JP5230974B2 - ハンダ合金、ハンダボール及びハンダバンプを有する電子部材 - Google Patents

ハンダ合金、ハンダボール及びハンダバンプを有する電子部材 Download PDF

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Description

本発明は、エレクトロニクス部品の接続に用いられるハンダ合金、ハンダボール及びハンダバンプを有する電子部材に関するものである。
電子機器に内蔵される電子回路基板において、基板と電子部品とを接合するためにハンダが用いられている。ハンダは金属を接合する溶接のなかで、接合する部材(母材)よりも融点の低い金属である「ろう」を用いて、母材を溶融せずにぬれ現象で接合するろう接の一種であり、融点が450℃未満の合金をハンダと呼ぶ。一般に、抵抗、コンデンサ、ダイオード等の電子部品や半導体パッケージのアウター接続、フリップチップパッケージの二次実装等に用いられるハンダは、その溶融温度は高くても250℃未満であり、フロー、リフロー、手ハンダ等の手法で用いられている。ここで、溶融温度とは、純金属、共晶合金、化合物の場合はその融点であり、2相以上の合金の場合はその液相線温度を指すものとする。一方、主に半導体パッケージ内部の一次実装に用いられるハンダは、特に高温ハンダと呼ばれ、上記フローおよびリフロー温度(260℃程度)等では溶融しないハンダが用いられる。これらのハンダ接合部には、機器のon/offによる発熱や冷却に起因した熱疲労が負荷されるため、熱疲労特性がハンダ接合部の接続信頼性の指標として従来から一般的に用いられている。また、近年は携帯電話に代表されるモバイル機器への用途に対して、機器を落下させてしまった時でもハンダ接続部が耐えられる特性も要求されている。その結果、ハンダ接続部の耐落下衝撃特性といった新しい接続信頼性の指標も必要となってきた。
ハンダ合金としては、SnとPbを含有する成分系が従来広く用いられてきた。しかし、近年の環境問題やEU(欧州連合)のRoHS指令(Restriction of the Use of Certain Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment)などにより、Pbを含有しない、いわゆる鉛フリーハンダが広く開発され、実用化されている。鉛フリーハンダ材料として現在有力視されているものの1つにSn-Ag-Cu系ハンダ材料がある(特許文献1)。その中でも、電子部品実装プロセスにおいては、Sn-3.0Ag-0.5Cu、Sn-4.0Ag-0.5Cuなどの鉛フリーハンダ材料が標準的に使用されている。
近年、電子部品の高密度実装化に伴い、基板電極パッド面積の縮小が急激に進んでいるため、接合部位のハンダ量は少量化せざるを得ない状況にあり、鉛ハンダも含め前述の鉛フリーハンダのハンダ接合部にかかる負荷はますます増大している。特に、半導体パッケージのアウター接続や、抵抗、コンデンサ、ダイオード等のマザーボード基板に接続される部品におけるハンダ接合部に関しては、上述のように、耐落下衝撃特性といった接続信頼性などの負荷増大がより顕著になってきている。前記問題を解決するために、種々の添加元素により、ハンダ接合部の接続信頼性を向上させる試みが検討されている。
特許文献2には、上述した標準的な鉛フリーハンダに比べてAg含有量が低く、特定のAg含有量において耐落下衝撃性に優れた鉛フリーハンダ合金とすることができることが開示されている。すなわち、Ag:1.0〜2.0質量%、Cu:0.3〜1.5質量%を含み、残部Snおよび不可避不純物からなる鉛フリーハンダ合金である。これにより、優れた耐熱疲労特性と耐衝撃性にすることができるとされている。さらに特許文献2では、Ni:0.05〜1.5質量%又は、Fe:0.005〜0.5質量%の範囲で添加することにより、ハンダ合金の強度を向上することができるとしている。
特許文献3には、Sn-Ag-Cu系鉛フリーハンダに該ハンダに実質的に溶解しない元素を含む微粒子を含ませた鉛フリーハンダが開示されている。これにより、ハンダ組織が微細化されて、ハンダの機械的強度および耐熱衝撃性の向上が得られるとしている。また、前記微粒子に含まれる溶解しない元素として、B、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr、Nb、Moが挙げられている。
特許文献4には、溶融温度が250℃以上の高温ハンダに対して、Sn-Sb-Ag-Cu系において、接合安定性を改善するために、前記系にSiおよびBを添加することが開示されている。前記元素を添加することで、Sbの結晶の肥大化を抑制し、溶融時に各金属同士が馴染み、金属の凝集が妨げられるので、ボイド発生を抑制できるとしている。
特開平5-50286号公報 特開2002-239780号公報 特開2005-319470号公報 特開2006-159266号公報
