JP5229526B2 - 磁性超微粒子及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、磁性鉄超微粒子及びその製造方法、並びに磁性鉄超微粒子を利用した複合材料、磁気記録体、電磁波吸収体及び生体物質抽出用担体に関する。
磁性金属粒子からなる金属磁性粉末は、磁気記録用磁性粉末や、ノイズの原因等となる電磁波を吸収するための電磁波吸収体用粉末、また、核酸、蛋白質成分、細胞などの生体物質を抽出する担体等として利用されている。磁性金属粒子と他の材料を組み合わせた複合材料は、電磁波吸収体材料として利用されている。磁気記録用磁性粉末、電磁波吸収体材料、担体の3つに分けて説明する。
まず、磁気記録用磁性粉末は、オーディオ装置やビデオ装置、コンピュータ装置などで用いられる記録媒体に利用されている。記録媒体としては、磁性粉末、結合剤および各種添加剤を有機溶剤に分散、混練することによって調整される磁性塗料を非磁性支持体上に塗布、乾燥して磁性層を形成した、いわゆる塗布型の磁気記録媒体が、生産性、汎用性に優れることから主流を占めている。上記した各種の磁気記録再生装置においては、近年、小型および軽量化、高画質化、長時間化が進められ、これに伴って、上記塗布型の磁気記録媒体に対しても高密度記録化が要望されるようになっている。
上記塗布型の磁気記録媒体の高密度記録領域での特性を改善するには、まず飽和磁化の大きな磁性粉末の選択が重要である。そこで、従来から用いられている酸化鉄系磁性粉末にかわって、鉄を主成分とする金属磁性粉末が、上記磁性層に含有させる磁性粉末として使用されるようになっている。
しかし、鉄を主成分とする微細な金属磁性粉末は、空気中の酸素と触れれば特性劣化を招くばかりでなく燃えてしまい大事故になる恐れさえある。いわゆるナノ粒子ではかかる恐れが顕著であり、最も磁気特性に優れた、平均粒径が20nm以上100nm以下の粒子で構成される金属磁性粉末でも同様である。
そこで、金属磁性粉末を低酸素濃度のガスで徐酸化させることにより表面層に酸化鉄層を設ける方法が提案され現在広く利用されている(例えば、特許文献1参照)。
次に、電磁波吸収体用粉末や磁性金属粒子と他の材料を組み合わせた複合材料磁性金属粒子と他の材料を組み合わせた複合材料は、電磁波吸収体として利用されている。各種の電子機器において、外部からの電磁波の影響を防止したり、外部への電磁波の放射を抑制したりする目的で、さまざまな電磁波吸収体が実用化されている。その一つの有力なタイプは、鉄を主成分とする磁性金属粉末を樹脂中に分散させて、シートその他の形状に成形してなるものである。鉄を主成分とする磁性金属粉末としては、アトマイズすなわち金属溶湯を水またはガスで噴霧することによる約50μm程度のアトマイズ法による金属粉、金属塊を機械切削して得た数mm程度の金属粉が使用されている。
近年、パソコン、携帯電話等の電子機器、情報機器が急速に普及、発展してきており、薄型、軽量、高性能が必要になり、GHz領域で使用可能な電磁波吸収体が要求されている。しかし、上記の数十μm以上の大きさの磁性鉄粒子や、数百nm以上で数十μm以下の大きさの、さらには最も磁気的特性の優れた平均粒径が20nm以上100nm以下の酸化鉄微粒子では、要求される電磁波吸収特性が達成できていない。
電磁波吸収特性は透磁率値によって支配され、さらに、透磁率値は飽和磁化によって支配される。耐酸化性が低いと飽和磁化ならびに透磁率は低くなる。そこで、耐酸化性を向上させる方法として珪素を含有した合金鉄微粒子が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、鉄微粒子核に鉄の窒化物層で被覆された微粒子が提案されている(例えば、特許文献3参照)。また、鉄微粒子に磁性スピネル型フェライト(鉄酸化物)で被覆された微粒子が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
鉄を主成分とする粒子粉末を電磁波吸収体に応用することを可能にするには、使用する原料粉末の飽和磁化ならびに透磁率を高くすることと耐酸化性を向上させることのみでなく、電気絶縁性を維持した、粒子濃度が高い樹脂複合材料とすることも重要である。粒子濃度の高い電磁波吸収体は、電磁波吸収効果が高いからである。一方で、金属磁性粉末は一般的に比抵抗が小さいので、高粒子濃度になると粒子同士が接触してしまい、渦電流損失が大きくなり、電磁波吸収効果が低くなり、ノイズ抑制特性が劣化してしまう。加えて、金属磁性粉末を構成する粒子同士が接触しあうような樹脂複合材が電子回路上などに配置すると短絡などの不具合が発生してしまうために、電気絶縁性を維持していることも重要である。
そこで比抵抗を高くするため金属磁性粉末の表面を磁性鉄酸化物であるフェライトで被覆させることが提案されている。これは耐酸化性の向上にもつながる(例えば、特許文献4参照)。また0.1μm〜10μmの大きさの鉄粉をあらかじめセラミックス粉と樹脂とを混ぜて、鉄粉を絶縁物で被覆した二次粒子とし、その後、前記粒子と樹脂を混ぜて成形して作成した樹脂との複合材であって、鉄を29〜52体積%含有するものを提案している(例えば、特許文献5参照)。樹脂中に高粒子濃度で前記粒子を分散させることで優れた磁気的特性を実現している。
そして次に、核酸、蛋白質成分、細胞などの生体物質を抽出する担体は、生体物質を含有する材料から効率よく生体物質を単離等することに利用されている。例えば、核酸を含む検体、試料、材料から核酸を抽出して精製するためにあるいは核酸増幅物を精製するために使用される診断薬担体、細胞分離担体、核酸分離担体、固定化酵素担体として、磁性微粒子が使用されている。該磁性微粒子の表面に核酸、蛋白質成分、細胞などの生体物質を吸着させた上で、磁力を利用することで生体物質の回収および分散を行う。
生体物質抽出担体には、磁性微粒子として超常磁性金属酸化物を用いたもの(例えば、特許文献6参照)、より磁力の優れたカルボニル鉄を用いたもの(例えば、特許文献7参照)などが提案されている。また該磁性微粒子の表面に生体サンプル中の拡散を結合させるため、核酸が結合しうる素材で表面を覆う必要がある。この表面被覆材として珪素酸化物が好適で、その被覆方法として、シリコンのアルコキシドを用いて、比表面積が0.1m/g以上100m/g未満のシリカ粒子内に、多磁区からなる複数の金属または金属酸化物の芯微粒子を含有させる方法が提案されている(例えば、特許文献8参照)。また、有機溶媒中でシランカップリング剤を用いて表面改質することにより、磁性金属微粒子を前記磁性金属と珪素を含有する表面改質層を設け、前記表面改質層をシリコンのアルコキシドを用いて珪素酸化物で被覆する方法が提案されている(例えば、特許文献9参照)。
