JP2013186455A - ハードコートフィルム製造方法 - Google Patents

ハードコートフィルム製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013186455A
JP2013186455A JP2012054256A JP2012054256A JP2013186455A JP 2013186455 A JP2013186455 A JP 2013186455A JP 2012054256 A JP2012054256 A JP 2012054256A JP 2012054256 A JP2012054256 A JP 2012054256A JP 2013186455 A JP2013186455 A JP 2013186455A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
resin film
irradiation
hard coat
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012054256A
Other languages
English (en)
Inventor
Masafusa Murakami
正房 村上
Tsutomu Kurokoshi
努 黒越
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tomoegawa Co Ltd
Original Assignee
Tomoegawa Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tomoegawa Paper Co Ltd filed Critical Tomoegawa Paper Co Ltd
Priority to JP2012054256A priority Critical patent/JP2013186455A/ja
Publication of JP2013186455A publication Critical patent/JP2013186455A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Abstract

【課題】製造効率を低下させることなくハードコートフィルムにシワを生じ難くすることができるハードコートフィルム製造方法を提供する。
【解決手段】搬送中の樹脂フィルムFに、溶剤が添加された光硬化型樹脂を塗布する塗布工程と、搬送中の樹脂フィルムFのうち塗布工程を経た部分を加熱することで、該部分に塗布されている光硬化型樹脂から溶剤を除去し、光硬化型塗膜を該部分に形成する乾燥工程と、上流側照射範囲に所定の光線を照射し、樹脂フィルムFのうち光硬化型塗膜が形成された部分を、上流側照射範囲に通し、光硬化型塗膜のうち表面側の部分のみを硬化させる上流側照射工程と、樹脂フィルムFのうち上流側照射範囲を通過した部分を、所定の光線が照射されている下流側照射範囲に通し、光硬化型塗膜のうち未硬化の部分を硬化させてハードコート層を得る下流側照射工程とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、長尺の樹脂フィルムをこの樹脂フィルムの長手方向に搬送しながらハードコート層を樹脂フィルムに積層させるハードコートフィルム製造方法に関する。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の各種デイスプレイの表面には、ディスプレイの表面を保護して傷付きを防止するハードコートフィルムが設けられることが多い。このハードコートフィルムは、トリアセチルセルロース(以下、「TAC」という。)やポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」という。)等の樹脂フィルムに、電離放射線硬化型樹脂等の光硬化型樹脂を主成分とするハードコート層が積層されて構成されている。なお、ハードコートフィルムには、傷付防止以外の機能が付与されたものもあり、例えば、ハードコート層にフィラーを含有させることで表面に凹凸を形成し、外光(蛍光灯の光や太陽光等)の映り込みを抑える防眩性を付与したハードコートフィルムもある。また、高屈折微粒子を含有したハードコート層に低屈折率層を積層して、低屈折率層の表面で反射する表面反射光と、ハードコート層と低屈折率層の界面で反射する界面反射光の位相を逆転させ打ち消し合うことで反射光を軽減する反射防止機能を有する反射防止フィルムもある。本発明においては、樹脂フィルム上に隣接してハードコート層を積層したものをハードコートフィルムという。
これらのハードコートフィルムは、一般的に、長尺の樹脂フィルムをこの樹脂フィルムの長手方向に搬送しながら光硬化型樹脂を塗布し、塗布した光硬化型樹脂を乾燥させることによって光硬化型塗膜を形成した後に、紫外線等の光線を照射することで光硬化型塗膜を硬化させて製造される。ここで、光線の照射により光硬化型樹脂が硬化する際、光硬化型樹脂の硬化収縮によりハードコートフィルムに長手方向に延びたシワが生じてしまう場合がある。ハードコートフィルムにシワが生じてしまうと、均一な光学特性が得られにくくなり、光学的な欠点になってしまう。
図4を用いて、上述のハードコートフィルムの一般的な製造方法において、ハードコートフィルムにシワが生じてしまう現象を説明する。
図4は、ハードコートフィルムにシワが生じてしまう現象を説明するための概念図である。図4では、塗布工程で樹脂フィルム上に光硬化型樹脂が塗布され、乾燥工程を経て光硬化型塗膜が形成された樹脂フィルムFが、図4の矢印で示されるように所定の搬送経路に搬送されている。樹脂フィルムFは、搬送経路上流側から、第一ガイドロール8a、照射用ロール9a、第二ガイドロール8bの順に巻き掛けられている。この樹脂フィルムFにおける照射用ロール9aに巻き掛けられた部分に紫外線照射装置9の紫外線ランプ92から紫外線が照射されることで、樹脂フィルムF上の光硬化型塗膜が硬化する。この光硬化型塗膜が硬化する際の反応(架橋)によって、光硬化型塗膜は樹脂フィルムFの幅方向に硬化収縮する。また、光硬化型塗膜が硬化する際に生じた熱により、樹脂フィルムFも幅方向に熱収縮する。これらにより、樹脂フィルムFの幅方向中央部にシワWが生じ、このシワWが、光硬化型塗膜が硬化したハードコートフィルムの幅方向中央部に残ってしまう場合がある。ハードコートフィルムの幅方向中央部に生じるシワは、光硬化型塗膜の硬化収縮と樹脂フィルムの熱収縮による応力がハードコートフィルムの幅方向中央部に集中し、この応力の逃げ場がなくなって生じるシワと考えられる。樹脂フィルムFは、長手方向に搬送されるため、このシワが樹脂フィルムFの長手方向に連続して生じ、製品となるハードコートフィルムにシワが残ってしまう場合がある。なお、樹脂フィルムの膜厚を厚くして、樹脂フィルムに光硬化型塗膜の硬化収縮による応力に負けない程度の強度を持たせれば、ハードコートフィルムに生じるシワを抑えることができるようにも考えられる。ところが、昨今では、コスト等の関係から、樹脂フィルムは薄膜化の傾向にあり、樹脂フィルムの膜厚を厚くすることが難しいのが現状である。
