JP5257778B2 - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、その製造方法、及び表面実装用電子部品 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、その製造方法、及び表面実装用電子部品 Download PDF

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Description

本発明はポリアリーレンスルフィド樹脂と芳香族ポリアミド樹脂とを含む樹脂組成物、その製造方法、及び表面実装用電子部品に関する。
ポリフェニレンスルフィド樹脂に代表されるポリアリーレンスルフィド樹脂は高い融点と、優れた難燃性、耐薬品性を有し、成形時の流動性も良好であるため、主に射出成形用エンジニアリングプラスチックとして各種電子部品、機械部品、自動車部品に広く使われている。
近年、電気・電子工業の分野では、製品の小型化や生産性の向上に伴い、樹脂系電子部品のプリント基板上への実装方式が所謂サーフェスマウント方式(以下「SMT方式」と略記する。)と呼ばれる表面実装方式に移行している。このSMT方式により電子部品を基板上に実装する技術は、従来、錫−鉛共晶はんだ(融点184℃)が一般的であったが、近年、環境汚染の問題から、その代替材料として錫をベースに数種類の金属を添加した所謂鉛フリーはんだが利用されている。
かかる鉛フリーはんだは、錫−鉛共晶はんだよりも融点が高く、例えば、錫−銀共晶はんだの場合には融点220℃にも達する為、表面実装時には加熱炉(リフロー炉)の温度を更に上昇させなければならず、コネクター等の樹脂系電子部品をはんだ付けする際、加熱炉(リフロー炉)内において当該電子部品が融解又は変形を生じてしまうという問題があった。よって、表面実装用電子部品用の樹脂材料には耐熱性の高いものが強く求められていた。
一方、高耐熱性の樹脂材料としてポリアリーレンスルフィド樹脂と芳香族ポリアミドとを溶融混練することによって得られる樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。しかしながら、ポリアリーレンスルフィド樹脂と芳香族ポリアミドとは一般に相溶性が低く、両者を均一混合することが困難な為、芳香族ポリアミド自体の弱点である吸湿性の低さが顕著に現われてしまい、加熱炉(リフロー炉)を通過した電子部品の外観にブリスターが発生し易くなる他、リフロー炉を通過した後の曲げ強度などの機械的物性を低下させてしまうものであった。
特開平2−123159号公報 特開平5−5060号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、耐熱性に優れ、リフロー炉を通過させて高温条件下に加熱処理を行っても曲げ強度等の機械的強度が低下することなく、更に優れた難燃性をも兼備したポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、その製造方法、及び表面実装用電子部品を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアリーレンサルファイド樹脂とポリアミドとを混合した樹脂組成物とを配合したポリアリーレンスルフィド樹脂組成物において、該組成物を示差走査熱量計(DSC)により、370℃まで一旦加熱し(昇温速度:20℃/分)、溶融状態にした後(保持時間:3分)、該ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を20℃/分の降温速度で120℃まで冷却した時に発現するポリアミドの再結晶化ピーク温度を265℃以下に調節することにより、ポリアリーレンサルファイド樹脂とポリアミドとの相溶性が飛躍的に改善され、リフロー後の耐熱性、機械的強度が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、及びポリアミド(B)を必須成分とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、該ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を示差走査熱量計(DSC)により、370℃まで一旦加熱し(昇温速度:20℃/分)、溶融状態にした後(保持時間:3分)、該ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を20℃/分の降温速度で120℃まで冷却した時に発現するポリアミド(B)の再結晶化ピーク温度が265℃以下であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に関する。
更に、本発明は、前記樹脂組成物を二軸混練押出機に投入し、樹脂成分の吐出量(kg/hr)とスクリュー回転数(rpm)との比率(吐出量/スクリュー回転数)が0.02〜0.2(kg/hr・rpm)なる条件下に溶融混練することを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法に関する。
更に、本発明は、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成形物と、金属端子とを必須の構成要素とすることを特徴とする表面実装用電子部品に関する。
本発明によれば、耐熱性に優れ、リフロー炉を通過させて高温条件下に加熱処理を行っても曲げ強度等の機械的強度が低下することなく、更に優れた難燃性をも兼備したポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、その製造方法、及び、表面実装用電子部品を提供できる。
従って、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、高温域で優れた耐熱性を発現し、表面実装用の電子部品に用いられる場合、基体へのはんだ付けの際、高温下に曝されてもはんだ付け工程後に該電子部品の機械強度変化、及び外観変化が非常に小さいという特徴を有する。よって、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物はSMT方式におけるプリント基板上へのはんだ付けに供されるコネクター、スイッチ、リレー、コイルボビン、コンデンサー等に特に有用である。
図1は耐ブリスター性試験における赤外線加熱炉内の温度プロファイルを示すグラフである。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、前記したとおり、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、及びポリアミド(B)を必須成分とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、該ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を示差走査熱量計(DSC)により、370℃まで一旦加熱し(昇温速度:20℃/分)、溶融状態にした後(保持時間:3分)、該ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を20℃/分の降温速度で120℃まで冷却した時に発現するポリアミド(B)の再結晶化ピーク温度が265℃以下であることを特徴としている。
