JP5243704B2 - 力覚センサ - Google Patents
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Description
多軸力覚センサは、例えば、加えられた外力による微小な歪み(圧縮、引張り)で抵抗値が変化する歪み抵抗素子(ピエゾ抵抗素子)の性質を利用したものが知られている(例えば、特許文献1,2)。
具体的には、力覚センサ用チップは、加えられた外力が伝達される作用部の周囲に歪み抵抗素子を適宜配置して、外力による歪み抵抗素子の抵抗値の変化を電気信号として検出することで、外力の大きさや方向を検知する。一方、加えられた外力をそのまま歪み抵抗素子に伝達すると、外力が大きすぎる場合には力覚センサ用チップの破損を招くおそれがある。このため、多様な外力に適切に対応するために、減衰装置を設けて、加えられた外力を適切な大きさに減衰して力覚センサ用チップに伝達している。
このとき、半導体基板上に形成された力覚センサ用チップと金属部材で構成された減衰装置とを直接接合すると、電源リーク等の電気的な障害、および両部材の熱膨張係数の相違に基づく接合部の剥がれ、熱歪みなどの不具合が発生し検出精度に影響を及ぼすおそれがある。
陽極接合では、前記のように、ガラス板に負の電圧をかけ、相手側に正の電圧をかけて行なわれる。したがって、最初に減衰装置とガラス板とを接合する場合には、図19(a)に示すように、ガラス板100には負の電圧をかけ、減衰装置300には正の電圧をかけて陽極接合を行なう。そして、ガラス板100が接合された減衰装置300と力覚センサ用チップ200とを接合する場合には、図19(b)に示すように、接合部600のガラス板100側に負の電圧をかけるため減衰装置300には負の電圧をかけ、力覚センサ用チップ200には正の電圧をかけて陽極接合を行なっていた。
なお、この従来の陽極接合の場合には、まず減衰装置300とガラス板100とを接合して、その次にガラス板100と力覚センサ用チップ200とを接合する場合について説明したが、力覚センサ用チップ200とガラス板100とを接合してから、ガラス板100と減衰装置300とを接合することもある。
なお、このような現象は、力覚センサ用チップ200とガラス板100とを接合してから、ガラス板100と減衰装置300とを接合する場合においても同様である。
力覚センサ1000において、図19(c)に示すように、まず、減衰装置300に正の電圧をかけ、第1のガラス部材110および第2のガラス部材120に負の電圧をかけて、減衰装置300と第1のガラス部材110との接合部510および減衰装置300と第2のガラス部材120との接合部520を陽極接合により接合する。この陽極接合の場合には、第1のガラス部材110および第2のガラス部材120から減衰装置300に向かう電子の流れが発生する。なお、接合部510、520は、図19(a)における接合部500に対応する。
そして、本発明は、第2に、ガラス部材を介して力覚センサ用チップと減衰装置とを陽極接合で接合する場合の接合強度の低下を防止することのできる力覚センサを提供することを課題とする。
また、第1ガラス部材と第2ガラス部材との間の外力の伝達を遮断する不連続部を形成することで、外力の伝達ルートが単純化され、外力は力覚センサ用チップに伝達される力と減衰装置の固定部から外部に伝達される力のみとなる。このため、ガラスビームに伝達される外力による応力集中を回避することで、第1および第2のガラス部材の損傷を防止することができる。
すなわち、前記結合部材は、第1のガラス部材と第2のガラス部材を結合することで、部品点数を削減し、第1および第2のガラス部材の位置合わせを容易にするメリットを有する。
