JP4161783B2 - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた流動性を示すポリアミド樹脂組成物であって、機械的強度、耐熱性に優れる成形品を与えることができるポリアミド樹脂組成物およびそれからなる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
ナイロン6、ナイロン66に代表される脂肪族ポリアミドは、耐熱性、耐薬品性、剛性、耐摩耗性、成形性などの優れた性質を有することから、エンジニアリングプラスチックとして多くの用途に使用されてきた。特に、これらの脂肪族ポリアミドを電気・電子部品用途に適用する場合には、UL−94規格に基づく高い難燃性が要求されるため、種々の難燃剤による難燃化の方法が多数提案され、実用化されている。
【0003】
しかし、これらの脂肪族ポリアミドは吸水性が大きく、成形品の寸法変化、物性低下、成形品の表面に水膨れ状の膨れが生じる現象であるブリスタ現象の発生などが問題となっていた。さらに近年、難燃化が必要とされる電気・電子部品では、部品の高密度実装、半田付け工程の効率化などの目的で、表面実装方式(SMT)と呼ばれる実装方法が急速に浸透しているが、この実装方法に対しては、従来の脂肪族ポリアミドは耐熱性の面でも適用できなくなっている。特に最近では、環境規制の問題から従来の鉛半田からより融点の高い鉛レス半田が主流になっており、SMT用途に求められる耐熱性の要求水準はさらに高くなっている。さらに、携帯電話、パソコンの高機能化に伴い、SMTコネクタの薄肉・低背化が浸透してきている。加えて、最近では生産性を向上させるため、1ショットで多数個成形できる射出成形法が採用されており、耐熱性だけでなく、高い流動性を有しかつ強度にも優れている材料が要求されている。
【0004】
このため、脂肪族アルキレンジアミンとテレフタル酸からなるポリアミドを主成分とした高耐熱性の半芳香族ポリアミドが、電気・電子部品用途に用いられるようになってきている(特許文献1〜4参照)。また、テトラメチレンジアミンとアジピン酸とからなるポリアミド(PA46)を主成分とした高耐熱性の脂肪族ポリアミドなども用いられている。更に、ポリアミド以外にも、液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の高耐熱性樹脂も利用されている。
【0005】
しかしながら、上述の高耐熱性の半芳香族ポリアミドや脂肪族ポリアミドの場合、機械的強度、耐熱性に優れるものの、薄肉・低背化が進む用途では流動性、耐ブリスタ性が十分とは言えないという問題があった。一般的に、高流動化手法としては樹脂あるいはその配合物の分子量を下げる手法が用いられるが、機械的強度の低下をともなうため、このような手法を、上述の高耐熱性の半芳香族ポリアミドや脂肪族ポリアミドに適用することには限界がある。
【0006】
また、LCPの場合、流動性に優れる反面、機械的強度、摺動特性が低く、特に射出成形品の樹脂と樹脂が嵌合するウェルドラインでは著しく強度が低下しており、コネクタの組み立て工程や実用時に割れたり、削れたりする場合が多いという問題があり、一方、PPSの場合には、流動性が低く、成形が困難な場合が多いという問題がある。
【0007】
以上説明したように、薄肉・低背化が進むSMTコネクタ用途ではこれらの要求性能を満たす材料は未だ提案されていない状況にあるのが実情である。
【0008】
また、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステルが、耐熱性に優れ、熱可塑性樹脂用の滑剤、離型剤、表面潤滑性向上剤等として有用であるとされており(特許文献5、6参照)、その熱可塑性樹脂の例として、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612、芳香族系ポリアミド等のポリアミド樹脂等が挙げられている(特許文献6)。しかしながら、このような脂肪酸エステルのポリアミド樹脂に対する流動性向上効果は、十分ではなかった。
【0009】
【特許文献1】
特開平3−239755号公報
【特許文献2】
特開平4−96970号公報
【特許文献3】
特開平5−320503号公報
【特許文献4】
特開平6−263985号公報
【特許文献5】
特開昭60−243135号公報
【特許文献6】
特開平9−221566号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、優れた耐ブリスタ性、機械的強度及び摺動性を有する成型品を与える、流動性に優れたポリアミド樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、高融点のポリアミド樹脂に特定のエステル化合物を配合すると、得られた配合物の流動性が若干向上し、更に臭素系難燃剤を配合することにより、著しく流動性が向上するという予想外の知見を得、その知見に基づいて、本発明を完成させた。
【0012】
即ち、本発明は、以下の成分(A)〜(D):
(A)融点が270℃から340℃であるポリアミド樹脂 100重量部;
(B)式(I)で示される化合物 0.2〜20重量部
【0013】
【化2】
【0014】
(式中、R1およびR2は炭素数が9以上のアルキル基を表し、mおよびnは1〜3の整数を表す。);
(C)臭素系難燃剤 1〜100重量部;並びに
(D)分子量が300〜3000の範囲にあり、かつ融点が80〜260℃のアミド化合物であって、アミドオリゴマー、脂肪酸アミド、脂肪族ジカルボン酸のビスアミド、芳香族カルボン酸アミド、芳香族ジカルボン酸のビスアミド及び脂肪族ジアミンのビスアミドより選ばれるアミド化合物 0.1〜10重量部
を含有してなるポリアミド樹脂組成物、並びに該ポリアミド樹脂組成物からなる成形品を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0016】
本発明において使用される成分(A)のポリアミド樹脂としては、融点が270℃から340℃の範囲内にあるものを使用する。ポリアミド樹脂の融点が270℃未満であると耐ブリスタ性が十分ではなく、一方、340℃を超えると成形温度が340℃を超えるため、ポリアミド樹脂や臭素系難燃剤の熱安定性が低下し、成形性が低下するので好ましくない。
【0017】
