JP5224102B2 - 有機elディスプレイ用封着材料 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザー光による封着処理に供される有機ELディスプレイ用封着材料に関する。
近年、フラットディスプレイパネルとして有機ELディスプレイが注目されている。有機ELディスプレイは、直流電圧で駆動できるため駆動回路を簡略化できるとともに、液晶ディスプレイのように視野角依存性がなく、また自己発光のため明るく、更には応答速度が速い等の利点がある。現在、有機ELディスプレイは、主に携帯電話等の小型携帯機器に利用されているが、今後は超薄型テレビへの応用が期待されている。
有機ELディスプレイは、2枚のガラス基板、金属等の陰電極、有機発光層、ITO等の陽電極、接着材料等で構成される。従来、接着材料として、低温硬化性を有するエポキシ樹脂、或いは紫外線硬化樹脂等の有機樹脂系接着材料が使用されてきた。しかし、有機樹脂系接着材料は気体の侵入を完全に遮断することが困難であるため、有機ELディスプレイ内部の気密性を保持することが困難であり、このことに起因して、耐水性の低い有機発光層が劣化しやすくなり、経時的に有機ELディスプレイの表示特性が劣化するといった不具合が生じていた。また、有機樹脂系接着材料は、低温でガラス基板同士を接着できる利点を有するものの、耐水性が低い欠点を有し、有機ELディスプレイを長期に亘って使用した場合、ディスプレイの信頼性が低下しやすくなる。
また、有機ELディスプレイは、液晶ディスプレイと同様にして、薄膜トランジスタ(TFT)等のアクティブ素子を各画素に配置して、駆動させる方式が主流である。
米国特許第6416375号明細書 特開2006−315902号公報
ガラスを用いた封着材料は、有機樹脂系接着材料に比べ、耐水性に優れるとともに、有機ELディスプレイ内部の気密性を確保するのに適している。
しかし、封着材料に使用されるガラスは、一般的に、軟化点が300℃以上であるため、有機ELディスプレイに適用することが困難であった。つまり、上記の封着材料でガラス基板同士を封着する場合、電気炉に有機ELディスプレイ全体を投入し、ガラスの軟化点以上の温度で熱処理する必要がある。しかし、アクティブ素子は、120〜130℃程度の耐熱性しか有していないため、この方法でガラス基板同士を封着すると、アクティブ素子が熱により損傷し、有機ELディスプレイの表示特性が劣化してしまう。同様にして、有機発光材料も耐熱性が乏しいため、この方法でガラス基板同士を封着すると、有機発光材料が熱により損傷し、有機ELディスプレイの表示特性が劣化してしまう。
このような事情に鑑み、近年、封着材料にレーザー光を照射し、有機ELディスプレイを封着する方法が検討されている。レーザー光は、封着すべき部位のみを局所加熱できることから、アクティブ素子等の劣化を防止した上で、ガラス基板同士を封着することができる。
特許文献1、2には、封着材料にレーザー光を照射して、フィールドエミッションディスプレイの前面ガラス基板と背面ガラス基板を封着する方法が記載されている。しかし、特許文献1、2には、封着材料の材料構成について具体的な記載がなく、レーザー光を封着材料に照射しても、封着部位において、レーザー光の光エネルギーを熱エネルギーに効率良く変換させることが困難であった。それ故、これらの封着材料を用いて、ガラス基板同士を封着するためには、レーザー光の出力を上げる必要があり、その結果、アクティブ素子等に不当な熱履歴がかかり、有機ELディスプレイの表示特性が劣化するおそれがあった。
そこで、本発明は、レーザー光による局所加熱に好適な有機ELディスプレイ用封着材料を創案することにより、信頼性の高い有機ELディスプレイを作製することを技術的課題とする。
本発明者は、鋭意努力の結果、封着材料中にビスマス系ガラス粉末と顔料を所定量含有させることにより、上記技術的課題を解決できることを見出し、本発明として、提案するものである。すなわち、本発明の有機ELディスプレイ用封着材料は、レーザー光による封着処理に供される有機ELディスプレイ用封着材料であって、ガラス粉末を50〜99.9質量%、無機顔料を0.1〜20質量%含有し、ガラス粉末が、ガラス組成として、モル%で、Bi 5〜50%、B 10〜50%、ZnO 5〜55%含有し、無機顔料の平均粒子径D 50 が0.01〜5μmであることを特徴とする。
本発明の有機ELディスプレイ用封着材料は、レーザー光による封着処理に供される。このようにすれば、封着すべき部位のみを局所加熱することができ、アクティブ素子や有機発光層の熱的損傷を防止することができる。なお、レーザー光で局所加熱する場合、加熱箇所から1mm離れた部位の温度は100℃以下になり、アクティブ素子や有機発光層の熱的損傷を防止することができる。
本発明の有機ELディスプレイ用封着材料は、種々のレーザーを使用することができるが、特に、半導体レーザー、YAGレーザー、CO2レーザー、エキシマレーザー、赤外レーザー等は、取扱いが容易な点で好ましい。
