JP5232979B2 - コレステロール低減剤 - Google Patents

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Description

本発明はコレステロール低減剤に関する。
コレステロールは、食品中に含まれ食事によって摂取するものと、体内で合成されるものとがある。コレステロールは細胞膜や性ホルモンの材料になる成分であるが、過剰摂取などによって体内に増え過ぎると、生活習慣病をまねくおそれがある。例えば、血液中のコレステロールが増加すると、動脈硬化が進行し狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳出血や脳梗塞などの脳卒中の原因になりやすい。
下記特許文献1には、茶に由来するテアフラビン類を有効成分とするコレステロール低下用組成物が開示されている。なおこの文献には茶に由来するテアルビジン類も高脂血症及び/又は高コレステロール血症の治療において有用であり得ることを信じている、との記載があるが、該テアルビジン類の有効性を示す試験例は無い。
特開2004−155784号公報
コレステロール低減剤としては、安全性が高いものが望ましい。
本発明者等は、茶の葉とビワ葉を一緒に揉みこんだ混合発酵茶葉の抽出液にコレステロールを低減させる効果があることを見出し、それに着目して鋭意研究を重ねた結果、コレステロール低減に有効な成分を突き止めたので、これを特許出願するものである。
本発明は、テアシネンシン、および数平均分子量が5,970かつ重量平均分子量が13,200であるカテキン酸化重合体からなる群から選ばれる1種以上を有効成分として含有するコレステロール低減剤を提供する。
本発明によれば、安全性が高いコレステロール低減剤が得られる。
本発明に係る混合発酵茶葉の成分分画方法を説明するための図である。 本発明に係る製造例で得られたフラクションのHPLCによるクロマトグラムである。 本発明に係る有効成分の構造式である。 本発明に係る有効成分および比較成分の13C−NMRスペクトルである。 本発明に係る有効成分の推定部分構造式である。
本発明において、有効成分として用いられる(1)テアシネンシンおよび(2)数平均分子量が5,970かつ重量平均分子量が13,200であるカテキン酸化重合体は、いずれも、茶の葉とビワ葉を原料として製造された混合発酵茶葉から得られる。
上記(2)カテキン酸化重合体は、後述の[実施例]に示されるように、茶葉に含まれる4種のカテキン(エピガロカテキン、エピカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート)が酸化的に結合して生成した高分子化合物で、分子量は数平均分子量(Mn)5,970、重量平均分子量(Mw)13,200と推定される。一般に茶葉だけを発酵させて製造した紅茶にもカテキン酸化重合体が含まれる。
[混合発酵茶葉の製造方法]
混合発酵茶葉は、以下の方法で製造することができる。
原料として用いられる茶の葉は、いわゆるツバキ科の常緑低木Camellia sinensis L.の葉である。茶の葉としては、一番茶以外に二番茶、三番茶、秋冬番茶、刈番茶なども使用でき、比較的多くのポリフェノール類を含む二番茶以降の安価な茶の葉のほうが好ましい。なお、これらの遅手の番茶は、現在価格が低迷し、かなりのものが廃棄されているが、このものを有効に利用できる。
原料として用いられるビワ葉は、バラ科、植物名「ビワ」の葉であり、特に制限なく用いることができる。
混合発酵茶葉を製造するには、まずビワ葉および茶の葉を用意する。前処理として、ビワ葉および茶の葉を必要に応じて乾燥し、含水率を50〜60質量%程度としておくことが好ましい。また適宜の寸法、例えば1〜10mm角程度の大きさに切断しておくことが好ましい。
次いで、茶の葉を乾燥し、水分量を減少させ、萎凋させる。この工程では、例えば粗揉機や、直火または電気で加熱した鍋または板状の器具を用い、茶の葉を撹拌しつつ、温度40〜150℃の加熱空気を茶の葉に当てる方法、密閉撹拌容器内に茶の葉を投入し、容器内の空気を吸引して内部を減圧状態として撹拌して乾燥する方法、萎凋槽を用いてネット上に散布した茶の葉の下方から通気する方法などが用いられる。
