JP2008250198A - 感光性平版印刷版材料およびその処理方法 - Google Patents

感光性平版印刷版材料およびその処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アルカリ性現像液により現像が可能なプラスチックフィルムを支持体とする感光性平版印刷版材料に関し、特にCTP方式を利用し、保水性が良好で指紋汚れの起こりにくい感光性平版印刷版材料および現像方法を提供すること。
【解決手段】プラスチックフィルム支持体上に、水溶性ポリマーおよび架橋剤とコロイダルシリカを含む親水性層を設け、さらにその上に、カルボキシル基と、ヘテロ環を介してビニル基が結合したフェニル基の両方を側鎖に有する重合体、光重合開始剤およびそれを増感する化合物を含んでなる光硬化性感光層を有する積層構造からなることを特徴とするアルカリ現像液で現像可能な感光性平版印刷版材料を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明はアルカリ性現像液により現像が可能なプラスチックフィルムを支持体とする感光性平版印刷版材料に関し、特にコンピューター・トゥー・プレート(CTP)方式により画像形成が可能な印刷版材料に関する。更に詳しくは、750〜1100nmもしくは400〜430nm付近に発光する半導体レーザー等の光源を利用する走査露光装置を用いてアルカリ現像液により画像形成可能な感光性平版印刷版材料およびその処理方法に関する。
近年、コンピューター上で作製したデジタルデータをもとにフィルム上に出力せずに直接印刷版上に出力するコンピュータートゥープレート(CTP)技術が開発され、出力機として種々のレーザーを搭載した各種プレートセッターとこれらに適合する感光性平版印刷版材料の開発が盛んに行われている。
平版印刷版材料用支持体としては、PS版等のように粗面化処理され、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム板が広く用いられているが、他方で紙やフィルムを支持体とし、ハロゲン化銀を用いた銀塩拡散転写方式(DTR法)を利用した平版印刷版、特にハロゲン化銀乳剤層の上に物理現像核を有する平版印刷版として、例えば米国特許第3、728、114号、同第4,134,769号、同第4,160,670号、同第4,336,321号、同第4,501,811号、同第4,510,228号、同第4,621,041号公報等に記載されるような印刷版が広く用いられている。これらの平版印刷版において、露光されたハロゲン化銀結晶は、DTR現像により化学現像され黒色の銀を形成し親水性の非画像部を形成し、一方、未露光のハロゲン化銀結晶は現像液中の銀塩錯化剤により銀塩錯体となって表面の物理現像核に拡散し、物理現像を生起してインク受容性の物理現像銀を主体とする画像部を形成する。こうしたフィルムのようにフレキシブルな支持体を用いた平版印刷版は、アルミ支持体の場合と比較して、安価でかつ取り扱いが容易であり、特にCTP方式を利用した製版システムにおいては、露光装置としてのレーザーイメージセッターがコンパクトになり、例えばロール状の平版印刷版材料として極めてコンパクトに装置内に収納できるため好んで使用されている。
しかしながら、上記のようなフレキシブルな支持体を用いる平版印刷版材料は、PS版などのアルミニウム支持体の場合と比較して、印刷時に於ける非画像部の保水性に劣り、地汚れが起こりやすく、また、画像部の耐刷性にも問題があるため、もっぱら少部数から中部数程度の限られた印刷条件で使用されることが多いのが現状である。
フレキシブルな支持体を利用した平版印刷版材料の他の例として、例えば、特開平10−305669号公報(特許文献1)には、表面親水化処理した微粒子を含む親水性膨潤層を支持体上に形成し、この親水性膨潤層中に公知の紫外線硬化樹脂を含有若しくは含浸させて感光性平版印刷版材料を作製する方法が開示されている。この方法では、未露光部に存在する感光性化合物が除去されがたく、地汚れの原因になる。また、露光部に於いては親水性膨潤層に埋没した形で親油性部分が形成されることから、表面のインキ受容性に乏しくインキ着肉不良をきたし、印刷濃度が上がらない問題があった。また、親水性膨潤層中に含まれる水溶性若しくは水膨潤性ポリマーの親水性が必ずしも十分でなく、本質的に地汚れの発生しやすい系であることが問題であった。
或いはまた、特開2002−79772号公報(特許文献2)には、プラスチックフィルム支持体上の親水性層上に熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセルを含有する感熱層を積層した感熱性平版印刷版材料が開示されている。ここで用いられる親水性層に含まれる成分には、公知の水溶性ポリマーを架橋剤により架橋した成分や、ゾルーゲル変換を利用した無機親水性マトリックスが成分として開示されている。感熱性平版印刷版材料として機能する原理は、レーザー光照射等により画像様露光を行った際に、マイクロカプセル中に含有される熱反応性化合物が、熱によってマイクロカプセル外へ拡散し固化することで親油性画像部を形成するものである。しかしながら、未露光部において感熱層が必ずしも完全に除去されず、親水性層表面が感熱層に汚染されるため地汚れが発生しやすい問題があった。
特開平7−191457号公報(特許文献3)、特開平7−325394号公報、特開平10−3166号公報等には、親水性層の上に光重合性感光層を設け、露光後に受容体シートを密着させて未露光部を受容体シート上に転写させることで親水性層の上に硬化した感光層からなる画像を形成する方法が開示されている。この方式では、微細なシャドー部網点部分などの除去が困難であり、また親水性層上の感光層の除去が不十分になり地汚れが発生しやすいことが欠点としてあげられる。
特許第3654422号公報(特許文献4)には、親水性表面を有するフィルム支持体若しくはアルミニウム支持体上に、感光層を設けた感光性平版印刷版材料が開示されている。該感光層中には、アルカリ現像可能な感光性組成物として、側鎖にフェニル基を介してビニル基が結合したカルボキシル基を有するポリマーを用いる系が開示されている。アルミニウム支持体を用いた場合には保水性および耐刷性が良好な印刷版が作製できることが開示されているが、しかしながら、こうした感光性組成物を公知のフィルム支持体および種々の公知の親水性層を設けたフィルム支持体上に形成しても、アルカリ現像の際に、感光層或いは親水性層が剥離若しくは溶解し、画像形成が困難であることが判明した。さらに、公知の種々の親水性層を利用しても、十分な保水性が得難く、地汚れの問題が残されていた。また、アルカリ現像により画像の接着が弱いため細線や網点の再現性に問題が生じ、解像度の低下が問題であった。
特開平10−305669号公報 特開2002−79772号公報 特開平7−191457号公報 特許第3654422号公報
本発明の目的は、本発明はアルカリ性現像液により現像が可能なプラスチックフィルムを支持体とする感光性平版印刷版材料に関し、特にコンピューター・トゥー・プレート(CTP)方式を利用し、解像度が良好で耐刷性に優れ、保水性が良好で地汚れの起こりにくい感光性平版印刷版材料およびその処理方法を提供することである。