特開平9−302404号公報 (請求項1〜4) 特開2002−158482号公報 (請求項1) 特開2001−308582号公報 (請求項1) 特開2005−268363号公報 (請求項2) 特開2004−143347号公報 (0042段落) 特開2001−78761号公報 (請求項1) 特開2004−135678号公報 (0014段落) 特開2000−256388号公報 (0022段落) 特開2006−249528号公報 (0005段落)
しかし、特許文献1に記載された酸化鉄で構成される酸化保護膜層では、ナノ粒子サイズである超微粒子を用いた場合、室温でも空気中の酸素と触れれば、酸化が進展して磁気特性が劣化してしまうという問題があった。また、特許文献2、3及び4で提案された方法でも、超微粒子を用いた場合、耐酸化性が十分ではなく、室温で空気中の酸素と触れれば、酸化が進展して磁気特性が劣化してしまうという問題があった。すなわち、特許文献1、2、3及び4に開示された耐酸化性を向上させる手法では、緻密な皮膜ではないため、室温で空気中の酸素と触れた時、磁気特性の劣化をきたさない耐酸化性を得るまでには至っていないのである。
さらに、特許文献4、5で提案された方法は、高粒子濃度の磁性鉄超微粒子と樹脂との複合材料を提供するものではない。また、サブミクロンサイズの微粒子よりさらに粒子径が小さい超微粒子になると、概ね5体積%を超えると粒子間引力が極めて大きくなるため、非常に凝集しやすくなるので、凝集・分散挙動の制御が難しく、樹脂中に高粒子濃度で微粒子を均一に分散・配置させることは極めて困難であるという問題があった。表面が親水性で構成された酸化鉄などの酸化物では、有機高分子を吸着させて表面改質させることで、超微粒子においても、均一に分散・配置させることが近年ではある程度可能となっているが、純鉄などメタルの超微粒子の表面は疎水性であるため、前記の手法では効果が低く、依然として均一に分散・配置させる手法は見出されていない。
特許文献8で提案された方法では、純金属微粒子を芯微粒子にした場合、純金属微粒子の表面が疎水性であるために親水性である珪素酸化物を吸着せず、したがって純金属微粒子に珪素酸化物をコントロールして被覆することは極めて困難である。発明者らが超微粒子を用いて行った研究の範囲では、純金属超微粒子においては、シリコンのアルコキシドを用いても、何ら表面改質しない状態では、純金属超微粒子を芯微粒子として珪素酸化物被覆を制御して設けたシリカ粒子を得ることはできなかった。親水性表面を有する磁性金属酸化物微粒子ではこの提案された手法で珪素酸化物被覆を厚みや均一性を制御して施すことが可能であるが、磁性金属超微粒子と比べて磁気特性が劣るという問題があった。
また、超微粒子では、特許文献9で提案された手法では、金属微粒子核の疎水性で構成された表面に、その金属とSiを含有する層を有し、その上に珪素酸化物層が設けられているが、珪素酸化物層を制御して設置することが容易ではないという問題があった。100nm以下の大きさのいわゆるナノ粒子レベルの超微粒子と、数μmの大きさの微粒子では、全く表面特性が異なることは知られている。もちろんプロセス上の取り扱いの困難さなども異なってくる。疎水性の表面にはシランカップリング剤は十分に吸着しないため、特にナノ粒子レベルの大きさでは、シランカップリング剤で表面改質しても、その後で、シリコンのアルコキシドで、厚みや均一性など制御して、空気中の酸素と触れても全く磁気特性の劣化のない珪素酸化物を被覆することは困難であることが、発明者らの研究で分かった。このように従来提案されている技術では、最も磁気特性の優れた、鉄を主成分とする金属超微粒子に、緻密で、厚みや均一性などを制御した、耐酸化特性に優れた珪素酸化物を被覆させることに成功していない。
電磁波吸収体としては、高い比抵抗を維持し、したがって高い電気絶縁性を維持しつつ、かつ高い粒子濃度で樹脂中に磁性金属微粒子が均一に分散していることが必要条件で、亀裂がなく、ポアーもないことが望まれるが、従来の有機溶媒中に磁性金属微粒子を分散させた塗料を塗布する方法や特許文献5で開示の方法では、高い粒子濃度では、電気絶縁性を維持しつつ、樹脂中に粒子が均一に分散した複合材料を得ることはできない。また、亀裂やポアーが発生しやすくなる。
本発明は、このような従来の問題点を鑑みてなされたものである。本発明の第1の目的は、飽和磁化が高く、耐酸化性が高い磁性鉄超微粒子を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、高い耐酸化性を有し且つ高い磁気特性を兼ね備えた鉄を主成分とした超微粒子を製造できる磁性鉄超微粒子製造方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、磁性鉄超微粒子と樹脂との複合材料において、電気絶縁性を維持し、磁気的特性に優れ、また電磁波吸収効果が高い複合材料を提供することにある。本発明の第4の目的は、電気絶縁性を維持し、磁気的特性に優れ、また電磁波吸収効果が高い複合材料を製造できる、複合材料製造方法を提供することにある。
また、本発明の第5の目的は、磁気的特性に優れ高密度記録化を可能とする磁気記録体を提供することにある。本発明の第6の目的は、電磁波吸収効果が高くGHz領域での使用を可能とする電磁波吸収体を提供することにある。本発明の第7の目的は、磁気特性に優れ核酸磁気分離操作を短時間で行うことを可能とする生体物質抽出用担体を提供することにある。
本発明の第1の態様は、上記第1の目的を達成するため、鉄を主成分とする超微粒子核と、前記超微粒子核の表面に形成された鉄酸化物層と、シリコンのアルコキシドの加水分解反応で化学的に析出させた珪素酸化物で形成し前記鉄酸化物層を被覆する珪素酸化物層とからなる磁性鉄超微粒子を、水素ガスを含む雰囲気中で、400℃以上600℃以下で熱処理して得られる磁性鉄超微粒子であって、鉄を主成分とする超微粒子核と、前記超微粒子核を被覆する珪素酸化物層からなり、前記超微粒子核が、長軸が100nm以上500nm以下で短軸が20nm以上50nm以下である針状粒子であるか、又は、前記超微粒子核が、針状以外の粒子であって、平均粒子径が20nm以上100nm以下であり、前記珪素酸化物層の厚みが1nm以上10nm以下であることを特徴とする磁性鉄超微粒子を提供する。本願において、超微粒子とは、針状粒子の場合は短軸の長さがナノサイズ(1nm以上100nm以下)である粒子をいい、針状粒子以外の場合は、平均粒子径がナノサイズ(1nm以上100nm以下)である粒子をいう。
