JP5221431B2 - 電磁クラッチおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カーエアコン用コンプレッサやウォーターポンプに動力を伝達する電磁クラッチおよびその製造方法に関する。
カーエアコン用コンプレッサやウォーターポンプ等に用いられる電磁クラッチは、一般に無励磁作動型の電磁クラッチで構成しており、励磁コイルの非励磁時において、永久磁石の磁気力によりアーマチュアをロータに磁気吸着させることによりエンジンの動力を従動機器に伝達し、動力伝達の遮断時に励磁コイルへの通電によって永久磁石による磁気力を打ち消すことによりアーマチュアを永久磁石から解放させるようにしている。
このような無励磁作動型電磁クラッチとしては、例えば特許文献1、2に開示されたものが知られている。
特許文献1に記載されている無励磁作動型電磁クラッチは、回転軸に取付けられたロータと、前記回転軸に回転自在に取付けられたハブと、ハブに取付けられたアーマチュアと、前記ロータに配設された永久磁石および励磁コイルとを備えている。ロータは、非磁性材からなるコンパウンドによって一体的に結合された外磁極部材および内磁極部材の2部材からなり、これら両部材のフランジ部間に形成した空間に永久磁石を介在させている。永久磁石の磁気回路は、磁束がロータの外磁極(外磁極部材の磁極面)からアーマチュアに迂回してロータの内磁極(内磁極部材の磁極面)を通る磁気回路を形成している。
一方、励磁コイルの通電時における磁気回路は、磁束がフィールドコア−内磁路部材−永久磁石−外磁路部材を経てフィールドコアを通る磁気回路を形成している。
このような構造からなる無励磁作動型電磁クラッチにおいて、励磁コイルへの通電を遮断した無励磁状態では、永久磁石の磁束によって生じる磁気力によりアーマチュアの摩擦面(極面)にロータの摩擦面(内外極面)を磁気吸着させることにより、ロータとアーマチュアを摩擦結合させ、ロータの回転をアーマチュアを介してハブに伝達している。例えば、エンジン用冷却水を循環させるウォーターポンプ用電磁クラッチであれば、エンジンの動力がベルトを介してロータに伝達されるので、エンジンの駆動中はウォーターポンプも駆動している。エンジンの駆動中において、ウォーターポンプの駆動を停止させるときは、励磁コイルに通電し、励磁コイルの磁束による磁気力によって永久磁石の磁束による磁気力を打ち消すことによりアーマチュアを永久磁石から解放させる。これによりアーマチュアがロータから離間し、エンジンからウォーターポンプへの動力伝達が遮断され、ウォーターポンプは停止する。
特許文献2に記載されている電磁クラッチは、ロータを内周面に軸受の嵌合部が形成された内側円筒状磁路部(内側磁束路部)と、外周面にプーリ溝が形成された外側円筒状磁路部(外側磁束路部)と、これら両磁路部の一端を連結する円板状の磁路部(フランジ部)とで構成し、内部に磁性体と励磁コイルを配設している。磁性体は、一対の環状磁性板と環状の永久磁石を一体的に結合することにより構成されている。
永久磁石は、ロータの外側円筒状磁路部および内側円筒状磁路部と適宜な隙間を保って対向し、一対の環状磁性板に挟持されている。一対の環状磁性板のうち永久磁石よりロータ内部の奥側に位置する一方の環状磁性板は、前記円板状磁路部の内面および外側円筒状磁路部の内周面と適宜な隙間を保って対向し、内側円筒状磁路部の外周面に固定されている。他方の環状磁性板は、内側円筒状磁路部および励磁コイルと適宜な隙間を保って対向し外側円筒状磁路部の内周面に固定されている。なお、この電磁クラッチは、ダブルフラックス方式を採用しており、引用文献1に記載のシングルフラックス方式の電磁クラッチと異なってはいるが、動作は全く同じである。
米国特許第3,263,784号明細書 実公昭63−011394号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載されている従来の電磁クラッチは、ロータを外、内磁極部材で構成し、永久磁石の外周面と外磁極部材の内周面の間、および永久磁石の内周面と内磁極部材の外周面との間にコンパウンドを充填して外、内磁極部材を一体的に結合した永久磁石内設型のロータ構造を採用しているため、生産性が低く電磁クラッチを安価に提供できないという問題があった。
