JP5258283B2 - 金属箔付基板、及びその作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属箔付基板、及びその作製方法に関する。
従来より、絶縁性基板の表面に金属パターンによる配線を形成した金属配線基板が、電子部品や半導体素子に広く用いられている。
このような金属パターンの作製方法としては、例えば、基板表面に接着剤層を形成し、この接着剤層の表面を粗化した後、貴金属イオンとアミノ系錯化剤とからなる錯体を触媒核として含有する触媒核含有処理液にて、触媒核の付与量を制御しつつ活性化処理を行い、次いで無電解めっきを施すことによって導体パターンを形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、導体パターンの密着性及び絶縁性を維持しつつ触媒付与工程の時間短縮化を図ることができる。
しかしながら、上記の導体パターンを形成方法では、接着剤層を粗化する必要があり、工程数が多いといった問題を有していた。また、粗化された接着剤層のRmaxは5μm〜20μm程度であり、この凹凸により生じるアンカー効果により、導体パターンとの密着性を高めているが、この凹凸に起因して、導体パターンを金属配線として使用する際の高周波特性が悪くなるという問題や、導体パターンの高精細・高密度化の要求、特に、20μmを下回るような導体パターン(金属パターン)を得ることが困難であるといった問題を有していた。
この問題を解決するため、表面が平滑な基板(凹凸が500nm以下)上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するポリマーが直接化学的に結合した樹脂層を有し、該樹脂層上に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与した後、無電解メッキを行う方法にて、金属膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によれば、平滑性が高い基板に対して優れた密着性を有する金属膜を得る方法としては、一定の成果を得ることができる。
しかしながら、プリント配線板など、近年の高精細・高密度の金属パターンへの要求に対しては、金属膜との界面の平滑性の高い基板や樹脂層との密着性のより一層の向上が望まれており、更に、このような密着性に優れた金属膜をより簡易に形成する方法についても、検討されているのが現状である。
特開平8−316612号公報 特開2006−193780号公報
本発明は、上記従来の技術の欠点を考慮してなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、平滑性の高い樹脂層に対して密着性に優れためっき膜を有する金属箔付基板、及び、めっきを容易に行うことができ、平滑性の高い樹脂層との密着性に優れめっき膜が得られる金属箔付基板の作製方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、以下に示す手段により上記目的を達成しうることを見出した。
即ち、本発明の金属箔付基板は、基板上に、下記条件1を満たす、下記式(1)で表されるユニットと下記式(2)で表されるユニットとを有する共重合体及びめっき触媒又はその前駆体を含む樹脂層と、該樹脂層の内部及び上部に形成されためっき膜と、有することを特徴とする。
条件1:樹脂層表面から深さ25nmの範囲内に、金属元素量換算で3×10−20mol/nm〜30×10−20mol/nmの範囲でめっき触媒又はその前駆体を含むこと

(上記式(1)及び式(2)中、R 〜R は、夫々独立して、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、X、Y及びZは、夫々独立して、単結合、又は置換若しく無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、L 及びL は、夫々独立して、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。)
また、本発明の金属箔付基板は、以下の態様であることが好ましい。
・金属箔付基板をその法線方向に割断した際に現れる樹脂層とめっき膜の界面の、JIS B 0601(2001年)に規定される算術平均粗さRaが5nm以上100nm以下である態様。
・金属箔付基板をその法線方向に割断した際に現れる樹脂層とめっき膜の界面構造がフラクタル状であり、ボックスサイズ(δ)を50nm〜5μm、ピクセル・サイズをボックスサイズの大きさの1/100以下に設定したボックスカウント法を適用して算出した該界面構造のフラクタル次元が1.05以上1.50以下である態様。
・めっき触媒又はその前駆体の金属元素が、Pd、Ag、Cu、Cr、Pt、Rh、Sn、及びNiからなる群より選択される1種である態様。
また、本発明の金属箔付基板の作製方法は、(a)基板上に、下記条件1を満たす、下記式(1)で表されるユニットと下記式(2)で表されるユニットとを有する共重合体及びめっき触媒又はその前駆体を含む樹脂層を形成する工程と、(b)該樹脂層に対してめっきを行う工程と、を有することを特徴とする。
条件1:樹脂層表面から深さ25nmの範囲内に、金属元素量換算で3×10−20mol/nm〜30×10−20mol/nmの範囲でめっき触媒又はその前駆体を含むこと
上記式(1)及び式(2)中、R〜Rは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、X、Y及びZは、夫々独立して、単結合、又は置換若しく無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、L及びLは、夫々独立して、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
本発明の金属箔付基板の作製方法は、以下の態様であることが好ましい。
・めっき触媒又はその前駆体の金属元素が、Pd、Ag、Cu、Cr、Pt、Rh、Sn、及びNiからなる群より選択される1種である態様。
本発明によれば、平滑性の高い樹脂層に対して密着性に優れためっき膜を有する金属箔付基板、及び、めっきを容易に行うことができ、平滑性の高い樹脂層との密着性に優れめっき膜が得られる金属箔付基板の作製方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<金属箔付基板、及びその作製方法>
本発明の金属箔付基板は、基板上に、下記1の条件を満たす、前記式(1)で表されるユニットと前記式(2)で表されるユニットとを有する共重合体及びめっき触媒又はその前駆体を含む樹脂層と、該樹脂層の内部及び上部に形成されためっき膜と、有することを特徴とする。
条件1:樹脂層表面から深さ25nmの範囲内に、金属元素量換算で3×10−20mol/nm〜30×10−20mol/nmの範囲でめっき触媒又はその前駆体を含むこと
このような金属箔付基板は、以下の本発明の金属箔付基板の作製方法により得られる。
本発明の金属箔付基板の作製方法は、(a)基板上に、上記1の条件を満たす、前記式(1)で表されるユニットと前記式(2)で表されるユニットとを有する共重合体及びめっき触媒又はその前駆体を含む樹脂層を形成する工程と、(b)該樹脂層に対してめっきを行う工程と、を有することを特徴とする。
以下、本発明の金属箔付基板の作製方法の各工程について詳細に説明する。
〔(a)工程〕
(a)工程では、基板上に、下記1の条件を満たす、めっき触媒又はその前駆体を含む樹脂層を形成する。
条件1:樹脂層表面から深さ25nmの範囲内に、金属元素量換算で3×10−20mol/nm〜30×10−20mol/nmの範囲でめっき触媒又はその前駆体を含むこと
上記1の条件を満たすことで、後述の(b)工程で行われるめっきが効率よく行われ、更に、樹脂層表面に極微細な凹凸が形成され、(b)工程で形成されるめっき膜との間の密着性を高めることができる。
ここで、樹脂層表面に形成される極微細な凹凸としては、JIS B 0601(2001年)に規定される算術平均粗さRaが5nm以上100nm以下であることが好ましく、10nm以上85nm以下であることがより好ましく、15nm以上60nm以下であることが更に好ましい。
本発明においては、上記1の条件に加え下記2の条件を満たすことが好ましく、上記1及び下記2の条件に加え下記3の条件を満たすことがより好ましい。
条件2:樹脂層表面から深さ50nmの範囲内に、金属元素量換算で6×10−20mol/nm〜60×10−20mol/nmの範囲でめっき触媒又はその前駆体を含むこと
条件3:樹脂層表面から深さ100nmの範囲内に、金属元素量換算で12×10−20mol/nm〜120×10−20mol/nmの範囲でめっき触媒又はその前駆体を含むこと
上記条件2、3を満たすことで、金属(めっき膜)と樹脂(樹脂層)との界面の表面粗さRaを〜約100nmの範囲内で制御することが可能となる。Ra=5nm以上ならば充分な密着力を発現でき、Raが高いほうがより強密着となる。本発明の金属箔付基板は、充分に平滑であり、極めて低粗化なこと(10nm以下)を重視するのか、或いは、低粗化且つ強密着を重視するのか、など、プリント基板に適用した際の仕様に応じた選択が可能となる。
本発明において、樹脂層中のめっき触媒及びその前駆体の含有量(めっき及びその前駆体の深さ方向分布量)を測定する方法としては、以下の方法が用いられる。
即ち、形成された樹脂層を有する試料(50mm角サイズ)を用意し、RBS(Rutherford Backscattering Spectrometry)により、樹脂層中のめっき及びその前駆体の含有量を求める。RBSは、エネルギー2.0MeVのHeイオンを試料面の法線に対し0°の角度で照射し、散乱されたHeイオンを散乱角160°の位置で半導体検出器により検出する方法である。
なお、試料へのダメージを避けるため、1μCごとに照射位置をずらしながら測定を行い、シミュレーションフィッティングにより深さ方向分布量を求めた。
上記のような条件を満たす樹脂層の形成方法には特に制限はなく、以下のような手段で、基板と化学結合した樹脂により樹脂層を形成し、その後、めっき触媒又はその前駆体を付与してもよいし、所定の濃度のめっき触媒又はその前駆体と、樹脂と、を含む塗布液を調製し、この塗布液を、基板上に塗布・乾燥することで形成してもよい。
即ち、基板に化学結合した樹脂による樹脂層は、例えば、一般的な表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いることで形成される。グラフト重合とは、高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法である。特に、活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には、表面グラフト重合と呼ばれる。
本発明に適用される表面グラフト重合法としては、文献記載の公知の方法をいずれも使用することができる。例えば、新高分子実験学10、高分子学会編、1994年、共立出版(株)発行、p135には表面グラフト重合法として光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法が記載されている。また、吸着技術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発行、p203、p695には、γ線、電子線などの放射線照射グラフト重合法が記載されている。
光グラフト重合法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報及び特開平11−119413号公報に記載の方法を使用することができる。
また、基板に化学結合した樹脂による樹脂層は、上記の表面グラフト法以外にも、高分子化合物鎖の末端に、トリアルコキシシリル基、イソシアネート基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基などの反応性官能基を付与し、これと基板表面に存在する官能基とのカップリング反応により結合させる方法を適用することもできる。
これらの方法の中でも、より多くのグラフトポリマーを生成する観点からは、光グラフト重合法、特に、UV光による光グラフト重合法を用いて樹脂層を形成することが好ましい。
〔基板〕
本発明における基板は、樹脂層が形成される程度の形状保持性を有していれば、特に制限なく用いることができ、作製される金属箔付基板の用途に応じて、適宜、決定すればよい。
また、(a)工程において、基板に化学結合した樹脂による樹脂層を形成する場合には、基板の表面が、樹脂が化学結合した状態を形成しうる機能を有するものであることが好ましく、基板自体がこのような表面特性を有するものであってもよく、また、別途中間層(例えば、後述する重合開始層や密着補助層)を設け、該中間層がこのような特性を有する基板であってもよい。
(基板)
本発明に使用される基板には、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリイミド、エポキシ、ビスマレインイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が好ましく用いられる。本発明に使用される基板としては、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂が好ましい。
ここに記載の基板は、中間層や重合開始層が形成される場合の基材として用いることもできる。また、基板が樹脂から構成される場合、形成される樹脂層と同素材であってもよい。
本発明における基板として、特開2005−281350号公報の段落番号[0028]〜[0088]に記載の重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材を用いることもできる。
また、本発明の金属箔付基板は、半導体パッケージ、各種電気配線基板等に適用することができる。このような用途に用いる場合は、以下に示す、絶縁性樹脂を含んだ基板、具体的には、絶縁性樹脂からなる基板、又は、絶縁性樹脂からなる層を有する基板を用いることが好ましい。
絶縁性樹脂からなる基板、絶縁性樹脂からなる層を得る場合には、公知の絶縁性樹脂組成物が用いられる。この絶縁性樹脂組成物には、主たる樹脂に加え、目的に応じて種々の添加物を併用することができる。例えば、絶縁層の強度を高める目的で、多官能のアクリレートモノマーを添加する、絶縁体層の強度を高め、電気特性を改良する目的で、無機、若しくは有機の粒子を添加する、などの手段をとることもできる。
なお、本発明における「絶縁性樹脂」とは、公知の絶縁膜や絶縁層に使用しうる程度の絶縁性を有する樹脂であることを意味するものであり、完全な絶縁体でないものであっても、目的に応じた絶縁性を有する樹脂であれば、本発明に適用しうる。
絶縁性樹脂の具体例としては、例えば、熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でもまたそれらの混合物でもよく、例えば、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、イソシアネート系樹脂等が挙げられ、好ましくはエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂である。
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。これはそれぞれの欠点を補いより優れた効果を発現する目的で行われる。
絶縁性樹脂組成物には、架橋を進めるために重合性の二重結合を有する化合物のようなもの、具体的には、アクリレート、メタクリレート化合物を含有していてもよく、特に多官能のものが好ましい。そのほか、重合性の二重結合を有する化合物として、熱硬化性樹脂、若しくは熱可塑性樹脂、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等に、メタクリル酸やアクリル酸等を用い、樹脂の一部を(メタ)アクリル化反応させた樹脂を用いてもよい。
本発明における絶縁性樹脂組成物には、樹脂被膜の機械強度、耐熱性、耐候性、難燃性、耐水性、電気特性などの特性を強化するために、樹脂と他の成分とのコンポジット(複合素材)も使用することができる。複合化するのに使用される材料としては、紙、ガラス繊維、シリカ粒子、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂などを挙げることができる。
更に、この絶縁性樹脂組成物には必要に応じて一般の配線板用樹脂材料に用いられる充填剤、例えば、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機フィラー、硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリルポリマーなどの有機フィラーを一種又は二種以上配合してもよい。中でも、充填材としてはシリカを用いることが好ましい。
また、更に、この絶縁性樹脂組成物には、必要に応じて着色剤、難燃剤、接着性付与剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、などの各種添加剤を一種又は二種以上添加してもよい。
これらの材料を絶縁性樹脂組成物に添加する場合は、いずれも、樹脂に対して、1〜200質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは10〜80質量%の範囲で添加される。この添加量が、1質量%未満である場合は、上記の特性を強化する効果がなく、また、200質量%を超えると場合には、樹脂特有の強度などの特性が低下する。
このような用途に用いる場合の基板として、具体的には、1GHzにおける誘電率(比誘電率)が3.5以下である絶縁性樹脂からなる基板であるか、又は、該絶縁性樹脂からなる層を有する基板であることが好ましい。また、1GHzにおける誘電正接が0.01以下である絶縁性樹脂からなる基板であるか、又は、該絶縁性樹脂からなる層を有する基板であることが好ましい。
絶縁性樹脂の誘電率及び誘電正接は、常法により測定することができる。例えば、「第18回エレクトロニクス実装学会学術講演大会要旨集」、2004年、p189、に記載の方法に基づき、空洞共振器摂動法(例えば、極薄シート用εr、tanδ測定器、キーコム株式会社製)を用いて測定することができる。
このように、本発明においては誘電率や誘電正接の観点から絶縁樹脂材料を選択することも有用である。誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.01以下の絶縁性樹脂としては、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、シアネートエステル樹脂、ビス(ビスフェニレン)エタン樹脂などが挙げられ、更にそれらの変性樹脂も含まれる。
本発明に用いられる基板は、半導体パッケージ、各種電気配線基板等への用途を考慮すると、表面凹凸が500nm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下、最も好ましくは20nm以下である。この基板の表面凹凸(中間層や重合開始層が設けられている場合はその層の表面凹凸)が小さくなるほど、得られた金属箔付基板を配線等に適用した場合に、高周波送電時の電気損失が少なくなり好ましい。
本発明においては、基板が板状物、例えば、樹脂フィルム(プラスチックフィルム)であれば、その両面に(a)工程を施すことで、樹脂フィルムの両面に樹脂層を形成することができる。
このように樹脂フィルム(基板)の両面に樹脂層が形成された場合には、更に、後述する(b)工程を行うことで、両面にめっき膜が形成された金属箔付基板を得ることができる。
本発明において、基板表面に活性種を与え、それを起点としてグラフトポリマーを生成させる表面グラフト重合法を用いる場合、グラフトポリマーの生成に際しては、重合開始剤(活性種を発生しうる化合物)を含有する、又は、重合開始可能な官能基を有する重合開始層を有する基板を用いることもできる。活性種を発生しうる化合物の例としては、具体的には、特開2007−154306公報の段落番号〔0043〕、〔0044〕に記載されている重合開始剤を用いることができる。ここで、重合開始層に含有させる重合開始剤の量は、固形分で0.1〜50質量%であることが好ましく、1.0〜30質量%であることがより好ましい。
この重合開始層が形成される基材が板状物であれば、その両面に重合開始層を形成してもよい。
また、基板と樹脂層との密着性を向上させる目的で、基板と樹脂層との間には、以下に示すような密着補助層を形成することもできる。
密着補助層としては、基板及び形成される樹脂層との密着性が良好な樹脂組成物を用いて形成されることが好ましい。また、この密着補助層は、基板に化学結合した樹脂による樹脂層を形成する際の活性点を発生させる化合物を含んでいてもよいし、また、そのような活性点を発生させる部位と、基板と化学的な結合を形成しうる部位とを有する化合物を添加していてもよい。このような化合物を含むことで、密着補助層は、上記の重合開始層として機能することになる。
本発明における密着補助層としては、例えば、基板が、多層積層板、ビルドアップ基板、若しくはフレキシブル基板の材料として用いられてきた公知の絶縁樹脂からなる場合には、該基板との密着性の観点から、密着補助層を形成する際に用いられる樹脂組成物としても、絶縁樹脂組成物が用いられることが好ましい。
以下、基板が絶縁樹脂からなり、密着補助層が絶縁樹脂組成物から形成される態様について説明する。
密着補助層を形成する際に用いられる絶縁樹脂組成物は、基板を構成する電気的絶縁性の樹脂と同じものを含んでいてもよく、異なっていてもよいが、ガラス転移点や弾性率、線膨張係数といった熱物性的が近いものを使用することが好ましい。具体的には、例えば、基材を構成する絶縁樹脂と同じ種類の絶縁樹脂を使用することが密着性の観点から好ましい。
なお、本発明における絶縁樹脂とは、公知の絶縁膜に使用しうる程度の絶縁性を有する樹脂を意味するものであり、完全な絶縁体でないものであっても、目的に応じた絶縁性を有する樹脂であれば、本発明に適用しうる。
絶縁樹脂の具体例としては、例えば、熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でもまたそれらの混合物でもよく、例えば、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シソシアネート系樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。これはそれぞれの欠点を補いより優れた効果を発現する目的で行われる。
また、密着補助層に用いられる絶縁樹脂としては、基板に化学結合した樹脂による樹脂層を形成する際の活性点を発生させる骨格を有する樹脂を用いることもできる。この樹脂として、例えば、特開2005−307140号公報の段落番号〔0018〕〜〔0078〕に記載の重合開始部位を骨格中に有するポリイミドが用いられる。
更に、密着補助層には、層内での架橋を進めるために重合性の二重結合を有する化合物、具体的には、アクリレート、メタクリレート化合物を含有していてもよく、特に、多官能のものを用いることが好ましい。その他、重合性の二重結合を有する化合物として、熱硬化性樹脂、若しくは、熱可塑性樹脂、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等に対し、その一部を、メタクリル酸やアクリル酸等を用いて、(メタ)アクリル化反応させた樹脂を用いてもよい。
本発明における密着補助層は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて、更に種々の化合物を添加することができる。
具体的には、例えば、加熱時に応力を緩和させることができる、ゴム、SBRラテックスのような物質、膜性改良のためのバインダー、可塑剤、界面活性剤、粘度調整剤などが挙げられる。
本発明における密着補助層には、樹脂被膜の機械強度、耐熱性、耐候性、難燃性、耐水性、電気特性などの特性を強化するために、樹脂と他の成分とのコンポジット(複合素材)も使用することができる。複合化するのに使用される材料としては、紙、ガラス繊維、シリカ粒子、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂などを挙げることができる。
また、密着補助層には、絶縁樹脂以外の成分として、密着補助層の強度を高める、また、電気特性を改良するために、無機若しくは有機の粒子を添加してもよい。具体的には、一般の配線板用樹脂材料に用いられる充填剤、例えば、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機フィラー、硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリルポリマーなどの有機フィラーが挙げられる。
また、更に、密着補助層には、必要に応じて、着色剤、難燃剤、接着性付与剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤を、一種又は二種以上添加してもよい。
これらの材料を添加する場合は、いずれも、主成分となる樹脂に対して、0〜200質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0〜80質量%の範囲で添加される。密着補助層と隣接する基板とが、熱や電気に対して同じ若しくは近い物性値を示す場合には、これら添加物は必ずしも添加する必要はない。添加物を、樹脂に対して200質量%を超える範囲で用いる場合には、樹脂自体が本来有する強度などの特性が低下する懸念がある。
密着補助層には、前述のように、基板に化学結合した樹脂による樹脂層を形成する際の活性点を発生させる化合物が用いられることが好ましい。この活性点を発生させるためには、何らかのエネルギーを付与すればよく、好ましくは、光(紫外線、可視光線、X線など)、プラズマ(酸素、窒素、二酸化炭素、アルゴンなど)、熱、電気、等が用いられる。更に、酸化性の液体(過マンガン酸カリウム溶液)などによって表面を化学的に分解することで活性点を発生させてもよい。
活性種を発生させる化合物の例としては、例えば、特開2007−154306公報の段落番号〔0043〕、〔0044〕に記載されている熱重合開始剤、光重合開始剤が挙げられる。
ここで、密着補助層に含有させる重合開始剤の量は、固形分で0.1〜50質量%であることが好ましく、1.0〜30質量%であることがより好ましい。
本発明における密着補助層は、基板上に密着補助層形成用の樹脂組成物を塗布などにより配置し、溶剤を除去することにより成膜される。
この樹脂組成物を塗布液とする際に用いる溶媒は、密着補助層を構成する成分が溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、特開2007−154306公報の段落番号〔0045〕に記載されている、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンなどを使用することができる。溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
また、密着補助層を基板上に形成する場合の塗布量は、十分な密着性の発現、及び、膜性を維持して膜剥がれを防止するといった観点からは、乾燥後の質量で、0.1〜20g/mが好ましく、0.1〜15g/mがより好ましく、0.1〜2g/mが更に好ましい。
本発明においては、上記のように、基板上に樹脂組成物を配置し、溶剤を除去することにより成膜させて密着補助層を形成するが、この時、加熱及び/又は光照射を行って予備硬膜することが好ましい。特に、加熱により乾燥した後、光照射を行って予備硬膜しておくと、重合性の二重結合を有する化合物のある程度の硬化が予め行なわれるので、密着補助層上に樹脂層が形成された後に密着補助層ごと脱落するといった事態を効果的に抑制し得るため好ましい。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が充分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
また、密着補助層に対しては、上記の予備硬膜に加え、更に、何らかのエネルギーを与える硬化処理を行ってもよい。与えるエネルギーとしては、光、熱、圧力、電子線などが挙げられるが、本実施形態においては熱又は光が一般的であり、熱の場合は、100℃〜300℃の熱を5分〜120分加えることが好ましい。また、加熱硬化の条件は、基板の材料の種類、密着補助層を構成する樹脂組成物の種類等で異なり、これらの素材の硬化温度にもよるが、120〜220℃で20分〜120分の範囲で選択されることが好ましい。
上記のような硬化処理は密着補助層の形成後すぐにおこなってもよく、密着補助層形成後に5〜10分程度の予備硬化処理を行っておけば、密着補助層形成後に行われる他のすべてのそれぞれの工程を行ったあとに実施してもよい。
なお、密着補助層は、上述の塗布法以外にも、転写法、印刷法などの公知の層形成方法を適用して形成することもできる。
なお、転写法を適用する場合には、樹脂層形成用塗布液から得られた層と、密着補助層との2層構成を有する転写積層体を作製し、ラミネート法によって一度に基板の表面に転写してもよい。
本発明における重合開始層及び密着補助層の厚みは、一般に、0.1μm〜10μmの範囲であり、0.2μm〜5μmの範囲であることが好ましい。重合開始層及び密着補助層を設ける場合、厚みが上記一般的な範囲であれば、隣接する基板や樹脂層との十分な密着強度が得られ、また、一般の接着剤を用いるのに比較して薄層でありながら、その接着剤による層と同様の密着性が達成される。その結果、全体の厚みが薄く、且つ、密着性に優れた金属箔付基板を得ることができる。
また、本発明における重合開始層及び密着補助層の表面は、形成されるめっき金属膜の物性を向上させる観点や、金属箔付基板から微細な回路を有するプリント配線板を得るといった観点からは、JIS B 0633(2001)、算術平均表面粗さRaが1μm以下であるものが好ましく、Raが0.5μm以下であることがより好ましい。重合開始層及び密着補助層の表面平滑性が上記値の範囲内、即ち、平滑性が高い状態であれば、金属箔付基板は、回路が極めて微細な(例えば、ライン/スペースの値が25/25μm以下の回路パターン)プリント配線板を製造する際に、好適に用いられる。
また、重合開始層及び密着補助層の形成後、その表面に形成される樹脂層との密着性向上の目的では、乾式及び/又は湿式法により表面を粗化してもよい。乾式粗化法としては、バフ、サンドブラスト、等の機械的研磨やプラズマエッチング等が挙げられる。一方、湿式粗化法としては、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸、等の酸化剤や、強塩基や樹脂膨潤溶剤を用いる方法等の化学薬品処理が挙げられる。
(基板に化学結合した樹脂による樹脂層の形成)
(a)工程において、基板に化学結合した樹脂による樹脂層を形成する方法としては、前述した如く、基板表面に存在する官能基と、高分子化合物がその末端又は側鎖に有する反応性官能基とのカップリング反応を利用する方法や、表面グラフト重合法を用いることができる。
また、本発明における樹脂層は、樹脂層中に触媒又は前駆体を固定化し、安定なめっき膜を形成するといった観点から、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基を有する樹脂を含有することが好ましく、中でも、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基、及び重合性基を有する化合物を含む組成物により形成されることが好ましい。
以下、この好ましい態様の樹脂層について説明する。
本発明においては、基材上に重合開始層が形成された基板を用い、該重合開始層上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基(以下、適宜、相互作用性基と称する。)及び重合性基を有する化合物を接触させた後、エネルギーを付与することにより、前記基板表面(重合開始層があればその表面)に当該化合物を重合させつつ直接化学結合させる態様を用いることが好ましい。即ち、エネルギー付与により基板表面に活性種が発生すると、その活性種を起点として相互作用性基及び重合性基を有する化合物の重合反応が進行し、その結果、基板表面に相互作用性基を有する樹脂(グラフトポリマー)が化学結合した形態を得ることができる。