上述のように、電子部品の高密度実装化やモバイル電子機器の高性能化にともにない、ハンダ接合部の信頼性、特に耐落下衝撃特性の要求が高くなり、現状のハンダ合金では十分な性能を発揮できないという問題がある。中でも、半導体パッケージのアウター接続や、抵抗、コンデンサ、ダイオードなどの部品が実装されるマザーボード基板との接続に使用されるハンダ合金の性能が不十分である。
一般的にフリップチップによる半導体パッケージ内の接続で用いられる一次実装用ハンダ(高温ハンダ)は、周りを封止樹脂で埋められている。一方、二次接続(二次実装)側のハンダ接合部や、抵抗、コンデンサ、ダイオード等をマザーボード基板に接合するハンダ接続部は、必ずしも樹脂で埋められていない。樹脂に埋められていないこれらの接続部においてはハンダ自身により高い接続信頼性が求められることが多い。
特許文献1は、従来からハンダ接合部に主に求められてきた熱疲労特性を改善したハンダであり、モバイル用途向けの耐落下衝撃特性は考慮されていない。
特許文献2は、Ag含有量を低くして特定の範囲内にすることで、ハンダに延性を持たせ、耐落下衝撃特性を向上させている。しかし、当該ハンダでは、ハンダと基板電極間の界面強度が十分ではないため、狭ピッチ化し、ハンダ接合部の面積、体積が減少した際に、2次接続側のハンダ接合として必ずしも高い耐落下衝撃特性は得られていない。
特許文献3は、非溶解元素の微粒子に起因してハンダ接合部の組織が微細化するので、き裂進展が抑制され、耐熱衝撃性を向上させることができるとしている。しかし、モバイル用途向けの耐落下衝撃特性に関しては記載も示唆もされていない。落下衝撃時においては、主にハンダと基板電極間の界面強度が問題となるが、特許文献3にはハンダと基板電極間に形成される金属間化合物の厚みが薄くなって接続信頼性が向上すると記載されているのみであり、金属間化合物の厚みだけでは、耐落下衝撃特性の良否は決まらないと考えられる。
特許文献4には、微量のSiとBを添加して接合安定性を向上させたハンダ合金が開示されているが、一般にフリップチップによる半導体パッケージの一次実装に用いられる溶融温度が250℃以上のハンダであり、二次実装やマザーボード基板等との接続には適用できない。また、半導体パッケージ内部の一次実装では樹脂で封止して用いられるため、耐落下衝撃特性を考慮する必要性は低く、特許文献4ではモバイル用途向けの耐落下衝撃特性に関しては記載も示唆もされていない。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、マザーボード基板等との接続に使用されるハンダ合金であり、モバイル機器等で要求される高い耐落下衝撃特性を有する、250℃未満の溶融温度を有するハンダ合金、ハンダボール及びハンダバンプを有する電子部材を提供することを目的とする。
本発明者らは、マザーボード基板等との接続に使用される、250℃未満の溶融温度を有するハンダ合金に関し、耐落下衝撃特性の向上の手段として、ハンダと電極との界面に形成する金属間化合物の特性に着目した。これは、従来ハンダでは、落下衝撃のような負荷に対して一般的にこの電極界面で脆性的に破断し、耐落下衝撃特性が十分ではなかったためである。そこで、ハンダに種々の添加元素による耐落下衝撃特性および電極界面の金属間化合物の特性を調査した結果、マザーボード基板等との接続に用いられるハンダに特定の量のホウ素を添加することで、電極界面の破断強度が向上し、従来ハンダに比べて劇的に耐落下衝撃特性が向上することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
上記目的を達成するために、請求項1に係るハンダ合金は、Snに、Cu-Bの固溶体、Cu-Bの共晶、Ni-Bの化合物及びFe-Bの共晶のいずれか1種以上のホウ素含有物を添加し、ホウ素を質量で0.1ppm以上100ppm以下とし、その溶融温度が250℃未満であることを特徴とする。
また、請求項2に係るハンダ合金は、請求項1において、前記ホウ素含有物が、Cu-Bの共晶とNi-Bの化合物との組み合わせ又はCu-Bの固溶体とNi-Bの化合物との組み合わせであることを特徴とする。
また、請求項3に係るハンダ合金は、請求項1又は2において、更に、Ag及びCuを含有し、Agの含有量が0.1質量%以上5質量%以下で、Cuの含有量が0.01質量%以上1.5質量%以下であることを特徴とする。
また、請求項4に係るハンダ合金は、請求項1〜3のいずれかにおいて、更に、Niを含有し、Niの含有量が0.005質量%以上0.5質量%以下であることを特徴とする。
また、請求項5に係るハンダ合金は、請求項1又は2において、更に、Ag、Cu、及びNiを含有し、Agの含有量が0.8質量%以上1.5質量%以下、Cuの含有量が0.05質量%以上1.0質量%以下、Niの含有量が0.01質量%以上0.1質量%以下であることを特徴とする。
また、請求項6に係るハンダ合金は、請求項1〜5のいずれかにおいて、更に、P、Ge、Gaの少なくとも一つ以上を含有し、Pの含有量が0.05質量%以下、Geの含有量が0.05質量%以下、Gaの含有量が0.05質量%以下であることを特徴とする。
また、請求項7に係るハンダ合金は、請求項1〜6のいずれかにおいて、更に、Sbを含有し、Sbの含有量が0.005質量%以上1.0質量%以下であることを特徴とする。
