JP4701328B2 - 発酵茶葉およびその製造方法、発酵茶葉抽出物ならびに飲食品 - Google Patents
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Description
また下記特許文献1には、グアバ葉の抽出液に含まれるα−アミラーゼ阻害物質を用いたダイエット食品が提案されている。
茶は安全性の高い食品であり習慣的に摂取することが可能であるので、健康の維持または改善に有効な薬効を奏する新規な茶の開発が期待されている。
本発明は、手で揉む方法で、茶の葉を揉捻しつつ、ビワ葉を添加して混合かつ揉捻する揉捻工程と、該揉捻工程後、直ちに加熱して発酵を止める工程を有し、前記揉捻工程において、茶の葉の揉捻の開始から終了までの全揉捻時間を20〜30分間とし、該全揉捻時間の0〜40%の時間が経過したのちビワ葉を添加することを特徴とする発酵茶葉の製造方法を提供する。
本発明は、茶の葉をすりつぶしつつ、ビワ葉を添加して混合かつすりつぶしを行うすりつぶし工程と、該すりつぶし工程後、直ちに加熱して発酵を止める工程を有し、前記すりつぶし工程において、茶の葉のすりつぶしの開始から終了までの全すりつぶし時間を15〜25分間とし、該全すりつぶし時間の0〜40%の時間が経過したのちビワ葉を添加することを特徴とする発酵茶葉の製造方法を提供する。
本発明は、茶の葉に水を加えて粉砕撹拌しつつ、ビワ葉を添加して混合かつ粉砕撹拌する粉砕撹拌工程と、該粉砕撹拌工程後、温度20〜27℃、湿度30〜60%RHの環境下に静置して4〜12時間発酵させた後、加熱して発酵を止める工程を有し、前記粉砕撹拌工程において、茶の葉の粉砕撹拌の開始から終了までの全粉砕撹拌時間を5〜15分間とし、該全粉砕撹拌時間の0〜50%の時間が経過したのちビワ葉を添加することを特徴とする発酵茶葉の製造方法を提供する。
本発明は、本発明の製造方法で得られる発酵茶葉を提供する。
本発明は、本発明の発酵茶葉を抽出して得られる発酵茶葉抽出物を提供する。
本発明は、本発明の発酵茶葉を含有する飲食品を提供する。
本発明は、本発明の発酵茶葉抽出液を含有する飲食品を提供する。
本発明の飲食品は、血糖値上昇抑制用飲食品として好適である。
本発明の飲食品は、糖尿病予防または改善用飲食品として好適である。
本発明の飲食品は、中性脂肪低減用飲食品として好適である。
本発明の飲食品は、コレステロール低減用飲食品として好適である。
本発明の飲食品は、血清過酸化脂質低減用飲食品として好適である。
本発明の飲食品は、体脂肪蓄積抑制用飲食品として好適である。
本発明の飲食品は、血圧上昇抑制用飲食品として好適である。
本発明において、原料として用いられる茶の葉は、いわゆるツバキ科の常緑低木Thea sinensis L.の葉である。この葉としては、一番茶以外に二番茶、三番茶、秋冬番茶、刈番茶なども使用でき、比較的多くのポリフェノール類を含む二番茶以降の安価な茶の葉のほうが好ましい。なお、これらの遅手の番茶は、現在価格が低迷し、かなりのものが廃棄されているが、このものを有効に利用できる。
特に、後述の実験例および分析試験例で用いた長崎東彼杵産の中国種の茶葉、好ましくはヤブキタ種の茶葉には、天然での存在が少ししか確認されていないエピアフゼレチン−3−O−ガレートを構成ユニットとして有するプロアントシアニジンが含まれるので好ましい。また該エピアフゼレチン−3−O−ガレートを構成ユニットとして有するプロアントシアニジンを含む可能性がある茶葉としては、インド産ダージリン紅茶や中国産キーモン紅茶の製造に用いられる茶葉が挙げられる。
該エピアフゼレチンガレートを構成ユニットとして有するプロアントシアニジンは、後述するように、高いAGH阻害性(マルターゼ阻害性およびスクラーゼ阻害性)を有する。
まず、前処理として、ビワ葉および茶の葉を、必要に応じて乾燥し、含水率を50〜60質量%程度としておくことが好ましい。また適宜の寸法、例えば1〜10mm角程度の大きさに切断しておくことが好ましい。
そして、茶の葉を乾燥し、水分量を減少させ、萎凋させる。この工程では、例えば粗揉機や、直火または電気で加熱した鍋または板状の器具を用い、茶の葉を撹拌しつつ、温度40〜150℃の加熱空気を茶の葉に当てる方法、密閉撹拌容器内に茶の葉を投入し、容器内の空気を吸引して内部を減圧状態として撹拌して乾燥する方法、萎凋槽を用いてネット上に散布した茶の葉の下方から通気する方法などが用いられる。
この萎凋により原料の茶の葉の含水率を45〜65質量%、好ましくは50〜60質量%程度に減少させておくと、次の揉捻工程で茶の葉から水分が揉み出れ難くなるため、有効成分の流亡を防止できるとともに品質の低下を抑えることができる。また後の乾燥工程が短縮できる点でも好ましい。
ビワ葉の添加量は、ビワ葉/茶の葉の絶乾質量比が、5/95〜35/65の範囲が好ましく、8/92〜30/70の範囲がより好ましい。ビワ葉の添加量が上記範囲内であれば、茶の葉とビワ葉を混合したことによる血糖値上昇抑制作用の向上効果が良好に得られる。
揉捻時間は、15〜25分とされる。この範囲とすることにより血糖値上昇抑制作用が良好となる。
また、揉捻時の原料の温度は、20〜40℃とされる。20℃未満では発酵不足となり、40℃を越えると品質低下が著しくなる。
発酵時間は0〜4時間とされる。ここで、発酵時間が0時間と言うことは、先の揉捻工程において、揉捻の開始と同時に発酵が開始するためであり、揉捻工程の時間を発酵工程に含めない場合には、発酵時間が0時間と言うこともあり得るのであり、実体は0時間でも発酵が行われているものである。発酵時間が4時間を超えると、得られる混合発酵茶葉またはその抽出物の味、香りが低下する傾向がある。特に優れたAGH阻害性を得るには、発酵時間は1時間以下が好ましく、0時間が最も好ましい。
上記製造工程において、揉捻時間、発酵時間が長くなるほどAGH阻害性が低くなる。また、抗酸化作用(1,1−ジピクリル−2−フェニルヒドラジル(DPPH)消去活性)も低くなる。機能性に注目して製造を行うなら揉捻時間を15〜25分とし、発酵時間をなるべく短くすることが理想である。
また、発酵時間が長くなるほど味に関しては苦渋みが強くなり、香りも悪くなり発酵時間が短いほど味、香りとも優れる。
手で揉む方法を用いる場合は、通常、茶の葉の揉み込みに用いられている手法を適宜用いることができる。例えば、「ねこぶき」と呼ばれる荒縄で編んだ凹凸のある敷物上で、手で揉み込む方法などが採用でき、これ以外の方法を用いてもよい。具体的には、萎凋工程を経た原料の茶の葉を手で揉む方法で揉捻するとともに、この揉捻時にビワ葉を添加して、両者を一緒に揉捻する。この場合の揉捻時間は20〜30分が好ましく、20分未満または30分を超えると、得られる発酵茶の血糖値上昇抑制作用が低くなる。その他の条件等は上記と同じである。発酵工程は上記と同様に行うことができる。
本方法において、揉捻時間、発酵時間が長くなるほどAGH阻害性が低くなる。また、抗酸化作用(DPPH消去活性)も低くなる。機能性に注目して製造を行うなら揉捻時間を20〜30分とし、発酵時間をなるべく短くすることが理想である。
こうしてすりつぶすことによって、茶の葉およびビワ葉の原料の組織が破壊され、茶の葉に含まれるポリフェノールオキシダーゼなどの酸化酵素が茶の葉およびビワ葉に含まれるポリフェノールを酸化、重合し、酸化重合物が生成する。発酵工程は上記と同様に行うことができる。
本方法において、すりつぶし時間、発酵時間が長くなるほどAGH阻害性が低くなる。また、抗酸化作用(DPPH消去活性)も低くなる。機能性に注目して製造を行うならすりつぶし時間を15〜25分とし、発酵時間をなるべく短くすることが理想である。
また、発酵時間が長くなるほど味に関しては苦渋みが強くなり、香りも悪くなり発酵時間が短いほど味、香りとも優れる。
粉砕撹拌時間は、5〜15分とされ、5分未満または15分を超えると、得られる発酵茶の血糖値上昇抑制が低くなる。粉砕撹拌時の原料の温度は上記と同様であり、20〜40℃とされる。
ビワ葉の添加のタイミングは、粉砕撹拌開始と同時に添加してもよく、あるいは一定時間茶の葉のみの粉砕撹拌を行った後、ビワ葉を添加してさらに粉砕撹拌してもよい。全粉砕撹拌時間のうち、粉砕撹拌開始から0〜50%の時間が経過したのち、ビワ葉を添加することが好ましい。
こうして粉砕撹拌することによって、茶の葉およびビワ葉が混合されるとともに、これら原料の組織が破壊され、茶の葉に含まれるポリフェノールオキシダーゼなどの酸化酵素が茶の葉およびビワ葉に含まれるポリフェノールを酸化、重合し、酸化重合物が生成する。
ついで、粉砕撹拌により得られた混合原料を発酵する工程においては、粉砕撹拌後の混合原料を数cmの厚さに堆積し、温度20〜27℃、湿度30〜60%RHの発酵室内などの環境下において静置する。発酵時間は4〜12時間が好ましい。発酵時間が4時間未満では、発酵が進んでいないので血糖値上昇抑制作用が低く、香りも青臭い。発酵時間が12時間を超えると、得られる発酵茶の味、香りが低下する傾向がある。薬効を重視した場合では、4〜12時間が好ましい。すなわち発酵時間4〜12時間が、特にAGH阻害性が高くなる。また抗酸化作用(DPPH消去活性)も高くなる。機能性に注目して製造を行うなら粉砕撹拌時間10〜15分、発酵時間を4〜12時間に保つことが理想である。また、この時間外では味に関しては苦渋みが強くなり、香りも悪くなる。