さらに、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、前記したとおり、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、及びポリアミド(B)を必須成分とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、該ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を示差走査熱量計(DSC)により、330℃まで一旦加熱し(昇温速度:20℃/分)、溶融状態にした後(保持時間:3分)、該ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を20℃/分の降温速度で120℃まで冷却した時に発現するポリアミド(B)の再結晶化ピーク温度が265℃以下であることを特徴としている。
本発明ではこのようにポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を示差走査熱量計(DSC)により、370℃まで一旦加熱し(昇温速度:20℃/分)、溶融状態にした後(保持時間:3分)、該ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を20℃/分の降温速度で120℃まで冷却した時に発現するポリアミド(B)の再結晶化ピーク温度を低減させることにより、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)との相溶性が良好となり耐ブリスター性が改善される。かかる観点から該ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を示差走査熱量(DSC)測定した場合におけるポリアミド(B)の再結晶化ピーク温度は220〜265℃であることが好ましく、特に240〜262℃であることが好ましい。
本発明ではこのようにポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を示差走査熱量計(DSC)により、330℃まで一旦加熱し(昇温速度:20℃/分)、溶融状態にした後(保持時間:3分)、該ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を20℃/分の降温速度で120℃まで冷却した時に発現するポリアミド(B)の再結晶化ピーク温度を低減させることにより、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)との相溶性が良好となり耐ブリスター性が改善される。かかる観点から該ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を示差走査熱量(DSC)測定した場合におけるポリアミド(B)の再結晶化ピーク温度は240〜265℃であることが好ましく、特に255〜262℃であることが好ましい。
他方、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を示差走査熱量計(DSC)により、330℃まで一旦加熱し(昇温速度:20℃/分)、溶融状態にした後(保持時間:3分)、該ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を20℃/分の降温速度で120℃まで冷却した時に発現するポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の再結晶化ピーク温度はより高い方がポリアミド(B)との相溶性が良好となることから、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物中のポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の再結晶化ピーク温度は220℃以上であることが好ましく、具体的には220〜240℃であること、特に222〜235℃であることが好ましい。
ここで本発明で用いるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)(以下「PAS樹脂(A)」と略記する。)は、芳香族環と硫黄原子とが結合した構造を繰り返し単位とする樹脂構造を有するものであり、具体的には、下記構造式(1)
Figure 0005257778

(式中、R及びRは、それぞれ独立的に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、ニトロ基、アミノ基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基を表す。)
で表される構造部位を繰り返し単位とする樹脂である。
ここで、前記構造式(1)で表される構造部位は、特に該式中のR及びRは、前記PAS樹脂(A)の機械的強度の点から水素原子であることが好ましく、その場合、下記構造式(2)で表されるパラ位で結合するもの、及び下記構造式(3)で表されるメタ位で結合するものが挙げられる。
Figure 0005257778
これらの中でも、特に繰り返し単位中の芳香族環に対する硫黄原子の結合は前記構造式(2)で表されるパラ位で結合した構造であることが前記PAS樹脂(A)の耐熱性や結晶性の面で好ましい。
また、前記PAS樹脂(A)は、前記構造式(1)で表される構造部位のみならず、下記の構造式(4)〜(7)
Figure 0005257778
で表される構造部位を、前記構造式(1)で表される構造部位との合計の30モル%以下で含んでいてもよい。特に本発明では上記構造式(4)〜(7)で表される構造部位は10モル%以下であることが、PAS樹脂(A)の耐熱性、機械的強度の点から好ましい。
前記PAS樹脂(A)中に、上記構造式(4)〜(7)で表される構造部位を含む場合、それらの結合様式としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体の何れであってもよい。
また、前記PAS樹脂(A)は、その分子構造中に、下記構造式(8)
Figure 0005257778

で表される3官能性の構造部位、或いは、ナフチルスルフィド結合などを有していてもよいが、他の構造部位との合計モル数に対して、1モル%以下であること、特に実質的には含まれないことがポリアリーレンスルフィド樹脂組成物中のPAS樹脂(A)の再結晶化ピーク温度がより高くなる点、更に、PAS樹脂(A)中の塩素原子含有量が低減され、近年電子部品・電機部品分野で要求の高いハロゲンフリーへの対応が容易となる点から好ましい。
かかるPAS樹脂(A)は、例えば下記(1)〜(4)によって製造することができる。
(1)N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤やスルホラン等のスルホン系溶媒中で硫化ナトリウムとp−ジクロルベンゼンを反応させる方法、
(2)p−ジクロルベンゼンを硫黄と炭酸ソーダの存在下で重合させる方法、
(3)極性溶媒中で硫化ナトリウムあるいは水硫化ナトリウムと水酸化ナトリウム又は硫化水素と水酸化ナトリウムの存在下で重合させる方法、
(4)p−クロルチオフェノールの自己縮合による方法
これらの中でも(1)のN−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤やスルホラン等のスルホン系溶媒中で硫化ナトリウムとp−ジクロルベンゼンを反応させる方法が反応の制御が容易であり、工業的生産性に優れる点から好ましい。