前記超微粒子核が、長軸が100nm以上500nm以下で短軸が20nm以上50nm以下である針状粒子である、又は前記超微粒子核が、針状以外の粒子であって、平均粒子径が20nm以上100nm以下である、高い飽和磁化および透磁率を示す。平均粒子径が20nmより小さいと超常磁性になり磁気特性が消失するため好ましくない。平均粒子径が100nmより大きいと磁気特性が十分ではない。磁気記録材料や電磁波吸収体や生物分離用担体として用いる磁性粉末は、球状ナノ粒子、あるいは磁気異方性を示す針状ナノ粒子が適する。なかでも磁気記録材用の磁性粉には、平均粒子径が20nm以上100nm以下の球状粒子で、鉄を主成分とする金属超微粒子が最適であると考えられる。
本発明の第1の態様によれば、飽和磁化が高く、耐酸化性が高い。したがって、本発明の第1の態様は、磁気記録用磁性粉末として好適である。また、ノイズの原因等となる電磁波を吸収するための電磁波吸収体用粉末として好適である。また、核酸、蛋白質成分、細胞などの生体物質を抽出する担体等として好適である。
また、本発明の第2の態様は、上記第2の目的を達成するため、上記した本発明の第1の態様の磁性鉄超微粒子の製造方法であって、鉄を主成分とする超微粒子核を徐酸化して前記超微粒子核の表面に鉄酸化物層を形成するステップ、有機溶媒中に分散させるステップ、シリコンのアルコキシドの加水分解反応で化学的に析出させた珪素酸化物で形成した珪素酸化物層で前記鉄酸化物層を被覆するステップ、水素ガスを含む雰囲気中で、400℃以上600℃以下で熱処理して前記鉄酸化物層を還元するステップを有することを特徴とする磁性鉄超微粒子製造方法を提供する。本発明の第2の態様によれば、高い耐酸化性を有し、かつ高い磁気特性を兼ね備えた鉄を主成分とした超微粒子を製造できる。また、急激な酸化反応を防止し安全に磁性鉄超微粒子を製造できる。
また、本発明の第3の態様は、上記第3の目的を達成するため、磁性鉄超微粒子と樹脂との複合材料であって、上記した本発明の第1の態様の磁性鉄超微粒子の表面に樹脂のモノマーを吸着させ、さらにグラフト重合して樹脂を被覆させた粒子であることを特徴とする複合材料を提供する。さらに、この複合材料を加圧中で加熱して成形したものであることが好ましい。
また、本発明の第4の態様は、上記第4の目的を達成するため、磁性鉄超微粒子と樹脂との複合材料の製造方法であって、上記した本発明の第1の態様の磁性鉄超微粒子の表面に樹脂のモノマーを吸着させ、さらにグラフト重合して樹脂を被覆させた粒子である磁性鉄超微粒子をシランカップリング剤で疎水化処理するステップ、前記磁性鉄超微粒子の表面に樹脂のモノマーを吸着させ、さらにグラフト重合して樹脂被覆を行うステップを有することを特徴とする複合材料製造方法を提供する。
上記した複合材料製造方法は、樹脂を被覆させた後、さらに、加圧中で加熱して成形するステップを有することが好ましい。かかる方法によれば、高い比抵抗を維持したまま、高粒子濃度で樹脂中に磁気的特性の高い磁性金属微粒子を亀裂・ポアーなく分散させることができる。
また、本発明の第5の態様は、上記第5の目的を達成するため、上記した本発明の第1の態様の磁性鉄超微粒子を含む磁性塗料を塗布して形成した磁性層を含有することを特徴とする磁気記録体を提供する。本発明の第5の態様によれば、極めて有効な絶縁性を有する。
また、本発明の第6の態様は、上記第6の目的を達成するため、上記した本発明の第1の態様の磁性鉄超微粒子又は上記した本発明の第3の態様の粒子の複合材料を絶縁性の基材中に分散含有させたことを特徴とする電磁波吸収体を提供する。上記した本発明の第3の態様の成形した複合材料からなるものでもよい。
また、本発明の第7の態様は、上記第7の目的を達成するため、上記した本発明の第1の態様の磁性鉄超微粒子を含有し、核酸を抽出するものであることを特徴とする生体物質抽出用担体を提供する。
本発明の磁性鉄超微粒子によれば、飽和磁化が高く、耐酸化性が高い。また、本発明の磁性鉄超微粒子製造方法によれば、高い耐酸化性を有し且つ高い磁気特性を兼ね備えた鉄を主成分とした超微粒子を製造できる。
本発明の複合材料によれば、電気絶縁性を維持し、磁気的特性に優れ、また電磁波吸収効果が高い。また、本発明の複合材料製造方法によれば、電気絶縁性を維持し、磁気的特性に優れ、また電磁波吸収効果が高い複合材料を製造できる。
また、本発明の磁気記録体によれば、磁気的特性に優れ高密度記録化を可能とする。また、本発明の電磁波吸収体によれば、電磁波吸収効果が高くGHz領域での使用を可能とする。また、本発明の生体物質抽出用担体によれば、磁気特性に優れ核酸磁気分離操作を短時間で行うことを可能とする。
<磁性鉄超微粒子>
図1は、本発明の磁性鉄超微粒子の第1の実施形態を示す模式図である。図1に示した磁性鉄超微粒子は、鉄を主成分とした超微粒子核1とこれを被覆する鉄酸化物層2と、さらにこれを被覆する珪素酸化物層3からなる。図2は、本発明の磁性鉄超微粒子の第2の実施形態を示す模式図である。図2に示した磁性鉄超微粒子は、鉄を主成分とした超微粒子核1とこれを被覆する珪素酸化物層3からなる。本発明の磁性鉄超微粒子の第2の実施形態は、第1の実施形態よりもさらに磁気特性ならびに耐酸化特性が向上する。
本発明の第1の実施形態の磁性鉄超微粒子は、鉄を主成分とする金属超微粒子核、その表面に形成された鉄酸化物皮膜層ならびに前記鉄酸化物皮膜層を被覆した珪素酸化物層で構成されている。あるいは前記磁性鉄超微粒子を、水素ガスを含む雰囲気中で還元熱処理により鉄を主成分とする金属超微粒子核、その表面を緻密に被覆した珪素酸化物層で構成されている。鉄を主成分とする金属超微粒子核には、コバルト(Co)やニッケル(Ni)などが含まれていても構わない。特にCoを含む鉄合金は高い飽和磁化を示すためより好ましい。高い飽和磁化は磁気記録材料および生体物質を抽出する担体用磁性粉末として有効であり、高い飽和磁化及び透磁率は電磁波吸収体用磁性粉末として有効である。
電磁波吸収体は、吸収体内に電磁エネルギーを取り込み、これを熱エネルギーに変換して消費することができるものである。電子機器における基板近傍で高い吸収効果を得るには、高周波において複素透磁率損失の高いものが適している。数GHzに及ぶ高周波磁界対しては、磁化回転が透磁率の値を支配すると言われており、かかる仮定によれば、飽和磁化が高いものは透磁率が高くなる。飽和磁化は、フェライトなどの鉄酸化物系の材料に比較して、鉄、コバルト等のメタルが大きい。特に鉄では飽和磁化が高いことが知られている。ところが、メタルの場合、電気抵抗が低いために、高周波磁界に対しては渦電流による表皮効果のために、大部分が磁性体として有効に機能しないことから、透磁率の値は、一般にメタルの粒子より酸化物の粒子の方が大きかった。そこで、メタルの粒子は電磁波吸収体の材料としては不向きとされてきた。そこで、鉄粒子間の電気的絶縁状態を得るために、樹脂中に均一に分散させる構造体が提案されてきた。しかし、本発明の第1の実施形態の磁性鉄超微粒子では、磁性鉄超微粒子の表面に珪素酸化物が被覆されているので、高周波磁界でも渦電流が発生せず、よって、飽和磁化が高いものでは透磁率が高くなるという理論に適合する。本発明の第1の実施形態の磁性鉄超微粒子は、飽和磁化の値が高いので、透磁率も高い。