しかし、減衰装置と力覚センサ用チップの間に介在するように接合され力覚センサが完成した後は、結合部材はその役割を終了し無用の存在となる。無用の存在であるだけではなく、減衰装置の固定部から第2のガラス部材を介してガラスビームに外力の一部が印加される場合があり、このような場合には、ガラスビームに集中応力がかかって、ガラスビームや第1、第2のガラス部材に損傷を与えるおそれがある。
そこで、本発明は、第1のガラス部材と第2のガラス部材との間の外力の伝達を遮断する不連続部を形成することで、応力集中の発生を防止するとともに内部応力を開放してガラス部材の損傷を回避している。
請求項2に係る発明によれば、第1のガラス部材および第2のガラス部材を力覚センサ用チップの同じ面側に設けたことで、第1のガラス部材と第2のガラス部材とを簡単な構成で簡易に結合することができる。
このように、第1のガラス部材および第2のガラス部材を、力覚センサ用チップおよび減衰装置と陽極接合により接合した場合には、結合部材を経由して第1のガラス部材と第2のガラス部材に同じように電圧をかけることができるため、逆電圧の発生を防止して接合強度を高めることができる。
このように、第1のガラス部材と第2のガラス部材とをガラス部材で結合することで、全体として均質な部材で構成することができるため、熱伝導係数や電気伝導度等の物理特性が一致し、熱歪み等による変形の際の内部応力を低減し、陽極接合をする場合にもイオンの流れを均一化して安定した接合強度を得ることができる。また、第1のガラス部材および第2のガラス部材、並びに結合部材を1つのガラス素材から削り出して加工することもできるため、部品点数を削減し加工工数も低減することが可能である。
このように、結合部材を力覚センサ用チップおよび減衰装置とは接触しないように設けることで、第1のガラス部材と第2のガラス部材とを直接結合し、陽極接合する際の電流のリーク(回り込み)を防止して、逆電圧の発生を防止することができる。
このように、結合部材を前記第1のガラス部材もしくは第2のガラス部材を中心として点対称位置、または円周方向に均等に分割された位置にバランスよく配置することで、熱歪み等による変形の際の内部応力を低減することができる。また、陽極接合を行なう際にも第1のガラス部材および第2のガラス部材にバランスよく電圧をかけることができるため、イオンの流れを均一化して安定した接合強度を得ることができる。
このように、力覚センサ用チップの中央部に作用部を設け、その外側に連結部を設け、支持部を力覚センサの周縁部に設けることで、減衰装置で安定して支持部を保持しながら、作用部まで外力を減衰して伝達することができる。
このように、結合部をレーザビームで切断することで、切断時における第1および第2のガラス部材等の他の部材へのストレスをできるだけ低減することができる。
そして、本発明に係る力覚センサおよびその製造方法は、第2に、ガラス部材を介して力覚センサ用チップと減衰装置とを陽極接合で接合する場合の接合強度の低下を防止することができる。
なお、参照する図において、説明の便宜上、減衰装置やガラスビーム等は単純化して表わすため、形状や位置関係等は模式的に概念化して示す場合がある。また、歪みの程度等においても誇張して表わす場合がある。
ここで、本発明に係る力覚センサ1は、外力Fを6軸成分について力およびモーメントを検出できる6軸の力覚センサ1を例として説明する。具体的には、力の成分は、直交するX軸、Y軸、Z軸方向について、それぞれFx,Fy,Fzとする。そして、モーメントの成分は、X軸、Y軸、Z軸の回りについて、それぞれMx,My,Mzとする。
なお、本実施形態においては、6軸の力覚センサを例として説明するが、本発明は特に力覚センサの検出軸数や外力の大きさ等に制限されるものではない。
減衰装置3は、外力Fが入力される入力部30と、入力部30に加えられた外力Fを減衰して力覚センサ用チップ2の作用部21に伝達する伝達部31と、力覚センサ用チップ2を固定する固定部32と、固定部32と入力部30とを連結している円板部34と、を備えている。そして、円板部34には、平面視で円弧状の長穴形状に形成された緩衝穴33が設けられている。