この萎凋により原料の茶の葉の含水率を45〜65質量%、好ましくは50〜60質量%程度に減少させると、次の揉捻工程で茶の葉から水分が揉み出され難くなるため、有効成分の流亡を防止できる。また後の乾燥工程が短縮できる点でも好ましい。
次いで、萎凋工程を経た原料の茶の葉を加圧しながら揉む(揉捻する)とともに、この揉捻時にビワ葉を添加して、両者を一緒に揉捻する。ビワ葉は茶の葉の揉捻開始と同時に添加してもよく、あるいは一定時間茶の葉のみの揉捻を行った後、びわ葉を添加してさらに揉捻してもよい。全揉捻時間のうち、揉捻開始から0〜40%の時間が経過したのち、ビワ葉を添加することが好ましい。ビワ葉を揉捻工程の最初から添加しておくことがより好ましい。
この揉捻により、茶の葉およびビワ葉の組織が破壊され、茶の葉に含まれるポリフェノールオキシダーゼなどの酸化酵素が茶の葉およびビワ葉に含まれるポリフェノールを酸化、重合し、酸化重合物が生成する。
ビワ葉の添加量は、ビワ葉/茶の葉の絶乾質量比が、5/95〜35/65の範囲が好ましく、8/92〜25/75の範囲がより好ましい。ビワ葉の添加量が上記範囲内であれば、上記(1)、(2)の有効成分が効率良く得られ、特に上記(2)カテキン酸化重合体が効率良く生成する。
揉捻は、茶の葉の揉捻に用いられている通常の揉捻機を用いる方法など、公知の方法を適宜採用できる。揉捻時間は15〜25分が好ましい。揉捻時の原料の温度は20〜40℃が好ましい。20℃未満では発酵不足となり、40℃を越えると上記(1)、(2)の有効成分が効率良く得られない。
次いで発酵工程を行う。すなわち、揉捻後の混合原料を数cmの厚さに堆積させた状態で、温度20〜27℃、湿度30〜60%RHの発酵室内などの環境下に静置する。なお、茶類の製造工程における「発酵」とは葉中の酸化酵素による酸化反応を意味する。
発酵時間は0〜4時間が好ましい。揉捻工程の時間は発酵工程に含めない。先の揉捻工程において、揉捻の開始と同時に発酵が開始するため、揉捻工程とは別に発酵工程を設けなくても、すなわち発酵時間が0時間でも、発酵した混合発酵茶葉を得ることができる。
次いで、所定の発酵時間が経過したならば、原料を加熱して発酵を止め、乾燥する。例えば、連続式乾燥機に原料を投入し、これに温度80〜120℃の熱風を吹き込み、排気温度が50〜60℃となるように操作する。加熱時間は10〜30分程度で十分であり、これにより原料中の含水率を5質量%程度とする。
こうして混合発酵茶葉が得られる。本発明で用いられる混合発酵茶葉は、加熱工程後の荒茶でもよく、これに必要に応じて仕上げ加工を施した仕上げ茶でもよく、荒茶または仕上げ茶を適宜の大きさに粉砕して粉末状としたものでもよい。
[有効成分の分画]
混合発酵茶葉を抽出し、該抽出液から有効成分(1)、(2)を分画する。抽出溶媒は水または有機溶媒が用いられる。有機溶媒と水の混合物を抽出溶媒として用いてもよい。有機溶媒の具定例としてはメタノール、エタノール、アセトン等が挙げられる。
抽出方法および抽出液から有効成分を分画する方法は特に制限されないが、図1に示す方法で行うと有効成分(1)、(2)を効率良く得ることができる。
また、本発明における混合発酵茶葉の抽出液にはテアフラビンも含まれており、有効成分(1)、(2)を分画すると同時にテアフラビンを分画することができる。上記特許文献1に開示されているように、テアフラビンもコレステロール低減に有効な成分である。
まず、抽出溶媒として水を用いて混合発酵茶葉の抽出を行い、固液分離を行って抽出液1と残滓2を得る。水の温度は10〜25℃程度が好ましい。この工程では主に糖・カフェイン糖が抽出される。有効成分(1)、(2)、およびテアフラビンを含むポリフェノール類の一部も抽出される。得られた抽出液1を、セファデックスLH−20カラムを用いた吸着クロマトグラフイーに供し、糖およびカフェイン類を透過させ、ポリフェノール類だけを吸着させる。
一方、上記残滓2を有機溶媒で抽出して抽出液3を得る。この工程で、水抽出後の茶葉(残滓2)に含まれるポリフェノール類が抽出される。抽出液3を得る際は、抽出操作後に有機溶媒を除去して濃縮し、さらに不要な固形分(残渣4)を取り除いて抽出液3とすることが好ましい。こうして得られた抽出液3を、前記抽出液1の処理を終えたセファデックスLH−20カラムに通し、低いアルコール濃度の溶媒を用いて残存する糖、カフェイン、フラボノール配糖体を洗い流し、アルコール濃度を上げて有効成分を溶出させ、上記(1)テアシネンシン、(2)カテキン酸化重合体、およびテアフラビンを含むフラクション2を得る。