また、リニアかつ高分子量のPAS樹脂(A)を工業的に効率よく製造できる点から前記方法(1)のなかでも、特に、固形のアルカリ金属硫化物、ジクロルベンゼン、アルカリ金属水硫化物、有機酸アルカリ金属塩を必須成分とする反応スラリーを調整し、これを加熱して不均一系で重合を行う方法が特に好ましい。かかる重合方法は具体的には、
工程1:
含水アルカリ金属硫化物、又は、
含水アルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属水酸化物と、
N−メチルピロリドンと、
非加水分解性有機溶媒とを、
脱水させ乍ら反応させて、スラリー(I)を製造する工程、
工程2:
次いで、前記スラリー(I)中、
ジクロルベンゼンと、
前記アルカリ金属水硫化物と、
前記N−メチルピロリドンの加水分解物のアルカリ金属塩と
を、反応させて重合を行う工程、
を必須の製造工程とする方法が生産性の点から好ましい。
ここで用いる含水アルカリ金属硫化物は、例えば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム等の化合物の液状又は固体状の含水物が挙げられ、その固形分濃度は10〜80質量%、特に35〜65質量%であることが好ましい。
また、前記含水アルカリ金属水硫化物としては、例えば、水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化ルビジウム及び水硫化セシウム等の化合物の液状又は固体状の含水物が挙げられ、その固形分濃度は10〜80質量%であることが好ましい。これらの中でも水硫化リチウムの含水物と水硫化ナトリウムの含水物が好ましく、特に水硫化ナトリウムの含水物が好ましい。
更に、前記アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、及びこれらの水溶液が挙げられる。なお、該水溶液を用いる場合には、濃度20質量%以上の水溶液であることが工程1の脱水処理が容易である点から好ましい。これらの中でも特に水酸化リチウムと水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが好ましく、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
このようにして得られるPAS樹脂(A)のなかでも、特にゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定において分子量25,000〜30,000の範囲にピークを有し、かつ、非ニュートン指数が0.9〜1.3の範囲にあるものが、PAS樹脂(A)の再結晶化ピーク温度がより高くなる点、また、PAS樹脂(A)中の塩素原子含有量が低くなる点から好ましい。更に、このなかでも特に重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率(Mw/Mn)が5〜10の範囲にある場合にはPAS樹脂(A)とポリアミド(B)との相溶性が飛躍的に高くなる点から好ましい。なお、近年、電子・電気部品に要求されている材料中の塩素原子含有量900ppm以下を満たすためには、PAS樹脂(A)自体の塩素原子含有量は1,500〜2,000ppmの範囲であることが好ましい。
ここで前記PAS樹脂(A)のゲル浸透クロマトグラフィーを用いた分子量、及び、分子量分布(Mw/Mn)の測定は次の条件にて行うことができる。
装置:超高温ポリマー分子量分布測定装置(株式会社センシュー科学製「SSC−7000」)
カラム:UT−805L(昭和電工株式会社製)
カラム温度:210℃
溶媒:1−クロロナフタレン
測定方法:UV検出器(360nm)
で6種類の単分散ポリスチレンを校正に用いて分子量分布とピーク分子量を測定する。
また、前記PAS樹脂(A)は、ポリアミド(B)との相溶性の点から、フローテスターによる溶融粘度が、40〜60Pa・S、更に好ましくは45〜55Pa・Sの範囲にあるものが好ましい。ここで、溶融粘度の値は高化式フローテスターを用いて、300℃、剪断速度100sec−1、ノズル孔径0.5mm、長さ1.0mmで測定した値である。
以上詳述したPAS樹脂(A)は、更に、残存金属イオン量を低減して耐湿特性を改善するとともに、重合の際副生する低分子量不純物の残存量を低減できる点から、該PAS樹脂(A)を製造した後に、酸で処理し、次いで、水で洗浄されたものであることが好ましい。
ここで使用し得る酸は、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、珪酸、炭酸、プロピル酸がPAS樹脂(A)の分解することなく残存金属イオン量を効率的に低減できる点から好ましく、なかでも酢酸、塩酸が好ましい。
酸処理の方法は、酸または酸水溶液にPAS樹脂を浸漬する方法が挙げられる。この際、必要に応じさらに攪拌または加熱してもよい。
ここで、前記酸処理の具体的方法は、酢酸を用いる場合を例に挙げれば、まずpH4の酢酸水溶液を80〜90℃に加熱し、その中にPAS樹脂(A)を浸漬し、20〜40分間攪拌する方法が挙げられる。
このようにして酸処理されたPAS樹脂(A)は、残存している酸または塩等を物理的に除去するため、次いで、水または温水で数回洗浄する。このときに使用される水としては、蒸留水または脱イオン水であることが好ましい。
また、前記酸処理に供せられるPAS樹脂(A)は、粉粒体であることが好ましく、具体的には、ペレットのような粒状体でも、重合した後のスラリ−状態体にあるものでもよい。
次に、本発明に使用するポリアミド(B)は、ε−カプロラクタム重合体であるナイロン6、ウンデカンラクタム重合体であるナイロン11、ラウリルラクタム重合体であるナイロン12、テトラメチレンジアミン/アジピン酸共縮合体であるナイロン46、ヘキサメチレンジアミン/アジピン酸共縮合体であるナイロン66、ヘキサメチレンジアミン/セバシン酸共縮合体であるナイロン610などの脂肪族ポリアミド、或いは芳香族ポリアミドが挙げられるが、ナイロン46または、以下に詳述する芳香族ポリアミドであることがポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を示差走査熱量(DSC)測定した場合におけるポリアミド(B)の再結晶化ピーク温度がより低くなり、特に表面実装用電子部品用途におけるリフロー後の耐熱性が良好となる点から好ましい。
ここで用いられる芳香族ポリアミドは、具体的には、下記構造式a
Figure 0005257778

で表されるテレフタル酸アミド構造を繰り返し構造単位の一つとして有するものである。
前記構造式a中、Rは炭素原子数2〜12アルキレン基を表す。かかるテレフタル酸アミド構造は、具体的には、テレフタル酸、又はテレフタル酸ジハライドと、炭素原子数2〜12の脂肪族ジアミンとの反応によって形成されるものである。ここで用いる炭素原子数2〜12の脂肪族ジアミンは、具体的には、エチレンジアミン、プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の直鎖状脂肪族アルキレンジアミン;1−ブチル−1,2−エタンジアミン、1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、3,3−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,3−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,4−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,5−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、3−メチル−1,8−オクタンジアミン、4−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、1,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,5−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,2−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の分岐鎖状脂肪族アルキレンジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環族ジアミン類が挙げられる。