成分(A)のポリアミド樹脂としては、例えば、PA46等の脂肪族ポリアミド、あるいはPA6−6T、PA6−IT、PA66−IT、PA9T等の脂肪族アルキレンジアミンからなるジアミン成分とテレフタル酸やイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸成分からなる半芳香族ポリアミドが挙げられる。耐熱性の点で半芳香族ポリアミドがより好ましい。
【0018】
このような半芳香族ポリアミド樹脂は、ジカルボン酸単位(a)とジアミン単位(b)とからなる。
【0019】
ここで、ジカルボン酸単位(a)は、得られるポリアミド樹脂組成物の耐熱性が過度に低下しないようにするために、テレフタル酸単位を50〜100モル%含有することが好ましく、60〜100モル%含有することがより好ましく、75〜100モル%含有することがさらに好ましく、90〜100モル%含有することが特に好ましい。
【0020】
なお、ジカルボン酸単位(a)は、50モル%以下であれば、テレフタル酸単位以外の他のジカルボン酸単位を含有していてもよい。かかる他のジカルボン酸単位としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4′−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4′−ジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。ジカルボン酸単位(a)におけるこれらの他のジカルボン酸単位の含有量は、40モル%以下であることが好ましく、25モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることがさらに好ましい。さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸から誘導される単位を、溶融成形が可能な範囲内で含有していてもよい。
【0021】
また、ジアミン単位(b)は、得られるポリアミド樹脂組成物の耐熱性、低吸水性、耐薬品性などの諸物性が過度に低下しないようにするために、炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位を50〜100モル%含有することが好ましく、60〜100モル%含有することがより好ましく、75〜100モル%含有することがさらに好ましく、90〜100モル%含有することが特に好ましい。
【0022】
炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位としては、例えば、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の直鎖状脂肪族アルキレンジアミン;1−ブチル−1,2−エタンジアミン、1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、3,3−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,3−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,4−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,5−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、3−メチル−1,8−オクタンジアミン、4−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、1,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,5−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,2−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の分岐鎖状脂肪族アルキレンジアミンなどから誘導される単位を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0023】
上記の脂肪族アルキレンジアミン単位の中でも、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミンから誘導される単位が好ましく、中でも、1,9−ノナンジアミン単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位との少なくとも一方を使用することがより好ましい。1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を併用する場合には、1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比は、99:1〜1:99であることが好ましく、95:5〜60:40であることがより好ましく、90:10〜80:20であることがさらに好ましい。1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を上記の割合で含有するポリアミド樹脂を用いると、ポリアミド樹脂組成物が、耐熱性、成形性、低吸水性に優れたものになり、表面美麗性がより優れた成形品を与えることができる。
【0024】
ジアミン単位(b)は、50モル%以下であれば、炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位以外の他のジアミン単位を含有していてもよい。かかる他のジアミン単位としては、例えば、エチレンジアミン、プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンなどから誘導される単位を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。ジアミン単位(b)におけるこれらの他のジアミン単位の含有量としては、40モル%以下であることが好ましく、25モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることがさらに好ましい。
【0025】
上述したような半芳香族ポリアミド等の成分(A)のポリアミド樹脂は、その分子鎖の末端基の10%以上が末端封止剤により封止されていることが好ましい。分子鎖の末端基が末端封止剤により封止されている割合(末端封止率)としては、40%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。末端封止率が10%以上のポリアミド樹脂を用いると、得られるポリアミド樹脂組成物の溶融成形性や同組成物から得られる成形品の表面美麗性などの物性がより優れたものとなる。