一方、樹脂フィルムの膜厚を厚くしなくてもシワの発生を防止することができる製造方法も提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1に記載された光学フィルムの製造方法では、TACフィルム等の樹脂フィルム上に紫外線硬化樹脂を塗布して塗膜を形成し、紫外線照射時の塗膜の単位時間当たりの温度変化を、所定の範囲内とすることで、塗膜の急激な温度上昇を防ぎ、フィルムのシワ等の発生を抑制しようとしている。
特開2009−034620号公報
しかしながら、光硬化型塗膜を硬化させるためには所定の積算光量が必要であり、塗膜の急激な温度上昇を防ぐためには、紫外線強度を落として光硬化型塗膜を時間をかけてゆっくりと硬化させることになる。このため、樹脂フィルムの搬送速度を落とす必要が生じ、製造効率が低下してしまう。なお、以上の説明では、樹脂フィルムを搬送しながらその樹脂フィルムの上にハードコート層を積層させる方法について説明したが、これに限らず、樹脂フィルムを搬送させずに樹脂フィルムの上にハードコート層を積層させる方法であっても、紫外線強度を落として光硬化型塗膜を時間をかけてゆっくりと硬化させようとすると製造効率が低下してしまうことに変わりはない。
本発明は上記事情に鑑み、製造効率を低下させることなくハードコートフィルムにシワを生じ難くすることができるハードコートフィルム製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を解決する本発明のハードコートフィルム製造方法は、長尺の樹脂フィルムを該樹脂フィルムの長手方向に搬送しながら該樹脂フィルムよりも硬いハードコート層を該樹脂フィルムに積層させるハードコートフィルム製造方法において、
搬送中の前記樹脂フィルムに、溶剤が添加された光硬化型樹脂を塗布する塗布工程と、
搬送中の前記樹脂フィルムのうち前記塗布工程を経た部分を加熱することで、該部分に塗布されている前記光硬化型樹脂から前記溶剤を除去し、光硬化型塗膜を該部分に形成する乾燥工程と、
上流側照射範囲に所定の光線を照射し、前記樹脂フィルムのうち前記光硬化型塗膜が形成された部分を、該上流側照射範囲に通し、該光硬化型塗膜のうち表面側の部分のみを硬化させる上流側照射工程と、
下流側照射範囲に所定の光線を照射し、前記樹脂フィルムのうち前記上流側照射範囲を通過した部分を、該下流側照射範囲に通し、該光硬化型塗膜のうち未硬化の部分を硬化させてハードコート層を得る下流側照射工程とを有することを特徴とする。
本発明のハードコートフィルム製造方法によれば、上流側照射工程で光硬化型塗膜のうち表面側の部分のみを硬化させ、下流側照射工程で光硬化型塗膜のうち未硬化の部分を硬化させるため、光硬化型塗膜の硬化の際に生じる熱が上流側照射工程と下流側照射工程に分けられ、樹脂フィルムの搬送速度を低下させなくても、一度に熱が生じない。このため、光硬化型塗膜の硬化収縮と樹脂フィルムの熱収縮が抑えられ、製造効率を低下させることなくハードコートフィルムにシワを生じ難くすることができる。
ここにいう光硬化型樹脂とは、電離放射線硬化型樹脂であってもよい。所定の光線は、光硬化型樹脂の種類に応じて選択され、具体的には、紫外線、可視光線、赤外線等が使用される。
また、前記上流側照射範囲と前記下流側照射範囲との間に、所定の光線が照射されている一又は複数の照射範囲を設け、前記樹脂フィルムのうち前記上流側照射範囲を通過した部分を、前記下流側照射範囲に通す前に、該一又は複数の照射範囲に通し、前記光硬化型塗膜の表面側から前記樹脂フィルム側に向けて段階的に硬化させていってもよい。
さらに、樹脂フィルムのうちハードコート層が積層される側に、易接着層、帯電防止層、近赤外線吸収層、電磁波吸収層等の1又は複数の他の層を設けて樹脂フィルムを構成してもよい。
なお、前記ハードコート層の膜厚が、1〜12μmであることが好ましく、1〜10μmであることがさらに好ましい。膜厚が12μmを超えると、前記光硬化型塗膜の硬化収縮が大きくなり、ハードコートフィルムにシワが生じやすくなる。ハードコート層の膜厚が1μm未満であると、表面硬度が減少する問題がある。
本発明のハードコートフィルム製造方法において、前記上流側照射工程は、前記樹脂フィルムのうち前記光硬化型塗膜が形成された部分を、前記下流側照射範囲に照射される光線の強度よりも低い強度の光線が照射されている前記上流側照射範囲に通す工程であってもよい。すなわち、前記上流側照射工程は、前記下流側照射範囲に照射される光線の強度よりも低い強度の光線を前記上流側照射範囲に照射する工程であってもよい。
上記構成とすることにより、上流側照射工程で光硬化型塗膜のうち表面側の部分のみを樹脂フィルムの搬送速度を低下させることなく硬化させることが容易となる。
また、本発明のハードコートフィルム製造方法において、前記上流側照射工程は、前記樹脂フィルムのうち前記光硬化型塗膜が形成された部分を、前記下流側照射範囲に与える積算光量よりも少ない積算光量が与えられた前記上流側照射範囲に通す工程であってもよい。すなわち、前記上流側照射工程は、前記下流側照射範囲に与える積算光量よりも少ない積算光量を前記上流側照射範囲に与える工程であってもよい。
上記構成によっても、上流側照射工程で光硬化型塗膜のうち表面側の部分のみを樹脂フィルムの搬送速度を低下させることなく硬化させることが容易となる。
上記目的を解決する本発明の第2のハードコートフィルム製造方法は、樹脂フィルムよりも硬いハードコート層を該樹脂フィルムに積層させるハードコートフィルム製造方法において、
前記樹脂フィルムの上に光硬化型塗膜を形成する塗膜形成工程と、
前記光硬化型塗膜に、所定の光線を照射し、該光硬化型塗膜のうち表面側の部分のみを硬化させる光照射工程とを有することを特徴とする。
第2のハードコートフィルム製造方法では、樹脂フィルムを搬送しながらハードコート層を積層させる方法以外、例えば、樹脂フィルムを搬送させずにハードコート層を積層させる方法にも適用することができる。この場合であっても、製造効率を低下させることなくハードコートフィルムにシワを生じ難くすることができる。
本発明のハードコートフィルム製造方法によれば、製造効率を低下させることなくハードコートフィルムにシワを生じ難くすることができる。
本発明の第1の実施形態であるハードコートフィルム製造方法を実施する製造装置の模式図である。 本発明の第1の実施形態であるハードコートフィルム製造方法のフローチャートである。 本発明の第2の実施形態であるハードコートフィルム製造方法を実施する製造装置の、上流側照射工程と下流側照射工程を実施する部分を示す模式図である。 ハードコートフィルムにシワが生じてしまう現象を説明するための概念図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態であるハードコートフィルム製造方法を実施する製造装置の模式図である。
