JP5255222B2 - 平版印刷版用支持体 - Google Patents

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Description

本発明はプラスチックフィルム基体を用いて、これにさらに親水性層を設け、この親水性層を印刷版の非画像部として利用する平版印刷版用支持体に関する。該親水性層はオフセット印刷に際して親水性が高くインキ反発性を有し、印刷時に地汚れが発生しない特徴を有する。こうした親水性層の上に、画像を形成する方法として、インクジェット記録方式、感熱転写方式および光重合方式の3種類を適応して、印刷性に優れた平版印刷版の製造法および感光性平版印刷版材料に関する。
平版印刷版用支持体としては、PS版等のように粗面化処理され、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム板が広く用いられているが、他方で紙やフィルムを支持体とし、ハロゲン化銀を用いた銀塩拡散転写方式(DTR法)を利用した平版印刷版材料、特にハロゲン化銀乳剤層の上に物理現像核を有する感光性平版印刷版材料として、例えば米国特許第3、728、114号、同第4,134,769号、同第4,160,670号、同第4,336,321号、同第4,501,811号、同第4,510,228号、同第4,621,041号公報等に記載されるような印刷版が広く用いられている。これらの平版印刷版材料において、露光されたハロゲン化銀結晶は、DTR現像により化学現像され黒色の銀を形成し親水性の非画像部を形成し、一方、未露光のハロゲン化銀結晶は現像液中の銀塩錯化剤により銀塩錯体となって表面の物理現像核に拡散し、物理現像を生起してインク受容性の物理現像銀を主体とする画像部を形成する。こうしたプラスチックフィルムのようにフレキシブルな基体を用いた平版印刷版材料は、アルミ基体の場合と比較して、安価でかつ取り扱いが容易であり、特にCTP(コンピュータートゥープレート)方式を利用した製版システムにおいては、露光装置としてのレーザーイメージセッターがコンパクトになり、ロール状の平版印刷版材料として極めてコンパクトに印刷版材料を装置内に収納できるため好んで使用されている。
しかしながら、上記のようなフレキシブルな基体を用いる平版印刷版材料は、PS版などのアルミニウム基体の場合と比較して、印刷時に於ける非画像部の保水性に劣り、地汚れが起こりやすい。特に、印刷途中に何らかの理由で印刷を中断し、再度印刷を再開した場合に地汚れが発生しやすく、特に停機時間が長い場合顕著である。加えて、版面にインキが付着した状態からの印刷再開時の汚れ回復性が問題になる場合があり、改良が望まれているのが現状である。また、画像部の耐刷性にも問題があるため、もっぱら少部数から中部数程度の限られた印刷条件で使用されることが多いのが現状である。
基体表面に親水性層を設ける例としては、例えば、特公昭49−2286号公報に記載のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレート系ポリマーによる親水性樹脂層、特公昭56−2938号公報に記載の尿素樹脂と顔料から構成される親水性層、特開昭48−83902号公報に記載のアクリルアミド系ポリマーをアルデヒド類で硬化させて得られる親水性層、特開昭62−280766号公報に記載の水溶性メラミン樹脂、ポリビニルアルコール、水不溶性無機粉体を含有する組成物を硬化させて得られる親水性層、特開平8−184967号公報に記載の側鎖にアミジノ基を有する繰り返し単位を含む水溶性ポリマーを硬化して得られる親水性層、特開平8−272087号公報に記載の親水性(共)重合体を含有し、加水分解されたテトラアルキルオルソシリケートで硬化された親水性層、特開平10−296895号公報に記載のオニウム基を有する親水性層、特開平11−311861号公報に記載のルイス塩基部分を有する架橋親水性ポリマーを多価金属イオンとの相互作用によって三次元架橋させて得られる親水性層、特開2000−122269号公報に記載の親水性樹脂及び水分散性フィラーを含有する親水性層等が挙げられるが、いずれも系に於いても得られる親水性層の保水性がPS版のレベルには到底達せず、地汚れの発生しやすい支持体であった。
特開2000−158839号公報(特許文献1)には、ポリアクリル酸等のカルボキシル基を有する水溶性ポリマーとコロイダルシリカを特定の比率で含む親水性層をフィルム支持体上に形成し、インキ脱離性の良好な結果を示している。しかしながら、ポリアクリル酸などの水溶性ポリマーは印刷中に徐々に給湿液中に溶解し、親水性層が膨潤することで印刷条件によっては親水性層が剥離したり、画像部が剥離するなどの問題があった。さらに、PS版の印刷性能と比較した場合、明らかに保水性に劣るものであった。
特開2004−167973号公報(特許文献2)には、基材上に、親水性層、画像形成層を設けた印刷版材料において、該基材表面にスチレン系共重合体又はアクリル系共重合体を主成分とする下引層を有することを特徴とする印刷版材料が開示されている。この明細書中で記載される親水性層はコロイダルシリカ等からなる多孔質構造を有することが記載されている。同様に、特開平9−99662号公報(特許文献3)にも気相法シリカなどの微粒子が凝集構造をとることで形成される多孔質の親水性層が記載されている。これらは何れも多孔質の細孔内部に印刷時のインキが進入し易く、地汚れの起きやすい性質のものであった。また何れの明細書に記載される下引き層も、こうした親水性層との接着性が十分ではなく、印刷中に画像部が欠落するなどの問題があった。
先に述べたようにCTP方式を利用する印刷版に於いてフィルムのようなフレキシブルな支持体を有する印刷版が要望されているが、銀塩拡散転写方式(DTR法)を利用した平版印刷版は現像処理が煩雑で、処理液の液性管理が厄介であり、安定した品質を維持することに問題があった。こうした背景から、現像処理を必要としないプロセスレス印刷版や、或いは薬品を使用せず、水で現像可能なケミカルフリーの印刷版が切望されており、特にフレキシブルでプロセスレス或いはケミカルフリーの印刷版に対する期待が大である。
現在までのところ、プロセスレス印刷版としては、インクジェット方式或いは感熱転写方式を利用するもの、およびレーザー光を利用する方式として、アブレーション方式を利用するもの、熱融着タイプのもの、およびマイクロカプセル型のものが挙げられる。インクジェット方式或いは熱転写方式を利用する例としては、先の特許文献1、2および3等に記載される系が挙げられる。これらは、下記に述べるレーザー光を利用する方式に比べて画質的に劣る問題があるものの、最も簡便に平版印刷版が作製できるため好ましい方式である。一方、レーザー光を利用する方式として、アブレーション方式に関しては、例えば、特開平8−507727号、同6−186750号、同6−199064号、同7−314934号、同10−58636号、同10−244773号公報に記載されているものが挙げられる。アブレーション方式の問題点は、アブレーションにより発生するカスによる光学系の汚染や、アブレーションカスを除去するためのクリーニング機構を特別に装置に設ける必要性があり、汎用性に欠ける問題、更には、低感度であり、露光に時間がかかるため生産性に劣る事などが挙げられる。熱融着タイプは、例えば、特許2938397号公報、特開2001−88458号公報、特開2001−39047号公報、特開2004−50616号公報および特開2004−237592号公報などに記載される熱により熱融着性微粒子を融着させる方式を利用するものが挙げられるが、問題点として、低感度であることおよび支持体との接着に劣り、耐刷性において問題が発生する事などが挙げられる。マイクロカプセル型に関しては、特開2002−29162号公報、特開2002−46361号公報、特開2002−137562号公報、特開2004−66482公報等に見られるような、マイクロカプセル或いは微粒子に光重合性機能を付与した素材を使用し、光重合によりこれらを硬化させるタイプのものである。高感度光重合系を利用するため、感度に関しては良好であるが、機上現像に際して給湿液を版面全体に行き渡らせた後にインキをつけ、感光層を除去することが必要である。しかしながら、種々の印刷機の給湿機構において必ずしも感光層の除去が簡便に行われるわけではなく、印刷機の種類によっては感光層の除去が困難で地汚れが発生し問題になる場合があった。
上記のようなレーザー光を利用するプロセスレス印刷版は画像形成に関し一般に高エネルギーを必要とするため、露光用光源としては近赤外半導体レーザーを使用する。また、支持体としてアルミニウム板を使用するものが大部分である。これに対して、フィルム支持体上に親水性層を形成し、この上に熱融解性微粒子(ワックス等)層を設けたプロセスレス印刷版が、例えば特開2004−50616号公報および特開2004−237592号公報(特許文献4)などに記載されている。印刷材料としてフィルムを使用することで版材がロール状に収納されるため露光装置が小型でコンパクトに構成され、版材の取り扱い性やコストが大幅に改善される利点を有している。しかしながら、品質性能面では種々問題があり、これら公開特許公報によると、親水性層はコロイダルシリカやモンモリロナイトなどの親水性微粒子から構成され、画像は熱融着したワックスであるため、ワックスと親水性層の界面の接着性が十分でないため耐刷性に劣る問題と比較的低感度である問題があった。
特開2003−215801号公報(特許文献5)には、水現像可能な感光性組成物として、側鎖にフェニル基を介してビニル基が結合したカチオン性もしくはアニオン性の水溶性ポリマーを用いる系が開示されており、さらにこれを親水性表面を有する基板上に形成することで水現像可能な印刷版が作製できることを開示している。この場合、親水性表面を有する基板として、シリケート処理されたアルミ板や親水性下引き層を設けたフィルム支持体が例示されているが、いずれの組み合わせにおいても種々の印刷条件に於いて地汚れ防止と耐刷性の両方の性質を同時に満足させることが困難であり、更なる最適化のための素材検討および構成に関する検討が必要であった。