鉄を主成分とする金属超微粒子核としては、カルボニル鉄や酸化鉄を高温度で還元させる気相合成など得ることができる。もちろん市販品でも構わない。上記鉄を主成分とする超微粒子のサイズは、粒子の形態が針状の場合、長軸が00nm以上00nm以下の範囲で、短軸が20nm以上50nm以下の範囲の、粒子の形態が針状以外の場合、平均粒子径が20nm以上100nm以下の範囲であることが好ましい。より高い飽和磁化および透磁率を示すため超微粒子のサイズを上記範囲とする。超微粒子の形態は、針状であっても球状であっても良い。記録材としては、磁気異方性を示す針状がより好ましく、電磁波吸収体や生物分離用担体としては球状粒子がより好ましい。
本実施形態の表面改質層は、鉄を主成分とする金属超微粒子を徐酸化による方法で形成される。これによりプロセス上の取り扱いで急激な酸化反応により燃えるなどの危険を伴うことはなくなる。この表面改質層はシリコンのアルコキシドを用いて珪素酸化物を被覆する上で必要不可欠である。シリコンのアルコキシドの加水分解反応で形成される親水基が吸着できるのは鉄酸化物の親水性表面であるため、表面が疎水性の金属超微粒子には吸着できないためである。
徐酸化による鉄酸化物層は1nm以上10nm以下の範囲であることが好ましい。表面鉄酸化物層が1nmより小さいと、表面の親水性が十分とはいえず、珪素酸化物の安定した被覆が困難となり、結果として珪素酸化物被覆の厚みや均一性など制御することが困難となってしまう。表面改質層が10nmより大きいと、酸化鉄の比率が大きくなるため、飽和磁化や透磁率などの磁気特性が劣ってしまう。
上記鉄酸化物層を被覆する珪素酸化物層は1nm以上10nm以下の範囲であることが好ましい。珪素酸化物被覆層が10nm以上となると、磁気特性が劣化してしまうので好ましくない。1nm以下では耐酸化性が十分とはいえないので好ましくない。
本発明の磁性鉄超微粒子の第1の実施形態は、鉄を主成分とする超微粒子核を徐酸化して前記超微粒子核の表面に鉄酸化物層を形成するステップ(徐酸化ステップ)、有機溶媒中に分散させるステップ(分散ステップ)、シリコンのアルコキシドの加水分解反応で前記表面鉄酸化物層を珪素酸化物層で被覆するステップ(珪素酸化物被覆ステップ)の各ステップを順次行うことにより製造することができる。
また、上記した本発明の第1の実施形態の磁性鉄超微粒子を熱処理して得られる、超微粒子核と該超微粒子核を被覆する珪素酸化物層からなる本発明の磁性鉄超微粒子の第2の実施形態は、上記徐酸化ステップ、上記分散ステップ、上記珪素酸化物被覆ステップを順次行ったのち、水素ガスを含む雰囲気中で、400℃以上600℃以下で熱処理して前記鉄酸化物層を還元するステップ(還元ステップ)を行うことにより製造することができる。
(徐酸化ステップ)
徐酸化は微量の酸素を含む中性ガスや還元ガスを用いて、室温で放置する方法により達成される。表面酸化層の厚みの制御は、放置時間を変えることで達成できる。所定の鉄酸化物層を形成した後は、速やかに真空中あるいは還元ガスあるいは中性ガス気流中にて保持、保管することが好ましい。空気中に放置すると、金属超微粒子はたとえ徐酸化により鉄酸化物層を付与しても、徐々に全てが酸化物になるまで酸化が進展してしまう。この表面に形成される鉄酸化物層は透過電子顕微鏡観察によるコントラストをもって鉄を主成分とする超微粒子核と識別される。
(分散ステップ)
徐酸化による鉄酸化物層が形成された鉄を主成分とした金属超微粒子は、凝集をほぐしてアルコールなどの有機溶媒中で分散させた後、珪素酸化物で被覆される。高度に分散させないと、粒子同士がくっついた状態で珪素酸化物被覆されるため、飽和磁化や透磁率などの磁気特性が劣化してしまうので、この分散プロセスは重要である。珪素酸化物被覆はシリコンのアルコキシドの加水分解反応で達成されるため、分散媒はアルコールであることが好ましい。アルコール溶液としては、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。高度な分散状態は、分散剤としてオレイン酸やステアリン酸などの脂肪酸を、鉄超微粒子表面積あたり1.0mg/m2以上5.0mg/m2以下の量を添加して、振動数20KHz、1200Wの超音波を水冷中で30分以上照射する方法や周速8m/s以上のビーズ径50μmのビーズミル処理を1時間以上行うことで得ることができる。いずれの分散方法でも超微粒子の取り扱いは非酸化雰囲気中で行うことが必要である。
(珪素酸化物被覆ステップ)
アルコール中に高度に分散させた表面に鉄酸化物を形成させた、鉄を主成分とした超微粒子核はシリコンのアルコキシドを用いて加水分解反応により珪素酸化物被覆を達成できる。シリコンのアルコキシドの具体例は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラプロポキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどが適する。
テトラエトキシシランを採用する場合を例に、珪素酸化物被覆層を形成する方法を説明する。上述のアルコール中、例えばエタノール中に高度に分散させた、徐酸化により表面に鉄酸化物層を形成させた鉄を主成分とした超微粒子に、テトラエトキシシランおよびアンモニアおよび水を添加することにより珪素酸化物被覆層が形成可能となる。鉄超微粒子はエタノール1リットルあたり総表面積が15から30m量が適する。30m以上の総表面積を有する超微粒子を添加すると、鉄超微粒子が凝集したまま珪素酸化物被覆層が形成されてしまう。15m量以下ではいずれでも構わないが効率が悪くなるので好ましくない。テトラエトキシシランの添加量は超微粒子の表面層に1nm以上10nm以下の珪素酸化物被覆層を形成するのに必要な量を添加する。水の添加量については、テトラエトキシシラン添加量が1molに対し、水添加量を2mol以上とすることが好ましい。アンモニア添加量については、例えばアンモニア水の濃度が28%の場合、テトラエトキシシラン100重量部に対し、10から100重量部が好ましい。10重量部以下では触媒としての効果が十分に発揮されず、100重量部以上では、珪素酸化物の単離した球状粒子が形成されてしまうため前記範囲が好ましい。加水分解反応は例えば300rpmから500rpmの回転ばねを用いて、24時間撹拌をすることにより得られる。珪素酸化物層の厚みは、透過型電子顕微鏡観察によるコントラストで判別できる。ただしコントラストで判別された層は、珪素酸化物層と鉄酸化物層を合わせた層なので、あらかじめ鉄酸化物層の厚みを決定しておくことが必要となる。また珪素酸化物層はエネルギー分散型蛍光X線分析で元素分析し、シリコンと酸素を検出することで確認できる。平均粒子サイズは電子顕微鏡観察で1000個程度の粒子を画像解析によって決定することが望ましい。
