JP5232403B2 - 光学積層フィルム、及び長尺光学積層フィルムの製造方法、及び液晶表示装置 - Google Patents
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Description
工程1:二色性物質を含有する親水性ポリマーの長尺フィルム(A)を延伸し、波長1000nmにおける面内の複屈折率(Δnxy[1000])が0.01〜0.02となり、単体透過率が42%以下となり、且つ、偏光度が98%以上となる長尺偏光子を作製する工程。
工程2:長尺フィルム(B)を、少なくとも幅方向に延伸して、屈折率楕円体がnx>ny≧nzの関係を満足する長尺位相差フィルムを作製する工程。
工程3:工程1で得られた長尺偏光子の一方の面に、工程2で得られた長尺位相差フィルムを積層して、長尺光学積層フィルムを作製する工程。
このうち延伸倍率を低くする方法を採用すれば、延伸フィルムの幅方向の収縮量が小さくなるので、広幅の偏光子を得ることができる。
他の好ましい態様において、本発明の光学積層フィルムは、上記偏光子と位相差フィルムが、接着層を介して積層されている。
さらに、本発明の長尺光学積層フィルムによれば、偏光子及び位相差フィルムの積層された幅広の光学積層フィルムを作製することができる。
偏光子とは、自然光または偏光から主として直線偏光を透過させる機能を有するフィルムであり、面内において吸収軸方向と直交する方向に透過軸を有するフィルムである。
位相差フィルムとは、その面内及び/又は厚み方向に複屈折(屈折率の異方性)を有するフィルムを言い、例えば、波長590nmにおける面内及び/又は厚み方向の複屈折率が、1×10−4以上であるものを含む。
「nx」、「ny」とは、フィルムの面内に於いて互いに直交する方向の屈折率をそれぞれ示し(但し、nx≧ny)、「nz」とは、フィルムの厚み方向の屈折率を示す。
「面内の複屈折率(Δnxy[λ])」とは、23℃で波長λ(nm)におけるフィルムの面内の屈折率差をいう。Δnxy[λ]=nx−nyによって求めることができる。
「面内の位相差値(Re[λ])」とは、23℃で波長λ(nm)におけるフィルムの面内の位相差値をいう。Re[λ]は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、Re[λ]=(nx−ny)×dによって求めることができる。
「厚み方向の位相差値(Rth[λ])」とは、23℃で波長λ(nm)におけるフィルムの厚み方向の位相差値をいう。Rth[λ]は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、Rth[λ]=(nx−nz)×dによって求めることができる。
「Nz係数」とは、Rth[λ]/Re[λ]から算出される値であり、本発明では、波長590nmを基準とする、Rth[590]/Re[590]から算出される値である。Rth[590]及びRe[590]は、上記のとおりである。
「長尺」とは、長さ寸法が、幅寸法よりも十分に大きいことを意味する。その長さ寸法は、通常、幅寸法の2倍以上であり、好ましくは3倍以上である。
「フィルム」とは、一般にシートと呼ばれているものを含む意味である。
本発明の光学積層フィルムは、偏光子と、該偏光子の一方の面に積層された位相差フィルムと、を備えている。
この偏光子は、二色性物質を含有する親水性ポリマーの延伸フィルムで構成されている。この偏光子は、波長1000nmにおける面内の複屈折率(Δnxy[1000])が0.01〜0.03のものが用いられる。
一方、位相差フィルムは、屈折率楕円体がnx>ny≧nzの関係を満足するフィルムである。この位相差フィルムの遅相軸方向が偏光子の吸収軸方向と実質的に直交するように配置されて、上記位相差フィルムが偏光子の少なくとも一方の面に積層接着されている。
他の実施形態において、図1(b)に示すように、本発明の光学積層フィルム12は、偏光子2の両面に透明な保護フィルム4,4が積層され、一方の保護フィルム4の一方の面に位相差フィルム3が積層されている。