本発明の上記目的は、プラスチックフィルム支持体上に、水溶性ポリマーおよび架橋剤とコロイダルシリカを含む親水性層を設け、さらにその上に、カルボキシル基と、ヘテロ環を介してビニル基が結合したフェニル基の両方を側鎖に有する重合体、光重合開始剤およびそれを増感する化合物を含んでなる光硬化性感光層を有する積層構造からなることを特徴とするアルカリ現像液で現像可能な感光性平版印刷版材料を用いることで達成される。
本発明により、解像度が良好で耐刷性に優れ、保水性が良好で地汚れの起こりにくい、プラスチックフィルムを支持体とする感光性平版印刷版材料が与えられる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に関わる感光性平版印刷版材料はプラスチックフィルム支持体上に、水溶性ポリマーおよび架橋剤とコロイダルシリカを含む親水性層を設け、さらにその上に、カルボキシル基と、ヘテロ環を介してビニル基が結合したフェニル基の両方を側鎖に有する重合体、光重合開始剤およびそれを増感する化合物を含んでなる光硬化性感光層を有する積層構造からなることを特徴とする。支持体としては、後述するように従来から用いられるプラスチックフィルム支持体が好ましく用いられ、この上に水溶性ポリマーおよび架橋剤とコロイダルシリカを含む親水性層が設けられていることが特徴である。
本発明で用いられるコロイダルシリカを含む親水性層について説明する。ここで言うコロイダルシリカとは、光散乱方式粒度分布計で計測される平均粒子径が5〜200nmである球状、針状、不定形あるいは、球状粒子が連なって出来るネックレス状などの種々の形状、粒子径のシリカ粒子であることが好ましく、水中に安定的に分散したシリカゾルが好ましく用いられる。こうした素材は、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスの商品名で各種のコロイダルシリカが提供されており、球状のシリカゾルとしてスノーテックスXS(粒子径4〜6nm)、スノーテックスS(粒子径8〜11nm)、スノーテックス20(粒子径10〜20nm)、スノーテックスXL(粒子径40〜60nm)、スノーテックスYL(粒子径50〜80nm)、スノーテックスZL(粒子径70〜100nm)、スノーテックスMP−2040(粒子径200nm)および表面のナトリウム塩を除去した酸性タイプのシリカゾルとしてスノーテックスOXS、OS等が好ましく使用できる。針状あるいは不定形のシリカゾルとして、例えばスノーテックスUP、OUPや触媒化成工業(株)から出されているファインカタロイドF−120等が挙げられる。ネックレス状のシリカゾルとして、スノーテックスPS−S(粒子径80〜120nm),PS−M(粒子径80〜150nm)およびこれらの酸性タイプであるPS−SOおよびPS−MO等が挙げられる。
親水性層に含まれるこうしたコロイダルシリカは、各々の種類のコロイダルシリカを単独で使用しても良いが、或いは異なる種類のコロイダルシリカを種々の割合で混合して用いても良い。
親水性層の乾燥塗布量に関しては好ましい範囲が存在し、支持体上に乾燥質量で1平方メートルあたり0.5gから20gの範囲で形成することが好ましく、この範囲より少ない場合には印刷時に地汚れが発生し易くな瑠場合がある。また1平方メートル20gを越えて塗設した場合には、塗膜にひび割れが発生しやすくなる場合がある。最も好ましい範囲は1平方メートルあたり1gから10gの範囲である。
親水性層には上記のコロイダルシリカ以外に他の無機微粒子を添加することも好ましく行われる。μmサイズの多孔質シリカ微粒子として例えば、富士シリシア化学(株)から得られる各種グレードのサイリシアの添加により親水性の向上や親水性層のブロッキング防止などの好ましい効果が得られる。或いは、ゼオライトとして知られる結晶性アルミノケイ酸塩、層状粘土鉱物微粒子としてスメクタイト(モンモリロナイト等)やタルク等を添加することによっても同様な好ましい効果が得られる。これらの多孔質シリカ微粒子やゼオライト或いは層状粘土鉱物微粒子を添加して用いる場合には、コロイダルシリカとの好ましい比率が存在し、コロイダルシリカ100質量部に対し1から10質量部である。これ以下の添加量では効果が認めがたく、また10質量部を越えて添加した場合には、塗膜の平滑性が損なわれて画質が低下する場合がある。
本発明に於いては、親水性層には、水溶性ポリマーと架橋剤を含むことが必要である。水溶性ポリマーとしては、上記の種々のコロイダルシリカと混合した際に、コロイダルシリカの凝集を引き起こさず、均一な分散状態を保つ系が好ましく、さらには、塗膜を形成した際にも、コロイダルシリカと該水溶性ポリマーが相分離を起こさず、均一な皮膜を形成し、多孔質構造を生起しない系が最も好ましい。
本発明に於いて使用できる水溶性ポリマーの例としては、後述する本発明で好ましく使用できる公知の種々の架橋剤で架橋可能な公知の水溶性ポリマーを用いることが出来る。こうした例としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の水酸基を有する水溶性ポリマーや、ポリアクリル酸、ポリスチレン−マレイン酸共重合体、ポリ酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、カルボキシメチルセルロース等のカルボキシル基を有する水溶性ポリマー、及びポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等のアミノ基を有する水溶性ポリマー等を挙げることが出来る。
さらには、本発明で用いることの出来る最も好ましい水溶性ポリマーとしては、下記一般式Iで示されるポリマーが挙げられる。
Figure 2008250198
上式に於いて、Xは共重合体組成中に占める繰り返し単位の質量%を表し、1から40までの任意の数値を表す。繰り返し単位Aは反応性基としてカルボキシル基、アミノ基、水酸基、アセトアセトキシ基から選ばれる基を有する繰り返し単位である。繰り返し単位Bは共重合体を水溶性にするために必要な親水性基を有する繰り返し単位である。
上記一般式Iで示される水溶性ポリマーは後述する架橋剤との間で効率的に架橋反応が進行するための反応性基を分子内に含むことが重要である。こうした反応性基として特に好ましい例は、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、アセトアセトキシ基が挙げられる。これらの反応性基を分子内に有する水溶性ポリマーを得るには、反応性基を有する各種モノマーを共重合する形で組み込むことが好ましく行われる。上記一般式Iで示す繰り返し単位Aに対応するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシエチルアクリレート、2−カルボキシエチルメタクリレート、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、桂皮酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン、アクリルアミド−N−グリコール酸等のカルボキシル基含有モノマー及びこれらの塩、アリルアミン、ジアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、3−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、4−アミノスチレン、4−アミノメチルスチレン、N,N−ジメチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン、N,N−ジエチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン等のアミノ基含有モノマー、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール等の含窒素複素環含有モノマー、N−メチロールアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類およびアセトアセトキシメタクリレート等が挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。