【0026】
ここで、末端封止率は、ポリアミド樹脂に存在する末端のカルボキシル基、末端のアミノ基および末端封止剤によって封止された末端基の数をそれぞれ測定し、以下に示す数式(1)に従って求めることができる。各末端基の数は、1H−NMRにより、各末端基に対応する特性シグナルの積分値に基づいて求めるのが精度、簡便さの点で好ましい。
【0027】
なお、数式(1)中、Xは分子鎖の末端基の総数(これは通常、ポリアミド分子の数の2倍に等しい)を表し、Yは封止されずに残った末端カルボキシル基および封止されずに残った末端アミノ基の合計数を表す。
【0028】
【数1】
末端封止率(%)=[(X−Y)/X]×100 (1)
【0029】
成分(A)のポリアミド樹脂の末端を封止するための末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基またはカルボキシル基との反応性を有する単官能性の化合物であれば特に制限はないが、反応性および封止末端の安定性などの点から、モノカルボン酸またはモノアミンが好ましく、取扱いの容易さなどの点から、モノカルボン酸がより好ましい。その他、酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類などを使用することもできる。
【0030】
末端封止剤として使用されるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;これらの任意の混合物などを挙げることができる。これらのなかでも、反応性、封止末端の安定性、価格などの点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が好ましい。
【0031】
末端封止剤として使用されるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン;これらの任意の混合物などを挙げることができる。これらのなかでも、反応性、高沸点、封止末端の安定性および価格などの点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンが好ましい。
【0032】
前述したような半芳香族ポリアミド等の成分(A)のポリアミド樹脂は、結晶性ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができる。例えば、酸クロライドとジアミンを原料とする溶液重合法または界面重合法、ジカルボン酸とジアミンを原料とする溶融重合法、固相重合法、溶融押出重合法などの方法により製造することができる。
【0033】
具体的な成分(A)のポリアミド樹脂の製造方法としては、最初にジカルボン酸単位(a)となるジカルボン酸成分と、ジアミン単位(b)となるジアミン成分と、触媒と、必要に応じて末端封止剤とを一括して添加してナイロン塩を製造した後、200〜250℃の温度において加熱重合して濃硫酸中30℃における極限粘度[η]が0.1〜0.6dl/gのプレポリマーとし、さらに固相重合するか、あるいは溶融押出機を用いて重合させる方法が挙げられる。ここで、プレポリマーの極限粘度[η]が0.1〜0.6dl/gの範囲内であると、後の重合の段階においてカルボキシル基とアミノ基のモルバランスのずれや重合速度の低下が少なく、さらに分子量分布の小さな、各種物性や成形性に優れたポリアミド樹脂が得られる。
【0034】
なお、重合の最終段階を固相重合により行う場合、減圧下または不活性ガス雰囲気下に行うことが好ましく、重合温度が200〜280℃の範囲内であれば、重合速度が大きく、生産性に優れ、着色やゲル化を有効に抑制することができる。重合の最終段階を溶融押出機により行う場合の重合温度としては、370℃以下であることが好ましい。かかる条件で重合すると、ポリアミド樹脂の分解がほとんどなく、劣化の無いポリアミド樹脂が得られる。
【0035】
成分(A)のポリアミド樹脂の製造に際し、前記の末端封止剤の他に、例えば、触媒として、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、それらの塩またはエステルを添加することができる。上記の塩またはエステルとしては、リン酸、亜リン酸または次亜リン酸とカリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモン等の金属との塩;リン酸、亜リン酸または次亜リン酸のアンモニウム塩;リン酸、亜リン酸または次亜リン酸のエチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステルなどを挙げることができる。
【0036】
成分(A)のポリアミド樹脂は、濃硫酸中30℃で測定した極限粘度[η]が0.4〜3.0dl/gの範囲内であることが好ましく、0.5〜2.0dl/gの範囲内であることがより好ましく、0.6〜1.5dl/gの範囲内であることがさらに好ましい。極限粘度[η]が上記の範囲内のものを使用すると、力学的特性、耐熱性などがより優れた成形品を与えるポリアミド樹脂組成物が得られる。
【0037】
成分(A)のポリアミド樹脂に添加し、後述の成分(C)の臭素系難燃剤とともに本発明のポリアミド樹脂組成物に優れた流動性を付与する成分(B)のエステル化合物は、下記の式(I);
【0038】
【化3】
【0039】
(式中、R1およびR2は炭素数が9以上のアルキル基を表し、mおよびnは1〜3の整数を表す。)
で表される化合物である。
【0040】
式(I)で表される成分(B)のエステル化合物は、例えば、ビスフェノールAにエチレンオキサイドを付加させることによって得られる下記の式(II)
【0041】
【化4】
【0042】
で表される化合物に、炭素数10以上の飽和脂肪酸を反応させることにより得ることができる。式(II)で表される化合物の水酸基に対する飽和脂肪酸の反応率は、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。反応率がこのような範囲内であれば、ポリアミド樹脂組成物の流動性が高くなる。
【0043】
