JP5224469B2 - 野菜エキスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、モロヘイヤやオクラ、ツルムラサキなど、ぬめり成分を含有する野菜から搾汁成分としての野菜エキスを製造する方法に関する。
モロヘイヤの葉及び茎には、カリウム、カルシウム等のミネラル、βカロチン及びビタミン類が豊富に含まれているほか、例えばグルコースやアラビノースなど、血中コレステロールや中性脂肪を低下させる粘液多糖類も含まれている。このように、モロヘイヤには体に良いとされる成分が豊富に含まれているため、モロヘイヤの搾汁成分(エキス)を添加してなる食品や飲料等が多く上市されている。
その一方で、モロヘイヤは、高粘質成分としての酸性多糖類を多く含んでおり、独特の粘性特性(ぬめり)を持つことから、搾汁(固液分離)が困難であるばかりか、そのエキスは、粘性(ぬめり)を有しているがゆえに他の飲料原料等と均一に混合することが難しかったり、飲料自体にぬめり感が生じて飲み難くなったりするなどの問題を抱えていた。
そこで従来、モロヘイヤ等のぬめりを有する野菜からエキスを得る際に、粘性(ぬめり)を低下させる方法が提案されている。
例えば特許文献1(特開平10−191922号公報)では、モロヘイヤを有機酸又は有機酸塩を添加した熱水で抽出することで、モロヘイヤエキス(モロヘイヤ抽出液)の粘度を低下させる技術が提案されている。
また、特許文献2(特開2000−228962号公報)は、ぬめりを有する野菜を搾汁して野菜搾汁液を製造するに際し、搾汁の前処理工程として少なくとも(a)野菜を冷凍後、解凍する工程、および/または、搾汁の後処理工程として少なくとも(b)野菜搾汁液に有機酸を添加する工程を含むことを特徴とする野菜搾汁液の製造方法を開示している。
特開平10−191922号公報 特開2000−228962号公報
本発明の課題は、モロヘイヤ等のぬめりを有する野菜から野菜エキス(搾汁成分)を得る際に、そのぬめり感を低減させることができる、新たな野菜エキスの製造方法を提案することにある。
かかる課題に鑑みて、本発明は、有機酸又は有機酸塩を含有する熱水でぬめり成分を含有する野菜をブランチングする工程と、ポリガラクツロナーゼを用いて該野菜を酵素処理する工程と、該野菜を搾汁する工程とを備えた野菜エキスの製造方法を提案する。
本発明の製法によれば、搾汁液の粘性を低下することができるため、搾汁(固液分離)が容易である。また、本発明により得られた野菜エキスは、ぬめり感が少なく粘性が低下しているため、他の飲料原料等と容易に均一に混合することができ、しかも飲料にぬめり感を生じさせることがなく、飲み易い野菜飲料を調製することができる。
本欄では、本発明を実施するための形態の一例について説明するが、本発明が下記に説明する実施形態に限定されるものではない。
(本野菜エキス製法)
本実施形態にかかる野菜エキスの製造方法(「本野菜エキス製法」と称する。)は、野菜を洗浄し、有機酸又は有機酸塩を添加した熱水でブランチングし、その後、粉砕し、加水し、次いで酵素処理を行い、搾汁する工程を備えた製造方法である。
但し、かかる製造方法の前、途中、後に、公知の処理を追加することは任意に可能である。
(原料)
本野菜エキス製法で原料として使用できる野菜は、モロヘイヤ、オクラ、ツルムラサキなど、粘性成分(すなわち、ぬめり成分)を含有する野菜である。中でも、粘性低下作用の点では、モロヘイヤやオクラが特に好適である。
モロヘイヤの場合、原料となるのは葉又は茎であるが、特に生葉が好ましい。
(洗浄)
野菜の洗浄方法は、公知の洗浄方法を任意に採用可能であり、水、お湯、そのほかの洗浄液で洗浄すればよい。
この際、有機酸又は有機酸塩を添加した水又はお湯(「有機酸溶液」ともいう)で洗浄するのが好ましい。有機酸溶液で洗浄することにより、ブランチング前に野菜に有機酸又は有機酸塩に接触させ付着させることで、ブランチング工程において、より均一に有機酸又は有機酸塩による粘性低下の効果を高めることができる。また、洗浄中においても粘性物質は野菜から排出されるため、通常の場合、洗浄液も粘性が高い状態となるが、洗浄液に有機酸を添加することで、これを軽減する事ができ、次工程以降への粘性物質の持ち込みを減らすことができる。