上記一般式Iにおいて、繰り返し単位Aの共重合体中に於ける割合であるXは1から40までの範囲にあることが好ましく、この範囲以下では架橋反応が進行しても耐水性が発揮できず、この範囲以上であれば、下記の水溶性を付与するための繰り返し単位Bの導入による効果が薄れ、親水性層の水に対する親和性が低下する場合がある。
更に、一般式Iにおける繰り返し単位Bを与えるためのモノマーとしては、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー及びこれらの塩、ビニルホスホン酸等のリン酸基含有モノマー及びこれらの塩、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、アクリル酸−2−(トリメチルアンモニウム)エチルエステル、メタクリル酸−2−(トリメチルアンモニウム)エチルエステル、アクリル酸−2−(トリエチルアンモニウム)エチルエステル、メタクリル酸−2−(トリエチルアンモニウム)エチルエステル、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリメチル−N−(4−ビニルベンジル)アンモニウムクロライド等のの4級アンモニウム塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、メタクリル酸メトキシジエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキシ基含有(メタ)アクリレート類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これら水溶性モノマーは繰り返し単位Bを構成するために1種で用いても良いし、任意の2種類以上を用いても良い。本発明に於ける好ましい水溶性ポリマーの例を下記に示す。
Figure 2008250198
Figure 2008250198
こうした水溶性ポリマーを用いる場合には、コロイダルシリカとの好ましい比率が存在し、水溶性ポリマーとコロイダルシリカの質量比は1:1〜1:3の範囲が好ましい。水溶性ポリマーがコロイダルシリカより1:1の比率を越えて親水性層に含まれる場合、後述する光硬化性感光層との接着性が低下し、印刷時に於いて耐刷性が低下する場合がある。また、水溶性ポリマーのコロイダルシリカに対する比が1:3以下である場合には、光硬化性感光層との接着性は良好で耐刷性も十分であるが、コロイダルシリカ粒子間隙に感光層成分が吸着することで残膜が発生しやすくなり、地汚れが発生しやすくなる場合がある。水溶性ポリマーは後述する架橋剤により架橋耐水化されていることが本発明の特徴であり、架橋して耐水化された該水溶性ポリマーを上記の割合で含むことで良好な保水性および地汚れ防止が達成されたものである。
本発明に関わる親水性層に添加し、上記水溶性ポリマーを架橋するための架橋剤としては、公知の種々の化合物が挙げられる。具体的にはエポキシ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物およびその誘導体、ホルマリン等のアルデヒド化合物およびメチロール化合物、ヒドラジド化合物などが好ましい例として挙げられる。以下、こうした架橋剤の具体的な例を化学式を添えて説明する。これらの内で特にエポキシ化合物がアルカリ現像液に対して最も耐水性の高い親水性層を形成するため、好ましい例として挙げられる。
エポキシ化合物としては分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物で、水溶性であるものが好ましく使用される。こうしたエポキシ化合物は中性から弱酸性条件では水中でも比較的安定であり、親水性層を形成するための塗工液を作製した場合に、塗液寿命が長く連続した生産において極めて有利であり好ましい。好ましいエポキシ化合物の例を下記に示す。
Figure 2008250198
上記のようなエポキシ化合物と該水溶性ポリマーとの間で効率的に架橋反応が進行するためには、該水溶性ポリマー中に含まれる反応性基としては、カルボキシル基やアミノ基が特に好ましい。
アジリジン化合物として好ましい化合物の例を下記に示す。こうしたアジリジン化合物と該水溶性ポリマーとの間で効率的に架橋反応が進行するためには、該水溶性ポリマー中に含まれる反応性基としては、カルボキシル基が特に好ましい。
Figure 2008250198
オキサゾリン化合物としては、置換基として下記一般式で示す基を分子内に2個以上含む化合物が好ましく、市販される各種化合物として例えば、(株)日本触媒から「エポクロス」の商品名で提供される各種グレードの化合物が好ましく使用される。こうしたオキサゾリン化合物と該水溶性ポリマーとの間で効率的に架橋反応が進行するためには、該水溶性ポリマー中に含まれる反応性基としては、カルボキシル基が特に好ましい。
Figure 2008250198
イソシアネート化合物としては、水中で安定である化合物が好ましく、いわゆる自己乳化性イソシアネート化合物や、ブロックイソシアネート化合物が好ましく使用される。自己乳化性イソシアネート化合物としては、例えば、特公昭55−7472号公報(米国特許第3,996,154号)、特開平5−222150号公報(米国特許第5,252,696号)、特開平9−71720号、特開平9−328654号、特開平10−60073号公報の明細書等に記載されるような自己乳化性イソシアネートを指す。具体的には、例えば、脂肪族あるいは脂環族ジイソシアネートから形成される環状三量体骨格のイソシアヌレート構造を分子内に有するポリイソシアネートや、ビュレット構造、ウレタン構造等を分子内に有するポリイソシアネートをベースポリイソシアネートとし、これに片末端エーテル化したポリエチレングリコール等をポリイソシアネート基の内一部のみに付加させて得られる構造のポリイソシアネート化合物が極めて好ましい例として挙げられる。こうした構造のイソシアネート化合物の合成法については上記の明細書中に記載されている。こうしたイソシアネート化合物の具体的な例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート等を出発原料とした環状三量化によるポリイソシアネートをベースポリイソシアネートとしたものが市販されており、例えば、旭化成工業株式会社からデユラネートWB40或いはWX1741等の名称で入手可能である。ブロックイソシアネート化合物としては、例えば特開平4−184335号、特開平6−175252号公報の明細書等に見られるように、重亜硫酸塩、アルコール類、ラクタム類、オキシム類、活性メチレン類などでブロックされたブロックイソシアネートが好ましく用いられる。こうしたイソシアネート化合物と該水溶性ポリマーとの間で効率的に架橋反応が進行するためには、該水溶性ポリマー中に含まれる反応性基としては、水酸基やアミノ基が特に好ましい。