特許文献2に記載されている電磁クラッチは、一体物のロータを用いているため製造や組立が容易ではあるが、ダブルフラックス方式であるために、磁性体の一方の環状磁性板とアーマチュアと対向するロータの円板状磁路部との間に隙間を設ける必要がある。このため、電磁クラッチの軸線方向の寸法が大きくなるという問題があった。例えば、コンプレッサのフロントハウジングの円筒部(ロータを回転自在に支持するための軸受が嵌合される部分)や、この円筒部から先端が突出する回転軸の寸法も設計変更する必要があり汎用性に欠ける。また、一体形成された環状の永久磁石は高価なため、電磁クラッチの製造コストを低減できないという問題もあった。さらに、電着塗装のためにロータをカチオン電着塗料中に浸漬したとき、ロータの円板状磁路部と環状磁性板との間、および環状磁性板とフィールドコアとの間の隙間内に空気が溜まると電着不良が発生し、塗料が液溜まりとして残ると外観不良が発生する。
そこで、このような問題を解決するために、予め部品個々に表面処理を施した後、組立てることも考えられる。しかしながら、その場合は表面処理された環状磁性板と永久磁石からなる磁性体をロータの内部に、かしめ加工、電子ビーム溶接、レーザー溶接などによって固定するとき、作業中に誤って傷付けたりすると外観不良が発生するおそれがあり実際的ではない。
本発明は上記した従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、組立作業性を向上させるとともに製造コストの低減を可能にした電磁クラッチを提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、内側円筒状磁路部、外側円筒状磁路部、および前記両磁路部の一端を連結する円板状磁路部とで構成され、従動側機器のハウジングに回転自在に配設されたロータと、前記従動側機器の回転軸に取付けられたアーマチュアハブと、前記アーマチュアハブに軸線方向に移動自在に配設され前記アーマチュアハブと前記ロータを接離可能に連結するアーマチュアと、前記ロータの内部に配設され前記アーマチュアを前記ロータの磁極面に磁気吸着させる、磁性体および永久磁石からなる磁石ユニットと、前記ハウジングに取り付けられ前記ロータの内部に非接触で挿入され前記磁性体と対向するフィールドコアと、前記フィールドコア内に配設され励磁時に前記永久磁石の磁気力を打ち消し、前記アーマチュアを前記永久磁石から解放させる励磁コイルとを備え、前記永久磁石を複数の磁石片で構成し、前記磁石片を仮止め部材によって前記磁性体にリング状に仮固定し、前記磁性体を前記ロータの内部に固定し、前記磁石片を前記円板状磁路部の内面に密接させたものである。
また、本発明は、上記発明において、前記磁性体には磁石片のはめ込まれる環状凹部が設けられ、前記磁石片が円弧状に形成され、前記仮止め部材が弾性を有し、前記磁石片間に介在されることにより各磁石片の外周を前記環状凹部の内壁に圧接するものである。
また、本発明は、上記発明において、前記仮止め部材が円板状に形成され、磁石片が嵌合する複数の取付部を有するものである。
また、本発明は、上記発明において、前記磁石ユニットを前記ロータの内部に組み込んだ後、磁石片への着磁を行うものである。
また、本発明は、上記発明において、前記磁性体が、中心孔と、空気または溶液を排出する排出用開口部を有するものである。
さらに本発明は、着磁前の複数の磁石片を磁性体の磁石取付面に仮止め部材によって仮止め固定し磁石ユニットを組立てる工程と、前記磁石ユニットをロータの内部に組込み、前記磁性体と前記磁石片を前記ロータに固定する工程と、前記ロータを処理液中に浸漬して表面処理する工程と、前記磁石片を着磁する工程とを備えたものである。
本発明においては、永久磁石を複数の磁石片で構成したので、一体に形成された高価な永久磁石を用いる必要がなく、製造コストを低減することができる。