この際、添加する有機酸又は有機酸塩としては、L−アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、又はフマル酸などの食品添加物として認可されている有機酸及びこれらの塩(例えばアスコルビン酸ナトリウム)を挙げることができる。中でも、粘性低下効果の点で、L-アスコルビン酸やクエン酸が好ましい。
洗浄方法を特に限定するものではなく、例えば洗浄槽内の洗浄液に有機酸を添加して溶解させ、この中に野菜を投入して洗浄すればよい。
有機酸又は有機酸塩の添加量は、洗浄液の0.01〜5%、特に0.05〜2%、中でも特に0.1〜1%とするのが好ましい。
(ブランチング)
洗浄後、有機酸又は有機酸塩を添加した熱水で野菜をブランチングすることが重要である。
ブランチングの本来の目的は、酵素失活により野菜に付着している微生物の殺菌、貯蔵中の品質の低下や変色の防止などにあるが、ブランチング溶液に有機酸又は有機酸塩を添加して処理することにより、得られる野菜エキスの粘性を効果的に低下させ、ぬめり感を無くすことができる。
添加する有機酸又は有機酸塩としては、L−アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、又はフマル酸などの食品添加物として認可されている有機酸及びこれらの塩(例えばアスコルビン酸ナトリウム)を挙げることができる。
中でも粘度低下効果の点で、アスコルビン酸およびクエン酸が好ましい。
有機酸の添加量は、水又は熱水に対して0.01〜5質量%とするのが好ましい。この範囲であれば、粘性を低下させることができ、しかも酸味が強くなり過ぎることがなく、モロヘイヤ特有の風味を損なうことがない。
かかる観点から、有機酸の添加量は、水又は熱水に対して0.05〜2質量%するのが特に好ましく、中でも0.1〜0.5質量%とするのがさらに好ましい。
ブランチングの具体的方法としては、熱水に有機酸又は有機酸塩を添加してブランチング溶液を用意しておき、例えば野菜を網籠に入れてこの籠ごとブランチング溶液に浸漬させればよい。
この際、60〜100℃、特に65〜95℃の熱水で、品温が60〜100℃、特に65〜95℃に達するようにブランチングすればよく、ブランチング時間、すなわち浸漬時間は30秒〜7分、特に45秒〜5分程度とするのが好ましい。
(粉砕)
ブランチングした野菜は、必要に応じて、2軸エクストルーダー、スクリュープレス、グレーダー、ジューサー、ローラー式破砕機やミル等を用いて粉砕乃至破砕するのが好ましい。
この際、粉砕乃至破砕の程度は、5mm以下とするのが好ましい。
(加水)
粉砕後、水を加えるのが好ましい。
野菜を粉砕乃至破砕した状態では攪拌及び搾汁が困難であるため、攪拌によって均一に酵素処理を行わせるために、酵素処理の前段階で加水するのが好ましい。
加える水は、ミネラル水、天然水、イオン交換水、精製水、脱気水、水道水等の水を挙げることができる。
この際の加水量は、少な過ぎると酵素が全体に作用しなくなり、逆に多すぎると同様に野菜への酵素の作用(接触)が少なくなると共に、その後の濃縮工程等での生産効率も悪くなるため、かかる観点から、野菜(原料)に対して20〜500質量%、特に50〜200質量%、中でも100〜150質量%とするのが好ましい。
(酵素処理)
次に、野菜を酵素処理することが好ましい。
有機酸溶液によるブランチングと酵素処理とを組み合わせて実施することにより、野菜エキスの粘性低下作用を相乗的に高めることができる。