ガラス部材10は、減衰装置3の固定部32の下面側および伝達部31の下面に接合されている。そして、力覚センサ用チップ2は、ガラス部材10を介して減衰装置3の下面に固定されている。
なお、減衰装置3は、ステンレス鋼材で製造したが、アルミニウム、炭素鋼などの他の金属材料を用いてもよい。
このように、緩衝穴33の数や形状を適宜調整して減衰装置3を製造することで、力覚センサ用チップ2のチップ耐力を超える大きさの外力Fが印加された場合であっても、適宜減衰された力が力覚センサ用チップ2に印加されてバランス良く高精度に外力Fの検出ができるようになる。
ガラス部材10は、図4(a)に示すように、全体として円板形状であり、中心部に配置された第1のガラス部材11と、外縁部に配置された第2のガラス部材12と、第1のガラス部材11と第2のガラス部材12とを一体として結合する結合部材であるガラスビーム13と、を備えている。
そして、第1のガラス部材11と第2のガラス部材12とガラスビーム13は、同じガラス部材からなる一つのガラス材料から機械加工で削り出して一体として製作されている。このため、全体として均一な材質で構成され、剛性も確保されている。また、第1のガラス部材11および第2のガラス部材12とガラスビーム13との接合部にも接着剤等の他の部材が介在していないので、陽極接合の際にもNa+等のアルカリイオンの流れを円滑にするとともに、異種材料の混合による熱歪み等の影響も排除することができる。
なお、ガラス部材10は削り出しに限らず、他の工法で製造してもよい。
具体的には、第1のガラス部材11の外周面16と第2のガラス部材12の内周面15に連結されている。また、ガラスビーム13は、平板状に形成され、その厚さが第1のガラス部材11および第2のガラス部材12の厚さよりも薄く形成されている。このようにして、ガラスビーム13の上面および下面が、それぞれ第1のガラス部材11および第2のガラス部材12の上面および下面から突出しないように隙間17,18が設けられている。
これらのガラス部材10a,10b,10cは、図5(a−1)〜(c−1)に示すように、ガラス部材10a,10b,10cをそれぞれ構成する第1のガラス部材11a,11b,11cは、前述の第1のガラス部材11と同様に円板形状である。一方、第2のガラス部材12a,12b,12cは、内周形状が円形である点で第2のガラス部材12と異なる。ガラス部材の形状は、確実に陽極接合がなされるように、減衰装置3や力覚センサ用チップ2との接合面などに応じて適宜選択すればよい。
具体的には、図5(a)に示すガラス部材10aでは、第1のガラス部材11aの周りに円周上で120度ごとに3等配でガラスビーム13a,13a,13aがバランスよく設けられている。
図5(b)に示すガラス部材10bでは、第1のガラス部材11bの周りに円周上で90度ごとに4等配でガラスビーム13b,13b,13b,13bが設けられている。
図5(c)に示すガラス部材10cでは、第2のガラス部材12cには、前記したガラス部材10a,10bにあるような貫通孔14a,14bが形成されておらず(図5(a)(b)参照)、第1のガラス部材11cと第2のガラス部材12cとの間を隙間なく連続して埋め尽くすように円板形状のガラスビーム13cが設けられている。
ガラス部材10(ガラス部材10a,10b,10cも含む。以下、同じ。)において、ガラスビーム13により、第1のガラス部材11と第2のガラス部材12とを一体として結合したことで、2部品のガラス部材11,12を1部品のガラス部材10として扱うことができる。このため、第1のガラス部材11もしくは第2のガラス部材12、またはガラスビーム13の位置合わせを1回行なうだけで、第1および第2のガラス部材11,12を同時に力覚センサ用チップ2または減衰装置3に接合することができる。すなわち、位置合わせ処理および接合処理の回数を低減することができる。特に、非常に小さな第1のガラス部材11単独の位置合わせをする必要がないため、位置合わせの精度も向上する。