本発明の有機ELディスプレイ用封着材料は、必須成分として、ガラス粉末を50〜99.9質量%含有する。このようにすれば、有機ELディスプレイ内部の気密性を維持、つまり有機発光層を劣化させるH2OやO2等が有機ELディスプレイ内部に侵入する事態を防止することができ、その結果、有機ELディスプレイの長期信頼性を確保することができる。なお、ガラス粉末の含有量が50質量%より少ないと、封着材料の流動性が乏しくなり、部材同士の封着強度を高めることが困難になる。
本発明の有機ELディスプレイ用封着材料は、必須成分として、無機顔料を含有する。このようにすれば、レーザー光の光エネルギーを熱エネルギーに効率良く変換できるため、封着すべき部位のみを局所加熱することができる。その結果、アクティブ素子や有機発光層の熱的損傷を防止した上で、ガラス基板同士を封着することができる。一方、本発明の有機ELディスプレイ用封着材料は、無機顔料の含有量を20質量%以下に規制している。このようにすれば、レーザー光の照射の際に、ガラスが失透する事態を防止することができる。
発明の有機ELディスプレイ用封着材料は、無機顔料が、複合酸化物、C、Co、CuO、Cr、Fe(FeOを含む)、MnO、SnO、NiO、Ti2n−1(nは整数)から選ばれる一種または二種以上であることが好ましい。ここで、「複合酸化物」とは、2種以上の酸化物が組み合わさって構成される酸化物であり、それぞれの金属イオンが、O2−の最密充填の隙間に平等なイオン格子を形成する酸化物を指す。これらの無機顔料は、発色性に優れているため、レーザー光の光エネルギーを熱エネルギーに効率良く変換することができる。
発明の有機ELディスプレイ用封着材料は、無機顔料が、Al−Co系複合酸化物、Al−Co−Cr系複合酸化物、Al−Cr−Fe−Zn系複合酸化物、Al−Co−Li−Ti系複合酸化物、Al−Cu−Fe−Mn系複合酸化物、Al−Fe−Mn系複合酸化物、Al−Si系複合酸化物、Ba−Ni−Ti系複合酸化物、Ca−Cr−Si−Sn系複合酸化物、Co−Cr系複合酸化物、Co−Cr−Fe−Mn系複合酸化物、Co−Cr−Fe−Ni系複合酸化物、Co−Cr−Fe−Ni−Si−Zr系複合酸化物、Co−Cr−Fe系複合酸化物、Co−Cr−Fe−Mn系複合酸化物、Co−Cr−Fe−Ni−Zn系複合酸化物、Co−Fe系複合酸化物、Co−Fe−Mn−Ni系複合酸化物、Co−Li−P系複合酸化物、Co−Ni−Si−Zr系複合酸化物、Co−Ni−Nb−Ti系複合酸化物、Co−Ni−Sb−Ti系複合酸化物、Co−Ni−Ti−Zn系複合酸化物、Co−Si系複合酸化物、Co−Si−Zn系複合酸化物、Co−Ti系複合酸化物、Cr−Cu系複合酸化物、Cr−Cu−Mn系複合酸化物、Cr−Fe系複合酸化物、Cr−Fe−Mn系複合酸化物、Cr−Fe−Zn系複合酸化物、Cr−Nb−Ti系複合酸化物、Cr−Sb−Ti系複合酸化物、Fe−Cr系複合酸化物、Fe−Mn系複合酸化物、Fe−Ti系複合酸化物、Fe−Ti−W系複合酸化物、Fe−Ti−Zn系複合酸化物、Fe−Zn系複合酸化物、Ni−Nb−Ti系複合酸化物、Ni−Sb−Ti系複合酸化物、Ni−Ti−W系複合酸化物、Sb−Sn系複合酸化物から選ばれる一種または二種以上であることが好ましい。ここで、「・・・系複合酸化物」とは、明示の成分を必須成分として含有する複合酸化物を指す。
発明の有機ELディスプレイ用封着材料は、ガラス粉末が、ガラス組成として、モル%で、Bi 5〜60%、B 10〜50%、ZnO 5〜55%含有することに特徴付けられる。
発明の有機ELディスプレイ用封着材料は、熱膨張係数が85×10−7/℃以下であることが好ましい。ここで、「熱膨張係数」とは、押棒式熱膨張係数測定(TMA)装置により、30〜300℃の温度範囲で測定した値を指す。
発明の有機ELディスプレイ用封着材料は、軟化点が600℃以下であることが好ましい。ここで、「軟化点」とは、マクロ型示差熱分析(DTA)装置で測定した値を指し、DTAは室温から測定を開始し、昇温速度は10℃/分とする。なお、マクロ型DTA装置で測定した軟化点は、図1に示す第四屈曲点の温度(Ts)を指す。
本発明の有機ELディスプレイ用封着材料において、ガラス粉末の含有量は50〜99.9質量%、好ましくは60〜99質量%、より好ましくは75〜98質量%、特に好ましくは90〜96質量%である。ガラス粉末の含有量が少ないと、封着材料の流動性が乏しくなり、部材同士の封着強度を高めることが困難になる。一方、ガラス粉末の含有量が99.9質量%より多いと、相対的に無機顔料の含有量が少なくなり、レーザー光の光エネルギーを熱エネルギーに変換し難くなる。特に、ガラス粉末がアルカリホウ珪酸ガラスの場合、ガラス粉末の含有量は90〜98質量%が好ましい。
本発明の有機ELディスプレイ用封着材料において、ガラス粉末の平均粒子径D50は15μm未満が好ましく、0.5〜10μmがより好ましく、1〜5μmが更に好ましい。ガラス粉末の平均粒子径D50を15μm未満にすると、両ガラス基板間のギャップを小さくしやすくなり、このような場合、ガラス基板と封着材料の熱膨張係数の差が大きくても、ガラス基板および封着部位にクラック等が発生し難くなるとともに、封着に要する時間を短縮することができる。ここで、「平均粒子径D50」はレーザー回折法で測定した値を指す。