ついで、所定の発酵時間が経過したならば、原料を加熱して発酵を止め、乾燥する。例えば、容器に原料を流し込んだものを、乾燥機に入れ温度80〜120℃の熱風を吹き込み、排気温度が50〜60℃となるように操作する。加熱時間は60〜120分程度が好ましく、これにより原料中の水分量を5%程度とする。こうして、本発明の発酵茶が得られるが、加熱工程後のものは、粉状に粉砕してもよく、粉砕せずに固形物として用いることもできる。
本発明の混合発酵茶葉によって奏される薬効に寄与する有効成分についての全体像は未だ明らかではないが、下記(1)〜(4)の各成分は、後述の実験例および分析試験例により、高いAGH阻害性(マルターゼ阻害性およびスクラーゼ阻害性)を示すことが判明している。
(1)テアシネンシンA(以下、TS−Aと略記することもある。)、
(2)ガロイル基を有するテアフラビン誘導体、
(3)エピアフゼレチンガレートを構成ユニットとして有するプロアントシアニジン、
(4)13C−NMRスペクトルでカテキンA環のフロログルシノール由来のシグナルとガロイル基由来のシグナルを示し、アセチル化体の分子量が2000を極大とする1000〜15000であるカテキンガレート類の酸化縮合したポリフェノール(以下、ポリフェノールPと略記することもある。)。
(2)ガロイル基を有するテアフラビン誘導体は、具体的には、テアフラビン−3−O−ガレート(3−TFG)、テアフラビン−3’−O−ガレート(3’−TFG)、テアフラビン−3,3’−ジ−O−ガレート(3,3’−TFGG)から選ばれる1種以上である。これらの構造は図3に示される。これらの中でも、特に、テアフラビン−3,3’−ジ−O−ガレートはAGH阻害性がより強い。
(3)エピアフゼレチンガレートを構成ユニットとして有するプロアントシアニジンは、後述の分析試験例3におけるFr.7に含まれており、メルカプトエタノールによるチオール分解により、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピガロカテキン−3−O−ガレート(EGCg)、およびエピカテキン−3−O−ガレート(ECg(以下、ECGと記載することもある))からなる群から選ばれる1種以上と、EGC−ME(以下、「−ME」は「4−(2’−ハイドロキシエチルチオ)エーテル」を示す。例えばEGC−MEは、EGCの4−(2’−ハイドロキシエチルチオ)エーテルであることを示す。以下同様)、EC−ME、EGCg−ME、およびECg−MEからなる群から選ばれる1種以上と、エピアフゼレチン−3−O−ガレート−MEとを生じるものである。かかるプロアントシアニジンのチオール分解前の構造は例えば図4に示されるものと推定される。なお、(3)成分におけるエピアフゼレチンガレートは、エピアフゼレチン−3−O−ガレートを指す。
この成分(3)は原料の茶の葉由来であり、原料の茶の葉として、(3)エピアフゼレチンガレートを構成ユニットとして有するプロアントシアニジンを含有する茶の葉を用いて製造した混合発酵茶葉に含まれる。
すなわち、混合発酵茶葉に含まれるテアフラビン類の合計の含有量は、ビワ葉を加えない他は同条件で製造した茶の葉の単独発酵茶葉に含まれるテアフラビン類の合計の含有量よりも多く、例えば1.5倍以上、好ましくは2倍以上、より好ましくは2.5倍以上である。上限は制限されないが、4倍より多くはならないと推測される。
例えば、後述の分析試験例4および図7(発酵茶葉エキスの酢酸エチル可溶性画分の高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略記することもある。)分析結果)において、混合発酵茶葉エキスは、単独発酵茶葉エキスに比較して、テアフラビン類のピーク面積の合計が約2.7倍にも増加しており、ビワ茶の添加によってテアフラビン類の生成が大幅に促進されたことがわかる。
すなわち、混合発酵茶葉に含まれるポリフェノールPの含有量は、ビワ葉を加えない他は同条件で製造した茶の葉の単独発酵茶葉に含まれるポリフェノールPの含有量よりも多い。例えば1.2倍以上、好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上である。上限は制限されないが、4倍より多くはならないと推測される。
例えば、後述の分析試験例4および図6(発酵茶葉エキスの水溶性画分のHPLC分析結果)において、混合発酵茶葉エキスは、単独発酵茶葉エキスに比較して、ベースラインの盛り上がりとして検出される物質のピーク面積が約1.59倍(159%)にも増加しており、この増加分はビワ茶の添加によって生成が促進されたカテキン酸化生成物によると考えられる。このカテキン酸化生成物は、分析試験例5において前記ポリフェノールPとして特定された成分に相当する。
上記に挙げた香気成分のうち、後述の分析試験例10にも示されるように、リナロール、ベンツアルデヒド、サリチル酸メチル、ゲラニオール、およびネロリドールは、紅茶等の発酵茶にも比較的多く含まれ、緑茶等の不発酵茶および発酵したビワ葉には少ない香気成分である。また、トランス−2−ヘキセナール、酢酸3−ヘキセン−1−オール、および3−ヘキセン−1−オールは、発酵したビワ葉にも比較的多く含まれる香気成分である。本発明の混合発酵茶葉は、これらの香気成分を比較的多い含有量で有しており、これにより発酵茶として特有な香りを味わうことができる。
本発明の発酵茶葉抽出物(以下、混合発酵茶葉抽出物ということもある)は、発酵茶葉の可溶性成分を抽出溶媒で抽出して得られる抽出物である。抽出溶媒は水(温水または熱水を含む)でもよく、有機溶媒でもよい。有機溶媒の具定例としてはメタノール、エタノール、アセトン等が挙げられる。本発明の血糖値上昇抑制用組成物としての発酵茶葉抽出物の形態は特に限定されず、溶液状でもよく、その濃縮物でもよく、さらに凍結乾燥等により乾燥させた固体でもよい。固体の場合は、塊状であってもよく、さらにそれを適宜の大きさに粉砕した粉末状であってもよい。発酵茶葉抽出物を有機溶媒を含む形態で飲食品に用いる場合は、有機溶媒としてエタノールが用いられる。
有機溶媒で抽出する場合は、有機溶媒100質量部に対して発酵茶葉(含水率5質量%)0.1〜20質量部程度を用い、常圧または加圧下で、温度−20〜60℃、時間1〜60分の条件で行うことが好ましいが、この範囲に限定されず、適宜変更することができる。
抽出処理後、ろ過、遠心分離などで、固形分を除去して抽出液が得られる。
本発明の飲食品は、例えば、混合発酵茶葉抽出物を含有する各種飲料である。また混合発酵茶葉抽出物が混合発酵茶葉を水で抽出したものであって、そのまま飲用可能な風味を有するものであれば、該抽出物を茶飲料とすることもできる。
または、混合発酵茶葉および/または混合発酵茶葉抽出物を種々の食品素材に添加した食品である。食品素材としては特に限定されることはなく、納豆、豆乳、味噌、醤油などの大豆食品、はんぺん、かまぼこ、ちくわなどの練り製品、ハム、ソーセージなどの食肉加工品、飴、キャラメル、最中、羊羹などの菓子類など多岐にわたる。
例えば血糖値上昇抑制用飲食品の場合は、添加する混合発酵茶葉および混合発酵茶葉抽出物それぞれのAGH阻害性(例えばIC50)を目安として、得ようとする血糖値上昇抑制効果、および期待される風味および摂取量に応じて適宜設定することができる。
発酵茶葉を食品素材に添加する場合、例えば、食品素材100質量部に対して、発酵茶(含水率5質量%)0.1〜200質量部の範囲で適宜に決めることができる。
このような本発明の飲食品は、混合発酵茶葉および/または混合発酵茶葉抽出物を含んでおり、これを摂取することにより血糖値上昇抑制効果、糖尿病予防または改善効果、中性脂肪低減効果、コレステロール低減効果、血清過酸化脂質低減効果、体脂肪蓄積抑制効果、または血圧上昇抑制効果が得られる。好ましくは、これらの効果の2以上が同時に得られ、全部の効果を同時に得ることもできる。
以下の実験例および分析試験例で用いた原料の「茶の葉」はいずれも長崎県総合農林試験場東彼杵茶葉支場で栽培したヤブキタ種の三番茶の葉である。また、特に断りのない限り揉捻は揉捻機を用いて行った。
なお実施例1、分析試験例1〜5におけるAGH阻害性の評価は、松井らによる遊離AGHを用いた方法(J.Agric.food Chem., 47,550−553,(1999))に拠って行い、測定結果をα−グルコシダーゼ(AGH)酵素活性の阻害率(単位:%)で表している。
(混合発酵茶葉の製造)
茶の葉にビワ葉を投入し、揉捻機で揉み込んだ。茶の葉とビワ葉の配合割合は茶の葉:ビワ茶の質量比が90:10(ビワ投入割合10%)と75:25(ビワ投入割合25%)の2通りとした。揉み込みの時間は20分と40分の2通りとした。
この後、0時間、1時間、2時間、4時間、6時間、24時間の6通りの発酵工程を経て24種類の混合発酵茶葉を得た。なお、発酵工程0時間のものは揉み込み終了直後に得られる混合発酵茶葉である。
緑茶の官能審査経験がある3名のパネラーにて、上記で得た24種類の混合発酵茶葉について、緑茶の審査法に従って香気および味の審査を行った。審査に当たっては、審査茶碗に混合発酵茶葉3gを入れ熱水180mlを注ぎ、香りについては熱水を注いだ直後に、味については5分後に審査を行った。結果を表1に示す。
上記で得た24種類の混合発酵茶葉のうち、発酵時間が6時間と24時間のものを除く16種類について、100℃の熱水で10分間抽出した抽出液(混合発酵茶葉の使用量;2.0mg/ml)のAGH阻害性を測定した。結果を表2に示す。
