JP5228174B2 - 分離膜の製造装置 - Google Patents

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本発明は、例えば有機溶媒中の水等を分離するために適用される分離膜の製造装置に関するものである。
結晶性の多孔質材料、例えば固体酸性,イオン交換能,吸着分離能,分子レベルの細孔を有する材料は、有機溶媒(被分離対象)中の水等を分離するための分離膜に適用され、その一例としてゼオライト分離膜が挙げられる。
この分離膜の製造方法の一例として水熱合成法が挙げられ、ゼオライトから成る分離膜の場合にはシリカ源,アルミナ源等を主成分とする分離膜原料から成る反応液(ゼオライト膜原料を含んだ反応液)を用い、その反応液に支持体を所定条件(所定の反応時間,反応温度等)で接触させ、その支持体表面上にゼオライト膜を形成する手法が知られている(例えば、特許文献1)。
この水熱合成法に適用される装置としては、例えば円筒状で反応液を収容する反応容器と、その反応容器内を外周側から加熱(反応容器の隔壁を介して加熱)する加熱手段と、を主として備えたものが知られている。この装置の反応容器内に貯留された反応液に対し柱状の支持体を浸漬させた状態で、反応液を反応容器の外周側から加熱手段により加熱することにより、支持体表面上に結晶が付着し目的とする分離膜が形成される。
分離膜の性能を示す指標として、下記式(1)で示す分離性能係数αや透過速度Q(kg/m2・h)が挙げられる。ここで、下記式(1)は、分離膜透過前の被分離対象液(例えば、エタノールと水との混合液)の水濃度をA1重量%,溶質(エタノール等)濃度をA2重量%とし、分離膜透過後の水濃度をB1重量%,溶質濃度をB2重量%としたものであり、分離性能係数αが大きいほど分離膜の膜性能が高いことを意味する。また、透過速度Qは、単位時間当たりに流体(被分離対象)が分離膜を透過する量を示すものであり、例えばエタノールと水との混合液から水を当該分離膜により分離する場合には、単位時間当たりに水が分離膜を通過する量を意味する。
α=(B1/B2)/(A1/A2) ……(1)。
なお、欧米バイオマスエタノール製品濃度は99.6%On specとされているが、供給エタノール90%を75℃で脱水した場合、下記表1に示すような参考データを目安とすることができる。
Figure 0005228174
従来、例えば図4(A;概略図),(B;X−X断面図)に示すように、単に円筒状の隔壁41から成る反応容器内の反応液(すなわち、円柱状の空間に収容された反応液)に支持体40を浸漬して分離膜を形成していたが、近年においては、分離膜の生産効率の向上等を目的として、例えば図5(A;概略図),(B;X−X断面図)に示すように複数個(図5中では2個)の支持体40を同時に浸漬して量産する手法が考えられ始めている。しかしながら、反応容器外周側の加熱手段からの熱は、例えば反応容器の内周側の反応液と比較して軸心側の反応液には伝わりにくいため、反応容器内の反応液の温度分布が不均一になり易く、量産される各分離膜の膜性能(分離性能係数α,透過速度Q)においては大きな差が生じてしまう恐れがある。
また、熱伝導率の高い金属製の反応容器を適用したり加熱手段の発熱量を高める手法も考えられているが、反応液が高温になり過ぎて体積が膨張したり、特に加熱手段に近接する反応容器等の変形や破損等が起こる恐れがある。このような現象は、特に円筒状ではない反応容器、例えば図6(A;概略図),(B;X−X断面図)に示すように内周面が断面略楕円形の筒状の隔壁51から成る反応容器(以下、非円筒状反応容器と称する)を適用した場合にはより顕著となるものと思われる(例えば、特許文献2)。
さらに、前記のように反応液の膨張や反応容器等の変形や破損が起こると、加熱された反応液の対流(各支持体周囲の対流)等に影響が生じたり、温度分布が不均一になり易く、結果的に各分離膜の膜性能において大きな差が生じる恐れがある。