これらの中でも特に耐湿性と機械的強度の点から炭素原子数4〜8の直鎖状脂肪族アルキレンジアミン、炭素原子数5〜10の分岐鎖状脂肪族アルキレンジアミンが好ましい。
また、前記芳香族ポリアミドは、テレフタル酸アミド構造の他に、下記構造式b
Figure 0005257778
(式中、Rは構造式aのおけるRと同義である。)
で表されるイソフタル酸アミド構造を有することが、前記芳香族ポリアミド自体の融点を下げてPAS樹脂(A)との相溶性を改善できる点から好ましい。
更に、前記芳香族ポリアミドは、テレフタル酸アミド構造の他に、下記構造式c
Figure 0005257778
(式中、Rは構造式aのおけるRと同義であり、Rは、炭素原子数4〜10の脂肪族炭化水素基を表す。)で表される酸アミド構造を有していてもよい。
ここで、上記構造式cで表される酸アミド構造は、炭素原子数4〜10の脂肪族ジカルボン酸、その酸エステル化物、その酸無水物、又はその酸ハライドと、炭素原子数2〜12の脂肪族ジアミンとの反応によって形成されるものである。ここで用いる炭素原子数4〜10の脂肪族ジカルボン酸は、具体的には、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸類が挙げられる。
上記した炭素原子数4〜10の脂肪族ジカルボン酸の酸エステル化物は、具体的には、メチルエステル体、エチルエステル体、t−ブチルエステル体等が挙げられ、また、前記脂肪族ジカルボン酸の酸ハライドを構成するハロゲン原子は臭素原子、塩素原子が挙げられる。
前記芳香族ポリアミドは、上述したとおり前記構造式a、構造式b、構造式cで表されるアミド構造を構造部位として有するものが好ましいが、ジカルボン酸1分子と、ジアミン1分子とから構成される酸アミド構造を1単位とした場合に、該芳香族ポリアミド(B)を構成する全酸アミド構造に対して前記テレフタル酸アミド構造は65モル%以上、イソフタル酸アミド構造は20モル%以上、脂肪族炭化水素酸アミド構造は10モル%以上含まれていることが、耐熱性改善の効果が顕著になる点から好ましい。
更に前記芳香族ポリアミドは、耐熱性と耐湿性とのバランスから
前記構造式aで表されるテレフタル酸アミド構造を65〜70モル%、
前記構造式bで表されるイソフタル酸アミド構造を20〜25モル%、
前記構造式cで表される酸アミド構造を10〜15モル%、
で構成されるポリアミドが好ましい。
また、前記ポリアミド(B)の再結晶化ピーク温度がより低くなり、PAS樹脂(A)との相溶性が良好となる点から融点290〜330℃、また、Tg90〜140℃であることが好ましい。
前記した芳香族ポリアミドは、例えば、以下の(1)乃至(3)の方法によって製造することができる。
(1)テレフタル酸を含むジカルボン酸成分の酸ハライドと、炭素原子数2〜12の脂肪族ジアミンを含むジアミン成分とを、お互いに相溶しない二種の溶媒に溶解した後、アルカリおよび触媒量の第4級アンモニウム塩の存在下に2液を混合、撹拌して重縮合反応を行う界面重合法。
(2)テレフタル酸を含むジカルボン酸成分の酸ハライドと、炭素原子数2〜12の脂肪族ジアミンを含むジアミン成分とを第3級アミンなどの酸を受容するアルカリ性化合物の存在下、有機溶媒中で反応せしめる溶液重合法。
(3)テレフタル酸を含むジカルボン酸成分のジエステル化物と、芳香族ジアミンを原料として溶融状態でアミド交換反応する溶融重合法。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物において前記PAS樹脂(A)、ポリアミド(B)との配合割合はPAS樹脂(A)/ポリアミド(B)の質量比が95/5〜50/50の範囲となる割合であることが成形品の耐熱性、低吸水性が良好となる点から好ましく、更に85/15〜70/30の範囲であることが、耐熱性、耐湿性に加え、難燃性も良好なものとなる点から好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、上記したPAS樹脂(A)、ポリアミド(B)に加え、芳香族ホスファイト化合物及び芳香族ホスフォナイト化合物からなる群から選択される有機燐化合物(C)と、亜リン酸金属塩及び次亜リン酸金属塩からなる群から選択される無機燐化合物(D)とを併用することによりPAS樹脂(A)、及びポリアミド(B)からなる組成物を溶融した際に発生するガスを顕著に低減することができる。
ここで、有機燐化合物(C)を構成する芳香族ホスファイト化合物としては、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−アミルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス[2−(1,1−ジメチルプロピル)−フェニル]ホスファイト、トリス[2,4−(1,1−ジメチルプロピル)−フェニル]ホスファイト、ビス(2−t−ブチルフェニル)フェニルホスファイト、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−フェニルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト及びビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のビス(C3−9アルキルアリール)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。一方、芳香族ホスフォナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイトなど)などが挙げられる。
以上詳述した有機燐化合物(C)の中でも分子量が600以上のものが、溶融加工時の分解や揮散性が小さく、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の発生ガス量を低減する効果が大きいため好ましい。特にこの発生ガス量低減の効果が顕著である点から芳香族ホスファイト化合物が好ましく、とりわけビス(C3−9アルキルアリール)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。
上記した有機燐化合物(C)の配合割合は、PAS樹脂(A)、ポリアミド(B)、有機燐化合物(C)、及び無機燐化合物(D)の合計100質量部に対し、0.1〜1質量部の範囲であることが溶融時のガス発生を抑制する効果が顕著となり、また、該有機リン化合物(C)自体の分解量が少なくなる点から好ましい。
次に、無機燐化合物(D)を構成する亜燐酸金属塩及び次亜燐酸金属塩は、各アルカリ金属(I族)の塩、各アルカリ土類金属(II族)の塩、各III〜V族の塩、各遷移金属の塩が挙げられる。