また、請求項に係るハンダ合金は、請求項1〜のいずれかにおいて、Pbの含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする。
また、請求項に係るハンダボールは、請求項1〜のいずれかに記載のハンダ合金からなり、球径1mm以下であることを特徴とする。
また、請求項10に係る電子部材は、請求項1〜のいずれかに記載のハンダ合金を用いて形成されたハンダバンプを有することを特徴とする。
また、請求項11に係る電子部材は、請求項記載のハンダボールを用いて形成したハンダバンプを有することを特徴とする。
本発明によれば、マザーボード基板等との接続に使用される、250℃未満の溶融温度を有するハンダ合金において、ハンダ接合部における耐落下衝撃特性、特にモバイル機器で要求される耐落下衝撃特性を格段に向上させることができる。
本発明は、質量でホウ素を0.1ppm以上200ppm以下含有し、残部が実質的にSnを40質量%以上含有する合金で、その溶融温度が250℃未満であるハンダ合金であり、前記ハンダ合金をマザーボード基板等とのハンダ接合部に用いることにより、接合部に形成される金属間化合物の界面破断強度を大幅に向上させ、耐落下衝撃特性を格段に向上させることを見出した。ここで、溶融温度とは、純金属、共晶合金、化合物の場合はその融点であり、2相以上の合金の場合はその液相線温度を指すものとする。以下、Snを40質量%以上含有するハンダ合金中に上記含有量でホウ素を含有することにより、耐落下衝撃特性が大幅に改善するに至った経緯について詳述する。
前述したように、ハンダ接合部のハンダ量が減少するなかで、これまでの接合信頼性に加えて、耐落下衝撃特性といった接合信頼性の向上が求められている。近年では、アメリカ電子工業会(EIA)の分会である電子機器技術評議会(JEDEC)で決められた規格であるJESD22−B111が、耐落下衝撃特性の評価手法として業界で標準的に用いられるようになってきた。そこで、これまで広く使われており、実質的に鉛フリーハンダの標準成分として用いられているSn-3Ag-0.5Cuを用いて耐落下衝撃特性を評価すると、主に、電極とハンダとの間に形成される金属間化合物層で脆性的な破断が起こり、これが原因で耐落下衝撃特性が非常に低くなっていることが判明した。そこで、本発明者らは、金属間化合物の破断強度に着目し、この破断強度を改善する合金成分の探索を行ったところ、ホウ素を特定量添加することで、この金属間化合物層の破断強度を大幅に向上することを見出した。その結果、ハンダ接合部の耐落下衝撃特性を飛躍的に改善するに至った。当該機能発現の詳細なメカニズムは検討中であるが、次のように考えている。NiAl金属間化合物の多結晶体において、ホウ素は、原子半径が小さいので粒界に偏析し、Ni−Ni原子間の結合力を高めるため、NiAl金属間化合物の破壊靭性を劇的に向上させることが知られている。一方、ハンダと電極との間においても、プリント基板として多く使われているCu電極にNiめっきとAuめっきを処したCu/Ni/Auの表面処理電極を有する基板では、Ni−Sn系金属間化合物が形成される。NiAl金属間化合物と同様に、Ni−Sn系の金属間化合物においても、ホウ素は粒界に偏析しやすいと考えられ、偏析したホウ素は原子の結合力を向上させ、その結果、Ni−Sn系の金属間化合物層の破断強度が大きくなったものと考えられる。さらに、NiおよびAuめっきのないCu電極からなる基板(Cu電極に有機保護膜を処した基板を含む)においても、CuSn金属間化合物の粒界にホウ素は偏析し、同様の作用で界面強度を向上していると考えられる。このように、添加したホウ素は、ハンダと電極との界面に形成される金属間化合物に偏析することで、界面層となる金属間化合物の破断強度を高めることになる。また、ハンダ合金に含有するホウ素は、溶融温度が高くなると選択的な酸化や蒸発によって前記ホウ素の効果が得られないが、溶融温度が250℃未満のハンダ合金が使用される温度域では有効である。さらに、鉛ハンダ、鉛フリーハンダに関わらず、溶融温度が250℃未満でSnをベースとしたハンダであればいずれの場合にも、ホウ素の添加が、ハンダと電極との界面に形成される金属間化合物の破断強度に対して効果的に作用することから、耐落下衝撃特性が求められるマザーボード基板等との接続に使用されるハンダ接合部に対して有効である。本実装部において、鉛ハンダに比べて耐落下衝撃特性に劣る鉛フリーハンダに関して、前記ホウ素添加による効果が著しい。以下、好ましい範囲、限定理由等について述べる。