式(I)におけるR1およびR2は、炭素数が9以上のアルキル基を表す。R1およびR2は、同一でも良いし異なってもよい。R1およびR2は通常、R1COOH又はR2COOHで表される飽和脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基であり、R1およびR2を上記のような条件を満足するものとするには、式(I)で表される化合物を製造する際に、炭素数が10以上の飽和脂肪酸を原料として使用すればよく、使用した飽和脂肪酸によりR1およびR2が決定される。このような飽和脂肪酸としては、例えばデカン酸(カプリン酸)、ウンデカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸)、トリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、エイコサン酸(アラキジン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)、ヘキサコサン酸(セロチン酸)、オクタコサン酸(モンタン酸)、トリアコンタン酸(メリシン酸)等を挙げることができる。また、これらの飽和脂肪酸は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。これらのなかでも、本発明のポリアミド樹脂組成物の、耐熱性、流動性、生産性の観点から、炭素数16〜26の飽和脂肪酸が好ましく、炭素数18〜24の飽和脂肪酸がより好ましい。
【0044】
式(I)におけるmおよびnは、1〜3の整数を表す。m又はnが4以上の整数である場合には、本発明のポリアミド樹脂組成物の、耐熱性、流動性等が低下する場合がある。また、mおよびnは、同一でもよいし、異なってもよい。
【0045】
式(I)で示される成分(B)の化合物の含有量は、成分(A)のポリアミド樹脂100重量部に対し、0.2〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部の範囲内である。成分(B)の化合物の含有量が、成分(A)のポリアミド樹脂100重量部に対して0.2重量部未満の場合には、得られるポリアミド樹脂組成物において高流動化の効果が小さく、20重量部を超える場合には、得られるポリアミド樹脂組成物において耐ブリスタ性、機械的強度、難燃性が低下する。
【0046】
成分(C)の臭素系難燃剤としては、臭素化ポリスチレン、ポリ臭素化スチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ビスフェノール型エポキシ系重合体、臭素化スチレン無水マレイン酸重合体、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、デカブロモジフェニルエーテル、デカブロモビフェニル、臭素化ポリカーボネート、パーブロモシクロペンタデカン、臭素化架橋芳香族重合体などが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。これらのうちでも、ポリ臭素化スチレン、臭素化ポリフェニレンエーテルが好ましい。また、臭素系難燃剤はポリアミドとの相溶性を向上させるために酸無水物基、エポキシ基などで変性されたものがより好ましく、具体的にはグレートレイクスケミカル(株)社製「CN2044C」などを挙げることができる。
【0047】
成分(C)の臭素系難燃剤における臭素原子の含有量は15〜87重量%の範囲内であることが好ましい。
【0048】
また、成分(C)の臭素系難燃剤の含有量は、成分(A)のポリアミド樹脂100重量部に対し、1〜100重量部、好ましくは10〜75重量部の範囲内である。成分(C)の臭素系難燃剤の含有量が成分(A)のポリアミド樹脂100重量部に対して1重量部未満の場合には、得られるポリアミド樹脂組成物において流動性が低下し、さらに難燃性が低下する。一方、成分(C)の臭素系難燃剤の含有量が成分(A)のポリアミド樹脂100重量部に対して100重量部を超える場合には、得られるポリアミド樹脂組成物において力学物性が低下する。
【0049】
本発明のポリアミド組成物は、さらに、分子量が300〜3000の範囲にあり、かつ融点が80〜260℃であるアミド化合物(D)を含有する。このようなアミド化合物(D)を使用することにより、ポリアミド樹脂組成物の流動性をより優れたものとすることができる。
【0050】
アミド化合物(D)は、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、さらに好ましくは1〜5重量部の割合で使用される。
【0051】
アミド化合物(D)の分子量は300〜3000の範囲内であることが必要である。アミド化合物(D)の分子量が300未満であると、熱安定性が不十分となり、ポリアミド樹脂組成物の調製時や成形時に臭素系難燃剤(C)やポリアミド樹脂(A)の分解を促進し、アウトガス発生によって金型の腐食が生じたり、成形品中に気泡などを伴うこともある。また、得られるポリアミド樹脂組成物の難燃性が低下したり、アミド化合物(D)のブリードアウトといった問題も生じる。一方、アミド化合物(D)の分子量が3000を越えると、得られるポリアミド樹脂組成物の流動性が不十分となる場合がある。
【0052】
また、アミド化合物(D)の融点は80〜260℃の範囲内であることが必要である。アミド化合物(D)の融点が80℃未満であると、ポリアミド樹脂組成物の調製時や形成時に臭素系難燃剤(C)やポリアミド樹脂(A)の分解を促進し、アウトガス発生によって金型の腐食が生じたり、成形品中に気泡などを伴うことがある。また、得られるポリアミド樹脂組成物の難燃性の低下といった問題も生じる。一方、アミド化合物(D)の融点が260℃を超えると、得られるポリアミド組成物の流動性が不十分となる場合がある。
【0053】
また、アミド化合物(D)は、耐熱性の観点から、窒素雰囲気下で測定した熱重量分析曲線における中点温度が350℃以上であることが好ましい。なお、熱重量測定においては、多段階の質量変化が観測されることがある。その場合、第一次中点温度(最も温度が低い中点温度)を本発明における中点温度とする。
【0054】
アミド化合物(D)は、アミドオリゴマー、脂肪酸アミド、脂肪族ジカルボン酸のビスアミド、芳香族カルボン酸アミド、芳香族ジカルボン酸のビスアミド及び脂肪族ジアミンのビスアミドより選ばれる。これらの中で、モノカルボン酸とジカルボン酸の混合物とジアミンとの反応で得られるアミドオリゴマーがより好ましい。
【0055】