また、市販の緑茶、ビワ茶、グアバ茶、紅茶をそれぞれ同様に熱水で抽出した抽出液について、同様にしてAGH阻害性を測定した。結果を表3に示す。
また表2,3の結果より、特にビワ葉の配合割合10質量%、揉捻時間20分、発酵時間0〜1時間、およびビワ葉の配合割合25質量%、揉捻時間20分、発酵時間0時間の条件で、緑茶よりも優れたAGH阻害性が得られた。
表2において、優れたAGH阻害性を示した混合発酵茶葉(茶の葉とビワ葉の配合割合9:1、揉捻時間20分、発酵時間0時間)を70%アセトン(濃度70体積%のアセトン水溶液、以下同様。)で室温抽出し、抽出液を濃縮して水溶液とした後、エーテルを加え溶媒分配してクロロフィルなどの脂溶性成分を除いた。得られた水層を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した結果を図1に示す。
図1に示されるように、緑茶成分であるカフェイン、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピガロカテキン−3−O−ガレート(EGCg)、エピカテキン−3−O−ガレート(ECg)に加えて、これらのカテキンの酸化により生成する二量体であるところのテアシネンシンC、テアシネンシンE、テアシネンシンA、テアシネンシンD(EGCgと重なっている)、テアフラビン類(テアフラビン(TF)、テアフラビン−3−O−ガレート(3−TFG)、テアフラビン−3’−O−ガレート(3’−TFG)、テアフラビン−3,3’−ジ−O−ガレート(3,3’−TFGG)を含む。)のピークが検出された。また、ベースラインの盛り上がりとして検出されるカテキン酸化生成物の存在も認められた。
表2において、優れたAGH阻害性を示した混合発酵茶葉(茶の葉とビワ葉の配合割合9:1、揉捻時間20分、発酵時間0時間)を乾燥させた乾燥発酵茶葉を図2に示す手順で分画した。
<操作(1)> 乾燥発酵茶葉(含水率5質量%)125gを、70%アセトン2Lと共に破砕機(製品名;ワーリングブレンダー 7011S型、エフ・エム・アイ社製)中で破砕し、ろ過した。残渣を70%アセトン3Lで抽出してアセトン抽出液を得た後、該残渣をメタノール3Lで抽出してメタノール抽出液を得た。前記ろ過で得られたろ液と、前記アセトン抽出液と、前記メタノール抽出液を合わせてロータリーエバポレーターで濃縮後乾燥してエキス(乾燥物)59.9gを得た。
<操作(2)> 得られたエキスを水に懸濁し、エーテルを加え溶媒分配してクロロフィルなどの脂溶性成分を除いた。
<操作(3)> 操作(2)で得られた水層を水で調製したSephadex LH−20カラム(ファルマシア ファイン ケミカル社製、4cm×28cm)に流し込み、水(500mL)、40%メタノール(200mL)、60%メタノール(300mL)、80%メタノール(300mL)、メタノール(300mL)、60%アセトン(500mL)で順次溶出した。
溶出液を濃縮してフラクションFr.1(18.66g)、Fr.2(5.79g)、Fr.3(3.12g)、Fr.4(4.87g)、Fr.5(6.01g)、Fr.6(3.55g)、Fr.7(2.07g)に分画した。
各フラクションについてAGH阻害活性を測定したところ、下記表4に示すように、Fr.6及び7が非常に高い阻害率を示した。
<操作(4)> Fr.6およびFr.7それぞれについて、MCIgelCHP20P(三菱化学社製、3cm×28cm)に付して、20%メタノール(100mL)、30%メタノール(100mL)、40%メタノール(100mL)、50%メタノール(100mL)、60%メタノール(100mL)、70%メタノール(100mL)、80%メタノール(100mL)、90%メタノール(100mL)、メタノール(200mL)で順次溶出した。
得られた溶出液を濃縮してFr.6からFr.6−1(899mg)、Fr.6−2(2.16g)、Fr.6−3(282mg)の画分を得た。また、Fr.7からFr.7−1(67mg)、Fr.7−2(1.17g)、Fr.7−3(600mg)の画分を得た。
このうちFr.6−1とFr.7−1は水素核磁気共鳴(1H−NMR)スペクトルを測定し、標品のスペクトルと比較することにより、それぞれテアシネンシンAおよびテアシネンシンDと同定した。Fr.6−3とFr.7−3はいずれもHPLCと薄層クロマトグラフィーの結果からテアフラビン類であると同定した。
得られた溶出液を濃縮してFr.721(179mg)、Fr.722(1.10g)、Fr.723(530mg)、Fr.724(1.27g)に分画した。
このうちFr.721は1H−NMRスペクトルを測定し、EGCgとテアシネンシンAの混合物であると同定した。
得られた溶出液を濃縮してFr.7221(3.7mg)、Fr.7222(41.3mg)、Fr.7223(47.0mg)、Fr.7224(166.2mg)、Fr.7225(458mg)、Fr.7226(657.5mg)に分画した。
このうちFr.7221、Fr.7222、Fr.7223とFr.7224は1H−NMRスペクトルを測定し、標品のスペクトルと比較することにより、それぞれ没食子酸、ECg、EGCg、エピガロカテキン−3,3’(4’)−O−ガレートと同定した。
得られた溶出液を濃縮してFr.72251(39.6mg)、Fr.72252(320mg)、Fr.72253(47.7mg)に分画した。
このうちFr.72251は1H−NMRスペクトルを測定し、標品のスペクトルと比較することにより、ウーロンテアニンと同定した。
得られた溶出液を濃縮してFr.722521(10.5mg)、Fr.722522(38.3g)、Fr.722523(60mg)に分画した。
このうちFr.722521は1H−NMRスペクトルを測定し、エピガロカテキン−3,3’(4’)−O−ガレートと同定した。
得られた溶出液を濃縮してFr.7225231(14.4mg)、Fr.7225232(16.1mg)、Fr.7225233(15.5mg)に分画した。
このうちFr.7225232は1H−NMRスペクトルを測定し、標品のスペクトルと比較することにより、ガロイル ウーロンテアニンと同定した。
Fr.6−1:テアシネンシンA(TS−A)、
Fr.6−3、7−3:テアフラビン(TF)混合物(テアフラビン、テアフラビン−3−O−ガレート、テアフラビン−3’−O−ガレート、テアフラビン−3,3’−ジ−O−ガレートを含む)、
Fr.7−1:テアシネンシンD (TS−D)、
Fr.7221:没食子酸、
Fr.7222:エピカテキン−3−O−ガレート(ECg)、
Fr.7223:エピガロカテキン−3−O−ガレート(EGCg)、
Fr.7224およびFr.722521:エピガロカテキン(EGC)−3,3’(4’)−ジ−O−ガレート、
Fr.72251:ウーロンテアニン、
Fr.7225232:ガロイルウーロンテアニン。
上記分析試験例2において非常に高いAGH阻害活性を示したFr.7について、HPLC分析を行った結果を図4Aに示す。分析条件は、
カラム:Cosmosil 5C18 ARII(ナカライテスク社製、4.6×250mm)、
カラム温度:35℃、
移動相:A;50mMリン酸、B;CH3CN、B 4%から30%(39分間)、30%から75%(15分間)、
流速:0.8ml/min、
検出:フォトダイオードアレイ検出(Max absorbance)とした。
(なお、以下の分析試験例におけるHPLC分析条件は、特に断りがない限り、本試験例と同様である。)
この図の結果より、Fr.7には上記分析試験例2で存在が判明したテアフラビン混合物および上記化合物のほかに、薄層クロマトグラフィー(TLC)分析では原点として検出され、HPLC分析ではベースラインの盛り上がりとして検出される物質がかなり多く含まれていることが明らかになった。かかる物質は主に図2中のFr.724に分画されていた。
かかる物質は、各種カラムクロマトでの挙動および紫外可視吸収スペクトルがEGCgのものと類似していること、塩化第二鉄試薬及びバニリン塩酸試薬に対して陽性であることから、上記分析試験例2で存在が判明したカテキン類よりも分子量の大きいカテキン酸化生成物と推測される。
通常、茶に含まれる高分子ポリフェノールの典型的なものにプロアントシアニジンがあり、ビワ葉にはエピカテキンを構成ユニットとするプロアントシアニジン(ビワプロアントシアニジン)が含まれることが知られていることから、前記Fr.7における「分子量の大きいカテキン酸化生成物」にはプロアントシアニジンが含まれていると推測される。
そこで、前記Fr.7に含まれているプロアントシアニジンの構成ユニットを明らかにする目的で、Fr.7に対して、下記の方法でメルカプトエタノールによるチオール分解を行った。
すなわち、Fr.7の60%エタノール溶液(Fr.7の濃度;10mg/mL)0.2mLに、メルカプトエタノール試液(メルカプトエタノール2.5mL、0.1%塩酸4mL,エタノール27.5mL、水16mLを混合したもの)1.8mLを加えて60℃で6時間加熱し、反応液20μLをHPLCで分析した。分析条件は図4Aを得たときと同じとした。こうして得られたチオール分解後のクロマトグラムを図4Bに示す。