粘性低下作用を示す酵素としては、ペクチナーゼ、α-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、ポリガラクツロナーゼ、βグルカナーゼ、プロテアーゼ、アミノペプチターゼなどを挙げることができ、これらを単独又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、粘性低下作用の点で、α-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、ポリガラクツロナーゼ、βグルカナーゼ、プロテアーゼが好ましく、その中でもグルコアミラーゼ、ポリガラクツロナーゼ、βグルカナーゼがより好ましく、その中でもポリガラクツロナーゼが特に好ましい。
さらにポリガラクツロナーゼと、前述の酵素、例えばペクチナーゼ、α-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、βグルカナーゼ、プロテアーゼ及びアミノペプチターゼのうちの一種又は二種以上とを組み合わせて用いるのが好ましく、その中でも、グルコアミラーゼ及びβグルカナーゼの一種又は二種以上と組み合わせて用いるのが好ましい。
酵素の量は、野菜(原料)の0.01〜2質量%、特に0.05〜1質量%、中でも0.1〜0.5質量%とするのが好ましい。
酵素処理の方法は、野菜に酵素を加えて酵素反応させることができれば特に具体的方法を特定するものではない。例えば、野菜を粉砕し、得られた野菜粉砕物に加水した状態で酵素を加えて酵素反応させるようにすればよい。
この際、野菜粉砕物に加水した状態の温度は、酵素反応を促進させるため、30〜70℃、特に35〜60℃、中でも特に40〜55℃に調整するのが好ましく、必要に応じて攪拌するのがよい。
なお、添加した酵素は、その後の処理工程、例えば殺菌工程等で加熱され失活されることになる。
(搾汁)
野菜の搾汁は、例えばデカンター、フィルタープレス、スクリュープレス、二軸回転型エクストルーダー、ジューサー等、現在公知の搾汁機を用いて搾汁すればよい。
また、野菜の種類によっては、クラッシャーによる破砕及びデカンターによる搾汁を行って粗搾汁液を得、この粗搾汁液を濾過するようにしてもよい。例えば破砕乃至磨砕した後、ネルろ過により搾汁した後、遠心分離して搾汁液を得ることもできる。
(後処理)
このようにして得られた野菜エキスは、即座に飲料や食品の原料として使用することもできるが、保管するようにしてもよい。また、必要に応じて成分調整、濃縮、乾燥、殺菌などの処理をしてもよい。
殺菌方法は、通常の飲料と同様に行えばよい。例えば金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で殺菌を行えばよい。また、PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、例えばプレート式熱交換器などで高温殺菌後冷却して容器に充填するなどすればよい。
必要に応じてpH調整剤を添加してもよい。pH調整剤としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、乳酸、及びグルコン酸等の有機酸、レモン、アセロラ及びカムカム等の果汁を挙げることができる。
調整するpH範囲は特に限定するものではないが、一般的には野菜飲料の保存安定性及び飲み易さの点からpH3〜6とするのが好ましい。
(用途)
本発明で添加する有機酸は食品添加物として認可されており、人体に安全なものである。よって、得られた野菜エキスは、野菜飲料や果汁飲料の飲料原料として使用することができるほか、各種食品に添加することもできる。また、健康を増進するサプリメント、栄養補助食品の原料として使用することもできる。
(用語の説明)
本発明における「野菜エキス」とは、野菜の搾汁成分からなる物質の意味であり、その形態は液状、ピューレ状、粉末状、固形状など任意である。
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
また、「X以上」或いは「Y以下」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