ホルムアルデヒド等のアルデヒド化合物およびメチロール化合物の例としては、ホルムアルデヒド、グリオキザール、および下記に示すような種々のN−メチロール化合物を例示することが出来る。こうした化合物と該水溶性ポリマーとの間で効率的に架橋反応が進行するためには、該水溶性ポリマー中に含まれる反応性基としては、水酸基やアミノ基が特に好ましい。
Figure 2008250198
ヒドラジド化合物として好ましく使用できる化合物の例を下記に示す。こうしたヒドラジド化合物と該水溶性ポリマーとの間で効率的に架橋反応が進行するためには、該水溶性ポリマー中に含まれる反応性基としては、アセトアセトキシ基のような活性メチレン基が特に好ましい。
Figure 2008250198
上記のような種々の架橋剤と該水溶性ポリマーとの比率に関しては好ましい範囲が存在する。該水溶性ポリマー100質量部に対して架橋剤は1〜40質量部の範囲で用いることが好ましく、1質量部以下では印刷中に親水性層の剥離が生じる場合がある。逆に40質量部以上用いた場合には、地汚れが発生する場合がある。
親水性層を形成する支持体としては各種プラスチックフィルムが好ましく使用できる。好ましいプラスチックフィルム支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、硝酸セルロースなどが代表的に挙げられ、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく用いられる。これらのフィルムは親水性層を設ける前に、表面に親水化加工が施されていることが好ましく、こうした親水化加工としては、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。さらなる親水化加工として基材上に設ける親水性層との接着性を高めるため基材上に下引き層を設けても良い。下引き層としては、親水性樹脂を主成分とする層が有効である。親水性樹脂としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体(例えば、フタル化ゼラチン)、ヒドロキエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、キサンタン、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の水溶性樹脂が好ましい。特に好ましくは、ゼラチン、ポリビニルアルコールが挙げられる。こうした下引き層を介してフィルム支持体と親水性層を形成することで、多部数にわたるロングラン印刷条件での耐刷性が向上するため好ましく利用される。
本発明に関わる光硬化性感光層にはカルボン酸基と、ヘテロ環を介してビニル基が結合したフェニル基の両方を側鎖に有する重合体を含む。該ヘテロ環を介してビニル基が結合したフェニル基とは、下記一般式IIで表される基を側鎖に有するものである。
Figure 2008250198
式中、Zはヘテロ環を有する連結基を表し、R1、R2、及びR3は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等であり、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていても良い。R4は水素原子と置換可能な基または原子を表す。nは0または1を表し、mは0〜4の整数を表し、kは1〜4の整数を表す。上記ヘテロ環基としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、更にこれらの複素環には置換基が結合していても良い。一般式IIで表される基の例を以下に示すが、これらの例に限定されるものではない。
Figure 2008250198
Figure 2008250198
上記一般式IIで表される基の中には好ましいものが存在する。即ち、R1及びR2が水素原子でR3が水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)であるものが好ましい。更に、複素環基としてはチアジアゾール環を含むものが好ましく、kは1または2であるものが好ましい。
該重合体としては、アルカリ性水溶液に可溶性を有することが好ましく、そのためにカルボキシル基含有モノマーを共重合成分として含む重合体であることが特に好ましい。こ質量%中に於いて一般式IIで示される基は1質量%以上95質量%以下であることが好ましく、これ以下の割合ではその導入の効果が認められない場合がある。また、95質量%以上含まれる場合に於いては、共重合体がアルカリ水溶液に溶解しない場合がある。さらに、共重合体中に於けるカルボキシル基含有モノマーの割合は同じく5質量%以上99質量%以下であることが好ましく、これ以下の割合では共重合体がアルカリ水溶液に溶解しない場合がある。
上記のカルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸2−カルボキシエチルエステル、メタクリル酸2−カルボキシエチルエステル、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン等のような例が挙げられる。
上記重合体の分子量に関しては好ましい範囲が存在し、重量平均分子量で5000から20万の範囲が好ましく、これ以下の分子量では耐刷性が不十分である場合がある。また20万を越える分子量では塗布する際の塗液粘度が高くなりすぎ、均一な塗布が困難になる場合がある。最も好ましい分子量範囲は1万から10万の間である。
上記重合体組成中には、目的に応じて上記のカルボン酸基およびヘテロ環を介してビニル基が結合したフェニル基を有する繰り返し単位以外にも種々の繰り返し単位を導入することが出来る。例えば、親水性モノマーとして、ビニルスルホン酸およびその塩、アリルスルホン酸およびその塩、メタリルスルホン酸およびその塩、スチレンスルホン酸およびその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩等のスルホン酸基を有するモノマー類、ビニルホスホン酸等のリン酸基含有モノマー及びこれらの塩、アリルアミン、ジアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、3−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、4−アミノスチレン、4−アミノメチルスチレン、N,N−ジメチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン、N,N−ジエチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン等のアミノ基含有モノマー及びこれらの4級アンモニウム塩、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環含有モノマー及びこれらの4級アンモニウム塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、メタクリル酸メトキシジエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキシ基含有(メタ)アクリレート類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これら水溶性モノマーは1種で用いても良いし、任意の2種類以上を用いても良い。