これら各フィルムの層間は、必要に応じて、接着層を介して接着される(接着層は、図示せず)。また、本発明の光学積層フィルムは、必要に応じて、本発明の位相差フィルム以外の、他の位相差フィルムが積層されていてもよい。さらに、本発明の光学積層フィルムの表面に、防眩層などの任意の層が設けられていてもよい。
本発明の光学積層フィルムの厚みは、特に限定されないが、好ましくは50μm〜300μmである。
本発明の光学積層フィルムは、1つの使用例として、液晶表示装置に組み込まれる。この場合、本発明の位相差フィルムが積層された側を液晶セルに対面させ(つまり、偏光子と液晶セルの層間に、位相差フィルムが介在するようにして)、光学積層フィルムが液晶セルに貼り合わされる。
本発明の偏光子は、二色性物質を含有する親水性ポリマーの延伸フィルムで構成されている。
上記二色性物質としては、ヨウ素や、ニ色性染料等が挙げられる。該二色性染料としては、例えば、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、エロー3G、エローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジSおよびファーストブラック等が挙げられる。これらの二色性物質は、1種類でも良いし、2種類以上を併用しても良い。また、二色性物質は、水溶性のものが好ましい。このため、例えば、スルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基を導入した有機染料等を、遊離酸及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩の状態で用いることが好ましい。
中でも、二色性物質としては、ヨウ素を用いることが好ましい。ヨウ素を用いることで、可視光のほぼ全域に於いて、二色性吸収能を示す偏光子を簡易に得ることができる。
上記PVA系ポリマーを含む樹脂組成物には、可塑剤、界面活性剤などの適当な添加剤を配合してもよい。可塑剤としては、例えば、エチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールが挙げられる。界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤が挙げられる。これら可塑剤や界面活性剤を添加することにより、染色性及び延伸性に優れたPVA系フィルムを得ることができる。可塑剤及び界面活性剤の添加量は、PVA系ポリマー100質量部に対し、それぞれ1質量部〜10質量部程度である。
なお、本発明の偏光子の製造方法は、下記の<長尺光学積層フィルムの製造方法>の欄において詳述する。
かかる偏光子は、Δnxy[1000]が0.01〜0.03の範囲内であるため、これを液晶表示装置に使用した場合、該液晶表示装置の斜め方向の光漏れを低減し、斜め方向のコントラスト比を高くすることができる。本発明の偏光子が液晶表示装置のコントラスト比を改善できる作用は明確ではないが、本発明者らは、下記のように推定する。
一般に、二色性物質を含有する親水性ポリマーの延伸フィルムから構成された偏光子は、その面内の複屈折率(Δnxy[1000])が0.03を超えているが、本発明の偏光子は、面内の複屈折率(Δnxy[1000])が、これよりも低く形成されている(Δn[1000]=0.01〜0.03)。このため、本発明の偏光子は、配向したポリマー間に存する二色性物質(ヨウ素が用いられている場合には、ヨウ素錯体)の一部が、ポリマーの配向方向に対して斜め方向に配向し、透過する光のうち、該偏光子の吸収軸に平行な光成分だけでなく、平行でない光成分も吸収するためと推察する。このため、本発明の偏光子は、液晶表示装置に使用した場合、斜め方向の光漏れを低減し、斜め方向のコントラスト比を高くすることができる。
本発明の偏光子の波長1000nmにおける面内位相差値(Re[1000])は、好ましくは400nm〜1000nmであり、より好ましくは500nm〜900nmである。
本発明の偏光子の厚みは、適宜設計されるものであるが、好ましくは5μm〜50μmであり、より好ましくは10μm〜40μmである。かかる厚みの偏光子は、比較的薄型であり、更に、上記面内位相差値(Re[1000])の範囲に設定できる。