これらのなかでも特に、次亜リン酸塩が、溶融時の発生ガス低減効果の点で好ましく、具体的には、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸アルミニウム、次亜リン酸亜鉛等が挙げられる。
上記した無機燐化合物(D)の配合割合は、PAS樹脂(A)、ポリアミド(B)、有機燐化合物(C)、及び無機燐化合物(D)の合計100質量部に対し、0.1〜1重量部であることが溶融時のガス発生を抑制する効果が顕著なものとなり、溶融時の流動性の変化も少なくなる点から好ましい。
本発明では更にエポキシアルコシキシラン化合物(E)を併用することにより、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を示差走査熱量(DSC)測定した場合におけるPAS樹脂(A)の再結晶化ピーク温度をより高めることができる点から好ましい。
前記エポキシアルコキシシラン化合物(E)は、1分子中にエポキシ基を1個以上有し、アルコキシ基を2個以上有するシラン化合物である。ここで、該アルコキシ基は炭素原子数1〜6のアルコキシ基、或いは、該アルコキシ基を繰り返し単位として2単位乃至6単位で構成されるポリアルキレンオキシ基が挙げられる。ここで、前記エポキシアルコキシシラン化合物(E)の具体例は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
前記エポキシアルコキシシラン化合物(E)の配合量は、前記PAS樹脂(A)と前記芳香族ポリアミドとの合計量100質量部に対し、0.01〜5質量部であることが好ましく、特に0.1〜2質量部であることが好ましい。
また、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、上記した各成分に加え、更にハイドロタルサイト類化合物(F)を併用することが前記PAS樹脂(A)と前記芳香族ポリアミドとの溶融混練時或いは成形物のリフロー炉における熱処理時におけるポリマー成分の熱分解を抑制して、優れた機械的強度や難燃性の一層の向上が図れる点、及び、熱処理後の成形物外観を改善効果が一層顕著なものとなる点から好ましい。
ここで用いるハイドロタルサイト類化合物(F)は、2価の金属イオンと3価の金属イオンの水酸化物を層状結晶構造として有し、該層状結晶構造の層間に陰イオンを含む構造を有する無機化合物、或いは、その焼成物である。かかるハイドロタルサイト類化合物(D)を構成する2価の金属イオンは、例えば、Mg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、及びZn2+が挙げられ、3価の金属イオンはAl3+、Fe3+、Cr3+、Co3+、及びIn3+が挙げられる。また、陰イオンは、OH、F、Cl、Br、NO 、CO 、SO 2−、Fe(CN) 3−及びCHCOO、モリブテン酸イオン、ポリモリブテン酸イオン、バナジウム酸イオン、ポリバナジウム酸イオンが挙げられる。
これらの中でも、特に、PAS樹脂(A)に起因する酸成分とのイオン交換能に優れ、ガス発生防止効果が顕著である点から、3価の金属イオンはAl3+であって、陰イオンはCO であることが好ましく、具体的には、例えば下記式
2+ 1−xAl(OH)・(COX/2mHO 式1
(式1中、M2+はMg,Ca及びZnよりなる群から選ばれた二価金属イオンを示し、そしてx及びmは、0<x<0.5かつ0≦m≦2を満足する数値である。)
で表される化合物であることが好ましい。
前記式1を満足する化合物は、例えば、
Mg2+ Al(OH)16・(CO)・4H
で表される天然ハイドロタルサイトの他、
Mg0.7Al0.3(OH)(CO0.15・0.54HO、
Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HO、
Mg4.3Al(OH)12.6CO・3.5HO、
Mg4.2Al(OH)12.4CO
ZnAl(OH)16CO・4HO、
CaAl(OH)16CO・4HO等が挙げられる。
これらのなかでも特に本発明ではガス発生防止の点から下記式2
Mg2+ 1−xAl(OH)・(COX/2mHO 式2
(式2中、x及びmは、0<x<0.5かつ0≦m≦2を満足する数値である。)
で表されるMg−Al系ハイドロタルサイト様化合物であることが特に好ましい。
前記ハイドロタルサイト類化合物(F)の配合量は、ガス発生防止効果が顕著なものとなる点から本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物中0.1〜1.0質量%、或いは、前記PAS樹脂(A)及び前記芳香族ポリアミドの合計質量100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましく、特に0.1〜2質量部であることが好ましい。
本発明では、上記各成分に加え、更に繊維状強化材(G−1)又は無機質フィラー(G−2)を配合することが成形物の機械的強度の点から好ましい。
前記繊維状強化材(G−1)は、例えば、ガラス繊維、PAN系又はピッチ系の炭素繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、ホウ素繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、チタン酸カリウム繊維、更にステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真ちゅう等の金属の繊維状物の無機質繊維状物質、及びアラミド繊維等の有機質繊維状物質等が挙げられる。
また、無機質フィラー(G−2)は、例えば、マイカ、タルク、ワラステナイト、セリサイト、カオリン、クレー、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケート、ゼオライト、パイロフィライトなどの珪酸塩や炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、アルミナ、酸化マグネシウム、シリカ、ジルコニア、チタニア、酸化鉄などの金属酸化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、燐酸カルシウムなどが挙げられる。これらの繊維状強化材(G−1)、無機質フィラー(G−2)は、単独使用でも2種以上を併用してもよい。
本発明に使用する繊維状強化材(G−1)又は無機質フィラー(G−2)の配合量は、PAS樹脂(A)と芳香族ポリアミド(B)との合計量100質量部に対し、1〜200重量部の範囲であることが好ましい。また繊維状強化材(G−1)又は無機質フィラー(G−2)は、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂成形物品の性能を損なわない範囲で、シランカップリング剤あるいはチタンカップリング剤等の表面処理剤で表面処理を施したものであってもよい。
更に、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤(H)を併用することが前記PAS樹脂(A)と前記ポリアミド(B)との溶融混練時或いは成形物のリフロー炉における熱処理時におけるポリマー成分の熱分解を抑制して、優れた機械的強度や難燃性の一層の向上が図れる点、及び、熱処理後の成形物外観を改善効果が一層顕著なものとなる点から好ましい。酸化防止剤には、例えば、フェノール系(ヒンダードフェノール 類など)、アミン系(ヒンダードアミン類など)、リン系、イオウ系、ヒドロキノン系、キノリン系酸化防止剤(又は安定剤)などが含まれる。