図1に示す製造装置1は、長尺の樹脂フィルムFをその樹脂フィルムFの長手方向に所定の搬送経路に沿って一定速度で搬送しながらハードコートフィルムを製造するものである。以下、搬送経路上流側を単に上流側と称し、搬送経路下流側を単に下流側と称することがある。
図1に示す製造装置1は、上流側から順に、送出しロール2a、塗布用ロール3a、第一ガイドロール4a、第二ガイドロール4b、照射用ロール7a、第三ガイドロール4c、巻取りロール2bが配置されている。長尺の樹脂フィルムFは、上流側端に設けられた送出しロール2aに巻回され、この製造装置1にセットされる。一方、下流側端まで搬送されてきた樹脂フィルムFは、巻取りロール2bで巻き取られる。この製造装置1において、長尺の樹脂フィルムFは所定の速度の範囲内で、略一定の速度で搬送される。したがって、略一定の速度でハードコートフィルムを製造することができる。
塗布用ロール3aと対向する位置には塗布装置3が配置されている。本実施形態では、ダイヘッド式の塗布装置3を用いているが、メイヤーバー式やグラビアロール式等、樹脂フィルムF上に連続して光硬化型樹脂を塗布できる適宜の塗布装置を用いることができる。第一ガイドロール4aと第二ガイドロール4bの間には乾燥装置5が配置されている。この乾燥装置5は、光硬化型樹脂に含まれる溶剤を揮発させることができるものであればよい。例えば、樹脂フィルムF上に塗布された光硬化型樹脂に直接熱風を吹きかけて加熱するものである。なお、この乾燥装置5として、間接的に加熱する加熱装置を用いてもよい。
第二ガイドロール4bと照射用ロール7aの間には上流側照射装置6が配置され、照射用ロール7aと対向する位置には下流側照射装置7が配置されている。上流側照射装置6と下流側照射装置7は、略同じ部材を有しており、一面が開口した箱状のチャンバー61,71と紫外線ランプ62,72をそれぞれ有している。以下、上流側照射装置6の紫外線ランプ62と下流側照射装置7の紫外線ランプ72を区別する場合には、上流側照射装置6の紫外線ランプ62を上流側紫外線ランプ62と称し、下流側照射装置7の紫外線ランプ72を下流側紫外線ランプ72と称することがある。これらの紫外線ランプ62,72は、樹脂フィルムFの幅方向いっぱいに延びた一本の紫外線ランプである。なお、これらの紫外線ランプ62,72として、樹脂フィルムFの幅方向に分割された複数の紫外線ランプを用いてもよい。また、光硬化型樹脂を硬化させる所定の光線が紫外線ではなく、可視光線、赤外線等の場合には、対応する光線を照射する専用のランプが設けられる。
チャンバー61,71の開口部は、矩形であり四つの縁により画定されたものである。以下、上流側の縁を上流側端部61a,71aと称し、下流側の縁を下流側端部61b,71bと称する。上流側照射装置6のチャンバー61と、下流側照射装置7のチャンバー71は、開口部が搬送経路に近接するようにそれぞれ配置されている。このため、樹脂フィルムFは、チャンバー61,71の開口部の近傍をそれぞれ通過することになる。また、搬送経路における、上流側照射装置6の開口部から照射された紫外線が当たる部分が上流側照射範囲になり、下流側照射装置7の開口部から照射された紫外線が当たる部分が下流側照射範囲になる。なお、チャンバー61,71内に、窒素ガス等の不活性ガスを供給する図示しない不活性ガス供給管がそれぞれ設けられている。
図2も参照しながら、本実施形態のハードコートフィルム製造方法の工程を説明する。図2は、本発明の第1の実施形態であるハードコートフィルム製造方法のフローチャートである。図2のフローチャートは、通常運転中における樹脂フィルムFの幅方向の所定ライン上に着目した工程を示す。具体的には、乾燥装置5、上流側照射装置6、下流側照射装置7の運転を開始して所定時間経過後、送出しロール2aによる樹脂フィルムFの送出しと巻取りロール2bによる樹脂フィルムFの巻取りを開始し、塗布装置3から光硬化型樹脂の塗布を開始して所定の初期運転を行う。その後、樹脂フィルムFの搬送速度が所定速度に達し各装置の運転状態が安定して通常運転となった後に、樹脂フィルムFの幅方向の所定ライン上に各工程を実施する。以下、各工程が行われるこの所定ラインを、樹脂フィルムFの特定ラインと称することがある。
上述した通常運転となった後に、樹脂フィルムFの特定ラインが、送出しロール2aから送り出されて送出し工程(ステップ1)が行われる。樹脂フィルムFには、例えば、膜厚が5〜80μm、鉛筆硬度がH程度のTACフィルムが用いられる。また、樹脂フィルムFの搬送速度は、例えば、1〜100m/min程度に設定される。
樹脂フィルムFの特定ラインが塗布用ロール3aに巻き掛けられる位置まで搬送されると、塗布装置3から樹脂フィルムFの特定ラインに光硬化型樹脂が塗布されて塗布工程(ステップ2)が実施される。本実施形態では、光硬化型樹脂として、光重合開始剤と所定の溶剤が添加された電離放射線硬化型樹脂が用いられる。光硬化型樹脂の塗布量は、後述するハードコート層の膜厚が1〜12μmになる範囲に設定される。好ましくは、1〜10μmになる範囲に設定される。
次いで、光硬化型樹脂が塗布された樹脂フィルムFの特定ラインが、第一ガイドロール4aに巻き掛けられた後に乾燥装置5に搬送され、乾燥工程(ステップ3)が行われる。この乾燥工程では、乾燥装置5の加熱によって、樹脂フィルムFの特定ライン上の光硬化型樹脂から溶剤が蒸発して除去され、樹脂フィルムFの特定ライン上に光硬化型塗膜が形成される。
次いで、樹脂フィルムFの特定ラインは、第二ガイドロール4bに巻き掛けられた後に上流側照射装置6まで搬送され、上流側照射工程(ステップ4)が行われる。上流側照射工程では、上記上流側照射範囲に、上流側紫外線ランプ62から紫外線を照射し、樹脂フィルムFの特定ラインを、その上流側照射範囲に通すことによって行われる。なお、樹脂フィルムFの特定ラインの光硬化型塗膜には、図示しない不活性ガス供給管から窒素ガスが吹き付けられ、光硬化型樹脂の架橋反応が阻害されないようにチャンバー61内の雰囲気の酸素濃度が下げられる。