なお、前記の反応液の膨張や反応容器等の変形や破損に対処する方法として、例えば反応容器の隔壁等の厚さ大きく設定して熱に対する耐久性を高めることが考えられるが、熱伝導率が低くなる恐れがある。
特開2004−82008号公報(例えば、段落2,3,図1に係る記載等参照) 特許国際公開2006−132237号公報(例えば、段落6,10〜15,図1に係る記載等参照)。
本願発明者は、前記のような技術進歩等に伴って、分離膜の製造方法においては、以下に示す課題があることに着目した。
すなわち、第1課題としては、反応容器内に複数個の支持体を配置して分離膜をそれぞれ形成する場合、従来のように単に円筒状の反応容器を適用しただけでは、各分離膜の膜性能において差が大きくなってしまい、非円筒状反応容器を適用した場合には、反応液の加熱により反応容器等において熱応力が発生し、変形や破損等が起こり易いことが挙げられる。
また、第2課題としては、例えば反応容器の隔壁等を厚くすることなく、熱に対する耐久性を高めることが挙げられる。
この発明に係る分離膜の製造装置は、前記の課題を解決すべく創作された技術的思想であって、非円筒状反応容器を適用せず、複数個の支持体が浸漬された反応液について反応容器の外周側と軸心側とから加熱できるようにすることにより、第1課題を解決することが可能となる。また、前記の反応容器の各隔壁や配管等において熱応力を緩和する部材を適用することにより、第2課題を解決することが可能となる。
具体的に、この発明に係る製造装置の一態様は、分離膜原料から成る反応液中に柱状の支持体を浸漬し、その支持体表面に分離膜を形成する製造装置であって、円筒状の外周側隔壁、および軸心が外周側隔壁の軸心と同一方向である円筒状の隔壁で外周面の外径が当該外周側隔壁の内周面の内径よりも小さい軸心側隔壁、を有する反応容器を備える。また、前記の外周側隔壁の内周面と軸心側隔壁の外周面との間の円筒状領域内に貯留された反応液を当該外周側隔壁の外周側から間接的に加熱する外周側加熱手段と、前記反応液を軸心側隔壁の内周側から間接的に加熱する軸心側加熱手段と、を備える。そして、複数個の支持体を、それぞれ円筒状領域の軸心方向に延在および当該円筒状領域の周方向に沿って配列して反応液中に浸漬し、前記の各加熱手段により反応液を加熱して各支持体に分離膜を形成することを特徴とする。
また、前記の支持体を保持しながら反応液中に浸漬させるために、前記円筒状領域の周方向に沿って配列する各支持体の一端側をそれぞれ着脱自在に保持する手段であって、反応容器に対して着脱自在な保持手段を備えても良い。
前記外周側加熱手段としては、前記外周側隔壁の外周側を覆う加熱手段用隔壁内に収容され、その加熱手段用隔壁の少なくとも一部が、外周側隔壁の軸心方向に伸縮可能な部材から成るものを適用しても良い。
さらに、前記円筒状領域内に反応液を貯留および/または排出する配管を備え、その配管の少なくとも一部が、外周側隔壁の軸心方向に伸縮可能な部材から成るものであっても良い。
さらにまた、前記反応容器の外周側隔壁と軸心側隔壁とのうち少なくとも何れか一方の一部が、外周側隔壁の軸心方向に伸縮可能な部材から成るものであっても良い。
以上の発明によれば、反応容器内の反応液の温度分布の差を小さくでき、膜性能において差が大きくならないように複数個の分離膜を形成し易くなる。
本実施形態に係る分離膜製造装置の概略説明図。 本実施形態に係る分離膜製造装置における支持体の配置説明図。 本実施例に係るパーベーパレーション評価装置の概略説明図。 従来技術における分離膜製造装置の一例を示す説明図。 従来技術における分離膜製造装置の他の例を示す説明図。 従来技術における分離膜製造装置の更に他の例を示す説明図。