アミド化合物(D)は、モノカルボン酸、2価以上の多価カルボン酸、モノアミン、2価以上の多価アミンなどを原料として製造でき、例えば、特開平5−194841号公報などの文献に記載された公知の反応を利用して製造することが可能である。具体的には、窒素雰囲気とした容器に一定量のジカルボン酸とモノカルボン酸を加え、ジアミンを添加した後、アミド化が進行する温度まで昇温し、反応に伴って副生する水を留去しながら反応を継続し、水の留出がなくなった時点で反応を停止することにより、所望のアミド化合物(D)を得ることができる。
【0056】
アミド化合物(D)を構成するモノカルボン酸成分の具体例としては、ポリアミド樹脂(A)の製造において末端封止剤として使用されるモノカルボン酸として例示したものと同様のものを示すことができ、アミド化合物(D)の熱安定性の点で、また、得られるポリアミド樹脂組成物の流動性や生産性の点で、好ましい具体例としてステアリン酸、パルミチン酸、安息香酸が挙げられる。
【0057】
アミド化合物(D)を構成する2価以上の多価カルボン酸成分としては、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸を挙げることができる。これらのうち1種または2種以上を使用することが可能である。これらの中で、アミド化合物(D)の熱安定性の点で、また、得られるポリアミド樹脂組成物の流動性や生産性の点で、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸が好ましい。
【0058】
アミド化合物(D)を構成するモノアミン成分の具体例としては、ポリアミド樹脂(A)の製造において末端封止剤として使用されるモノアミンとして例示したものと同様のものを示すことができる。
【0059】
アミド化合物(D)を構成する2価以上の多価アミン成分としては、例えば、エチレンジアミン、プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を使用することが可能である。これらの中で、アミド化合物(D)の熱安定性の点で、また、得られるポリアミド樹脂組成物の流動性や生産性の点で、エチレンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、m−キシリレンジアミンが好ましい。
【0060】
本発明のポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて、さらに成分(E)の難燃助剤や成分(F)の充填剤を配合することができる。
【0061】
成分(E)の難燃助剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酸化ナトリウム、酸化錫、錫酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硼酸亜鉛、カオリン、クレー、炭酸カルシウムなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらの成分(E)の難燃助剤はシランカップラー、チタンカップラーなどで処理されていてもよい。これらのなかでも、錫酸亜鉛、アンチモン酸ナトリウム、硼酸亜鉛を用いることが好ましい。難燃助剤成分(E)含有量は、成分(A)のポリアミド樹脂100重量部に対して、0.1〜50重量部であることが好ましく、1〜30重量部であることがより好ましい。これらの難燃助剤を配合することにより難燃性がより優れたポリアミド樹脂組成物が得られる。
【0062】
成分(F)の充填剤としては、繊維状、粉末状、クロス状などの各種形態を有するものを使用することができる。
【0063】
繊維状の充填剤としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、ポリメタフェニレンテレフタルアミド繊維、ポリパラフェニレンイソフタルアミド繊維、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維、ジアミノジフェニルエーテルとテレフタル酸またはイソフタル酸の縮合物から得られる繊維等の全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族液晶ポリエステル繊維などの有機系の繊維状充填剤;ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維等の無機系の繊維状充填剤などが挙げられる。これらの中でも、ポリアミド樹脂組成物から得られる成形品の強度、生産性、電気特性の観点からガラス繊維が好ましい。
【0064】
繊維状の充填剤としてガラス繊維を使用する場合、その断面形状としては、丸型、繭型、偏平のいずれでも良い。具体例としては、日東紡績(株)製(「CS−3J−256S」、断面形状「丸型」)や日東紡績(株)製(「CSH−3PA−870S」、断面形状「繭型」)が挙げられる。特に、断面形状が繭型や偏平なガラス繊維を使用した場合には、得られるポリアミド樹脂組成物において低反り性、流動性が向上する効果があるので好ましい。このような繊維状の充填剤を配合すると、ポリアミド樹脂組成物から得られる成形品の力学的強度が向上するだけでなく、寸法安定性、低吸水性などがより向上する。上記の繊維状の充填剤の平均長は、0.05〜50mmの範囲内であることが好ましく、ポリアミド樹脂組成物の成形性をより良好にし、ポリアミド樹脂組成物から得られる成形品の摺動特性、耐熱性、強度をより向上させる観点から、1〜10mmの範囲内であることがより好ましい。これらの繊維状充填剤はクロス状などに二次加工されていてもよい。
【0065】
粉末状の充填剤としては、例えば、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、窒化ホウ素、タルク、マイカ、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、硫酸マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、アスベスト、ガラスビーズ、カーボンブラック、グラファイト、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。これらの粉末状の充填剤の平均粒径は、0.1〜200μmの範囲内であることが好ましく、1〜100μmの範囲内であることがより好ましい。これらの粉末状の充填剤を配合すると、ポリアミド樹脂組成物から得られる成形品の寸法安定性、機械特性、耐熱特性、化学的物理的特性、摺動特性などがより向上する。
【0066】
