JP2009034620A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】乾燥工程後で紫外線照射工程前の塗膜の温度Ti(℃)を25以上80以下にし、かつ、紫外線照射工程での塗膜の紫外線照射時間をt(sec)、塗膜の温度上昇をΔT(℃)としたときの塗膜の単位時間当たりの温度変化ΔT/t(℃/sec)を6以上18以下にする。
【選択図】図1
Description
ここで、紫外線硬化性樹脂を含む塗液を支持体上に塗布し機能膜を形成する場合、支持体上の塗膜に紫外線を照射することで硬化する際、紫外線と同時に発生する熱や塗膜の硬化収縮により、シワやカールなどの光学フィルムの変形や、機能膜の硬度、耐擦傷性等の膜特性や、基材フィルムと機能膜との密着性の低下などの問題が生じる。
特許文献2の方法によれば、フィルムの表面と裏面との温度差が30℃以下で、または、透明樹脂のガラス転移温度以下、40℃以上で且つ±3℃のばらつき範囲内に調節した熱媒で温度調節された支持体にフィルムを接触させることで紫外線硬化型樹脂を硬化させることにより、基材フィルムを変形させずに紫外線硬化型樹脂を効率よく均一に硬化させ、密着性が十分に得られた積層フィルムが得られる。
特許文献3の方法によれば、冷却気体雰囲気中において、有機高分子フィルムの表面温度が70℃以下になるように冷却した状態で、乾燥塗膜に紫外線を照射して、厚さ3〜30μmの硬化塗膜を形成することにより、外観がよく、かつ密着性の良好な塗工フィルムが得られる。
特許文献4の方法によれば、基材フィルムを曲面状態に保持した状態で硬化性樹脂を硬化してハードコート層を形成することにより、ハードコート層を厚くした場合にもカールを小さく抑えることができる。
特許文献5の方法によれば、乾燥工程終了時から紫外線照射工程までの前記積層フィルムの温度変化を30℃以内に保って紫外線を照射することで、耐擦傷性が高く、製品フィルムの変形を起こさずに、紫外線硬化型樹脂成分の基材フィルムへの密着性を向上させることができる。
また、特許文献2に記載の方法では、フィルムの表面と裏面との温度差が30℃以下でもフィルムの裏面の温度が大きくなると塗膜の硬化収縮率が大きくなり、特にフィルムのカールを抑制することができない。
また、特許文献3に記載の方法では、熱によるフィルムの変形は抑制されるが、表面温度を70℃以下にすることで塗膜が効率よく硬化せず、機能膜の硬度や耐擦傷性等の膜特性の低下が生じる。
また、特許文献4に記載の方法では、ハードコート層が厚くてもカールを抑制することができるが、紫外線照射時に発生する熱によるフィルムの変形を抑制することができない。特に、ハードコート層が厚い場合はフィルムの変形は顕著に生じる。
また、特許文献5に記載の方法では、塗膜の耐擦傷性や基材フィルムとの密着性の向上は図れるが、紫外線照射時に発生する熱により基材フィルムの温度が急激に上昇するとフィルムの変形が生じる。
これにより、紫外線と同時に発生する熱や塗膜の硬化収縮によるシワやカールなどのフィルムの変形や、形成された機能膜の硬度や耐擦傷性、基材との密着性等の膜物性の低下を抑制することができ、外観、膜物性ともに良好な機能膜を得ることができる光学フィルムの製造方法を提供できる。
塗膜の温度Ti(℃)が25以上80以下であると、効率的に塗膜が硬化し、結果、機能膜の硬度や耐擦傷性等の膜特性が向上する。また、塗膜の温度Ti(℃)が80より大きいとフィルムへの熱ダメージが大きく、フィルムの変形等の外観の欠陥が生じる。一方、塗膜の温度Ti(℃)が25より小さいと、効率的に塗膜が硬化せず、機能膜の硬度や耐擦傷性等の膜特性が低下する。
また、紫外線照射時の単位時間当たりの塗膜の温度変化ΔT/t(℃/sec)が6以上18以下であると、熱や硬化収縮によるフィルムの変形を抑制できる。単位時間当たりの塗膜の温度変化ΔT/t(℃/sec)が18より大きいと、塗膜の急激な温度上昇により熱によるフィルムの変形が生じ、温度上昇が同じであっても、単位時間当りの温度変化が大きいとフィルムの変形が生じやすくなり、また、急激な硬化収縮により基材フィルムと塗膜との密着性が低下する。一方、単位時間当たりの塗膜の温度変化ΔT/t(℃/sec)が6より小さいと、フィルムの変形は抑制できるが、熱による硬化の促進が行われず、硬度や耐擦傷性等の膜特性が低下する。
図1は、実施の形態の光学フィルムの製造方法を示す図である。