また、磁石片を仮止め部材によって磁性体に仮固定した状態で磁石ユニットをロータの内部に組込み、しかる後磁性体をロータに固定するとともに、磁石片を着磁するようにしたので、磁石ユニットの組立が容易で、生産性を向上させることができる。
また、弾性を有する仮止め部材は、線ばね、合成樹脂、金属板等によって形成することができるため、安価かつ製造が容易で、磁石片を磁性体の内壁に押し付けることにより、確実に仮固定することができる。
また、磁性体に排出用開口部を設けているので、ロータをメッキ、カチオン電着塗装などの処理液中に浸漬して表面処理したとき、ロータの磁石ユニットより奥側の空間内の空気や処理液を排出用開口部からロータの外部に確実に排出することができる。したがって、空気による塗装不良や処理液による外観不良を防止できる。
本発明に係る電磁クラッチの一実施の形態を示す無励磁状態の平面図である。 図1のA−A線断面図である。 ロータの平面図である。 ロータの背面図である。 (a)は磁石ユニットの平面図、(b)はB−B線断面図である。 電磁クラッチの励磁状態の断面図である。 (a)は磁石ユニットの他の実施の形態を示す平面図、(b)はC−C線断面図である。 (a)は磁石ユニットの他の実施の形態を示す平面図、(b)はD−D線断面図である。 (a)は磁石ユニットの他の実施の形態を示す平面図、(b)はE−E線断面図である。 (a)は磁石ユニットのさらに他の実施の形態を示す平面図、(b)はF−F線断面図である。 本発明の電磁クラッチの他の実施の形態を示す断面図である。
図1〜図6において、本実施の形態は、駆動側機器としてのエンジン(図示せず)の回転を従動側機器としてのカーエアコン用コンプレッサ2の回転軸3に伝達したり、その伝達を遮断したりするシングルフラックスタイプの電磁クラッチ1に適用した例を示す。前記電磁クラッチ1は、カーエアコン用コンプレッサ2のハウジング4に軸受5を介して回転自在に配設されたロータ6と、前記回転軸3に固定されたアーマチュア組立体7と、ロータ6内に配設された磁石ユニット8および電磁コイル装置9等で構成されている。
前記ロータ6は、一般的に機械構造用炭素鋼(S12C)や熱間圧延鋼(SPHC)などの材料を熱間鍛造や冷間鍛造によって、一端側が開放する二重の円筒状に製作することにより、同心円状の内側円筒状磁路部6Aおよび外側円筒状磁路部6Bと、これら両磁路部6A,6Bのアーマチュア側端を互いに連結する円板状磁路部6Cとを一体に有し、内側円筒状磁路部6Aが前記軸受5によって回転自在に軸支されている。内側円筒状磁路部6Aの内周面6aには、軸受5の外輪が嵌合する環状の溝からなる段差部12が形成されている。一方、外側円筒状磁路部6Bの外周面には、複数のV字状溝13が形成されており、これらのV字状溝13に自動車エンジンの動力が図示を省略したVベルトを介して伝達される。
ロータ6の内部、すなわち内側円筒状磁路部6A、外側円筒状磁路部6Bおよび円板状磁路部6Cによって囲まれた空間は、ハウジング4側に開放する環状溝14を形成しており、この環状溝14に前記磁石ユニット8および電磁コイル装置9が配設されている。
ロータ6の円板状磁路部6Cは、表面がアーマチュア16を磁気吸着する磁極面15を形成し、外周寄りには磁石ユニット8を構成する永久磁石17の磁束φ1 を円板状磁路部6Cからアーマチュア16に迂回させる磁束迂回用の複数の貫通穴18が形成されている。貫通穴18は、図3に示すように同心円上に形成された円弧状の長穴からなり、前記環状溝14にそれぞれ連通している。すなわち、本実施の形態における電磁クラッチ1は、同一円周上に配列形成した複数の貫通穴18によってシングルフラックスタイプの電磁クラッチを構成している。
前記アーマチュア組立体7は、前記アーマチュア16と、アーマチュアハブ20およびアーマチュア支持体としての板ばね21等で構成されている。
前記アーマチュア16は、磁性材料によって円板状に形成され、板ばね21によって軸線方向に移動可能にアーマチュアハブ20に支持されている。アーマチュア16のロータ6の磁極面15と対向する面は、摩擦面16aを形成している。
前記アーマチュアハブ20は、ボス部20Aと、ボス部20Aの外周に一体に突設された円板状のフランジ20Bとで構成され、ボス部20Aが前記回転軸3の端部3Aにスプライン結合され、かつナット22によって固定されている。