上述した成分(F)の充填剤は、1種または2種以上の組合わせで用いることができる。これらの成分(F)の充填剤の含有量は、成分(A)のポリアミド樹脂100重量部に対し、0.1〜300重量部であることが好ましく、0.1〜150重量部であることがより好ましく、0.5〜100重量部であることがさらに好ましい。充填剤の配合量が上記の範囲内にあると、成形性、力学的特性のいずれにも優れるポリアミド樹脂組成物が得られる。さらに、これらの充填剤の表面は、ポリアミド樹脂中への分散性を高める目的で、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、その他の高分子または低分子の表面処理剤で表面処理されていることが好ましい。
【0067】
本発明のポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて、ハイドロタルサイト等の酸キャッチャー;ポリフェニレンスルフィド、ポリオレフィン、ポリエステル、脂肪族ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、液晶ポリマー等の他種ポリマー;着色剤;紫外線吸収剤;光安定化剤;ヒンダードフェノール系、チオ系、リン系、アミン系等の酸化防止剤;帯電防止剤;結晶核剤;可塑剤;離型剤;滑剤などを配合することもできる。
【0068】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、成分(A)のポリアミド樹脂に式(I)で示される成分(B)の化合物と成分(C)の臭素系難燃剤、必要に応じて、アミド化合物(D)、成分(E)の難燃助剤、成分(F)の充填剤、更に上記の各種添加剤などの成分を配合することにより製造することができる。配合方法としては、例えば、成分(A)のポリアミド樹脂の重縮合反応時に式(I)で示される成分(B)の化合物等の成分を添加する方法、成分(A)のポリアミド樹脂と式(I)で示される成分(B)の化合物等の成分をドライブレンドする方法、押出機を用いて溶融混練する方法などが挙げられ、これらのなかでも操作の容易さの点から、通常は押出機を用いて溶融混練する方法が有利である。この際に用いられる押出機は2軸スクリューのものが好ましく、溶融混練温度としては280〜340℃の範囲内が好ましい。
【0069】
本発明のポリアミド樹脂組成物を、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダー成形、流延成形などの一般に熱可塑性樹脂組成物に対して用いられている成形方法によって成形することにより、各種形状を有する成形品を製造することができる。例えば、本発明のポリアミド樹脂組成物を、シリンダ温度がポリアミド樹脂の融点以上350℃以下の範囲内に調整された射出成形機のシリンダ内で溶融させ、所定の形状の金型内に射出することにより、所定の形状の成形品を製造することができる。また、シリンダ温度が上記の範囲内に調整された押出機内でポリアミド樹脂組成物を溶融させ、口金ノズルより紡出することにより、繊維状の成形品を製造することができる。さらに、シリンダ温度が上記の範囲内に調整された押出機内でポリアミド樹脂組成物を溶融させ、Tダイから押し出すことにより、フィルムやシート状の成形品を製造することができる。また、この様な方法で製造された成形品の表面に、塗料、金属、他種ポリマー等からなる被覆層を形成した形態で使用することもできる。
【0070】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、流動性に優れ、さらに強度、摺動性、耐ブリスタ性にも優れているため、電気・電子部品、自動車部品、家電製品、建築材料、サニタリー用品、スポーツ用品、雑貨等の幅広い分野で使用することができる。具体例としては、コネクター、スイッチ、センサー、ソケット、コンデンサー、ジャック、ヒューズホルダー、リレー、コイルボビン、抵抗器、ICやLEDのハウジング、ギア、ベアリングリテーナー、スプリングホルダー、チェインテンショナー、ワッシャー、各種ハウジング、ウェイトローラー、ブレーカーパーツ、クラッチパーツ等が挙げられる。中でも、本発明のポリアミド樹脂組成物は、特に表面実装方式対応用のコネクター、ソケット、カードコネクタ、ジャック、電源部品、スイッチ、センサー、コンデンサー座板、リレー、抵抗器、ヒューズホルダー、コイルボビン、ICやLEDのハウジング等に有用である。
【0071】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。なお、実施例中のポリアミド樹脂組成物の流動性、成形品の機械的強度、耐ブリスタ性、摺動性及び難燃性は以下の方法により評価した。評価結果については、表1及び表2に示した。
【0072】
流動性
シリンダー温度320℃、射出圧力750kgf、金型温度140℃の条件下で、ポリアミド樹脂組成物を厚み0.5mmの平板に射出成形したときの流動長を測定した。流動性が良い材料ほど高い値を示す。但し、LCPはシリンダー温度340℃にて流動長を測定した。
【0073】
機械的強度
ポリアミド樹脂組成物を所定の形状、大きさに成形し、得られた成形品(試験片)について、ASTM D638に準拠して引張強さおよびウェルド強さを測定した。
【0074】
摺動性
縦10cm×横4cm×厚み1mmの金型にてポリアミド樹脂組成物から射出成形品を作製し、得られた成形品(試験片)を23℃、絶乾雰囲気で48時間放置した。放置後の試験片(平板)の上に、500gの重りを載せた金属針(先端形状が直径3mmの円錐状、鋼材:S45C)を置いて、5cm移動させた。そのときの削れた溝の深さを表面粗さ計にて測定した。溝の深さが浅いほど摺動性に優れていることを示している。表1及び表2において、溝の深さが10μm未満の場合を「○」、10μm以上20μm未満の場合を「△」、20μm以上の場合を「×」と記載した。
【0075】
耐ブリスタ性
ポリアミド樹脂組成物を射出成形にて厚さ0.5mm、幅10mm、長さ30mmのシートに成形した。得られた成形品(試験片)を温度40℃、相対湿度95%の条件で72時間放置した。その後、試験片に対し、赤外線加熱炉(山陽精工製、SMTスコープ)を用いて、図1に示す温度プロファイルのリフロー工程を行った。その際、試験片にセンサーを設置して、その温度プロファイルを測定した。リフロー工程は、実際のピーク温度を、図1に示すように、240℃から270℃までの区間で5℃刻みで変えることにより行った。赤外線加熱炉通過後、試験片の外観を目視にて観察した。試験片が溶融せず且つブリスタが発生しない限界の温度を耐ブリスタ温度とした。耐ブリスタ温度が高い程、耐ブリスタ性が良好であることを示している。表1及び表2において、耐ブリスタ温度が240℃未満であった場合を「×」、耐ブリスタ温度が240〜250℃の範囲であった場合を「△」、耐ブリスタ温度が250℃を超える場合を「○」と記載した。