上述したように、ホウ素含有による本発明の効果は、ハンダと電極との間に形成される金属間化合物層の破断強度の向上によるため、本発明の対象は、Snを40質量%以上含有するハンダ合金であり、上述の理由により、溶融温度が250℃未満のハンダ合金において本発明の効果が得られ、主に半導体パッケージや抵抗、コンデンサなどの部品を接続するプリント基板に搭載するための実装で使用されるハンダに有効である。特に、溶融温度が240℃以下で更に顕著な効果が得られる。具体的に本発明の実施可能な成分系を例示すると、SnAgCu系、SnAg系、SnCu系、SnZn系、SnBi系、SnZn系、SnIn系、SnPb系等、一般的に使用されているハンダ成分系に対して有効である。ホウ素の含有量は、0.1ppm以上、200ppm以下である。0.1ppm未満であると、金属間化合物の粒界に偏析する量が少ないために破断強度の向上は認められなくなる。また、200ppmより多いと、金属間化合物の粒界に偏析するクラスターのサイズが大きくなりすぎて界面の結合力増加に悪影響を及ぼすため、上限を200ppmとした。また、より好ましくは、0.1ppm以上100ppm以下、さらに好ましくは、0.1ppm以上50ppm以下である。である。
また、ホウ素は、ホウ素単体、又は、ホウ素含有物を用いて添加される。このホウ素含有物は、固溶体、共晶、及び、化合物を用いることで、ハンダと電極との間に形成される金属間化合物の破断強度をより向上させ、さらに効果的に本発明を実施することができ、その結果、耐落下衝撃特性はさらに向上する。前記ホウ素含有物としては、例えば、Cu−B、Ni−B、Fe−B、Si−B、Cr−B、Zr−B、Co−B等が挙げられる。ここで、固溶体とは、異なる物質が互いに均一に溶けあった固相を指す。また、共晶とは、2成分以上を含む液体から,同時に晶出する2種以上の結晶の混合物のことを指す。また化合物とは、2種以上の元素からなる純物質のことを指す。このメカニズムも定かではないが、前記ホウ素含有物から溶解させることで、ハンダ中に適切な量のホウ素を均一に添加することができ、その結果、ハンダと電極との界面のNi−Sn系金属間化合物やCu−Sn系金属間化合物へのホウ素の濃化が促進され、より効率的に金属間化合物の破断強度の向上に繋がるものと考えている。前記ホウ素含有物の中でも、特に、Cu−Bの固溶体合金、Ni−Bの化合物合金、Si−Bの固溶体合金がより好適である。Cu−B固溶体合金、Ni−B化合物合金、Si−B固溶体合金とすることで、Cu電極を有する基板やCu/Ni/Au電極を有する基板といった電極界面への親和性が高くなり、金属間化合物へのホウ素の濃化は効果的に進み、その結果、破断強度の向上が顕著となる。
ハンダ中のホウ素の分析方法は、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)分析法やグロー放電質量分析(GD-MS)法によって行うことができ、ホウ素の含有量を決めることができる。
鉛フリーハンダとして標準的に用いられているSnAgCu系に対しては、Agの含有量が0.1質量%以上5質量%以下、Cuの含有量が0.01質量%以上1.5質量%以下において、上記ホウ素添加による耐落下衝撃特性の向上が顕著になるとともに、ハンダの熱疲労特性やハンダのぬれ性等に関するその他の接合信頼性もより優れる。Agの含有量が0.1質量%未満であると、ハンダの熱疲労特性の低下により好ましくない場合がある。Agの含有量が5質量%超では、ハンダ内に粗大なAgSnが形成され、接合信頼性を低下させる場合がある。さらに好ましくは、Agの含有量が0.8質量%以上1.5質量%以下である。Cuの含有量は0.01質量%未満であるとハンダのぬれ性が悪くなる場合がある。また、1.5質量%超であるとハンダが硬くなり、接合信頼性が低下する場合がある。さらに好ましくは、0.05質量%以上1.0質量%以下であることが望ましい。
Niは、Sn中に存在することで、ハンダと電極との界面に形成される金属間化合物の成長を抑制する効果がある。その結果、ホウ素添加効果と相乗して、耐落下衝撃特性をはじめとする接合信頼性が著しく向上する。特に、Niの含有量が、0.005質量%以上0.5質量%以下で前記相乗効果が大きい。0.005質量%未満であると前記効果を発現し難い場合がある。また、0.5質量%超であると、ハンダが硬くなり接合信頼性を低下させる場合がある。より好ましくは、0.01質量%以上0.1質量%以下である。
P、Ge、Gaは、Sn中に存在することで、Sn中の酸化介在物を低減する効果がある。酸化介在物が界面近傍にあると、その界面特性は極端に低下する。本発明では、ホウ素添加と同時に、P、Ge、Gaの少なくとも1種以上を添加することで、ホウ素添加効果と相乗して、耐落下衝撃特性をはじめとする接合信頼性が著しく向上する。特にPの含有量が0.05質量%以下、Geの含有量が0.05質量%以下、Gaの含有量が0.05質量%以下で前記相乗効果が大きい。いずれの元素も、0.05質量%より多く含有すると、耐落下衝撃特性が低下する。さらに、これらの元素は、ハンダの変色を防止することもできる。
Sbは、Sn中に存在することで、Sn中に分散し、ハンダ内の耐き裂進展特性を向上する効果がある。特に、ホウ素添加と共存した場合、ハンダのき裂進展速度が大きく低下する。その結果、耐落下衝撃特性の向上だけでなく、熱疲労特性も向上する。特に、Sbの含有量が、0.005質量%以上1.0質量%以下で前記相乗効果が大きい。0.005質量%未満であると前記効果を発現し難い場合がある。また、1.0質量%超であると、ハンダが硬くなり接合信頼性を低下させる場合がある。より好ましくは、0.02質量%以上0.5質量%以下である。