上流側照射工程では、紫外線を照射する上流側紫外線ランプ62の出力は40〜100W/cm、上流側紫外線ランプ62と樹脂フィルムFの距離は5cm以上に設定され、所定の搬送速度にて樹脂フィルムFが搬送される。上流側紫外線ランプ62と樹脂フィルムFの距離が遠くなるほど照射強度が小さくなるため好ましい。これら上流側紫外線ランプ62の出力、上流側紫外線ランプ62と樹脂フィルムFの距離、樹脂フィルムFの搬送速度等に基づき、紫外線強度(ピーク照度)及び照射する積算光量が決定される。上流側照射工程では、紫外線強度の上限値は100mW/cm以下であることが好ましく、90mW/cm以下であることがより好ましく、80mW/cm以下であることが更に好ましい。紫外線強度の下限値は、10mW/cm以上であることが好ましく、20mW/cm以上であることがより好ましく、30mW/cm以上であることが更に好ましい。紫外線強度の上限値及び下限値について、好ましい値、より好ましい値、更に好ましい値を適宜組み合わせて使用することができる。紫外線強度が上限値を超えるものであると、光硬化型塗膜に硬化収縮が発生しやすくなるため、シワが発生しやすくなる。紫外線強度が下限値未満であると、光硬化型塗膜の表面の硬化が十分に行われず、下流側照射工程においてシワが発生しやすくなる。また、所定の搬送速度で上流側照射範囲を通す、樹脂フィルムFの特定ラインにおける光硬化型塗膜に対して、照射する積算光量の上限値は80mJ/cm以下であることが好ましく、50mJ/cm以下であることがより好ましく、30mJ/cm以下であることが更に好ましい。積算光量の下限値は、1mJ/cm以上であることが好ましく、5mJ/cm以上であることがより好ましく、8mJ/cm以上であることが更に好ましい。積算光量の上限値及び下限値について、好ましい値、より好ましい値、更に好ましい値を適宜組み合わせて使用することができる。積算光量が上限値を超えるものであると、硬化収縮が発生しやすくなるため、シワが発生しやすくなる。積算光量が下限値未満であると、光硬化型塗膜の表面の硬化が十分に行われず、下流側照射工程においてシワが発生しやすくなる。なお、上流側紫外線ランプ62の出力を40W/cm未満にすると、アーク放電が発生しなくなる場合がある等、紫外線量が安定しないため好ましくない。
このように、光硬化型塗膜の厚さや形成材料にもよるが、上流側照射範囲の紫外線強度が10〜100mW/cm、積算光量が1〜80mJ/cmに調整されているため、上流側照射工程を行うことで樹脂フィルムFの特定ラインの光硬化型塗膜における表面側の部分のみを硬化させることができる。
なお、不活性ガス供給管から光硬化型塗膜に吹き付けられる窒素ガスの量を増加させて、光硬化型塗膜の硬化の際の温度上昇を抑え、光硬化型塗膜における樹脂フィルム側の硬化をより抑制するようにしてもよい。また、光硬化型塗膜の硬化が樹脂フィルム側にまで進行しないように、乾燥工程後、樹脂フィルムFの特定ラインにおける光硬化型塗膜の温度が室温程度にまで下がってから、上流側照射工程を行うことが好ましい。樹脂フィルムFの特定ラインにおける光硬化型塗膜の温度を室温程度に下げるためには、乾燥装置5と上流側照射装置6の間隔を長くしたり、或いは、乾燥工程後、上流側照射工程が実施される前に、樹脂フィルムFの特定ラインにおける光硬化型塗膜を強制的に冷却したりすればよい。ガイドロールに通水して樹脂フィルムFの温度上昇を調整することも可能である。上流側照射工程後に、通水したガイドロールを用いて樹脂フィルムFを搬送することで、樹脂フィルムFの温度上昇を防ぐことができるため好ましい。上流側照射工程において、樹脂フィルムFおよび光硬化型塗膜の温度範囲は、20℃〜50℃の範囲内にすることが好ましい。50℃よりも高くなると、硬化反応が進みやすくなるため、光硬化型塗膜の表面側のみを硬化させにくくなる。紫外線照射により熱が発生するため、上流側照射工程に入る前の段階で樹脂フィルムFおよび温度を下げておくことが好ましく、その温度は20℃〜35℃の範囲であることが好ましく、20℃〜30℃の範囲であることがより好ましい。
次いで、樹脂フィルムFの特定ラインは、下流側照射装置7まで搬送され、下流側照射工程(ステップ5)が行われる。下流側照射工程では、上記下流側照射範囲に、下流側紫外線ランプ72から紫外線を照射し、樹脂フィルムFの特定ラインを、その下流側照射範囲に通すことによって行われる。なお、下流側照射工程においても、樹脂フィルムFの光硬化型塗膜には、図示しない不活性ガス供給管から窒素ガスが吹き付けられる。
下流側照射工程では、紫外線を照射する下流側紫外線ランプ72の出力は80〜200W/cm、下流側紫外線ランプ72と樹脂フィルムFの距離が5cm以上に設定され、、所定の搬送速度にて樹脂フィルムFが搬送される。下流側照射工程においても上流側照射工程と同様に、これら下流側紫外線ランプ72の出力、下流側紫外線ランプ72と樹脂フィルムFの距離、樹脂フィルムFの搬送速度等に基づき、紫外線強度(ピーク照度)及び照射する積算光量が決定される。下流側照射工程では、紫外線強度の上限値は300mW/cm以下であることが好ましく、250mW/cm以下であることがより好ましく、200mW/cm以下であることが更に好ましい。紫外線強度の下限値は、10mW/cm以上であることが好ましく、20mW/cm以上であることがより好ましく、30mW/cm以上であることが更に好ましい。紫外線強度の上限値及び下限値について、好ましい値、より好ましい値、更に好ましい値を適宜組み合わせて使用することができる。紫外線強度が上限値を超えるものであると、硬化収縮が発生しやすくなるため、シワが発生しやすくなる。紫外線強度が下限値未満であると、光硬化型塗膜全体の効果が十分に行われないため、巻取りロール2bに樹脂フィルムFを巻き取る際等に、光硬化型塗膜に含まれる未硬化物が漏れ出す等の問題がある。光硬化型塗膜の全体を硬化させたハードコート層を形成した後に巻き取ることが好ましい。所定の搬送速度で上流側照射範囲を通す、樹脂フィルムFの特定ラインにおける光硬化型塗膜に対して、照射する積算光量の上限値は300mJ/cm以下であることが好ましく、200mJ/cm以下であることがより好ましく、150mJ/cm以下であることが更に好ましい。積算光量の下限値は、1mJ/cm以上であることが好ましく、5mJ/cm以上であることがより好ましく、8mJ/cm以上であることが更に好ましい。積算光量の上限値及び下限値について、好ましい値、より好ましい値、更に好ましい値を適宜組み合わせて使用することができる。積算光量が上限値を超えるものであると、硬化収縮が発生しやすくなるため、シワが発生しやすくなる。積算光量が下限値未満であると、巻取りロール2bに樹脂フィルムFを巻き取る際等に、光硬化型塗膜に含まれる未硬化物が漏れ出す等の問題がある。
本実施形態では、ハードコート層の厚さは、樹脂フィルムFの厚さの1/3(より好ましくは1/5、更に好ましくは1/10)以下にすることが好ましい。ハードコート層の厚さが樹脂フィルムFの厚さに比べて大きくなるにつれ、シワが発生しやすくなる。ハードコート層の厚さと樹脂フィルムFの厚さの比の下限値は特に限定されないが、例えば、1/100(より好ましくは1/50、更に好ましくは1/30)以上である。
下流側照射範囲に照射される紫外線の強度は、上流側照射範囲に照射される紫外線の強度よりも高くすることが好ましい。また、上流側照射範囲を通過する樹脂フィルムFの特定ラインにおける積算光量は、下流側照射範囲を通過する樹脂フィルムFの特定ラインにおける積算光量よりも少なくすることが好ましい。すなわち、上流側照射工程は、樹脂フィルムFのうち光硬化型塗膜が形成された部分を、下流側照射範囲に照射される光線の強度よりも低い強度の光線が照射されている上流側照射範囲に通す工程であることが好ましい。また、上流側照射工程は、樹脂フィルムFのうち光硬化型塗膜が形成された部分を、下流側照射範囲に与える積算光量よりも少ない積算光量が与えられた上流側照射範囲に通す工程であることが好ましい。