フェノール系酸化防止剤には、ヒンダードフェノール類、例えば、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−オクタデシル−3−(4’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート、ステアリル−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート、ジステアリル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタンなどが含まれる。
ヒンダードフェノール類の中でも、特に、例えば、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのC2−10アルキレンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのジ又はトリオキシC2−4アルキレンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、グリセリントリス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのC3−8アルキレントリオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのC4−8アルキレンテトラオールテトラキス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などが好ましい。
アミン系酸化防止剤には、ヒンダードアミン類、例えば、トリ又はテトラC1−3アルキルピペリジン又はその誘導体[例えば、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど]、ビス(トリ、テトラ又はペンタC1−3アルキルピペリジン)C2−20アルキレンジカルボン酸エステル[例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オギサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート]、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタン、フェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−シクロヘキシル−1,4−フェニレンジアミンなどが含まれる。
リン系安定剤(又は酸化防止剤)には、例えば、トリイソデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイト、トリス(分岐C3−6アルキルフェニル)ホスファイト[例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−アミルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス[2−(1,1−ジメチルプロピル)−フェニル]ホスファイト、トリス[2,4−(1,1−ジメチルプロピル)−フェニル]ホスファイトなど]、ビス(2−t−ブチルフェニル)フェニルホスファイト、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−フェニルフェニル)ホスファイト、ビス(C3−9アルキルアリール)ペンタエリスリトールジホスファイト[例えば、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなど]、トリフェニルホスフェート系安定剤(例えば、4−フェノキシ−9−α−(4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルオキシ−3,5,8,10−テトラオキサ−4,9−ジホスファピロ[5,5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェートなど)、ジホスフォナイト系安定剤(例えば、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイトなど)などが含まれる。リン系安定剤は、通常、分岐C3−6アルキルフェニル基(特に、t−ブチルフェニル基)を有している。
ヒドロキノン系酸化防止剤には、例えば、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンなどが含まれ、キノリン系酸化防止剤には、例えば、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどが含まれ,イオウ系酸化防止剤には、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどが含まれる。
これらの酸化防止剤又は安定剤は単独で、又は二種以上使用できる。前記酸化防止剤又は安定剤(H)の配合量は、ガス発生防止効果が顕著なものとなる点から本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物中0.1〜1.0質量%、或いは、前記PAS樹脂(A)及び前記芳香族ポリアミドの合計質量100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましく、特に0.1〜2質量部であることが好ましい。
更に、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、塩素原子含有量規制の観点から、耐熱樹脂組成物中に含まれる塩素原子含有量が900ppm以下になるように配合することが好ましい。ここで耐熱樹脂組成物中に含まれる塩素原子含有量とは、樹脂成分のみならず、全ての配合成分が含まれている状態での塩素原子含有量であり、塩素原子の定量は、試料を密閉石英管内で燃焼(900℃、Ar−O雰囲気)処理し、発生したガスを純水に吸収させた後、イオンクロマトグラフ法による塩化物イオンを測定することで行うことができる。
更に、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、加工熱安定剤、可塑剤、離型剤、着色剤、滑剤、耐候性安定剤、発泡剤、防錆剤、ワックスを適量添加してもよい。
更に本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、更に、要求される特性に合わせてその他の樹脂成分を適宜配合してもよい。ここで使用し得る樹脂成分としては、エチレン、ブチレン、ペンテン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどの単量体の単独重合体または共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート・ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリサルホン、ポリアリルサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、液晶ポリマー、ポリアリールエーテルなどの単独重合体、ランダム共重合体またはブロック共重合体、グラフト共重合体等が挙げられる。