上記接触は、重合開始層が形成された基板を、相互作用性基及び重合性基を有する化合物を含有する液状の組成物中に浸漬することで行ってもよいが、取り扱い性や製造効率の観点からは、後述するように、相互作用性基及び重合性基を有する化合物を含有する組成物からなる層を基板表面(重合開始層表面)に、塗布法により形成することが好ましい。
なお、樹脂フィルムの両面に対して樹脂層を形成する場合にも、樹脂層を両面同時に形成し易いといった観点から、塗布法を用いることが好ましい。
本発明において、表面グラフト重合法により、グラフトポリマーを生成させる場合に好ましく用いられる、相互作用性基及び重合性基を有する化合物について説明する。
本発明における相互作用性基及び重合性基を有する化合物中の重合性基は、エネルギー付与により、相互作用性基及び重合性基を有する化合物同士が反応する、及び/又は、相互作用性基及び重合性基を有する化合物と基板とが結合する官能基であり、具体的には、ビニル基である。
本発明における相互作用性基としては、極性基(親水性基)が挙げられる。
前記極性基としては、シアノ基である。
また、前記非解離性官能基としては、具体的には、金属イオンと配位形成可能な基、含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基などが好ましく、具体的には、イミド基、ピリジン基、3級のアミノ基、アンモニウム基、ピロリドン基、アミジノ基、トリアジン環構造を含む基、イソシアヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、シアノ基、シアネート基(R−O−CN)などの含窒素官能基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、N−オキシド構造を含む基、S−オキシド構造を含む基、N−ヒドロキシ構造を含む基などの含酸素官能基、チオエーテル基、チオキシ基、スルホキシド基、スルホン基、サルファイト基、スルホキシイミン構造を含む基、スルホキシニウム塩構造を含む基、スルホン酸エステル構造を含む基などの含硫黄官能基、フォスフィン基などの含リン官能基、塩素、臭素などのハロゲン原子を含む基、及び不飽和エチレン基等が挙げられる。また、隣接する原子又は原子団との関係により非解離性を示す態様であれば、イミダゾール基、ウレア基、チオウレア基を用いてもよい。
中でも、極性が高く、めっき触媒等への吸着能が高いことから、エーテル基(より具体的には、−O−(CH−O−(nは1〜5の整数)で表される構造)、又はシアノ基が特に好ましく、シアノ基が最も好ましいものとして挙げられる。
一般的に、高極性になるほど吸水率が高くなる傾向であるが、シアノ基は樹脂層中にて互いに極性を打ち消しあうように相互作用しあうため、膜が緻密になり、且つ、樹脂層全体としての極性が下がるため、吸水性が低くなる。また、樹脂層の良溶剤にて触媒を吸着させることで、シアノ基が溶媒和されてシアノ基間の相互作用がなくなり、めっき触媒と相互作用できるようになる。以上のことから、シアノ基を有する樹脂層は低吸湿でありながら、めっき触媒とはよく相互作用をする、相反する性能を発揮する点で、好ましい。
また、本発明における相互作用性基としては、アルキルシアノ基であることが更に好ましい。これは、芳香族シアノ基は芳香環に電子を吸引されており、めっき触媒等への吸着性として重要な不対電子の供与性が低めになるが、アルキルシアノ基はこの芳香環が結合していないため、めっき触媒等への吸着性の点で好ましい。
本発明において、相互作用性基及び重合性基を有する化合物は、モノマー、マクロモノマー、ポリマーのいずれの形態あってもよく、中でも、樹脂層の形成性と、制御の容易性の観点から、ポリマー(相互作用性基及び重合性基を有するポリマー)を用いることが好ましい。
相互作用性基及び重合性基を有するポリマーとしては、相互作用性基を有するモノマーを用いて得られるホモポリマーやコポリマーに、重合性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)を導入したポリマーであることが好ましく、この相互作用性基及び重合性基を有するポリマーは、少なくとも主鎖末端又は側鎖に重合性基を有するものであり、側鎖に重合性基を有するものが好ましい。
以下、相互作用性基として非解離性官能基を有する相互作用性基及び重合性基を有する化合物について詳細に説明する。
前記相互作用性基及び重合性基を有するポリマーを得る際に用いられる相互作用性基を有するモノマーとしては、前記記載の非解離性官能基を有するモノマーであればいかなるモノマーも使用可能であるが、例えば、具体的には、以下に示すものが挙げられる。
これらは1種を単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
相互作用性基及び重合性基を有するポリマーにおいて、相互作用性基を有するモノマーに由来するユニットは、めっき触媒又はその前駆体との相互作用形成性の観点から、相互作用性基及び重合性基を有するポリマー中に、50〜95モル%の範囲で含有されることが好ましく、40〜80モル%の範囲で含有されることがより好ましい。
また、相互作用性基及び重合性基を有するポリマーを得る際には、吸水性を低下させるため、また、疎水性を向上させるために、上記相互作用性基を有するモノマー以外に他のモノマーを用いてもよい。他のモノマーとしては、一般的な重合性モノマーを用いてよく、ジエン系モノマー、アクリル系モノマー等が挙げられる。中でも、無置換アルキルのアクリル系モノマーが好ましい。具体的には、ターシャリブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルメタクリレートなどが好ましく使用できる。
このような相互作用性基及び重合性基を有するポリマーは、以下のように合成できる。
合成方法としては、i)相互作用性基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
相互作用性基及び重合性基を有するポリマーの合成に用いられる、相互作用性基を有するモノマーとしては、上記の相互作用性基を有するモノマーと同様のモノマーを用いることができる。モノマーは、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
相互作用性基を有するモノマーと共重合させる重合性基を有するモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、2−アリルオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
また、二重結合前駆体を有するモノマーとしては2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜、2−(3−ブロモ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレート、などが挙げられる。
更に、相互作用性基を有するポリマー中の、カルボキシル基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、及びエポキシ基などの官能基との反応を利用して不飽和基を導入するために用いられる重合性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートなどがある。
以下、本発明において好適に用いられる相互作用性基及び重合性基を有するポリマーの具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明において、相互作用性基及び重合性基を有するポリマーとしては、相互作用性基としてシアノ基を有するポリマー(以下、「シアノ基含有重合性ポリマー」と称する。)である
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、下記式(1)で表されるユニット、及び、下記式(2)で表されるユニットを含む共重合体である。
上記式(1)及び式(2)中、R〜Rは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、X、Y及びZは、夫々独立して、単結合、置換若しく無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、L及びLは、夫々独立して、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
〜Rが、置換若しくは無置換のアルキル基である場合、無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、また、置換アルキル基としては、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換された、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
なお、Rとしては、水素原子、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
としては、水素原子、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
としては、水素原子が好ましい。
としては、水素原子が好ましい。
としては、水素原子、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
X、Y及びZが、置換若しくは無置換の二価の有機基の場合、該二価の有機基としては、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基が挙げられる。
置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、又はこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたものが好ましい。
置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基としては、無置換のフェニル基、若しくは、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたフェニル基が好ましい。
中でも、−(CH−(nは1〜3の整数)が好ましく、更に好ましくは−CH−である。
は、ウレタン結合又はウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、ウレタン結合を有する二価の有機基がより好ましく、中でも、総炭素数1〜9であるものが好ましい。なお、ここで、Lの総炭素数とは、Lで表される置換若しくは無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
の構造として、より具体的には、下記式(1−1)、又は、式(1−2)で表される構造であることが好ましい。
上記式(1−1)及び式(1−2)中、R及びRは、夫々独立して、炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる群より選択される2つ以上の原子を用いて形成される2価の有機基であり、好ましくは、置換若しくは無置換の、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、又はブチレン基、エチレンオキシド基、ジエチレンオキシド基、トリエチレンオキシド基、テトラエチレンオキシド基、ジプロピレンオキシド基、トリプロピレンオキシド基、テトラプロピレンオキシド基が挙げられる。
また、Lは、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、又はこれらを組み合わせた基であることが好ましい。該アルキレン基と芳香族基とを組み合わせた基は、更に、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基を介していてもよい。中でも、Lは総炭素数が1〜15であることが好ましく、特に無置換であることが好ましい。なお、ここで、Lの総炭素数とは、Lで表される置換若しくは無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニレン基、及びこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたもの、更には、これらを組み合わせた基が挙げられる。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーとしては、前記式(1)で表されるユニットが、下記式(3)で表されるユニットであることが好ましい。
上記式(3)中、R及びRは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、Zは、単結合、置換若しくは無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、Wは、酸素原子、又はNR(Rは、水素原子、又はアルキル基を表し、好ましくは、水素原子、又は炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表し、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
式(3)におけるR及びRは、前記式(1)におけるR及びRと同義であり、好ましい例も同様である。
式(3)におけるZは、前記式(1)におけるZと同義であり、好ましい例も同様である。
また、式(3)におけるLも、前記式(1)におけるLと同義であり、好ましい例も同様である。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーとしては、前記式(3)で表されるユニットが、下記式(4)で表されるユニットであることが好ましい。
式(4)中、R及びRは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、V及びWは、夫々独立して、酸素原子、又はNR(Rは、水素原子、又はアルキル基を表し、好ましくは、水素原子、又は炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表し、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
式(4)におけるR及びRは、前記式(1)におけるR及びRと同義であり、好ましい例も同様である。
式(4)におけるLは、前記式(1)におけるLと同義であり、好ましい例も同様である。
前記式(3)及び式(4)において、Wは、酸素原子であることが好ましい。
また、前記式(3)及び式(4)において、Lは、無置換のアルキレン基、或いは、ウレタン結合又はウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、ウレタン結合を有する二価の有機基がより好ましく、これら中でも、総炭素数1〜9であるものが特に好ましい。
また、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーとしては、前記式(2)で表されるユニットが、下記式(5)で表されるユニットであることが好ましい。
上記式(5)中、Rは、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、Uは、酸素原子、又はNR’(R’は、水素原子、又はアルキル基を表し、好ましくは、水素原子、又は炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表し、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
式(5)におけるRは、前記式(1)におけるR及びRと同義であり、水素原子であることが好ましい。
また、式(5)におけるLは、前記式(2)におけるLと同義であり、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、又はこれらを組み合わせた基であることが好ましい。
特に、式(5)においては、L中のシアノ基との連結部位が、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、この二価の有機基が総炭素数1〜10であることが好ましい。