或いは、疎水性モノマーとして、スチレン、4−メチルスチレン、4−アセトキシスチレン、4−クロロメチルスチレン、4−メトキシスチレン等のスチレン誘導体、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のアリール(メタ)アクリレート類またはアリールアルキル(メタ)アクリレート類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フェニルマレイミド、ヒドロキシフェニルマレイミド、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、その他、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート等各種モノマーを挙げることができる。これらの任意の組み合わせで構成される、該スルホン酸基とビニル基を同時に繰り返し単位に含む共重合体を本発明における重合体として使用することができる。こうした該カルボキシル基と一般式II以外の繰り返し単位を該重合体に含む場合、該重合体中に於ける割合は全体の50質量%以下に留めることが好ましく、これ以上の割合で導入した場合には本発明の目的とする地汚れ防止と耐刷性の両立に支障を来す場合があり好ましくない。
本発明に於ける好ましい重合体の例を以下に示すが、これらの例に限定されるものではない。式中、数字は各繰り返し単位の重合体中に於ける質量%を表す。これらの重合体の合成方法に関しては、例えば特許第3654422号公報(特許文献4)中に記載される合成例と同様な方法により容易に合成される。
Figure 2008250198
Figure 2008250198
本発明に関わる該光硬化性感光層には、該重合体と併せて、光重合開始剤を含有する。本発明に用いられる光重合開始剤としては、光または電子線の照射によりラジカルを発生し得る化合物であれば任意の化合物を用いることができる。
本発明に用いることのできる光重合開始剤の例としては(a)芳香族ケトン類、(b)芳香族オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(e)ケトオキシムエステル化合物、(f)アジニウム化合物、(g)活性エステル化合物、(h)メタロセン化合物、(i)トリハロアルキル置換化合物、及び(j)有機ホウ素化合物等が挙げられる。
(a)芳香族ケトン類の好ましい例としては、”RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY”J.P.FOUASSIER,J.F.RABEK(1993)、P.77〜P.177に記載のベンゾフェノン骨格、或いはチオキサントン骨格を有する化合物、特公昭47−6416号公報に記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報に記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報に記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報に記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報に記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報に記載のジアルコキシベンゾフェノン類、特公昭60−26403号、特開昭62−81345号公報に記載のベンゾインエーテル類、特開平2−211452号公報に記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報に記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報に記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報に記載のアシルホスフィン類、特公昭63−61950号公報に記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報に記載のクマリン類を挙げることができる。
(b)芳香族オニウム塩の例としては、N、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、TeまたはIの芳香族オニウム塩が含まれる。このような芳香族オニウム塩は、特公昭52−14277号、同昭52−14278号、同昭52−14279号公報等に例示されている化合物を挙げることができる。
(c)有機過酸化物の例としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、例えば、3,3′,4,4′−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(tert−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(tert−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(tert−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−tert−ブチルジパーオキシイソフタレート等の過酸化エステル系が好ましい。
(d)ヘキサアリールビイミダゾールの例としては、特公昭45−37377号、同昭44−86516号公報に記載のロフィンダイマー類、例えば2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,o′−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−トリフルオロメチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
(e)ケトオキシムエステルの例としては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
(f)アジニウム塩化合物の例としては、特開昭63−138345号、同昭63−142345号、同昭63−142346号、同昭63−143537号、特公昭46−42363号公報等に記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
(g)活性エステル化合物の例としては特公昭62−6223号公報等に記載のイミドスルホネート化合物、特公昭63−14340号、特開昭59−174831号公報等に記載の活性スルホネート類を挙げることができる。