本発明の位相差フィルムは、屈折率楕円体がnx>ny≧nzの関係を満足し、好ましくは、屈折率楕円体がnx>ny>nzの関係を満足するものである。該位相差フィルムは、少なくとも面内の位相差を有し、これを液晶表示装置に用いた場合、液晶表示装置の斜め方向のコントラスト比をより一層高くし得る。
なお、屈折率楕円体がnx>ny≧nzとは、nx>ny>nz又はnx>ny=nzという意味である。この「ny=nz」とは、nyとnzが完全に同一である場合だけでなく、実質的に同一である場合も含まれる。nyとnzが実質的に同一である場合とは、例えば、「Rth[590]−Re[590]」が−10nm〜10nmであり、好ましくは−5nm〜5nmである。
本発明の位相差フィルムのNz係数は、好ましくは1.0〜1.5であり、より好ましくは1.1〜1.4である。
本発明の位相差フィルムの厚みは、適宜設計されるものであるが、好ましくは20μm〜200μmである。かかる厚みの位相差フィルムは、上記面内位相差値(Re[590])の範囲に設定できる。
機械的生産過程では、通常、未延伸の長尺フィルムを延伸して長尺状の位相差フィルムを作製し、これを適宜な寸法に打ち抜く。なお、本明細書において、打ち抜くとは、切り出すという意味を含む。
この場合、未延伸の長尺フィルムを、少なくとも幅方向(TD方向)に延伸することにより、屈折率楕円体がnx>ny≧nzの関係を満足し、且つ遅相軸が長手方向(MD方向)と直交する方向に発現した長尺位相差フィルムを得ることができる。
上記セルロース系ポリマーは、アセチル基およびプロピオニル基以外のその他の置換基を有し得る。その他の置換基としては、例えば、ブチレート等のエステル基;アルキルエーテル基、アルキレンエーテル基等のエーテル基;等が挙げられる。
上記セルロース系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは、20,000〜500,000である。上記セルロース系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは120℃〜170℃である。上記のポリマーであれば、優れた熱安定性を有し、延伸性に優れたフィルムが得られ得る。
本発明の光学積層フィルムは、例えば、長尺状の長尺光学積層フィルムを適宜な寸法に打ち抜くことにより得ることができる。
該長尺光学積層フィルムは、例えば、下記工程1〜工程3を経て作製することができる。なお、本発明の長尺光学積層フィルムの製造は、工程1〜工程3に加えて、他の工程が含まれていてもよい。また、工程1及び工程2の実施順序は、特に限定されず、工程1を先に行ってもよいし、工程2を先に行ってもよいし、工程1及び工程2を同時並行的に行っても良い。
工程1は、二色性物質を含有する親水性ポリマーの長尺フィルム(A)を延伸し、波長1000nmにおける面内の複屈折率(Δnxy[1000])が0.01〜0.03となる長尺偏光子を作製する工程である。
工程1は、好ましくは、未延伸の長尺フィルム(A)を膨潤する膨潤処理、該長尺フィルム(A)に二色性物質を含有させる染色処理、該長尺フィルム(A)のポリマーを架橋する架橋処理、該長尺フィルム(A)を延伸する延伸処理、該長尺フィルム(A)を洗浄する洗浄処理、該長尺フィルム(A)を乾燥する乾燥処理、を含む。
図2に於いて、ロール状に巻かれた長尺フィルム20は、繰り出し部21から繰り出され、純水を含む膨潤浴31、及びヨウ素等を含む染色浴32に浸漬され、速比の異なるロール311、312、321及び322でフィルム長手方向に張力を付与されながら、膨潤処理及び染色処理が施される。次に、膨潤処理及び染色処理された長尺フィルム20は、ヨウ化カリウム等を含む第1の架橋浴33及び第2の架橋浴34に浸漬され、速比の異なるロール331、332、341及び342でフィルムの長手方向に張力を付与されながら、架橋処理及び最終的な延伸処理が施される。架橋処理された長尺フィルム20は、ロール351および352によって、純水を含む水洗浴35中に浸漬され、水洗処理が施される。水洗処理されたフィルム20は、乾燥手段36で乾燥されることにより、水分率が、例えば10%〜30%に調節され、巻き取り部22にて巻き取られる。
膨潤処理は、未延伸の長尺フィルム(A)を膨潤させる工程である。