【0076】
難燃性
ポリアミド樹脂組成物を厚さ1mmの板状に射出成形し、得られた成形品(試験片)について、以下に示すUL−94規格の規定に準じて難燃性を評価した。即ち、厚さ1mmの試験片の上端をクランプで止めて試験片を垂直に固定し、下端に所定の炎を10秒間当てて離し、試験片の燃焼時間(1回目)を測定する。消火したら直ちに再び下端に炎を当てて離し、試験片の燃焼時間(2回目)を測定する。5片について同じ測定を繰り返し、1回目の燃焼時間のデータ5個と、2回目の燃焼時間のデータ5個の、計10個のデータを得る。10個のデータの合計をT、10個のデータのうち最大値をMとする。Tが50秒以下、Mが10秒以下でクランプまで燃え上がらず、炎のついた溶融物が落ちて12インチ下の木綿に着火することがなければ「V−0」、Tが250秒以下、Mが30秒以下でその他はV−0と同様の条件を満たせば「V−1」、Tが250秒以下、Mが30秒以下でクランプまで燃え上がらず、炎のついた溶融物が落ちて12インチ下の木綿に着火した場合には「V−2」となる。
【0077】
以下の実施例、参考例および比較例で使用したポリアミド樹脂等の材料は、以下のものである。
【0078】
(成分(A))
PA9MT
特開平9−12713号公報の実施例1に記載された方法に準じて調製した、テレフタル酸単位をジカルボン酸単位とし、1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位[1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=85:15(モル比)]をジアミン単位とする、極限粘度[η]0.80dl/g、融点308℃、末端封止率90%のポリアミド(末端封止剤:安息香酸)。
【0079】
PA6−6T
特開2000−86759号公報の実施例1に記載された方法に準じて調製した、テレフタル酸単位およびアジピン酸単位[テレフタル酸単位:アジピン酸単位=55:45(モル比)]をジカルボン酸単位とし、1,6−ヘキサンジアミン単位をジアミン単位とする、極限粘度[η]0.82dl/g、融点310℃、末端封止率89%(末端封止剤:安息香酸)のポリアミド。
【0080】
PA46
融点292℃の市販品(ユニチカ製ナイロンF5000)。
【0081】
(成分(B))
エステル化合物1
R1およびR2がヘンエイコシル基であり、mおよびnが1である式(I)に示す化合物。
【0082】
エステル化合物2
R1およびR2がヘプタデシル基であり、mおよびnが2である式(I)に示す化合物。
【0083】
(成分(C))
GMA−PBrS
グリシジルメタクリレートが2.0モル%付加した臭素化ポリスチレン[グレートレイクスケミカル(株)社製、「CN2044C」]。
【0084】
臭素化PPO
臭素化ポリプロピレンオキシド[第一工業製薬(株)社製、「SR−460B」]。
【0085】
(成分(D))
AM−1
以下の製造例1で得られる、ステアリン酸、エチレンジアミンおよびアジピン酸を使用して製造された、分子量が790(GPC分析による)、融点が204℃、窒素雰囲気下で測定した熱重量分析曲線における中点温度が380℃のアミドオリゴマー。
【0086】
(製造例1)
窒素導入管、留出管および滴下漏斗を取り付けた四つ口フラスコに、窒素雰囲気下でステアリン酸691.4g(2.32モル)およびアジピン酸169.4g(1.16モル)を仕込み、190℃に昇温して完全に溶融させた後、エチレンジアミン139.2g(2.32モル)を滴下漏斗より約30分かけて添加した。エチレンジアミンの添加終了後、反応混合物の温度が230℃になるまで昇温し、反応によって生成した水が所定量〔83.5g(4.64モル)〕留出した時点で反応を終了させ、得られた生成物を室温まで冷却した後に取り出し、粉末状に細かく粉砕した。なお、熱重量分析曲線における中点温度は、以下の方法で求めた。
【0087】
熱重量分析曲線における中点温度
JIS K7120に準拠して測定した。すなわち、所定の熱天秤に試料10mgを設置し、窒素気流下(流量100ml/分)で、常温から10℃/分の速度で昇温して試料の質量変化を観察し、得られた質量変化(減少)曲線から中点温度を読み取った。
【0088】
AM−2
ステアリン酸と1,9−ノナンジアミンを使用して製造された、分子量が690、融点が125℃、窒素雰囲気下で測定した熱重量分析曲線における中点温度が390℃のビスアミドであって、アジピン酸を使用せず、エチレンジアミン139.2g(2.32モル)に代えて1,9−ノナンジアミン183.6g(1.16モル)を使用したこと以外は、製造例1と同様の操作により製造されたビスアミド。
【0089】
(成分(E))
硼酸亜鉛
ボラックス(株)社製、「ファイアーブレイク415」。
錫酸亜鉛
日本軽金属(株)社製、「FLAMTARD−S」。
アンチモン酸ナトリウム
日産化学(株)社製、「NA1070L」。
【0090】
(成分(F))
ガラス繊維−1
日東紡績(株)社製、「CS−3J−256S」(断面:丸型)。
ガラス繊維−2
日東紡績(株)社製、「CSH−3PA−870S」(断面:繭型)。
PTFE
三井・デュポンフロロケミカル(株)社製、「PTFE−6J」(ポリテトラフルオロエチレンの微粉末)。
【0091】
実施例1、2および参考例1〜7
下記の表1に示す各成分を、表1に示す割合で予備混合し、次いで2軸押出機((株)日本製鋼所製、「TEX44C」)に供給して、シリンダー温度320℃の条件下に溶融混練して押出し、冷却、切断し、ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。得られたポリアミド樹脂組成物の流動性を上記の方法で評価した。また、得られたポリアミド樹脂組成物を射出成形(シリンダー温度330℃、金型温度150℃)して得られた成形品について、上記の方法で、機械的強度、摺動性、耐ブリスタ性および難燃性を評価した。結果を表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
比較例1
エステル化合物1を配合しないこと以外は参考例1と同様の方法によりポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。得られたポリアミド樹脂組成物について実施例と同様にして評価した結果を表2に示す。