前記板ばね21は、ばね用鋼板等の打ち抜き加工によって長方形の形状に形成することにより、固定基部21Aと自由端部21Bとで構成され(図1)、前記固定基部21Aがアーマチュアハブ20のフランジ部20Bの裏面に密接され、複数のリベット23によってかしめ固定されている。自由端部21Bは、アーマチュア16の摩擦面16aとは反対側の平面に密接され、複数のリベット24によってかしめ固定されている。また、板ばね21は、固定基部21Aと自由端部21Bとの間の連結部が板厚方向に弾性変形自在であり、固定基部21Aよりも自由端部21Bがアーマチュアハブ20の回転方向前方側に位置するとともに、ロータ6側に所要角度折り曲げられている。
図5において、前記磁石ユニット8は、永久磁石17と、磁性体30および永久磁石17を磁性体30に仮止めする仮止め部材31とで構成されている。永久磁石17は、リング状ではあるが、周方向に分割された例えば8つの円弧状の磁石片17a〜17hによって構成されている。
磁極片17a〜17hは、ネオジューム、フェライト等の強磁性材料によって製作され、表裏面にN極とS極が着磁されている。ただし、磁石片17a〜17hは、磁性体30とともにロータ6内に組み込まれた後で着磁される。
前記磁性体30は、ロータ6の内側円筒状磁路部6Aの外径より大きい中心孔32を有し、外径が外側円筒状磁路部6Bの内径と略等しい円板状に形成されている。磁性体30のアーマチュア16側の面は、永久磁石17が取り付けられる磁石取付面30aを形成しており、永久磁石17がはめ込まれる環状の凹部33を有している。環状凹部33は、穴径が永久磁石17の外径、言い換えれば磁石片17a〜17hの外周径と略等しく、内壁33Aに永久磁石17の外周が密接される。また、磁性体30には、複数の排出用開口部34が形成されている。排出用開口部34は、ロータ6のメッキ、塗装等の表面処理時にロータ6内に溜まる空気や処理液の排出を良好にするためのもので、本実施の形態においては、磁性体30の外周に形成した半円形の切欠きの例を示したが、これに限らず適宜な形状の貫通穴であってもよい。このような排出用開口部34を設けておくと、ロータ6の環状溝14に磁石ユニット8を組み込んだ状態において、環状溝14の磁石ユニット8より奥側の空間36Aと手前側の空間36B(図2)を、排出用開口部34によって互いに連通させることができるため、後処理工程において、奥側の空間36A内に空気や処理液が溜まるのを防止することができる。
図5において、前記仮止め部材31は、磁石ユニット8をロータ6内に組込む前の状態において、着磁されていない磁石片17a〜17hを磁性体30に仮固定するためのもので、線ばね、合成樹脂等によって略コ字状またはΩ形状に形成されていることにより、互いに対向する弾性変形部31A、31Bと、両弾性変形部31A、31Bの基端を連結する連結部31Cとからなり、各弾性変形部31A、31Bの自由端部には外側に折り曲げられた係止部31D、31Eがそれぞれ設けられている。このような仮止め部材31は、図5(a)に示すように、磁石片17a〜17hを磁性体30の環状凹部33に周方向に隙間38を保ってリング状に配置した後、隙間38に弾性変形部31A、31Bを閉脚させた状態で弾装され、これにより弾性変形部31A、31Bが弾性復帰して各磁石片17a〜17hの側面を押圧し、係止部31D、31Eが各磁石片17a〜17hの内周側角部を押圧し、各磁石片17a〜17hの外周面を環状体30の内壁33Aに圧接することにより、各磁石片17a〜17hを磁性体30に対して仮固定している。そして、磁石ユニット8は、磁極片17a〜17hを磁性体30に仮固定した状態でロータ6内に組み込まれる。組込みに際しては、磁性体30をロータ6の環状溝14に圧入して磁石片17a〜17hを円板状磁路部6Cの内面に押し付け、磁性体30を外側円筒状磁路部6Bの内面に固定する。磁性体30の外側円筒状磁路部6Bに対する固定は、かしめ固定、電子ビール溶接、レーザー溶接等によって行なうことができる。なお、図2はかしめ固定により固定した例を示し、符号Kは外側円筒状磁路部6Bのかしめ部である。