次に、試験例に基づいて本発明について更に説明するが、本発明が以下に示す実施例に限定されるものではない。
<試験1:有機酸溶液によるブランチング効果検討>
有機酸溶液を用いたブランチングによる粘性低下効果を検討した。
モロヘイヤ生葉300gを、表1に示したブランチング溶液(100℃)で3分間ブランチングし、水切りをした後、ローラー式破砕機で5mm片程度に粉砕した。粉砕したモロヘイヤに原料量と同量の水を加え、20秒間攪拌した後、遠心分離機にて3000rpm10分間の処理を行い、60メッシュ篩にて固液分離し、得られたモロヘイヤエキスの粘度測定を行った。
粘度測定は、約25℃にてB型粘度計を用いて測定した。
Figure 0005224469
(結 果)
水によるブランチングよりも、アスコルビン酸又はクエン酸を加えた有機酸溶液でブランチングした方が粘度が低下することが確認できた。
このような有機酸の作用は、酸による加水分解によるものと考えられるため、アスコルビン酸やクエン酸以外の有機酸についても同様の効果があるものと推測される。
上記試験及びその他の試験結果からすると、ブランチング溶液としての有機酸濃度は、0.01〜5%の範囲であればよく、好ましくは0.1〜0.5%であるのが好ましいものと考えることができる。
<試験2:酵素処理による粘性低下効果の検討>
酵素処理による粘性低下効果を検討した。
モロヘイヤ生葉を、100℃の熱水で3分間ブランチングし、粗粉砕した後、冷凍保存してモロヘイヤピューレを調製した。
このモロヘイヤピューレ400gをローラー式破砕機にて5mm片程度に粉砕し、湯煎にて80℃に加温後、原料(モロヘイヤピューレ)と同量の水を加え、ウォーターバスにて品温が42〜45℃となるように調整した。次に、原料(モロヘイヤピューレ)量に対し0.2質量%の酵素(表2参照)を加え、50℃のウォーターバスにて15分間攪拌して酵素処理した後、遠心分離機にて3000rpm10分間の処理を行い、60メッシュ篩にて固液分離し、得られたモロヘイヤエキスの粘度測定を行った。
粘度測定は、約25℃にてB型粘度計を用いて測定した。
表2の搾汁液回収率については、原料(モロヘイヤピューレ)量400g+加水量400gの合計800gに対する回収率(%)として算出した。
また、酵素処理を行わない以外は上記と同様の方法でモロヘイヤエキスを製造し、これをコントロールとし、コントロールの粘度に対する比率を表2に示した。
Figure 0005224469
(結 果)
各種酵素を試したところ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、α-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、ポリガラクツロナーゼ、アミノペプチターゼ、β-グルカナーゼなどの酵素に粘性低下効果が認められた。
<試験3:有機酸ブランチングと酵素処理の組合せによる粘性低下効果の検討>
有機酸ブランチングと酵素処理とを組合せた場合の粘性低下効果を検討した。
モロヘイヤ生葉300gを、3000g量の水(通常ブランチング、100℃)もしくはクエン酸0.05%溶液(100℃、pH3.1)で3分間ブランチングし、水切り後にローラー式破砕機で5mm片程度に粉砕した。
次に、原料(モロヘイヤ生葉)と同量の300gの水を加え、50℃のウォーターバスにて品温が42〜45℃になるまで加温した後、6種類の酵素(ペクチナーゼ、αアミラーゼ、グルコアミラーゼ、ポリガラクツロナーゼ、アミノペプチターゼ、βグルカナーゼ)全てを原料量に対して0.2質量%ずつ添加し、50℃ウォーターバスにて15分間攪拌して酵素処理した後、遠心分離機にて3000rpm10分間の処理を行い、60メッシュ篩にて固液分離し、得られたモロヘイヤエキスの粘度測定を行った。
粘度測定は、約25℃にてB型粘度計を用いて測定した。
Figure 0005224469
(結 果)