上記何れの平版印刷版方式に於いて共通して言える問題点は印刷時に於ける版の保水性が不十分であることである。印刷時には給湿液が版面に供給され、非画像部の親水性を保つように工夫されているが、版の保水性が低い場合、給湿液の保持能力が低いため印刷を進めてゆくに従って版表面が乾燥し地汚れを発生する場合がある。また、印刷前に版表面に指紋痕がつき、これが印刷時に汚れとなって現れる場合がある。保水性の低い印刷版の場合、網点部分、特にシャドー部においてインキが絡み、シャドー部の網点再現性が低下し正常な印刷物が得られない、いわゆる網がらみという問題が生じる場合もある。さらには、印刷機を停機させた後に印刷を再開すると全面に地汚れが発生し、給湿液の供給量を高めても正常な印刷が出来ないなどの問題がある。特に、地汚れが発生した際に、給湿液の供給を増やすことで汚れ回復性が良好な網がらみのない印刷版が求められているのが現状である。
特開2000−158839号公報 特開2004−167973号公報 特開平9−99662号公報 特開2004−237592号公報 特開2003−215801号公報
本発明はプラスチックフィルム基体上に親水性層を有し、この親水性層を印刷版の非画像部として利用する平版印刷版用支持体に関し、保水性が良好で、従って汚れ回復性が良好で、かつ網がらみのない耐刷性の良好な平版印刷版用支持体を与えることを目的とする。さらに、インクジェット記録方式、感熱転写方式および光重合方式の3種類を適応して、印刷性、特に汚れ回復性に優れた平版印刷版の製造法および感光性平版印刷版材料を提供することである。
本発明の上記目的は、プラスチックフィルム基体上に、水溶性でんぷんまたは水溶性セルロース誘導体に後記一般式Iで示されるポリマーをグラフト重合させて得られる水溶性ポリマーを含む親水性層を有する平版印刷版用支持体を用い、さらに下記の(1)〜(3)の各項目を実施することで基本的には達成される。
(1)該平版印刷版用支持体の該親水性層表面にインクジェット法により画像様に画像形成材料を付着させ、該親水性層表面の一部に親油性の画像層を形成する平版印刷版の製造方法。
(2)該平版印刷版用支持体の該親水性層表面に、基体上に感熱転写層を設けてなる感熱転写シートの該感熱転写層を密着させた後、該基体側からサーマルヘッドまたはレーザ光により画像様に加熱することにより該親水性層上に該加熱部分に対応する感熱転写層を転写して、該親水性層表面の一部に感熱転写層からなる親油性の画像層を形成する平版印刷版の製造方法。
(3)該親水性層を有する平版印刷版用支持体の該親水性層表面に光硬化性感光層を設けた感光性平版印刷版材料。
本発明により、汚れ回復性が良好で、かつ網がらみのない耐刷性の良好な平版印刷版用フィルム支持体が与えられる。さらに、インクジェット記録方式、感熱転写方式および光重合方式の3種類を適応して、汚れ回復性に優れ網がらみのない平版印刷版の製造法および感光性平版印刷版材料が与えられる。
以下、本発明を詳細に説明する。水溶性でんぷんまたは水溶性セルロース誘導体にアクリルアミドおよび/またはスチレンスルホン酸塩を含むモノマーがグラフト重合した水溶性ポリマーとは、水溶性でんぷんあるいは水溶性セルロース誘導体の存在下に、アクリルアミドおよび/またはスチレンスルホン酸塩を含むモノマーのグラフト重合を行うことで得られるポリマーを意味する。スチレンスルホン酸塩とはスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩および有機アミンによる塩を含む。天然物として得られるでんぷんは通常冷水に溶解せず、熱水溶解した後に糊化するため塗工用途には用いることは困難である。でんぷんを原料にして製造される水溶性でんぷんとは、酵素処理により低分子量化した酵素変性デキストリンや、アルファー化でんぷん、カルボキシメチル化でんぷん、ヒドロキシアルキル化でんぷん等のエーテル化でんぷん、および酢酸エステル化でんぷん、リン酸エステル化でんぷん等のエステル化でんぷん等が挙げられる。また、水溶性セルロース誘導体としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。これらの素材は、種々の粘度および変性化の度合いの異なるグレードのものが市販されており、特に変性でんぷんに関しては、日澱化学株式会社等から入手可能である。
上記の種々のでんぷんに関して好ましい例が存在し、特に冷水に可溶であるでんぷんが好ましく、アルファー化でんぷんやヒドロキシアルキル化でんぷんおよびリン酸エステル化でんぷん等が特に好ましく用いることが出来る。
上記のグラフト化重合を行うには、公知の種々のラジカル重合開始剤を使用した通常のラジカル重合の条件で容易に行うことが出来る。好ましい重合温度としては0℃から120℃の範囲であり、さらに好ましい範囲は50℃から100℃である。この温度範囲で使用する好ましい重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチロニトリル、アゾビス(4−シアノ吉草酸)、アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、アゾビス(ジメチルホルムアミド)等が好ましく使用できる。
水溶性でんぷんまたは水溶性セルロース誘導体の存在下に上記のような重合開始剤を使用してグラフト重合を行う場合には、アクリルアミドおよび/またはスチレンスルホン酸塩の重合を行うことで本発明が目的とする極めて保水性の高い親水性層を形成する水溶性ポリマーが得られる。ここで言うスチレンスルホン酸塩とは、スチレンスルホン酸に対する対カチオンとしてナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属カチオンやアンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムなどの有機アミンやアンモニウムイオンによる塩を形成しているものを意味する。
アクリルアミド或いはスチレンスルホン酸塩はそれぞれ単独で上記のようなグラフト重合を行っても良いが、さらに他の親水性モノマーを共重合して得られるグラフトポリマーを用いることも好ましく行われる。水溶性でんぷんまたは水溶性セルロース誘導体に対してグラフト重合を行うことで、水溶性でんぷんまたは水溶性セルロース誘導体に結合する部分の水溶性ポリマーとして、極めて好ましい組成が存在し、最も好ましい該水溶性ポリマーの組成として、下記一般式Iで示されるポリマーが挙げられる。
Figure 0005255222
上式に於いて、Xは共重合体組成中に占める繰り返し単位の質量%を表し、1から40までの任意の数値を表す。繰り返し単位Aは、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、アセトアセトキシ基から選ばれる基を有する繰り返し単位である。繰り返し単位Bはアクリルアミドおよび/またはスチレンスルホン酸塩を表す。
上記一般式Iで示される水溶性ポリマーはカルボキシル基、アミノ基、水酸基、あるいはアセトアセトキシ基を側鎖に有することから保水性が高い親水性層を形成し、印刷時に於いて地汚れを防止し、網がらみを抑制する性質を示すことから極めて好ましい。さらには、これらの基を後述する架橋剤との間で効率的に架橋反応が進行するための反応性基として利用することも好ましく行われる。これらの反応性基を分子内に有する水溶性ポリマーを得るには、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、あるいはアセトアセトキシ基を有する各種モノマーを共重合する形で組み込むことが好ましく行われる。前記一般式Iで示す繰り返し単位Aに対応するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシエチルアクリレート、2−カルボキシエチルメタクリレート、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、桂皮酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン、アクリルアミド−N−グリコール酸等のカルボキシル基含有モノマー及びこれらの塩、アリルアミン、ジアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、3−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、4−アミノスチレン、4−アミノメチルスチレン、N,N−ジメチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン、N,N−ジエチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン等のアミノ基含有モノマー、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール等の含窒素複素環含有モノマー、N−メチロールアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類およびアセトアセトキシエチルメタクリレート等が挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。
上記一般式Iにおいて、繰り返し単位Aの共重合体中に於ける割合であるXは1から40までの範囲にあることが好ましく、この範囲以下では架橋反応が進行しても耐水性が発揮できず、この範囲以上であれば、親水性層の水に対する親和性が低下することがある。