本実施形態の分離膜の製造装置は、反応容器において、円筒状の外周側隔壁(内周面が円筒状の隔壁)と、軸心が外周側隔壁の軸心と同一方向(軸心が略同一)である円筒状の隔壁であって外周面の外径が当該外周側隔壁の内周面の内径よりも小さい軸心側隔壁(外周面が円筒状の軸心側隔壁)と、を有するものである。また、その反応容器内を外周側隔壁の外周側から間接的に加熱する外周側加熱手段と、前記反応容器内を軸心側隔壁の内周側から間接的に加熱する軸心側加熱手段と、を備えたものである。
この製造装置では、前記反応容器における外周側隔壁の内周面と軸心側隔壁の外周面とによって囲まれた円筒状の領域(すなわち径方向断面が円環状の空間;以下、円筒状領域と称する)内に反応液を貯留する。そして、この反応液中に対し、複数個の支持体を当該円筒状領域の軸心方向に延在および各支持体が円筒状領域の周方向に沿って配列(等間隔を隔てて配列)するように浸漬する。このように所定位置に各支持体を浸漬した状態で、前記の2つの加熱手段を用いて反応液を加熱することにより、前記の各支持体に対し結晶(加熱された反応液によって生じる結晶)を付着させて、目的とする分離膜を形成する。
前記のように円筒状領域内に貯留された反応液においては、外周側隔壁の外周側からと、軸心側隔壁の内周側と、から加熱される。このため、従来のように単に反応容器の外周側から加熱した場合と比較して、反応容器内の反応液の温度分布の差を小さくできる。そして、前記のように所定位置にて反応液中に浸漬した各支持体においては、それぞれ膜性能が略均一な分離膜が形成され易くなる。また、非円筒状反応容器と比較して、反応容器等の変形や破損等が抑制される。
<反応容器>
反応容器は、前記のように円筒状領域内に反応液を貯留、および当該反応液中に複数個の支持体を所定位置にて浸漬できるものであって、2つの加熱手段によって反応液が加熱され目的とする分離膜を製造できる構造であれば、特に制限されることはない。例えば、目的とする分離膜を製造するために支持体において任意の形状および個数が設定されている場合、それら全ての支持体を浸漬させて各分離膜を製造できる構造であれば良い。
したがって、外周側隔壁や軸心側隔壁の大きさ(外径や内径等)においても、例えば目的とする分離膜に応じて適宜設定して良いが、外周側隔壁と軸心側隔壁の軸心は略同一(好ましくは同一)で、外周側隔壁の内周面と軸心側隔壁の外周面との間の距離(径方向の距離)は略均一であることが望まれる。一般的な分離膜用の支持体を円筒状領域内に浸漬させることを想定すると、外周側隔壁の内径と軸心側隔壁の外径は、両者の差が20mm〜150mm程度となるように設定することが考えられる。
各隔壁は、加熱手段による熱に対して耐久性(熱変形に対する強度等)を有するものであって、反応液に対する間接的加熱を考慮して熱伝導率が高いもの、例えばステンレス(SUS304等)などの金属から成るものを適用する。
複数個の支持体を反応液中に浸漬させるには、例えば各支持体を着脱自在に保持しながら反応液中に所定位置にて浸漬させることが可能な保持手段を適用することが考えられる。この保持手段の構造例としては、反応容器の一端側に対して着脱自在で複数個の治具を備えた蓋部材であって、その反応容器の一端側に取り付けた状態で各支持体が反応液中の所定位置に浸漬するように保持可能な蓋部材(例えば図1の封止蓋1aa)が挙げられる。したがって前記の各治具は、各々の支持体を所定位置に浸漬できるように円筒状領域の周方向に合わせて蓋部材に設けられたものであって、それぞれ支持体の一端側を吊り下げて保持することが可能なものが挙げられる。
<加熱手段>
各加熱手段としては、特に熱源の種類が制限されることはなく、反応容器の各隔壁を介して反応液を間接的に加熱できるものであれば、流体,基体,電熱線等の種々の熱源を利用したものを適宜適用することができる。また、加熱手段は熱源ジャケット等の隔壁内に収容、例えば反応容器の外周側隔壁よりも大きい径の円筒状の隔壁であって、当該外周側隔壁を覆うように配置された加熱手段用隔壁内に収容される。外周側隔壁の外周側を所望温度の流体(温水等)が循環する構造の場合、外周側隔壁と加熱手段用隔壁とに覆われた領域に所定温度の流体が循環することになる。なお、加熱手段の熱が大気中に放出することを抑制し、反応液に対して効率良く伝達できるようにするために、例えば断熱材等の保温手段を適用しても良い。