実施の形態の光学フィルムの製造方法は、フィルムロール1からウェブ状の支持体(基材)9を連続的に巻き出して搬送し、コーティングロール2、塗布装置(ダイヘッド)3、乾燥装置5および紫外線照射装置6を経てフィルムロール7に巻き取る。塗布装置3は、搬送される支持体上に塗布装置3により塗液を塗布して塗膜を形成する(塗布工程)。乾燥装置5は、搬送される支持体上の塗膜中の溶剤を蒸発させる(乾燥工程)。紫外線照射装置6は、搬送される支持体上の塗膜を硬化する(紫外線照射工程)。
本発明においては、乾燥工程後で紫外線照射工程前の塗膜の温度Ti(℃)が25以上80以下であることが好ましい。塗膜の温度Ti(℃)が25以上80以下であると、効率的に塗膜が硬化し、結果、機能膜の硬度や耐擦傷性等の膜特性が向上する。また、温度Ti(℃)が80より大きいとフィルムへの熱ダメージが大きく、フィルムの変形等の外観の欠陥が生じる。一方、温度Ti(℃)が25より小さいと、効率的に塗膜が硬化せず、機能膜の硬度や耐擦傷性等の膜特性が低下する。
照度に関しては、ランプの種類やランプ出力を変更することで、過剰な照度を制御することができる。
図2に本発明の光学フィルムを示した。
図2に示すように、本発明の光学フィルム12は基材フィルム(支持体9)10と機能膜11から構成され、機能膜11には、高硬度、反射防止性、防眩性、帯電防止性等の機能性が付与される。機能膜11は機能性を付与する観点から、2以上の膜を積層してもよい。
以下のようにして、支持体9上に機能膜11を形成し、実施例及び比較例の光学フィルム12を作製した。
また、紫外線照射装置6の手前のガイドロール4bおよび紫外線照射装置6にあるキャンロール8は温調機構を有するものを用いた。
得られた光学フィルムのシワ評価、カール評価、鉛筆硬度、耐擦傷性、機能膜とTACフィルムとの密着性の各評価を以下の方法にて実施した。
得られた光学フィルムのシワの評価に関しては、光学フィルム12を650mm幅×1mに切り出し、切り出した光学フィルムを蛍光灯にあてることにより目視により評価をおこなった。以下の3段階で評価をおこなった。
3:シワが確認できない。
2:フィルムの搬送方向と平行のシワが確認しづらい。
1:フィルムの搬送方向と平行のシワが明らかに確認できる。
得られた光学フィルムのカール評価に関しては、光学フィルムを10cm×10cm切り出し、切り出した光学フィルムを平坦な机に置き、カールの度合いを目視により評価をおこなった。以下の3段階で評価をおこなった。
3:カールの浮き上がりがほとんどない。
2:カールの浮き上がりが大きい。
1:カールの浮き上がりが筒状。
JIS−K−5400に準じ、鉛筆引っかき試験機によりTACフィルム上の機能膜のすり傷を評価した。
スチールウール(#0000)により、TACフィルム上の機能膜を加重250gで10往復擦り、傷のつき方を目視評価した。傷のつき方は、以下の3段階で評価した。
3:傷を確認することができない。
2:十数本の傷を確認できる。
1:多数の傷を確認できる。
碁盤目テープ(クロスカット)法により評価した。TACフィルム上の機能膜に碁盤目状のマスをカッターナイフで作り、その上からセロハンテープを貼り付け、剥がしたときの100マスのうち剥離しなかった数(残存数)を数えた。
Claims (4)
- 連続的に搬送される支持体上に紫外線硬化性樹脂を含む塗液を塗布して前記支持体上に塗膜を形成する塗布工程と、前記塗布工程で前記支持体上に塗布された塗膜を乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程で乾燥した塗膜に紫外線を照射して塗膜を硬化する紫外線照射工程とを含む光学フィルムの製造方法において、
前記乾燥工程後で前記紫外線照射工程前の前記塗膜の温度Ti(℃)を25以上80以下にし、かつ、前記紫外線照射工程で紫外線の照射時間をt(sec)、紫外線照射よる前記塗膜の温度上昇をΔT(℃)としたとき、紫外線照射時の前記塗膜の単位時間当たりの温度変化ΔT/t(℃/sec)を6以上18以下にした、
ことを特徴とする光学フィルムの製造方法。 - 前記紫外線照射工程で塗膜に照射する紫外線の最大照度W(mW/cm2)が100以上800以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記乾燥工程後で前記紫外線照射工程前の塗膜の膜厚が0.1μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルムの製造方法。
- 温調機能を有するガイドロールを1又は2本以上用いることにより前記乾燥工程後で前記紫外線照射工程前の塗膜の温度を調節することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
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