本発明の有機ELディスプレイ用封着材料において、ガラス粉末の最大粒子径Dmaxは30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、10μm以下が更に好ましい。ガラス粉末の平均粒子径Dmaxを30μm以下にすると、両ガラス基板間のギャップを小さくしやすくなり、このような場合、ガラス基板と封着材料の熱膨張係数の差が大きくても、ガラス基板および封着部位にクラック等が発生し難くなるとともに、封着に要する時間を短縮することができる。ここで、「最大粒子径Dmax」はレーザー回折法で測定した値を指し、積算粒子径が99.9%の粒子径を指す。
本発明の有機ELディスプレイ用封着材料は、ガラス粉末として、ビスマス系ガラスを用いる。レーザー光で局所加熱する場合、ガラスの軟化点が低いと、短時間で封着できるとともに、封着強度を高めることができる。しかし、一般的に、ガラスの軟化点を下げると、ガラスの耐水性が低下しやすくなる。したがって、ガラスの低軟化特性と高耐水性を両立させることは困難であるが、ビスマス系ガラスは、低軟化特性と高耐水性を高いレベルで両立させることができる。ここで、「ビスマス系ガラス」とは、ガラス組成中のBiの含有量が10モル%以上のガラスを指す。
発明の有機ELディスプレイ用封着材料において、ガラス粉末は、ガラス組成として、モル%で、Bi 5〜50%、B 10〜50%、ZnO 5〜55%含有する。
Bi23は、軟化点を下げるための主要成分であり、その含有量は5〜50%、好ましくは25〜45%である。Bi23の含有量が少ないと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。一方、Bi23の含有量が多いと、ガラスの熱的安定性が低下し、レーザー光の照射時にガラスが失透しやすくなる。
23は、ガラスネットワークを形成する成分であり、その含有量は10〜50%、好ましくは15〜30%である。B23の含有量が少ないと、ガラスの熱的安定性が低下し、レーザー光の照射時にガラスが失透しやすくなる。一方、B23の含有量が多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
ZnOは、溶融時またはレーザー光の照射時にガラスの失透を抑制し、ガラスの熱膨張係数を低下させる成分であり、その含有量は5〜55%、好ましくは15〜45%である。ZnOの含有量が少ないと、溶融時またはレーザー光の照射時にガラスの失透を抑制する効果が得られ難くなる。ZnOの含有量が多いと、ガラス組成内の成分バランスが損なわれ、ガラスが失透しやすくなる。
上記ガラス組成範囲において、上記成分以外にも、例えば、下記の成分をガラス組成中に30%まで含有させることができる。
SiO2は、ガラスの耐水性を向上させる成分であり、その含有量は0〜20%、好ましくは0〜5%である。SiO2の含有量が多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
Al23は、ガラスの耐水性を向上させる成分である。その含有量は0〜15%、好ましくは0〜5%である。Al23の含有量が多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
MgO+CaO+SrO+BaOは、溶融時またはレーザー光の照射時にガラスの失透を抑制する成分であり、MgO+CaO+SrO+BaOの含有量は0〜25%、好ましくは0〜20%である。MgO+CaO+SrO+BaOの含有量が多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
MgOは、溶融時またはレーザー光の照射時にガラスの失透を抑制する成分であり、その含有量は0〜12%、好ましくは0〜7%である。MgOの含有量が多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
CaOは、溶融時またはレーザー光の照射時にガラスの失透を抑制する成分であり、その含有量は0〜15%、好ましくは0〜4%である。CaOの含有量が多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
SrOは、溶融時またはレーザー光の照射時にガラスの失透を抑制する成分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは0〜7%である。SrOの含有量が多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
BaOは、溶融時またはレーザー光の照射時にガラスの失透を抑制する成分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは0〜8%である。BaOの含有量が多過ぎると、ガラスの熱膨張係数が高くなり過ぎるおそれがある。