該長尺フィルム(A)としては、親水性ポリマーを含む樹脂組成物を製膜した長尺状のフィルムが用いられる。該親水性ポリマーのフィルムとしては、上記(偏光子)の欄で述べたものを用いることができ、好ましくは、PVA系フィルムである。
以下、PVA系フィルムからなる長尺フィルム(A)を用いた製法を中心に説明するが、本発明の長尺偏光子は、PVA系フィルムを用いて製造されたものに限られず、他の親水性ポリマーフィルムにも同様に適用できる。
長尺フィルム(A)は、ロール形状であってもよく、その巻き長さは、好ましくは300m以上であり、さらに好ましくは1,000〜50,000mである。
PVA系ポリマーを主成分とする長尺フィルム(A)は、例えば、市販のフィルムをそのまま用いることもできる。市販のPVA系フィルムとしては、例えば、(株)クラレ製の商品名「クラレビニロンフィルム」、東セロ(株)製の商品名「トーセロビニロンフィルム」、日本合成化学工業(株)製の商品名「日合ビニロンフィルム」等が挙げられる。
膨潤浴には、水が満たされている。膨潤浴の溶液は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の物質が添加されていてもよい。膨潤浴の液温は、概ね20〜50℃程度、更には30〜40℃程度に加温されていることが好ましい。膨潤浴に長尺フィルム(A)を浸漬する時間は、概ね1〜7分間程度である。膨潤浴及び後述する染色浴などの各浴に於いて使用する水は、純水を用いることが好ましい。
染色処理は、膨潤後の長尺フィルム(A)に二色性物質を含浸(吸着又は接触などとも言われる)させる工程である。
染色浴には、二色性物質を水に溶解させた染色溶液が満たされている。なお、染色溶液には、水と相溶性のある有機溶媒が少し添加されても良い。
本発明に用いられる二色性物質は、上記(偏光子)の欄で述べたものを用いることができ、好ましくは、ヨウ素である。
また、この染色浴中で長尺フィルム(A)を長手方向に延伸してもよく、このときの延伸倍率は、1.5〜3.0倍程度である。
架橋処理は、二色性物質を含浸させた長尺フィルム(A)に、ホウ酸などの架橋剤を含浸させる工程である。架橋浴は、1浴でもよいし、2浴以上でもよい。
架橋浴には、架橋剤を水に溶解した架橋溶液が満たされている。架橋剤としては、例えば、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物等が挙げられる。これらは1種類でも良いし、2種類以上を併用しても良いが、少なくともホウ酸を含むことが好ましい。
架橋浴に於ける架橋剤の添加量は、特に限定されないが、水100質量部に対して、好ましくは0.5質量部〜10質量部であり、より好ましくは1質量部〜7質量部である。
さらに、架橋浴にヨウ化物(例えば、ヨウ化カリウム等)が添加されていてもよく、ヨウ化物の添加量は、水100質量部に対して、好ましくは0.5質量部〜10質量部であり、さらに好ましくは1質量部〜7質量部である。ホウ素化合物やヨウ化物などの添加量を上記範囲とすることによって、好ましい範囲の単体透過率を有し、且つ、偏光度が高い偏光子を得ることができる。
また、この架橋浴で長尺フィルム(A)を延伸してもよく、このときの延伸倍率は、2〜4倍程度である。
延伸処理は、長尺フィルム(A)を長手方向(MD方向)に一軸延伸する工程である。
延伸処理は、膨潤処理から架橋処理の間の何れかの工程に於いて、又は膨潤処理から洗浄処理から選ばれる2以上の工程に於いて行うことが好ましい。中でも、少なくとも染色処理及び架橋処理と共に延伸処理を施すことが好ましい。
また、膨潤処理から架橋処理の間に、延伸処理を主目的とする工程を別途設けてよい。あるいは、架橋処理の後、延伸処理を主目的とする工程を別途設けてもよい。
なお、本明細書において、ネックイン比(NR)は、未延伸フィルムの幅をWOとし、延伸後のフィルムの幅をWとしたとき、次式;NR={(WO−W)/WO}×100により算出される。上記ネックイン比は、延伸倍率及び/又はロール法延伸が採用される場合にはロール間距離を調整することにより、適宜、増加ないし減少させることが可能である。例えば、延伸倍率及び/又はロール間距離を小さくすると、ネックイン比は小さくなり、延伸倍率及び/又はロール間距離を大きくすると、ネックイン比は大きくなる。
洗浄処理は、上記各工程を経た長尺フィルム(A)に付着しているホウ素などの不要残存物を洗い流す工程である。