すなわち、1H−NMRスペクトルにおいて、A環、C環、ガロイル基及びヒドロキシエチルチオ基のシグナルはEGCg−MEのものとほとんど同じであるが、B環のシグナルがd7.40及び6.81にいずれも2H分の二重線(J=8Hz)として観察され、これはB環がp−ヒドロキシフェノールであることを示していた。また、TOF(飛行時間型)質量分析ではm/z 503に[M+H]+ピークを示したこともこのことを支持していた。
また、EC−MEのピークは、ビワ葉を混合しない場合よりも、混合した場合の方が明らかに大きかった。このことから、ビワ葉に含まれる「エピカテキンを構成ユニットとするプロアントシアニジン(ビワプロアントシアニジン)」は、AGH阻害性が高いFr.7に含まれていることがわかる。
図4Bに示されるように、AGH阻害性が高いFr.7をチオール分解した後も、ベースラインの盛り上がりは残っている。
このことは、Fr.7には、上記分析試験例3で述べた「エピアフゼレチンガレートを構成ユニットとするプロアントシアニジン」および「ビワプロアントシアニジン」のほかに、HPLC分析においてベースラインの盛り上がりとして検出される物質が存在することを示している。
そこで、HPLC分析においてベースラインの盛り上がりとして検出される物質が、茶の葉とビワ葉を混合した場合の混合発酵茶葉と、ビワ葉を混合しないほかは同様にした場合の発酵茶葉(以下、単独発酵茶葉ということがある)とで生成量が異なるかどうか比較した。なお混合発酵茶葉の製造条件は分析試験例1,2と同様であり、茶の葉とビワ葉の配合割合9:1、揉捻時間20分、発酵時間0時間である。
残った水層を一旦濃縮した後、70%エタノールで30mLとし、その10μLをHPLCで分析した。該水層のHPLC分析結果を図6に示す。
この図に示されるように、混合発酵茶葉の方が、単独発酵茶葉よりも、明らかにベースラインの盛り上がりとして検出される物質の量が多い。ピークの面積を比較すると、混合発酵茶葉においてベースラインの盛り上がりとして検出される物質の量は、単独発酵茶葉の159%と見積もられる。この増加分にはビワ葉由来のプロアントシアニジンも含まれるが、混合発酵茶葉におけるビワ葉の添加量は茶の葉の10分の1量にすぎないため、元々ビワ葉に含まれていた成分だけで59%の増加は説明できない。したがって、この増加分は、ビワ葉を添加したことにより生成が促進され、ビワ葉を添加しないと生成されないカテキン酸化生成物の存在を示している。
この図に示されるように、混合発酵茶葉では単独発酵茶葉に比べてテアフラビン類のピーク面積が合わせて2.7倍に増加している。一方、カテキン類のピーク面積は減少しており、具体的にはEGCは0.24倍、ECは0.44倍、EGCgは0.57倍、ECgは0.64倍にそれぞれ減少している。
このことは、混合発酵茶葉においては、茶葉にビワ葉を添加し揉み込むことで高分子のカテキン酸化生成物が多量に生成されることを示している。
分析試験例4の結果より、混合発酵茶葉においては、茶葉にビワ葉を添加し揉み込むことで高分子のカテキン酸化生成物が多量に生成され、それはHPLC分析ではベースラインの盛り上がりとして検出されること、すなわち薄層クロマトグラフィー(TLC)分析では原点として検出されることがわかった。
そこで、かかる混合発酵茶葉において特異的に増加する成分を特定することを目的として、以下の方法により、混合発酵茶葉(茶の葉とビワ葉の配合割合9:1、揉捻時間20分、発酵時間0時間)に含まれる成分のうち、薄層クロマトグラフィー(TLC)分析において原点として検出される酸化型高分子ポリフェノールを分離した。
すなわち、混合発酵茶葉(含水率5質量%)228gを60%エタノール3Lで3回室温抽出し、3回の抽出液を合わせて減圧濃縮した。得られた水溶液(1.5L)をエチルエーテル、酢酸エチル、n−ブタノールで順次溶媒分配して、エチルエーテル可溶部(4.03g)、酢酸エチル可溶部(9.8g)、n−ブタノール可溶部(22.1g)を得た。
n−ブタノール可溶部15gを60%メタノールに溶かし、60%メタノールでコンディショニングしたSephadex LH−20カラムにかけ、60%メタノール、80%メタノール、100%メタノール、次いでメタノール−水―アセトン(8:1:1)混合溶液、メタノール−水―アセトン(6:2:2)混合溶液、水―アセトン(1:1)混合溶液で順次溶出した。溶出液をTLC(トルエン−ギ酸エチル−ギ酸、1:7:1)分析して、原点から移動しない物質を含むフラクションだけを集め濃縮して、ポリマー様物質(酸化型高分子ポリフェノール画分)1.4gを得た。そのHPLC分析結果を図8Aに示す。
こうして得られたポリマー様物質(酸化型高分子ポリフェノール画分)についてAGH阻害性を測定した。その結果を表5に示す。
またテアフラビン−3,3’−ジ−O−ガレートについてのAGH阻害性の測定結果も合わせて表5に示す。
すなわち、上記で得た酸化型高分子ポリフェノールを60%エタノールに溶解させた溶液(酸化型高分子ポリフェノールの濃度:10mg/mL)0.2mLと、メルカプトエタノール試液0.8mLとを混合し、60℃で5時間反応させ、その5μLをHPLCで分析した。その結果を図8Bに示す。
前記分析試験例3においてFr.7をチオール分解したものをHPLC分析したときと同様に、エピアフゼレチン−3−O−ガレート−MEを初めとするチオエーテル化合物及びカテキン類のピークが検出された。また図8Bにはチオール分解後にもベースラインの盛り上がりが観察された。
このことから、上記で得られた酸化型高分子ポリフェノール画分には、前述したエピアフゼレチンガレートを構成ユニットとして有するプロアントシアニジンが含まれるが、その含有割合は少なく、チオール分解されない物質がかなり含まれていることが示唆される。
図9の結果より、ビワプロアントシアニジンにはカテコール環型B環(Bc)由来のシグナルが観察されるのに対して、混合発酵茶葉から分離された酸化型高分子ポリフェノールにはB環由来のシグナルがほとんど観察されず、カテキンのA環に対応するフロログルシノール(1,3,5−トリヒドロキシベンゼン)に由来するシグナル、及びガロイル基のピロガロール(1,2,3−トリヒドロキシベンゼン)に由来するシグナルが観察され、小さいながらC環由来のシグナルも一部認められた。
このことから、混合発酵茶葉から上記の方法で分離された酸化型高分子ポリフェノールの主成分はビワプロアントシアニジンではなく、B環部に様々な構造を持つカテキン誘導体が酸化的に縮合して高分子化した物質であることがわかる。
かかる高分子ポリフェノールの構造は、明確ではないが、図3に示した化合物からの類推により、主にカテキンガレート類のB環同士が酸化的に縮合して高分子化したものと考えられる。B環の結合様式としては図3に示すテアシネンシン、テアフラビン、ウーロンテアニンなど様々なタイプが推測されるが、現在のところ詳細は不明である。
EGCgの計算値(C22H18O11:炭素57.65%、水素3.96%、C22H18O11・2H2O:炭素53.44%、水素4.49%)に比べて水素含有率が高く、通常の酸化では水素含有率は減少するはずであるので、カテキン酸化の過程で別の代謝産物が取り込まれている可能性が示唆される。
ゲル浸透クロマトグラフィーの測定条件は以下の通りとした。
カラム:TSK−gel G 4000H6、直径4.6mm×長さ250mm、東ソー社製、
ポンプ:TOSO DP8020、東ソー社製、
検出器:JASCO UV970日本分光社製、254nm、
移動層:テトラヒドロフラン、
温度:室温、
流速:1.0mL/min、
標準ポリスチレンとの比較による分子量計算:JASCO 807ITインテグレータ、日本分光社製。
なお、カテキン類からの類推でアセチル化による分子量増加分を1.5倍とすると、分子量は1330を極大とする670〜10,000となる。カテキンガレート類だけから生成したものと仮定すると、二量体に相当するもの(テアフラビン)から20量体に相当するものまで含まれることになる。
EC、ECG、EGC、EGCg、テアフラビン(TF)、3−TFG、3’−TFG、3,3’−TFGG、およびテアシネンシンA(TS−A)の純品(市販品)をDMSO(ジメチルスルホキシド):水=1:9からなる混合溶媒に溶解させてサンプル溶液を調製し、各サンプル溶液に関してAGH阻害活性測定を行った。
本試験例および分析試験例7におけるAGH阻害性の評価は、ラット小腸AGHを固定化した担体を用いたpseudo−in vivo法(T.Oki.et.al.,Biol.Pharm.Bull.,23,1084−1087(2000))によって行い、酵素活性を50%阻害する終濃度(IC50値、単位:mM)で表している。その結果を表6に示す。
混合発酵茶葉(茶の葉とビワ葉の配合割合9:1、揉捻時間20分、発酵時間0時間、含水率5質量%)20gを100℃の熱水1000mLで10分間抽出し、遠心分離して得られる上澄み液を凍結乾燥したものを試料としてAGH阻害性を調べた。
試料をDMSO:水=1:9の混合溶媒に溶解させてサンプル溶液を調製し、このサンプル溶液に関して上記pseudo−in vivo法によりAGH阻害性を測定した。またこのサンプル溶液に含まれるカテキン類(EC、ECG、EGC、EGCg)およびテアフラビン類(TF、3−TFG、3’−TFG、3,3’−TFGG)の含有量を測定した。そして前記分析試験例6で測定したIC50値に基づいて、混合発酵茶葉によって奏されるAGH阻害性を100%としたときの、各成分によって奏されるAGH阻害性の割合(活性寄与率、単位:%)を求めた。マルターゼ阻害性の結果を表7に示し、スクラーゼ阻害性の結果を表8に示す。