(還元ステップ)
さらに、磁気特性を向上させるため、ならびに耐酸化特性を向上させるために、上記鉄を主成分とする鉄超微粒子核と、前記超微粒子核の表面に形成された鉄酸化物層と、前記表面鉄酸化物層を被覆する珪素酸化物層からなる磁性鉄超微粒子を、水素ガスを含む雰囲気中で、400℃から600℃の範囲で熱処理することが望ましい。水素ガスを含むガスとしては、例えば水素4%窒素96%の混合ガスなどが挙げられ、500℃での熱処理であれば、5時間処理すれば、完全に鉄酸化物層が還元されて純鉄になる。さらに、珪素酸化物層は緻密化されて酸素の拡散率を著しく低下させることができる。
(疎水化ステップ)
アルコールのみでも構わないが、加水分解反応を促進させるため水を添加した方がより好ましい。アルコールは例えば低級アルコールであるエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。シランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシルエチルトリメトキシシラン)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルヨリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリルーN−(1,3ジメチルーブチリデン)プロピルアミン、N−フェニルー3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチルー3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、等が挙げられる。シランカップリング剤の添加量は、磁性超微粒子に対し20重量%から40重量%が好ましい。20重量%より少ないと十分に超微粒子の表面疎水化処理ができなく、40重量%以上では、反応に必要な量より極度に超えてしまうので好ましくない。
シランカップリング剤を添加した後、まず300rpmから500rpmの撹拌ばねを用いて30分間混合撹拌し、さらにジルコニアボールを用いた遊星ボールミルを使用して、60℃から90℃の範囲で60分間混合する。より好ましくは80℃から90℃が適する。この温度範囲とすることによって加水分解反応を促進することができる。この処理で表面が疎水化されてアルコールに分散していた鉄を主成分とした超微粒子が沈殿する。これは表面が疎水化されるためである。この沈殿物をエタノールで数回洗浄して疎水化処理した超微粒子が得られる。
(樹脂被覆ステップ)
上記で作成した疎水化処理した鉄を主成分とした超微粒子1重量部から5重量部とエタノール100重量部および開始剤である例えばアドビゾニトリルを0.5重量部から1.0重量部、およびメタクリル酸メチル(MMA)、スチレン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂のモノマーの内、一種類を、例えばメタクリル樹脂のモノマーであるメタクリル酸メチル(MMA)を5重量部から15重量部を添加して超微粒子の表面にMMAを吸着させる。
表面にMMAを吸着させた上記超微粒子を、さらに、窒素中で300rpmから500rpmの範囲で、撹拌ばねを用いて、65℃で、24時間撹拌して上記の樹脂のモノマーをグラフト重合する。超微粒子が1重量部より少ないと効率が悪く、5重量部を超えると、超微粒子が凝集してしまうため前記範囲が好ましい。開始剤が0.5重量部より少ないと十分な効果を達成できないし、5重量部を超えると不必要な開始剤が残留してしまう。樹脂のモノマーの添加量が5重量部より少ないと、樹脂成分が少なく、後述の加熱成形時に亀裂が生じてしまうし、15重量部を超えると、粒子濃度高い樹脂との複合材料が得られない。樹脂のモノマーをグラフト重合した鉄を主成分とした超微粒子を、トルエンを用いて数回洗浄した後、100℃空気中で24時間乾燥して、樹脂を表面に被覆させた鉄を主成分とした超微粒子である複合材料を得ることができる。
(成形ステップ)
さらに上記の複合材料を加圧中で加熱して成形することにより、高粒子濃度の金属超微粒子を含有させた樹脂との複合材料を製造することが望ましい。本発明の複合材料の第1の実施形態を、例えば150℃で一軸加圧成形する。
<磁気記録体>
本発明の磁気記録体は、本発明の第1の実施形態の磁性鉄超微粒子を含む磁性塗料を塗布して形成した磁性層を含有することが好ましい。含有する磁性鉄超微粒子が針状の磁性鉄超微粒子であることがより好ましい。本発明の磁気記録体は、本発明の第2の実施形態の磁性鉄超微粒子を含む磁性塗料を塗布して形成した磁性層を含有することが、さらに好ましい。
<電磁波吸収体>
本発明の電磁波吸収体は、本発明の第1の実施形態の磁性鉄超微粒子、若しくは第2の実施形態の磁性鉄超微粒子、又は本発明の第1の実施形態の複合材料を絶縁性の基材中に分散含有させたことが好ましい。あるいは本発明の第2の実施形態の複合材料からなることが好ましい。上記磁性鉄超微粒子が、平均粒子径20nm以上50nm以下の、球状の磁性鉄超微粒子であることが、より好ましい。かかる電磁波吸収体を色々な形状に成形することにより、携帯電話、無線LAN、高速道路自動課金、車載近距離レーダー、衛星放送などに使用する部材として有効である。
<生体物質抽出用担体>
本発明の生体物質抽出用担体は、本発明の第1の実施形態の磁性鉄超微粒子、又は第2の実施形態の磁性鉄超微粒子を含有し、核酸を抽出するものであることが好ましい。上記磁性鉄超微粒子が、平均粒子径20nm以上50nm以下の、球状の磁性鉄超微粒子であることが、より好ましい。
以下、本発明の磁性鉄超微粒子及びその製造方法、並びに磁性鉄超微粒子を利用した複合材料、磁気記録体、生体物質抽出用担体について、実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1:磁性鉄超微粒子]
本発明の実施例1の磁性鉄超微粒子は、鉄を主成分とする超微粒子核と、前記超微粒子核の表面に形成された鉄酸化物層と、前記表面鉄酸化物層を被覆する珪素酸化物層からなる。長軸が約200nmで短軸が約20nmの純鉄針状超微粒子を出発原料として使用した。出発原料は徐酸化済みである。図3は、徐酸化により表面に鉄酸化物を形成させた鉄を主成分とした針状超微粒子の透過型電子顕微鏡写真である。図3に示すように、透過型電子顕微鏡観察のコントラストにより、上記純鉄針状超微粒子は、鉄を主成分とする超微粒子核と、徐酸化で前記超微粒子核の表面に形成された約3nmの鉄酸化物層を有することが分かる。さらにエネルギー分散蛍光X線により、鉄と酸素以外に検出元素がなかった。