通常ブランチングと酵素処理とを組み合わせて処理したものに比較して、クエン酸溶液ブランチングと酵素処理とを組み合わせて処理したものは、粘度が大きく減少した。
これより、有機酸溶液ブランチングと酵素処理とを組み合わせると相乗的に粘度低下効果が高まるものと考えられる。
<試験4:有機酸溶液との組合せにおいて特に粘性を低減させる酵素類の検討>
試験3で使用した6種類の酵素のうち、特に粘性を低減させている種類を検討する試験を行った。
モロヘイヤ生葉300gを、3000g量の水(通常ブランチング、100℃)もしくはクエン酸0.05%溶液(100℃、pH3.1)で3分間ブランチングし、水切り後にローラー式破砕機で5mm片程度に粉砕した。
次に、原料(モロヘイヤ生葉)と同量の300gの水を加え、50℃のウォーターバスにて品温が42〜45℃になるまで加温した後、6種類の酵素(ペクチナーゼ、αアミラーゼ、グルコアミラーゼ、ポリガラクツロナーゼ、アミノペプチターゼ、βグルカナーゼ)のうち、試験(1)ではペクチナーゼ以外の5種類、試験(2)ではペクチナーゼ、アミノペプチターゼ以外の4種類の酵素を用いて酵素処理を行った。この際、酵素量は処理(1)〜(7)は原料に対して各0.2質量%、処理(8)では各0.1質量%とした。そして、50℃ウォーターバスにて15分間攪拌して酵素処理した後、遠心分離機で3000rpm10分間の処理を行い、60メッシュ篩にて固液分離し、得られたモロヘイヤエキスの粘度測定を行った。
粘度測定は、約25℃にてB型粘度計を用いて測定した。
(水切具合の評価)
水切具合の評価は、次の基準で評価した。後述する試験でも同様である
○:篩を通した際に、搾汁液が水滴状になって落下した場合に○と評価した。
△:篩を通した際に、搾汁液が糸を引く状態(5cm以上の糸引き状態)で落下した場合に△と評価した。
×:篩の上にゲル状に滞留し、篩をスムーズに通過していかない状態の場合に×と評価した。
Figure 0005224469
(結 果)
処理(2)〜(4)では、試験3で使用した6種類の酵素のうち、ペクチナーゼ、アミノペプチターゼ、αアミラーゼを除外して添加したが、6種類全部を加えたと同様に搾汁液の粘度を低下させることができた。
処理(5)及び処理(6)では、6種類の酵素のうち、グルコアミラーゼ、βグルカナーゼを除いて添加したが、搾汁液の粘度低下効果は弱まり、搾汁液も糸を引く状態となった。
処理(7)では、ポリガラクツロナーゼを除いた結果、搾汁液の粘度低下効果は顕著に弱くなった。
この結果より、6種類の酵素の中でも、特にポリガラクツロナーゼ処理は粘度低減に効果が高いことが分かった。さらにβグルカナーゼ及びグルコアミラーゼを加えた3種類での酵素処理は効果が特に高いことが分かった。
処理(8)では、ポリガラクツロナーゼ、βグルカナーゼ、グルコアミラーゼの3種類の酵素量を各0.1質量%に少なくして処理を行った。その結果、各0.1質量%でも、粘度低減効果は確認された。しかしながら、0.2質量%の場合と比較すると、やや粘性も高く(処理(4))、糸を引く状態であった。
なお、搾汁液のBrix(以下「Bx」と略す)はコントロールと比較すると処理(2)〜(8)のいずれも高くなった。
<試験5:添加する酵素量(特にβグルカナーゼ、グルコアミラーゼ)の検討>
添加する酵素量(特にβグルカナーゼ、グルコアミラーゼ)について検討した。
モロヘイヤ生葉300gを、3000g量の水(通常ブランチング、100℃)もしくはクエン酸0.05%溶液(100℃、pH3.1)で3分間ブランチングし、水切り後にローラー式破砕機で5mm片程度に粉砕した。
次に、原料(モロヘイヤ生葉)と同量の300gの水を加え、50℃のウォーターバスにて品温が42〜45℃になるまで加温した後、3種類の酵素(ポリガラクツロナーゼ、βグルカナーゼ、グルコアミラーゼ)を用いて、処理(2)では各0.2%(対原料)、処理(3)(4)では下記表の通りの濃度で投入し、50℃ウォーターバスにて15分間攪拌して酵素処理した後、遠心分離機で3000rpm10分間の処理を行い、60メッシュ篩にて固液分離し、得られたモロヘイヤエキスの粘度測定を行った。