分析試験例7と同じ混合発酵茶葉20gを100℃の熱水1Lで10分間抽出した。抽出液をろ過して得られたろ液をエバポレーターで濃縮後、凍結乾燥した。乾燥後の粉末10mgに水1mlを添加し、撹拌後、遠心処理(3000rpm、10分間)を行って上清、すなわち水溶性画分を得た。この水溶性画分のAGH阻害性を測定した。その結果を下記表9に示す。
なお本分析試験例におけるAGH阻害性の測定は前記遊離AGHを用いたin vitro法(Oki.T.et.al.,J.Agric.Food Chem,47,550−553(1999))により行った。
そこで、この高いAGH阻害性を示す熱水抽出物の水溶性画分に対して、下記の方法でさらに成分分離操作を行った。
すなわち、該熱水抽出物の水溶性画分を、Sephadex LH−20 (Amersham Biosciences製)を用いた吸着クロマトグラフィーに供した。溶出は水、50%メタノール、100%メタノール、70%アセトンの順に行い、それぞれで得られた画分を凍結乾燥したものについて、上記と同様にしてAGH阻害性測定を行った。各画分の収率及びAGH阻害性を下記表10に示す。なお表10には表9の測定結果も合わせて示す。
そこで、この70%アセトン溶出画分及び100%メタノール溶出画分について、ゲル浸透クロマトグラフィーにより分子量を測定したところ、これらAGH阻害性が特に高い両画分に含まれる成分は分子量100〜1500の範囲にあることが判明した。
ここでのゲル浸透クロマトグラフィーの測定条件は以下の通りである。
カラム:TSK−gel G2500 PWXL、直径7.8mm×長さ250mm、
ポンプ:島津製作所製、LC−10Avp、
検出器:SPD−10AV、254nm、
移動層:0.1M、リン酸緩衝液(pH7.2、0.1M塩化ナトリウムを含む)、
温度:室温、
流速:0.3mL/min、
標準ポリエチレングリコールとの比較による分子量計算。
上記分析試験例8と同様に、分析試験例7と同じ混合発酵茶葉20gを100℃の熱水1Lで10分間抽出し、得られた抽出液をろ過してろ液を得た。このろ液を、吸着剤Porapack Q(製品名、Waters社製)を充填したカラムに供した。そして、水100ml、続いて50%メタノール100mlでカラム中の水溶性成分を溶出させた。こうして得られた水溶出画分、および50%メタノール溶出画分をそれぞれ濃縮し乾燥させた後、AGH阻害活性を測定した。その結果を下記表11に示す。
本分析試験例におけるAGH阻害性の測定は上記松井らによる遊離AGHを用いた方法によって行い、阻害率(単位:%)の値で表す。
さらに、該水溶出画分および50%メタノール溶出画分について、上記分析試験例8と同様の条件で、ゲル浸透クロマトグラフィーにより分子量を測定したところ、これらAGH阻害性が特に高い両画分に含まれる成分は分子量100〜1900の範囲にあることが判明した。
分析試験例8、9の結果より、混合発酵茶葉の熱水抽出物の水溶性画分が高いAGH阻害性を示すこと、およびこのAGH阻害性に大きく寄与する成分の分子量は、100〜1900程度の比較的低分子量であることがわかった。
正常ラットに混合発酵茶葉の熱水抽出物(凍結乾燥品)を摂取させて、耐糖能に及ぼす影響を調べた。
混合発酵茶葉(茶の葉とビワ葉の配合割合9:1、揉捻時間20分、発酵時間0時間)、番茶、ビワ葉を乾燥させ粉砕したビワ葉、およびビワ葉を混合せず茶の葉だけを20分間揉捻して得た単独発酵茶葉を試料茶葉として用意した。なお上記番茶は、混合発酵茶葉の原料として使用したのと同じ茶の葉を用い、通常の緑茶の製造法に従って製造した番茶(茶の葉を発酵させずに製造した荒茶)である。
それぞれの試料茶葉(含水率5質量%)20gを100℃の熱水1,000mlで10分間抽出した後、ろ過した。ろ液を凍結乾燥した粉末状の抽出物を得た。
コレステロールを含まないAIN−76組成を基本とした食餌に、上記で調製した各熱水抽出物を含有率1質量%となるように添加した飼料(4種)を、それぞれ4週齢雄のSprague−Dawley(SD)ラットに自由摂食させた。
また、コントロールとして、食餌に熱水抽出物を添加しないコントロール食を、同様のラットに自由摂取させた。
ラットは、室温22±1℃、湿度55±5%、8:00〜20:00点灯のライトサイクルの動物飼育室で飼育した。4週間後、6時間絶食した後、1g/kg体重のマルトースを経口投与した。投与後、0、10、20、30および60分後にそれぞれ尾静脈より採血して、血糖試験測定メディセーフチップ(テルモ社製)を用いて血糖値を測定した。
その結果を図10に示す。
この図に示されるように、混合発酵茶葉の熱水抽出物を摂取したラットの血糖値は、いずれの試料茶葉よりも低いレベルで推移している。
このことから、混合発酵茶葉の熱水抽出物の摂取により優れた血糖値上昇抑制効果が得られることわかる。またその効果は、ビワ葉のみを乾燥させたビワ葉や、茶の葉のみを発酵させた茶葉で得られる効果よりも優れており、茶の葉とビワ葉を混合、揉捻、発酵させることにより相乗効果が得られることがわかる。
2型糖尿病を発症するラットに混合発酵茶葉の粉末を摂取させて、血糖値に及ぼす影響を調べた。
混合発酵茶葉(茶の葉とビワ葉の配合割合9:1、揉捻時間20分、発酵時間0時間、含水率5質量%)、をフードプロセッサを用いて、60〜100メッシュの大きさの粉末状態になるまで、粉砕加工して粉末状混合発酵茶葉を得た。
ラットは、1ヶ月齢の2型糖尿病を自然発症する雄性のOtsuka Long−Evans Tokushima Fatty ラット(以下OLETFラットという)と、その対象モデル動物で糖尿病を発症しない雄性のLong−Evans Tokushima Otsuka ラット(以下LETOラットという)とを用いた。ラットは、室温22±1℃、湿度55±5%、8:00〜20:00点灯のライトサイクルの動物飼育室で飼育した。
最初の3ヶ月間はLETOおよびOLETFラットにMF固形飼料(オリエンタル酵母工業(株)製)を与えて予備飼育を行った。OLETFラットは通常5ヶ月齢から8ヶ月齢までに2型糖尿病を発症することから、発症の可能性のある1ヶ月前の4ヶ月齢からLETOラットと共に試験食の摂食を開始した。
すなわち、4ヶ月齢の時に6時間絶食(9:00〜15:00)後、尾静脈より採血して血糖値を測定し、体重と血糖値が等しくなるように1群6匹ずつ群分けし、以下の試験食を5ヶ月間自由摂食させた。
試験食は、AIN−76に基づいた純化食をコントロール食とし、LETOラット−コントロール群とOLETFラット−コントロール群に摂食させた。コントロール食の組成(g/kg)は、カゼイン200、サラダ油100、ミネラル混合(AIN−76−MX)35、ビタミン混合(AIN−76−VX)10、セルロース50、重酒石酸コリン2、DL−メチオニン3、コーンスターチ150およびショ糖450とした。
OLETFラット−混合発酵茶葉添加群には、上記コントロール食に粉末状混合発酵茶葉を飼料総質量の5%添加し、その添加量分のショ糖量を減じた。
いずれの群も、飼育期間中、摂食量は毎日、体重および摂水量は1日おきに測定した。
図11において、横軸は試験食投与開始からの経過時間(単位:月)を示し、縦軸は血糖値の値を示している。
この図に示されるように、コントロール食を摂取した糖尿病を発症しないLETOラットの血糖値は、飼育期間を通じて低値であった。一方、コントロール食を摂取した糖尿病を発症するOLETFラットの血糖値は、経時的に上昇し、糖尿病を発症したとみなされた。
これに対して、2型糖尿病を発症するOLETFラットに混合発酵茶葉の粉末を添加した飼料を摂取させた群では、時間が長期間経過しても血糖値は上昇せず糖尿病を発症しないLETOラットと同程度の低レベルであった。このことから混合発酵茶葉の粉末は優れた血糖上昇抑制効果を有することが明らかとなった。
2型糖尿病を発症するラットに混合発酵茶葉の熱水抽出物(凍結乾燥品)を摂取させて、血糖値に及ぼす影響を調べた。
混合発酵茶葉(茶の葉とビワ葉の配合割合9:1、揉捻時間20分、発酵時間0時間、含水率5質量%)20gを100℃の熱水1000mLで10分間抽出し、ろ過して得られるろ液を凍結乾燥して粉末状の混合発酵茶葉抽出物を得た。
比較例として、通常の緑茶の製造法に従って製造した番茶(茶の葉を発酵させずに製造した荒茶)を同様の条件で抽出、ろ過、乾燥して粉末状の番茶抽出物を得た。また同じ含水率となるように乾燥させたビワ葉を同様の条件で抽出、ろ過、乾燥して粉末状のビワ葉抽出物を得た。
ラットは上記実験例3と同条件のものを用い、4ヶ月齢までの飼育条件も同じとした。
4ヶ月齢の時に6時間絶食(9:00〜15:00)後、尾静脈より採血して血糖値を測定し、体重と血糖値が等しくなるように1群6匹ずつに群分けし、以下の試験食を5ヶ月間自由摂食させた。
LETOラットとOLETFラットのコントロール食群には、実験例3と同じコントロール食を摂食させた。
OLETFラット−混合発酵茶葉添加群には、上記コントロール食に粉末状の混合発酵茶葉抽出物を飼料総質量の5%添加し、その添加量分のショ糖量を減じた。