一般的に上述した元素の組成は、例えば、ICP分析法やGD-MS法等により測定して決めることができる。
本発明のホウ素添加の効果は、Pb含有の有無により影響を受けるものではないが、一般にSnPb合金に比べてハンダ自身が固く、延性の低い鉛フリーハンダにおいて、耐落下衝撃特性の著しい改善がみられ、特に、Pb含有量が0.1質量%以下である鉛フリーハンダにおいてより効果的に耐落下衝撃特性の向上がみられる。
本発明ハンダ合金は、業界で一般的に用いられているフロー用ハンダ、リフロー用ハンダ、糸ハンダ等いずれのハンダ合金形態においても、その効果を発現することが可能であり、さらに、ハンダ粉を含むクリームハンダや、ハンダボールにおいても、その効果を発現することができる。特に、狭ピッチのパッケージ接続に用いられる球形1mm以下のハンダボールにおいて、当該ハンダ合金を用いることは効果的である。したがって、これらのハンダ合金を用いて形成されたハンダバンプを有する電子部材は、金属間化合物の破断強度を向上させることができるため、耐落下衝撃特性に優れた電子部材を提供する。
ハンダ合金を作製する雰囲気は、真空中、非酸化性雰囲気中等いずれにおいても本発明の効果を得ることができる。前記雰囲気で、ハンダ基合金、又はハンダ基合金の各成分金属を加熱して溶融し、更にホウ素を添加して混合した後、冷却固化することで、本発明のハンダ合金を製造出来る。また、ハンダ基合金又はハンダ基合金の各成分金属に予めホウ素を加え、前記雰囲気で加熱溶融した後、冷却固化しても本発明のハンダ合金を製造できる。前記ハンダ基合金としては、例えば、SnAgCu系、SnAg系、SnCu系、SnZn系、SnBi系、SnZn系、SnIn系、SnPb系等のハンダ基合金が使用できる。更に、ホウ素の添加に関しては、上述したように、ホウ素単体、又は、ホウ素含有物を用いて添加される。このホウ素含有物は、固溶体、共晶、及び、化合物を用いることができる。前記方法で作製した本発明のハンダ合金は、より優れた本発明の効果が得られる。ホウ素の添加に使用する前記ホウ素含有物としては、例えば、Cu−B、Ni−B、Fe−B、Si−B、Cr−B、Zr−B、Co−B等の固溶体、共晶、及び、化合物が使用できる。また、本発明で添加されるその他の金属は、前記ホウ素を添加する前又は添加した後に加えることができ、又は、前記ホウ素の添加と同時に加えることができる。
また、前記ハンダ合金からのハンダボールの作製方法としては、溶解したハンダ合金インゴットを線引きし、ワイヤー状にした後、一定長さに切断し、油中で溶融させることで表面張力を利用して球状化するワイヤーカット法や、溶融したハンダを微細なオリフィスから振動と共に噴出し、真空中やガス雰囲気中で振動による波で溶融ハンダを切断し、表面張力で球状化する気中造粒法等、いずれの手法で作製しても良い。
本発明によるハンダ合金を用いてハンダバンプを作製する方法は、一般的にはスクリーン印刷による方法とハンダボールによる方法がある。スクリーン印刷法では、前記ハンダ合金をアトマイズ法等で微細なハンダ粉とした後、フラックスと混合してペーストとした後、電極上にメタルマスクを用いてスキージングし、ペーストを一定量電極上に載せた後に、リフローすることでハンダバンプを形成することができる。また、ハンダボールによる方法では、前述したハンダボールをフラックスを塗布した電極上に並べて、リフローすることでハンダバンプを形成することができる。
以下、実施例により、より具体的に本発明効果を説明する
(実施例1)
表1に示す各成分となるように、各純金属を秤量し、アルミナ坩堝を使用して高周波溶解法によりハンダ合金を作製した。ここで、ホウ素の添加は、ホウ素原料をホウ素単体としての金属ホウ素とし、各純金属と金属ホウ素を同時に溶融させて行った。作製したハンダ合金の組成分析は、ICP分析およびGD-MS法で行った。作製した各ハンダ合金を伸線してワイヤーを作製し、更に、ワイヤーカット法で直径300μmのハンダボールを作製した。ハンダボールを実装するサンプルとして、部品側は、0.5mmピッチで、パッド数84ピンの6mm角チップスケールパッケージ(CSP)を用いた。このCSPの電極表面処理はCu電極にNiおよびAuめっきを処したCu/Ni/Auである。また、マザーボード側基板として、132x77x1(mm)サイズ、電極表面処理がCu/Ni/Auである基板を用いた。最初に、CSP上にボールを搭載してリフローし、バンプを形成した後、CSPをプリント基板上に実装した。フラックスには水溶性の物を用いた。また、リフロー温度は、溶融温度+30℃の条件とし、ホウ素を含有している組成の物については、ホウ素を含有していない同じ組成と同様の温度プロファイルとした。耐落下衝撃特性の試験の評価は、JEDEC規格のJESD 22-B111に準拠した方法で行い、落下毎に部品の抵抗値をモニターしながら、抵抗値が初期値の2倍になった時点の落下回数を破断と定義した。また、耐落下衝撃特性は、ホウ素を添加していない同ハンダ合金(同一組成)に比べて、変わらない又はそれ以下の評価を×、20%以上特性が向上したものについて○、30%以上特性が向上したものについて◎、40%以上特性が向上したものを◎○とし、その結果を表1に併記した。