磁石片17a〜17hの仮止め方法および仮止め部材としては、上記した実施の形態に限らず、例えば図7〜図10に示すように種々の変更、変形が可能である。
図7は、磁石片17a〜17hを2つ置きに間隔38aを空けてリング状に配置し、略コ字状に形成した仮止め部材39を各隙間38aに弾装して仮止めする例を示すものである。仮止め部材39は、2つの弾性変形部39A、39Bの間隔が、図5に示した仮止め部材31の弾性変形部31A、31Bの間隔よりも大きく設定されている点で異なり、その他の構造は全て同一である。
図8は、磁石片17a〜17hを図5と同様に、間隔38を空けてリング状に配置し、2本の線ばねを円弧状に折り曲げ形成した複数の凸部41を有する2つの仮止め部材40によって仮止めする例を示すものである。仮止め部材40の凸部41は、図5に示した仮止め部材31と同一の形状と機能を有している。
図9は、磁石片17a〜17hを図7と同様に、2つ置きに間隔38aを空けてリング状に配置し、1本の線ばねをリング状に折り曲げ形成した複数の凸部43を有する仮止め部材42によって仮止めする例を示すものである。仮止め部材42の凸部43は、図7に示した仮止め部材39と同一の形状と機能を有している。
図10は、仮止め部材44を円板で構成し、磁石片17a〜17hが嵌合する複数の取付部45を周方向に等間隔おいて設けたものである。取付部45は、円弧状の貫通穴からなり、外周縁と内周縁に、立ち上がり壁46a、46bを有し、これらの立ち上がり壁によって磁石片17a〜17hの外周面と内周面を挟持するようにしている。このため、立ち上がり壁46a、46bの間隔は、磁石片17a〜17hの幅より若干狭く設定されており、各取付部45に磁石片17a〜17hが仮止め部材44の裏面側から圧入される。なお、取付部45の両端部は、磁石片17a〜17hの幅より広く設定することにより、排出用開口部34を構成している。
図2において、前記電磁コイル装置9は、励磁コイル50とフィールドコア51等で構成されている。フィールドコア51は、同心円状に形成された内側円筒部51Aおよび外側円筒部51Bと、これら両円筒部51A、51Bのアーマチュア16側とは反対側端を連結する円板部51Cとを一体に有することにより、ロータ6と同様な2重の円筒体からなり、円板部51Cが前記ハウジング4に取付板52を介して固定され、ロータ6の環状溝14に僅かな隙間を保って、言い換えればロータ6に対して非接触状態で遊挿され、磁石ユニット8の磁性体30と適宜な隙間を保って対向している。励磁コイル50は、フィールドコア51の内部53に収納され、合成樹脂54によってモールドされている。
このような電磁クラッチ1の製造に際しては、複数の磁石片17a〜17hと磁性体30を用意する。そして、磁性体30の環状凹部33に磁石片17a〜17hを仮止め部材31によって仮止めし、磁石ユニット8を組立てる。この状態において、磁石片17a〜17hは、未だ着磁されていないため、磁石片17a〜17hと磁性板30とは磁気吸着していない。
次に、磁石ユニット8をロータ6の内部に組込み、磁石片17a〜17hをロータ6の円板状磁路部6Cの内面に押し付ける。そして、磁性体30を外側円筒状磁路部6の内周面にかしめ、電子ビーム溶接等によって固定する。
磁石ユニット8のロータ6への組込み作業が完了した後、ロータ6にメッキや塗装等の表面処理を施す。例えば、カチオン電着塗装を施す場合は、ロータ6を電着槽内のカチオン電着塗料液中に浸漬し、ロータ6を陰極とし、陽極との間に電圧を印加することにより、ロータ6全体にカチオン電着塗膜を形成する。
ここで、ロータ6をカチオン電着塗料液に浸漬したとき、ロータ6の内部に空気が残ったり、塗料液が溜まったりする箇所があると、塗装不良の原因となる。磁性体30より奥側の空間36Aのうち特に永久磁石17の外周より外側部分は、空気や塗料液の溜まり部が形成され易い箇所である。そこで、本発明においては、磁性体30の外周に設けた排出用開口部34によって磁性体30より奥側の空間36Aと手前側の空間36Bを連通させているので、奥側空間36A内の空気や塗料液を手前側空間36Bを通ってロータ6の外部に確実に排出することができ、上記問題を解消することができる。