下流側照射範囲に照射される紫外線の強度は、上流側照射範囲に照射される紫外線の強度よりも高いため、樹脂フィルムFの特定ラインにおける光硬化型塗膜のうち、上流側照射工程で硬化されていない未硬化の部分を硬化させてハードコート層を形成することができる。また、下流側照射工程では、上流側照射工程で硬化されていない部分の硬化に必要な積算光量で足り、上流側照射工程で照射された分、積算光量を少なくできる。
下流側照射工程において、樹脂フィルムFまたは光硬化型塗膜の温度範囲は、20℃〜80℃の範囲内にすることが好ましい。80℃よりも高くなると、硬化反応が進みやすくなる反面、シワが生じやすくなる。紫外線照射により熱が発生するため、下流側照射工程に入る前の段階で樹脂フィルムFおよび温度を下げておくことが好ましく、その温度は20℃〜35℃の範囲であることが好ましく、20℃〜30℃の範囲であることがより好ましい。
ハードコート層の鉛筆硬度は、樹脂フィルムの鉛筆硬度よりも固い。例えば、樹脂フィルムの鉛筆硬度がH程度であるのに対して、ハードコート層の鉛筆硬度は2H〜3H程度である。このため、液晶ディスプレイ等の各種デイスプレイの表面にハードコートフィルムが設けられた場合、ディスプレイの表面を保護して傷付きを防止することができる。
このように、本実施形態では、上流側照射工程で光硬化型塗膜のうち表面側の部分のみを硬化させ、下流側照射工程で光硬化型塗膜のうち未硬化の部分を硬化させるため、光硬化型塗膜の硬化の際に生じる熱が上流側照射工程と下流側照射工程に分けられ、一度に熱が生じない。このため、光硬化型塗膜の硬化収縮と樹脂フィルムの熱収縮が抑えられ、ハードコートフィルムにシワを生じ難くすることができる。また、光硬化型塗膜の急激な温度上昇を抑えるために、樹脂フィルムFの搬送速度を遅くする必要もなく、製造効率も低下しない。
ここで、下流側照射装置7の紫外線強度が上流側照射装置6の紫外線強度より高い場合に特に生じる問題について説明する。本発明者らの知見によれば、紫外線強度が強くなればなるほど平面状の紫外線照射範囲に紫外線を照射するのではなく、照射用ロールに巻き掛けられた曲面状の紫外線照射範囲に紫外線を照射した方が、シワの発生が抑えられることが分かっている。照射用ロールに巻き掛けられた曲面状の紫外線照射範囲に紫外線を照射した方がシワの発生が抑えられる理由としては、光硬化型塗膜から生じる熱が照射用ロールに吸収され光硬化型塗膜の温度上昇が抑えられるためだと考えられる。ここにいう曲面状の照射範囲とは、例えば、ロールの周面に沿った照射範囲、すなわち円弧面状の照射範囲が相当する。しかしながら、この光硬化型塗膜に紫外線照射装置が接触すると光学的な欠点になるため、光硬化型塗膜と紫外線照射装置の間に隙間が必要になる。このため、樹脂フィルムを照射用ロールに巻き掛けて紫外線を照射したとしても、照射用ロールに巻き掛けられる前の樹脂フィルムの平面状部分に形成された光硬化型塗膜が、この隙間から漏れた紫外線に曝されてしまう場合がある。このように、樹脂フィルムの平面状部分に形成された光硬化型塗膜が漏れた紫外線に曝されると、照射される紫外線の強度が高ければ高いほどシワが生じやすい。本実施形態では、紫外線照射装置を上流側照射装置6と下流側照射装置7の二つに分けているため、相対的に高い紫外線強度の下流側照射装置7においても、照射される紫外線の強度は、一個の紫外線照射装置を用いる場合と比べて低く抑えられている。このため、紫外線が曲面状の照射範囲よりも上流側となる平面状部分に漏れ出して、この平面状部分を通過する光硬化型塗膜が紫外線に曝されても、シワの発生を抑えることができる。
最後に、ハードコート層が積層された樹脂フィルムFの特定ラインが第三ガイドロール4cに巻き掛けられた後、巻取りロール2bまで搬送され、巻取りロール2bに巻き取られる巻取り工程(ステップ6)が行われる。
続いて、本発明の第2の実施形態であるハードコートフィルム製造方法を説明する。以下の説明では、これまで説明した第1の実施形態のハードコートフィルム製造方法との相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。また、これまで説明した構成要素と同じ構成要素には、これまで用いた符号と同じ符号を付して説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態であるハードコートフィルム製造方法を実施する製造装置1’の、上流側照射工程と下流側照射工程を実施する部分を示す模式図である。
第2の実施形態では、図3に示すように、樹脂フィルムFが照射用ロール7aの周面の周方向略半分程度に巻き掛けられている。なお、図3に示す照射用ロール7aに巻き掛けられた後の樹脂フィルムFの搬送方向を、搬送方向下流側に行くに従い照射用ロール7aに巻き掛けられる前の樹脂フィルムF側に近づけて、樹脂フィルムFの、照射用ロール7aに巻き掛けられる部分を増やしてもよい。
上流側照射装置6は、照射用ロール7aに巻き掛けられた樹脂フィルムFのうち搬送方向の略真中に対向した位置に設けられ、上流側照射範囲が照射用ロール7aに巻き掛けられた曲面状となっている。また、下流側照射装置7は、照射用ロール7aに巻き掛けられた樹脂フィルムFのうち上流側照射装置6が対向する部分よりもやや下流側の部分に対向する位置に設けられ、下流側照射範囲も照射用ロール7aに巻き掛けられた曲面状となっている。
図2も参照しながら、第2の実施形態のハードコートフィルム製造方法の工程を説明する。第1の実施形態と同様に、樹脂フィルムFの特定ラインが送出し工程(ステップ1)で図1に示す送出しロール2aから送り出された後、塗布工程(ステップ2)、乾燥工程(ステップ3)が実施される。次いで、樹脂フィルムFの特定ラインは、照射用ロール7aに巻き掛けられながら上流側照射装置6まで搬送され、上流側照射工程(ステップ4)が実施される。上流側照射工程を実施することで樹脂フィルムFの特定ラインの光硬化型塗膜における表面側の部分のみを硬化させることができる。次いで、樹脂フィルムFの特定ラインが、照射用ロール7aに巻き掛けられながら下流側照射装置7まで搬送され、下流側照射工程(ステップ5)が実施される。第2の実施形態の、上流側照射工程と下流側照射工程の間隔は、第1の実施形態の、上流側照射工程と下流側照射工程の間隔に比べかなり狭くなっている。
第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、上流側照射工程と下流側照射工程の間隔を狭くしたため樹脂フィルムFの搬送経路を短くでき、製造装置1’を小型化することができる。
