JP5267375B2 - 光学フィルム - Google Patents
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Description
光学薄膜層が基材フィルムより高い軟化点を有する樹脂層Aを含み、
樹脂層Aが、フィルム厚み方向から観察されたとき、エンボス部形成面における少なくともエンボス部形成領域と重複するように形成されたことを特徴とする。
本発明に係る光学フィルムは、基材フィルムの一方の面に光学薄膜層を備え、基材フィルムの他方の面のフィルム幅手方向両端部にエンボス部を有するものである。フィルム幅手方向とは、連続的に製造される光学フィルムにおける長手方向(移動方向)に対して垂直であって、フィルム面について平行な方向のことである。本明細書中、特定の方向を意味する用語(例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、およびそれらを含む他の用語)を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明は限定的に解釈されるべきものでない。
基材フィルム1は、特に制限されず、例えば、光学フィルムの分野で従来より使用されている公知の樹脂からなるフィルムが使用可能である。具体的には、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム(CAPフィルム)、セルローストリアセテート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムあるいはポリアリレート系フィルム等を挙げることができる。
基材フィルムのTmは、TMA(RIGAKU社製)によって測定できる。
光学薄膜層2は、基材フィルム1より高い軟化点を有する樹脂層Aを含むものであり、図1および図2に示すように当該樹脂層Aのみからなっていてもよいし、図3(A)〜(C)に示すように、当該樹脂層Aとともに1以上の他の層(例えば20〜23)を含んでいてもよい。光学薄膜層2を構成する層がいずれも基材フィルム1の軟化点以下の軟化点を有する層であると、エンボス部形成時において孔開きや破断の発生を十分に防止できない。光学薄膜層2が樹脂層Aとともに1以上の他の層からなる場合、当該他の層の数は特に制限されず、通常は、1〜5、好ましくは1または2である。
図1は、樹脂層Aが、フィルム厚み方向ADから観察されたとき、エンボス部形成面12における両方のエンボス部形成領域50a,50bおよびそれらの間の領域51と重複するように形成された光学フィルムの一例を示す。
図2および図3(A)〜(C)は、樹脂層Aがフィルム幅手方向WDおよび長手方向それぞれの基材フィルム1の全長にわたって形成された光学フィルムの一例を示す。
本発明の光学フィルムは、基材フィルム1における光学薄膜層形成面11とは反対側の面(他方の面)12のフィルム幅手方向両端部にエンボス部3を有する。エンボス部をフィルム幅手方向両端部に有するとは、光学フィルムとして一般的に使用されない両端部にエンボス部が形成されるという意味である。基材フィルム1のエンボス部形成面12における端面からエンボス部3までの距離Lは通常、50mm以下であり、好ましくは1〜30mmである。
凸部32の高さhは通常、3〜30μm、特に3〜25μmであり、好ましくは3〜20μmである。
エンボス部3の幅w1(幅手方向長さ)は通常、3〜20mm、好ましくは5〜20mmである。
エンボス部3の凸部間距離w2は通常、1〜5mm、好ましくは1〜3mmである。
凸部32の高さh、凹部31の深さd、幅w1および凸部間距離w2は以下の方法によって測定された平均値を用いるものとする。
10ヶ所において光学フィルムを長手方向に対して垂直に切り取って、切り口を光学顕微鏡(キーエンス社製)によって倍率10倍で観察する。
本発明の光学フィルムにおけるエンボス部形成面12に対して反対側の面は、凹凸偏差が0.5μm以下、好ましくは0.1μm以下である。すなわち、光学フィルムにおけるエンボス部形成面12に対して反対側の面には、高さが0.5μm以上の凸部および深さが0.5μm以上の凹部は形成されない。
エンボス形成部を100箇所、垂直方向に切り取って、断面を光学顕微鏡(キーエンス社製)で測定し、その凹凸部の高さの100点の標準偏差から算出した。
本発明の具体的な一実施形態として、光学フィルムが特に図1,図2の構成を有する場合、樹脂層Aを上記ハードコート層とすると、当該光学フィルムはハードコートフィルムとして有用である。
高屈折率層21は通常、屈折率1.5〜2.2、特に1.5〜2.0を有するものである。
高屈折率層の屈折率を調整する手段は、導電性粒子の種類、添加量が支配的である。
高屈折率層の膜厚は、光学干渉層としての特性から、5nm〜1μmであることが好ましく、10nm〜0.3μmであることがさらに好ましく、30nm〜0.2μmであることが最も好ましい。