CeO2は、溶融時またはレーザー光の照射時にガラスの失透を抑制する成分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは0〜4%である。CeO2の含有量が多過ぎると、ガラス組成内の成分バランスが損なわれ、逆にガラスが失透しやすくなる。また、ガラスの熱的安定性を向上させる観点から、CeO2を微量添加するのが好ましく、具体的には、CeO2の含有量を0.1%以上とするのが好ましい。
Sb23は、ガラスの失透を抑制するための成分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは0〜2%である。Sb23は、ビスマス系ガラスのガラスネットワークを安定化させる効果があり、ビスマス系ガラスにおいて、Sb23を適宜添加すれば、Bi23の含有量が多い場合、例えばBi23の含有量が35%以上であっても、ガラスの熱的安定性が低下し難くなる。ただし、Sb23の含有量が多過ぎると、ガラス組成内の成分バランスが損なわれ、逆にガラスが失透しやすくなる。また、ガラスの熱的安定性を向上させる観点から、Sb23を微量添加するのが好ましく、具体的には、Sb23の含有量を0.2%以上とするのが好ましい。
WO3は、ガラスの失透を抑制するための成分であり、その含有量は0〜15%、好ましくは0〜5%である。WO3の含有量が多過ぎると、ガラス組成内の成分バランスが損なわれ、逆にガラスが失透しやすくなる。
In23+Ga23(In23とGa23の合量)はガラスの失透を抑制するための成分であり、その含有量は合量で0〜6%、好ましくは0〜3%である。In23+Ga23の含有量が多過ぎると、ガラス組成内の成分バランスが損なわれ、逆にガラスが失透しやすくなる。
Li2O+Na2O+K2Oは、ガラスの軟化点を下げる成分であるが、溶融時にガラスの失透を促進する作用を有するため合量で4%以下とするのが好ましい。
25は、溶融時にガラスの失透を抑制する成分であるが、その添加量が2%より多いと、溶融時にガラスが分相しやすくなる。
La23、Y23およびGd23は、溶融時にガラスの分相を抑制する成分であるが、これらの合量が5%より多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
上記ガラス組成範囲において、上記成分以外にも、下記の着色成分をガラス組成中に0〜10%、好ましくは0.2〜8%含有させることができる。ガラス組成中に着色成分を添加すれば、レーザー光の照射時に熱エネルギーへの変換を促進させることができる。
CuOは、光吸収特性を有する成分であり、レーザー光を照射すると、光を吸収して、ガラスを軟化させやすくする成分であるとともに、溶融時またはレーザー光の照射時にガラスの失透を抑制する成分であり、その含有量は0〜15%、好ましくは0〜10%である。CuOの含有量が多過ぎると、ガラス組成内の成分バランスが損なわれ、逆にガラスが失透しやすくなり、ガラスの流動性が損なわれやすくなる。
Fe23は、光吸収特性を有する成分であり、レーザー光を照射すると、光を吸収して、ガラスを軟化させやすくする成分であるとともに、溶融時またはレーザー光の照射時にガラスの失透を抑制する成分であり、その含有量は0〜6%、好ましくは0〜2%である。Fe23の含有量が多過ぎると、ガラス組成内の成分バランスが損なわれ、逆にガラスが失透しやすくなり、ガラスの流動性が損なわれやすくなる。
NiOは、光吸収特性を有する成分であり、レーザー光を照射すると、光を吸収して、ガラスを軟化させやすくする成分であり、その含有量は0〜7%、好ましくは0〜3%である。NiOの含有量が多いと、ガラスが失透しやすくなり、ガラスの流動性が損なわれやすくなる。
25は、光吸収特性を有する成分であり、レーザー光を照射すると、光を吸収して、ガラスを軟化させやすくする成分であり、その含有量は0〜7%、好ましくは0〜3%である。V25の含有量が多いと、レーザー光の照射時にガラスに発泡が生じやすくなる。
CoOは、光吸収特性を有する成分であり、レーザー光を照射すると、光を吸収して、ガラスを軟化させやすくする成分であり、その含有量は0〜9%、好ましくは0〜3%である。CoOの含有量が多いと、ガラスが失透しやすくなり、ガラスの流動性が損なわれやすくなる。
MoO3は、光吸収特性を有する成分であり、レーザー光を照射すると、光を吸収して、ガラスを軟化させやすくする成分であり、その含有量は0〜7%、好ましくは0〜3%である。MoO3の含有量が多いと、ガラスが失透しやすくなり、ガラスの流動性が損なわれやすくなる。
TiO2は、光吸収特性を有する成分であり、レーザー光を照射すると、光を吸収して、ガラスを軟化させやすくする成分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは0〜4%である。TiO2の含有量が多いと、ガラスが失透しやすくなり、ガラスの流動性が損なわれやすくなる。また、TiO2の含有量が多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
MnO2は、光吸収特性を有する成分であり、レーザー光を照射すると、光を吸収して、ガラスを軟化させやすくする成分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは0〜4%である。MnO2の含有量が多いと、ガラスが失透しやすくなり、ガラスの流動性が損なわれやすくなる。