上記のように鉄酸化物層が表面に形成されている純鉄針状超微粒子をエタノール1リットルに対し、0.085体積%、および分散剤としてオレイン酸を超微粒子の表面積あたり3.0mg/mを添加した。分散は20KHz、1200Wの超音波発振器を用いて、水冷中で30分間照射して高度に分散した針状磁性鉄超微粒子サスペンジョンを得た。さらにテトラエトキシシラン0.015molおよび水36.5mol、および25%濃度のアンモニア水を1.5mol添加して、300rpmの撹拌ばねを用いて24時間撹拌して加水分解反応させた。得られた超微粒子を透過型電子顕微鏡観察によりコントラストで珪素酸化物被覆層の厚みは約5nmであることを確認した。さらに、エネルギー分散蛍光X線分析によりシリコンと酸素と鉄により形成されていることを確認した。得られた超微粒子をエタノールで3回洗浄した後、50℃で真空乾燥して、本発明の実施例1の磁性鉄超微粒子を得た。図4は、珪素酸化物を被覆させた鉄を主成分とした針状超微粒子の透過型電子顕微鏡写真である。図4は、本発明の実施例1の磁性鉄超微粒子であり、透過型電子顕微鏡に付帯された、エネルギー分散型蛍光X線分析による方法で確認した表面の組成を示している。針状粒子の端部(A)と中央部(B)のいずれも鉄の他、珪素と酸素を検出した。端部(A)は中央部(B)よりも鉄の量が少ない。これは、芯超微粒子である磁性鉄超微粒子の外表面が珪素酸化物で被覆されていることを示している。
[実施例2:磁性鉄超微粒子]
本発明の実施例2の磁性鉄超微粒子は、鉄超微粒子核と該超微粒子核を被覆する珪素酸化物層からなる。本発明の実施例1の磁性鉄超微粒子を水素4%窒素96%の混合ガスを用いて、500℃で5時間熱処理して、本発明の実施例2の磁性鉄超微粒子を得た。
[比較例1:磁性鉄超微粒子]
表面に約3nmの鉄酸化物層を形成させた、長軸が約200nmで短軸が約20nmの純鉄針状超微粒子(同和鉱業製)を、比較例1の磁性鉄超微粒子とした。
[実施例3:磁性鉄超微粒子]
本発明の実施例3の磁性鉄超微粒子は、鉄を主成分とする超微粒子核と、前記超微粒子核の表面に形成された鉄酸化物層と、前記表面鉄酸化物層を被覆する珪素酸化物層からなる。500mlのフラスコにケロセン80gと界面活性剤11g、Fe(CO)溶液70gを入れ、窒素ガスでバブリングして酸素を取り除いた。その後、高純度アンモニア400cm/minと窒素40cm/min混合ガス気流中80℃で1時間放置した。その後、室温に冷却して純鉄ナノ粒子を得た。動的光散乱法により得られた純鉄ナノ粒子の粒子径を測定し、平均粒子径が30nmであることを確認した。このケロセン中に分散させた超微粒子を酸素5%アルゴン95%の混合ガスの気流中、30℃で30分間処理して徐酸化した。得られた鉄酸化物層は約2nmであった。この超微粒子をエタノール1リットルに対し、0.085体積%、および分散剤としてオレイン酸を超微粒子の表面積あたり3.0mg/mを添加した。分散は20KHz、1200Wの超音波発振器を用いて、水冷中で30分間照射して高度に分散した磁性鉄超微粒子サスペンジョンを得た。さらにテトラエトキシシラン0.015molおよび水36.5mol、および25%濃度のアンモニア水を1.5mol添加して、300rpmの撹拌ばねを用いて24時間撹拌し、加水分解反応を施した。得られた超微粒子をエタノールで3回洗浄した後、50℃で真空乾燥して、本発明の実施例3の磁性鉄超微粒子を得た。本発明の実施例3の磁性鉄超微粒子を透過型電子顕微鏡観察のコントラストから約5nmの珪素酸化物層が被覆されていた。
[実施例4:磁性鉄超微粒子]
本発明の実施例4の磁性鉄超微粒子は、鉄超微粒子核と該超微粒子核を被覆する珪素酸化物層からなる。本発明の実施例3の磁性鉄超微粒子である鉄を主成分とした超微粒子を、水素4%窒素96%の混合ガスを用いて、500℃で5時間熱処理して、本発明の実施例4の磁性鉄超微粒子を得た。
[比較例2:磁性鉄超微粒子]
本発明の実施例3で示した方法で純鉄ナノ粒子を合成した。動的光散乱法により粒子径を測定し、平均粒子径が30nmであることを確認した。このケロセン中に分散させた鉄を主成分とする超微粒子を酸素5%アルゴン95%の混合ガスの気流中、30℃で30分間処理して徐酸化による方法で、表面に鉄酸化物層を形成して、比較例2の磁性鉄超微粒子とした。鉄酸化物層は約2nmであった。
[実験結果:実施例1〜4及び比較例1、2の磁性鉄超微粒子]
本発明の実施例1〜4の磁性鉄超微粒子及び比較例1、2の磁性鉄超微粒子について、それぞれ、湿度90%、80℃の環境下に7日間放置し、その処理前後の磁気特性を振動試料型磁力計で測定し、得られた飽和磁化の減少率で耐酸化性を評価し得られた結果を表1に示した。
表1に示したように、耐酸化性については、比較例1、2の磁性鉄超微粒子では、湿度90%、60℃環境下に7日間放置することで、飽和磁化が、酸化により10%から20%程度減少したのに対し、本発明の実施例1、3の磁性鉄超微粒子では、同条件で、飽和磁化が、わずかに2%減少したにすぎず、本発明の実施例2、4の磁性鉄超微粒子では、飽和磁化が全く減少せず、著しく耐酸化性が向上したことを示している。耐酸化性が向上した理由は、比較例1、2の磁性鉄超微粒子に比較し、本発明の実施例1、3の磁性鉄超微粒子では珪素酸化物で被覆されることにより、さらに本発明の実施例2、4の磁性鉄超微粒子では水素還元処理で、珪素酸化物層が緻密化され酸素が拡散しない耐酸化保護膜となったためである。
本発明の実施例1、3、比較例1、2の磁性鉄超微粒子と比較して、本発明の実施例2、4の磁性鉄超微粒子は著しく飽和磁化、残留磁化、保力が大きくなり、磁気特性が向上した。これは、水素還元処理で、鉄超微粒子に珪素酸化物を被覆させるために施した中間層の鉄酸化物層が還元されたためである。
したがって、本発明の実施例1〜4の磁性鉄超微粒子によれば、飽和磁化、残留磁化、保力が高く、耐酸化性が高い。特に、本発明の実施例2、4の磁性鉄超微粒子は、飽和磁化、残留磁化、保力が著しく高く、耐酸化性が極めて高い。本発明の実施例1〜4の磁性鉄超微粒子では、上記したように、渦電流の発生がないため透磁率が飽和磁化に支配されるので、透磁率も高いと言える。
[実施例5:複合材料]
本発明の実施例5の複合材料は、超微粒子核と該超微粒子核を被覆する珪素酸化物層からなる本発明の実施例4の磁性鉄超微粒子の表面に樹脂を被覆させた粒子を加圧中で加熱して成形した成型品である。かかる磁性鉄超微粒子は、鉄を主成分とする球状超微粒子核と前記超微粒子核の表面に形成された鉄酸化物層と前記表面鉄酸化物層を被覆する珪素酸化物層からなる磁性鉄超微粒子を水素ガスを含む雰囲気中で400℃以上600℃以下で熱処理して得られたものである。