次に、得られたフラクション2を、7M尿素−アセトン混合液を溶媒とするセファデックスLH−20カラムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、分子量が大きいカテキン酸化重合体を含むフラクション2−1と、分子量が比較的小さいテアシネンシンとテアフアラビンを含むフラクション2−2に分画する。
フラクション2−1からアセトンを留去して水溶液として、ダイアイオンHP20SSカラムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーに供し、尿素と塩酸を水で洗い流し、アルコールでポリフェノールを溶出することにより、目的とする(2)カテキン酸化重合体のフラクション3−1が得られる。
一方、フラクション2−2もアセトンを留去した後、ダイアイオンHP20SSカラムを用いた吸着クロマトグラフィーに供し、尿素と塩酸を水で洗い流した後、アルコール濃度を増加させながらアルコールで溶出することにより、テアシネンシン類とテアフラビン類が分離され、目的とする(1)テアシネンシンのフラクション3−2、およびテアフラビンのフラクション3−3が得られる。
図1に示す抽出および分画方法にあっては、まず混合発酵茶葉を水で抽出して、水溶性成分を多く含み、ポフェノール類の含有量が少ない抽出液1を得るため、該抽出液を濃縮せずにカラムに通して糖およびカフェイン類を容易に分離・除去することができる。仮に、カラムに通す抽出液に糖分が高濃度で含まれていると、ゲルの収縮が生じ易くカラムへの負荷が大きくなるが、上記の方法では、かかる不都合を防止できる。また抽出液を濃縮する手間も省ける。
また、フラクション2の分画に、7M尿素−アセトン混液を溶媒とするセファデックスLH−20を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーを適用することにより、1段階で分子量が大きい(2)カテキン酸化重合体を含むフラクション2−1と、分子量が比較的小さい(1)テアシネンシンとテアフアラビンを含む画分であるフラクション2−2に分けることができる。
さらに、フラクション2−2から尿素を除く段階でダイアイオンHP20SSカラムクロマトを用いることにより、(1)テアシネンシン類とテアフラビン類が分離されて溶出され、極めて効率的に目的の有効成分を得ることができる。
[コレステロール低減剤]
このようにして得られる上記(1)テアシネンシン、及び(2)カテキン酸化重合体をそれぞれ含むフラクションは、そのまま本発明のコレステロール低減剤(以下、本発明の剤ということがある。)として用いることができる。該フラクションに対して、溶媒除去、濃縮、乾燥等の後処理を適宜施したものを本発明の剤の有効成分として用いてもよい。
本発明の剤は、上記(1)テアシネンシン、及び(2)カテキン酸化重合体からなる群から選ばれる1種以上を有効成分として含有する。これらはいずれか一種でもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の剤は、上記有効成分(1)、(2)の他に、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、防腐剤、安定剤、保存剤、矯味矯臭剤、希釈剤、香味剤等の、製剤上許容される1種または2種類以上の添加剤を含有してもよい。
さらに、例えばテアフラビンなど、コレステロール低減作用を有し、安全性が確認されている公知の成分を含有させてもよい。
本発明の剤は、これを経口投与することにより、血液中のコレステロール濃度を低減させる効果、および肝臓中のコレステロール濃度を低減させる効果が得られる。投与方法は特に制限されるものではないが、2週間以上の期間にわたって継続的に投与することが好ましい。
本発明の剤の有効投与量は、成人1日当たりの投与量が、(1)テアフラビンおよび(2)カテキン酸化重合体の総量として、10〜5000mgが好ましく、50〜2000mgがより好ましく、50〜700mgがさらに好ましい。
また、上記有効成分(1)、(2)の他に、例えばテアフラビンなどのコレステロール低減作用を有する公知成分を同時に投与する場合は、これらの総量が上記範囲になることが好ましい。