上記グラフトポリマーにおける水溶性でんぷんまたは水溶性セルロース誘導体に対するアクリルアミドまたはスチレンスルホン酸塩、或いは一般式Iで示される組成を与えるために他の親水性モノマーを共重合する場合に於いても、重合するモノマーの全量に対する水溶性でんぷんまたは水溶性セルロース誘導体の割合については好ましい範囲が存在する。重合するモノマー全量100質量部に対して水溶性でんぷんまたは水溶性セルロース誘導体は10質量部から100質量部の範囲にあることが好ましく、これ以下ではグラフトポリマーとしての本発明の効果が認めがたく、またこの範囲を越えて使用した場合には、グラフト化していない水溶性でんぷんまたは水溶性セルロース誘導体が多量に存在するためでんぷんとのブレンド系となり、保水性が十分に得られず本発明の効果が認めがたくなる場合がある。
上記グラフトポリマーを使用して親水性層を形成する際に、種々の架橋剤を使用してグラフトポリマーの架橋を行っても良い。こうした架橋剤の好ましい例としては、エポキシ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物およびその誘導体、ホルムアルデヒド等のアルデヒド化合物およびメチロール化合物、ヒドラジド化合物などが好ましい例として挙げられる。また、上記グラフトポリマーを合成する際に、先に例示した種々の親水性モノマーを共重合することで、下記の様々な架橋剤に対する反応性基を付与することも好ましく行われる。以下、こうした架橋剤の具体的な例を化学式を添えて説明する。
エポキシ化合物としては分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物で、水溶性であるものが好ましく使用される。こうしたエポキシ化合物は中性から弱酸性条件では水中でも比較的安定であり、親水性層を形成するための塗工液を作製した場合に、塗液寿命が長く連続した生産において極めて有利であり好ましい。好ましいエポキシ化合物の例を下記に示す。
Figure 0005255222
上記のようなエポキシ化合物と該グラフトポリマーとの間で効率的に架橋反応が進行するためには、該グラフトポリマー中に含まれるアクリルアミドおよび/またはスチレンスルホン酸塩からなる繰り返し単位に加えて、反応性基として、カルボキシル基やアミノ基が繰り返し単位中に含まれる場合が特に好ましい。
アジリジン化合物として好ましい化合物の例を下記に示す。こうしたアジリジン化合物と該グラフトポリマーとの間で効率的に架橋反応が進行するためには、該グラフトポリマー中に含まれるアクリルアミドおよび/またはスチレンスルホン酸塩からなる繰り返し単位に加えて、反応性基として、カルボキシル基が繰り返し単位中に含まれる場合が特に好ましい。
Figure 0005255222
オキサゾリン化合物としては、置換基として下記に示す基を分子内に2個以上含む化合物が好ましく、市販される各種化合物として例えば、(株)日本触媒から「エポクロス」の商品名で提供される各種グレードの化合物が好ましく使用される。こうしたオキサゾリン化合物と該水溶性ポリマーとの間で効率的に架橋反応が進行するためには、該グラフトポリマー中に含まれるアクリルアミドおよび/またはスチレンスルホン酸塩からなる繰り返し単位に加えて、反応性基として、カルボキシル基が繰り返し単位中に含まれる場合が特に好ましい。
Figure 0005255222
イソシアネート化合物としては、水中で安定である化合物が好ましく、いわゆる自己乳化性イソシアネート化合物や、ブロックイソシアネート化合物が好ましく使用される。自己乳化性イソシアネート化合物としては、例えば、特公昭55−7472号公報(米国特許第3,996,154号)、特開平5−222150号公報(米国特許第5,252,696号)、特開平9−71720号公報、特開平9−328654号公報、特開平10−60073号公報の明細書等に記載されるような自己乳化性イソシアネートを指す。具体的には、例えば、脂肪族あるいは脂環族ジイソシアネートから形成される環状三量体骨格のイソシアヌレート構造を分子内に有するポリイソシアネートや、ビュレット構造、ウレタン構造等を分子内に有するポリイソシアネートをベースポリイソシアネートとし、これに片末端エーテル化したポリエチレングリコール等をポリイソシアネート基の内一部のみに付加させて得られる構造のポリイソシアネート化合物が極めて好ましい例として挙げられる。こうした構造のイソシアネート化合物の合成法については上記の明細書中に記載されている。こうしたイソシアネート化合物の具体的な例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート等を出発原料とした環状三量化によるポリイソシアネートをベースポリイソシアネートとしたものが市販されており、例えば、旭化成株式会社からデユラネートWB40或いはWX1741等の名称で入手可能である。ブロックイソシアネート化合物としては、例えば特開平4−184335号公報、特開平6−175252号公報の明細書等に見られるように、重亜硫酸塩、アルコール類、ラクタム類、オキシム類、活性メチレン類などでブロックされたブロックイソシアネートが好ましく用いられる。こうしたイソシアネート化合物と該水溶性ポリマーとの間で効率的に架橋反応が進行するためには、該グラフトポリマー中に含まれるアクリルアミドおよび/またはスチレンスルホン酸塩からなる繰り返し単位に加えて、反応性基としては、水酸基やアミノ基が繰り返し単位中に含まれる場合が特に好ましい。
ホルマリン等のアルデヒド化合物およびメチロール化合物の例としては、ホルマリン、グリオキザール、および下記に示すような種々のN−メチロール化合物を例示することが出来る。こうした化合物と該水溶性ポリマーとの間で効率的に架橋反応が進行するためには、該グラフトポリマー中に含まれるアクリルアミドおよび/またはスチレンスルホン酸塩からなる繰り返し単位に加えて、反応性基としては、水酸基やアミノ基が繰り返し単位中に含まれる場合が特に好ましい。
Figure 0005255222
ヒドラジド化合物として好ましく使用できる化合物の例を下記に示す。こうしたヒドラジド化合物と該水溶性ポリマーとの間で効率的に架橋反応が進行するためには、該グラフトポリマー中に含まれるアクリルアミドおよび/またはスチレンスルホン酸塩からなる繰り返し単位に加えて、反応性基としては、アセトアセトキシ基のような活性メチレン基が繰り返し単位中に含まれる場合が特に好ましい。
Figure 0005255222
上記のような種々の架橋剤と該グラフトポリマーとの比率に関しては好ましい範囲が存在する。該グラフトポリマー100質量部に対して架橋剤は1〜40質量部の範囲で用いることが好ましく、1質量部以下では架橋耐水化が不十分であり、印刷中に親水性層の剥離が生じる場合がある。逆に40質量部以上用いた場合には、親水性層の水に対する親和性が低下し、地汚れの原因となる場合がある。
本発明における親水性層には、さらにコロイダルシリカを含むことも極めて好ましく行われる。ここで言うコロイダルシリカとは、光散乱方式粒度分布計で計測される平均粒子径が5〜200nmである球状、針状、不定形あるいは、球状粒子が連なって出来るネックレス状などの種々の形状、粒子径のシリカ粒子であり、水中に安定的に分散したシリカゾルが好ましく用いられる。こうした素材は、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスの商品名で各種のコロイダルシリカが提供されており、球状のシリカゾルとしてスノーテックスXS(粒子径4〜6nm)、スノーテックスXS(粒子径8〜11nm)、スノーテックス20(粒子径10〜20nm)、スノーテックスXL(粒子径40〜60nm)、スノーテックスYL(粒子径50〜80nm)、スノーテックスZL(粒子径70〜100nm)、スノーテックスMP−2040(粒子径200nm)および表面のナトリウム塩を除去した酸性タイプのシリカゾルとしてスノーテックスOXS,OS等が好ましく使用できる。針状あるいは不定形のシリカゾルとして、例えばスノーテックスUP、OUPや触媒化成工業(株)から出されているファインカタロイドF−120等が挙げられる。ネックレス状のシリカゾルとして、スノーテックスPS−S(粒子径80〜120nm),PS−M(粒子径80〜150nm)およびこれらの酸性タイプであるPS−SOおよびPS−MO等が挙げられる。
親水性層に好ましく含まれるこうしたコロイダルシリカは、各々の種類のコロイダルシリカを単独で使用しても良いが、或いは異なる種類のコロイダルシリカを種々の割合で混合して用いても良い。特に、被膜形成性の良いネックレス状シリカやこれと組み合わせて種々の粒子径の球状コロイダルシリカを使用することで、親水性層の塗膜強度を高め、印刷条件において非画像部の地汚れを防止するために効果的であり好ましい系が得られる。
親水性層におけるコロイダルシリカの割合については好ましい範囲が存在する。該グラフトポリマーとコロイダルシリカの比率は、グラフトポリマー100質量部に対して500質量部以下であることが好ましい。これ以上の比率でコロイダルシリカを添加して親水性層を形成した場合には、耐刷性の低下が生じたり、網がらみが発生する場合があり、本発明のグラフトポリマーによる効果が消失する場合がある。
親水性層の固形分塗布量に関しては好ましい範囲が存在し、支持体上に乾燥質量で1平方メートル当たり0.5gから20gの範囲で形成することが好ましく、この範囲より少ない場合には印刷時に地汚れが発生し易くなり、また1平方メートル当たり20gを越えて塗設した場合には、塗膜にひび割れが発生しやすくなる場合がある。最も好ましい範囲は1平方メートル当たり1gから5gの範囲である。