(h)メタロセン化合物の例としては、特開昭59−152396号、同昭61−151197号、同昭63−41484号、同平2−249号、同平2−4705号公報等に記載のチタノセン化合物ならびに、特開平1−304453号、同平1−152109号公報等に記載の鉄−アレーン錯体等を挙げることができる。具体的なチタノセン化合物としては、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等を挙げることができる。
(i)トリハロアルキル置換化合物の例としては、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、米国特許第3,954,475号、同第3,987,037号、同第4,189,323号、特開昭61−151644号、同昭63−298339号、同平4−69661号、同平11−153859号公報等に記載のトリハロメチル−s−トリアジン化合物、特開昭54−74728号、同昭55−77742号、同昭60−138539号、同昭61−143748号、同平4−362644号、同平11−84649号公報等に記載の2−トリハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。また、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環或いは含窒素複素環に結合した、特開2001−290271号公報等に記載のトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
(j)有機ホウ素塩化合物の例としては、特開平8−217813号、同平9−106242号、同平9−188685号、同平9−188686号、同平9−188710号公報等に記載の有機ホウ素アンモニウム化合物、特開平6−175561号、同平6−175564号、同平6−157623号公報等に記載の有機ホウ素スルホニウム化合物及び有機ホウ素オキソスルホニウム化合物、特開平6−175553号、同平6−175554号公報等に記載の有機ホウ素ヨードニウム化合物、特開平9−188710号公報等に記載の有機ホウ素ホスホニウム化合物、特開平6−348011号、同平7−128785号、同平7−140589号、同平7−292014号、同平7−306527号公報等に記載の有機ホウ素遷移金属配位錯体化合物等が挙げられる。また、特開昭62−143044号、同平5−194619号公報等に記載の対アニオンとして有機ホウ素アニオンを含有するカチオン性色素が挙げられる。
また、本発明の光硬化性感光層を、405nm付近の紫外光に対応させる場合には、(d)ヘキサアリールビイミダゾール、(h)メタロセン化合物、(i)トリハロアルキル置換化合物、(j)有機ホウ素塩化合物が特に好ましい。
また、本発明の光硬化性感光層を750nm以上の近赤外〜赤外光に対応させる場合には(i)トリハロアルキル置換化合物、(j)有機ホウ素塩化合物が特に好ましい。
上記光重合開始剤は単独で用いても良いし、任意の2種以上の組み合わせで用いても良い。特に、(i)トリハロアルキル置換化合物と(j)有機ホウ素塩化合物を組み合わせて用いた場合には、感度が大幅に向上するために好ましい。光重合開始剤の光硬化性感光層中に占める含有量は、該重合体に対して、1〜100質量%の範囲が好ましく、更に1〜40質量%の範囲が特に好ましい。
本発明に関わる光重合開始剤については特に有機ホウ素塩が好ましく用いられる。更に好ましくは、有機ホウ素塩とトリハロアルキル置換化合物(例えばトリハロアルキル置換された含窒素複素環化合物としてs−トリアジン化合物およびオキサジアゾール誘導体、トリハロアルキルスルホニル化合物)を組み合わせて用いることである。
有機ホウ素塩を構成する有機ホウ素アニオンは、下記一般式IIIで表される。
Figure 2008250198
式中、R5、R6、R7およびR8は各々同じであっても異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらの内で、R5、R6、R7およびR8の内の一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
上記の有機ホウ素アニオンは、これと塩を形成するカチオンが同時に存在する。この場合のカチオンとしては、アルカリ金属イオン、オニウムイオン及びカチオン性増感色素が挙げられる。オニウム塩としては、アンモニウム、スルホニウム、ヨードニウムおよびホスホニウム化合物が挙げられる。アルカリ金属イオンまたはオニウム化合物と有機ホウ素アニオンとの塩を用いる場合には、別に増感色素を添加することで色素が吸収する光の波長範囲での感光性を付与することが行われる。また、カチオン性増感色素の対アニオンとして有機ホウ素アニオンを含有する場合は、該増感色素の吸収波長に応じて感光性が付与される。しかし、後者の場合は更にアルカリ金属もしくはオニウム塩の対アニオンとして有機ホウ素アニオンを併せて含有するのが好ましい。
本発明に用いられる有機ホウ素塩としては、先に示した一般式IIIで表される有機ホウ素アニオンを含む塩であり、塩を形成するカチオンとしてはアルカリ金属イオンおよびオニウム化合物が好ましく使用される。特に好ましい例は、有機ホウ素アニオンとのオニウム塩として、テトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩等のホスホニウム塩が挙げられる。特に好ましい有機ホウ素塩の例を下記に示す。
Figure 2008250198
Figure 2008250198
本発明において、有機ホウ素塩とともに用いることでさらに高感度化、硬調化が具現される光重合開始剤としてトリハロアルキル置換化合物が挙げられる。上記トリハロアルキル置換化合物とは、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体およびオキサジアゾール誘導体が挙げられ、或いは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環或いは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
トリハロアルキル置換した含窒素複素環化合物やトリハロアルキルスルホニル化合物の特に好ましい例を下記に示す。
Figure 2008250198
Figure 2008250198
本発明に関わる光硬化性感光層中には前述の光重合開始剤を増感する化合物を併せて含有する。このような化合物としては、400〜430nm付近若しくは750〜1100nmに感度のピークを有し、この波長領域に吸収を有する化合物が好ましく用いることが出来る。400〜430nm付近の感度を増大される化合物としては、特開平9−230913号、特開2001−42524号公報等に記載されるカルバゾール系化合物や、特開平8−262715号、同8−272096号、特開平9−328505号等公報に記載されるカルボメロシアニン系色素、特開平4−194857号、特開平6−295061号、特開平7−84863号、特開平8−220755号、特開平9−80750号、同9−236913号等公報に記載されるアミノベンジリデンケトン系色素、特開平4−184344号、特開平6−301208号、特開平7−271284号、特開平8−29973号公報等に記載されるクマリン色素、特開平7−225474号、同7−5685号、同7−281434号、特開平8−6245号公報などに記載されるピロメチン色素、特開平9−80751号公報などに記載されるスチリル系色素等のような各種増感剤を好ましく使用することが出来る。また上記有機ホウ素塩との組み合わせに於いては特にピリリウム系化合物またはチオピリリウム系化合物が好ましい。