本発明の剤の剤形は、特に制限されないが錠剤、顆粒剤、カプセル剤、水薬、ドリンク剤等の内服剤形とすることが好ましい。このような製剤化は、医薬の製造に用いられる常法に従って行うことができる。
以下において「%」は特に断りのない限り「質量%」である。
以下において原料として用いた「茶の葉」はいずれも長崎県総合農林試験場東彼杵茶葉支場で栽培したヤブキタ種の三番茶の葉である。
[参考例1:混合発酵茶葉の製造]
茶の葉にビワ葉を投入し、揉捻機で揉み込んだ。茶の葉とビワ葉の配合割合は茶の葉:ビワ茶の絶乾質量比が9:2とした。揉み込みの時間は20分とし、揉捻時の原料の温度は33℃とした。この後、直ちに熱風式乾燥機内に移し、100℃で30分間加熱することにより、発酵を止めるとともに乾燥した。こうして含水率5質量%の混合発酵茶葉を得た。
<製造例1>
(抽出および分画)
図1に示す手順で、有効成分の抽出および分画を行った。
まず、参考例1で得た混合発酵茶葉1930gを水(15℃)30Lに浸し、室温で2日間抽出した後、吸引ろ過した。得られたろ液(抽出液1)を、水で置換したセファデックスLH−20カラム(ファルマシア・ファイン・ケミカル社製、ゲル直径10cm、長さ35cm)にそのまま流し込み、ポリフェノールを吸着させた。
一方、残滓2として得られる、水抽出後の茶葉は、50%アセトン水溶液(アセトン:水の容量比=1:1)30Lで、2日間、室温での抽出を2回繰り返し、2回分のろ液を合わせてロータリーエバポレーターでアセトンを留去した。得られた沈殿を含む溶液に20容量%の濃度となるようにメタノールを加えて攪拌し、溶けずに残ったクロロフィルなどをろ過して除いた。得られたろ液(抽出液3)を、上記抽出液1を通導したセファデックスLH−20カラムに続けて流し込んだ。
次いでカラムに40%メタノール(メタノール:水の容量比=4:6、以下同様。)の2Lを流し、糖類、カフェイン及びフラボノール配糖体を流出させた。さらにカラムに60%メタノールの2L、80%メタノールの2L、100%メタノールの4L、メタノール−アセトン−水混合液(メタノール:アセトン:水の容量比=8:1:1)の2L、およびアセトン水混合液(アセトン:水の容量比=6:2)の6Lを、この順に流して成分を溶出させた。溶出液は250mlずつガラス容器に分け取り、それぞれについて蛍光剤入りシリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒はトルエン:ギ酸エチル:ギ酸の容量比=1:7:1の混合液、検出は紫外吸収、及び塩化鉄(III)試薬噴霧)で成分を確認することで分画し、ロータリーエバポレーターで濃縮乾固した。
こうして、主にカテキン類を含むフラクション1(52.3g)と、テアシネンシン、テアフラビン、及びカテキン酸化重合体を含むフラクション2(74.6g)を得た。
フラクション2は7M尿素−アセトン混合液(尿素:アセトンの容量比=2:3、塩酸でpH2に調整)に溶解し、同じ溶媒で置換したセファデックスLH−20カラム(ゲル直径10cm、長さ35cm)に流し込み、カテキン酸化重合体を含むフラクション2−1とテアシネンシンとテアフラビンを含むフラクション2−2に分画した。
フラクション2−1はアセトンを留去して水溶液とし、ダイアイオンHP20SSカラム(三菱化学社製、ゲル直径5cm長さ30cm)に流し込み、尿素と塩酸を水で洗い流した後、メタノールでポリフェノールを溶出してカテキン酸化重合体のフラクション3−1(21.4g)を得た。
フラクション2−2もアセトンを留去した後、ダイアイオンHP20SSカラム(ゲル直径5cm長さ30cm)に流し込み、尿素と塩酸を水で洗い流した後、10%メタノールの0.5L、20%メタノールの0.5L、30%メタノールの0.5L、40%メタノールの0.5L、60%メタノールの0.5L、80%メタノールの0.5Lで溶出させ、テアシネンシンのフラクション3−2(8.5g)、その他のポリフェノール混合物のフラクション(7.4g、図示せず)、およびテアフラビン類を主成分とするフラクション3−3(30.1g)を得た。
(同定)
得られたフラクションのHPLC(高速液体クロマトグラフィー)によるクロマトグラムを図2に示す。図2の(A)はカテキン酸化重合体のフラクション3−1、(B)はテアシネンシンのフラクション3−2、(C)はテアフラビン類のフラクション3−3についてのクロマトグラムである。