OLETFラット−番茶添加群には、上記コントロール食に粉末状の番茶抽出物を飼料総質量の5%添加し、その添加量分のショ糖量を減じた。
OLETFラット−ビワ葉添加群には、上記コントロール食に粉末状のビワ葉抽出物を飼料総質量の5%添加し、その添加量分のショ糖量を減じた。
飼育期間中、摂食量は毎日、体重および摂水量は1日おきに測定した。
図12における縦軸と横軸は図11と同様である。この図に示されるように、コントロール食を摂取した糖尿病を発症しないLETOラットの血糖値は、飼育期間を通じて低値であった。一方、コントロール食を摂取した糖尿病を発症するOLETFラットの血糖値は、経時的に上昇し、糖尿病を発症したとみなされた。
これに対して、2型糖尿病を発症するOLETFラットに混合発酵茶葉の熱水抽出物(凍結乾燥品)を添加した飼料を摂取させた群では、時間が長期間経過しても血糖値は上昇せず糖尿病を発症しないLETOラットと同程度の低レベルであった。このことから混合発酵茶葉の熱水抽出物は優れた血糖上昇抑制効果を有することが明らかとなった。
2型糖尿病を発症するラットに混合発酵茶葉の粉末を摂取させたときの他の効果を調べた。
上記実験例3と同様にして粉末状混合発酵茶葉を製造した。
比較例として、混合発酵茶葉の原料として使用したのと同じ茶の葉を用い製造した番茶(茶の葉を発酵させずに製造した荒茶)を製造し、同様に粉砕加工して粉末状番茶を得た。また同じ含水率となるように乾燥させたビワ葉を粉砕加工処理して粉末状ビワ葉を得た。
ラットは上記実験例3と同条件のものを用い、4ヶ月齢までの飼育条件も同じとした。
4ヶ月齢の時に6時間絶食(9:00〜15:00)後、尾静脈より採血して血糖値を測定し、体重と血糖値が等しくなるように1群6匹ずつに群分けし、以下の試験食を5ヶ月間自由摂食させた。
LETOラットとOLETFラットのコントロール食群には、実験例3と同じコントロール食を摂食させた。
OLETFラット−混合発酵茶葉添加群には、上記コントロール食に粉末状混合発酵茶葉を飼料総質量の5%添加し、その添加量分のショ糖量を減じた。
OLETFラット−番茶添加群には、上記コントロール食に粉末状番茶を飼料総質量の5%添加し、その添加量分のショ糖量を減じた。
OLETFラット−ビワ葉添加群には、上記コントロール食に粉末状ビワ葉を飼料総質量の5%添加し、その添加量分のショ糖量を減じた。
飼育期間中、摂食量は毎日、体重および摂水量は1日おきに測定した。
下記表に血清インスリン濃度、血清過酸化脂質濃度、脂肪組織質量、血清コレステロール、血清トリグリセリド、肝臓コレステロール、肝臓トリグリセリドの測定結果をそれぞれ示す。
2型糖尿病を発症するラットに混合発酵茶葉の熱水抽出物(凍結乾燥品)を摂取させたときの他の効果を調べた。
上記実験例4と同様にして、LETOラットおよびOLETFラットに試験食を5ヶ月間自由摂食させた。
試験食投与開始5ヶ月後に、6時間絶食後、屠殺して血清、肝臓、および腎臓と睾丸周辺の脂肪組織を採取した。
下記表に血清インスリン濃度、脂肪組織質量、血清トリグリセリド、肝臓トリグリセリドの測定結果をそれぞれ示す。
正常ラットに混合発酵茶葉の熱水抽出物(凍結乾燥品)を摂取させたときの他の効果を調べた。
すなわち、上記実験例2と同じ試料茶葉(番茶、単独発酵茶葉、ビワ茶、混合発酵茶葉)の熱水抽出物を凍結乾燥させたものをそれぞれ添加した4種の飼料、およびコントロール食を、実験例2と同じ条件で4週齢雄のSprague−Dawley(SD)ラットに自由摂食させて飼育した。
4週間後、6時間絶食した後屠殺して、血清、肝臓および脂肪組織を採取した。
下記表に血清過酸化脂質濃度、脂肪組織質量、血清中性脂肪(トリグリセリド)、肝臓中性脂肪(トリグリセリド)の測定結果をそれぞれ示す。
混合発酵茶葉の熱水抽出物摂取による1型糖尿病に及ぼす影響を調べた。
すなわち、上記実験例2と同じ混合発酵茶葉の熱水抽出物(凍結乾燥品)を、コレステロールを含まないAIN−76組成を基本とした食餌に1質量%添加して4週齢雄のSprague−Dawley(SD)ラットに自由摂食させた。比較例として、同じ食餌に混合発酵茶葉抽出物を添加しないコントロール食をSDラットに与えた。飼育条件は実験例2と同じ条件とした。
摂食開始日および摂食開始14日後に、6時間絶食した後、尾静脈より採血して、血糖試験測定メディセーフチップ(テルモ社製)を用いて血糖値を測定した。
また摂食開始14日後の上記採血後、さらに絶食を続けて9時間後(絶食合計時間:15時間)、30mg/kg体重のストレプトゾシン(STZ)を投与した。このSTZは膵臓ランゲルハンス島β細胞を破壊して、インスリン分泌傷害を引き起こして1型糖尿病を発症させる作用を有する薬剤である。STZ投与後、再び食餌を自由摂食させた。
再摂食開始から7日後と14日後(最初の摂食開始から3週間後と4週間後)に、6時間絶食した後、尾静脈より採血して、血糖試験測定メディセーフチップ(テルモ社製)を用いて血糖値を測定した。
また再摂食開始から2週間後(最初の摂食開始から4週間後)、6時間絶食後(上記採血後)屠殺して、血清および膵臓ランゲルハンス島を採取した。取り出した膵臓ランゲルハンス島にグルコース刺激を与えて、インスリンの分泌を測定した。
摂食開始後の血糖値の変化を図13に示す。また下記表にインスリン分泌の測定結果、および血清コレステロール濃度と血清中性脂肪濃度の測定結果を示す。
この図に示されるように、コントロール食を摂取したラットの血糖値は、STZを投与した14日以降経時的に上昇し、1型糖尿病を発症したとみなされた。これに対して、混合発酵茶葉の熱水抽出物を摂取したラットは、14日以降の血糖値の上昇が小さく抑えられた。
発酵茶葉の安全性を確認するために動物実験を行った。
すなわち、混合発酵茶葉(茶の葉とビワ葉の配合割合9:1、揉捻時間20分、発酵時間0時間)、を、フードプロセッサを用いて60〜100メッシュの大きさの粉末状態になるまで粉砕加工して得られた粉末状混合発酵茶葉を、4週齢のSprague−Dawley系雄ラットに1日当たり5000mg/kg体重の用量で経口投与した。温度22±1℃、湿度55±5%、飼料および水自由摂食の条件下で4週間飼育したところ、死亡は認められず、異常な体重変化はみられず、飼育終了後の剖検においても臓器の異常は観察されなかった。
従って、ラットに対する発酵茶の致死量(LD50)は5000mg/kg体重より多いと推定され、安全性はかなり高いものと判断された。
(混合発酵茶葉の製造−手で揉む方法)
茶の葉にビワ葉を投入し、手で揉む方法で揉捻した。茶の葉とビワ葉の配合割合は茶の葉:ビワ茶の質量比が90:10(ビワ投入割合10%)と75:25(ビワ投入割合25%)の2通りとした。揉み込みの時間(手揉み時間)は25分と50分の2通りとした。
この後、0時間、1時間、2時間、4時間の4通りの発酵工程を経て16種類の混合発酵茶葉を得た。なお、発酵工程0時間のものは揉み込み終了直後に得られる混合発酵茶葉である。
得られた混合発酵茶葉について実験例1と同様にして100℃の熱水で10分間抽出した抽出液(混合発酵茶葉の使用量;2.0mg/ml)を得、該抽出液について実施例1と同様にしてAGH阻害性(マルターゼ阻害性およびスクラーゼ阻害性)を測定し、また下記の方法でDPPH(1,1−ジピクリル−2−フェニルヒドラジル)消去活性を測定した。それぞれの結果を表24、25に示す。なお、DPPH消去活性の測定値が大きいほど抗酸化作用が高いことを示す。また実験例1と同様にして官能審査を行った。結果を表26に示す。
DPPH消去活性(単位:μmol−Trolox/mg)の測定は以下の方法で行った(以下、同様。)
混合発酵茶葉を粉砕したものを80%エタノール溶液に溶かし、同じく80%エタノール溶液を用いて0.5mg/mlに希釈した。400μM DPPH12mlと、200mM MES buffer(pH6.0)12mlと、20%エタノール12mlとの混液を作り、エッペンドルフマルチピペットを用いて試験管(a)〜(f)に該混液をそれぞれ0.9mlずつ分注した後、試験管(a)〜(f)のそれぞれに80%エタノールを(300−x)μl加えた(xは分析試料の添加量であり、具体的に試験管(a)〜(f)におけるxは、順に0、30、60、120、180、240である)。さらに試験管(a)〜(f)にそれぞれ分析試料(x)μlを加えて撹拌し、分析試料を添加してから20分後に波長520nmでの吸光度を測定した。
具体的には、時間の測定を開始してから30秒後に試験管(b)に分析試料を30μl加え、60秒後に試験管(c)に分析試料を60μl加え、120秒後に試験管(d)に120μl加え、180秒後に試験管(e)に180μlを加え、240秒後に試験管(f)に240μl加えた。そして時間の測定を開始してから20分後に試験管(a)の吸光度を測定し、20分30秒後に試験管(b)の吸光度を測定し、21分後に試験管(c)の吸光度を測定し、というように30秒おきに吸光度の測定を行った。
一方、標準試料としてTroloxを用いて検量線を作成した。検量線の横軸は試料添加量(単位:μmol)、縦軸は520nmでの吸光度である。
分析試料についての測定値を、横軸を試料添加量(単位:μl)、縦軸を520nmでの吸光度としてプロットし、直線的な吸光度減少が続く範囲内にて添加量(x’μl)に対する吸光度(△A520)の値を求める。次に検量線において同じ(△A520)が得られるときのTrolox添加量(単位:μmol)を求める。こうして得られるTrolox相当量(単位:μmol)から、混合発酵茶葉1mg当たりの消去活性の値(単位:μmol−Trolox/mg)を求める。