【0094】
比較例2
エステル化合物1、GMA−PBrSおよび錫酸亜鉛を配合しないこと以外は参考例1と同様の方法によりポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。得られたポリアミド樹脂組成物について実施例と同様にして評価した結果を表2に示す。
【0095】
比較例3
GMA−PBrSおよび錫酸亜鉛を配合しないこと以外は参考例1と同様の方法によりポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。得られたポリアミド樹脂組成物について実施例と同様にして評価した結果を表2に示す。
【0096】
比較例4
PA9MTにエステル化合物1を表2に示す割合で配合したこと以外は参考例1と同様の方法によりポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。得られたポリアミド樹脂組成物について実施例と同様にして評価した結果を表2に示す。
【0097】
比較例5および6
高耐熱性樹脂であるLCP(住友化学(株)製、「スミカスーパーE6006L」)またはPPS(ポリプラスチックス製、「フォートロンA4」)を射出成形して得られた成形品について、上記の方法で評価した結果を表2に示す。また表2には、これらの樹脂の流動性を上記の方法で評価した結果を併せて示す。
【0098】
【表2】
【0099】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた流動性を示すポリアミド樹脂組成物が提供される。また、そのポリアミド樹脂組成物からは、機械的強度、摺動性及び耐ブリスタ性に優れた成形品が得られる。従って、本発明のポリアミド樹脂組成物及び成形品は、産業資材、工業材料、家庭用品、電気・電子部品、自動車用部品などの薄肉流動性、耐熱性が要求される用途に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験片の赤外線加熱炉における温度プロファイル(実測ピーク温度(可変)が260℃の場合)を示すグラフである。
Claims (8)
- 以下の成分(A)〜(D):
(A)融点が270℃から340℃であるポリアミド樹脂 100重量部;
(B)式(I)で示される化合物 0.2〜20重量部
(C)臭素系難燃剤 1〜100重量部;並びに
(D)分子量が300〜3000の範囲にあり、かつ融点が80〜260℃のアミド化合物であって、アミドオリゴマー、脂肪酸アミド、脂肪族ジカルボン酸のビスアミド、芳香族カルボン酸アミド、芳香族ジカルボン酸のビスアミド及び脂肪族ジアミンのビスアミドより選ばれるアミド化合物 0.1〜10重量部
を含有してなるポリアミド樹脂組成物。 - アミド化合物(D)が、モノカルボン酸及びジカルボン酸の混合物とジアミンとの反応で得られるアミドオリゴマーである請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
- 成分(A)のポリアミド樹脂が、テレフタル酸単位を50〜100モル%及びテレフタル酸単位以外の他のジカルボン酸単位を50〜0モル%含有するジカルボン酸単位(a)と、炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位を50〜100モル%及び炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位以外の他のジアミン単位を50〜0モル%含有するジアミン単位(b)とからなり、該他のジカルボン酸単位が、脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位、脂環式ジカルボン酸から誘導される単位、及びテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位より選ばれる1種又は2種以上のジカルボン酸単位であり、該他のジアミン単位が、エチレンジアミンから誘導される単位、プロパンジアミンから誘導される単位、1,4−ブタンジアミンから誘導される単位、脂環式ジアミンから誘導される単位、及び芳香族ジアミンから誘導される単位より選ばれる1種又は2種以上のジアミン単位である請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物。
- 炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位が、1,9−ノナンジアミン単位及び2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位の少なくとも一方である請求項3記載のポリアミド樹脂組成物。
- 成分(A)のポリアミド樹脂が、0.4〜3.0dl/gの極限粘度を有する請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 更に、成分(E)難燃助剤を、成分(A)のポリアミド樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部の割合で含有してなる請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 更に、成分(F)充填剤を、成分(A)のポリアミド樹脂100重量部に対して1〜300重量部の割合で含有してなるポリアミド樹脂組成物であって、当該充填剤が、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族液晶ポリエステル繊維、ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維 、シリカ粉末、シリカアルミナ粉末、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、酸化亜鉛粉末、窒化ホウ素粉末、タルク粉末、マイカ粉末、チタン酸カリウム粉末、ケイ酸カルシウム粉末、硫酸マグネシウム粉末、ホウ酸アルミニウム粉末、アスベスト粉末、ガラスビーズ粉末、カーボンブラック粉末、グラファイト粉末、二硫化モリブデン粉末、及びポリテトラフルオロエチレン粉末から選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形品。
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