親水性層には上記のコロイダルシリカ以外に他の無機微粒子を添加することも好ましく行われる。μmサイズの多孔質シリカ微粒子として例えば、富士シリシア化学(株)から得られる各種グレードのサイリシアの添加により親水性の向上や親水性層のブロッキング防止などの好ましい効果が得られる。或いは、ゼオライトとして知られる結晶性アルミノケイ酸塩、層状粘土鉱物微粒子としてスメクタイト(モンモリロナイト等)やタルク等を添加することによっても同様な好ましい効果が得られる。これらの多孔質シリカ微粒子やゼオライト或いは層状粘土鉱物微粒子を添加して用いる場合には、コロイダルシリカとの好ましい比率が存在し、コロイダルシリカ100質量部に対し1から50質量部である。これ以下の添加量では効果が認めがたく、また50質量部を越えて添加した場合には、塗膜の平滑性が損なわれて画質が低下する場合がある。
親水性層を形成するプラスチックフィルム基体としては各種フィルムが挙げられる。例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、硝酸セルロースなどが代表的に挙げられ、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく用いられる。これらのプラスチックフィルムは親水性層を設ける前に、表面に親水化加工が施されていることが好ましく、こうした親水化加工としては、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。さらなる親水化加工として基材上に設ける親水性層との接着性を高めるため基材上に下引き層を設けても良い。下引き層としては、親水性樹脂を主成分とする層が有効である。親水性樹脂としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体(例えば、フタル化ゼラチン)、ヒドロキエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、キサンタン、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の水溶性樹脂が好ましい。特に好ましくは、ゼラチン、ポリビニルアルコールが挙げられる。こうした下引き層を介してフィルム支持体と親水性層を形成することで、多部数にわたるロングラン印刷条件での耐刷性が向上するため好ましく利用される。
本発明の平版印刷版用支持体には以下のような公知の方法により画像を形成することができるが、これらの方法に限るものではない。
公知のインクジェット法により画像様にインキ受容素材を付着させてインク受容性画像層を形成する。該インキ受容素材は耐水性を有する素材であって、ホットメルトや画像形成後に熱または光で硬化する熱硬化性物質または光硬化性物質でもよい。
熱硬化性物質の例としては、ハロゲン化ビスフェノール、レゾルシン、ビスフェノールF、テトラヒドロキシフェニルエタン、ノボラック、ポリヒドロキシ化合物、ポリグリコール、グリセリントリエーテル、ポリオレフィン、エポキシ化大豆油、ビニルシクロヘキセンジオキシド、エポキシ化大豆油と有機酸又はその無水物(例、フタル酸、マレイン酸、セバシン酸又はその無水物)、あるいは有機過酸化物(例、過酸化ベンゾイルまたは過酸化フタロイド)との組み合わせ、ジアリルオルソフタレート、ジアリルイソフタレート又はジアリルクロレンテート、あるいはこれらと有機化酸化物(例、過酸化ベンゾイルまたは過酸化フタロイド)との組み合わせ、N−メチル−N'−メチロールウロンエチルエーテル、N−メチル−N'−メチロールウロンメチルエーテル、N−エチル−N'−メチロールウロンメチルエーテル、テトラメチロールウレア、N−メチル−N,N',N'−トリメチロールウレア、N−エチル−N,N',N'−トリメチロールウレア、N,N'−ジエチル−N,N'−ジメチロールウレア、モノ及びポリメチロールメラミン、p−メチロールフェノール、フェノール、o−メチロールフェノール、2,4−ジメチロールフェノールあるいは2,6−ジメチロールフェノールとホルムアルデヒドとの組み合わせ、アニリン樹脂、キシレン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及びフラン樹脂を挙げることができる。
光硬化性物質としては、不飽和ポリエステル(二塩基酸の例:無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水トリメリット酸及び無水ピロメリット酸;多価アルコールの例:エチレングリコール、プロピレングリコール、2,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリントリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール);及びアクリレートまたはメタクリレートモノマー又はオリゴマー(例:メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシドデシルメタクリレート、2−ヒドロキシドデシルアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2'−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールメタントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレートモノヤシ油脂肪酸エステル、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジブロムネオペンチルグリコールジメタクリレート、及び2,3−ジブロムプロピルアクリレート)。上記光硬化性物質は、一般に光重合開始剤と共に使用される。光重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、アセトフェノン類、ジケトン類及びアシルオキシムエステル類等を挙げることができる。
感熱転写方式による親油性の画像層の形成は、例えば下記のように行なうことができる。本発明の平版印刷版用支持体の親水性層表面に、基体上に感熱転写層を設けてなる感熱転写シートの感熱転写層を密着させる。次いで基体側からサーマルヘッドにより画像様に加熱し、該親水性層上に加熱部分に対応する感熱転写層を転写する。これにより、該親水性層表面の一部に感熱転写層からなる親油性層を形成する。勿論サーマルヘッドの代わりにレーザービームを使用することもできる。上記感熱転写シートの感熱転写層の材料としては、加熱により溶融して上記画像受容層に転写することができるものが使用される。感熱転写層は、加熱により溶融する樹脂及び無機顔料からなり、必要により染料が添加される。樹脂例としては、パラフィンワックス、天然ロジン、高級脂肪酸エステル、ポリアミド、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリアクリル酸エステル等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル等を挙げることができ、無機顔料の例、としてはシリカ、炭酸カルシウム、カーボンブラック、チタンホワイト等を挙げることができる。
公知の光硬化性感光層を親水性層上に塗設し、露光後、未露光部分を水現像若しくは印刷機上で給湿液により除去して画像層を形成することも好ましく行うことが出来る。該光硬化性感光層は感光性平版印刷版材料の感光層として用いられるものであればよい。こうした感光層としては、一般に光重合開始剤と分子内に重合性二重結合を有する化合物から構成される層であり、分子内に重合性二重結合を有する化合物として特に側鎖に重合性二重結合を有するポリマーを用いる系が好ましい。本発明に関わるプロセスレスもしくは水現像可能な光硬化性感光層を与える系として、例えば、特開2003−215801号公報の明細書に記載される感光層が好ましい系として挙げられる。即ち、側鎖にビニル基が置換したフェニル基及びカチオン性基を有するカチオン性水溶性重合体又は側鎖にビニル基が置換したフェニル基及びスルホン酸塩基を有する水溶性重合体を含有する感光性組成物を感光層として用いる系が好ましい例として挙げられる。こうした好ましい重合体の例を下記に示す。
Figure 0005255222
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本発明に関わる特に好ましい感光層にはスルホン酸基と、ヘテロ環を含む連結基を介してビニル基が結合したフェニル基の両方を側鎖に有する重合体を含む。該ヘテロ環を含む連結基を介してビニル基が結合したフェニル基とは、下記一般式IIで表される基を側鎖に有するものである。
Figure 0005255222
式中、Zはヘテロ環を含む連結基を表し、R1、R2、及びR3は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等であり、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていても良い。R4は水素原子と置換可能な基または原子を表す。nは0または1を表し、mは0〜4の整数を表し、kは1〜4の整数を表す。上記ヘテロ環基としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、更にこれらの複素環には置換基が結合していても良い。一般式IIで表される基の例を以下に示すが、これらの例に限定されるものではない。
Figure 0005255222
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上記一般式IIで表される基の中には好ましいものが存在する。即ち、R1及びR2が水素原子でR3が水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)であるものが好ましい。更に、複素環基としてはチアジアゾール環を含むものが好ましく、kは1または2であるものが好ましい。