図6(a)は、減衰装置とガラス部材の陽極接合時における電圧印加の方向を示す断面図であり、図6(b)は、ガラス部材と力覚センサ用チップの陽極接合時における電圧印加の方向を示す断面図である。
図6(b)に示すように、ガラスビーム13が設けられているため第1および第2のガラス部材11,12はほとんど等電位となって、接合部52の電圧印加方向が図6(a)の処理時と逆になることはない。すなわち、図6(a)、(b)とで接合部52を電子eが逆方向に流れることがない。この結果、本発明による力覚センサ1では、逆電圧印加を起因とする接合部52の接合強度の低下や剥離などの不具合が防止される。
力覚センサ用チップ2は、図7に示すように、平面視で略正方形の半導体基板20の上に構成され、外力F(図1参照)が伝達される作用部21と、作用部21に隣接する所定の位置に歪み抵抗素子Sおよび温度補償用抵抗素子24等の抵抗素子が配置された連結部23と、作用部21および連結部23を支持する支持部22と、を備えている。そして、歪み抵抗素子Sおよび温度補償用抵抗素子24には、抵抗値の測定を行なう図示しない外部機器と接続するための配線28が信号電極パッド25およびGND電極パッド26まで接続されている。
連結部23は、図8に示すように、作用部21と支持部22とを連結する領域である。また、細長いスリット状の貫通孔A〜D,K〜Nが所定の箇所に形成されている。連結部23には、両端が支持部22に結合された梁状の弾性部23a1,23b1,23c1,23d1と、この弾性部23a1,23b1,23c1,23d1の中央付近にT字型に結合された橋梁部23a2,23b2,23c2,23d2と、が設けられ、この橋梁部23a2,23b2,23c2,23d2に、歪み抵抗素子S(Sxa1〜Sxa3,Sxb1〜Sxb3,Sya1〜Sya3,Syb1〜Syb3)が配置されている。そして、歪み抵抗素子Sおよび貫通孔A〜D,K〜Nに対して所定の位置に、温度による歪み抵抗素子Sの歪みを補正する温度補償用抵抗素子24と、温度補償用抵抗素子24が正常に機能しているかどうかを監視するためのモニタ用抵抗素子24aと、が配置されている。
支持部22は、力覚センサ用チップ2の周縁部に位置し、連結部23に形成された直線状の貫通孔A〜Dのさらに外側の部分であって、その全部または一部が減衰装置3の固定部32と第2のガラス部材12を介して接合されている(図1(b)参照)。
歪み抵抗素子Sは、作用部21から等しい距離に設けられた橋梁部23a2,23b2,23c2,23d2にそれぞれ3個ずつグループ化して4箇所に配置されている。具体的には,X軸方向の橋梁部23b2,23d2には、それぞれ歪み抵抗素子Sxa1〜Sxa3,Sxb1〜Sxb3が作用部21を挟んで対象となる位置に配置されている。また、Y軸方向の橋梁部23a2,23c2には、それぞれ歪み抵抗素子Sya1〜Sya3,Syb1〜Syb3が作用部21を挟んで対象となる位置に配置されている。
そして、各歪み抵抗素子Sxa1〜Sxa3,Sxb1〜Sxb3,Sya1〜Sya3,Syb1〜Syb3は、その長手方向が作用部21に向かう方向(それぞれX軸方向またはY軸方向)に沿って配列されている。
具体的には、貫通孔Kは、歪み抵抗素子Sxb1〜Sxb3と歪み抵抗素子Sya1〜Sya3との間に形成されている。貫通孔Lは、歪み抵抗素子Sya1〜Sya3と歪み抵抗素子Sxa1〜Sxa3との間に形成されている。貫通孔Mは、歪み抵抗素子Sxa1〜Sxa3と歪み抵抗素子Syb1〜Syb3との間に形成されている。そして、貫通孔Nは、歪み抵抗素子Syb1〜Syb3と歪み抵抗素子Sxb1〜Sxb3との間に形成されている。一方、直線状の貫通孔A,B,C,Dは、貫通孔K,L,M,Nの外側に形成されている。このような貫通孔A〜D,K〜Nによって、印加された外力F(図1参照)に応じた歪みが、歪み抵抗素子Sの配置位置において最も顕著に発生し、かつ、温度補償用抵抗素子24,24aの配置位置においては生じないようになっている。