以上詳述したポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を製造する方法は、具体的には、前記PAS樹脂(A)およびポリアミド(B)を、更に必要に応じてその他の配合成分をタンブラー又はヘンシェルミキサーなどで均一に混合、次いで、2軸押出機に投入し、樹脂成分の吐出量(kg/hr)とスクリュー回転数(rpm)との比率(吐出量/スクリュー回転数)が0.02〜0.2(kg/hr・rpm)なる条件下に溶融混練する方法が挙げられる。
上記製造方法につき更に詳述すれば、前記した各成分を2軸押出機内に投入し、設定温度330℃、樹脂温度350℃程度の温度条件下に溶融混練する方法が挙げられる。この際、樹脂成分の吐出量は回転数250rpmで5〜50kg/hrの範囲となる。なかでも特に分散性の点から20〜35kg/hrであることが好ましい。よって、樹脂成分の吐出量(kg/hr)とスクリュー回転数(rpm)との比率(吐出量/スクリュー回転数)は、特に0.08〜0.14(kg/hr・rpm)であることが好ましい。
また、前記配合成分のうち繊維状強化材(G−1)は、前記2軸押出機のサイドフィーダーから該押出機内に投入することが該繊維状強化材(G−1)の分散性が良好となる点から好ましい。かかるサイドフィーダーの位置は、前記2軸押出機のスクリュー全長に対する、押出機樹脂投入部から該サイドフィーダーまでの距離の比率が、0.1〜0.6であることが好ましい。中でも0.2〜0.4であることが特に好ましい。
このようにして溶融混練されたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物はペレットとして得られ、次いで、これを成形機に供して溶融成形することにより、目的とする成形物が得られる。
ここで溶融成形する方法は、例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形等が挙げられるが、このうち表面実装用電子部品の成型用としては射出成形が特に好ましい。
このようにして得られる成形物は、耐熱性に優れ、高温域での弾性率が高い為、はんだ付けされる成形物に好ましく使用することができる。特に、前記した通り、表面実装用の電子部品用途においては、加熱炉(リフロー炉)内の基体の表面温度が280℃以上の高温になるところ、従来のPAS樹脂では融解又は変形が見られるのに対して、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、成形物品が融解又は変形を生じることなく該基体にはんだ付けすることが可能である。なお、上記のはんだ付けされる基体の表面温度とは、表面実装方式におけるはんだ付け工程において、実際に測定される基体の表面上の温度である。該基体の具体例としては、SMT方式におけるプリント印刷された配線基板や回路基板等が挙げられる。
また、上記した表面実装方式での加熱炉(リフロー炉)中での加熱方式には、(1)ヒーター上を移動する耐熱ベルトの上に基板を載せて加熱する熱伝導方式、(2)約220℃の沸点を有するフッ素系液体の凝集時の潜熱を利用するベーパーフェイズソルダリング(VPS)方式、(3)熱風を強制的に循環させているところを通す熱風対流熱伝達方式、(4)赤外線により基板の上部又は上下両面から加熱する赤外線方式、(5)熱風による加熱と赤外線による加熱を組み合わせて用いる方式等が挙げられる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成形物品は、例えば、精密部品、各種電気・電子部品、機械部品、自動車用部品、建築、サニタリー、スポーツ、雑貨等の幅広い分野において使用することができるが、特に難燃性、耐熱性、剛性等々に優れるため、とりわけ、前記した通り、表面実装用電子部品として有用である。
ここで、本発明の表面実装用電子部品は、前記したポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成形物と、金属端子とを必須の構成要素とするもので、プリント印刷された配線基板や回路基板上に表面実装方式によって固定されるものである。この電子部品を表面実装方式で基板に固定させるには、該電子部品の金属端子がハンダボールを介して基板上の通電部に接するように基板表面に載せて、上記した加熱方式によってリフロー炉内で加熱することによって、該電子部品を基板にハンダ付けする方法が挙げられる。
かかる表面実装用の電子部品は、具体的には、表面実装方式対応用のコネクター、スイッチ、センサー、抵抗器、リレー、コンデンサー、ソケット、ジャック、ヒューズホルダー、コイルボビン、ICやLEDのハウジング等が挙げられる。
また、本発明の製造方法で得られるポリアリーレンスルフィド樹脂成形物品は、所謂ハロゲン系銅や酸化アンチモン或いは金属水酸化物といった難燃剤を添加することなく、UL耐炎性試験規格UL−94(アンダーライターズ ラボラトリーズ,インコーポレイテッド,(UL)スタンダード No.94)において、V−0に相当する高い難燃性を達成せしめるものである。
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明する。
実施例1〜8及び比較例1〜6
表1、表2に記載する配合比率に従い、ポリアリーレンスルフィド樹脂、芳香族ポリアミド及びその他配合材料(ガラス繊維チョップドストランドを除く)をタンブラーで均一に混合した。その後、東芝機械(株)製ベント付き2軸押出機「TEM−35B」に前記配合材料を投入し、また、サイドフィーダー(スクリュー全長に対する樹脂投入部から該サイドフィーダーまでの距離の比率:0.28)から繊維径10μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランドを上記配合材料60質量部に対して40質量部の割合で供給しながら、樹脂成分吐出量25kg/hr、スクリュー回転数250rpm、樹脂成分の吐出量(kg/hr)とスクリュー回転数(rpm)との比率(吐出量/スクリュー回転数)=0.1(kg/hr・rpm)、最大トルク65(Å)、設定樹脂温度330℃で溶融混練して樹脂組成物のペレットを得た。
次いで、このペレットを用いて以下の各種評価試験を行った。
[リフロー加熱後の曲げ強度及び曲げ破断伸び]
樹脂組成物ペレットを射出成形機を用いて成形し、幅10mm×長さ50mm×厚さ1.6mmの試験片を得た。次いでこの試験片について、ASTM D790に準じてリフロー加熱後の曲げ強度及び曲げ破断伸びを測定した。リフロー加熱は赤外線加熱炉(山陽精工製、SMTスコープ)を用いて、図1に示す温度プロファイルに従ってリフロー工程を行った。
[耐ブリスター性試験]
樹脂組成物ペレットを射出成形機を用いて成形し、形状が縦50mm×横10mm×高さ8mm、0.8mm厚さの箱形コネクターを作成した。次いでこの箱形コネクターを赤外線加熱炉(山陽精工製、SMTスコープ)を用いて、図1に示す温度プロファイルに従ってリフロー工程を行った。評価は加熱後に箱形コネクターを目視観察し、下記の2段階の基準で評価した。
A:外観に変化なし。 B:ブリスターもしくは融解が観察された。
[燃焼試験]:UL−94垂直試験に準拠。
[含有クロル量の測定]
下記ガス化装置を用い、各樹脂組成物ペレットを閉石英管内で燃焼(900℃、Ar−O雰囲気)処理し、発生したガスを純水に吸収させてイオンクロマトグラフ法により塩化物イオンを定量した。
<処理装置>
ガス化装置:ダイアインスツルメンツ社製燃焼ガス吸収装置「AQF−100」
イオンクロマトグラフ:ダイオネクス社製イオンクロマトグラフ「ICS−3000」
[再結晶化ピーク温度(Tc2)−1の測定]