上記架橋された長尺フィルム(A)は、架橋浴から引き出された後、洗浄浴に導かれる。
洗浄浴は、一般的には水が用いられ、必要に応じて、適宜な添加剤を添加してもよい。
洗浄浴の液温は、10℃〜60℃程度が好ましく、更に、15℃〜40℃程度がより好ましい。また、洗浄処理の回数は特に限定されることなく複数回実施してもよい。
乾燥処理は、洗浄後の長尺フィルム(A)を乾燥する工程である。
上記洗浄された長尺フィルム(A)は、洗浄浴から引き出された後、乾燥手段に導かれる。
乾燥方式としては、自然乾燥、風乾、加熱乾燥等、適宜な方法を用いることができる。通常は、加熱乾燥が好ましく用いられる。加熱乾燥に於いては、例えば、加熱温度が20〜80℃程度であり、乾燥時間は1〜10分間程度であることが好ましい。
工程2は、長尺フィルム(B)を、少なくとも幅方向に延伸して、屈折率楕円体がnx>ny≧nzの関係を満足する長尺位相差フィルムを作製する工程である。
該長尺フィルム(B)としては、好ましくは、ノルボルネン系ポリマーフィルム、またはセルロース系ポリマーフィルムが用いられる。該フィルムとしては、上記(位相差フィルム)の欄で述べたものを適宜用いることができる。長尺フィルム(B)は、通常、未延伸のものが用いられるが、若干一軸又は二軸延伸が施されているものでもよい。
長尺フィルム(B)は、ロール形状であってもよく、その巻き長さは、好ましくは300m以上であり、さらに好ましくは1,000〜50,000mである。
かかる延伸処理により、屈折率楕円体がnx>ny≧nzを満足する長尺フィルム(B)が得られ、これを長尺位相差フィルムとして用いることができる。
長尺位相差フィルムは、上記のように、長尺フィルム(B)を少なくとも幅方向に延伸することにより得られるので、長尺フィルム(B)の元幅(延伸前の幅)よりも幅方向の長さが広くなる。従って、屈折率楕円体がnx>ny≧nzを満足し、且つ幅広の長尺位相差フィルムを形成できる。
工程3は、上記工程1で得られた長尺偏光子の一方の面に、上記工程2で得られた長尺位相差フィルムを積層して、長尺光学積層フィルムを作製する工程である。
上記長尺偏光子と長尺位相差フィルムの積層は、長尺位相差フィルムの遅相軸方向が、長尺偏光子の吸収軸方向と実質的に直交するように配置される。
上記工程1で得られた長尺偏光子は、その長手方向に対して略平行に、遅相軸方向が発現する。他方、上記工程2で得られた長尺位相差フィルムは、その長手方向に対して略直交に、遅相軸方向が発現する。このため、工程3において、長尺偏光子及び長尺位相差フィルムをそれぞれ長手方向に引き出しながら重ね合わせて積層接着する(いわゆる、ロール・ツゥ・ロールによる接着)ことにより、長尺位相差フィルムの遅相軸方向が、長尺偏光子の吸収軸方向と実質的に直交して積層された上記長尺光学積層フィルムを得ることができる。本発明の長尺光学積層フィルムは、かかる積層法を採用できるので、その生産性が大幅に向上する。
本発明の光学積層フィルムは、上記長尺光学積層フィルムを適宜な形状に打ち抜くことにより作製され得る。
本発明の製造方法は、上記工程3の後に、次の工程4をさらに含んでいてもよい。
工程4は、上記工程3で得られた長尺光学積層フィルムを長方形状に打ち抜いて、長方形状の光学積層フィルムを作製する工程である。
上述のように、長尺偏光子及び長尺位相差フィルムは、何れも幅広のフィルムであるため、これらを積層した長尺光学積層フィルムも幅広となる。従って、例えば、対角サイズ70インチ以上の液晶表示装置に対応しうる、大面積且つ長方形状の光学積層フィルムを得ることも可能となる。
本発明の光学積層フィルムは、任意の適切な用途に使用される。その用途は、例えば、パソコンモニター,ノートパソコン,コピー機などのOA機器、携帯電話,時計,デジタルカメラ,携帯情報端末(PDA),携帯ゲーム機などの携帯機器、ビデオカメラ,テレビ,電子レンジなどの家庭用電気機器、バックモニター,カーナビゲーションシステム用モニター,カーオーディオなどの車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニターなどの展示機器、監視用モニターなどの警備機器、介護用モニター,医療用モニターなどの介護・医療機器等である。