これに対して、橋梁部23a2〜23d2や弾性部23a1〜23d1、特に、歪み抵抗素子Sの配置位置や支持部22と弾性部23a1〜23d1との接続部においては、引張力や圧縮力が所定の方向に作用する。
温度補償用抵抗素子24は、温度補償対象である歪み抵抗素子Sと温度条件が同じであって、印加される外力Fによる歪みの影響を受けない場所に配置されている。すなわち、温度補償用抵抗素子24のそれぞれは、対応する歪み抵抗素子Sの近傍であって、自由端となっている貫通孔K,L,M,Nの内側周縁部の近くに配置されている。
具体的には、温度補償用抵抗素子24と歪み抵抗素子Sとでブリッジ回路を構成し、歪み抵抗素子Sの温度変化および外力F(図1)による抵抗値の変化と、温度補償用抵抗素子24の抵抗値の変化とを比較することで、歪み抵抗素子Sにおける外力Fによる抵抗値の変化のみを取り出して検出している。
なお、モニタ用抵抗素子24a(歪み抵抗素子)は、応力が生じていないときのゼロ出力状態が常に確認できるように設けられている。
具体的には、ハーフブリッジ回路HBは、歪み抵抗素子Sと温度補償用抵抗素子24の一端側(本図上の下側)が相互に連結されて、GND電極パッド(図7参照)を介してGNDアース電位に接続されている。そして、歪み抵抗素子Sと温度補償用抵抗素子24の他端側(本図上の上側)は、それぞれ信号電極パッド25,25に接続されている。
具体的には、フルブリッジ回路は、図9(b)に示すように、歪み抵抗素子Sおよび温度補償用抵抗素子24の他端側(本図上の上側)に接続された信号電極パッド25,25にそれぞれ外付け抵抗R1,R2の一端側を接続して、外付け抵抗R1,R2の他端側は相互に連結して電源電圧VEに接続されて構成されている。
このようなフルブリッジ回路を構成して、歪み抵抗素子S側の信号電極パッド25と、温度補償用抵抗素子24側の信号電極パッド25との間の出力信号を検出することで、歪み抵抗素子Sの抵抗値の変化から温度変化による抵抗値の変化をキャンセルして、歪み抵抗素子Sにおける外力F(図1参照)による抵抗値の変化のみを取り出して検出している。
本発明の実施形態に係る力覚センサ1に種々の軸成分を含んだ外力Fが入力されると、予め設計された割合で外力Fが減衰されて減衰後の力が力覚センサ用チップ2に伝達される。種々の軸成分の外力Fが入力された場合の減衰装置3の挙動について、図10を参照しながら説明する。図10は外力が加えられた場合の減衰装置の挙動を示す斜視図である。
例えば、図10(a)に示すように、X軸方向の外力Fxが入力部30に入力された場合には、入力部30が極めて微小ながらX軸方向に移動する。同様にして、Z軸方向の外力Fzが入力された場合には、図10(b)に示すように、入力部30がZ軸方向に移動する。そして、Y軸回りのモーメントMyが入力された場合には、入力部30がY軸回りに回転し、Z軸回りのモーメントMzが入力された場合には入力部30がZ軸回りに回転する。なお、他の軸成分についても同様であるので、その説明は省略する。
図11(a)に示すように、外力Fxの印加により作用部21がX方向に移動しようとし、これに伴って橋梁部23a2,23c2においてたわみが顕著に生じる。このとき、図11(b)に示すように、たわみの外側の歪み抵抗素子Sya1,Syb3には引張力が作用し、抵抗値が増加する。一方、たわみの内側の歪み抵抗素子Sya3,Syb1には圧縮力が作用し、抵抗値が減少する。歪み抵抗素子Sxa1〜Sxa3,Sxb1〜Sxb3は、外力Fxの影響を受けない。