ここで、下流側照射工程に比べ、上流側照射工程の紫外線強度は低く、積算光量も少ないため、光硬化型塗膜から生じる熱も少なくなり、光硬化型塗膜は硬化収縮し難い。しかしながら、上流側照射工程を実施した後すぐ下流側照射工程を実施すると、上流側照射工程で生じた熱によって温度が高くなった樹脂フィルムFの特定ラインが、温度が下がらないまま下流側照射範囲に搬送され下流側照射工程が実施される。このため、上流側照射工程を実施した後すぐ下流側照射工程を実施すると、樹脂フィルムFの特定ラインが高温になってシワが生じてしまう場合がある。第2の実施形態では、上流側照射工程を実施した後すぐ下流側照射工程が実施されるが、上流側照射範囲と下流側照射範囲が照射用ロール7aに巻き掛けられているため、特定ラインの光硬化型塗膜から生じた熱が照射用ロール7aに吸収され光硬化型塗膜の温度上昇を抑えてシワを生じ難くすることができる。上流側照射装置6と下流側照射装置7は、それぞれの照射範囲が照射用ロール7aに巻き掛けられた曲面状となる範囲で、位置を変更させてもよい。また、上流側照工程は、下流側照射工程に比べ、紫外線強度は低く積算光量も少ないため、上流側照射範囲を、その範囲の上流側の一部が、照射用ロール7aに巻き掛けられる前の平面状になる範囲に設定してもよい。さらに、下流側照射範囲の下流側では光硬化型塗膜の硬化がほぼ完了するため、下流側照射範囲を、その範囲の下流側の一部が、照射用ロール7aに巻き掛けられた後の平面状になる範囲に設定してもよい。
また、第2の実施形態では、共通の照射用ロール7aに樹脂フィルムFを巻き掛け、上流側照射工程と下流側照射工程を実施しているが、別々の照射用ロールに樹脂フィルムFを巻き掛け、これら巻き掛けられた照射用ロールを近接配置して、上流側に配置された照射用ロールに巻き掛けられた部分を上流側照射範囲として上流側照射工程を実施し、下流側に配置された照射用ロールに巻き掛けられた部分を下流側照射範囲として、下流側照射工程を実施してもよい。このように別々の照射用ロールに樹脂フィルムFを巻き掛けて、それぞれの照射用ロールに巻き掛けられた部分をそれぞれの照射範囲とすれば、上流側照射工程で光硬化型塗膜から生じる熱と下流側照射工程で生じる熱が、別々の照射用ロールに吸収されて、光硬化型塗膜の温度上昇をより抑えることができる。
続いて、第1の実施形態および第2の実施形態で好ましく使用される材料を説明する。
樹脂フィルムとしては、透光性と可撓性を有し連続生産に適した、PET、TAC、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、含ノルボルネン樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルスルホン、セロファン、芳香族ポリアミド等の各種樹脂フィルムを好適に使用することができる。なお、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶表示装置(LCD)に用いる場合は、PETフィルム、TACフィルムおよび含ノルボルネン樹脂フィルムから選ばれる1種を使用することがより好ましい。
これら樹脂フィルムの透明性は高いものほど良好であるが、光学用途では、全光線透過率(JIS K7105)としては80%以上、より好ましくは90%以上が良い。
樹脂フィルムの表面に、アルカリ処理、コロナ処理、プラズマ処理、スパッタ処理などのトリートメント処理、界面活性剤、シランカップリング剤などのプライマーコーティング、Si蒸着などの薄膜ドライコーティングなどを施すことで、樹脂フィルムとハードコート層との密着性を向上させ、該ハードコート層の物理的強度、耐薬品性を向上させることができる。また、樹脂フィルムのハードコート層側に他の層を設ける場合も、上記同様の方法で、各層界面の密着性を向上させ、当該ハードコート層の物理的強度、耐薬品性を向上させることができる。
ハードコート層を構成する樹脂成分としては、硬化後の皮膜として十分な強度を持ち、透明性のあるものを特に制限なく使用できる。紫外線照射による硬化処理にて、簡易な加工操作にて効率よく硬化することができる電離放射線硬化型樹脂が好適である。
電離放射線硬化型樹脂としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等のラジカル重合性官能基や、エポキシ基、ビニルエーテル基、オキセタン基等のカチオン重合性官能基を有するモノマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマーを単独で、または適宜混合した組成物が用いられる。モノマーの例としては、アクリル酸メチル、メチルメタクリレート、メトキシポリエチレンメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等を挙げることができる。オリゴマー、プレポリマーとしては、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、多官能ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アルキットアクリレート、メラミンアクリレート、シリコーンアクリレート等のアクリレート化合物、不飽和ポリエステル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルや各種脂環式エポキシ等のエポキシ系化合物、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル等のオキセタン化合物を挙げることができる。ポリマーとしては、ポリアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等を挙げることができる。これらは単独、もしくは複数混合して使用することができる。
電離放射線硬化型樹脂は、紫外線照射による硬化を行う場合は、光重合開始剤の添加が必要である。なお、用いられる放射線としては、紫外線、可視光線、赤外線のいずれであってもよい。また、これらの放射線は、偏光であっても無偏光であってもよい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のラジカル重合開始剤、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物等のカチオン重合開始剤を単独または適宜組み合わせて使用することができる。
また、電離放射線硬化型樹脂にレベリング剤、帯電防止剤等の添加剤を含有させることができる。レベリング剤は、塗膜表面の張力均一化を図り塗膜形成前に欠陥を直す働きがある。
上記樹脂組成物は透光性の微粒子を含有してもよい。当該樹脂組成物に溶剤を加えた光硬化型樹脂を、樹脂フィルム上に塗布した後、当該光硬化型樹脂を硬化させてハードコート層を形成させることができる。樹脂組成物に透光性の微粒子を添加することにより、防眩性を有するハードコート層(防眩層)の表面凹凸の形状や数を調整しやすくなる。