(混合発酵茶葉の製造−すりつぶす方法)
乳鉢に茶の葉とビワ葉を入れてすりつぶした。茶の葉とビワ葉の配合割合は茶の葉:ビワ茶の質量比が90:10(ビワ投入割合10%)と75:25(ビワ投入割合25%)の2通りとした。すりつぶし時間は20分と40分の2通りとした。
この後、0時間、1時間、2時間、4時間の4通りの発酵工程を経て16種類の混合発酵茶葉を得た。なお、発酵工程0時間のものはすりつぶし直後に得られる混合発酵茶葉である。
得られた混合発酵茶葉について実験例1と同様にしてAGH阻害性を測定し、またDPPH消去活性を測定した。それぞれの結果を表27、28に示す。また実験例1と同様にして官能審査を行った。その結果を表29に示す。
(混合発酵茶葉の製造−粉砕撹拌する方法)
ミキサー(製品名:ミルアンドミキサー、テスコム社製)に茶の葉とビワ葉と水を入れて粉砕撹拌した。茶の葉とビワ葉の配合割合は茶の葉:ビワ茶の質量比が90:10(ビワ投入割合10%)と75:25(ビワ投入割合25%)の2通りとした。水の添加量は、茶の葉とビワ葉の合計100質量部に対して、100質量部とした。粉砕撹拌時間は10分と20分の2通りとした。
この後、1時間、4時間、8時間、12時間、16時間の5通りの発酵工程を経て20種類の混合発酵茶葉を得た。
得られた混合発酵茶葉について実験例1と同様にしてAGH阻害性を測定し、またDPPH消去活性を測定した。それぞれの結果を表30、31に示す。また実験例1と同様にして官能審査を行った。その結果を表32に示す。
(香気成分の分析)
ビワ葉のみを乾燥させたもの、ビワ葉のみを発酵させたもの、市販されている紅茶(ダージリン紅茶およびアッサム紅茶)、長崎県総合農林試験場東彼杵茶業支場で栽培された茶の葉を用いて発酵させた紅茶、同じ茶の葉を用い発酵させずに製造した緑茶(荒茶)、および混合発酵茶葉(茶の葉とビワ葉の配合割合9:1、揉捻時間20分、発酵時間0時間)のそれぞれをサンプルとして、香気成分の定量分析を行った。
一般に茶系の香気成分の前処理は、カラム濃縮法等で行われている。ここでは、簡易・迅速な試料の抽出、濃縮、クロマトグラフ導入法として固相マイクロ抽出法で行った。定量は、測定対象である試料に内標準としてシクロヘキサノールを添加しておき、各香気成分のピーク面積を内標準に対する相対ピーク面積比として求めた。
なお1−ヘキサノールは、混合発酵茶葉において、茶の葉とビワ葉の配合割合、揉捻時間、発酵時間などの製造条件を変えても必ず検出され、かつ表に記載の他の8成分よりも常に少なく検出される香気成分である。
2型糖尿病を自然発症するKK−Ayマウスに混合発酵茶葉の熱水抽出物(凍結乾燥品)、テアシネンシンを多く含むフラクション(以下、TSフラクションという。)、およびテアフラビンを多く含むフラクション(以下、TFフラクションという。)をそれぞれ摂取させて、血糖値に及ぼす影響を調べた。
混合発酵茶葉の熱水抽出物は、混合発酵茶葉(茶の葉とビワ葉の配合割合9:1、揉捻時間20分、発酵時間0時間、含水率5質量%)20gを100℃の熱水1,000mlで10分間抽出した後、ろ過し、ろ液を凍結乾燥して粉末状にしたものを用いた。
TSフラクションとしては、前記分析試験例2で得られるFr.6を凍結乾燥して粉末状にしたものを用いた。
TFフラクションとしては、前記分析試験例2で得られるFr.7を凍結乾燥して粉末状にしたものを用いた。
マウスは、室温22±1℃、湿度55±5%、8:00〜20:00点灯のライトサイクルの動物飼育室で飼育した。
5週齢のKK−Ayマウスを用い、最初の2週間はMF固形飼料(オリエンタル酵母工業(株)製)を与えて予備飼育を行った。KK−Ayマウスは7〜8週齢頃に糖尿病を自然発症することから、発症する可能性のある7週齢から試験食の摂食を開始した。すなわち、7週齢のときに6時間絶食(9:00〜15:00)後、尾静脈より採血して血糖値を測定し、体重と血糖値が等しくなるように1群7匹ずつに群分けし、以下の試験食を6週間自由摂食させた
・コントロール食:AIN−76組成に基づいた純化食をコントロール食とした。コントロール食の質量組成(g/kg)は、カゼイン200g/kg、コーン油100g/kg、ミネラル混合物(AIN−76−MX)35g/kg、ビタミン混合物(AIN−76−VX)10g/kg、セルロース50g/kg、重酒石酸コリン2g/kg、DL−メチオニン3g/kg、コーンスターチ150g/kgおよびショ糖450g/kgとした。
・抽出物添加食:前記コントロール食100質量部に、上記粉末状の熱水抽出物(凍結乾燥品)を1質量部を添加し、その添加量分のショ糖を前記コントロール食から減じた。
・TS添加食:上記熱水抽出物(凍結乾燥品)にはテアシネンシンが5.4質量%含まれることから、前記抽出物添加試験食中とテアシネンシン含有量が等しくなるように、コントロール食に前記TSフラクションを添加し、その添加量分のショ糖を前記コントロール食から減じた。
・TS2倍添加食:テアシネンシン含有量が前記抽出物添加試験食の2倍となるように、コントロール食に前記TSフラクションを添加し、その添加量分のショ糖を前記コントロール食から減じた。
・TF添加食:上記熱水抽出物(凍結乾燥品)にはテアフラビンが4.8質量%含まれることから、前記抽出物添加試験食中とテアフラビン含有量が等しくなるように、コントロール食に前記TFフラクションを添加し、その添加量分のショ糖を前記コントロール食から減じた。
・TF2倍添加食:テアフラビン含有量が前記抽出物添加試験食の2倍となるように、コントロール食に前記TFフラクションを添加し、その添加量分のショ糖を前記コントロール食から減じた。
・TS+TF添加食:テアシネンシン含有量およびテアフラビン含有量が前記抽出物添加試験食とそれぞれ等しくなるように、コントロール食に前記TSフラクションおよびTFフラクションを添加し、それらの添加量の合計分のショ糖を前記コントロール食から減じた。
試験食摂食開始2、4および6週間後に、血糖試験測定メディセーフチップ(テルモ社製)を用い、6時間絶食後、尾静脈より採血して血糖値を測定した。試験食を摂取した6週間のマウスの血糖値の変化を図14から図17に示す。
図14に示すように、コントロール食を摂取したマウスの血糖値は、経時的に上昇して6週間後には300mg/dlを超えた。また摂水量も同様に増加したことから、コントロール食を摂取したマウスは糖尿病を発症したとみなされる。一方、抽出物添加食を摂取したマウスの血糖値は、経時的に減少する傾向にあり、6週間後の値はコントロール食を摂取したマウスの約半分に低下した。
図15に示すように、TS添加食を摂取したマウスの血糖値は6週間後に低下し、TS2倍添加食を摂取した場合はさらに効果的に低下した。
図16に示すように、TF添加食を摂取したマウスの血糖値は6週間後に低下し、TF2倍添加食を摂取した場合は4週間後から低下した。
図17に示すように、TS+TF添加食を摂取したマウスの血糖値は、4週間以降に抽出物添加食を摂取したマウスとほぼ同じレベルになった。
以上の結果から、混合発酵茶葉の熱水抽出物の血糖上昇抑制作用は、主にテアシネンシンとテアフラビンにより発揮されていることが明らかとなった。
混合発酵茶葉の抽出物を含む飲料の摂取が、成人の血糖値、血清中性脂肪、血清コレステロール、体脂肪率および血圧に及ぼす影響を検討した。なお、本試験は県立長崎シーボルト大学研究倫理委員会の承認を受け、ヘルシンキ宣言の精神を遵守して実施した。
被験者は、長崎県庁内での募集に応募した長崎県庁職員で、健康な者と同様の日常生活を営んでおり、医師からの服薬指導を受けておらず、非妊娠者であり医師が適当と判断した者で、本試験の内容について十分な説明を受け、本人の自由意志により本人が同意書を提出した28名である。
試験飲料は、90℃の熱水100質量部に対して、混合発酵茶葉を焙煎したもの(茶の葉とビワ葉の配合割合9:1、揉捻時間20分、発酵時間0時間、含水率1質量%)を0.83質量部添加して4分間抽出した後、ろ過したろ液を200mlずつ紙パックに充填し密封したものを用いた。
試験飲料を被験者に、朝食または昼食時と夕食時に各1本の1日合計2本を3ヶ月間飲用させた。試験飲料摂取前、摂取開始1ヶ月後、2ヶ月後および3ヶ月後の、早朝空腹時に採血、体重測定、体脂肪率測定および血圧(収縮期血圧および拡張期血圧)測定を行った。なお、採血前日の夜9時以降の飲食を禁止した。試験期間3ヶ月中の食事については特別な制限を設けず、日常と変わらない生活をするよう指導した。
血液成分についての測定項目として、総タンパク質、A/G比、総コレステロール、HDL−コレステロール、中性脂肪、遊離脂肪酸、尿酸、尿素窒素、クレアチニン、Na、Cl、K、GOT、GPT、γ−GTP、リン脂質、Ca、無機リン、コリンエステラーゼ、LDH、ALP、アルブミン、直接ビリルビン、間接ビリルビン、インスリン、血糖、ヘモグロビンA1c、白血球数、赤血球数、血色素量、ヘマトクリット、MCV、MCH、MCHC、血小板数を測定した。
図18、19は、血糖値の測定結果を示すグラフであり、図18は28名全員の平均値、図19は、試験飲料摂取開始前の血糖値(初期値)が110mg/dL以上のヒト(10名)の平均値を初期値に対する変動率で表している。該変動率は、(測定値の平均値−初期値)/初期値×100(単位:%)で算出される値であり、図中の「*」は初期値に対して有意差があることを示す(以下、同様)。