<支持体>
各支持体は、前記のように円筒状領域内の反応液に浸漬できる柱状のものであって、加熱された反応液によって結晶が付着し分離膜を形成可能なものであれば適宜適用することができ、その一例として支持素体の外周面上に種結晶が付着したものが挙げられる。このように支持素体の外周面上に種結晶が付着された支持体を用いると、その支持体上には、より均質なゼオライト膜を形成させることが可能となる。
支持素体は特に限定されないが、多孔質のものが好ましく用いられる。このような支持素体としては、セラミックス,有機高分子又は金属からなるものなどが挙げられる。セラミックスとしては、ムライト,アルミナ,シリカ,チタニア,ジルコニア等が挙げられ、金属としては、ステンレススチール,焼結されたニッケル,焼結されたニッケルと鉄との混合物等が挙げられる。これらの中でも、特にアルミナが好ましい。支持素体としてアルミナを用いると、支持素体の材質の溶出を抑制することができる。なお、支持素体は、ゼオライトを焼結したものであってもよい。
支持素体が多孔質である場合、孔の平均細孔径は目的とする分離膜等に応じて適宜設定できるが、ミリミクロン程度(例えば、ゼオライト膜の場合において0.1μm〜20μm、より好ましくは0.1μm〜5μm)のものが挙げられる。孔の平均細孔径がミリミクロン程度の範囲であれば、平均細孔径が当該範囲を外れた場合と比較して、ピンホールの少ないゼオライト膜等の分離膜を形成させることが可能となり、膜性能の高い分離膜を得ることが可能となる。平均細孔径が小さ過ぎると(例えば、ゼオライト膜の場合において0.1μm未満)、平均細孔径が上記範囲にある場合と比較して、種結晶が支持素体の細孔内に十分付着せず、形成される分離膜が剥離し易くなる。一方、平均細孔径が大き過ぎると(例えば、ゼオライト膜において20μm超)、平均細孔径が上記範囲にある場合と比較して、結晶(ゼオライト結晶等)で細孔を埋めることができず、ピンホールが発生して、膜性能が低下する傾向となる。例えば、ゼオライト膜の場合において、平均細孔径が0.1μm〜5μm程度であれば、特に分離性能の高いゼオライト膜を得ることが可能となる。
多孔質の支持素体の気孔率においても、目的とする分離膜等に応じて適宜設定できるが、好ましくは1〜50%、より好ましくは30〜50%に設定することが挙げられる。なお、前記の気孔率の範囲外、例えば小さ過ぎる場合(例えば、気孔率1%未満の場合)には支持素体のガス透過速度が小さくなる傾向となり、気孔率が大き過ぎる場合(例えば、気孔率50%超の場合)には支持体の機械強度が低くなる傾向となる。一方、気孔率が前述の範囲内(1〜50%)であれば、当該範囲外の場合と比較して、支持体のガス透過量がより大きくなり、透過速度の高いゼオライト膜を得ることが可能となる。
支持素体に付着させる種結晶は、目的とする分離膜に応じて適宜設定される。例えばゼオライト膜の場合、目的とするゼオライト膜のゼオライトの種類に応じて異なり、通常は形成させるゼオライトと同一種類のゼオライトが用いられるが、結晶構造が類似したゼオライトであれば、異なる種類のものであってもよい。
<反応液>
反応液には、目的とする分離膜等に応じて適宜設定できるが、例えばゼオライト膜の場合には、その原料となるものが含まれる。