溶融温度が250℃以上のハンダ合金(No.1-1〜No.1-4)においては、ホウ素の添加の効果が見られなかったが、溶融温度が250℃未満であるハンダ合金においては、ホウ素の含有量が0.1ppm以上200ppm以下で、残部を実質的にSnが40質量%以上含有する合金で、顕著な耐落下衝撃特性向上が見られた(No.1-6, No.1-8, No.1-11〜No.1-20, No.1-23, No.1-25, No.1-27 ,No.1-30〜No.1-39, No.1-42, No.1-44, No.1-46, No.1-48)。特に、ホウ素の含有量が0.1ppm以上100ppm以下でより優れた耐落下衝撃特性が得られ(No.1-6, No.1-8, No.1-11〜No.1-17, No.1-23, No.1-25, No.1-27 , No.1-30〜No.1-36, No.1-42, No.1-44, No.1-46, No.1-48)、ホウ素の含有量が0.1ppm以上50ppm以下でさらに優れた耐落下衝撃特性が得られた(No.1-6, No.1-8, No.1-11〜No.1-15, No.1-23, No.1-25, No.1-27, No.1-30〜No.1-34, No.1-42, No.1-44, No.1-46, No.1-48)。また、ホウ素の含有量が、0.1ppm未満、又は200ppmを越えると、耐落下衝撃特性の向上が見られなかった(No.1-5, No.1-7, No.1-9, No.1-10, No.1-21, No.1-22, No.1-24, No.1-26, No.1-28, No.1-29, No.1-40, No.1-41, No.1-43, No.1-45, No.1-47)。
Figure 0005230974
(実施例2)
表2、3及び4に示す各成分となるように、ハンダ合金成分を秤量した。ここで、実施例2では、ホウ素の添加方法として、「B添加原料」の欄に記載したホウ素単体としての金属ホウ素、又はホウ素含有物を用いた。このホウ素添加原料の合金は、金属ホウ素と記載の純金属とをアーク溶解法にて作製し、上記ハンダ合金成分に加えて、最終的に表記載の組成となるように調整した。その後、高周波溶解によりハンダ合金を作製した。作製したハンダ合金の組成分析は、ICP分析およびGD-MS法で行った。前記作製した各ハンダ合金から、気中造粒法により直径300μmのハンダボールを作製した。実装及び評価は、実施例1と同様に行い、特性評価は、ホウ素を添加していない同ハンダ合金(同一組成)と比較して、変わらない又はそれ以下の評価を×、15%以上特性が向上したものについて○、25%以上特性が向上したものについて◎、35%以上特性が向上したものを◎○、45%以上特性が向上したものを◎◎、55%以上特性が向上したものを◎◎○とし、その結果を表2、3及び4に併記した。
金属ホウ素を使用して添加したホウ素を含有するハンダ合金(No.2-8, No.2-22, No.2-36, No.2-52, No.2-54, No.2-56, No.2-58, No.3-3〜No.3-12)に比べて、ホウ素と、固溶体、共晶、又は化合物を使用して添加したホウ素を含有するハンダ合金の方が、耐落下衝撃特性がより向上した(No.2-13, No.2-27, No.2-41, No.2-53, No.2-55, No.2-57, No.2-59, No.3-15〜No.3-24, No.3-27〜No.3-36, No.3-39〜No.3-48)。また、特に、Cu-B固溶体、又はNi-B化合物を用いてホウ素を添加することで、高い耐落下衝撃特性が得られた(No.2-27, No,2-53, No.2-55, No.2-57, No.2-59, No.3-39〜No.3-48)。さらに、Cu-B固溶体及びNi-B化合物の両方を用いてホウ素を添加することで、より高い耐落下衝撃特性が得られた(No.4-15〜No.4-25)。
Figure 0005230974
Figure 0005230974
Figure 0005230974
(実施例3)
本実施例では、Agの濃度、Cuの濃度に関する影響を調査した。表5に記載した合金の溶融温度はいずれも230℃以下である。No.5-1からNo.5-11において、Ag濃度の影響を調べた。また、No.5-12からNo.5-24において、Cu濃度の影響を調べた。表5には、Sn以外の合金の組成を記載している。表5の組成となるように、Ag、Cu、及びCu-B固溶体をそれぞれ秤量し、ハンダ合金を高周波溶解により作製した。ここでは、表5の組成となるように、全ての金属を同時に坩堝に入れて、高周波溶解を行った。作製したハンダ合金の組成分析は、ICP分析およびGD-MS法で行った。前記作製した各ハンダ合金からワイヤーを作製し、更に、直径300μmのハンダボールをワイヤーカット法で作製した。実装及び評価は、実施例1と同様に行い、特性は、No.5-1からNo.5-11については、Sn-0.9wt%Cu-5ppmB(No.5-1)と比べて、また、No.5-12からNo.5-24については、Sn-1.2wt.%Ag-10ppmB(No.5-12)と比べて、それ未満のものを×、同程度のものを○、20%以上特性が向上したものについて◎、40%以上特性が向上したものについて◎○とし、その結果を表5に併記した。