分光光度計[村上色彩技術研究所(株)製、製品名「DOT−3」]を用いて測定した。単体透過率は、JIS Z 8701−1995の2度視野に基づく、三刺激値のY値である。
(2) 偏光子の偏光度の測定方法:
分光光度計[村上色彩技術研究所(株)製、製品名「DOT−3」]を用いて、平行透過率(H0)と直交透過率(H90)を測定し、式:偏光度(%)={(H0−H90)/(H0+H90)}1/2×100より算出した。平行透過率(H0)は、同じ偏光子2枚を互いの吸収軸が平行となるように重ね合わせて作製した平行型積層偏光子の透過率の値である。直交透過率(H90)は、同じ偏光子2枚を互いの吸収軸が直交するように重ね合わせて作製した直交型積層偏光子の透過率の値である。上記透過率は、JIS Z 8701−1995の2度視野に基づく、三刺激値のY値である。
(3)偏光子の複屈折率(Δnxy[λ])の測定方法:
王子計測機器(株)製の近赤外位相差測定装置、製品名「KOBRA−31X100/IR」を用いて、波長1000nm、23℃で測定した。
(4)各元素(I、K)含有量の測定方法:
直径10mmの円形サンプルを蛍光X線分析で下記条件により測定したX線強度から、あらかじめ標準試料を用いて作成した検量線により各元素含量を求めた。
・分析装置:理学電機工業製、蛍光X線分析装置(XRF)、製品名「ZSX100e」
・対陰極:ロジウム
・分光結晶:フッ化リチウム
・励起光エネルギー:40kV−90mA
・ヨウ素測定線:I−LA
・カリウム測定線:K−KA
・定量法:FP法
・2θ角ピーク:103.078deg(ヨウ素)、136.847deg(カリウム)
・測定時間:40秒
(5)ネックイン比の測定方法:
延伸前のフィルムの幅(WO)と延伸後のフィルムの幅(W)をそれぞれ測定し、NR={(WO−W)/WO}×100から求めた。
(6)位相差フィルムの位相差値(Re[λ]、Rth[λ])の測定方法:
王子計測機器(株)製、商品名「KOBRA21−ADH」を用いて、波長590nm、23℃で測定した。なお、平均屈折率は、アッベ屈折率計[アタゴ(株)製、製品名「DR−M4」]を用いて測定した値を用いた。
(7)厚みの測定方法:
厚みが10μm未満の場合、薄膜用分光光度計[大塚電子(株)製、製品名「瞬間マルチ測光システム MCPD−2000」]を用いて測定した。厚みが10μm以上の場合、アンリツ製デジタルマイクロメーター「KC−351C型」を使用して測定した。
(8)液晶表示装置のコントラスト比の測定方法:
23℃の暗室でバックライトを点灯させてから30分経過した後、ELDIM社製、製品名「EZ Contrast160D」を用いて、表示画面の方位角0°〜360°、極角60°における、白画像および黒画像を表示した場合のXYZ表示系のY値を測定した。白画像におけるY値(YW)と、黒画像におけるY値(YB)とから、斜め方向のコントラスト比「YW/YB」を算出した。なお、液晶パネルの長辺を方位角0°とし、法線方向を極角0°とした。
幅3400mm、厚み75μmのポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする長尺フィルム(クラレ(株)製、商品名「VF−PS#7500」)を下記(1)〜(5)条件の5浴に、フィルムの長手方向に張力を付与しながら浸漬し、最終的な延伸倍率がフィルム元長に対して4.5倍、ネックイン比が50%となるように延伸した。この延伸フィルムを60℃の空気循環式乾燥オーブン内で1分間乾燥させて、長尺偏光子(a1)を作製した。このように作製した長尺偏光子(a1)は、幅1700mm、厚み40μmであり、その諸特性は、表1の通りである。
(2) 染色浴:水100質量部に対し、0.038質量部のヨウ素と、水100質量部に対し、0.2質量部のヨウ化カリウムとを含む、30℃の水溶液。
(3) 第1の架橋浴:水100質量に対し、3質量部のヨウ化カリウムと、水100質量部に対し、3質量部のホウ酸とを含む、40℃の水溶液。
(4) 第2の架橋浴:水100質量部に対し、5質量部のヨウ化カリウムと、水100質量部に対し、4質量部のホウ酸とを含む、60℃の水溶液。
(5) 水洗浴:水100質量部に対し、3質量部のヨウ化カリウムを含む、25℃の水溶液。