ゼオライト膜の原料の場合、アルミナ源及びシリカ源を主成分とし、必要に応じて、アルカリ金属源及び/又はアルカリ土類金属源を含んでもよい。アルミナ源としては、水酸化アルミニウム,アルミン酸ナトリウム,硫酸アルミニウム,硝酸アルミニウム,塩化アルミニウム等のアルミニウム塩の他、アルミナ粉末,コロイダルアルミナ等が挙げられる。シリカ源としては、ケイ酸ナトリウム,水ガラス,ケイ酸カリウム等のアルカリ金属ケイ酸塩の他、シリカ粉末,ケイ酸,コロイダルシリカ,酸性白土,カオリン,ケイ素アルコキシド(アルミニウムイソプロポキシド等)等が挙げられる。アルカリ金属源及びアルカリ土類金属源としては、塩化ナトリウム,塩化カリウム,塩化カルシウム,塩化マグネシウム等が挙げられる。なお、アルカリ金属ケイ酸塩は、シリカ源及びアルカリ金属源として機能する。
また、反応液中にシリカ源とアルミナ源とが含まれている場合、そのモル比(SiO2/Al23に換算)は目的とするゼオライト膜のゼオライトの種類によって適宜決定することができる。さらに、シリカ源及びアルミナ源の濃度は特に限定されない。すなわち、シリカ源及び/又はアルミナ源の濃度を高めることによって、反応液をゲル状としてもよく、また、シリカ源及び/又はアルミナ源の濃度を低くすることによって、反応液を低粘度のものとしてもよい。なお、反応液は、結晶化促進剤のような添加剤を含んでもよい。このような結晶化促進剤としては、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等が挙げられる。
<伸縮自在な部材>
加熱手段による熱が高く設定される場合には、反応液の熱膨張や反応容器の各隔壁等の熱変形が起こる恐れがある。そこで、必要に応じて製造装置の各構成、例えば反応容器の各隔壁等の一部または全部において、伸縮自在な隔壁部材や配管部材(例えば円筒状のベローズ等)を適用することが考えられる。例えば、反応容器の各隔壁は、加熱手段の熱によって当該反応容器の軸方向に伸縮する恐れがあることから、その軸方向に伸縮自在で円筒状(それぞれの隔壁と同様の円筒状)のベローズを各隔壁の一部または全部において適用することにより、各隔壁等の破損等を抑制することができる。
なお、外周側隔壁や軸心側隔壁において前記のような伸縮自在な隔壁を適用、例えば円筒状ベローズを適用する場合には、それぞれ円筒状領域側の周面がベローズ形状に起因する凹凸状となるため、加熱された反応液の対流等に影響が生じる恐れはあるが、少なくとも各隔壁等の破損等は抑制することができる。
<装置の構造例>
製造装置は、以上示したように外周側隔壁,軸心側隔壁を有する反応容器と、外周側隔壁の外周側,軸心側隔壁の内周側から反応液を間接的に加熱する手段と、を備えた構造であれば良く、例えば図1(A;概略図),(B;X−X断面図)に示す構造が挙げられる。図1における符号1は、円筒状の外周側隔壁(内周面が円筒状の隔壁)2と、その外周側隔壁2の内径よりも小さい外径の円筒状であって軸心が当該外周側隔壁2と同一の軸心側隔壁(外周面が円筒状の軸心側隔壁)3と、から成る反応容器を示すものであり、それら外周側隔壁2と軸心側隔壁3との間には、反応液4を収容する円筒状領域5が形成される。
この反応容器1の一端側(図中では外周側隔壁2の上側)の開口部1aには、複数個の支持体を吊り下げて保持するための治具(図示省略)を備えた着脱自在な封止蓋1aaが取り付けられている。なお、図1中では、軸心側隔壁3の一端側において軸心方向の長さが外周側隔壁2よりも短いため、当該一端側の開口部3aにおいても着脱自在な封止蓋(例えば、捩じ込み式でOリング等を介して封止できる着脱自在な蓋)3aaが取り付けられている。
一方、反応容器1の他端側の開口部1bには、円筒状領域5内に反応液4を導入または排出するものであって当該円筒状領域5の軸心方向に延在する配管2baと、軸心側隔壁3内に温水を循環させるためのものであって当該軸心側隔壁3の軸心方向に延在する配管3baと、が接続された封止蓋(例えば、盲フランジ)1baが取り付けられている。したがって、前記のように温水が循環する軸心側隔壁3内は、加熱手段用隔壁(加熱ジャケット)としての機能を果たすことになる。