該重合体組成中に同時に含まれるスルホン酸基とは下記一般式IIIに示すように連結基を介して主鎖にスルホン酸基が結合したものであり、スルホン酸基は任意の塩基により中和され、塩の形になっているものが好ましい。
Figure 0005255222
上記一般式IIIにおいて、連結基Lは主鎖とスルホン酸基を連結する任意の原子、基を表し、アルキレン基、アリーレン基などが好ましい。スルホン酸基と塩を形成する塩基Bとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの無機塩基や各種アミン類および水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、コリンなどの4級アンモニウム塩基などが好ましく用いられる。
感光層中に含まれる重合体組成中におけるカチオン性基若しくはスルホン酸基と、ビニル基が結合したフェニル基の割合については好ましい範囲が存在する。カチオン性基若しくはスルホン酸基を有する繰り返し単位は重合体組成中に於いて40質量%から90質量%の範囲が好ましく、これ以下の場合には重合体が水に不溶となり、水現像あるいは印刷機上での現像が不可能となる場合がある。また、90質量%以上の場合には光硬化性が不十分となり、十分な耐刷性が得られない場合がある。
上記のスルホン酸基を中和するための塩基としてさらに好ましい塩基が存在する。それは、水酸基を有する3級アミンであり、具体的にはジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、n−ブチルジエタノールアミン、t−ブチルジエタノールアミンが更に好ましい例として挙げられる。これらの塩基を用いて該スルホン酸基を中和した重合体を用いることで、重合体の水現像性あるいは機上現像性が極めて良好となり、地汚れの発生を防止する上で極めて好ましい。
該重合体の分子量に関しては好ましい範囲が存在し、重量平均分子量で5000から20万の範囲が好ましく、これ以下の分子量では耐刷性が不十分となり好ましくなく、また20万を越える分子量では塗布する際の塗液粘度が高くなりすぎ、均一な塗布が困難になる場合がある。最も好ましい分子量範囲は1万から10万の間である。
該重合体組成中には、目的に応じて上記のスルホン酸基およびビニル基を有する繰り返し単位以外にも種々の繰り返し単位を導入することが出来る。例えば、親水性モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシエチルアクリレート、2−カルボキシエチルメタクリレート、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、桂皮酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン、アクリルアミド−N−グリコール酸等のカルボキシル基含有モノマー及びこれらの塩、ビニルホスホン酸等のリン酸基含有モノマー及びこれらの塩、アリルアミン、ジアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、3−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、4−アミノスチレン、4−アミノメチルスチレン、N,N−ジメチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン、N,N−ジエチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン等のアミノ基含有モノマー及びこれらの4級アンモニウム塩、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環含有モノマー及びこれらの4級アンモニウム塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、メタクリル酸メトキシジエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキシ基含有(メタ)アクリレート類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これら水溶性モノマーは1種で用いても良いし、任意の2種類以上を用いても良い。
或いは、疎水性モノマーとして、スチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−クロロメチルスチレン、4−メトキシスチレン等のスチレン誘導体、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のアリール(メタ)アクリレート類またはアリールアルキル(メタ)アクリレート類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フェニルマレイミド、ヒドロキシフェニルマレイミド、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、その他、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート等各種モノマーを挙げることができる。これらの任意の組み合わせで構成される、該スルホン酸基とビニル基を同時に繰り返し単位に含む共重合体を本発明における重合体として使用することができる。こうした該スルホン酸基とビニル基以外の繰り返し単位を該重合体に含む場合、該重合体中に於ける割合は全体の50質量%以下に留めることが好ましく、これ以上の割合で導入した場合には本発明の目的とする保水性向上と耐刷性の両立に支障を来す場合があり好ましくない。
本発明に於ける好ましい重合体の例を以下に示すが、これらの例に限定されるものではない。式中、数字は各繰り返し単位の重合体中に於ける質量%を表す。
Figure 0005255222
Figure 0005255222
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本発明に関わる該光硬化性感光層には、該重合体と併せて、光重合開始剤を含有する。本発明に用いられる光重合開始剤としては、光または電子線の照射によりラジカルを発生し得る化合物であれば任意の化合物を用いることができる。
本発明に用いることのできる光重合開始剤の例としては(a)芳香族ケトン類、(b)芳香族オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(e)ケトオキシムエステル化合物、(f)アジニウム化合物、(g)活性エステル化合物、(h)メタロセン化合物、(i)トリハロアルキル置換化合物、及び(j)有機ホウ素化合物等が挙げられる。
(a)芳香族ケトン類の好ましい例としては、”RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY”J.P.FOUASSIER,J.F.RABEK(1993)、P.77〜P.177に記載のベンゾフェノン骨格、或いはチオキサントン骨格を有する化合物、特公昭47−6416号公報に記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報に記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報に記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報に記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報に記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報に記載のジアルコキシベンゾフェノン類、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報に記載のベンゾインエーテル類、特開平2−211452号公報に記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報に記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報に記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報に記載のアシルホスフィン類、特公昭63−61950号公報に記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報に記載のクマリン類を挙げることができる。
(b)芳香族オニウム塩の例としては、N、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、TeまたはIの芳香族オニウム塩が含まれる。このような芳香族オニウム塩は、特公昭52−14277号、同昭52−14278号、同昭52−14279号公報等に例示されている化合物を挙げることができる。
(c)有機過酸化物の例としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、例えば、3,3',4,4'−テトラ−(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(tert−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ(tert−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ(tert−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−tert−ブチルジパーオキシイソフタレート等の過酸化エステル系が好ましい。
