JP5216566B2 - ポリエチレン系樹脂、それを用いた中空プラスチック成形品およびその用途 - Google Patents

ポリエチレン系樹脂、それを用いた中空プラスチック成形品およびその用途 Download PDF

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Description

本発明は、ポリエチレン系樹脂、それを用いた中空プラスチック成形品およびその用途に関し、さらに詳しくは特定の触媒および重合法によって得られ、所定要件を満たす、成形性、耐久性に優れ、且つ耐衝撃性および剛性のバランスに優れるポリエチレン系樹脂、及び成形性、耐久性、バリアー性に優れ、且つ耐衝撃性および剛性のバランスに優れる、上記樹脂を用いた中空プラスチック成形品に関する。
さらに本発明は、成形性、耐久性に優れ、且つ耐衝撃性および剛性のバランスに優れ、バリアー性に優れた中空プラスチック成形品をタンク、缶、容器、ボトル等、特に自動車の燃料タンク等の中空プラスチック製品として具体化してなる用途に関する。
液体物質の貯蔵または輸送に用いられる中空プラスチック成形品は、日常生活、産業分野で広く用いられている。特に自動車部品において、燃料タンクとして使用される中空プラスチック成形品は、従来の金属材料製の燃料タンクに取って代わりつつある。さらに現在ではプラスチックが、可燃性の液体、有害な物質等の燃料缶およびプラスチックボトル等の運搬容器の製造に最も多く使用されている材料である。プラスチック製の容器およびタンクは金属材料製の場合に比べて、重量/体積比が低いので軽量化が可能であり、錆びなどの腐食が起こりにくく、耐衝撃性が良好であるという特長を有しており、ますます広い用途を獲得しつつある。
中空プラスチック成形品は、多くの場合に主として高密度ポリエチレン(HDPE)からブロー成形により得られる。ポリエチレン容器は、主として内容物が外部へ浸透するのを抑制する遮断作用(バリアー作用)が十分ではない。自動車の場合、燃料等の揮発性物質が環境汚染物質になることから、排出に関して法律上厳しい規制が課されている。揮発性物質の浸透に対してポリエチレンのバリアー作用が低いので、さらなる手段を講じて浸透を低減する取り組みが行われている。このために最も重要な手段は、容器の表面をフッ素処理するか、または極性の遮断プラスチックから作製されるバリアー層を導入することである。この種類のバリアー層は、多層共押出ブロー成形(multi−layer co−extrusion blow molding)として知られている技術により、容器内の壁として導入される。
バリアー層は、共押出ブロー成形において、ほとんどの場合に機械強度が低くなる。バリアー層を含む容器は、バリアー層を含まない未被覆の高密度ポリエチレン容器と比較して、特に低温になるほど衝撃性が影響を受けやすくなる。
ポリエチレンより得られるプラスチック燃料タンクにおいて、特に課題となる要件について注意を払う必要がある。プラスチック燃料タンクは、自動車の安全性を確保するための重要な保安部品として分類されるので、機械的強度、耐久性、耐衝撃性に関して、特に高いレベルが要求されており、これらを十分高いレベルに向上させるための材料開発が望まれる。
中空プラスチック成形品については、例えば、フッ素変性クロム触媒を用いて得られたポリエチレンから作製される1層以上の層を有する中空プラスチック成形品が提案されている(特許文献1参照)。しかし、フッ素変性クロム触媒を用いると、フッ素変性しない場合に比べ、得られるポリエチレンの分子量分布が狭くなり、そのため、中空プラスチック成形品、特に自動車用燃料タンク用としては耐久性が十分なレベルを満足しない結果となる。
また、ポリエチレンについて、トリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒を用い、水素を共存させながら重合を行うことにより、ブロー成形品、特に大型ブロー成形品に適したポリエチレンを製造する方法が提案されている(特許文献2参照)。また、該文献には、ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を用いてポリエチレンを製造する方法も開示されている(比較例13)。しかしながら、中空プラスチック成形品、特に自動車用燃料タンクに適したポリエチレンについては開示されておらず、耐久性が十分なレベルの自動車用燃料タンクが製造できるとは言い難い。
また、助触媒として有機アルミニウム化合物を重合系に添加し、クロム触媒を用いてポリエチレンを製造する方法が提案されており(特許文献3参照)、該文献には、また、トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を用いてポリエチレンを製造する方法も開示されている(実施例No.2〜No.6)。しかしながら、中空プラスチック成形品、特に自動車用燃料タンクに適したポリエチレンについては開示されていない。
また、トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を用いてポリエチレンを製造する方法が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、中空プラスチック成形品、特に自動車用燃料タンクに適したポリエチレンについては開示されていない。
また、非還元性雰囲気で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子が6価となるクロム化合物を無機酸化物担体に担持してなる固体クロム触媒成分、ジアルキルアルミニウム官能基含有アルコキシド、トリアルキルアルミニウムからなるエチレン系重合用触媒が提案されており(特許文献5参照)、該文献には、また、耐クリープ性及びESCRに優れた、HLMFRが1〜100g/10分、密度が0.935〜0.955g/cmのブロー成形品用のエチレン系重合体が開示されている。また、該文献には、トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を用いてポリエチレンを製造する方法も開示されている(比較例3、13)。