粘度測定は、約25℃にてB型粘度計を用いて測定した。
Figure 0005224469
(結 果)
ポリガラクツロナーゼについては、試験4で0.1%にした時にやや粘度が高くなる傾向がみられ、0.2%以上であれば十分な粘度低下効果が認められた。これまでの試験結果からすると、原料の0.01〜2質量%の範囲で効果を示すと考えられる。
ポリガラクツロナーゼと併用するグルコアミラーゼやβグルカナーゼについては、原料の0.05〜0.2質量%で効果を示し、粘度を低下させた。これまでの試験結果からすると、原料の0.01〜2質量%の範囲で効果を示すと考えられる。
追加試験として(5)(6)を行った結果、処理(5)では、加水量を等量加水ではなく、半量加水にしたが、やや粘度は高くなるものの粘度低下効果は認められた。すなわち、上記の試験では、ブランチング後に破砕して加水する水の量を対原料量で等量とすることを基本としたが、半量加水でも粘度を低下させることができることが確かめられた。
また、処理(6)では、ゆで(ブランチング)時間を5分間としたが、粘度を低下させることができることが確かめられた。
<試験6:モロヘイヤエキスの製法比較試験>
本発明による製法(実施例)と、従来公知の製法(比較例)とを比較検討した。
(比較例1:コントロール)
モロヘイヤ生葉300gを、3000g量の熱水(100℃)で3分間ブランチングし(品温約90℃)、水切り後にローラー式破砕機で5mm片程度に粉砕した。
次に、原料(モロヘイヤ生葉)と同量の300gの水を加え、50℃のウォーターバスにて15分間攪拌して加温した後、遠心分離機にて3000rpm10分間の処理を行い、60メッシュ篩にて濾過し、得られたモロヘイヤエキスの粘度測定を行った。
粘度測定は、約25℃にてB型粘度計を用いて測定した。
(比較例2)
モロヘイヤ生葉300gを、3000g量の熱水(100℃)で3分間ブランチングし(品温約90℃)、水切り後にローラー式破砕機で5mm片程度に破砕した。
次に、原料(モロヘイヤ生葉)と同量の300gの水を加え、L−アスコルビン酸2.1g(加水量に対して0.7質量%)を加えて95℃に加温して20分間撹拌した後、遠心分離機にて3000rpm10分間の処理を行い、60メッシュ篩にて固液分離し、得られたモロヘイヤエキスの粘度測定を行った。
粘度測定は、約25℃にてB型粘度計を用いて測定した。
(比較例3)
モロヘイヤ生葉300gを、3000g量の熱水(100℃)で3分間ブランチングし(品温約90℃)、水切り後に−40℃にて冷凍した。一晩経過後、自然解凍し、ローラー式破砕機で5mm片程度に破砕し、原料(モロヘイヤ生葉)と同量の300gの水を加え、遠心分離機にて3000rpm10分間の遠心分離を行い、L−アスコルビン酸1.5g(液に対して0.5質量%)を加えて90℃に加温して5分間撹拌した後、遠心分離機にて3000rpm10分間の処理を行い、60メッシュ篩にて固液分離し、得られたモロヘイヤエキスの粘度測定を行った。
粘度測定は、約25℃にてB型粘度計を用いて測定した。
(実施例1)
モロヘイヤ生葉300gを、3000g量のクエン酸0.05%溶液(100℃)で3分間ブランチングし(品温約90℃)、水切り後にローラー式破砕機で5mm片程度に粉砕した。
次に、原料(モロヘイヤ生葉)と同量の300gの水を加え、50℃のウォーターバスにて品温が42〜45℃になるまで加温した後、酵素(ポリガラクツロナーゼ:0.2質量%、βグルカナーゼ:0.1質量%、グルコアミラーゼ:0.1質量%を含む)を添加し、50℃ウォーターバスにて15分間攪拌して酵素処理した後、遠心分離機にて3000rpm10分間の処理を行い、60メッシュ篩にて固液分離し、得られたモロヘイヤエキスの粘度測定を行った。
なお、各酵素の量(質量%)は原料(モロヘイヤ生葉)に対する質量割合である。