また、磁石ユニット8は、ロータ6に組み込まれた後、表面処理されるため、ロータ6への組込み時に誤って傷つけられ外観不良が発生するといったおそれもない。
電着塗装が終了すると、ロータ6を電着槽から引き上げ、加熱炉で加熱することによりカチオン電着塗膜を焼き付ける。
電着塗装が終了すると、磁石片17a〜17hを着磁する。磁石片17a〜17hの着磁は、着磁装置によってロータ6の外部から着磁することができる。
磁石片17a〜17hに対する着磁作業が終了した後、ロータ6に軸受5を圧入嵌合し、もって ロータ6の製造組立が完了する。
次に、ロータ6とアーマチュア組立体7をコンプレッサ2に装着し、電磁コイル装置9をロータ6の内部に挿入配置することにより、電磁クラッチ1のコンプレッサ2への取り付け作業を終了する。
このような構造からなる電磁クラッチ1は、図1に示す動力伝達状態(クラッチON状態)、すなわち励磁コイル50ヘの通電が断たれている無励磁状態において、永久磁石17の磁束φ1 により発生する磁気力によってアーマチュア16がロータ6の磁極面15に磁気吸着され、エンジンの動力をロータ6およびアーマチュア組立体7を介してコンプレッサ2の回転軸3に伝達している。この動力伝達状態において、板ばね21の固定基部21Aと自由端部21Bとの間の連結部は、ロータ6側に弾性変形している。
動力伝達を遮断するときは、励磁コイル50に、永久磁石17の磁束φ1 とは反対方向の磁束φ2 が生じるように通電する。通電によって励磁コイル50を励磁すると、励磁コイル50の磁束φ2 は、図6に示すようにフィールドコア51の外側円筒部51B−ロータ6の外側円筒状磁路部6B−円板状磁路部6C−アーマチュア16−ロータ6の円板状磁路部6C−内側円筒状磁路部6A−フィールドコア51の内側円筒部51Aを経て円板部51Cに至る。このとき、磁束φ2 の方向が永久磁石17による磁束φ1 の方向と反対方向で、かつ永久磁石17の磁束φ1 によって生じる磁気力と略同じ磁気力となるように励磁コイル50を励磁することにより、磁束φ2 による磁気力によって磁束φ1 による磁気力を打ち消す。このため、アーマチュア16は永久磁石17の磁束φ1 による磁気力から解放され、板ばね21の弾性復帰力によりロータ6の磁極面15から離間することにより電磁クラッチ1によるコンプレッサ2への動力伝達が遮断される。このとき、アーマチュア16は、板ばね21の弾性復帰力により、ストッパー部16A(図6)がリベット23に当接するまで、ロータ6の磁極面15から離間する。図6はこの状態を示す。なお、ストッパー部16Aは、アーマチュア16の内周面の円周方向3箇所に半径方向内側に延在するように形成されている。
コンプレッサ2への動力伝達を遮断した後、動力伝達状態に戻すときは、励磁コイル50への通電を遮断し、永久磁石17の磁束φ1 による磁気力によってロータ6とアーマチュア16を摩擦結合させる。または、励磁コイル50に上記とは反対に電流の向きを変えて通電し、永久磁石17の磁束φ1 と同じ方向の磁束を発生させる。これによりアーマチュア16は永久磁石17と励磁コイル50の磁束によって生じる磁気力によりロータ6の磁極面15に再び磁気吸着され、ロータ6の回転をコンプレッサ2の回転軸3に伝達するようになる。すなわち、電磁クラッチ1が作動する。そして、アーマチュア16がロータ6の磁極面15に磁気吸着された後は、励磁コイル50ヘの通電を遮断する。
ここで、本発明による電磁クラッチ1は、磁石ユニット8を構成する永久磁石17を複数の磁石片17a〜17hで構成し、これらの磁石片17a〜17hを磁性体30の環状凹部33に仮止め部材31によって仮止めし、この状態で磁石ユニット8をロータ6の内部に組込み、磁性体30をロータ6に固定するようにしたので、磁石ユニット8の組付作業が容易になるので、生産性を向上させることができる。また、永久磁石17を複数の磁石片17a〜17hで構成しているので、一体に形成された高価な永久磁石を用いる必要がなく、電磁クラッチの製造コストを低減することができる。さらに、磁性体30に排出用開口部34を設けているので、メッキ、電着塗装等の表面処理を行なったとき、ロータ6の内部に空気や溶液が残って塗装不良や外観不良が生じたりすることがなく、良好な表面処理を行なうことができる。