また、別の好ましい態様としては、式(5)におけるL中のシアノ基との連結部位が、芳香族基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、該二価の有機基が、総炭素数6〜15であることが好ましい。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、前記式(1)〜式(5)で表されるユニットを含んで構成されるものであり、重合性基とシアノ基とを側鎖に有するポリマーである。
このシアノ基含有重合性ポリマーは、例えば、以下のように合成することができる。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーを合成する際の重合反応の種類としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合が挙げられる。反応制御の観点から、ラジカル重合、カチオン重合を用いることが好ましい。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、1)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが異なる場合と、2)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合と、でその合成方法が異なる。
1)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態が異なる場合
ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態が異なる場合は、1−1)ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様と、1−2)ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様と、がある。
1−1)ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様
本発明において、ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様で用いられるモノマーとしては、以下の化合物が挙げられる。
・重合性基含有ユニットを形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられる重合性基含有ユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロイルブタンビニルエーテル、2−(メタ)アクリロイルエタンビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルプロパンビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシジエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシトリエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイル1stテルピオネール、1−(メタ)アクリロイロキシ−2−メチル−2−プロペン、1−(メタ)アクリロイロキシ−3−メチル−3−ブテン、3−メチレン−2−(メタ)アクリロイロキシ−ノルボルナン、4,4’−エチリデンジフェノールジ(メタ)アクリレート、メタクロレインジ(メタ)アクリロイルアセタール、p−((メタ)アクリロイルメチル)スチレン、アリル(メタ)アクリレート、2−(ブロモメチル)アクリル酸ビニル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アリル等が挙げられる。
・シアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられるシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーとしては、2−シアノエチルビニルエーテル、シアノメチルビニルエーテル、3−シアノプロピルビニルエーテル、4−シアノブチルビニルエーテル、1−(p−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(o−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(m−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(p−シアノフェノキシ)−3−ビニロキシ−プロパン、1−(p−シアノフェノキシ)−4−ビニロキシ−ブタン、o−シアノベンジルビニルエーテル、m―シアノベンジルビニルエーテル、p―シアノベンジルビニルエーテル、アリルシアニド、アリルシアノ酢酸や、以下の化合物等が挙げられる。
重合方法は、実験化学講座「高分子化学」2章−4(p74)に記載の方法や、「高分子合成の実験方法」大津隆行著 7章(p195)に記載の一般的なカチオン重合法が使用できる。なお、カチオン重合には、プロトン酸、ハロゲン化金属、有機金属化合物、有機塩、金属酸化物及び固体酸、ハロゲンが開始剤として用いることができるが、この中で、活性が大きく高分子量が合成可能な開始剤として、ハロゲン化金属と有機金属化合物の使用が好ましい。
具体的には、3フッ化ホウ素、3塩化ホウ素、塩化アルミ、臭化アルミ、四塩化チタン、四塩化スズ、臭化スズ、5フッ化リン、塩化アンチモン、塩化モリブデン、塩化タングステン、塩化鉄、ジクロロエチルアルミニウム、クロロジエチルアルミニウム、ジクロロメチルアルミニウム、クロロジメチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリメチル亜鉛、メチルグリニアが挙げられる。
1−2)ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様
本発明において、ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様用いられるモノマーとしては、以下の化合物が挙げられる。
・重合性基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
上記1−1)の態様で挙げた重合性基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと同じものを用いることができる。
・シアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられるシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーとしては、シアノメチル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル(メタ)アクリレート、1−シアノエチル(メタ)アクリレート、4−シアノブチル(メタ)アクリレート、5−シアノペンチル(メタ)アクリレート、6−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、7−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、8−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル−(3−(ブロモメチル)アクリルレート)、2−シアノエチル−(3−(ヒドロキシメチル)アクリルレート)、p−シアノフェニル(メタ)アクリレート、o−シアノフェニル(メタ)アクリレート、m−シアノフェニル(メタ)アクリレート、5−(メタ)アクリロイル−2−カルボニトリロ−ノルボルネン、6−(メタ)アクリロイル−2−カルボニトリロ−ノルボルネン、1−シアノ−1−(メタ)アクリロイル−シクロヘキサン、1,1−ジメチル−1−シアノ−(メタ)アクリレート、1−ジメチル−1−エチル−1−シアノ−(メタ)アクリレート、o−シアノベンジル(メタ)アクリレート、m−シアノベンジル(メタ)アクリレート、p−シアノベンジル(メタ)アクリレート、1―シアノシクロヘプチルアクリレート、2―シアノフェニルアクリレート、3―シアノフェニルアクリレート、シアノ酢酸ビニル、1―シアノ−1―シクロプロパンカルボン酸ビニル、シアノ酢酸アリル、1―シアノ−1―シクロプロパンカルボン酸アリル、N,N―ジシアノメチル(メタ)アクリルアミド、N−シアノフェニル(メタ)アクリルアミド、アリルシアノメチルエーテル、アリル−o―シアノエチルエーテル、アリル−m―シアノベンジルエーテル、アリル−p―シアノベンジルエーテルなどが挙げられる。
また、上記モノマーの水素の一部を、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基などで置換した構造を持つモノマーも使用可能である。
重合方法は、実験化学講座「高分子化学」2章−2(p34)に記載の方法や、「高分子合成の実験方法」大津隆行著 5章(p125)に記載の一般的なラジカル重合法が使用できる。なお、ラジカル重合の開始剤には、100℃以上の加熱が必要な高温開始剤、40〜100℃の加熱で開始する通常開始剤、極低温で開始するレドックス開始剤などが知られているが、開始剤の安定性、重合反応のハンドリングのし易さから、通常開始剤が好ましい。
通常開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ペルオキソ2硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビル−2,4−ジメチルバレロニトリルが挙げられる。
2)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合
ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合は、2−1)両者がカチオン重合の態様と、2−2)両者がラジカル重合である態様と、がある。
2−1)両者がカチオン重合の態様
両者がカチオン重合の態様には、シアノ基を有するモノマーとして、前記1−1)の態様で挙げたシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと同じものを用いることができる。
なお、重合中のゲル化を防止する観点から、シアノ基を有するポリマーを予め合成した後、該ポリマーと、カチオン重合性の重合性基を有する化合物(以下、適宜、「反応性化合物」と称する。)と、を反応させ、側鎖にカチオン重合性の重合性基を導入する方法を用いることが好ましい。
なお、シアノ基を有するポリマーは、反応性化合物との反応のために、下記に示すような反応性基を有することが好ましい。
また、シアノ基を有するポリマーと反応性化合物とは、以下のような官能基の組み合わせとなるように、適宜、選択されることが好ましい。
具体的な組み合わせとしては、(ポリマーの反応性基、反応性化合物の官能基)=(カルボキシル基、カルボキシル基)、(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基、イソシアネート基)、(カルボキシル基、ハロゲン化ベンジル)、(水酸基、カルボキシル基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)、(水酸基、ハロゲン化ベンジル)(イソシアネート基、水酸基)、(イソシアネート基、カルキシル基)等を挙げることができる。
ここで、反応性化合物として、具体的には、以下に示す化合物を用いることができる。
即ち、アリルアルコール、4−ヒドロキシブタンビニルエーテル、2−ヒドロキシエタンビニルエーテル、3−ヒドロキシプロパンビニルエーテル、ヒドロキシトリエチレングリコールビニルエーテル、1stテルピオネール、2−メチル−2−プロペノール、3−メチル−3−ブテノール、3−メチレン−2−ヒドロキシ−ノルボルナン、p−(クロロメチル)スチレンである。
2−2)両者がラジカル重合である態様
両者がラジカル重合である態様では、合成方法としては、i)シアノ基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)シアノ基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)シアノ基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、ii)シアノ基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)シアノ基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
前記i)の合成方法で用いられる重合性基を有するモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレートや、以下の化合物などが挙げられる。
前記ii)の合成方法で用いられる二重結合前駆体を有するモノマーとしては、下記式(a)で表される化合物などが挙げられる。
上記式(a)中、Aは重合性基を有する有機原子団、R〜Rは、夫々独立して、水素原子又は1価の有機基、B及びCは脱離反応により除去される脱離基であり、ここでいう脱離反応とは、塩基の作用によりCが引き抜かれ、Bが脱離するものである。Bはアニオンとして、Cはカチオンとして脱離するものが好ましい。
式(a)で表される化合物としては、具体的には以下の化合物を挙げることができる。
また、前記ii)の合成方法において、二重結合前駆体を二重結合に変換するには、下記に示すように、B、Cで表される脱離基を脱離反応により除去する方法、つまり、塩基の作用によりCを引き抜き、Bが脱離する反応を使用する。
上記の脱離反応において用いられる塩基としては、アルカリ金属類の水素化物、水酸化物又は炭酸塩、有機アミ化合物、金属アルコキシド化合物が好ましい例として挙げられる。アルカリ金属類の水素化物、水酸化物、又は炭酸塩の好ましい例としては、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。有機アミン化合物の好ましい例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N−エチルジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、1−メチルピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、ピペリジン、1−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン、ヘキサメチレンテトラミン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピリジン、ピコリン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルエチルアミン、Schiff塩基などが挙げられる。金属アルコキシド化合物の好ましい例としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなどが挙げられる。これらの塩基は、1種或いは2種以上の混合であってもよい。
また、前記脱離反応において、塩基を付与(添加)する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、水などが挙げられる。これらの溶媒は単独或いは2種以上混合してもよい。
使用される塩基の量は、化合物中の特定官能基(B、Cで表される脱離基)の量に対して、当量以下であってもよく、また、当量以上であってもよい。また、過剰の塩基を使用した場合、脱離反応後、余剰の塩基を除去する目的で酸などを添加することも好ましい形態である。
前記iii)の合成方法において用いられるシアノ基を有するポリマーは、上記1−2)の態様で挙げたシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと、二重結合導入のための反応性基を有するモノマーと、をラジカル重合することにより合成される。
二重結合導入のための反応性基を有するモノマーとしては、反応性基としてカルボキシル基、水酸基、エポキシ基、又はイソシアネート基を有するモノマーが挙げられる。