なお、環境的観点からPbOを実質的に含有しないことが好ましい。ここで、「実質的にPbOを含有しない」とは、ガラス組成中のPbOの含有量が1000ppm(質量)以下の場合を指す。
本発明の有機ELディスプレイ用封着材料において、無機顔料の含有量は0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは3〜15質量%、特に好ましくは5〜12質量%である。無機顔料の含有量が少ないと、封着部位の着色度が乏しくなり、レーザー光の光エネルギーを熱エネルギーに変換し難くなる。一方、無機顔料の含有量が多いと、レーザー光の照射時に無機顔料がガラスに溶け込む量が多くなり過ぎ、封着材料の熱的安定性が乏しくなる。
本発明の有機ELディスプレイ用封着材料において、無機顔料は、複合酸化物が好ましい。複合酸化物は、構造的に安定であるため、耐熱性、耐薬品性、耐候性および安全性に優れている。
本発明の有機ELディスプレイ用封着材料において、無機顔料は、Al−Co系複合酸化物、Al−Co−Cr系複合酸化物、Al−Cr−Fe−Zn系複合酸化物、Al−Co−Li−Ti系複合酸化物、Al−Cu−Fe−Mn系複合酸化物、Al−Fe−Mn系複合酸化物、Al−Si系複合酸化物、Ba−Ni−Ti系複合酸化物、Ca−Cr−Si−Sn系複合酸化物、Co−Cr系複合酸化物、Co−Cr−Fe−Mn系複合酸化物、Co−Cr−Fe−Ni系複合酸化物、Co−Cr−Fe−Ni−Si−Zr系複合酸化物、Co−Cr−Fe系複合酸化物、Co−Cr−Fe−Mn系複合酸化物、Co−Cr−Fe−Ni−Zn系複合酸化物、Co−Fe系複合酸化物、Co−Fe−Mn−Ni系複合酸化物、Co−Li−P系複合酸化物、Co−Ni−Si−Zr系複合酸化物、Co−Ni−Nb−Ti系複合酸化物、Co−Ni−Sb−Ti系複合酸化物、Co−Ni−Ti−Zn系複合酸化物、Co−Si系複合酸化物、Co−Si−Zn系複合酸化物、Co−Ti系複合酸化物、Cr−Cu系複合酸化物、Cr−Cu−Mn系複合酸化物、Cr−Fe系複合酸化物、Cr−Fe−Mn系複合酸化物、Cr−Fe−Zn系複合酸化物、Cr−Nb−Ti系複合酸化物、Cr−Sb−Ti系複合酸化物、Fe−Cr系複合酸化物、Fe−Mn系複合酸化物、Fe−Ti系複合酸化物、Fe−Ti−W系複合酸化物、Fe−Ti−Zn系複合酸化物、Fe−Zn系複合酸化物、Ni−Nb−Ti系複合酸化物、Ni−Sb−Ti系複合酸化物、Ni−Ti−W系複合酸化物、Sb−Sn系複合酸化物から選ばれる一種または二種以上であることが好ましい。これらの無機顔料としては、(Co,Fe,Mn)(Fe,Cr,Mn)24、(Ni,Co,Fe)(Fe,Cr)24、(Ni,Co,Fe)(Fe,Cr)24・(Zn,Fe)(Fe,Cr)24、(Co,Fe,Mn)(Fe,Cr,Mn)24、(Fe,Mn)(Fe,Mn)24(Manganese ferrite black spinel)、(Fe,Mn)(Fe,Cr,Mn)O4、Cu(Cr,Mn)24、CuCr24、(Co,Fe)(Fe,Cr)24、(Co,Ni)O・ZrSiO4、(Sn,Sb)O2、(Ni,Co,Fe)(Fe,Cr)24・ZrSiO4、Fe(Fe,Cr)24、(Zn,Fe)(Fe,Cr)24、(Zn,Fe)(Fe,Cr,Al)24、(Fe,Co)Fe24、(Zn,Fe)Fe24、(Ti,Sb,Ni)O2、(Ti,Sb,Cr)O2、(Ti,Cr,Nb)O2、(Ti,Sb,Ni,Co)O2、(Ti,Nb,Ni,Co)O2、(Ti,Ni,W)O2、(Ti,Ni,Nb)O2、(Ti,Fe,W)O2、(Ti,Nb,Ni)O2、(Zn,Fe)(Fe,Cr)24、(Fe,Zn)Fe24:TiO2、(Co,Ni,Zn)TiO4、CoCr24、CoAl24、CoAl24:TiO2:Li2O、CoSi24、Co2TiO4、CoLiPO4、Co(Al,Cr)24、Fe2TiO4、Cr23:Fe23、(Co,Zn)2SiO4、2NiO,3BaO,17TiO2、CaO,SnO2,SiO2:Cr23等を挙げることができる。
本発明の有機ELディスプレイ用封着材料は、黒色無機顔料を含有することが好ましい。黒色無機顔料を用いると、レーザー光の光エネルギーを熱エネルギーに変換しやすくなるるとともに、封着材料に異物が混入しても、封着部位に外観不良が生じる事態を防止することができる。黒色無機顔料としては、Al−Cu−Fe−Mn系複合酸化物、Al−Fe−Mn系複合酸化物、Co−Cr−Fe系複合酸化物、Co−Cr−Fe−Mn系複合酸化物、Co−Cr−Fe−Ni系複合酸化物、Co−Cr−Fe−Mn系複合酸化物、Co−Cr−Fe−Ni−Zn系複合酸化物、Co−Fe−Mn−Ni系複合酸化物、Cr−Cu系複合酸化物、Cr−Cu−Mn系複合酸化物、Cr−Fe−Mn系複合酸化物、Fe−Mn系複合酸化物、Tin2n-1(nは整数)、Cr23、Cを挙げることができ、例えば、(Co,Fe,Mn)(Fe,Cr,Mn)24、(Ni,Co,Fe)(Fe,Cr)24、(Ni,Co,Fe)(Fe,Cr)24・(Zn,Fe)(Fe,Cr)24、(Co,Fe,Mn)(Fe,Cr,Mn)24、(Fe,Mn)(Fe,Mn)24、(Fe,Mn)(Fe,Cr,Mn)O4、Cu(Cr,Mn)24、CuCr24、(Co,Fe)(Fe,Cr)24を挙げることができる。