(d)ヘキサアリールビイミダゾールの例としては、特公昭45−37377号、同昭44−86516号公報に記載のロフィンダイマー類、例えば2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2'−ビス(o,o'−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−メチルフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−トリフルオロメチルフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
(e)ケトオキシムエステルの例としては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
(f)アジニウム塩化合物の例としては、特開昭63−138345号、同昭63−142345号、同昭63−142346号、同昭63−143537号、特公昭46−42363号公報等に記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
(g)活性エステル化合物の例としては特公昭62−6223号公報等に記載のイミドスルホネート化合物、特公昭63−14340号、特開昭59−174831号公報等に記載の活性スルホネート類を挙げることができる。
(h)メタロセン化合物の例としては、特開昭59−152396号、同昭61−151197号、同昭63−41484号、同平2−249号、同平2−4705号公報等に記載のチタノセン化合物ならびに、特開平1−304453号、同平1−152109号公報等に記載の鉄−アレーン錯体等を挙げることができる。具体的なチタノセン化合物としては、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等を挙げることができる。
(i)トリハロアルキル置換化合物の例としては、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、米国特許第3,954,475号、同第3,987,037号、同第4,189,323号、特開昭61−151644号、同昭63−298339号、同平4−69661号、同平11−153859号公報等に記載のトリハロメチル−s−トリアジン化合物、特開昭54−74728号、同昭55−77742号、同昭60−138539号、同昭61−143748号、同平4−362644号、同平11−84649号公報等に記載の2−トリハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。また、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環或いは含窒素複素環に結合した、特開2001−290271号公報等に記載のトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
(j)有機ホウ素塩化合物の例としては、特開平8−217813号、同平9−106242号、同平9−188685号、同平9−188686号、同平9−188710号公報等に記載の有機ホウ素アンモニウム化合物、特開平6−175561号、同平6−175564号、同平6−157623号公報等に記載の有機ホウ素スルホニウム化合物及び有機ホウ素オキソスルホニウム化合物、特開平6−175553号、同平6−175554号公報等に記載の有機ホウ素ヨードニウム化合物、特開平9−188710号公報等に記載の有機ホウ素ホスホニウム化合物、特開平6−348011号、同平7−128785号、同平7−140589号、同平7−292014号、同平7−306527号公報等に記載の有機ホウ素遷移金属配位錯体化合物等が挙げられる。また、特開昭62−143044号、同平5−194619号公報等に記載の対アニオンとして有機ホウ素アニオンを含有するカチオン性色素が挙げられる。
また、本発明の光硬化性感光層を、405nmの紫外光に対応させる場合には、(d)ヘキサアリールビイミダゾール、(h)メタロセン化合物、(i)トリハロアルキル置換化合物、(j)有機ホウ素塩化合物が特に好ましい。
また、本発明の光硬化性感光層を750nm以上の近赤外〜赤外光に対応させる場合には(i)トリハロアルキル置換化合物、(j)有機ホウ素塩化合物が特に好ましい。
上記光重合開始剤は単独で用いても良いし、任意の2種以上の組み合わせで用いても良い。特に、(i)トリハロアルキル置換化合物と(j)有機ホウ素塩化合物を組み合わせて用いた場合には、感度が大幅に向上するために好ましい。光重合開始剤の光硬化性感光層中に占める含有量は、水溶性重合体に対して、1〜100質量%の範囲が好ましく、更に1〜40質量%の範囲が特に好ましい。
本発明に関わる光重合開始剤については特に有機ホウ素塩が好ましく用いられる。更に好ましくは、有機ホウ素塩とトリハロアルキル置換化合物(例えばトリハロアルキル置換された含窒素複素環化合物としてs−トリアジン化合物およびオキサジアゾール誘導体、トリハロアルキルスルホニル化合物)を組み合わせて用いることである。
有機ホウ素塩を構成する有機ホウ素アニオンは、下記一般式IVで表される。
Figure 0005255222
式中、R5、R6、R7およびR8は各々同じであっても異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらの内で、R5、R6、R7およびR8の内の一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
上記の有機ホウ素アニオンは、これと塩を形成するカチオンが同時に存在する。この場合のカチオンとしては、アルカリ金属イオン、オニウムイオン及びカチオン性増感色素が挙げられる。オニウム塩としては、アンモニウム、スルホニウム、ヨードニウムおよびホスホニウム化合物が挙げられる。アルカリ金属イオンまたはオニウム化合物と有機ホウ素アニオンとの塩を用いる場合には、別に増感色素を添加することで色素が吸収する光の波長範囲での感光性を付与することが行われる。また、カチオン性増感色素の対アニオンとして有機ホウ素アニオンを含有する場合は、該増感色素の吸収波長に応じて感光性が付与される。しかし、後者の場合は更にアルカリ金属もしくはオニウム塩の対アニオンとして有機ホウ素アニオンを併せて含有するのが好ましい。
本発明に用いられる有機ホウ素塩としては、先に示した一般式IVで表される有機ホウ素アニオンを含む塩であり、塩を形成するカチオンとしてはアルカリ金属イオンおよびオニウム化合物が好ましく使用される。特に好ましい例は、有機ホウ素アニオンとのオニウム塩として、テトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩等のホスホニウム塩が挙げられる。特に好ましい有機ホウ素塩の例を下記に示す。
Figure 0005255222
Figure 0005255222
本発明において、有機ホウ素塩とともに用いることでさらに高感度化、硬調化が具現される光重合開始剤としてトリハロアルキル置換化合物が挙げられる。上記トリハロアルキル置換化合物とは、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体およびオキサジアゾール誘導体が挙げられ、或いは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環或いは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
トリハロアルキル置換した含窒素複素環化合物やトリハロアルキルスルホニル化合物の特に好ましい例を下記に示す。
Figure 0005255222
Figure 0005255222
本発明に関わる光硬化性感光層中には、405nm付近若しくは700〜900nmに感度のピークを有し、この波長領域に吸収を有し、前述の光重合開始剤を増感する化合物を併せて含有することが好ましい。405nm付近の感度を増大される化合物としては、特開平9−230913号、特開2001−42524号公報等に記載されるカルバゾール系化合物や、特開平8−262715号、同8−272096号、特開平9−328505号公報等に記載されるカルボメロシアニン系色素、特開平4−194857号、特開平6−295061号、特開平7−84863号、特開平8−220755号、特開平9−80750号、同9−236913号公報等に記載されるアミノベンジリデンケトン系色素、特開平4−184344号、特開平6−301208号、特開平7−271284号、特開平8−29973号公報等に記載されるクマリン色素、特開平7−225474号、同7−5685号、同7−281434号、特開平8−6245号公報等に記載されるピロメチン色素、特開平9−80751号公報等に記載されるスチリル系色素等のような各種増感剤を好ましく使用することが出来る。また上記有機ホウ素塩との組み合わせに於いては特にピリリウム系化合物またはチオピリリウム系化合物が好ましい。
700〜900nmにおける増感色素として、シアニン、フタロシアニン、メロシアニン、クマリン、ポリフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、スクアリリウム化合物、ピリリウム化合物が挙げられ、更に、欧州特許第0,568,993号、米国特許第4,508,811号、同5,227,227号に記載の化合物も用いることができる。