本発明の実施例4の平均粒子径が30nmである球状の磁性鉄超微粒子0.5gを含む、純水118g、アンモニア18g、エタノール160g、で構成される溶液に、3‐メタクリロキシプロピルトリエトキシシランを0.094g添加して、ジルコニアボールを使用した遊星ボールミルで85℃に設定して30分間処理した。エタノールで3回洗浄して50℃で真空乾燥した。さらに得た超微粒子3.0gにエタノール100gを添加し、さらに開始剤としてアドビゾベンゾニトリル0.6g、MMAを4.5g添加し、350rpm、65℃の条件で、窒素気流中で24時間撹拌した。50℃真空中で乾燥してシランカップリング剤で表面を疎水化処理し、さらにメタクリル樹脂のモノマーであるMMAをグラフト重合し、メタクリル樹脂を被覆させた粒子を得た。得られた粒子を150℃、100MPaで一軸加圧成形して樹脂との複合材料である本発明の実施例5の複合材料を得た。
[実施例6〜8:複合材料]
本発明の実施例6の複合材料は、実施例5の複合材料と同一方法でメタクリル樹脂を被覆させた粒子を得て、得られた粒子50体積部にメタクリル樹脂50体積部を添加し、スクリュー式のエクストルーダーを用いて厚さ0.5mmのフィルムを成形して作製した。本発明の実施例6の複合材料は、磁性鉄超微粒子と樹脂との複合材料である。本発明の実施例7の複合材料は、得られた粒子30体積部にメタクリル樹脂70体積部を添加すること以外、本発明の実施例6の複合材料と同様に作製した。本発明の実施例8の複合材料は、得られた粒子10体積部にメタクリル樹脂90体積部を添加すること以外、本発明の実施例6の複合材料と同様に作製した。
[比較例3〜5:複合材料]
比較例3の複合材料は、磁性鉄粒子と樹脂との複合材料である。まず、針状フェライト粒子を、体積比で、H:NH=7:3の割合である混合ガスを使用して、500℃、1時間保持後、700℃、1時間保持して、平均粒子径1.5μmの鉄粒子を作成した。ナノサイズの粒子では、樹脂との複合化処理を行うと酸化して燃えてしまうため、複合材料の作製自体できなかった。X線回折によれば、かかる鉄粒子は、わずかに窒化鉄を含有していた。この窒化鉄は鉄粒子の外表面に形成され、耐酸化保護膜として寄与している。次に、かかる鉄粒子50体積部にメタクリル酸樹脂50体積部を添加し、スクリュー式のエクストルーダーを用いて厚さ0.5mmのフィルムを成形して、樹脂との複合材料である比較例3の複合材料とした。比較例4の複合材料は、かかる鉄粒子30体積部にメタクリル酸樹脂70体積部を添加すること以外、比較例3の複合材料と同様に作製した。比較例5の複合材料は、かかる鉄粒子10体積部にメタクリル酸樹脂90体積部を添加すること以外、比較例3の複合材料と同様に作製した。
[実験結果:実施例5〜8及び比較例3〜5の複合材料]
本発明の実施例5〜8の複合材料及び比較例3〜5の複合材料について、それぞれ、任意の断面をSEM観察し亀裂やポアーの有無、さらに磁性粒子の均一分散性など微細組織上の問題点を比較した。さらに、得られたSEM像を画像解析する方法で、鉄粉の面積占有率を測定し、粒子濃度(体積%)を評価した。また、得られたシート状の複合材料について、四端子法による比抵抗測定、さらには、自由空間法による電磁波吸収特性を1GHz〜20GHzの周波数帯域における減衰量を測定した。得られた結果をまとめて表2に示した。
なお、表2において、SEM観察微構造欄における記号は、
ポアー:○ ポアーなし、× ポアーあり
キレツ:○ キレツなし、△ わずかに微細キレツあり、× 構造体が破損
均一分散:○ 高度な分散、△ わずかに凝集、× 高度に凝集
を意味する。
本発明の実施例5の複合材料は、高い比抵抗を維持したまま、鉄超微粒子が均一に分散しており、なおかつ亀裂やポアーを含まず、50体積%という高粒子濃度で鉄ナノ粒子を含有している。電磁波吸収特性にも極めて優れていた。珪素酸化物を被覆した鉄超微粒子に均一に樹脂のモノマーが吸着、重合され、加熱中、一軸加圧するステップで吸着したポリマーが溶融して、ポアーに充填されたものである。
本発明の実施例4の磁性鉄超微粒子に代表される本発明の磁性鉄超微粒子は、珪素酸化物で被覆されており、実施例6〜8の複合材料に示すように、従来から広く使用されているエクストルーダーなどを用いても成形可能である。かかる方法では、実施例6の複合材料の結果で分かる通り、実施例5の複合材料の手法よりポアーや亀裂の有無の点ではやや劣るが、表面改質されているため、高い比抵抗を維持したまま、高粒子濃度で均一に磁性鉄超微粒子を分散させた複合材料を得ることができる。また、実施例7、8の複合材料の結果で分かる通り、低・中程度の粒子濃度であれば、高い比抵抗を維持したまま、鉄超微粒子が均一に分散しており、なおかつ亀裂やポアーを含まず、また絶縁性や電磁波吸収特性も良いものを得られる。実施例6〜8の複合材料では、磁性鉄超微粒子は、樹脂のモノマーを吸着、重合したことにより、添加する樹脂とのぬれ性が良いため、磁性鉄超微粒子が均一に分散した。本発明の実施例5、7、8の複合材料はいずれも四端子法では比抵抗測定が困難で、ほとんど絶縁体であった。
一方、本発明の実施例6〜8の複合材料と比較例3〜5の複合材料の結果から、ミクロン粒子に樹脂を添加して成形した複合材料では、ナノ粒子に樹脂を添加して成形した複合材料と比較して、同じ粒子濃度でも鉄粒子の均一分散性が悪かった。また、中程度の粒子濃度でもポアーや亀裂が発生し、絶縁性や電磁波吸収特性も悪かった。比較例3の複合材料で示す手法で、磁性鉄超微粒子と樹脂との複合材料を試作すると、プロセス上で著しく酸化が進展する。そのため、比較実験には、ナノ粒子でなくミクロン粒子を用いた。比較例3〜5の複合材料では、鉄粒子はシリカ被覆がされていないので、お互いに接触しやすく、均一分散性に劣るため、鉄粒子同士が接触し、本発明の実施例5、7、8の複合材料に比較して比抵抗が小さかった。ミクロン粒子では、比抵抗の点からみると、粒子濃度が10vol%以下が限度である。比較例3の複合材料では高周波帯域で渦電流が発生し、吸収特性における減衰量が著しく小さくなった。比較例4、5では、渦電流は少ないが、吸収特性における減衰量は著しく小さかった。一方、本発明の実施例5、7、8の複合材料では大きな減衰量を示した。特に本発明の実施例5の複合材料で減衰量が大きかった。
したがって、本発明の実施例5、7、8の複合材料によれば、磁気的特性に優れ、また電磁波吸収効果が高い。本発明の実施例5に示した本発明の複合材料の製造方法によれば、樹脂中に磁気的特性の高い磁性金属微粒子を、極めて高粒子濃度で、高い比抵抗を維持した状態で、しかも亀裂もポアーもなく、分散させることができる。本発明の実施例6〜8に示した本発明の複合材料の製造方法によれば、高い比抵抗を維持したまま、樹脂中に磁気的特性の高い磁性金属微粒子を、均一に分散させることができる。中・低粒子濃度では、さらに、亀裂もポアーもなく分散させることができ、電磁波吸収特性も良い。