Cr23は、環境的影響が懸念される場合があるため、無機顔料は、実質的にCr23を含有しないことが好ましい。ここで、「実質的にCr23を含有しない」とは、無機顔料中のCr23の含有量が1000ppm(質量)以下の場合を指す。
本発明の有機ELディスプレイ用封着材料において、無機顔料の平均粒子径D50は0.01〜5μmであり、0.1〜3.5μmが好ましい。無機顔料の平均粒子径D50が0.01μmより小さいと、レーザー光の照射時に、無機顔料がガラスに溶け込みやすくなり、封着材料が熱的安定性が損なわれやすくなる。一方、無機顔料の平均粒子径D50が5μmより大きいと、無機顔料を封着材料中に均一に分散させることが困難になり、局所的に封着不良が発生するおそれがある。
アルカリホウ珪酸ガラスは、熱膨張係数が低いため、被封着物の熱膨張係数に整合させるために、必ずしも耐火性フィラー粉末を添加する必要はない。しかし、ビスマス系ガラスは、熱膨張係数が高いため、場合によっては、被封着物の熱膨張係数に整合させるために、耐火性フィラー粉末を添加する必要がある。本発明の有機ELディスプレイ用封着材料は、耐火性フィラー粉末を45質量%まで含有させることができる。耐火性フィラー粉末を添加すれば、封着材料の熱膨張係数を被封着物の熱膨張係数に整合させることができ、その結果、封着部位に不当な応力が残留する事態を防止することができる。耐火性フィラー粉末は、ジルコン、ジルコニア、酸化錫、チタン酸アルミニウム、β−スポジュメン、ムライト、チタニア、石英ガラス、β−石英、ウイレマイト、リン酸ジルコニウム化合物(例えば、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム等)、タングステン酸ジルコニウムおよびNZP型結晶(例えば、NbZr(PO43、[AB2(MO43]の基本構造をもつ結晶物、
A:Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cu、Ni、Mn等
B:Zr、Ti、Sn、Nb、Al、Sc、Y等
M:P、Si、W、Mo等)若しくはこれらの固溶体が使用可能である。更に、上記の耐火性フィラー粉末以外にも、封着材料の熱膨張係数の調整、流動性の調整および機械的強度の改善のために、石英ガラス、β−ユークリプタイト等を添加することもできる。
本発明の有機ELディスプレイ用封着材料において、耐火性フィラー粉末の平均粒子径D50は15μm未満が好ましく、0.5〜10μmがより好ましく、1〜5μmが更に好ましい。耐火性フィラー粉末の平均粒子径D50が15μm以上であると、封着部位が厚くなりやすく、両ガラス基板間のギャップが大きくなり、有機ELディスプレイを薄型化し難くなる。また、耐火性フィラー粉末の平均粒子径D50を15μm未満にすると、両ガラス基板間のギャップを小さくすることができ、このような場合、ガラス基板と封着材料の熱膨張係数の差が大きくても、ガラス基板および封着部位にクラック等が発生し難くなる。なお、耐火性フィラー粉末の効果(例えば、封着材料の熱膨張係数を低下させる効果)を的確に享受するためには、耐火性フィラー粉末の平均粒子径D50を0.5μm以上にするのが好ましい。
本発明の有機ELディスプレイ用封着材料において、耐火性フィラー粉末の最大粒子径Dmaxは30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、10μm以下が更に好ましい。耐火性フィラー粉末の最大粒子径Dmaxが30μmより大きいと、封着部位において、30μm以上の厚みを有する箇所が発生するため、両ガラス基板間のギャップが不均一になり、有機ELディスプレイを薄型化し難くなる。また、耐火性フィラー粉末の平均粒子径Dmaxを30μm以下にすると、両ガラス基板間のギャップを小さくすることができ、このような場合、ガラス基板と封着材料の熱膨張係数の差が大きくても、ガラス基板および封着部位にクラック等が発生し難くなる。
本発明の有機ELディスプレイ用封着材料は、更に、封着部位の厚みを均一化するために、ガラスファイバー、ガラスビーズ、シリカビーズ、樹脂ビーズ等をスペーサーとして10質量%まで含有させてもよい。また、本発明の有機ELディスプレイ用封着材料は、更に、光吸収を促進させるために、Cu、Fe、Mn、Co等の遷移金属粉末等を10質量%まで含有させてもよい。