カルボキシル基含有のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、安息香酸ビニル、東亞合成製のアロニクスM−5300、M−5400、M−5600、三菱レーション製のアクリルエステルPA、HH、共栄社化学製のライトアクリレート HOA−HH、中村化学製のNKエステルSA、A−SAなどが挙げられる。
水酸基含有のモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−(メタ)アクリロイル−3−ヒドロキシ−アダマンタン、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、2−(ヒドロキシメチル)−(メタ)アクリレート、2−(ヒドロキシメチル)−(メタ)アクリレートのメチルエステル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシメチル−4−(メタ)アクリロイルメチル−シクロヘキサン、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−アクリロイロキシプロピルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、1−メチル−2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルフタル酸、東亞合成(株)製のアロニクスM−554、M−154、M−555、M−155、M−158、日本油脂(株)製のブレンマーPE−200、PE−350、PP−500、PP−800、PP−1000、70PEP−350B、55PET800、以下の構造を有するラクトン変性アクリレートが使用できる。
CH=CRCOOCHCH[OC(=O)C10OH
(R=H又はMe、n=1〜5)
エポキシ基を有するモノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、ダイセル化学製のサイクロマーA、Mなどが使用できる。
イソシアネート基を有するモノマーとしては、昭和電工製のカレンズAOI、MOIが使用できる。
なお、iii)の合成方法において用いられるシアノ基を有するポリマーは、更に第3の共重合成分を含んでいてもよい。
前記iii)の合成方法において、シアノ基を有するポリマーと反応させる重合性基を有するモノマーとしては、シアノ基を有するポリマー中の反応性基の種類によって異なるが、以下の組合せの官能基を有するモノマーを使用することができる。
即ち、(ポリマーの反応性基、モノマーの官能基)=(カルボキシル基、カルボキシル基)、(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基、イソシアネート基)、(カルボキシル基、ハロゲン化ベンジル)、(水酸基、カルボキシル基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)、(水酸基、ハロゲン化ベンジル)(イソシアネート基、水酸基)、(イソシアネート基、カルボキシル基)、(エポキシ基、カルボキシル基)等を挙げることができる。
具体的には以下のモノマーを使用することができる。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーにおいて、前記式(1)、式(3)、又は式(4)におけるLがウレタン結合を有する二価の有機基である構造の場合には、下記の合成方法(以下、合成方法Aと称する。)で合成することが好ましい。
即ち、本発明における合成方法Aは、少なくとも溶媒中で、側鎖にヒドロキシル基を有するポリマー、及び、イソシアネート基と重合性基とを有する化合物を用い、該ヒドロキシル基に該イソシアネート基を付加させることによりL中のウレタン結合を形成することを特徴とする。
ここで、合成方法Aに用いられる側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーとしては、上記1−2)の態様で挙げたシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと、以下に示す挙げるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、の共重合体が好ましい。 ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−(メタ)アクリロイル−3−ヒドロキシ−アダマンタン、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、2−(ヒドロキシメチル)−(メタ)アクリレート、2−(ヒドロキシメチル)−(メタ)アクリレートのメチルエステル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシメチル−4−(メタ)アクリロイルメチル−シクロヘキサン、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−アクリロイロキシプロピルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、1−メチル−2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルフタル酸、東亞合成(株)製のアロニクスM−554、M−154、M−555、M−155、M−158、日本油脂(株)製のブレンマーPE−200、PE−350、PP−500、PP−800、PP−1000、70PEP−350B、55PET800、以下の構造を有するラクトン変性アクリレートが使用できる。
CH=CRCOOCHCH[OC(=O)C10OH (R=H又はMe、n=1〜5)
なお、合成方法Aに用いられる側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーは、更に第3の共重合成分を含んでいてもよい。
上述のような側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーの中でも、高分子量体のポリマーを合成する観点から、原料として、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを合成する際に副生する2官能アクリレートを除去した原料を用いて合成したポリマーを使用することもできる。ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートの精製の方法としては、蒸留、カラム精製が好ましい。更に好ましくは、下記(I)〜(IV)の工程を順次経ることで得られたヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
(I)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、該ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを合成する際に副生する2官能アクリレートと、を含む混合物を、水に溶解する工程
(II)得られた水溶液に、水と分離する第1の有機溶剤を加えた後、該第1の有機溶剤と前記2官能アクリレートとを含む層を水層から分離する工程
(III)前記水層に、前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートよりも水溶解性の高い化合物を溶解する工程
(IV)前記水層に第2の有機溶剤を加えて、前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを抽出した後、濃縮する工程
前記(I)の工程において用いられる混合物は、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、該ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを合成する際に副生する不純物である2官能アクリレートと、を含んでおり、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの一般的な市販品に相当する。
前記(I)の工程では、この市販品(混合物)を水に溶解して、水溶液を得る。
前記(II)の工程では、(I)の工程で得られた水溶液に対し、水と分離する第1の有機溶剤を加える。ここで用いられる、第1の有機溶剤としては、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
その後、水溶液(水層)から、この第1の有機溶剤と2官能アクリレートとを含む層(油層)を分離する。
前記(III)の工程では、(II)の工程で油層と分離された水層に、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートよりも水溶解性の高い化合物を溶解する。
ここで用いられるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートよりも水溶解性の高い化合物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのアルカリ金属塩、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムなどのアルカリ土類金属塩などの無機塩等が用いられる。
前記(IV)の工程では、水層に第2の有機溶剤を加えて、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを抽出した後、濃縮する。
ここで用いられる第2の有機溶剤としては、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。この第2の有機溶剤は、前述の第1の有機溶剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
(IV)の工程における濃縮には、無水硫酸マグネシウムによる乾燥や、減圧留去等が用いられる。
前記(I)〜(IV)の工程を順次経ることで得られたヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを含む単離物は、その全質量中に2官能アクリレートを0.1質量%以下の範囲で含むことが好ましい。つまり、前記(I)〜(IV)の工程を経ることで、混合物から不純物である2官能アクリレートが除去され、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートが精製される。
2官能アクリレートの含有量のより好ましい範囲は、単離物の全質量中に0.05質量%以下であり、少なければ少ないほどよい。
このように精製されたヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを用いることで、不純物である2官能アクリレートが重合反応に影響を及ぼし難くなるため、重量平均分子量が20000以上のニトリル基含有重合性ポリマーを合成することができる。
前記(I)の工程において用いられるヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、前述の合成方法Aに用いられる側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーを合成する際に用いられるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとして挙げられたものを用いることができる。中でも、イソシアネートへの反応性の観点から、第1級水酸基を有するモノマーが好ましく、更には、ポリマーの単位重量当たりの重合性基比率を高める観点から、分子量が100〜250のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートが好ましい。
また、合成方法Aに用いられるイソシアネート基と重合性基とを有する化合物としては、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズAOI、昭和電工(株)製)、2−メタクリルオキシイソシアネート(カレンズMOI、昭和電工(株)製)等が挙げられる。
また、合成方法Aに用いられる溶媒としては、SP値(沖津法により算出)が20〜23MPa1/2であるものが好ましく、具体的には、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、1,2,3−トリアセトキシ−プロパン、シクロヘキサノン、2−(1−シクロヘキセニル)シクロヘキサノン、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、アセチルアセトン、アセトフェノン、トリアセチン、1,4−ジオキサン、ジメチルカーボネート等が挙げられる。
中でも、高分子量体を合成する観点から、エステル系溶媒であることがより好ましく、特に、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート等のジアセテート系溶媒や、ジメチルカーボネートが更に好ましい。
ここで、本発明における溶媒のSP値は、沖津法(沖津俊直著「日本接着学会誌」29(3)(1993))によって算出したものである。具体的には、SP値は以下の式で計算されるものである。なお、ΔFは文献記載の値である。
SP値(δ)=ΣΔF(Molar Attraction Constants)/V(モル容積)
以上のようにして合成された本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、共重合成分全体に対し、重合性基含有ユニット、シアノ基含有ユニットの割合が以下の範囲であることが好ましい。
即ち、重合性基含有ユニットが、共重合成分全体に対し5〜50mol%で含まれることが好ましく、更に好ましくは5〜40mol%である。5mol%以下では反応性(硬化性、重合性)が落ち、50mol%以上では合成の際にゲル化しやすく合成しにくい。
また、シアノ基含有ユニットは、めっき触媒に対する吸着性の観点から、共重合成分全体に対し5〜95mol%で含まれることが好ましく、更に好ましくは10〜95mol%である。
なお、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、シアノ基含有ユニット、重合性基含有ユニット以外に、他のユニットを含んでいてもよい。この他のユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、本発明の効果を損なわないものであれば、いかなるモノマーも使用することができる。
他のユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、具体的には、アクリル樹脂骨格、スチレン樹脂骨格、フェノール樹脂(フェノール−ホルムアルデヒド樹脂)骨格、メラミン樹脂(メラミンとホルムアルデヒドの重縮合体)骨格、ユリア樹脂(尿素とホルムアルデヒドの重縮合体)骨格、ポリエステル樹脂骨格、ポリウレタン骨格、ポリイミド骨格、ポリオレフィン骨格、ポリシクロオレフィン骨格、ポリスチレン骨格、ポリアクリル骨格、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの重合体)骨格、ポリアミド骨格、ポリアセタール骨格、ポリカーボネート骨格、ポリフェニレンエーテル骨格、ポリフェニレンスルファイド骨格、ポリスルホン骨格、ポリエーテルスルホン骨格、ポリアリレート骨格、ポリエーテルエーテルケトン骨格、ポリアミドイミド骨格などの主鎖骨格を形成しうるモノマーが挙げられる。
また、これらの主鎖骨格は、シアノ基含有ユニットや、重合性基含有ユニットの主鎖骨格であってもよい。
ただし、前述のように重合性基をポリマーに反応させて導入する場合は、100%導入することが困難な際には少量の反応性部分が残ってしまうことから、これが第3のユニットとなる可能性もある。