粘度測定は、約25℃にてB型粘度計を用いて測定した。
Figure 0005224469
搾汁率の回収率(歩留り)は、実施例が最も高く、しかも粘度低下の効果も実施例が最も高い結果となった。
搾汁液のBxは、コントロール(比較例1)と比較して実施例1は高かった。
搾汁液のpHは、コントロールと比較して実施例1は低かった。
搾汁液中のカルシウム(Ca)量は、コントロールと比較して実施例1は大きく増加した。
<試験7:飲料適正に関する官能評価>
市販の野菜・果実ミックスジュースに、試験6の比較例1、2、実施例1で得られたモロヘイヤエキス(Bx2調整品)を2%添加し、8名による官能評価を実施した。
コントロールに対する評価として次の5段階で評価し、表7には8名の平均値を示した。
(評価基準)
−2:かなり弱い
−1:弱い
0:普通
+1:強い
+2:かなり強い
Figure 0005224469
実施例1の製法で得られたモロヘイヤエキスを使用すると、野菜飲料の「飲み易さ」「スッキリ感」が高くなる傾向が認められた。また、「青臭さ」も若干低くなる傾向が認められた。
<モロヘイヤ以外の野菜での効果検討>
次に、モロヘイヤ以外の粘性含有野菜への転用を検討した。
(コントロール)
半分の長さにカットした生葉300gを、3000g量の熱水(100℃)で3分間ブランチングし、水切り後にローラー式破砕機で5mm片程度に粗砕した。
次に、原料と同量の300gの水を加え、50℃ウォーターバスにて15分間攪拌して酵素処理した後、遠心分離機にて3000rpm10分間の処理を行い、1mm篩で濾過し、得られた野菜エキスの粘度測定を行った。
粘度測定は、約25℃にてB型粘度計を用いて測定した。
(実施例2及び3)
半分の長さにカットした生葉300gを、3000g量のクエン酸0.05%溶液(100℃)で3分間ブランチングし、水切り後にローラー式破砕機で5mm片程度に粉砕した。
次に、原料と同量の300gの水を加え、50℃のウォーターバスにて品温が42〜45℃になるまで加温した後、酵素(ポリガラクツロナーゼ:0.2質量%、βグルカナーゼ:0.1質量%、グルコアミラーゼ:0.1質量%を含む)を添加し、50℃ウォーターバスにて15分間攪拌して酵素処理した後、遠心分離機にて3000rpm10分間の処理を行い、1mm篩で濾過し、得られた野菜エキスの粘度測定を行った。
粘度測定は、約25℃にてB型粘度計を用いて測定した。
なお、各酵素の量(質量%)は原料生葉に対する質量割合である。
Figure 0005224469
オクラやツルムラサキなど、モロヘイヤ以外の粘性含有野菜に適用しても粘性低下効果が認められた。特にオクラに関しては、搾汁液の粘度が約1/4まで低下した。
また、搾汁液の回収率(歩留り)は、酵素処理によりオクラでは22%、ツルムラサキでは15%も増加した。また、搾汁液のBxもコントロールに比較して増加した。

Claims (4)

  1. 有機酸又は有機酸塩を含有する熱水でぬめり成分を含有する野菜をブランチングする工程と、ポリガラクツロナーゼを用いて該野菜を酵素処理する工程と、該野菜を搾汁する工程とを備えた野菜エキスの製造方法。
  2. ぬめり成分を含有する野菜に対して0.01〜2質量%のポリガラクツロナーゼを加えて酵素処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の野菜エキスの製造方法。
  3. ブランチングする際のブランチング溶液中の有機酸濃度は0.01〜5質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の野菜エキスの製造方法。
  4. 有機酸又は有機酸塩を含有する熱水でぬめり成分を含有する野菜をブランチングした後、ポリガラクツロナーゼを用いて該野菜を酵素処理し、その後搾汁することを特徴とする、野菜エキスのぬめり低減方法。
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