しかしながら、該公報には、中空プラスチック成形品、特に耐衝撃性に優れた自動車用燃料タンクに適したポリエチレンについて、何ら示唆も開示もされていない。
また、クロム化合物を無機酸化物担体に担持させ非還元性雰囲気で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子を6価としたクロム化合物担持無機酸化物担体に、不活性炭化水素溶媒中で特定の有機アルミニウム化合物(アルコキシド、シロキシド、フェノキシド等)を担持させたクロム触媒を用いるエチレン系重合体の製造方法が提案され(特許文献6参照)、耐環境応力亀裂(ESCR)と剛性のバランスに優れたエチレン系重合体が開示されている。
また、クロム化合物を無機酸化物担体に担持し非還元性雰囲気で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子を6価としたクロム触媒及び特定の有機アルミニウム化合物(アルコキシド、シロキシド等)からなることを特徴とするエチレン系重合体製造触媒が提案され(特許文献7参照)、ESCRまたは耐クリープ性に優れたエチレン系重合体が開示されている。
さらに、クロム化合物を無機酸化物担体に担持し非還元性雰囲気で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子を6価としたクロム触媒を用い、直列に連結した複数の重合反応器により連続的にエチレン単独またはエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンの共重合を多段で行なうに際し、特定の有機アルミニウム化合物(アルコキシド、シロキシド等)をいずれか一つまたは全ての重合反応器に導入することを特徴とするエチレン系重合体製造方法が提案され(特許文献8参照)、耐環境応力亀裂(ESCR)、耐クリープ性に優れたエチレン系重合体が開示されている。しかしながら、上記公報には、分子量分布(Mw/Mn)が20.9(実施例)のエチレン系重合体が開示されているものの、中空プラスチック成形品、特に自動車用燃料タンクに適した耐衝撃性に優れたポリエチレンについて、何ら示唆も開示もされていない。
また、非還元性雰囲気で賦活することにより少なくとも一部のクロム原子が6価となるフッ素化クロム化合物に、特定の有機ホウ素化合物を担持させたエチレン系重合用触媒が提案されている(特許文献9参照)。また、該文献には、トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を用いてポリエチレンを製造する方法も開示されている(比較例6、8)。しかしながら、該公報には、中空プラスチック成形品、特に自動車用燃料タンクに適したポリエチレンについて、何ら示唆も開示もされていない。
上記のほか、自動車用燃料タンクに用いられる市販ポリエチレンとして、例えば日本ポリエチレン製HB111R、Basell社製4261AGなどが知られている。これらは自動車メーカーの厳しい要求に応え、市場での評価を得た材料であるが、耐久性と剛性のバランス、耐衝撃性、成形性のレベルが必ずしも十分に高いレベルであるとは言えない。
こうした状況下に、これまでのポリエチレンの問題点を解消し、成形性、耐久性に優れ、且つ耐衝撃性及び剛性のバランスに優れ、特に優れた高剛性化を達成できるポリエチレン及び中空プラスチック成形品、特に高性能の燃料タンクに適したポリエチレンが望まれている。
特表2004−504416号公報 特開2002−080521号公報 特表2006−512454号公報 WO94/13708国際公開パンフレット 特開2002−020412号公報 特開2003−096127号公報 特開2003−183287号公報 特開2003−313225号公報 特開2006−182917号公報
本発明の課題は、成形性、耐久性に優れ、且つ耐衝撃性および剛性のバランスに優れるポリエチレン系樹脂、及び成形性、耐久性、バリアー性に優れ、且つ耐衝撃性および剛性のバランスに優れる、上記樹脂を用いた中空プラスチック成形品を提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特定の性状を有するポリエチレン系樹脂、中でもトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を用い、水素を共存させながら重合を行うことにより得られたポリエチレン系樹脂が、成形性、耐久性に優れ、且つ耐衝撃性および剛性のバランスに優れ、該ポリエチレン系樹脂を用いた中空プラスチック成形品にこのような良好な特性が発現されることを見出し、これらの知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を用い、水素を共存させながら重合を行うことにより製造されたポリエチレン系樹脂であって、下記(1)〜(5)の要件を満たすことを特徴とするポリエチレン系樹脂が提供される。
(1): ハイロードメルトフローレート(HLMFR)が1〜10g/10分である。
(2): 密度が0.946〜0.960g/cmである。
(3): 伸長粘度のストレインハードニングパラメーター(λmax)が1.05〜1.50である。
(4): 全周ノッチ式引張クリープ試験の破断時間と密度が次の式(A)を満足する。
log(破断時間) ≧ −355×(密度) + 337.6 ・・・式(A)
(5): シャルピー衝撃強度が8kJ/m以上である。
また、本発明の第の発明によれば、第の発明において、前記ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒は、クロム化合物を担持した無機酸化物担体を、まず非還元性雰囲気で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子を6価とした後、さらに不活性炭化水素溶媒中でトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物を担持させ、次いで該溶媒を除去・乾燥して得られたものであることを特徴とするポリエチレン系樹脂が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1又は2の発明において、前記ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒は、焼成活性化温度が450〜550℃、クロム原子に対するトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物のモル比が0.5〜2.0の条件下で得られたものであることを特徴とするポリエチレン系樹脂が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、重合はスラリー重合法で行われ、かつ液相中の水素濃度(Hc;重量%)とエチレン濃度(ETc;重量%)との比が下記の式(B)の関係を満足することを特徴とするポリエチレン系樹脂が提供される。