染色浴において、ヨウ素の添加量を、水100質量部に対し、0.025質量部としたこと、及び、最終的な延伸倍率がフィルム元長に対して6.0倍、ネックイン比が65%となるように延伸したこと以外は、上記長尺偏光子(a1)と同様の方法で、長尺偏光子(a2)を作製した。このようにして作製した長尺偏光子(a2)は、幅1300mm、厚み25μmであり、その諸特性は、表1の通りである。
ロール状の、ノルボルネン系ポリマーを含有する高分子フィルム((株)オプテス製、製品名「ゼオノア ZF14−100」。幅600mm、厚み100μm)を、テンター延伸機を用いて、固定端横一軸延伸法(長手方向を固定し、幅方向に延伸する方法)により、150℃の空気循環式恒温オーブン内で、2.7倍に延伸して、長尺位相差フィルム(b1)を得た。 このように作製した位相差フィルム(b1)は、幅1800mm、厚み35μmであり、その諸特性は、表2の通りである。
上記ノルボルネン系ポリマーを含有する高分子フィルムに代えて、ロール状の、セルロース系ポリマー(アセチル置換度(DSac)=0.04、プロピオニル置換度(DSpr)=2.76)を含有する高分子フィルム(厚み80μm)を用いたこと以外は、上記長尺位相差フィルム(b1)の作製例と同様にして延伸し、長尺位相差フィルム(b2)を得た。このように作製した位相差フィルム(b2)は、厚み40μmである。
2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物と2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルとを反応させて得られるポリイミド(6FDA/TFMB)をメチルイソブチルケトンに溶解し、15質量%のポリイミド溶液を調製した。このポリイミド溶液を、トリアセチルセルロースフィルム(厚み80μm)の表面に、スロットダイコーターにて膜状に均一に流延した。次に、該フィルムを多室型の空気循環式乾燥オーブン内へ投入し、80℃で2分間、135℃で5分間、150℃で10分間と低温から徐々に昇温しながら溶剤を蒸発させて、トリアセチルセルロースフィルムの上にポリイミド層を形成した。このポリイミド層は、対角サイズ40インチの長方形状よりも十分に大きなサイズであり、このポリイミド層を位相差フィルム(b3)として用いた。なお、ポリイミド層(位相差フィルム(b3))を使用する際には、これをトリアセチルセルロースフィルムから剥離した。このように作製した位相差フィルム(b3)の諸特性は、表2の通りである。
上記長尺偏光子(a1)の一方の面に、上記長尺位相差フィルム(b1)を、ポリビニルアルコール系ポリマー(日本合成化学工業(株)製、製品名「ゴーセファイマーZ200」)を主成分とする水溶性接着剤層(厚み1μm)を介して、積層した。ただし、位相差フィルム(b1)の遅相軸方向が、長尺偏光子(a1)の吸収軸方向と約90°となるように、長尺位相差フィルム(b1)を配置した。
一方、上記長尺偏光子(a1)の他方の面には、厚み80μmのトリアセチルセルロースフィルムを、同水溶性接着剤層(厚み1μm)を介して積層した。このようにして、幅1700mmの長尺状の光学積層フィルムを作製した。この長尺光学積層フィルムを、トムソン刃にて、対角サイズ40インチの長方形状に打ち抜き、長方形状の光学積層フィルム(x1)を作製した。
位相差フィルム(b1)に代えて、位相差フィルム(b2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして各フィルムを積層し、幅1700mmの長尺光学積層フィルムを作製した。この長尺光学積層フィルムを、トムソン刃にて、対角サイズ40インチの長方形状に打ち抜き、長方形状の光学積層フィルム(x2)を作製した。
長尺偏光子(a1)に代えて、上記長尺偏光子(a2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして各フィルムを積層し、幅1300mmの長尺光学積層フィルムを作製した。この長尺光学積層フィルムを、トムソン刃にて、対角サイズ40インチの長方形状に打ち抜き、長方形状の光学積層フィルム(x3)を作製した。