各試料のHPLC分析条件は以下の通りである。
[カテキン酸化重合体及びテアシネンシンの分析]
カラム:Cosmosil 5C18 AR II(ナカライテスク社製、4.6×250mm)、
カラム温度:35℃、
移動相:A;50mMリン酸、B;CHCN、B 4%から30%(39分間)、30%から75%(15分間)、
流速:0.8ml/min。
[テアフラビン類の分析]
カラム:Cosmosil 5C18 PAQ(ナカライテスク社製、4.6×250mm)、
カラム温度:35℃、
移動相:A;50mMリン酸、B;CHCN、B 10%から25%(5分間)、25%から80%(40分間)、
流速:0.8ml/min。
テアシネンシンおよびテアフラビン類は標準品とHPLCクロマトグラフを比較することにより同定した。
図2に示されるように、フラクション3−2の主成分はテアシネンシンA、フラクション3−3の主成分はテアフラビン類である。
テアシネンシンAおよびテアフラビン類の構造式を図3に示す。テアフラビン類のうち、TFは構造式中のRとRが水素原子であるもの、TF3GはRがガロイル基(galloyl)でRが水素原子であるもの、TF3’GはRが水素原子でRがガロイル基であるもの、TFdiGはRとRがガロイル基であるものをそれぞれ示す。
(分子量の測定)
上記で得られたカテキン酸化重合体をジメチルホルムアミドに溶解し、ゲルろ過用高速液体クロマトグラフィーで分析した。分析条件は以下の通りとした。
カラム:TSK−gel−α 3000カラム、長さ300mm×径7.8mm、(東ソー社製)、
流速:0.5ml/min、
溶媒:10mM塩化リチウムを含むジメチルホルムアミド、
温度:40℃、
検出:254nmにおける紫外吸収。
ピークトップの保持時間から分子量を推定した。分子量標準品としては、ポリスチレン標準品(分子量4,000、25,000、50,000、及び170,000)、トルエン(分子量92)を用いた。その結果、得られたカテキン酸化重合体の分子量は、数平均分子量(Mn)が5,970、重量平均分子量(Mw)が13,200であった。
<比較製造例1>
製造例1において、混合発酵茶葉に代えて市販紅茶を用いた他は、同様の処理を行って得られたフラクション3−1について、同様にして分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)が2,062、重量平均分子量(Mw)が10,413であった。
<測定例1>
製造例1で得られたカテキン酸化重合体を、重水を5%含む重アセトンに溶解し、13C−NMRスペクトルを測定した。その結果を図4に示す。
比較のために、紅茶の高分子ポリフェノールおよび新鮮ビワ葉から得られたプロシアニジン(エピカテキンが酸化的に重合したもの)について、同様にして13C−NMRスペクトルを測定した。その結果を図4に示す。
図4の(A)は製造例1で得られたカテキン酸化重合体、(B)は紅茶の高分子ポリフェノール、(C)はビワ葉のプロシアニジンについてのスペクトルである。
この図の結果より、製造例1で得られたカテキン酸化重合体は、紅茶高分子ポリフェノールの特徴的シグナルとビワ葉プロシアニジンの特徴的シグナルの両方を併せ持つことがわかる。このことから、ビワ葉に含まれるプロシアニジンが共存しているか、あるいは茶カテキンと共重合している可能性もある。
また、図4(A)の13C−NMRスペクトルは、カテキン骨格に共通のシグナル(図中Fで示す。)に加えて、エピガロカテキンに特徴的なピロガロール型カテキンのシグナル(図中pyrで示す。)とエピカテキンに特徴的なカテコール型カテキン由来のシグナル(図中catで示す。)、さらにそれらにエステル結合したガロイル基由来のシグナル(図中Gで示す。)を示している。このことより、製造例1で得られたカテキン酸化重合体は、茶葉に含まれる4種のカテキン(エピガロカテキン、エピカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート)が酸化的に結合して生成した高分子化合物であることがわかる。
製造例1で得られたカテキン酸化重合体の推定部分構造式を図5に示す。該推定部分構造式は、カテキンを酵素酸化して得られる物質の化学構造(Li,Y.,et.al.,Pytochemistry,2007,68,1081;Kusano,R.,et.al.,Chem.Pharm.Bull.,2007,56,1768)と、ビワ葉プロアントシアニジンの構造をもとに推定した。