750〜1100nmにおける増感色素として、シアニン、フタロシアニン、メロシアニン、クマリン、ポリフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、スクアリリウム化合物、ピリリウム化合物が挙げられ、更に、欧州特許第0,568,993号、米国特許第4,508,811号、同5,227,227号に記載の化合物も用いることができる。
好ましく用いることの出来る増感色素の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。400〜430nm付近の紫外光に対応する増感色素を下記に示す。
Figure 2008250198
Figure 2008250198
750〜1100nm付近の近赤外光に対応する増感色素を下記に示す。
Figure 2008250198
Figure 2008250198
本発明は、光硬化性感光層中に多官能性モノマーを含有することも出来る。こうした多官能性モノマーの例としては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能性アクリル系モノマー、或いは、アクリロイル基、メタクリロイル基を導入した各種重合体としてポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等も同様に使用される。
光硬化性感光層を構成する要素として、他に、画像の視認性を高める目的で種々の染料、顔料を添加することや、感光性組成物のブロッキングを防止する目的等で無機物微粒子あるいは有機物微粒子を添加することも好ましく行われる。
光硬化性感光層中には、さらに長期にわたる保存に関して、熱重合による暗所での硬化反応を防止するために重合禁止剤を添加することが好ましく行われる。こうした目的で好ましく使用される重合禁止剤としては、公知の各種フェノール化合物等が使用できる。
平版印刷版材料として使用する場合の光硬化性感光層自体の厚みに関しては、親水性層上に0.5μmから10μmの範囲の乾燥厚みで形成することが好ましく、さらに0.6μmから3μmの範囲であることが良好な解像度を発揮し、かつ耐刷性を大幅に向上させるために極めて好ましい。感光層は上述の種々の要素を混合した溶液を作製し、公知の種々の塗布方式を用いて親水性層上に塗布、乾燥される。
上記のようにして支持体上に形成された光硬化性感光層と親水性層を有する材料を印刷版として使用するためには、これに密着露光あるいはレーザー走査露光を行い、露光された部分が架橋することで水に対する溶解性が低下することから、アルカリ性現像液により未露光部を溶出することでパターン形成が行われる。
アルカリ性現像液としては、pHが10〜12の範囲にあり、本発明に係わる重合体を溶解する液で有れば特に制限は無いが、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアンモニウムハイドロキサイド等のようなアルカリ性化合物を溶解した水性現像液が良好に未露光部を選択的に溶解し、下方の親水性層表面を露出出来るため極めて好ましい。さらには、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ベンジルアルコール等の各種アルコール類をアルカリ性現像液中に添加することも好ましく行われる。現像液pHが10を下回る場合、親水性層に指紋汚れが発生したり地汚れが生じやすい場合がある。pHが12を越える場合、耐刷性が低下し、十分な印刷枚数に達しない場合がある。こうしたアルカリ性現像液を用いて現像処理を行った後に、アラビアゴム等を使用して通常のガム引きが好ましく行われる。
以下実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数や百分率は質量基準である。
(感光性平版印刷版材料1〜9)
(親水性層)
塩化ビニリデンとゼラチンをこの順に積層した下引き層を有する厚み100μmのポリエステルフィルムを使用して、この上に下記の処方および表1で示される親水性層1〜9を形成した。親水性層の塗布量は乾燥質量で1平方メートル当たり3gになるようにワイヤーバーを使用して塗布を行った。乾燥は80℃の乾燥機で20分間加熱して乾燥を行った。試料はさらに40℃の乾燥機内で3日間加熱を行った後、引き続く光硬化性感光層の塗布に給した。
(親水性層塗液処方)
水溶性ポリマー(表1)溶液(10%濃度) 10g
コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製スノーテックスS)
(20%溶液) 10g
架橋剤(表1) 0.2g
純水 10g
Figure 2008250198
(光硬化性感光層)
上記のように作製した親水性層1〜9の上に、下記光硬化性感光層塗液処方の塗布液をそれぞれ塗布し、光硬化性感光層を形成し感光性平版印刷版1〜9を作製した。光硬化性感光層の塗布厚みは乾燥厚みで1μmになるようにワイヤーバーを使用して塗布を行った。乾燥は80℃の乾燥機で10分間加熱して乾燥を行った。
(光硬化性感光層塗液処方)
ポリマー(P−1)溶液(25%濃度) 4g
光重合開始剤(BC−6) 0.1g
光重合開始剤(T−2) 0.05g
増感色素(S−38) 0.03g
ビクトリアブルー(着色用染料) 0.02g
ジオキサン 9g
エタノール 1g
(露光試験)
上記のようにして作製した感光性平版印刷版材料1〜9を用いて以下のようにして露光試験を行った。露光はアルミ印刷版に用いられる830nmレーザーを搭載したPT−R4000(大日本スクリーン製造(株)製)を使用し、この装置を用いて描画を行うために、0.24mmのアルミ板上に上記の試料をセロハンテープを用いて感光層が表面になるように張り合わせた。露光エネルギーは、フィルム表面上で100mJ/cm2程度になるように設定し、ドラム回転数1000rpmで描画を行った。テスト用画像として、2400dpi、175線相当の網点階調パターンと10〜100μm細線を出力し、後述する解像度の評価を行った。
(解像度試験)
上記で描画を行った感光性平版印刷版材料1〜9を30℃に調節した下記アルカリ現像液中に20秒間浸け、その後流水下でスポンジで軽く表面を擦ることで未露光部を除去した。現像後の印刷版について解像度の評価を行い、10μm細線および1%網点が明瞭に再現されている場合を○とし、これらが部分的に欠落しているが、20μm以上の細線および2%以上の網点が明瞭に再現されている場合を△、これ以下の再現性である場合を×とした。
(アルカリ現像液)
N−エチルエタノールアミン 37g
リン酸(85%溶液) 10g
水酸化テトラメチルアンモニウム(25%溶液) 60g
アルキルナフタレンスルホン酸Na(35%溶液) 30g
ジエチレントリアミン5酢酸 1g
水で全体を1Lに調整
pHは11.3(25℃)