透光性の微粒子としては、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン系樹脂等よりなる有機系の透光性の樹脂微粒子、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化カルシウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン等の無機系の透光性の微粒子を使用することができる。透光性の微粒子の屈折率は、1.40〜1.75が好ましく、屈折率が1.40未満または1.75より大きい場合は、樹脂フィルムあるいは樹脂マトリックスとの屈折率差が大きくなり過ぎ、全光線透過率が低下する。また、透光性の微粒子と樹脂との屈折率の差は、0.2以下が好ましい。透光性の微粒子の平均粒径は、0.3〜10μmの範囲のものが好ましく、1〜7μmがより好ましく、2〜6μmがさらに好ましい。
粒径が0.3μmより小さい場合は防眩性が低下するため、また10μmより大きい場合は、ギラツキを発生すると共に、表面凹凸の程度が大きくなり過ぎて表面が白っぽくなってしまうため好ましくない。また、上記樹脂中に含まれる透光性の微粒子の割合は特に限定されないが、樹脂組成物100質量部に対し、0.1〜20質量部とするのが防眩機能、ギラツキ等の特性を満足する上で好ましく、ハードコート層表面の微細な凹凸形状とヘイズ値をコントロールし易い。ここで、「屈折率」は、JIS K−7142に従った測定値を指す。また、「平均粒径」は、電子顕微鏡で実測した100個の粒子の直径の平均値を指す。
溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、イソブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類;ジアセトンアルコール等のケトンアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルセルソルブ、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、水等を使用することができる。これらは一種で溶剤としてもよいし、複数を混合して溶剤としてもよい。
以上説明したように、本実施形態のハードコートフィルム製造方法によれば、製造効率を低下させることなくハードコートフィルムにシワを生じ難くすることができる。
本発明は上述の実施形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形を行うことができる。たとえば、上記実施形態では、下流側照射工程において、樹脂フィルムFを照射用ロール7aに巻き掛けることによって下流側照射範囲を円弧面状とし、その円弧面状となった下流側照射範囲に紫外線を照射しているが、これに限定されるものではない。例えば、樹脂フィルムFに搬送方向(樹脂フィルムFの長手方向)の張力がかかる形状の下流側照射範囲としてもよいし、樹脂フィルムFにその幅方向の張力がかかる形状の下流側照射範囲としてもよい。
また、上記実施形態では、樹脂フィルムFを搬送させながら、塗布工程と乾燥工程を実施して樹脂フィルムF上に光硬化型塗膜を形成した後、紫外線を照射しているが、樹脂フィルムFを搬送させずに、適宜の手段で樹脂フィルムF上に光硬化型塗膜を形成し、例えば、上流側照射装置6や下流側照射装置7を移動させながら、樹脂フィルム上に形成された光硬化型塗膜に紫外線を照射してもよい。
さらに、上記実施形態では、紫外線強度を調整することで積算光量を所定範囲に調整しているが、上流側照射範囲となる上流側照射装置6の開口における搬送経路の長さ、すなわち上流側端部61aと下流側端部61bの間隔や、下流側照射範囲となる下流側照射装置7の開口における搬送経路の長さ、すなわち上流側端部71aと下流側端部71bの間隔を調整することで積算光量を調整してもよい。特に、上流側照射範囲となる上流側照射装置6の開口における搬送経路の長さを短くすればするほど、光硬化型塗膜の硬化を樹脂フィルム側の表面側に留めることができる点で好ましい。さらに、製造効率を低下させない範囲で、樹脂フィルムFの搬送速度を調整することで、積算光量を調整してもよい。加えて、上記実施形態では、上流側照射工程および下流側照射工程において、紫外線照射装置をそれぞれ1つ設けたものを示しているが、これに限定されるものではなく、上流側照射装置または下流側照射装置を2つ以上設けることもできる。
1 製造装置
2a 送出しロール
2b 巻取りロール
3 塗布装置
5 乾燥装置
6 上流側照射装置
7 下流側照射装置

Claims (4)

  1. 長尺の樹脂フィルムを該樹脂フィルムの長手方向に搬送しながら該樹脂フィルムよりも硬いハードコート層を該樹脂フィルムに積層させるハードコートフィルム製造方法において、
    搬送中の前記樹脂フィルムに、溶剤が添加された光硬化型樹脂を塗布する塗布工程と、
    搬送中の前記樹脂フィルムのうち前記塗布工程を経た部分を加熱することで、該部分に塗布されている前記光硬化型樹脂から前記溶剤を除去し、光硬化型塗膜を該部分に形成する乾燥工程と、
    上流側照射範囲に所定の光線を照射し、前記樹脂フィルムのうち前記光硬化型塗膜が形成された部分を、該上流側照射範囲に通し、該光硬化型塗膜のうち表面側の部分のみを硬化させる上流側照射工程と、
    下流側照射範囲に所定の光線を照射し、前記樹脂フィルムのうち前記上流側照射範囲を通過した部分を、該下流側照射範囲に通し、該光硬化型塗膜のうち未硬化の部分を硬化させてハードコート層を得る下流側照射工程とを有することを特徴とするハードコートフィルム製造方法。
  2. 前記上流側照射工程は、前記樹脂フィルムのうち前記光硬化型塗膜が形成された部分を、前記下流側照射範囲に照射される光線の強度よりも低い強度の光線が照射されている前記上流側照射範囲に通す工程であることを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルムの製造方法。
  3. 前記上流側照射工程は、前記樹脂フィルムのうち前記光硬化型塗膜が形成された部分を、前記下流側照射範囲に与える積算光量よりも少ない積算光量が与えられた前記上流側照射範囲に通す工程であることを特徴とする請求項1または2に記載のハードコートフィルムの製造方法。
  4. 樹脂フィルムよりも硬いハードコート層を該樹脂フィルムに積層させるハードコートフィルム製造方法において、
    前記樹脂フィルムの上に光硬化型塗膜を形成する塗膜形成工程と、
    前記光硬化型塗膜に、所定の光線を照射し、該光硬化型塗膜のうち表面側の部分のみを硬化させる光照射工程とを有することを特徴とするハードコートフィルム製造方法。