試料をポリアリーレンスルフィド樹脂(A)及び芳香族ポリアミド(B)の融点以上の温度(370℃)までにいったん加熱し(昇温速度:20℃/分)、溶融状態にした後(保持時間:3分)、試料を20℃/分の降温速度で120℃まで冷却した時に、発現した再結晶化ピーク温度(Tc2)を測定した。
[再結晶化ピーク温度(Tc2)−2の測定]
試料をポリアリーレンスルフィド樹脂(A)及び芳香族ポリアミド(B)の融点以上の温度(330℃)までにいったん加熱し(昇温速度:20℃/分)、溶融状態にした後(保持時間:3分)、試料を20℃/分の降温速度で120℃まで冷却した時に、発現した再結晶化ピーク温度(Tc2)を測定した。
なお、表1及び表2中の配合樹脂、材料は下記のものである。
(1)PPS−1:DIC株式会社製ポリフェニレンスルフィド「DSP LR−1G」(非ニュートン指数1.1、ピーク分子量28000、Mw/Mn=7.5)
(2)PA6T−1:テレフタル酸65モル%、イソフタル酸25モル%、アジピン酸10モル%を必須の単量体成分として反応させた芳香族ポリアミド(融点310℃、Tg120℃)
(3)PA6T−2:テレフタル酸66モル%、イソフタル酸23モル%、アジピン酸11モル%を必須の単量体成分として反応させた芳香族ポリアミド(融点310℃、Tg120℃)
(4)PA6T−3:テレフタル酸64モル%、イソフタル酸34モル%、アジピン酸2モル%を必須の単量体成分として反応させた芳香族ポリアミド(融点310℃、Tg120℃)
(5)PA9T:株式会社クラレ製ポリアミド9T「ジェネスタ N1000A」
(6)PA46:ディーエスエム ジャパン エンジニアリング プラスチックス株式会社製ポリアミド46「スタニール TS300」
(7)Si−1:エポキシシラン(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
(8)酸化防止剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤「イルガノックス 1098」
(9)ホスファイト:株式会社ADEKA製リン系加工熱安定剤「アデカスタブ PEP−36」
(10)次亜リン酸Ca:次亜リン酸カルシウム
(11)ハイドロタルサイト:協和化学工業株式会社製ハイドロタルサイト「DHT−4A」
(12)GF:ガラス繊維チョップドストランド(繊維径10μm、長さ3mm)
Figure 0005257778
Figure 0005257778

Claims (9)

  1. 塩素原子含有量1,500〜2,000ppmの範囲のポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、及びポリアミド(B)を必須成分とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、
    該ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の塩素原子含有量が900ppm以下の範囲であり、該ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を示差走査熱量計(DSC)により、370℃まで一旦加熱し(昇温速度:20℃/分)、溶融状態にした後(保持時間:3分)、該ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を20℃/分の降温速度で120℃まで冷却した時に発現するポリアミド(B)の再結晶化ピーク温度が265℃以下であり、前記ポリアミド(B)が、ナイロン46であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  2. 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)とポリアミド(B)との配合割合が、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)/ポリアミド(B)の質量比で95/5〜50/50の範囲である、請求項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を示差走査熱量計(DSC)により、330℃まで一旦加熱し(昇温速度:20℃/分)、溶融状態にした後(保持時間:3分)、該ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を20℃/分の降温速度で120℃まで冷却した時に発現するポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の再結晶化ピーク温度が220℃以上であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  4. 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、前記ポリアミド(B)との配合割合が前者(A)/後者(B)の質量比で70/30〜85/15となる割合である請求項1〜のいずれか1つに記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  5. 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)が、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定した場合、分子量25000〜30000の範囲にピークを有し、Mw/Mnが5〜10の範囲にあり、かつ、非ニュートン指数が0.9〜1.3の範囲にあるものである請求項1〜のいずれか1つに記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  6. 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、前記ポリアミド(B)に加え、更に、エポキシ系シランカップリング剤(E)、ハイドロタルサイト類化合物(F)及び繊維状強化材(G−1)又は無機質フィラー(G−2)を含有する請求項1〜のいずれか1つに記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  7. 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、前記ポリアミド(B)の各成分に加え、更に、酸化防止剤(H)を含有する請求項1〜のいずれか一項に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  8. 請求項1〜のいずれか1つに記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を二軸混練押出機に投入し、樹脂成分の吐出量(kg/hr)とスクリュー回転数(rpm)との比率(吐出量/スクリュー回転数)が0.02〜0.2(kg/hr・rpm)なる条件下に溶融混練し、次いで取り出すことを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  9. 請求項1〜のいずれか1つに記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成形物と、金属端子とを必須の構成要素とすることを特徴とする表面実装用電子部品。
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