具体的には、ラジカル重合でポリマー主鎖を形成する場合は、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどの無置換(メタ)アクリル酸エステル類、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、3,3,3−トリフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレートなどのハロゲン置換(メタ)アクリル酸エステル類、2−(メタ)アクリルロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアンモニウム基置換(メタ)アクリル酸エステル類、ブチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、スチレン、ビニル安息香酸、p−ビニルベンジルアンモニウムクロライドなどのスチレン類、N−ビニルカルバゾール、酢酸ビニル、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル化合物類や、その他にジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エチルチオ−エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが使用できる。
また、上記記載のモノマーを用いて得られたマクロモノマーも使用できる。
カチオン重合でポリマー主鎖を形成する場合は、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、酢酸ビニル、2−ビニルオキシテトラヒドロピラン、ビニルベンゾエート、ビニルブチレートなどのビニルエーテル類、スチレン、p−クロロスチレン、p−メトキシスチレンなどのスチレン類、アリルアルコール、4−ヒドロキシ−1−ブテンなどの末端エチレン類を使用することができる。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの重量平均分子量は、1000以上70万以下が好ましく、更に好ましくは2000以上20万以下である。特に、重合感度の観点から、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの重量平均分子量は、20000以上であることが好ましい。
また、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの重合度としては、10量体以上のものを使用することが好ましく、更に好ましくは20量体以上のものである。また、7000量体以下が好ましく、3000量体以下がより好ましく、2000量体以下が更に好ましく、1000量体以下が特に好ましい。
ここに記載されている分子量及び重合度の好ましい範囲は、本発明において用いられるシアノ基含有重合性ポリマー以外の相互作用性基及び重合性基を有するポリマーに関しても好適な範囲である。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
なお、これらの具体例の重量平均分子量は、いずれも、3000〜100000の範囲である。
ここで、例えば、前記具体例の化合物2−2−11は、アクリル酸と2−シアノエチルアクリレートを、例えば、N−メチルピロリドンに溶解させ、重合開始剤として、例えば、アゾイソブチロニトリル(AIBN)を用いてラジカル重合を行い、その後、グリシジルメタクリレートをベンジルトリエチルアンモニウムクロライドのような触媒を用い、ターシャリーブチルハイドロキノンのような重合禁止剤を添加した状態で付加反応することで合成することができる。
また、例えば、前記具体例の化合物2−2−19は、以下のモノマーと、p−シアノベンジルアクリレートを、N、N−ジメチルアクリルアミドのような溶媒に溶解させ、アゾイソ酪酸ジメチルのような重合開始剤を用いてラジカル重合を行い、その後、トリエチルアミンのような塩基を用いて脱塩酸を行うことで合成することができる。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマー等の相互作用性基及び重合性基を有する化合物は、重合性基と相互作用性基の他に、極性基を有していてもよい。
極性基を有していることによって、後述の(b)工程によりめっき膜が形成された後、例えば、保護層を設ける場合には、樹脂層と保護層との接触領域において密着力を向上させることができる。
前述のようにして樹脂層を形成するためには、相互作用性基及び重合性基を有するポリマー等の相互作用性基及び重合性基を有する化合物を含有する液状組成物、即ち、相互作用性基及び重合性基を有する化合物と、該化合物を溶解しうる溶剤と、を含有する組成物を用いることが好ましい。
なお、相互作用性基及び重合性基を有する化合物の組成物中の含有量は、組成物全体に対して、2質量%〜50質量%であることが好ましい。
上記組成物に使用する溶剤は、組成物の主成分である、相互作用性基及び重合性基を有する化合物が溶解可能ならば特に制限はない。溶剤には、更に界面活性剤を添加してもよい。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンの如きアミド系溶剤、アセトニトリル、プロピロニトリルの如きニトリル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチルの如きエステル系溶剤、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートの如きカーボネート系溶剤などが挙げられる。
この中でも、シアノ基含有重合性ポリマーを用いた組成物とする場合には、アミド系、ケトン系、ニトリル系溶剤、カーボネート系溶剤が好ましく、具体的には、アセトン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネートが好ましい。
また、シアノ基含有重合性ポリマーを含有する組成物を塗布する場合は、取り扱い安さから沸点が50〜150℃の溶剤が好ましい。なお、これらの溶剤は単一で使用してもよいし、混合して使用してもよい。
また、本発明において、相互作用性基及び重合性基を有する化合物を含有する組成物を、基板や重合開始層上に塗布する場合、基板や重合開始層の吸溶媒率が5〜25%となる溶剤を選択することができる。この吸溶媒率は、基板や、重合開始層を形成した基材を溶剤中に浸漬し、1000分後に引き上げた場合の質量の変化から求めることができる。
また、相互作用性基及び重合性基を有する化合物を含有する組成物を、基板や重合開始層上に塗布する場合、基板や重合開始層の膨潤率が10〜45%となる溶剤を選択してもよい。この膨潤率は、基板や、重合開始層を形成した基材を溶剤中に浸漬し、1000分後に引き上げた場合の厚さの変化から求めることができる。
必要に応じて溶剤に添加することのできる界面活性剤は、溶剤に溶解するものであればよく、そのような界面活性剤としては、例えば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤や、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(市販品としては、例えば、エマルゲン910、花王(株)製など)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(市販品としては、例えば、商品名「ツイーン20」など)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの如き非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
また、必要に応じて可塑剤を添加することもできる。使用できる可塑剤としては、一般的な可塑剤が使用でき、フタル酸エステル類(ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジブチルエステル、ジ−2−エチルヘキシルエステル、ジノルマルオクチルエステル、ジイソノニルエステル、ジノニルエステル、ジイソデシルエステル、ブチルベンジルエステル)、アジピン酸エステル類(ジオクチルエステル、ジイソノニルエステル)、アゼラインサンジオクチル、セバシンサンエステル類(ジブチルエステル、ジオクチルエステル)リン酸トリクレシル、アセチルクエン酸トリブチル、エポキシ化大豆油、トリメリット酸トリオクチル、塩素化パラフィンやジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンのような高沸点溶媒も使用することができる。
相互作用性基及び重合性基を有する化合物を含有する組成物には、必要に応じて、重合禁止剤を添加することもできる。使用できる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ジターシャリーブチルハイドロキノン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ハイドロキノンなどのハイドロキノン類、p−メトキシフェノール、フェノールなどのフェノール類、ベンゾキノン類、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニロキシ フリーラジカル)、4−ヒドロキシTEMPOなどのフリーラジカル類、フェノチアジン類、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン、そのアルミニウム塩などのニトロソアミン類、カテコール類を使用することができる。
また、相互作用性基及び重合性基を有する化合物を含有する組成物には、必要に応じて、重合開始層の硬化を進めるために、硬化剤及び/又は硬化促進剤を添加することができる。例えば、重合開始層にエポキシ化合物が含まれる場合の硬化剤及び/又は硬化促進剤として、重付加型では、脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、酸無水物、フェノール、フェノールノボラック、ポリメルカプタン、活性水素を2個以上持つ化合物等、触媒型としては、脂肪族第三アミン、芳香族第三アミン、イミダゾール化合物、ルイス酸錯体などが挙げられる。
また、熱、光、湿気、圧力、酸、塩基などにより硬化開始するものとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ポリアミドアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキシスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒラジド、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデシル無水コハク酸、無水クロレンディック酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、ポリアゼライン酸無水物、フェノールノボラック、キシリレンノボラック、ビスAノボラック、トリフェニルメタンノボラック、ビフェニルノボラック、ジシクロペンタジエンフェノールノボラック、テルペンフェノールノボラック、ポリメルカプタン、ポリサルファイド、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール−トリ−2−エチルヘキシル酸塩、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−(2−メチルイミダゾリル−(1))−エチルS−トリアジン、BFモノエチルアミン錯体、ルイス酸錯体、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル、メラミン誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアミン塩、アミンイミド化合物、芳香族ジアゾニウム塩、ジアリルヨードニウム塩、トリアリルスルホニウム塩、トリアリルセレニウム塩、ケチミン化合物などが挙げられる。
これらの硬化剤及び/又は効果促進剤は、溶液の塗布性、基板やめっき膜との密着性などの観点から、溶剤を除去した残りの不揮発成分の0〜50質量%程度まで添加することが好ましい。また、硬化剤及び/又は硬化促進剤は重合開始層に添加してもよく、その場合は、重合開始層に添加した量と樹脂層中に添加した総和量で上記範囲を満たすことが好ましい。
また、更に、ゴム成分(例えば、CTBN)、難燃化剤(例えば、りん系難燃化剤)、希釈剤やチキソトロピー化剤、顔料、消泡剤、レべリング剤、カップリング剤などを添加してもよい。また、これらの添加剤は必要に応じて重合開始層に添加してもよい。
これらの相互作用性基及び重合性基を有する化合物と各種の添加剤とを適宜混合した組成物を用いることで、形成された樹脂層の物性、例えば、熱膨張係数、ガラス転移温度、ヤング率、ポアソン比、破断応力、降伏応力、熱分解温度などを最適に設定することができる。特に、破断応力、降伏応力、熱分解温度については、より高い方が好ましい。
得られた樹脂層は、温度サイクル試験や熱経時試験、リフロー試験などで熱耐久性を測定することができ、例えば、熱分解に関しては、200℃環境に1時間曝した場合の質量減少が20%以下であると、十分に熱耐久性を有していると評価できる。
相互作用性基及び重合性基を有する化合物を含有する組成物を基板へと接触させる場合には、その塗布量は、めっき触媒又はその前駆体との充分な相互作用形成性の観点からは、固形分換算で、0.1〜10g/mが好ましく、特に0.5〜5g/mが好ましい。
なお、基板上に、相互作用性基及び重合性基を有する化合物を含有する組成物を塗布し、乾燥させて、相互作用性基及び重合性基を有する化合物を含有する層を形成する場合、塗布と乾燥との間に、20〜40℃で0.5〜2時間放置させて、残存する溶剤を除去してもよい。
(エネルギーの付与)
基板表面へのエネルギー付与方法としては、例えば、加熱や露光等の輻射線照射を用いることができる。例えば、UVランプ、可視光線などによる光照射、ホットプレートなどでの加熱等が可能である。光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
エネルギー付与に要する時間としては、目的とするグラフトポリマーの生成量及び光源により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。
なお、エネルギーの付与を露光にて行う場合、その露光パワーは、グラフト重合を容易に進行させるため、また、生成されたグラフトポリマーの分解を抑制するため、10mJ/cm〜5000mJ/cmの範囲であることが好ましく、より好ましくは、50mJ/cm〜3000mJ/cmの範囲である。
また、相互作用性基及び重合性基を有する化合物として、平均分子量2万以上、重合度200量体以上のポリマーを使用すると、低エネルギーの露光でグラフト重合が容易に進行するため、生成したグラフトポリマーの分解を更に抑制することができる。
以上のようにして、基板表面に化学結合した樹脂による樹脂層が形成される。
なお、得られた樹脂層が、例えば、pH12のアルカリ性溶液に添加し、1時間攪拌したときの重合性基部位の分解が50%以下である場合は、該樹脂層に対して高アルカリ性溶液による洗浄を行うことができる。
以上のようにして、基板表面に化学結合した樹脂による樹脂層が形成された場合、めっき触媒及びその前駆体の存在量が前記条件1を満たすようにするためには、以下の方法を用いればよい。
第1の方法として、例えば、基板表面に化学結合した樹脂による樹脂層に、触媒元素(めっき触媒又はその前駆体)と有機溶剤とを含有するめっき触媒液を付与する方法がある。
このめっき触媒液を、樹脂層に対して付与することにより、樹脂層表面に、相互作用性基が存在していれば、その相互作用性基に対し触媒元素が付着(吸着)する。
本発明におけるめっき触媒液を構成する触媒元素は、後述する(b)工程で行われるめっきの際に、活性核になるものや、電極として機能するものであればよい。
触媒元素としては、活性核になるものや、電極として機能しうるものであれば、特に制限されず、例えば、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数、触媒能の高さから、Pdが特に好ましい。
本発明におけるめっき触媒液中の触媒元素は、イオン状態で存在する、金属微粒子状態で存在する、又は、コロイド状態(金属コロイド)で存在する。
触媒元素のめっき触媒液中の存在形態である金属コロイドは、一般に、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤又は保護剤により調節することができる。