図12(b)に示すように、外力Fzの印加により作用部21がZ方向に移動しようとし、これに伴って橋梁部23a2,23b2,23c2,23d2においてたわみが顕著に生じる。このとき、各歪み抵抗素子Sxa1〜Sxa3,Sxb1〜Sxb3,Sya1〜Sya3,Syb1〜Syb3は、半導体基板20の表面(上層部)に形成されているから、すべての歪み抵抗素子Sxa1〜Sxa3,Sxb1〜Sxb3,Sya1〜Sya3,Syb1〜Syb3に引張力が作用し、抵抗値が増加する。
図13(b)に示すように、外力Myの印加によりX軸方向の橋梁部23b2,23d2には、それぞれモーメントMyによるたわみが生じ、歪み抵抗素子Sxa1〜Sxa3には圧縮力が作用し、抵抗値が減少する。一方、歪み抵抗素子Sxb1〜Sxb3には引張力が作用し、抵抗値が増加する。ただし、Y軸方向の橋梁部23a2,23c2では、ほとんど引張力も圧縮力も作用せず、抵抗値は変化しない。
図14(b)に示すように、外力Mzの印加により各橋梁部23a2,23b2,23c2,23d2には、それぞれモーメントMzによるたわみが生じ、たわみの外側に配置された歪み抵抗素子Sya3,Sxa3,Syb3,Sxb3には引張力が作用し、抵抗値が増加する。一方、たわみの内側に配置された歪み抵抗素子Sya1,Sxa1,Syb1,Sxb1には圧縮力が作用し、抵抗値が減少する。ただし、たわみの中心に位置する歪み抵抗素子Sxa2,Sxb2,Sya2,Syb2には、ほとんど引張力も圧縮力も作用しないため、抵抗値は変化しない。
この抵抗変化率に基づいて、6軸の力覚センサ1から最終的に出力される信号は、各単一の成分(Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mz)に対応する演算抵抗変化率Sig1〜Sig6である。
Sig1=((R′Sya1−R′Sya3)+(R′Syb3−R′Syb1))/4
Sig2=((R′Sxa3−R′Sxa1)+(R′Sxb1−R′Sxb3))/4
Sig3=(R′Sxa2+R′Sya2+R′Sxb2+R′Sy2)/4
Sig4=(R′Sya2−R′Syb2)/2
Sig5=(R′Sba2−R′Sxa2)/2
Sig6=((R′Sxa3−R′Sxa1)+(R′Sya3−R′Sya1)
+(R′Sxb3−R′Sxb1)+(R′Syb3−R′Syb1))/8
ここで、抵抗変化率は、例えば、R′Sya1のように表すが、これはSya1の抵抗変化率を示すものである。なお、R′Sxa1〜R′Sxa3,R′Sxb1〜R′Sxb3,R′Sya1〜R′Sya3,R′Syb1〜Syb3は、各歪み抵抗素子の温度補償後の抵抗変化率を表す。
具体的には、例えば軸力Fxを力覚センサ用チップ2に印加すると、実際上Myも印加されるが、力覚センサ用チップ2の形状や歪み抵抗素子S等の配置が4回対象に設けられているため、他軸干渉の影響はできるだけ排除され、Sig1は、FxとMyとの一次式として表される。同様にして、Fyを力覚センサ用チップ2に印加すると、Sig2は、FyとMxとの一次式として表される。Sig3は、主としてFzの一次式で表すことができる(他の軸成分を無視できる程度まで抑えることも可能)。
軸モーメントについても同様に、Mxを力覚センサ用チップ2に印加すると、Sig4は、MxとFyとの一次式として表される。また、Myを力覚センサ用チップ2に印加すると、Sig5は、MyとFxとの一次式として表される。Sig6は、Mzの一次式で表すことができる(他の軸成分を無視できる程度まで抑えることが可能)。
なお、この点についての詳細は、本出願人による先の出願に係る特開2003−207405号公報(図13)を参照されたい。
本発明の第2実施形態に係るガラス部材においては、図15に示すように、4本のガラスビーム13には、第1のガラス部材11と第2のガラス部材12との間の外力Fの伝達を遮断する不連続部19が形成されている。この不連続部19は、ガラスビーム13の途中をレーザビーム(レーザビーム切断法)で切断して形成されたものである。