Ag濃度に関しては、0.1質量%以上5質量%以下でより高い耐落下衝撃特性を示した(No.5-3〜No.5-10)。特に、0.8質量%以上1.5質量%以下(No.5-5〜No.5-7)では、更に高い耐落下衝撃特性を有するとともに、表5には記載していなが、125℃20分、-45℃20分を1サイクルとする熱疲労試験においても、いずれも1000サイクルを超えて、優れた特性を示した。Cu濃度に関しては、0.01質量%以上1.5質量%以下で高い耐落下衝撃特性を示し(No.5-14〜No.5-23)、特に、0.05質量%以上、1.0質量%以下で更に高い耐落下衝撃特性を示した(No.5-16〜No.5-21)。
Figure 0005230974
(実施例4)
本実施例では、Niの濃度に関する影響を調査した。表6に評価合金のSn以外の成分を示す。溶融温度はいずれも230℃以下である。ここでは、Cu-B固溶体合金をホウ素の添加方法として選択し、他の金属元素と同時に真空高周波溶解によりハンダ合金を作製した。作製したハンダ合金の組成分析は、ICP分析およびGD-MS法で行った。前記作製した各ハンダ合金を用い、気中造流法により直径300μmのハンダボールを作製した。実装及び評価は、実施例1と同様に行い、特性は、Niを添加していないNo.5-1に比べて、それ未満のものを×、同等のものを○、20%以上特性が向上したものについて◎、40%以上特性が向上したものについて◎○とし、その結果を表6に併記した。
Niの含有量が0.005質量%以上0.5質量%以下でより高い耐落下衝撃特性が得られた(No.6-3〜No.6-11)。更に、0.01質量%以上0.1質量%以下でさらに優れた耐落下衝撃特性が得られた(No.6-5〜No.6-9)。
Figure 0005230974
(実施例5)
本実施例では、Ag、Cu、Niの濃度に関する影響を調査した。溶融温度は、いずれも230℃以下である。ホウ素の添加法には、Ni-B化合物合金とCu-B共晶合金を用いた。最終的にSn以外が表7の組成となるように、各種金属を秤量し、高周波溶解にて窒素雰囲気中でハンダ合金を作製した。作製したハンダ合金の組成分析は、ICP分析およびGD-MS法で行った。前記作製した各ハンダ合金を伸線し、ワイヤーにした後、ワイヤーカット法によりハンダボールを作製した。実装及び評価は、実施例1と同様に行った。特性は、同様の手法で作製したホウ素未添加のSn-1Ag-0.5Cuと比べて、それ未満のものを×、20%以上特性が向上したものについて○、40%以上特性が向上したものについて◎、50%以上特性が向上したものを◎○とし、その結果を表7に併記した。
Agの含有量が0.8質量%以上1.5質量%以下、Cuの含有量が0.05質量%以上1.0質量%以下、Niの含有量が0.01質量%以上0.1質量%以下でより高い耐落下衝撃特性が得られた(No.7-2〜No.7-4, No.7-7〜No.7-10, No.7-13〜No.7-17)。
Figure 0005230974
(実施例6)
本実施例では、P、Ge、Gaの濃度に関する影響を調査した。溶融温度は、いずれも230℃以下である。ハンダのベース組成として、Sn-1.2Ag-0.7Cuにホウ素を質量で4ppm添加したハンダを選択した。ホウ素の添加は、Cu-B固溶体合金で行い、P、Ge、Gaの添加は、それぞれSnとの合金を用いて、原料を秤量し、表8に記載の組成となるように作製した。作製したハンダ合金の組成分析は、ICP分析およびGD-MS分析法で行った。また、ハンダボールは、作製したハンダ合金を窒素雰囲気中の気中造粒法により作製した。落下試験用サンプルの実装及び評価は、実施例1と同様に行った。特性は、ホウ素およびP、Ge、Gaを添加していない同様の手法で作製したハンダ合金Sn-1.2Ag-0.7Cuに比べて、それ未満のものを×、20%以上特性が向上したものについて○、40%以上特性が向上したものについて◎、50%以上特性が向上したものを◎○とし、その結果も表8に併記した。
Pの含有量が0.001質量%以上0.05質量%以下、Geの含有量が0.001質量%以上0.05質量%以下、Gaの含有量が0.001質量%以上0.05質量%以下でより高い耐落下衝撃特性が得られた(No.8-1, No.8-2, No.8-4, No.8-5, No.8-7, No.8-8, No.8-10)。
Figure 0005230974
(実施例7)