図11は本発明の他の実施の形態を示す電磁クラッチの断面図である。
この実施の形態は、ダブルフラックスタイプの電磁クラッチ100に適用したものである。このため、ロータ6の円板状磁路部6Cに径が異なる大小2つの磁束迂回用の貫通穴18A、18Bを同心円状に形成するとともに、アーマチュア16に同じく磁束迂回用の貫通穴101を形成し、これらの貫通穴18A、18B、101によって永久磁石17と励磁コイル50の磁束φ1 、φ2 をアーマチュア16に2回迂回させるようにしている。貫通穴18A、18b、101は、図3に示した貫通穴18と同様に、それぞれ複数の円弧状長穴で構成されている。なお、その他の構造は上記した実施の形態と同一であるため、同一構成部品については、同一符号をもって示し、その説明を省略する。
このような電磁クラッチ100においても上記した電磁クラッチ1と同様な効果が得られるものである。
なお、上記した実施の形態は、いずれもアーマチュア16を板ばね21を介してアーマチュアハブ20に取り付けた例を示したが、本発明はこれに何ら特定されるものではなく、例えば板ばね21の代わりに剛性を有するプレートをアーマチュアハブ20に取り付け、このプレートにアーマチュア16をダンパーゴムを介して取り付けたり、あるいはアーマチュア16をコイルスプリングを介してアーマチュアハブ20に取り付けるようにしてもよい。
1…電磁クラッチ、2…コンプレッサ、3…回転軸、4…ハウジング、6…ロータ、6A…内側円筒状磁路部、6B…外側円筒状磁路部、6C…円板状磁路部、7…アーマチュア組立体、8…磁石ユニット、9…電磁コイル装置、15…磁極面、16…アーマチュア、17…永久磁石、17a〜17h…磁石片、20…アーマチュアハブ、21…板ばね、30…磁性体、31…仮止め部材、32…中心孔、30a…磁石取付面、33…環状凹部、33A…内壁、34…排出用開口部、44…仮止め部材、45…取付部、50…励磁コイル、51…フィールドコア。

Claims (4)

  1. 内側円筒状磁路部、外側円筒状磁路部、および前記両磁路部の一端を連結する円板状磁路部とで構成され、従動側機器のハウジングに回転自在に配設されたロータと、
    前記従動側機器の回転軸に取付けられたアーマチュアハブと、
    前記アーマチュアハブに軸線方向に移動自在に配設され前記アーマチュアハブと前記ロータを接離可能に連結するアーマチュアと、
    前記ロータの内部に配設され前記アーマチュアを前記ロータの磁極面に磁気吸着させる、磁性体および永久磁石からなる磁石ユニットと、
    前記ハウジングに取り付けられ前記ロータの内部に非接触で挿入され前記磁性体と対向するフィールドコアと、
    前記フィールドコア内に配設され励磁時に前記永久磁石の磁気力を打ち消し、前記アーマチュアを前記永久磁石から解放させる励磁コイルとを備え、
    前記永久磁石を複数の磁石片で構成し、前記磁石片を仮止め部材によって前記磁性体にリング状に仮固定し、前記磁性体を前記ロータの内部に固定し、前記磁石片を前記円板状磁路部の内面に密接させ、
    前記磁石ユニットは、前記ロータの内部に組み込まれた後、前記複数の磁石片への着磁が行われる電磁クラッチ。
  2. 請求項1記載の電磁クラッチにおいて、
    前記磁性体は、磁石片がはめ込まれる環状凹部を有し、
    前記磁石片は、円弧状に形成され、
    前記仮止め部材は、弾性を有し、前記磁石片間に介在されることにより各磁石片の外周を前記環状凹部の内壁に圧接する電磁クラッチ。
  3. 請求項1記載の電磁クラッチにおいて、
    前記仮止め部材は、円板状に形成され、磁石片が嵌合する複数の取付部を有する電磁クラッチ。
  4. 請求項1、2、3のうちのいずれか一項記載の電磁クラッチにおいて、
    前記磁性体は、中心孔と、空気または溶液を排出する排出用開口部を有する電磁クラッチ。
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