好ましく用いることの出来る増感色素の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。405nm付近の紫外光に対応する増感色素を下記に示す。
Figure 0005255222
Figure 0005255222
700〜900nm付近の近赤外光に対応する増感色素を下記に示す。
Figure 0005255222
Figure 0005255222
本発明は、光硬化性感光層中に、分子内に重合性二重結合を有する化合物として特に側鎖に重合性二重結合を有するポリマーに加えて多官能性モノマーを含有することも出来る。こうした多官能性モノマーの例としては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能性アクリル系モノマー、或いは、アクリロイル基、メタクリロイル基を導入した各種重合体としてポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等も同様に使用される。
光硬化性感光層を構成する要素として、他に、画像の視認性を高める目的で種々の染料、顔料を添加することや、感光性組成物のブロッキングを防止する目的等で無機物微粒子あるいは有機物微粒子を添加することも好ましく行われる。
光硬化性感光層中には、さらに長期にわたる保存に関して、熱重合による暗所での硬化反応を防止するために重合禁止剤を添加することが好ましく行われる。こうした目的で好ましく使用される重合禁止剤としては、公知の各種フェノール化合物等が使用できる。
感光性平版印刷版材料として使用する場合の光硬化性感光層自体の厚みに関しては、親水性層上に0.5μmから10μmの範囲の乾燥厚みで形成することが好ましく、さらに0.6μmから3μmの範囲であることが良好な解像度を発揮し、かつ耐刷性を大幅に向上させるために極めて好ましい。感光層は上述の種々の要素を混合した溶液を作製し、公知の種々の塗布方式を用いて親水性層上に塗布、乾燥される。
上記のようにして特定の親水性層を有する平版印刷版用支持体上に形成された光硬化性感光層を有する材料を印刷版として使用するためには、これに密着露光あるいはレーザー走査露光を行い、露光された部分が架橋することで水に対する溶解性が低下することから、水により未露光部を溶出することでパターン形成が行われる。
本発明において、水現像に使用される水とは、純水もしくはこれに各種無機、有機イオン性化合物が含まれても良く、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムイオンなどが含まれる水であっても良い。また、印刷機上で給湿液を機上現像用に用いる場合には、各種市販の給湿液が使用でき、pHは4〜10程度の範囲内で用いることが好ましい。また、水には各種アルコール類として、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、メトキシエタノール、ポリエチレングリコールなどの溶剤が含まれていても良い。或いは、市販される各種ガム液を使用して現像することも、版面を指紋汚れ等から保護する目的で好ましく用いることが出来る。
以下実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数や百分率は質量基準である。
(合成例1)でんぷんグラフトポリマーの合成方法
でんぷんとして、ヒドロキシアルキル化でんぷん(ペノンJE−66、日澱化学(株)製)を使用した。表1中に示す割合で、ヒドロキシアルキル化でんぷんおよびモノマー(この例では、アクリルアミドおよびアクリル酸)を純水400gに溶解した溶液に重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩をモノマーに対して0.5質量%添加し、75℃で4時間加熱攪拌することで目的とするでんぷんグラフトポリマーを合成した。
(合成例2〜8)
合成例1と同様にして、日澱化学(株)から入手した各種変性でんぷんを表1中に示す各種モノマーとともに混合して同様に重合を行い、グラフト重合した水溶性ポリマーを合成した。
Figure 0005255222
(平版印刷版用支持体1〜8および比較支持体1)
塩化ビニリデンとゼラチンをこの順に積層した下引き層を有する厚み100μmのポリエステルフィルムを使用して、この上に下記の処方で示される親水性層を形成して平版印刷版用支持体1〜6を作製した。水溶性ポリマーはそれぞれの支持体において表1中の合成例1〜6で得られた澱粉グラフトポリマーを使用した。架橋剤は表2に示した。親水性層の塗布量は乾燥質量で1平方メートル当たり2gになるようにワイヤーバーを使用して塗布を行った。乾燥は80℃の乾燥機で20分間加熱して乾燥を行った。試料はさらに40℃の乾燥機内で3日間加熱を行った。
(親水性層塗液処方)
水溶性ポリマー(表2)溶液(10%濃度) 10g
架橋剤(表2) 0.2g
純水 30g
Figure 0005255222
さらに比較支持体1として、でんぷんとポリアクリルアミド共重合体のブレンド系を使用した支持体をあわせて作製した。即ち、平版印刷版用支持体1に対応する形で、ヒドロキシアルキル化でんぷんとしてペノンJE−66とポリアクリルアミド−アクリル酸(80:20)共重合体を40:100の質量比で混合した10%溶液を作製し、この溶液10gに対し、架橋剤として化1中のE−4を0.2gおよび純水30gを添加して平版印刷版支持体1〜8と同様にして比較支持体1を作製した。
上記のようにして作製した平版印刷版用支持体1〜8および比較支持体1を用いて画像を形成することなく、支持体自身の保水性に関する印刷試験を下記のように実施した。
(汚れ回復性試験)
印刷機として、オフセット枚葉印刷機リョービ560を使用し、印刷インキは大日本インキ化学工業(株)製ニューチャンピオンFグロス紅を使用し、給湿液は市販のPS版用給湿液トーホーエッチ液を1%に希釈して給湿液として使用した。汚れ回復性評価として、給湿液を絞り、版の全面をインキで覆った状態にし、停機して一時間放置し、その後給湿液の水送りダイヤルを通常印刷を行っている設定に戻して印刷を再開した場合の汚れ回復性を評価した。この際、刷り枚数50枚以下で地汚れが消失した場合を○とし、50枚以上100枚以下であった場合を△、100枚以上であった場合を×とした。
上記の試験結果を表3にまとめた。全面をインキで覆った状態からの汚れ回復性においては比較支持体1は回復が見られなかったのに対し、平版印刷版用支持体1〜8は全て良好な汚れ回復性を示した。
Figure 0005255222
(平版印刷版用材料9〜16および比較材料2)
塩化ビニリデンとゼラチンをこの順に積層した下引き層を有する厚み100μmのポリエステルフィルムを使用して、この上に下記の処方で示される親水性層を形成して平版印刷版用支持体9〜16を作製した。用いた水溶性ポリマーおよび架橋剤は表4に示した。親水性層の塗布量は乾燥質量で1平方メートル当たり2gになるようにワイヤーバーを使用して塗布を行った。乾燥は80℃の乾燥機で20分間加熱して乾燥を行った。試料はさらに40℃の乾燥機内で3日間加熱を行った。
(親水性層塗液処方)
水溶性ポリマー(表4)溶液(10%濃度) 10g
コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製スノーテックスPS−S)
(20%溶液) 10g
架橋剤(表4) 0.2g
純水 30g
Figure 0005255222
さらに比較支持体2として、でんぷんとポリアクリルアミド共重合体のブレンド系を使用した支持体をあわせて作製した。即ち、下記の比較支持体2に用いた親水性層塗液処方に示すように、平版印刷版用支持体1に対応する形で、ヒドロキシアルキル化でんぷんとしてペノンJE−66とポリアクリルアミド−アクリル酸(80:20)共重合体を40:100の質量比で混合した溶液を作製し、上記の親水性層塗液処方と同様に架橋剤として化1中のE−5を0.2g添加して同様に比較支持体2を作製した。
(比較支持体2に用いた親水性層塗液処方)
ペノンJE−66水溶液
(10%濃度) 2.9g
ポリアクリルアミド−アクリル酸(80:20)共重合体溶液
(10%濃度) 7.1g
コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製スノーテックスPS−S)
(20%溶液) 10g
架橋剤(化1中のE−5) 0.2g
純水 30g
(感光性平版印刷版材料の作製)
上記のように作製した平版印刷版用支持体の上に、下記の処方の塗布液を塗布し、光硬化性感光層を形成して本発明の感光性平版印刷版材料9〜14と参考例の感光性平版印刷版材料15、16及び比較材料2を作製した。光硬化性感光層の塗布厚みは乾燥膜厚で1μmになるようにワイヤーバーを使用して塗布を行った。乾燥は80℃の乾燥機で10分間加熱して乾燥を行った。
(光硬化性感光層塗液処方)
ポリマー(化15中SP−9)溶液(25%濃度) 4g
光重合開始剤(化18中BC−6) 0.1g
光重合開始剤(化19中T−2) 0.05g
増感色素(化23中S−34) 0.03g
ビクトリアブルー(着色用染料) 0.02g
ジオキサン 9g
エタノール 1g
(露光試験)
上記のようにして作製した光硬化性感光層および親水性層を設けた試料を以下のようにして露光試験を行った。露光はアルミ印刷版に用いられる830nmレーザーを搭載したPT−R4000(大日本スクリーン製造(株)製)を使用し、この装置を用いて描画を行うために、0.24mmのアルミ板上に上記の試料をセロハンテープを用いて感光層が表面になるように張り合わせた。露光エネルギーは、フィルム表面上で60mJ/cm2程度になるように設定し、ドラム回転数1000rpmで描画を行った。テスト用画像として、2400dpi、175線相当の網点階調パターンと10〜100μm細線を出力し、後述する解像度の評価を行った。