現在、有機ELディスプレイは、駆動方式として、TFT等のアクティブ素子を各画素に配置して駆動するアクティブマトリクス駆動が採用されており、そのため、有機ELディスプレイ用ガラス基板には、無アルカリガラス(例えば、日本電気硝子株式会社製OA−10)が使用される。無アルカリガラスの熱膨張係数は、通常、40×10-7/℃以下であるため、封着材料の熱膨張係数を無アルカリガラスの熱膨張係数に厳密に適合させることは困難である。しかし、有機ELディスプレイ用封着材料の熱膨張係数をできるだけ小さくすることは重要であり、具体的には、有機ELディスプレイ用封着材料の熱膨張係数を85×10-7/℃以下(好ましくは80×10-7/℃以下、より好ましくは75×10-7/℃以下)にすることが望ましい。このようにすれば、封着部位にかかる応力を小さくすることができ、封着部位の応力破壊を防ぐことができる。
本発明の有機ELディスプレイ用封着材料において、軟化点は600℃以下が好ましく、580℃以下がより好ましく、560℃以下が更に好ましい。軟化点が600℃より高いと、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難い傾向があり、ガラス基板同士の封着強度を高めるためには、レーザー光等の出力を上げる必要がある。軟化点の下限は特に限定されないが、ガラスの熱的安定性を考慮すれば、軟化点を385℃以上に設定することが好ましい。
本発明の有機ELディスプレイ用封着材料は、粉末のまま使用に供してもよいが、ビークルと均一に混練し、ペーストに加工すると取り扱いやすい。ビークルは、主に溶媒と樹脂とからなり、樹脂はペーストの粘性を調整する目的で添加される。また、必要に応じて、界面活性剤、増粘剤等を添加することもできる。作製されたペーストは、ディスペンサーやスクリーン印刷機等の塗布機を用いてガラス基板に塗布され、脱バインダー工程に供される。
樹脂としては、アクリル酸エステル(アクリル樹脂)、エチルセルロース、ポリエチレングリコール誘導体、ニトロセルロース、ポリメチルスチレン、ポリエチレンカーボネート、メタクリル酸エステル等が使用可能である。特に、アクリル酸エステル、ニトロセルロースは、熱分解性が良好であるため、好ましい。
溶媒としては、N、N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、α−ターピネオール、高級アルコール、γ−ブチルラクトン(γ−BL)、テトラリン、ブチルカルビトールアセテート、酢酸エチル、酢酸イソアミル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、トルエン、3−メトキシ−3−メチルブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン等が使用可能である。特に、α−ターピネオールは、高粘性であり、樹脂等の溶解性も良好であるため、好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
表1〜5は本発明の参考例(試料No.1〜10)、実施例(試料No.11〜15)および比較例(試料No.16〜21)を示している。
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表1〜5に記載の各試料は次のようにして調製した。まず、表に示したガラス組成となるように各種酸化物、炭酸塩等の原料を調合したガラスバッチを準備し、これを白金坩堝に入れて1250℃で1時間溶融した。次に、水冷ローラーにより、溶融ガラスを薄片状に成形した。最後に、薄片状のガラスをボールミルにて粉砕後、空気分級し、平均粒子径D50が2.5μm、最大粒子径Dmaxが10μmの各ガラス粉末を得た。
無機顔料は、(Fe,Mn)(Fe,Mn)24、(Zn,Fe)(Fe,Cr)24、Tin2n-1、(Co,Ni)O・ZrSiO4、Cr23、(Zn,Fe)Fe24、(Sn,Sb)O2、(Fe,Mn)(Fe,Cr,Mn)O4を用いた。各無機顔料は、平均粒子径D50が1μmになるように調製した。
耐火物フィラー粉末は、コーディエライト、ウイレマイトを用いた。各耐火性フィラー粉末は、平均粒子径D50が3μm、最大粒子径Dmaxが10μmになるように調製した。
表中に示す通り、ガラス粉末、無機顔料および耐火性フィラー粉末を混合し、試料No.1〜21を作製した。試料No.1〜21につき、熱膨張係数、ガラス転移点、軟化点、流動性、封着強度および失透状態を評価した。
熱膨張係数は、TMA装置で求めた。測定温度範囲は30〜300℃とした。
ガラス転移点および軟化点は、DTA装置で測定した。測定は、大気中において、昇温速度10℃/分で行い、室温から測定を開始した。
流動性は、各試料を厚さ2mmに加圧成形した後、各加圧体に波長1060nmのYAGレーザー(パワー密度8kW/cm2)を照射することで評価した。YAGレーザーを照射した後、ガラスが溶解する状態を顕微鏡でその場観察し、ガラスが軟化変形しているものを「○」、ガラスが軟化変形していないものを「×」として評価した。