符号6は、外周側隔壁2の周囲を覆うように設けられた円筒状の加熱手段用隔壁(加熱ジャケット)を示すものであり、その加熱手段用隔壁6と外周側隔壁2とに囲まれた領域に対し配管(図中では4つの配管6a〜6d)を介して循環する温水は、加熱手段として機能することになる。なお、加熱手段用隔壁6の外周側には、前記のように循環される温水を保温するための保温手段(断熱材が充填された保温手段)7が設けられている。
符号8a,8bはそれぞれ加熱手段用隔壁6の一部,配管2baの一部に適用された円筒状のベローズを示すものであり、それぞれ加熱手段用隔壁6,配管2baの軸心方向に伸縮可能(それぞれ熱によって変形し易い方向に伸縮可能)なものである。
図1のように構成された装置を用いて複数個の支持体に分離膜を形成する場合、例えば図2に示すように円筒状領域5に収容された反応液4に対して各支持体20が浸漬(図2中では18個浸漬)するように、それら各支持体20を封止蓋1aaの治具で保持する。そして、前記の各支持体20が浸漬するように封止蓋1aaを取り付けて封止し、軸心側隔壁3内および加熱手段用隔壁6内にそれぞれ温水を循環させて反応液を加熱することにより、各支持体20と反応液4とを反応させる。
<分離膜の作製>
次に、本実施形態に基づいて分離膜を作製し、その分離膜の膜性能の分析を行った。まず、支持体20としては、平均細孔径が1μmのセラミック製であって、外径12mm×内径9mm×長さ800mmの円筒状の支持素体を用いた。この支持素体をゼオライト結晶スラリー中に3分間浸漬した後、そのスラリー中から支持素体を取り出し、温度45℃で乾燥させて18個の支持体20を得た。
次に、図1に示したような装置であって、前記のように作製した各支持体20を図2に示すように浸漬できる製造装置を用意した。そして、製造装置の円筒状領域内に収容された反応液(アルミナ源及びシリカ源を主成分とする反応液)4中に浸漬(図2に示すように浸漬)して、軸心側隔壁3内および加熱手段用隔壁6内に対する温水の循環により反応液4を温度100℃まで加熱することにより、各支持体20に対してゼオライト分離膜を作成した。なお、各支持体20は、治具としても機能する封止蓋1aa(図2中では図示省略)に対して着脱自在に吊り下げながら、反応液4中に対して浸漬したものとする。また、前記のように浸漬した際に、各支持体20の軸心から外周側隔壁2の内周面および軸心側隔壁3の外周面に対する各最短距離(支持体20から径方向に対する距離)がそれぞれ等しく、各支持体20同士の間の距離(円筒状領域の周方向の間隔)も等しいものとする。
<分離膜の評価>
ここで、図3に示すようなパーベーパレーション評価装置により、前記のように作成された各ゼオライト分離膜の膜性能(分離性能係数α,透過速度Q)の評価をそれぞれ行った。まず、評価し易くするために、前記のゼオライト分離膜を長手方向に対して10cm間隔で切断(径方向に切断)して、それぞれ複数個の評価試料を作成した。
次に、図3に示すように、撹拌器31aを備えた供給槽31内に評価試料30を収容し、その評価試料30の一端側には、真空ゲージ32aを備えた配管32の一端側を接続し、その配管32の他端側には液体窒素トラップ槽33を介して真空ポンプ34を接続した。
次に、前記の供給槽31に対して試験液(温度75℃でエタノール/水の重量比が90/10である液体;以下、透過前試験液と称する)を供給すると共に、その透過前試験液を真空ポンプ34により吸引(真空ゲージ32aによる真空度が10〜1000Paの範囲で吸引)した。これにより、透過前試験液は評価試料30を透過し、その透過した試験液(以下、透過後試験液と称する)は液体窒素トラップ槽33にて捕集される。
そして、前記の透過前試験液,透過後試験液の各組成をガスクロマトグラフで測定することにより、評価試料30の分離性能係数αを求めた。また、捕集された透過後試験液の重量を測定し、その重量,分離膜20の表面積,捕集に要した時間に基づいて、透過速度Qを求めた。