また、触媒元素がイオン状態で存在するめっき触媒液は、金属塩を用いることで調製することができる。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO、MCln、M2/n(SO)、M3/n(PO)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。
また、本発明において、めっき触媒液に用いられる有機溶剤としては、アセトン、MEK、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられる。中でも、溶解性及び乾燥時の揮発性の点から、アセトン、メタノールが好ましく、アセトンが特に好ましい。
なお、本発明におけるめっき触媒液を構成する液成分としては、上記の有機溶剤以外に、水(蒸留水)を用いることができる。
めっき触媒液中における水と有機溶剤との含有割合は、水:有機溶剤=0:100〜95:5の範囲であることが好ましく、特に、触媒元素が樹脂層に対して付着する速度が速くなるといった観点から、水に対して有機溶剤を多くした方がよく、具体的には、水:有機溶剤=0:100〜20:80の範囲がより好ましく、0:100〜40:60の範囲が更に好ましい。
めっき触媒液を樹脂層に対して付与する方法としては、樹脂層表面にめっき触媒液を塗布するか、或いは、めっき触媒液中に樹脂層を有する基板を浸漬すればよい。
また、基板表面に化学結合した樹脂による樹脂層を得る際に表面グラフト重合法を用いる場合、基板上に、相互作用性基及び重合性基を有する化合物を含有する組成物を接触させるが、この組成物中に、触媒元素を添加する方法を用いてもよい。相互作用性基及び重合性基を有する化合物と、触媒元素と、を含有する組成物を、基板上に接触させて、表面グラフト重合法を適用することにより、相互作用性基を有し、且つ、基材と直接化学結合したポリマーと、触媒元素と、を含有する樹脂層を形成することができる。
なお、基板が樹脂フィルムであり、その樹脂フィルムの両面に対して樹脂層が形成されている場合には、その両面の樹脂層に対して同時にめっき触媒液を接触させるために、上記の浸漬法を用いることが好ましい。
上記のようにめっき触媒液を樹脂層に接触させることで、樹脂層表面に相互作用性基が存在すれば、その相互作用性基に、ファンデルワールス力のような分子間力による相互作用、又は、孤立電子対による配位結合による相互作用を利用して、触媒元素を吸着させることができる。
このような吸着を充分に行なわせるという観点からは、めっき触媒液中の触媒元素濃度は、0.001〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.005〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、30秒〜24時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
(樹脂層の形成の他の態様)
本発明においては、所定の濃度のめっき触媒又はその前駆体と、樹脂と、を含む塗布液を調製し、この塗布液を、基板上に塗布・乾燥することで樹脂層を形成してもよい。
この塗布液に用いられる樹脂としては、特に制限されないが、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基であるシアノ基を有するものである
また、塗布液に用いられるめっき触媒又はその前駆体としては、前述のめっき触媒液に用いられるものと同様のものが挙げられる。このめっき触媒又はその前駆体の含有量は、前記条件1を満たすような量であればよい。
更に、塗布液を調製する際に用いられる溶剤としては、アセトン、MEK、アセトニトリル、プロピオニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられる。
上記の塗布液の塗布量としては特に制限されないが、固形分塗設量として、0.2g/m〜10g/mが好ましく、0.5g/m〜5g/mであることが更に好ましい。
また、塗布方法に制限されないが、例えば、グラビア印刷法、スピンコート法、ディップコート法、インクジェット法などが挙げられる。
以上のようにして、(a)工程では、前記条件1を満たすめっき触媒又はその前駆体を含む樹脂層が形成される。
ここで、形成される樹脂層の厚みは前記条件1のために25nm以上であればよいが、膜強度及び複合材料としての機械的強度を保持するという観点から、0.1μm〜10μmの範囲であることが好ましく、0.2μm〜5μmの範囲であることがより好ましい。
〔(b)工程〕
(b)工程では、前述の(a)工程で形成された、めっき触媒又はその前駆体を含む樹脂層に対してめっきを行う。これにより、樹脂層内部及び上部にめっき膜が形成される。形成されためっき膜は、優れた導電性、密着性を有する。
本工程において行われるめっきの種類は、無電解めっき、電気めっき等が挙げられ、前記(a)工程において形成された樹脂層中のめっき触媒又はその前駆体の機能によって、選択することができる。
つまり、本工程では、めっき触媒又はその前駆体を含む樹脂層に対し、電気めっきを行ってもよいし、無電解めっきを行ってもよい。
中でも、本発明においては、樹脂層中に発現するハイブリッド構造の形成性及び密着性向上の点から、無電解めっきを行うことが好ましい。また、所望の膜厚のめっき膜を得るために、無電解めっきの後に、更に電気めっきを行うことがより好ましい態様である。
以下、本工程において好適に行われるめっきについて説明する。
(無電解めっき)
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解めっきは、例えば、(a)工程で得られた樹脂層を有する基板を、水洗して余分な触媒元素(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行なう。使用される無電解めっき浴としては一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
また、樹脂層中に触媒元素が金属イオン状態で含有されている場合には、還元剤を含有する無電解めっき浴が用いられる。このような無電解めっき浴を用いることで、金属イオンの還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。
なお、金属イオンの還元は、上記のような無電解めっき液を用いる態様とは別に、触媒活性化液(還元液)を準備し、無電解めっき前の別工程として行うことも可能である。触媒活性化液は、金属イオンを0価金属に還元できる還元剤を溶解した液で、0.1%〜50%、好ましくは1%〜30%がよい。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ヂメチルアミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸などの還元剤を使用することが可能である。
一般的な無電解めっき浴の組成としては、溶剤の他に、1.めっき用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれている。このめっき浴には、これらに加えて、めっき浴の安定剤など公知の添加物が含まれていてもよい。
なお、本発明においては、環境負荷を抑制する観点から、水系の無電解めっき浴を用いることが好ましい。ここで、本発明における水系の無電解めっき浴とは、液状成分として水(蒸留水)を50質量%以上含むものを示す。
無電解めっき浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。例えば、銅の無電解めっきの浴は、銅塩としてCuSO、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤、トリアルカノールアミンなどが含まれている。また、CoNiPの無電解めっきに使用されるめっき浴には、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムが含まれている。また、パラジウムの無電解めっき浴は、金属イオンとして(Pd(NH)Cl、還元剤としてNH、HNNH、安定化剤としてEDTAが含まれている。これらのめっき浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
このようにして形成される無電解めっきによるめっき膜の膜厚は、めっき浴の金属イオン濃度、めっき浴への浸漬時間、或いは、めっき浴の温度などにより制御することができるが、導電性の観点からは、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
また、めっき浴への浸漬時間としては、1分〜6時間程度であることが好ましく、1分〜3時間程度であることがより好ましい。
樹脂層を有する基板に対して上記のように無電解めっきを行って得られためっき膜は、SEMによる断面観察することで、樹脂層中に触媒元素やめっき金属からなる微粒子がぎっしりと分散しており、更に樹脂層上にめっき金属が析出していることが確認された。樹脂層とめっき膜との界面は、ポリマーとめっき膜が極めて微細に絡みあった構造をとるため、樹脂層(有機成分)と無機物(めっき膜)との界面が平滑(例えば、凹凸が500nm以下)であっても、密着性が良好となる。
(電気めっき)
本工程おいては、(a)工程において、樹脂層中に含有される触媒元素が電極としての機能を有する場合、その樹脂層に対して、電気めっきを行うことができる。
また、前述の無電解めっきの後、形成されためっき膜を電極とし、更に、電気めっきを行ってもよい。これにより基板(樹脂層)との密着性に優れた無電解めっき膜をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。このように、無電解めっきの後に、電気めっきを行うことで、金属膜を目的に応じた厚みに形成しうるため、得られた金属箔付基板を種々の応用に適用することができる。
本発明における電気めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、本工程の電気めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
また、電気めっきにより得られる金属膜の膜厚については、用途に応じて異なるものであり、めっき浴中に含まれる金属濃度、或いは、電流密度などを調整することでコントロールすることができる。なお、一般的な電気配線などに用いる場合の膜厚は、導電性の観点から、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
以上、説明したように、(a)及び(b)工程を経ることで、樹脂層表面にはめっき膜(金属箔)が形成され、金属箔付基板が得られる。
上述の作製方法により得られた金属箔付基板(本発明の金属箔付基板)は、以下の態様であることが好ましい。
即ち、金属箔付基板をその法線方向に割断した際に現れる樹脂層とめっき膜の界面の、JIS B 0601(2001年)に規定される算術平均粗さRaが5nm以上100nm以下であることが好ましい。また、低粗化と強密着の双方を重視する場合、算術平均粗さRaは10nm以上80nm以下がより好ましく、15nm以上60nm以下が更に好ましい。
また、金属箔付基板をその法線方向に割断した際に現れる樹脂層とめっき膜の界面構造がフラクタル状であり、ボックスサイズ(δ)を50nm〜5μm、ピクセル・サイズをボックスサイズの大きさの1/100以下に設定したボックスカウント法を適用して算出した該界面構造のフラクタル次元が1.05以上1.50以下であることが好ましい。また、強密着を発現させるという点から、フラクタル次元は1.10以上1.50以下がより好ましく、1.15以上1.50以下が更に好ましい。
なお、本発明における「算術平均粗さRa」とは、JIS B 0601(2001年)において規定される算術平均粗さRaに基づくものである。また、その表面粗さは、JIS B 0633(2001年)に規定の粗さ評価手順に従って評価される。
また、本発明における「フラクタル次元」は、次のように定義される。ある図形Fを大きさδの箱(ボックス)で覆うために必要なボックスの個数をNδ(F)とすると、ボックス次元は下記式で定義される。
ここでボックスを仮に半径δの球に選んでも、或いは一辺δの立方体に選んでもよい。次元の値はこうしたボックスの形には依らない。
なお、この方法では、視野の大きさに相当するボックスサイズ及び分解能に相当するピクセル・サイズの相違により、算出されるフラクタル次元に変動が生じるが、本発明においては、樹脂層表面に必要とされる、微細な表面凹凸形状と高周波特性に影響を与えない平滑性とを考慮して、フラクタル次元を求めるに際してボックスサイズ(δ)を50nm〜5μm、ピクセル・サイズをボックスサイズの大きさの1/100以下の範囲に規定している。
上述の作製方法により得られた金属箔付基板(本発明の金属箔付基板)において、めっき膜(金属箔)は樹脂層との密着性に非常に優れるものであり、例えば、電磁波防止膜、コーティング膜、2層CCL材料、電気配線用材料等の種々の用途に適用することができる。
また、本発明の金属箔付基板の作製方法により得られためっき膜(金属箔)は、パターン状にエッチングすることで、金属パターンとすることもできる。
この(c)エッチング工程について以下に説明する。
〔(c)工程〕
(c)工程では、本発明の金属箔付基板の作製方法により得られためっき膜(金属箔)をパターン状にエッチングすることで、めっき膜の不要部分が取り除かれ、所望の金属パターンを得ることができる。
この金属パターンの形成には、如何なる手法も使用することができ、具体的には一般的に知られているサブトラクティブ法、セミアディティブ法が用いられる。
サブトラクティブ法とは、形成されためっき膜上にドライフィルムレジスト層を設けパターン露光、現像により金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジストパターンをマスクとしてエッチング液でめっき膜を除去し、金属パターンを形成する方法である。ドライフィルムレジストとしては如何なる材料も使用でき、ネガ型、ポジ型、液状、フィルム状のものが使用できる。また、エッチング方法としては、プリント配線基材の製造時に使用されている方法が何れも使用可能であり、湿式エッチング、ドライエッチング等が使用可能であり、任意に選択すればよい。作業の操作上、湿式エッチングが装置などが簡便で好ましい。エッチング液として、例えば、塩化第二銅、塩化第二鉄等の水溶液を使用することができる。
また、セミアディティブ法とは、形成されためっき膜上にドライフィルムレジスト層を設け、パターン露光、現像により非金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジソトパターンをマスクとして電気めっきを行い、ドライフィルムレジソトパターンを除去した後にクイックエッチングを実施し、めっき膜をパターン状に除去することで、金属パターンを形成する方法である。ドライフィルムレジソト、エッチング液等はサブトラクティブ法と同様な材料が使用できる。また、電気めっき手法としては前記記載の手法が使用できる。
以上の(a)〜(c)工程を経ることにより、基板上には、所望の金属パターンを得ることができる。
一方、樹脂層を予めパターン状に形成しておき、そのような樹脂層に対して、前述の(b)工程を行うことで、所望のパターンのめっき膜を得ることができる(フルアディティブ工法)。
樹脂層をパターン状に形成する方法としては、表面グラフト法を用いて樹脂層を形成した場合には、樹脂層を形成する際に付与されるエネルギーをパターン状とすればよく、また、エネルギーを付与しない部分を現像で除去することでパターン状の樹脂層を形成することができる。
なお、現像方法としては、樹脂層を形成するために用いられる材料(例えば、相互作用性基及び重合性基を有する化合物など)を溶解しうる溶剤に浸漬することで行われる。浸漬する時間は1分〜30分が好ましい。
また、パターン状の樹脂層は、グラビア印刷法、インクジェット法、マスクを用いたスプレーコート法など公知の塗布方法で直接パターニングした後、エネルギー付与し、その後、現像することで形成してもよい。
更に、めっき触媒又はその前駆体と樹脂とを含有する塗布液を用いて、パターン状の樹脂層を形成する場合には、グラビア印刷法、インクジェット法、マスクを用いたスプレーコート法など公知の塗布方法で直接パターニングし、その後、乾燥させることで形成することができる。
パターン形成した樹脂層上にめっき膜を形成するための(b)工程は、前述の方法と同じである。