封着強度は、次のようにして評価した。まず、各試料とビークル(アクリル樹脂含有のα−ターピネオール)を三本ロールミルで均一に混錬し、ペースト化した後、無アルカリガラス基板(日本電気硝子株式会社製OA−10、□100mm×0.5mm厚)の外周端に線状(30μm厚)に塗布し、乾燥オーブンで150℃10分間乾燥した。次に、室温から10℃/分で昇温し、ガラス基板を各ガラス粉末の軟化点で20分間焼成した後、室温まで10℃/分で降温し、グレーズ処理を行なった。次に、焼成膜が形成された無アルカリガラス基板の上に、もう一枚の無アルカリガラス基板(日本電気硝子株式会社製OA−10、□100mm×0.5mm厚)を正確に重ねた後、乾燥膜に沿って、波長1060nmのYAGレーザー(パワー密度8kW/cm2)を照射し、両ガラス基板を封着した。封着後の両ガラス基板を上方1mからコンクリート上に落下させ、両ガラス基板から封着部位が剥離しなかったものを「○」、封着部位が剥離したものを「×」として評価した。
失透状態は、上記封着強度の評価で形成された封着部位の表面を光学顕微鏡(100倍)で観察し、表面に結晶が観察されなかったものを「○」、表面に結晶が観察されたものを「×」として評価した。
表1〜3から明らかなように、試料No.1〜15は、流動性、封着強度および失透状態の評価が良好であり、有機ELディスプレイ用封着材料に好適であると判断できる。
表4から明らかなように、試料No.16、17は、無機顔料を含有していないため、流動性および封着強度の評価が不良であった。また、試料No.18は、無機顔料の含有量が多いため、封着強度および失透状態の評価が不良であった。
表5から明らかなように、試料No.19、20は、無機顔料を含有していないため、流動性および封着強度の評価が不良であった。また、試料No.18は、ガラス粉末の含有量が少ないため、流動性、封着強度および失透状態の評価が不良であった。
マクロ型DTA装置で測定した時のガラスの軟化点を示す模式図である。

Claims (8)

  1. レーザー光による封着処理に供される有機ELディスプレイ用封着材料であって、
    ガラス粉末を50〜99.9質量%、無機顔料を0.1〜20質量%含有し、ガラス粉末が、ガラス組成として、モル%で、Bi 5〜50%、B 10〜50%、ZnO 5〜55%含有し、
    無機顔料の平均粒子径D 50 が0.01〜5μmであることを特徴とする有機ELディスプレイ用封着材料。
  2. 無機顔料が、複合酸化物、C、Co、CuO、Cr、Fe(FeOを含む)、MnO、SnO、NiO、Ti2n−1(nは整数)から選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする請求項1に記載の有機ELディスプレイ用封着材料。
  3. 無機顔料が、Al−Co系複合酸化物、Al−Co−Cr系複合酸化物、Al−Cr−Fe−Zn系複合酸化物、Al−Co−Li−Ti系複合酸化物、Al−Cu−Fe−Mn系複合酸化物、Al−Fe−Mn系複合酸化物、Al−Si系複合酸化物、Ba−Ni−Ti系複合酸化物、Ca−Cr−Si−Sn系複合酸化物、Co−Cr系複合酸化物、Co−Cr−Fe−Mn系複合酸化物、Co−Cr−Fe−Ni系複合酸化物、Co−Cr−Fe−Ni−Si−Zr系複合酸化物、Co−Cr−Fe系複合酸化物、Co−Cr−Fe−Mn系複合酸化物、Co−Cr−Fe−Ni−Zn系複合酸化物、Co−Fe系複合酸化物、Co−Fe−Mn−Ni系複合酸化物、Co−Li−P系複合酸化物、Co−Ni−Si−Zr系複合酸化物、Co−Ni−Nb−Ti系複合酸化物、Co−Ni−Sb−Ti系複合酸化物、Co−Ni−Ti−Zn系複合酸化物、Co−Si系複合酸化物、Co−Si−Zn系複合酸化物、Co−Ti系複合酸化物、Cr−Cu系複合酸化物、Cr−Cu−Mn系複合酸化物、Cr−Fe系複合酸化物、Cr−Fe−Mn系複合酸化物、Cr−Fe−Zn系複合酸化物、Cr−Nb−Ti系複合酸化物、Cr−Sb−Ti系複合酸化物、Fe−Cr系複合酸化物、Fe−Mn系複合酸化物、Fe−Ti系複合酸化物、Fe−Ti−W系複合酸化物、Fe−Ti−Zn系複合酸化物、Fe−Zn系複合酸化物、Ni−Nb−Ti系複合酸化物、Ni−Sb−Ti系複合酸化物、Ni−Ti−W系複合酸化物、Sb−Sn系複合酸化物から選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機ELディスプレイ用封着材料。
  4. 無機顔料の平均粒子径D50が0.01〜3.5μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機ELディスプレイ用封着材料。
  5. 更に、耐火性フィラー粉末を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機ELディスプレイ用封着材料。
  6. 熱膨張係数が85×10−7/℃以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機ELディスプレイ用封着材料。
  7. 軟化点が600℃以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の有機ELディスプレイ用封着材料。
  8. 耐火性フィラー粉末の最大粒子径Dmaxが20μm以下であることを特徴とする請求項5に記載の有機ELディスプレイ用封着材料。
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