザー光照射手段を用いてエンボス加工を施した。詳しくは、ハードコートフィルムを搬送速度20m/分で搬送しながら、炭酸ガスレーザー装置(波長10.6μm、出力60W)を用いてレーザー光を40Wの出力(光強度)で照射してエンボス部3を形成し、長手方向長5000mで巻き取り、フィルムロールを得た。エンボス部3のフィルム端面からの距離Lは15mmであった。エンボス部3において、凹部31の深さdは3μm、凸部32の高さhは10μm、エンボス部3の幅w(幅手方向長さ)は10mm、凸部間距離wは2mmであった。光学フィルムにおけるエンボス形成面12とは反対側の面(ハードコート層の表面)に凹凸は形成されず、裏面形状は0.1μm以下の凹凸偏差に収まった。フィルムのエンボス部には孔開きや破断の発生はなかった。また巻きズレの発生はなかった。フィルムロールを80℃で100時間放置した後、フィルムを巻きだしたところ、フィルム同士の張り付きは発生しなかった。
(実施例2)
エンボス加工工程でレーザー光を30Wの出力(光強度)で照射したこと以外、実施例1と同様の方法により、フィルムを製造し、フィルムロールを得た。エンボス部3のフィルム端面からの距離Lは15mmであった。エンボス部3において、凹部31の深さdは2μm、凸部32の高さhは8μm、エンボス部3の幅w(幅手方向長さ)は10mm、凸部間距離wは1mmであった。光学フィルムにおけるエンボス形成面12とは反対側の面(ハードコート層の表面)に凹凸は形成されず、裏面形状は0.1μm以下の凹凸偏差に収まった。フィルムのエンボス部には孔開きや破断の発生はなかった。また巻きズレの発生はなかった。フィルムロールを80℃で100時間放置した後、フィルムを巻きだしたところ、フィルム同士の張り付きは発生しなかった。
(実施例3)
図3(B)に示すような構成を有する反射防止フィルムを製造した。
詳しくは、実施例2においてエンボス加工を行った後、連続的に、フィルムにおけるエンボス形成面12とは反対側の面(ハードコート層の表面)全面に高屈折率層を形成した。具体的には、ハードコートフィルムを搬送速度20m/分で搬送しながら、ハードコート層の表面に、高屈折率層形成用塗布組成物を押し出しコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥させ、次いで紫外線を0.15J/cm照射して硬化させ、厚さが78nmとなるように高屈折率層を設けた。この高屈折率層の屈折率は、1.6であり、軟化点は255℃であった。
高屈折率層形成用塗布組成物は以下の方法で調製した。
まず、粒子分散液Aを作製した。詳しくはメタノール分散アンチモン複酸化物コロイド(固形分60%、日産化学工業(株)製アンチモン酸亜鉛ゾル、商品名:セルナックスCX−Z610M−F2)6.0kgにイソプロピルアルコール12.0kgを、攪拌しながら徐々に添加し、粒子分散液Aを調製した。
次いで、下記材料を攪拌、溶解して、高屈折率層形成用塗布組成物を調製した。
PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル) 40質量部
イソプロピルアルコール 25質量部
メチルエチルケトン 25質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 0.9質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 1.0質量部
ウレタンアクリレート(商品名:U−4HA;新中村化学工業社製) 0.6質量部
イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.4質量部
粒子分散液A 20質量部
イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.2質量部
シリコーン系界面活性剤(FZ−2207、日本ユニカー(株)製)の10%プロピレングリコールモノメチルエーテル液 0.4質量部
次いで、連続的に高屈折率層の表面全面に低屈折率層を形成し、反射防止フィルムを得た。詳しくは、低屈折率層を形成したハードコートフィルムを搬送速度20m/分で搬送しながら、高屈折率層の表面に、低屈折率層形成用塗布組成物を押し出しコーターで塗布し、100℃で1分間乾燥させた後、紫外線を0.15J/cm照射して硬化させ、更に120℃で5分間熱硬化させ、厚さ95nmとなるように低屈折率層を設け、反射防止フィルムを得た。この低屈折率層の屈折率は1.37であり、軟化点は260℃であった。
低屈折率層形成用塗布組成物は以下の方法で調製した。
まず、テトラエトキシシラン加水分解物Aを調製した。詳しくはテトラエトキシシラン230gとエタノール440gを混合し、これに2%酢酸水溶液120gを添加した後に、室温(25℃)にて18時間攪拌することでテトラエトキシシラン加水分解物Aを調製した。