高屈折率層を塗布する際に有機溶媒が用いられることが好ましい。
低屈折率層22は通常、屈折率1.20〜1.45、特に1.30〜1.45を有するものである。
低屈折率層の膜厚は、光学干渉層としての特性から、5nm〜0.5μmが好ましく、10nm〜0.3μmがより好ましく、30nm〜0.2μmであることが更に好ましい。
本発明に係る光学フィルムは、基材フィルム1の一方の面11に、上記した光学薄膜層2の各層を、上記した方法で形成した後、基材フィルム1の他方の面12のフィルム幅手方向両端部にエンボス部3を形成することによって製造できる。
図2に示すような構成を有するハードコートフィルムを製造した。
まず、溶液流延製膜法によりトリアセチルセルロースフィルム(基材フィルム1)を製膜した。詳しくはドープ液を調製し、搬送速度60m/分のベルト支持体に溶液流涎しながら乾燥した後、ベルトから剥離した。次いで、剥離したフィルムを、テンターで延伸した後、120℃の乾燥工程で乾燥させ、フィルム幅1430mm、膜厚80μmの基材フィルムを製造した。
下記紫外線硬化型樹脂組成物材料を攪拌、溶解した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、紫外線硬化型樹脂層形成用塗布液を調製した。
ペンタエリスリトールトリアクリレート 20質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 60質量部
ウレタンアクリレート(新中村化学工業社製 商品名U−4HA) 50質量部
イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 20質量部
イルガキュア907(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 12質量部
ポリエーテル変性シリコーンオイル(信越化学社製;KF−351) 0.8質量部
ポリオキシアルキルエーテル(花王社製;エマルゲン1108) 1.0質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 110質量部
酢酸エチル 110質量部
エンボス加工工程でレーザー光を30Wの出力(光強度)で照射したこと以外、実施例1と同様の方法により、フィルムを製造し、フィルムロールを得た。エンボス部3のフィルム端面からの距離Lは15mmであった。エンボス部3において、凹部31の深さdは2μm、凸部32の高さhは8μm、エンボス部3の幅w1(幅手方向長さ)は10mm、凸部間距離w2は1mmであった。光学フィルムにおけるエンボス形成面12とは反対側の面(ハードコート層の表面)に凹凸は形成されず、裏面形状は0.1μm以下の凹凸偏差に収まった。フィルムのエンボス部には孔開きや破断の発生はなかった。また巻きズレの発生はなかった。フィルムロールを80℃で100時間放置した後、フィルムを巻きだしたところ、フィルム同士の張り付きは発生しなかった。
図3(B)に示すような構成を有する反射防止フィルムを製造した。
詳しくは、実施例2においてエンボス加工を行った後、連続的に、フィルムにおけるエンボス形成面12とは反対側の面(ハードコート層の表面)全面に高屈折率層を形成した。具体的には、ハードコートフィルムを搬送速度20m/分で搬送しながら、ハードコート層の表面に、高屈折率層形成用塗布組成物を押し出しコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥させ、次いで紫外線を0.15J/cm2照射して硬化させ、厚さが78nmとなるように高屈折率層を設けた。この高屈折率層の屈折率は、1.6であり、軟化点は255℃であった。
まず、粒子分散液Aを作製した。詳しくはメタノール分散アンチモン複酸化物コロイド(固形分60%、日産化学工業(株)製アンチモン酸亜鉛ゾル、商品名:セルナックスCX−Z610M−F2)6.0kgにイソプロピルアルコール12.0kgを、攪拌しながら徐々に添加し、粒子分散液Aを調製した。
PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル) 40質量部
イソプロピルアルコール 25質量部
メチルエチルケトン 25質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 0.9質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 1.0質量部
ウレタンアクリレート(商品名:U−4HA;新中村化学工業社製) 0.6質量部
イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.4質量部
粒子分散液A 20質量部
イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.2質量部
シリコーン系界面活性剤(FZ−2207、日本ユニカー(株)製)の10%プロピレングリコールモノメチルエーテル液 0.4質量部
まず、テトラエトキシシラン加水分解物Aを調製した。詳しくはテトラエトキシシラン230gとエタノール440gを混合し、これに2%酢酸水溶液120gを添加した後に、室温(25℃)にて18時間攪拌することでテトラエトキシシラン加水分解物Aを調製した。
プロピレングリコールモノメチルエーテル 430質量部
イソプロピルアルコール 430質量部
テトラエトキシシラン加水分解物A 120質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業社製) 4質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子ゾル(固形分20%、触媒化成工業社製シリカゾル、商品名:ELCOM V−8209) 45質量部
アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート 3質量部
シリコーン系界面活性剤(FZ−2207、日本ユニカー(株)製)の10%プロピレングリコールモノメチルエーテル液 3質量部
酢酸 4質量部
基材フィルム1の一方の面11における一方の端部のエンボス部形成領域50aと他方の端部のエンボス部形成領域50bとの間の領域51のみ(領域50aと領域50bとは含まない)にハードコート層を形成したこと以外、実施例1と同様の方法により、フィルムを製造し、フィルムロールを得た。フィルムのエンボス部に孔開きや破断が発生した。また巻きズレが発生した。フィルムロールを80℃で100時間放置した後、フィルムを巻きだしたところ、フィルム同士の張り付きが発生した。
ハードコート層の代わりに軟化点250℃の樹脂層を以下の方法により形成したこと以外、実施例1と同様の方法により、フィルムを製造し、フィルムロールを得た。フィルムのエンボス部に孔開きや破断が発生した。また巻きズレが発生した。フィルムロールを80℃で100時間放置した後、フィルムを巻きだしたところ、フィルム同士の張り付きが発生した。
ペンタエリスリトールトリアクリレートおよびペンタエリスリトールテトラアクリレートの代わりに、ポリエステルアクリレート 2質量部を用いたこと以外、実施例1のハードコート層と同様の方法により樹脂層を形成した。
2;光学薄膜層
A;樹脂層A
3;エンボス部
11;一方の面(基材フィルムにおける光学薄膜層形成面)
12;他方の面(基材フィルムにおけるエンボス部形成面)
20;21;22;23;光学薄膜層を構成する樹脂層A以外の他の層
31;凹部
32;凸部
50a;50b;エンボス部形成領域
110;基材フィルム
120;樹脂層
130;エンボス部
131;凸部
132;凹部
Claims (12)
- 基材フィルムの一方の面に光学薄膜層を備え、基材フィルムの他方の面のフィルム幅手方向両端部にエンボス部を有する光学フィルムであって、
光学薄膜層が基材フィルムより高い軟化点を有する樹脂層Aを含み、
樹脂層Aが、フィルム厚み方向から観察されたとき、エンボス部形成面における少なくともエンボス部形成領域と重複するように形成されたことを特徴とする光学フィルム。 - 樹脂層Aがフィルム幅手方向および長手方向それぞれの基材フィルムの全長にわたって形成されたことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
- 樹脂層Aと基材フィルムとの軟化点の差が10℃以上である請求項1または2に記載の光学フィルム。
- 樹脂層Aがハードコート層である請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム。
- ハードコート層が活性線硬化型樹脂層である請求項4に記載の光学フィルム。
- エンボス部が凹部および凸部を有し、該凹部および凸部がともに前記他方の面に形成された請求項1〜5のいずれかに記載の光学フィルム。
- 凹部の深さdが0.5μm以上であり、凸部の高さhが3〜30μmである請求項6に記載の光学フィルム。
- 光学フィルムにおけるエンボス部形成面に対して反対側の面の凹凸偏差が0.5μm以下である請求項1〜7のいずれかに記載の光学フィルム。
- 基材フィルムの膜厚が10〜150μmである請求項1〜8のいずれかに記載の光学フィルム。
- エンボス部が非接触式加熱手段によって形成された請求項1〜9のいずれかに記載の光学フィルム。
- 非接触式加熱手段が光照射手段である請求項10に記載の光学フィルム。
- 光照射手段がレーザー光照射手段である請求項11に記載の光学フィルム。
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