(水現像性および解像度試験)
上記で描画を行った各試料を25℃に調節した水中に15秒間浸け、軽く表面を擦ることで未露光部を除去した。この際、現像性評価として、未露光部が完全に除去された場合を○とし、感光層残りが僅かに認められた場合を△とし、現像性が悪く明らかに残膜若しくは現像不良を生じた場合を×とした。さらに、現像性評価で○である場合についてのみ、解像度の評価を行い、10μm細線および1%網点が明瞭に再現されている場合を○とし、これらが部分的に欠落しているが、20μm以上の細線および2%以上の網点が明瞭に再現されている場合を△、これ以下の再現性である場合を×とした。
(印刷性試験)
印刷機として、オフセット枚葉印刷機リョービ560を使用し、印刷インキは大日本インキ化学工業(株)製ニューチャンピオンFグロス紅を使用し、給湿液は市販のPS版用給湿液トーホーエッチ液を1%に希釈して使用した。印刷枚数は3万枚まで実施し、印刷評価項目として、耐刷性についてテスト画像中の微小網点および細線が欠落し始めるまでの刷り枚数を以て評価を行った。実用的な耐刷性の目標は1万枚であり、これ以上の耐刷性を有する場合を実用上可と判定した。保水性評価として、網点のからみ具合を評価した。網がらみに関して、175線70%網部のからみを目視評価し、3万枚の印刷を通して網がらみが無い場合を○とし、印刷中に僅かに網がらみが発生した場合を△、終始顕著に網がらみが認められた場合を×とした。この場合、実用上の観点からは、△レベルを実用上の下限とし、△および○の評価であった場合を実用上可と判定した。汚れ回復性評価として、給湿液を絞り版の全面をインキで覆った状態で停機して一時間放置し、その後給湿液を通常印刷を行う設定に戻して印刷を開始した場合の汚れ回復性を評価した。この際、刷り枚数50枚以下で地汚れが消失した場合を○とし、50枚以上100枚以下であった場合を△、100枚以上であった場合を×とした。この場合においても、実用上の観点からは、△レベルを実用上の下限とし、△および○の評価であった場合を実用上可と判定した。
(印刷機上現像性試験)
上記の印刷評価とは別に、同じ印刷機、インキおよび給湿液を使用して、印刷開始時にインキ供給をゼロにし、版に水ローラーをつけて給湿液を版面に十分に供給した状態から印刷を開始し、印刷物上で地汚れのない正常な印刷物が刷り初めから50枚以下で得られた場合に○とし、50枚以上200枚以下である場合を△、200枚以上であった場合を×とした。
以上の様にして評価を行った結果を表5にまとめた。
Figure 0005255222
表5に見られるように、比較材料2を除く本発明の何れの感光性平版印刷版材料においても2万枚から3万枚の良好な耐刷性を示すと共に、良好な水現像性、保水性、解像度および機上現像性を示す結果であった。
(比較感光性平版印刷版材料3〜10)
上記実施例の比較として、平版印刷版用支持体9に用いた水溶性ポリマーに替えて表6に示す共重合体組成の水溶性ポリマーを使用した以外は平版印刷版用支持体9と同様にして親水性層を塗布した比較支持体3〜10を作製し、さらに先の感光性平版印刷版材料9と同一の光硬化性感光層を塗布して比較感光性平版印刷版材料3〜10を作製し、同様に評価を行った。結果を表7にまとめた。この結果、比較感光性平版印刷版材料3〜10は特に汚れ回復性が不十分であった。
Figure 0005255222
Figure 0005255222
(感光性平版印刷版材料17)
平版印刷版用支持体1で使用した合成例1のでんぷんグラフト水溶性ポリマーに替えて、ヒドロキシプロピルセルロースとアクリルアミドおよびアクリル酸を合成例1と同一の比率で含むグラフトポリマーを使用した以外は、平版印刷版用支持体1と全く同様にして親水性層を塗布した平版印刷版用支持体17を作製し、さらに感光性平版印刷版材料9と同一の光硬化性感光層を塗布して感光性平版印刷版材料17を作製し、同様に評価を行った。評価結果は、感光性平版印刷版材料9と同様の良好な結果を得た。
(平版印刷版支持体18)
インクジェット記録方式を利用した平版印刷版の製造方法について試験を行った。
(親水性層)
先の実施例で使用した厚み100μmのポリエステルフィルムを使用して、この上に下記の処方で示される親水性層を形成して平版印刷版用支持体18を作製した。親水性層の塗布量は乾燥質量で1平方メートル当たり2gになるようにワイヤーバーを使用して塗布を行った。乾燥は80℃の乾燥機で20分間加熱して乾燥を行った。
(親水性層塗液処方)
水溶性ポリマー(合成例1)溶液(10%濃度) 10g
コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製スノーテックスS:球状シリカ)
(20%溶液) 20g
架橋剤(化1中E−3) 0.1g
純水 10g
インクジェット方式の市販プリンターを用いて上記平版印刷版用支持体18上に画像様にインキ画像を形成した。インキとしては、エチレングリコールジメタクリレート100質量部とジエトキシアセトフェノン5質量部の組成を有するものを用いた。形成されたインキ画像上から、5kWのキセノン灯を、20cmの距離から5分間照射し、インキ画像を硬化させて画像層を形成した。これにより平版印刷版を得た。平版印刷版用材料9と同様に印刷性試験を行い、2万枚の良好な耐刷性と網がらみが無く、汚れ回復性の良好な結果を得た。
(平版印刷版支持体19)
感熱転写方式を利用した平版印刷版の製造方法について試験を行った。
(親水性層)
上記と同様に厚み100μmのポリエステルフィルムを使用して、この上に下記の処方で示される親水性層を形成して平版印刷版用支持体19を作製した。親水性層の塗布量は乾燥質量で1平方メートル当たり2gになるようにワイヤーバーを使用して塗布を行った。乾燥は80℃の乾燥機で20分間加熱して乾燥を行った。
(親水性層塗液処方)
水溶性ポリマー(合成例3)溶液(10%濃度) 20g
コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製スノーテックス20:球状シリカ)
(20%溶液) 10g
架橋剤(化2中E−4) 0.2g
純水 10g
厚さ3μmのポリエステルフィルムの一面にエチレン/酢酸ビニル共重合体とカーボンブラックからなる感熱転写層を層厚2μmにて形成し、感熱転写シートを得た。次に、上記平版印刷版用支持体17と感熱転写シートの感熱転写層が密着するように重ねて、感熱プリンターに装着し、プリンターを作動させサーマルヘッドが作動し、感熱転写シートが部分的に加熱されて、該平版印刷版用支持体19上に感熱転写層が転写され、画像様の親油性層を形成した。これにより平版印刷版を得た。平版印刷版用材料9〜16と同様に印刷性試験を行い、2万枚の良好な耐刷性と網がらみが無く、汚れ回復性の良好な結果を得た。
(平版印刷版支持体20〜25および比較支持体11〜14)
下記親水性層塗液処方において、架橋剤の有無およびコロイダルシリカとでんぷんグラフト水溶性ポリマーの比率を変えて平版印刷版用支持体9と同様に平版印刷版用支持体20〜25を作製し試験を行った。比較支持体11〜14としては、下記の親水性層塗液処方におけるでんぷんグラフト水溶性ポリマーに替えて、前述の比較支持体3で使用した表6中のアクリルアミド/アクリル酸(80/20)共重合体の10%水溶液を同様に使用して比較支持体11〜14を作製した。親水性層の塗布量は乾燥質量で1平方メートル当たり5gになるようにワイヤーバーを使用して塗布を行った。乾燥は80℃の乾燥機で20分間加熱して乾燥を行った。
(親水性層塗液処方)
でんぷんグラフト水溶性ポリマー(合成例1)溶液(10%濃度)
表8中X(g)
コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製スノーテックス20)
(20%溶液) 表8中Y(g)
架橋剤 表8
純水 10g
Figure 0005255222
先の平版印刷版支持体18と同様にインクジェット記録方式を利用した平版印刷版の製造方法について試験を行った。インクジェット方式の市販プリンターを用いて上記平版印刷版用支持体20〜25および比較支持体11〜14上に画像様にインキ画像を形成した。インキとしては、エチレングリコールジメタクリレート100質量部とジエトキシアセトフェノン5質量部の組成を有するものを用いた。形成されたインキ画像上から、5kWのキセノン灯を、20cmの距離から5分間照射し、インキ画像を硬化させて画像層を形成した。これにより平版印刷版を得た。平版印刷版用材料9〜16と同様に印刷性試験を行い、表9に示す結果を得た。平版印刷版支持体20〜25は網がらみおよび汚れ回復性に於いて実用上は可である結果を示したのに対し、比較支持体11〜14は汚れ回復性において不十分な結果を示した。
Figure 0005255222
本発明により、プラスチックフィルムを基体とする表面が親水性であるプラスチックシートが与えられることから、各種印刷版および印刷用シートとして利用できる。インクジェット記録媒体、感熱記録媒体としての利用も可能である。

Claims (1)

  1. プラスチックフィルム基体上に、水溶性でんぷんまたは水溶性セルロース誘導体に下記一般式Iで示されるポリマーをグラフト重合させて得られる水溶性ポリマーを含む親水性層を有する平版印刷版用支持体。
    Figure 0005255222
    (上式に於いて、Xは共重合体組成中に占める繰り返し単位の質量%を表し、1から40までの任意の数値を表す。繰り返し単位Aは反応性基としてカルボキシル基、アミノ基、水酸基、アセトアセトキシ基から選ばれる基を有する繰り返し単位を表す。繰り返し単位Bはアクリルアミドおよび/またはスチレンスルホン酸塩からなる繰り返し単位である。)
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