VAモードの液晶セルを含む、市販の液晶表示装置((株)ソニー製の40インチ液晶テレビ、製品名「BRAVIA KDL−40X1000」)から液晶パネルを取り出し、液晶セルの上下に配置されていた偏光板等の光学フィルムを全て取り除いた。この液晶セルのガラス板の表裏を洗浄し、液晶セルを得た。
得られた液晶セルの視認側に、上記実施例1の光学積層フィルム(x1)を、アクリル系粘着剤層を介して貼り付けた。ただし、この光学積層フィルム(x1)に積層された位相差フィルム(b1)が、液晶セルと対面するように、該光学積層フィルム(x1)を配置した。さらに、光学積層フィルム(x1)に積層された偏光子(a1)の吸収軸方向が、該液晶セルの長辺方向と平行になるように、該光学積層フィルム(x1)を配置した。
一方、上記液晶セルのバックライト側には、上記位相差フィルム(b3)を、アクリル系粘着剤層を介して貼り付けた。さらに、その位相差フィルム(b3)の、液晶セルとの接着面と反対側の面に、アクリル系粘着剤層を介して、市販の偏光板(日東電工社製 商品名「NPF・SEG1224DU」)を貼り合わせた。ただし、この市販の偏光板の吸収軸方向が、該液晶セルの長辺方向と直交するように、該市販の偏光板を配置した。
このようにして作製した液晶パネルを、元の液晶表示装置のバックライトユニットと結合し、実施例1の液晶表示装置(y1)を構成した。
この液晶表示装置(y1)の表示特性を測定したところ、正面方向のコントラスト比が1280、斜め方向のコントラスト比が66であった。
実施例1の光学積層フィルム(x1)に代えて、実施例2の光学積層フィルム(x2)を用いたこと以外は、上記実施例1の評価試験と同様にして液晶パネルを作製し、これを組み込んだ液晶表示装置(y2)を作製した。
この液晶表示装置(y2)の表示特性を測定したところ、その正面方向及び斜め方向のコントラスト比の何れも、上記実施例1の液晶表示装置(y1)と同等であった。
実施例1の光学積層フィルム(x1)に代えて、比較例の光学積層フィルム(x3)を用いたこと以外は、上記実施例1の評価試験と同様にして液晶パネルを作製し、これを組み込んだ液晶表示装置(y3)を作製した。
この液晶表示装置(y3)の表示特性を測定したところ、正面方向のコントラスト比が950、斜め方向のコントラスト比が63であった。
Claims (6)
- 偏光子と、該偏光子の一方の面に積層された位相差フィルムと、を備え、
前記偏光子は、二色性物質を含有する親水性ポリマーの延伸フィルムを有し、
前記偏光子の波長1000nmにおける面内の複屈折率(Δnxy[1000])が、0.01〜0.02であり、その単体透過率が42%以下であり、且つ、その偏光度が98%以上であり、
前記位相差フィルムは、屈折率楕円体がnx>ny≧nzの関係を満足するフィルムであり、
位相差フィルムの遅相軸方向が、前記偏光子の吸収軸方向と実質的に直交するように配置されていることを特徴とする光学積層フィルム。 - 前記位相差フィルムが、ノルボルネン系ポリマー、又はセルロース系ポリマーを含む延伸フィルムである、請求項1に記載の光学積層フィルム。
- 前記位相差フィルムのNz係数が1.0〜1.5である、請求項1又は2に記載の光学積層フィルム。
- 前記偏光子と前記位相差フィルムが、接着層を介して積層されている、請求項1〜3のいずれかに記載の光学積層フィルム。
- 次の工程1〜工程3を含む、長尺光学積層フィルムの製造方法。
工程1:二色性物質を含有する親水性ポリマーの長尺フィルム(A)を延伸し、波長1000nmにおける面内の複屈折率(Δnxy[1000])が0.01〜0.02となり、単体透過率が42%以下となり、且つ、偏光度が98%以上となる長尺偏光子を作製する工程、
工程2:長尺フィルム(B)を、少なくとも幅方向に延伸して、屈折率楕円体がnx>ny≧nzの関係を満足する長尺位相差フィルムを作製する工程、
工程3:工程1で得られた長尺偏光子の一方の面に、工程2で得られた長尺位相差フィルムを積層して、長尺光学積層フィルムを作製する工程。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の光学積層フィルムを備える液晶表示装置。
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