図20、21は、血清中性脂肪濃度の測定結果を示すグラフであり、図20は28名全員の平均値、図21は、試験飲料摂取開始前の血清中性脂肪濃度(初期値)が150mg/dL以上のヒト(9名)の平均値を、初期値に対する変動率で表している。
図22、23は、血清コレステロール濃度の測定結果を示すグラフであり、図22は28名全員の平均値、図23は、試験飲料摂取開始前の血清コレステロール濃度(初期値)が220mg/dL以上のヒト(11名)の平均値を初期値に対する変動率で表している。
図24、25は、体脂肪率の測定結果を示すグラフであり、図24は28名全員の平均値、図25は、試験飲料摂取開始前の体脂肪率(初期値)が25%以上のヒト(15名)の平均値を初期値に対する変動率で表している。
図26、27は、最高血圧の測定結果を示すグラフであり、図26は28名全員の平均値、図27は、試験飲料摂取開始前の最高血圧(初期値)が140mmHg以上のヒト(14名)の平均値を初期値に対する変動率で表している。
図28、29は、最低血圧の測定結果を示すグラフであり、図28は28名全員の平均値、図29は、試験飲料摂取開始前の最低血圧(初期値)が90mmHg以上のヒト(10名)の平均値を初期値に対する変動率で表している。
これらの結果より、血糖値については、全員の平均値は試験期間中変動しなかったが、初期値が高いヒトでは摂取開始2ヶ月後および3ヶ月後に摂取前に比べて有意に低下した。
血清中性脂肪濃度については、全員の平均値は試験期間中変動しなかったが、初期値が高いヒトでは摂取開始2ヶ月後および3ヶ月後に摂取前に比べて40%程度低下した。
血清コレステロール濃度については、全員の平均値は試験期間中変動しなかったが、初期値が高いヒトでは摂取開始2ヶ月後および3ヶ月後に摂取前に比べて有意に低下した。
体脂肪率については、全員の平均値は試験期間中変動しなかったが、初期値が高いやや肥満傾向のヒトでは摂取開始3ヶ月後に摂取前に比べて有意に低下した。
最高血圧については、全員の平均値は試験期間中変動しなかったが、初期値が高いヒトでは摂取開始1ヶ月後、2ヶ月後および3ヶ月後に摂取前に比べて有意に低下した。
最低血圧については、全員の平均値は試験期間中変動しなかったが、初期値が高いヒトでは摂取開始2ヶ月後および3ヶ月後に摂取前に比べて有意に低下した。
これらの結果から、混合発酵茶葉の抽出液を含有する飲料を摂取することにより、血糖値、血清中性脂肪、血清コレステロール、最高血圧および最低血圧の値がそれぞれ高い傾向を有するヒトにおいて、これらの値を改善させる効果が得られることが明らかとなった。またやや肥満傾向にあるヒトの体脂肪率を低下させる効果が得られることが明らかとなった。さらに、正常なヒトでは上記各測定値を低下させないことから、安全性が高い飲料であると評価される。
混合発酵茶葉の抽出物を含む飲料の摂取が、若年女子の体脂肪率に及ぼす影響を検討した。なお、本試験は県立長崎シーボルト大学研究倫理委員会の承認を受け、ヘルシンキ宣言の精神を遵守して実施した。
被験者は、県立長崎シーボルト大学内での募集に応募した本学女子学生で、健康な者と同様の日常生活を営んでおり、医師からの服薬指導を受けておらず、非妊娠者であり医師が適当と判断した者で、本試験の内容について十分な説明を受け、本人の自由意志により本人が同意書を提出した成人女子学生54名である。
試験飲料は上記臨床試験例1と同じものを用いた。また対照飲料として市販の200ml紙パック入り緑茶飲料を用いた。
試験飲料を27名の被験者に、対照飲料を27名の被験者に、朝食または昼食時と夕食時に各1本の1日合計2本を3ヶ月間飲用させた。
摂取開始前に全員の血糖値および体脂肪率を測定し、試験飲料摂取群と対照飲料摂取群とで、それぞれの平均値がほぼ等しくなるように群分けをした。試験飲料と対照飲料の外見は同じで、外観から識別できないようにした。試験飲料摂取前、摂取開始1ヶ月後、2ヶ月後および3ヶ月後の、早朝空腹時に採血、体重測定、体脂肪測定および血圧測定を行った。なお、採血前日の夜9時以降の飲食を禁止した。試験3ヶ月間の食事については特別な制限を設けず、日常と変わらない生活をするよう指導した。
血液成分の測定項目は上記臨床試験例1と同じとした。
試験飲料を摂取した3ヶ月間、すべての測定項目において54名の平均値は正常範囲内であった。またこの3ヶ月間、試験飲料を摂取した27名の被験者と対照飲料を摂取した27名の被験者の間に、すべての測定項目について差は観察されなかった。
図30は、試験開始前の体脂肪率(初期値)が25%以上のヒト(試験飲料摂取者で11名、対照飲料摂取者で13名)の体脂肪率を初期値に対する変動率で表している。
この図に示されるように体脂肪率の初期値が25%以上であるやや肥満傾向の被験者において、試験飲料を摂取した群で対照飲料を摂取した群に比べて3ヶ月後の体脂肪率が有意に低下した。
これらの結果から、混合発酵茶葉の抽出液を含有する飲料を摂取することにより、やや肥満傾向にある若年女子の体脂肪率を低下させる効果が得られることが明らかとなった。また、正常な若年女子が摂取しても安全であることが確認された。
しかも本発明の発酵茶葉は、これまで有効に利用されていないビワ葉を有効利用することができるものであり、原料の茶の葉として、これまで刈り捨てられていた茶葉も使用できるという利点も有する。
Claims (18)
- 揉捻機で、茶の葉を揉捻しつつ、ビワ葉を添加して混合かつ揉捻する揉捻工程と、該揉捻工程後、直ちに加熱して発酵を止める工程を有し、
前記揉捻工程において、茶の葉の揉捻の開始から終了までの全揉捻時間を15〜25分間とし、該全揉捻時間の0〜40%の時間が経過したのちビワ葉を添加することを特徴とする発酵茶葉の製造方法。 - 手で揉む方法で、茶の葉を揉捻しつつ、ビワ葉を添加して混合かつ揉捻する揉捻工程と、該揉捻工程後、直ちに加熱して発酵を止める工程を有し、
前記揉捻工程において、茶の葉の揉捻の開始から終了までの全揉捻時間を20〜30分間とし、該全揉捻時間の0〜40%の時間が経過したのちビワ葉を添加することを特徴とする発酵茶葉の製造方法。 - 茶の葉をすりつぶしつつ、ビワ葉を添加して混合かつすりつぶしを行うすりつぶし工程と、該すりつぶし工程後、直ちに加熱して発酵を止める工程を有し、
前記すりつぶし工程において、茶の葉のすりつぶしの開始から終了までの全すりつぶし時間を15〜25分間とし、該全すりつぶし時間の0〜40%の時間が経過したのちビワ葉を添加することを特徴とする発酵茶葉の製造方法。 - 茶の葉に水を加えて粉砕撹拌しつつ、ビワ葉を添加して混合かつ粉砕撹拌する粉砕撹拌工程と、該粉砕撹拌工程後、温度20〜27℃、湿度30〜60%RHの環境下に静置して4〜12時間発酵させた後、加熱して発酵を止める工程を有し、
前記粉砕撹拌工程において、茶の葉の粉砕撹拌の開始から終了までの全粉砕撹拌時間を5〜15分間とし、該全粉砕撹拌時間の0〜50%の時間が経過したのちビワ葉を添加することを特徴とする発酵茶葉の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれかの製造方法で得られる発酵茶葉。
- 前記発酵茶葉に含まれるテアフラビン類の含有量が、前記茶の葉を単独で発酵させた単独発酵茶葉に含まれるテアフラビン類の含有量よりも多いことを特徴とする請求項5記載の発酵茶葉。
- 前記発酵茶葉が13C−NMRスペクトルでカテキンA環のフロログルシノール由来のシグナルとガロイル基由来のシグナルを示し、アセチル化体の分子量が2000を極大とする1000〜15000であるカテキンガレート類の酸化縮合したポリフェノールPを含有しており、前記発酵茶葉における該ポリフェノールPの含有量が、前記茶の葉を単独で発酵させた単独発酵茶葉に含まれる該ポリフェノールPの含有量よりも多いことを特徴とする請求項5記載の発酵茶葉。
- 前記発酵茶葉が1−ヘキサノール、トランス−2−ヘキセナール、酢酸3−ヘキセン−1−オール、3−ヘキセン−1−オール、リナロール、ベンツアルデヒド、サリチル酸メチル、ゲラニオール、およびネロリドールの香気成分を含み、固相マイクロ抽出法においてトランス−2−ヘキセナール、酢酸3−ヘキセン−1−オール、3−ヘキセン−1−オール、リナロール、ベンツアルデヒド、サリチル酸メチル、ゲラニオール、およびネロリドールの香気成分の各ピーク面積が、いずれも1−ヘキサノールのピーク面積より大きいことを特徴とする請求項5記載の発酵茶葉。
- 請求項5記載の発酵茶葉を抽出して得られる発酵茶葉抽出物。
- 請求項5記載の発酵茶葉を含有する飲食品。
- 請求項9記載の発酵茶葉抽出物を含有する飲食品。
- 血糖値上昇抑制用である請求項10または11記載の飲食品。
- 糖尿病予防または改善用である請求項10または11記載の飲食品。
- 中性脂肪低減用である請求項10または11記載の飲食品。
- コレステロール低減用である請求項10または11記載の飲食品。
- 血清過酸化脂質低減用である請求項10または11記載の飲食品。
- 体脂肪蓄積抑制用である請求項10または11記載の飲食品。
- 血圧上昇抑制用である請求項10または11記載の飲食品。
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