JP2012054256A 2012-03-12 2012-03-12 ハードコートフィルム製造方法 Pending JP2013186455A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012054256A JP2013186455A (ja) 2012-03-12 2012-03-12 ハードコートフィルム製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012054256A JP2013186455A (ja) 2012-03-12 2012-03-12 ハードコートフィルム製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013186455A true JP2013186455A (ja) 2013-09-19

Family

ID=49387889

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012054256A Pending JP2013186455A (ja) 2012-03-12 2012-03-12 ハードコートフィルム製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013186455A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5654700B1 (ja) * 2013-11-06 2015-01-14 積水化学工業株式会社 硬化物膜の製造方法、電子部品の製造方法及び電子部品

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5511082A (en) * 1978-07-06 1980-01-25 Armstrong Cork Co Method and device for reducing luster of surface
JP2006247530A (ja) * 2005-03-10 2006-09-21 Fuji Photo Film Co Ltd 塗布膜の硬化方法、装置及び光学フィルム
JP2007130537A (ja) * 2005-11-09 2007-05-31 Natoko Kk 塗装物の製造方法
JP2011152525A (ja) * 2010-01-28 2011-08-11 Fujifilm Corp 重合体膜の形成方法及び装置、並びに積層フィルムの製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5511082A (en) * 1978-07-06 1980-01-25 Armstrong Cork Co Method and device for reducing luster of surface
JP2006247530A (ja) * 2005-03-10 2006-09-21 Fuji Photo Film Co Ltd 塗布膜の硬化方法、装置及び光学フィルム
JP2007130537A (ja) * 2005-11-09 2007-05-31 Natoko Kk 塗装物の製造方法
JP2011152525A (ja) * 2010-01-28 2011-08-11 Fujifilm Corp 重合体膜の形成方法及び装置、並びに積層フィルムの製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5654700B1 (ja) * 2013-11-06 2015-01-14 積水化学工業株式会社 硬化物膜の製造方法、電子部品の製造方法及び電子部品
JP2015110209A (ja) * 2013-11-06 2015-06-18 積水化学工業株式会社 硬化物膜の製造方法、電子部品の製造方法及び電子部品

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4964985B2 (ja) ナノインプリントフィルムの製造方法
JP5889067B2 (ja) 光学フィルムの製造方法
JP5995412B2 (ja) 光学フィルムの製造方法、偏光板および画像表示装置の製造方法
JP6185088B2 (ja) 積層フィルムの製造方法
JP6111060B2 (ja) 初期乾燥装置および初期乾燥方法
US20180162113A1 (en) Method for manufacturing laminated film and apparatus for manufacturing laminated film
TWI513995B (zh) A hard coat film, a polarizing plate, and an image display device
JP2010064013A (ja) 積層フィルムの製造方法、積層フィルムの製造装置
WO2013031196A1 (ja) テープ状パターン媒体の製造方法
JP2013186455A (ja) ハードコートフィルム製造方法
JP2011125821A (ja) ハードコートフィルムの製造方法、偏光板および画像表示装置
JP2012008320A (ja) 光学シート、光学シートロール、光学シートの製造方法、及び映像表示装置
JP2010201773A (ja) 表面機能性光硬化シートの製造方法
JP2012014115A (ja) 光学フィルム及びその製造方法
TWI701148B (zh) 積層光學膜的製造方法、及積層光學膜的製造裝置
TW201247406A (en) Process for producing optical film, polarizing plate and image display device
KR101875244B1 (ko) 광학 필름의 제조 방법, 편광판 및 화상 표시 장치
JP5813597B2 (ja) 多層膜付きフィルムの製造方法
JP5267375B2 (ja) 光学フィルム
JP5987268B2 (ja) ハードコートフィルム、偏光板および画像表示装置
JP2009034620A (ja) 光学フィルムの製造方法
JP5802164B2 (ja) 光照射装置、ハードコートフィルム製造装置、および積層フィルムの製造方法
JP6208964B2 (ja) 積層フィルムの製造方法
JP2016071086A (ja) 機能性フィルムの製造方法及び機能性フィルム
JP2006193675A (ja) 積層フィルムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141105

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150818

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150819

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151014

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20151110