なお、不連続部19の形成は、レーザビームによる切断に限られず、カッタで機械的に切断する方法やガラスビーム13に荷重をかけてガラスビーム13を折ることによっても形成することができる。この場合にも、減衰装置3の緩衝穴33を利用するか、円板部に作業用のアクセス用の***19aを設けて作業を行なうことができる。
このため、ガラスビーム13′に伝達される外力Fによる応力集中を回避することで、第1および第2のガラス部材11,12の損傷を防止することができる。また、ガラスビーム13′の応力集中を考慮することなく力覚センサ用チップ2や減衰装置3の仕様を設定することができ、設計の自由度が向上する。
以下の説明において、前記した第1実施形態に係る力覚センサ1と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
このように、減衰装置3が力覚センサ用チップ2を保持する形態は多様であるが、減衰装置3の形態に対応させて、適宜結合部材を構成することで、本発明を同様に適用することができる。
例えば、前記実施形態においては、第1のガラス部材11と第2のガラス部材12とガラスビーム13は、同じガラス部材からなる一つのガラス材料から機械加工で削り出して製作されているが、これに限定されるものではなく、第1のガラス部材11と第2のガラス部材12とを別々に製作した後に、ガラス部材を使用して第1のガラス部材11と第2のガラス部材12とを一体として結合することもできる。
また、本実施形態においては、力覚センサ用チップ2を略正方形としているが、これに限定されるものではなく、矩形としてもよいし、円形としてもよい。また、減衰装置3も立方体や直方体の形状とすることもできる。本発明は、力覚センサ用チップ2の形状や減衰装置3の形状、およびこれらの組合せに関して、多様な形態を採用することができる。
2,2′ 力覚センサ用チップ
3,3″ 減衰装置
10,10a,10b,10c,10′ ガラス部材
11,11′ 第1のガラス部材
12,12′ 第2のガラス部材
13,13a,13b,13c, ガラスビーム(結合部材)
13″ ガラスビーム(結合部材)
19 不連続部
21 作用部
22 支持部
23 連結部
30 入力部
31 伝達部
32 固定部
33 緩衝穴
Sxa1〜Sxa3 歪み抵抗素子
Sxb1〜Sxb3 歪み抵抗素子
Sya1〜Sya3 歪み抵抗素子
Syb1〜Syb3 歪み抵抗素子
Claims (10)
- 外力が伝達される作用部と、この作用部に隣接して設けられ歪み抵抗素子が配設された連結部と、前記作用部と連結部とを支持する支持部と、を有し、前記外力を前記歪み抵抗素子で検出する力覚センサ用チップと、
前記外力が入力される入力部と、前記力覚センサ用チップを固定する固定部と、前記作用部に前記外力を減衰して伝達する伝達部と、を有する減衰装置と、を備え、
前記作用部と前記伝達部との間には第1のガラス部材が介在され、前記支持部と前記固定部との間には第2のガラス部材が介在されて、前記力覚センサ用チップと前記減衰装置とが接合された力覚センサであって、
前記第1のガラス部材と前記第2のガラス部材とを一体として結合する結合部材が設けられ、
前記結合部材には、前記結合を解除して前記第1ガラス部材と第2ガラス部材との間の前記外力の伝達を遮断する不連続部が形成されていることを特徴とする力覚センサ。 - 前記第1のガラス部材および第2のガラス部材は、前記力覚センサ用チップの同じ面側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の力覚センサ。
- 前記第1のガラス部材および第2のガラス部材は、前記力覚センサ用チップおよび前記減衰装置と陽極接合により接合されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の力覚センサ。