<試験例1:血清総コレステロールおよび肝臓総コレステロールに対する効果>
製造例1で得られたテアシネンシン、テアフラビン、およびカテキン酸化重合体を用い、ラットにこれらの成分を含む食餌を摂取させたときの、血清総コレステロール濃度および肝臓総コレステロール濃度に及ぼす影響を調べた。
実験動物として、4週齢のSprague−Dawley(正常ラット)を用い、室温22±1℃、湿度55±5%、8:00〜20:00点灯のライトサイクルの動物飼育室で飼育した。5週齢までは市販のMF固形飼料(オリエンタル酵母(株)製)を与えて予備飼育をし、その後試験食の摂食を開始した。すなわち、5週齢の時に平均体重が同じになるように1群7匹ずつ、(I)群〜(V)群の合計5群に群分けし、以下の試験食を4週間自由摂食させた。
試験食は、AIN−76に基づいた純化食をコントロール食とした。その組成(単位:g/kg)は、カゼイン200、コーン油100、ミネラル混合(AIN−76−MX)35、ビタミン混合(AIN−76−VX)10、セルロース50、重酒石酸コリン2、DL−メチオニン3、コーンスターチ150およびショ糖450である。
(I)群:コントロール食をそのまま試験食として摂取させた。
(II)群:コントロール食に0.2%のテアシネンシンを添加し、その添加分だけショ糖を減じた試験食。
(III)群:コントロール食に0.2%のテアフラビンを添加し、その添加分だけショ糖を減じた試験食。
(IV)群:コントロール食に0.5%のカテキン酸化重合体を添加し、その添加分だけショ糖を減じた試験食。
(V)群:コントロール食に0.2%のテアシネンシンと0.2%のテアフラビンの両方を添加し、その添加分だけショ糖を減じた試験食。
いずれの群も飼育期間中、摂食量と体重は1日おきに測定した。試験食の摂取を開始してから4週間後に血清総コレステロール濃度と肝臓総コレステロール濃度を測定した。測定結果を表1に示す。
血清総コレステロール濃度はcholesterol oxidase・3, 5 - dimethoxy - N - ethyl - N- (2 - hydroxyl - 3 - sulfopropyl) - aniline sodium・DAOS法によるコレステロールE-テストワコー(和光純薬工業社製、大阪)を用いて測定した。
肝臓総コレステロール濃度は、まず肝臓総脂質の抽出をFolch法[Folch J, Lees M, Sloane-stanley GH.:A simple method for the isolation and purification of total lipids from animal tissues. J Biol Chem , 226 : 497-506 (1957)]により行い、抽出後、血清総コレステロール濃度と同様の方法で測定した。
Figure 0005232979
表1の結果より、血清総コレステロール濃度については、0.2%テアシネンシン食を摂食した(II)群、0.2%テアフラビン食を摂食した(III)群、0.5%カテキン酸化重合体食を摂取した(IV)群、0.2%テアシネシン食と0.2%テアフラビン食の両方を含む食餌を摂食した(V)群のラットは、(I)群のラットに比べて大きく低下した。
肝臓総コレステロール濃度については、(I)群に比べて、いずれの群も低下しており、特に0.2%テアシネンシン食を摂食した(II)群および0.5%カテキン酸化重合体食を摂取した(IV)群のラットで大きく低下した。
これらのことから、本発明に係るテアシネンシンおよびカテキン酸化重合体はいずれも、血清総コレステロール濃度および肝臓総コレステロール濃度を低下させる効果を有することが認められた。
またテアフラビンが血清総コレステロール濃度および肝臓総コレステロール濃度を低下させる効果を有することも確認された。
これらの有効成分は、混合発酵茶葉に含まれる成分であるため安全性が高い。

Claims (1)

  1. 数平均分子量が5,970かつ重量平均分子量が13,200であるカテキン酸化重合体からなるコレステロール低減剤。
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