(印刷性試験)
印刷機として、オフセット枚葉印刷機リョービ560を使用し、印刷インキは大日本インキ(株)製ニューチャンピオンFグロス85墨Fを使用し、湿し水は市販のPS版用給湿液トーホーエッチ液を1%に希釈して使用した。印刷枚数は3万枚まで実施し、印刷評価項目として、耐刷性についてテスト画像中の微小網点および細線が欠落し始めるまでの刷り枚数を以て評価を行った。実用的な耐刷性の目標は1万枚であり、これ以上の耐刷性を有する場合を実用上可と判定した。保水性は印刷を通して地汚れが無い場合を○とし、印刷初期或いは後期に地汚れが発生した場合を△、終始地汚れが認められた場合を×とした。この場合、実用上の観点からは、△レベルを実用上の下限とし、△および○の評価であった場合を実用上可と判定した。インキ脱離性として、印刷開始時に、湿し水を絞り全面をインキで覆った状態から刷り始め、湿し水を正常値に戻した時点からのインキ脱離性を評価した。この際、刷り枚数50枚以下で地汚れが消失した場合を○とし、50枚以上100枚以下であった場合を△、100枚以上であった場合を×とした。この場合、実用上の観点からは、△レベルを実用上の下限とし、△および○の評価であった場合を実用上可と判定した。
以上の様にして評価を行った結果を表2にまとめた。
Figure 2008250198
表2に見られるように、何れの感光性平版印刷版材料においても1万8000枚から3万枚の良好な耐刷性を示すと共に、解像度に優れ地汚れが無く、また良好な保水性およびインキ脱離性を示す結果であった。
(比較感光性平版印刷版材料1〜3)
(比較親水性層1〜3)
感光性平版印刷版材料1と同様にして塩化ビニリデンとゼラチンをこの順に積層した下引き層を有する厚み100μmのポリエステルフィルムを使用して、この上に下記の処方で示される比較親水性層1〜3を作製した。比較親水性層の塗布量は乾燥質量で1平方メートル当たり3gになるようにワイヤーバーを使用して塗布を行った。乾燥は80℃の乾燥機で20分間加熱して乾燥を行った。試料はさらに40℃の乾燥機内で3日間加熱を行った後、引き続く感光層の塗布に給した。
(比較親水性層塗液処方)
水溶性ポリマー(表3)溶液(10%濃度) 10g
コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製スノーテックスS)
(20%溶液) 10g
純水 10g
Figure 2008250198
上記のようにして作製した比較親水性層1〜3上に、感光性平版印刷版材料1と同一の光硬化性感光層塗液を塗布、乾燥することで比較感光性平版印刷版材料1〜3を作製した。感光性平版印刷版材料1と同様にして各種評価を行い、表4に示す結果を得た。
Figure 2008250198
表4に見られるように、比較感光性平版印刷版材料1および3では画像形成が出来ず、印刷評価は実施できなかった。比較感光性平版印刷版材料2においては解像度、耐刷性および保水性において満足すべき結果は得られなかった。
(比較感光性平版印刷版材料4〜6)
感光性平版印刷版材料3で用いた親水性層3の上に、光硬化性感光層塗液中のポリマーを感光性平版印刷版材料3で使用したポリマーに替えて下記に示すポリマーをそれぞれ使用した以外は全く同様にして光硬化性感光層を塗布し、比較感光性平版印刷版材料4〜6を作製した。これらについて前述のアルカリ現像液で現像を行い、同様に評価を行った結果を表5に示した。下記化学式中に於ける数値はポリマー中に於ける各繰り返し単位の質量比を表す。
Figure 2008250198
Figure 2008250198
Figure 2008250198
Figure 2008250198
表5の結果から、何れの比較印刷版においても解像度、耐刷性において満足する結果は得られなかった。
(感光性平版印刷版材料10〜12および比較感光性平版印刷版材料7、8)
感光性平版印刷版材料1と同様にして、下記親水性層塗液処方にて、コロイダルシリカと水溶性ポリマーの比率を変えて親水性層10〜12および比較親水性層7,8を作製した。
(親水性層塗液処方)
水溶性ポリマー(S−1)溶液(10%濃度) 表6中X(g)
コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製スノーテックスS)
(20%溶液) 表6中Y(g)
架橋剤(E−3) X/10g
純水 10g
感光性平版印刷版材料1で用いた光硬化性感光層塗液と同一の塗液を上記親水性層上にそれぞれ塗布を行い、各々感光性平版印刷版材料10〜12および比較感光性平版印刷版材料7,8を作製した。これらについて前述のアルカリ現像液で現像を行い、同様に評価を行った。結果を下記表7にまとめた。感光性平版印刷版材料10〜12は全て実用的に問題無い結果を与えたが、比較感光性平版印刷版材料8は画像形成できず、また比較感光性平版印刷版材料7では、保水性、インキ脱離性に劣る結果であった。
Figure 2008250198
Figure 2008250198
(感光性平版印刷版材料13)
感光性平版印刷版材料3で作製した親水性層3の上に、光硬化性感光層塗液として、増感色素を感光性平版印刷版材料3で使用したものから、化21中S−21で示す色素に替えた以外は全く同様にして光硬化性感光層を塗布し、感光性平版印刷版材料13を作製した。露光装置として、405nmに発光する青紫半導体レーザー(出力50mW)を用いて、版面露光エネルギー120μJ/cm2に設定してテストパターンを描画した。その後、同様にしてアルカリ現像および各種評価を行い、2万枚の良好な耐刷性を示すと共に、良好な保水性およびインキ脱離性を示す結果であった。

Claims (4)

  1. プラスチックフィルム支持体上に、水溶性ポリマーおよび架橋剤とコロイダルシリカを含む親水性層を設け、さらにその上に、カルボキシル基と、ヘテロ環を介してビニル基が結合したフェニル基の両方を側鎖に有する重合体、光重合開始剤およびそれを増感する化合物を含んでなる光硬化性感光層を有する積層構造からなることを特徴とする感光性平版印刷版材料。
  2. 該水溶性ポリマーが下記一般式Iで示されるポリマーである感光性平版印刷版材料。
    Figure 2008250198
    (上式に於いて、Xは共重合体組成中に占める繰り返し単位の質量%を表し、1から40までの任意の数値を表す。繰り返し単位Aは反応性基としてカルボキシル基、アミノ基、水酸基、アセトアセトキシ基から選ばれる基を有する繰り返し単位を表す。繰り返し単位Bは共重合体を水溶性にするために必要な親水性基を有する繰り返し単位である。)
  3. 該架橋剤が水溶性エポキシ化合物である請求項1または2に記載の感光性平版印刷版材料。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の感光性平版印刷材料をpHが10から12の範囲内である水性現像液で現像を行うことを特徴とする感光性平版印刷版材料の処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016204646A (ja) * 2015-04-15 2016-12-08 東ソー有機化学株式会社 水溶性共重合体及びその製造方法

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