その結果、各評価試料30においては、分離性能係数α2000以上,透過速度5.0kg/m2・h以上で十分良好な膜性能を有するだけでなく、それら各評価試料30の膜性能において殆ど差がないことを確認できた。
なお、本実施例で作成したゼオライト膜においては種々の組成および構造のものが知られているが、X型,Y型,A型,T型,MFI型等の組成および構造を有するゼオライト膜を複数個同時に作成する場合においても、図1,図2のような製造装置を適用することにより、十分良好な膜性能を有するだけでなく、それら各評価試料30の膜性能において殆ど差が生じないものと思われる。
以上、本実施形態の分離膜の製造装置によれば、外周側隔壁と軸心側隔壁とによって囲まれた円筒状領域を有する反応容器を備えているため、複数個の支持体をそれぞれ当該円筒状領域の軸心方向に延在および周方向に沿って配列するように反応液中に浸漬しながら、反応液において温度分布の差が生じないように加熱でき、複数個の分離膜をそれぞれ略均一な膜性能で製造することが可能となる。また、非円筒状反応容器を適用した場合と比較して、反応液の加熱による反応容器等の変形や破損等が抑制される。
さらに、ベローズ等の伸縮自在な隔壁および配管を適用した場合には、各隔壁等の大きさを厚く設定しなくとも、熱に対する耐久性を高めることができる。
なお、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。例えば、実施例においてはゼオライト分離膜について説明したが、本発明を適用できる分離膜がゼオライト分離膜に限られないことは明らかである。
1…反応容器
2…外周側隔壁
3…軸心側隔壁
4…反応液
5…円筒状領域
6加熱手段用隔壁
8a,8b…伸縮自在部材

Claims (5)

  1. 分離膜原料から成る反応液中に柱状の支持体を浸漬し、その支持体表面に分離膜を形成する製造装置であって、
    円筒状の外周側隔壁、および軸心が外周側隔壁の軸心と同一方向である円筒状の隔壁で外周面の外径が当該外周側隔壁の内周面の内径よりも小さい軸心側隔壁、を有する反応容器と、
    前記の外周側隔壁の内周面と軸心側隔壁の外周面との間の円筒状領域内に貯留された反応液を当該外周側隔壁の外周側から間接的に加熱する外周側加熱手段と、
    前記反応液を軸心側隔壁の内周側から間接的に加熱する軸心側加熱手段と、を備え、
    複数個の支持体を、それぞれ円筒状領域の軸心方向に延在および当該円筒状領域の周方向に沿って配列して反応液中に浸漬し、前記の各加熱手段により反応液を加熱して各支持体に分離膜を形成することを特徴とする分離膜の製造装置。
  2. 前記円筒状領域の周方向に沿って配列する各支持体の一端側をそれぞれ着脱自在に保持する手段であって、反応容器に対して着脱自在な保持手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の分離膜の製造装置。
  3. 前記外周側加熱手段は、前記外周側隔壁の外周側を覆う加熱手段用隔壁内に収容され、その加熱手段用隔壁の少なくとも一部が、外周側隔壁の軸心方向に伸縮可能な部材から成ることを特徴とする請求項1または2記載の分離膜の製造装置。
  4. 前記円筒状領域内に反応液を貯留および/または排出する配管を備え、その配管の少なくとも一部が、外周側隔壁の軸心方向に伸縮可能な部材から成ることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の分離膜の製造装置。
  5. 前記反応容器の外周側隔壁と軸心側隔壁とのうち少なくとも何れか一方の一部が、外周側隔壁の軸心方向に伸縮可能な部材から成ることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の分離膜の製造装置。
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