このようにして得られためっき膜(金属箔)や、金属パターンは、表面の凹凸が500nm以下(より好ましくは100nm以下)の樹脂層上に、めっき膜を設けたものであることが好ましい。また、基板とめっき膜又は金属パターンとの90°引き剥がし強度(JIS C 6481(1996))が0.5kN/m以上であることが好ましい。即ち、基板表面が平滑でありながら、基板とめっき膜又は金属パターンとの密着性に優れることを特徴とする。
上記のようにして得られた金属パターンは、例えば、半導体チップ、各種電気配線板、FPC、COF、TAB、アンテナ、多層配線基板、マザーボード、等の種々の用途に適用することができる。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」「部」は質量基準である。
〔実施例1〕
[基板の作製]
ガラスエポキシ基板上に、電気的絶縁層として味の素ファインテクノ社製エポキシ系絶縁膜GX−13(膜厚45μm)を、加熱、加圧して、真空ラミネーターにより0.2MPaの圧力で100℃〜110℃の条件により接着して、基材を得た。
ついで、基材の上に、下記組成の重合開始剤を含有する絶縁性組成物を厚さ3ミクロンになるようにスピンコート法で塗布し、30℃にて1時間放置して溶剤を除去した後、140℃で30分乾燥して重合開始層(絶縁性の重合開始層)を形成した。
(重合開始剤を含有する絶縁性組成物)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185、油化シェルエポキシ(株)製エピコート828)20質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−673)45質量部、フェノールノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量105、大日本インキ化学工業(株)製フェノライト)30質量部を、エチルジグリコールアセテート20部、及びソルベントナフサ20部に、攪拌しながら加熱溶解させ室温まで冷却した後、そこへ前記エピコート828とビスフェノールSとからなるフェノキシ樹脂のシクロヘキサノンワニス(油化シェルエポキシ(株)製YL6747H30、不揮発分30質量%、重量平均分子量47000)30質量部、2−フェニル−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール0.8質量部、微粉砕シリカ2質量部、シリコン系消泡剤0.5質量部を添加し、更にこの混合物中に、下記の方法で合成した重合開始ポリマーPを10部添加し、重合開始剤を含有する絶縁性組成物を得た。
(重合開始ポリマーPの合成)
300mlの三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gを加え75度に加熱した。そこに、[2−(Acryloyloxy)ethyl](4−benzoylbenzyl)dimethyl ammonium bromide8.1gと、2−Hydroxyethylmethaacrylate9.9gと、isopropylmethaacrylate13.5gと、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.43gと、MFG30gと、の溶液を2.5時間かけて滴下した。その後、反応温度を80度に上げ、更に2時間反応させ、重合開始基を有するポリマーPを得た。
上記のような重合開始層が形成された後、180℃で30分間硬化処理を実施した。これにより、基板A1を得た。この基板A1の表面凹凸(Rz)は0.2μmであった。
[樹脂層の形成]
(相互作用性基及び重合性基を有するポリマーAの合成)
まず、下記のようにして、相互作用性基及び重合性基を有するポリマーAを合成した。
1000mlの三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド35gを入れ、窒素気流下、75℃まで加熱した。そこへ、2−ヒドロキシエチルアクリレート(市販品、東京化成製)6.60g、2−シアノエチルアクリレート28.4g、V−601(和光純薬製)0.65gのN,N−ジメチルアセトアミド35g溶液を、2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン0.29g、ジブチルチンジラウレート0.29g、カレンズAOI(昭和電工(株)製)18.56g、N,N−ジメチルアセトアミド19gを加え、55℃、4時間反応を行った。その後、反応液にメタノールを3.6g加え、更に1.5時間反応を行った。反応終了後、酢酸エチル:ヘキサン=1:1で再沈を行い、固形物を取り出し、相互作用性基及び重合性基を有するポリマーA(重量平均分子量1.5万)を32g得た。
(塗布溶液の調製)
相互作用性基及び重合性基を有するポリマーA:10.5質量部、アセトン73.3質量部、メタノール33.9質量部、及びN,Nジメチルアセトアミド4.8質量部を混合攪拌し、塗布溶液を調製した。
(グラフトポリマーの生成)
調製された塗布溶液を、前記基板A1の重合開始層上に、厚さ1μmになるように、スピンコート法により塗布し、80℃にて30分乾燥した後、三永電機製のUV露光機(型番:UVF−502S、ランプ:UXM−501MD)を用い、1.5mW/cmの照射パワー(ウシオ電機製紫外線積算光量計UIT150−受光センサーUVD−S254で照射パワー測定)にて、660秒間照射させて、基板A1の重合開始層の全面にグラフトポリマーを生成させた。ここで、積算露光量は990mJであった。
その後、攪拌した状態のアセトン中にグラフトポリマーが生成された基板を5分間浸漬し、続いて、蒸留水にて洗浄した。
これにより、厚さ1.0μmの樹脂層を有する基板A2を得た。
[めっき触媒の付与]
アセトン100gに硝酸パラジウム0.05gを添加し、常温にて30分攪拌した。得られた硝酸パラジウム分散液の粗大粒子を除去するために、0.75μmPTFEフィルター(Advatec社製)に通し、粗大粒子を除去した。これにより、平均粒径6.8nmの硝酸パラジウム溶液を得た。なお、粒径測定はナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)社製)にて測定した。
樹脂層を有する基板A2を、前述の硝酸パラジウム溶液に20分間浸漬した後、アセトンに3分間浸漬し、更に蒸留水に3分浸漬し、洗浄を行なった。
(樹脂層中のめっき触媒の含有量)
上記のようにしてめっき触媒が付与された樹脂層中のめっき触媒の含有量について、50mm角サイズの試料を作製し、前述のようにRBSを用いて測定した。
測定結果を表1に示す。
[無電解めっき]
上記のようにして、めっき触媒が付与された樹脂層を有する基板A2に対し、スルカップPGT(上村工業(株) 製;スルカップPGT−A液、B液、C液)を使用した、下記組成の無電解めっき浴を用い、26℃で10分間、無電解めっきを行った。得られた無電解銅めっき膜の厚みは約0.2μmであった。
(無電解めっき浴の組成)
・蒸留水 79.2vol%
・スルカップPGT−A液(上村工業(株) 製) 9.0vol%
・スルカップPGT−B液(上村工業(株) 製) 6.0vol%
・スルカップPGT−C液(上村工業(株) 製) 3.5vol%
・ホルマリン液(和光純薬(株)社製 特級品) 2.3vol%
以上の組成のめっき浴のpHを、水酸化ナトリウム及び硫酸で12.6(25℃)に調整した。
[電気めっき]
続いて、無電解銅めっき膜を給電層として、下記組成の電気銅めっき浴を用い、3A/dm2の条件で、電気めっきを18分間行った。得られた電気銅めっき膜の厚みは10μmであった。
(電気めっき浴の組成)
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カッパーグリームPCM(メルテックス(株)製) 3mL
・蒸留水 500g
以上のようにして、めっき膜が形成された金属箔付基板を得た。
[めっき膜の評価]
(引き剥がし強度)
得られためっき膜に対して、JIS C 6481(1996年)のプリント配線板用銅張積層板試験に記載の方法にて、90°引き剥がし試験を行なった。試験機は(株)島津製作所製のオートグラフAGS−Jを使用し、引き剥がす銅箔の幅は10mm、引き剥がし速度は毎分50mmとした。
結果を下記表1に示す。
(表面粗さ及びフラクタル次元の測定)
金属箔付基板をその法線方向に割断した際に現れる樹脂層とめっき膜の界面の、JIS B 0601(2001年)に規定される算術平均粗さRa、及び、フラクタル次元について、以下のようにして測定した。
金属箔付基板の断面構造写真を取るために、Dual−Beam FIB装置(FEI製、Dual Beam Nova200 Nanolab、加速電圧30kV)を用いてサンプル加工し、銅めっき膜と樹脂層との界面の断面出しを行なった。その断面を集束イオンビーム装置(セイコーインスツルメンツ社製、SMI9200)にて観察し、1ピクセルの大きさが5nmのビット・マップデータとして得た。画像処理により、断面写真の銅めっき膜と樹脂層との界面部分(線分)を抽出した。算術平均粗さRaは、JIS B 0633(1994年)をもとに、フラクタル次元(ボックスカウント次元)はボックスカウント法を用いて算出し、微細領域での構造の複雑さを評価できるよう、領域のサイズを640nm×640μm(128pixel×128pixel)とした。
測定結果を下記表1に示す。
〔実施例2〕
実施例1の[めっき触媒の付与]において、ポリマー層を有する基板A2を、前述の硝酸パラジウム溶液に5分間浸漬した後、アセトンに3分間浸漬し、更に蒸留水に3分浸漬し、洗浄を行なった以外は、実施例1と同様にして、めっき触媒が付与された樹脂層を形成した。得られた樹脂層中のめっき触媒の含有量を、実施例1と同様にして測定した結果を下記表1に示す。
また、得られた樹脂層に対して、実施例1と同様にて無電解めっき及び電気めっきを行ない、厚み10μmの銅めっき膜を有する金属箔付基板を得た。
得られた金属膜付基板について、実施例1と同様にして、引き剥がし強度、算術平均粗さRa、及び、フラクタル次元を測定した。これらの結果も下記表1に示す。
〔実施例3〕
実施例1の[めっき触媒の付与]において、アセトン100gに対する硝酸パラジウムの割合を0.20gに変えた以外は、実施例1と同様にして、厚み10μmの銅めっき膜を有する金属箔付基板を得た。
〔実施例4〕
実施例1の[めっき触媒の付与]において、水/アセトンを質量比50/50で混合した液100gに、硝酸パラジウム0.20gを添加した以外は、実施例1と同様にして、厚み10μmの銅めっき膜を有する金属箔付基板を得た。
〔実施例5〕
実施例1の[めっき触媒の付与]において、水/アセトンを質量比70/30で混合した液100gに、硝酸パラジウム0.20gを添加した以外は、実施例1と同様にして、厚み10μmの銅めっき膜を有する金属箔付基板を得た。
〔実施例6〕
実施例1の[めっき触媒の付与]において、アセトン100gにベンゾニトリルジクロロパラジウム0.05gを添加したものを用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み10μmの銅めっき膜を有する金属箔付基板を得た。
〔実施例7〕
実施例1の[めっき触媒の付与]において、アセトン100gに硫酸パラジウム0.05gを添加した以外は、実施例1と同様にして、厚み10μmの銅めっき膜を有する金属箔付基板を得た。
〔比較例1〕
実施例1の[めっき触媒の付与]において、アセトン100gに対する硝酸パラジウムの割合を1.0gに変えた以外は実施例1と同様にして、厚み10μmの銅めっき膜を有する金属箔付基板を得た。
〔比較例2〕
実施例1の[めっき触媒の付与]で、水/アセトンを質量比70/30で混合した液100gに硝酸パラジウム0.02gを添加したものを用いた以外は、実施例1と同様にしたが、無電解めっきによるめっき膜の析出が確認できなかった。
なお、これは、樹脂層に付着した硝酸パラジウム量が極少量であることから、めっき成長速度(めっき核の生成速度)が著しく遅くなったためと考えられる。そのため、無電解めっき時間を、例えば、30分以上と長くすれば、実施例ほどの均一性には欠けるがめっき膜が得られる。
実施例3〜実施例7、及び比較例1、2についても、金属膜付基板の作製工程中、めっき触媒が付与された樹脂層が形成された時点で、得られた樹脂層中のめっき触媒の含有量を、実施例1と同様にして測定した。
また、実施例3〜実施例7、及び比較例1で得られた金属膜付基板について、実施例1と同様にして、引き剥がし強度、算術平均粗さRa、及び、フラクタル次元を測定した。
これらの測定結果も下記表1に併記する。
表1に明らかなように、実施例で得られた金属箔付基板の引き剥がし強度は、比較例1に比べて非常に高いことが分かる。
比較例1は、めっき触媒の樹脂層中の含有量が多すぎて、算術平均粗さRaが小さくなり、引き剥がし強度が著しく低下していることが分かる。

Claims (6)

  1. 基板上に、下記条件1を満たす、下記式(1)で表されるユニットと下記式(2)で表されるユニットとを有する共重合体及びめっき触媒又はその前駆体を含む樹脂層と、該樹脂層の内部及び上部に形成されためっき膜と、有することを特徴とする金属箔付基板。
    条件1:樹脂層表面から深さ25nmの範囲内に、金属元素量換算で3×10−20mol/nm〜30×10−20mol/nmの範囲でめっき触媒又はその前駆体を含むこと

    (上記式(1)及び式(2)中、R 〜R は、夫々独立して、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、X、Y及びZは、夫々独立して、単結合、又は置換若しく無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、L 及びL は、夫々独立して、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。)
  2. 金属箔付基板をその法線方向に割断した際に現れる樹脂層とめっき膜の界面の、JIS B 0601(2001年)に規定される算術平均粗さRaが5nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の金属箔付基板。
  3. 金属箔付基板をその法線方向に割断した際に現れる樹脂層とめっき膜の界面構造がフラクタル状であり、ボックスサイズを50nm〜5μm、且つ、ピクセル・サイズをその1/100以下に設定したボックスカウント法を適用して算出した該界面構造のフラクタル次元が1.05以上1.50以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属箔付基板。
  4. 前記めっき触媒又はその前駆体の金属元素が、Pd、Ag、Cu、Cr、Pt、Rh、Sn、及びNiからなる群より選択される1種であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の金属箔付基板。
  5. (a)基板上に、下記条件1を満たす、下記式(1)で表されるユニットと下記式(2)で表されるユニットとを有する共重合体及びめっき触媒又はその前駆体を含む樹脂層を形成する工程と、
    (b)該樹脂層に対してめっきを行う工程と、
    を有することを特徴とする金属箔付基板の作製方法。
    条件1:樹脂層表面から深さ25nmの範囲内に、金属元素量換算で3×10−20mol/nm〜30×10−20mol/nmの範囲でめっき触媒又はその前駆体を含むこと

    (上記式(1)及び式(2)中、R 〜R は、夫々独立して、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、X、Y及びZは、夫々独立して、単結合、又は置換若しく無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、L 及びL は、夫々独立して、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。)
  6. 前記めっき触媒又はその前駆体の金属元素が、Pd、Ag、Cu、Cr、Pt、Rh、Sn、及びNiからなる群より選択される1種であることを特徴とする請求項5に記載の金属箔付基板の製造方法。
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