- 前記結合部材は、ガラス部材であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の力覚センサ。
- 前記結合部材は、前記力覚センサ用チップおよび減衰装置とは接触しないように前記第1のガラス部材および第2のガラス部材に結合されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の力覚センサ。
- 前記結合部材は、前記第1のガラス部材もしくは第2のガラス部材を中心として点対称位置、または円周方向に均等に分割された位置に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の力覚センサ。
- 前記作用部は、前記力覚センサ用チップの中央部に設けられ、
前記支持部は、前記力覚センサ用チップの周縁部に設けられ、
前記連結部は、前記作用部と前記支持部の間に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の力覚センサ。 - 外力が伝達される作用部と、この作用部に隣接して設けられ歪み抵抗素子が配設された連結部と、前記作用部と連結部とを支持する支持部と、を有し、前記外力を前記歪み抵抗素子で検出する力覚センサ用チップと、
前記外力が入力される入力部と、前記力覚センサ用チップを固定する固定部と、前記作用部に前記外力を減衰して伝達する伝達部と、を有する減衰装置と、
前記作用部と前記伝達部との間に介在された第1のガラス部材と、前記支持部と前記固定部との間に介在された第2のガラス部材と、前記第1および第2のガラス部材とを一体として結合する結合部材と、を有するガラス部材と、を用いて力覚センサを製造する力覚センサの製造方法であって、
前記第1および第2のガラス部材と前記減衰装置の伝達部および固定部とをそれぞれ陽極接合により接合し、前記ガラス部材と前記減衰装置とを接合する第1接合工程と、
前記第1および第2のガラス部材と前記力覚センサ用チップの作用部および支持部とをそれぞれ陽極接合により接合し、前記ガラス部材と前記力覚センサ用チップとを接合する第2接合工程と、
前記第2接合工程の後、前記結合部材に前記第1ガラス部材から第2ガラス部材への前記外力の伝達を遮断する不連続部を形成する工程と、
を含むことを特徴とする力覚センサの製造方法。 - 外力が伝達される作用部と、この作用部に隣接して設けられ歪み抵抗素子が配設された連結部と、前記作用部と連結部とを支持する支持部と、を有し、前記外力を前記歪み抵抗素子で検出する力覚センサ用チップと、
前記外力が入力される入力部と、前記力覚センサ用チップを固定する固定部と、前記作用部に前記外力を減衰して伝達する伝達部と、を有する減衰装置と、
前記作用部と前記伝達部との間に介在された第1のガラス部材と、前記支持部と前記固定部との間に介在された第2のガラス部材と、前記第1および第2のガラス部材とを一体として結合する結合部材と、を有するガラス部材と、を用いて力覚センサを製造する力覚センサの製造方法であって、
前記第1および第2のガラス部材と前記力覚センサ用チップの作用部および支持部とをそれぞれ陽極接合により接合し、前記ガラス部材と前記力覚センサ用チップとを接合する第1接合工程と、
前記第1および第2のガラス部材と前記減衰装置の伝達部および固定部とをそれぞれ陽極接合により接合し、前記ガラス部材と前記減衰装置とを接合する第2接合工程と、
前記第2接合工程の後、前記結合部材に前記第1ガラス部材から第2ガラス部材への前記外力の伝達を遮断する不連続部を形成する工程と、
を含むことを特徴とする力覚センサの製造方法。 - 前記不連続部を形成する工程は、前記結合部をレーザビームで切断する工程であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の力覚センサの製造方法。
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