[実施例9:磁気記録体]
本発明の実施例9の磁気記録体は、超微粒子核と該超微粒子核を被覆する珪素酸化物層からなる本発明の実施例2の磁性鉄超微粒子を含む磁性塗料を塗布して形成した磁性層を含有する。かかる磁性鉄超微粒子は、鉄を主成分とする針状超微粒子核と前記超微粒子核の表面に形成された鉄酸化物層と前記表面鉄酸化物層を被覆する珪素酸化物層からなる磁性鉄超微粒子を水素ガスを含む雰囲気中で400℃以上600℃以下で熱処理して得られたものである。
本発明の実施例2の磁性鉄超微粒子を100重量部、バインダーとしてポリウレタン樹脂と塩化ビニル樹脂を合わせて20重量部、研磨剤としてアルミナを3重量部、帯電防止剤としてカーボンブラックを2重量部、メチルエチルケトン100重量部、トルエン100重量部、シクロヘキサノン50重量部、オレイン酸1重量部を混練、分散させることで磁性塗料を調整し、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に強磁場中で、針状鉄超微粒子を一方向に配向させて塗布・乾燥することで磁性層を作成する。本発明の実施例9の磁気記録体の磁性層は優れた耐酸化性を有するので、本発明の実施例9の磁気記録体は、特性劣化の極めて少ない磁気記録体として有効である。
したがって、本発明の実施例9の磁気記録体によれば、磁気的特性に優れ高密度記録化を可能とする。
[実施例10:生体物質抽出用担体]
本発明の実施例10の生体物質抽出用担体は、超微粒子核と該超微粒子核を被覆する珪素酸化物層からなる本発明の実施例4の磁性鉄超微粒子を含有し、核酸を抽出するものである。かかる磁性鉄超微粒子は、鉄を主成分とする球状超微粒子核と前記超微粒子核の表面に形成された鉄酸化物層と前記表面鉄酸化物層を被覆する珪素酸化物層からなる磁性鉄超微粒子を水素ガスを含む雰囲気中で400℃以上600℃以下で熱処理して得られたものである。本発明の実施例10の生体物質抽出用担体は、次のように核酸を抽出する。
まず、本発明の実施例4の磁性鉄超微粒子からなる本発明の実施例10の生体物質抽出用担体を、グアニジン酸、イソチオシアン酸ナトリウム、ヨウ化カリウム、尿素、過酸化塩酸ナトリウム、過酸化クロム酸ナトリウムなどの核酸抽出用溶液中で、核酸含有材料を接触させることにより、核酸を表面の珪素酸化物に結合させる。
次に、核酸が結合した珪素酸化物で被覆された磁性鉄超微粒子を磁気によって核酸抽出用溶液から分離させる。
その後、珪素酸化物で被覆された磁性鉄超微粒子からトリス緩衝液、リン酸緩衝液などの解離用溶液中で核酸を解離する。
以上のようにして、単離された核酸は純度の高いものであるため、そのままの状態で核酸増幅をはじめとする遺伝子解析などの医療分野に使用することができる。本発明の実施例10の生体物質抽出用担体は、超微粒子であり磁気特性に優れているため、核酸を高精度に分離できる。
したがって、本発明の実施例10の生体物質抽出用担体によれば、磁気的特性に優れ核酸磁気分離操作を短時間で行うことを可能とする。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、その発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々と変形実施が可能である。また、上記各実施の形態の構成要素を発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に組み合わせることができる。
本発明の磁性鉄超微粒子の第1の実施形態を示す模式図である。 本発明の磁性鉄超微粒子の第2の実施形態を示す模式図である。 徐酸化により表面に鉄酸化物を形成させた鉄を主成分とした針状超微粒子の透過型電子顕微鏡写真である。 珪素酸化物を被覆させた鉄を主成分とした針状超微粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1 鉄を主成分とした超微粒子核
2 鉄酸化物層
3 珪素酸化物層

Claims (10)

  1. 鉄を主成分とする超微粒子核と、前記超微粒子核の表面に形成された鉄酸化物層と、シリコンのアルコキシドの加水分解反応で化学的に析出させた珪素酸化物で形成し前記鉄酸化物層を被覆する珪素酸化物層とからなる磁性鉄超微粒子を、水素ガスを含む雰囲気中で、400℃以上600℃以下で熱処理して得られる磁性鉄超微粒子であって、鉄を主成分とする超微粒子核と、前記超微粒子核を被覆する珪素酸化物層からなり、前記超微粒子核が、長軸が100nm以上500nm以下で短軸が20nm以上50nm以下である針状粒子であるか、又は、前記超微粒子核が、針状以外の粒子であって、平均粒子径が20nm以上100nm以下であり、前記珪素酸化物層の厚みが1nm以上10nm以下であることを特徴とする磁性鉄超微粒子。
  2. 請求項1に記載の磁性鉄超微粒子の製造方法であって、鉄を主成分とする超微粒子核を徐酸化して前記超微粒子核の表面に鉄酸化物層を形成するステップ、有機溶媒中に分散させるステップ、シリコンのアルコキシドの加水分解反応で化学的に析出させた珪素酸化物で形成した珪素酸化物層で前記鉄酸化物層を被覆するステップ、水素ガスを含む雰囲気中で、400℃以上600℃以下で熱処理して前記鉄酸化物層を還元するステップを有することを特徴とする磁性鉄超微粒子製造方法。
  3. 磁性鉄超微粒子と樹脂との複合材料であって、請求項1に記載の磁性鉄超微粒子の表面に樹脂のモノマーを吸着させ、さらにグラフト重合して樹脂を被覆させた粒子であることを特徴とする複合材料。
  4. 請求項3に記載の複合材料を加圧中で加熱して成形したことを特徴とする複合材料。
  5. 磁性鉄超微粒子と樹脂との複合材料の製造方法であって、請求項1に記載の磁性鉄超微粒子をシランカップリング剤で疎水化処理するステップ、前記磁性鉄超微粒子の表面に樹脂のモノマーを吸着させ、さらにグラフト重合して樹脂被覆を行うステップを有することを特徴とする複合材料製造方法。
  6. 樹脂を被覆させた後、さらに、加圧中で加熱して成形するステップを有することを特徴とする請求項記載の複合材料製造方法。
  7. 請求項1に記載の磁性鉄超微粒子を含む磁性塗料を塗布して形成した磁性層を含有することを特徴とする磁気記録体。
  8. 請求項1に記載の磁性鉄超微粒子又は請求項に記載の複合材料を絶縁性の基材中に分散含有させたことを特徴とする電磁波吸収体。
  9. 請求項に記載の複合材料からなることを特徴とする電磁波吸収体。
  10. 請求項1に記載の磁性鉄超微粒子を含有し、核酸を抽出するものであることを特徴とする生体物質抽出用担体。
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