次いで、下記材料を攪拌、溶解して、低屈折率層形成用塗布組成物を調製した。
プロピレングリコールモノメチルエーテル 430質量部
イソプロピルアルコール 430質量部
テトラエトキシシラン加水分解物A 120質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業社製) 4質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子ゾル(固形分20%、触媒化成工業社製シリカゾル、商品名:ELCOM V−8209) 45質量部
アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート 3質量部
シリコーン系界面活性剤(FZ−2207、日本ユニカー(株)製)の10%プロピレングリコールモノメチルエーテル液 3質量部
酢酸 4質量部
次いで、反射防止フィルムを連続的に、長手方向長5000mで巻き取り、フィルムロールを得た。巻きズレの発生はなかった。フィルムロールを80℃で100時間放置した後、フィルムを巻きだしたところ、フィルム同士の張り付きは発生しなかった。
(比較例1)
基材フィルム1の一方の面11における一方の端部のエンボス部形成領域50aと他方の端部のエンボス部形成領域50bとの間の領域51のみ(領域50aと領域50bとは含まない)にハードコート層を形成したこと以外、実施例1と同様の方法により、フィルムを製造し、フィルムロールを得た。フィルムのエンボス部に孔開きや破断が発生した。また巻きズレが発生した。フィルムロールを80℃で100時間放置した後、フィルムを巻きだしたところ、フィルム同士の張り付きが発生した。
(比較例2)
ハードコート層の代わりに軟化点250℃の樹脂層を以下の方法により形成したこと以外、実施例1と同様の方法により、フィルムを製造し、フィルムロールを得た。フィルムのエンボス部に孔開きや破断が発生した。また巻きズレが発生した。フィルムロールを80℃で100時間放置した後、フィルムを巻きだしたところ、フィルム同士の張り付きが発生した。
・樹脂層の形成
ペンタエリスリトールトリアクリレートおよびペンタエリスリトールテトラアクリレートの代わりに、ポリエステルアクリレート 2質量部を用いたこと以外、実施例1のハードコート層と同様の方法により樹脂層を形成した。
本発明に係る光学フィルムは、ディスプレイ用表面保護フィルムとして特に有用である。
1;基材フィルム
2;光学薄膜層
A;樹脂層A
3;エンボス部
11;一方の面(基材フィルムにおける光学薄膜層形成面)
12;他方の面(基材フィルムにおけるエンボス部形成面)
20;21;22;23;光学薄膜層を構成する樹脂層A以外の他の層
31;凹部
32;凸部
50a;50b;エンボス部形成領域
110;基材フィルム
120;樹脂層
130;エンボス部
131;凸部
132;凹部

Claims (12)

  1. 基材フィルムの一方の面に光学薄膜層を備え、基材フィルムの他方の面のフィルム幅手方向両端部にエンボス部を有する光学フィルムであって、
    光学薄膜層が基材フィルムより高い軟化点を有する樹脂層Aを含み、
    樹脂層Aが、フィルム厚み方向から観察されたとき、エンボス部形成面における少なくともエンボス部形成領域と重複するように形成されたことを特徴とする光学フィルム。
  2. 樹脂層Aがフィルム幅手方向および長手方向それぞれの基材フィルムの全長にわたって形成されたことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 樹脂層Aと基材フィルムとの軟化点の差が10℃以上である請求項1または2に記載の光学フィルム。
  4. 樹脂層Aがハードコート層である請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム。
  5. ハードコート層が活性線硬化型樹脂層である請求項4に記載の光学フィルム。
  6. エンボス部が凹部および凸部を有し、該凹部および凸部がともに前記他方の面に形成された請求項1〜5のいずれかに記載の光学フィルム。
  7. 凹部の深さdが0.5μm以上であり、凸部の高さhが3〜30μmである請求項6に記載の光学フィルム。
  8. 光学フィルムにおけるエンボス部形成面に対して反対側の面の凹凸偏差が0.5μm以下である請求項1〜7のいずれかに記載の光学フィルム。
  9. 基材フィルムの膜厚が10〜150μmである請求項1〜8のいずれかに記載の光学フィルム。
  10. エンボス部が非接触式加熱手段によって形成された請求項1〜9のいずれかに記載の光学フィルム。
  11. 非接触式加熱手段が光照射手段である請求項10に記載の光学フィルム。
  12. 光照射手段がレーザー光照射手段である請求項11に記載の光学フィルム。
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