本実施例では、Sbの濃度に関する影響を調査した。表9に示す組成になるように、Sn、Ag、Cu、Sbを秤量し、ホウ素については、Cu-Bの固溶体合金を用いて、上記金属を同時に高周波溶解により、合金化し、ハンダ合金を作製した。作製したハンダ合金の組成分析は、ICP分析およびGD-MS法で行った。作製したハンダ合金を伸線し、ワイヤー状にした後に、ワイヤーカット法によって直径300μmのハンダボールを作製した。実装及び評価は、実施例1と同様に行った。特性は、ホウ素およびSbを添加していない同様な手法で作製したSn-1.2Ag-1.2Cu(質量%)のものと比べて、それ未満のものを×、20%以上特性が向上したものについて○、40%以上特性が向上したものについて◎、50%以上特性が向上したものを◎○とし、その結果も表9に併記した。
Sbの含有量が0.005質量%以上1.0質量%以下で高い耐落下衝撃特性が得られ(No.9-2〜No.9-9)、更に、0.02質量%以上0.5質量%以下(No.9-4, No.9-5)で、特に優れた耐落下衝撃特性、および、表9には記載されていないが、+125℃20分と-45℃20分を1サイクルとする熱疲労試験において、2000サイクル以上の優れた熱疲労特性を示した。
Figure 0005230974
(実施例8)
本実施例では、フローハンダによる効果を検証した。使用した部品は、16ピンのデュアルインラインパッケージ(DIP)で、ピッチ2.54mm、20x6.5x4mmのものである。マザーボード側基板は実施例1と同様に、132x77x1(mm)サイズ、電極表面処理がCu/Ni/Auである基板を用いた。ハンダ合金組成は質量%で、Sn-1.2Ag-1.0CuとSn-1.2Ag-1.0Cu-0.0005Bとし、Sn、Ag、Cuの純金属とCu-B固溶体合金を用いて、上記組成となるように秤量し、母合金を窒素雰囲気加熱炉を用いて作製した。作製したハンダ合金を用いて、フローハンダ付けを上述した部品に対して行い、実施例1と同様にJEDECの規格に準拠したベース上1500G、0.5msの負荷加速度波形で、落下試験を行った。落下特性の評価方法も実施例1と同様に、落下毎に抵抗値をモニターしながら、初期抵抗値の2倍になった時点を落下回数として、その大小で評価した。その結果、ホウ素を添加したハンダ合金は、ホウ素を添加しないハンダ合金に比べて30%耐落下衝撃性特性が向上した。
本発明は、上記実施例に限定されるものではない。例えば、上記した実施例では、作成した各ハンダ合金を用いて、ワイヤーカット法や、気中造流法で直径300μmのハンダボールを作成した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、その他の方法でも同様の特性を示し、作製方法による特性の依存性は見られなかった。

Claims (11)

  1. Snに、Cu-Bの固溶体、Cu-Bの共晶、Ni-Bの化合物及びFe-Bの共晶のいずれか1種以上のホウ素含有物を添加し、ホウ素を質量で0.1ppm以上100ppm以下とし、その溶融温度が250℃未満であることを特徴とするハンダ合金。
  2. 前記ホウ素含有物が、Cu-Bの共晶とNi-Bの化合物との組み合わせ又はCu-Bの固溶体とNi-Bの化合物との組み合わせである請求項1記載のハンダ合金。
  3. 更に、Ag及びCuを含有し、Agの含有量が0.1質量%以上5質量%以下で、Cuの含有量が0.01質量%以上1.5質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のハンダ合金。
  4. 更に、Niを含有し、Niの含有量が0.005質量%以上0.5質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハンダ合金。
  5. 更に、Ag、Cu、及びNiを含有し、Agの含有量が0.8質量%以上1.5質量%以下、Cuの含有量が0.05質量%以上1.0質量%以下、Niの含有量が0.01質量%以上0.1質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のハンダ合金。
  6. 更に、P、Ge、及びGaのうち少なくとも一つ以上を含有し、Pの含有量が0.05質量%以下、Geの含有量が0.05質量%以下、Gaの含有量が0.05質量%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のハンダ合金。
  7. 更に、Sbを含有し、Sbの含有量が0.005質量%以上1.0質量%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のハンダ合金。
  8. Pbの含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のハンダ合金。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のハンダ合金からなり、球径1mm以下であることを特徴とするハンダボール。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のハンダ合金を用いて形成されたハンダバンプを有することを特徴とする電子部材。
  11. 請求項9記載のハンダボールを用いて形成したハンダバンプを有することを特徴とする電子部材。
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