1.0×10−4 ≦ Hc/Etc ≦ 7.0×10−3 ・・・式(B)
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、エチレンの単独重合体であることを特徴とするポリエチレン系樹脂が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、エチレンと炭素原子数3〜8のα−オレフィンとの共重合体であることを特徴とするポリエチレン系樹脂が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第の発明において、α−オレフィンが1−ブテンまたは1−ヘキセンであるポリエチレン系樹脂が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、ハイロードメルトフローレート(HLMFR)が3〜7g/10分であるポリエチレン系樹脂が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明のポリエチレン系樹脂からなる1層以上の層を有することを特徴とする中空プラスチック成形品が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第の発明において、浸透低減遮断層を有することを特徴とする中空プラスチック成形品が提供される。
また、本発明の第11の発明によれば、第9又は10の発明において、中空プラスチック成形品の層構造が2層以上であって、最内層と最外層が第1〜のいずれかの発明のポリエチレン系樹脂からなることを特徴とする中空プラスチック成形品が提供される。
また、本発明の第12の発明によれば、第11の発明において、前記2層以上の層構造は、内側から外側にポリエチレン系樹脂層、接着層、バリアー層、接着層、再生材層およびポリエチレン系樹脂層の順で含むことを特徴とする中空プラスチック成形品が提供される。
また、本発明の第13の発明によれば、第12の発明において、前記バリアー層はエチレンビニルアルコール樹脂からなることを特徴とする中空プラスチック成形品が提供される。
また、本発明の第14の発明によれば、第12又は13の発明において、前記接着層は、高密度ポリエチレンを、その0.01〜5重量%量の不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性してなるものであることを特徴とする中空プラスチック成形品が提供される。
また、本発明の第15の発明によれば、第9〜14のいずれかの発明において、中空プラスチック成形品が、燃料タンク、灯油缶、ドラム缶、薬品用容器、農薬用容器、溶剤用容器およびプラスチックボトルからなる群から選ばれる少なくとも一種として用いられることを特徴とする中空プラスチック成形品が提供される。
また、本発明の第16の発明によれば、第15の発明において、燃料タンクが自動車用燃料タンクである中空プラスチック成形品が提供される。
本発明のポリエチレン系樹脂は、成形性、耐久性に優れ、且つ耐衝撃性および剛性のバランスに優れている。
また、本発明の中空プラスチック成形品は、成形性、耐久性に優れ、且つ耐衝撃性および剛性のバランスに優れ、特にバリアー層を用いた多層構造としても、バリアー層による強度劣化、成形不良等の悪影響の及ぶことなく、バリアー性にも優れ、それ故、燃料タンク等のタンク、缶、容器、ボトル等、特に自動車の燃料タンク等の用途に供して好適である。
本発明は、特定のポリエチレン系樹脂、すなわち、トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を用い、水素を共存させながら重合を行うことにより得られ、かつ特定のメルトフローレート、密度伸長粘度のストレインハードニングパラメーター(λmax)及びシャルピー衝撃強度を有し、しかも全周ノッチ式引張クリープ試験の破断時間と密度が上記式(A)で示される関係式を充足することで特徴付けられるポリエチレン系樹脂(以下、本ポリエチレン系樹脂ということもある。)、さらにはそれを用いて得られる中空プラスチック成形品、中でも燃料タンク、特に自動車用燃料タンクに係るものである。以下、本発明を、各項目ごとに詳細に説明する。
[I]ポリエチレン系樹脂
本発明のポリエチレン系樹脂は、下記(1)〜(5)の要件を満たすことが必要である。
(1): ハイロードメルトフローレート(HLMFR)が1〜10g/10分である。
(2): 密度が0.940〜0.960g/cmである。
(3): 伸長粘度のストレインハードニングパラメーターλmaxが1.05〜1.50である。
(4): 全周ノッチ式引張クリープ試験の破断時間と密度が次の式(A)を満足する。
log(破断時間) ≧ −355×(密度) + 337.6 ・・・式(A)
(5): シャルピー衝撃強度が8kJ/m以上である。
以下、これらの各要件について詳述する。
1.ハイロードメルトフローレート(HLMFR)
本発明のポリエチレン系樹脂は、HLMFRが1〜10g/10分、好ましくは3〜7g/10分、さらに好ましくは4〜6g/10分の範囲にあるものである。
HLMFRが1g/10分未満であると、パリソン(ブロー成形において、成形器の口金から押し出されたパイプ状の溶融ポリマー;金型内で空気圧により膨張させる以前の状態)の押出成形時に押出量が不足し、成形不安定な状態となり実用的でないし、また、10g/10分を越えてもパリソンの形成が溶融粘度および溶融張力の不足のため不安定となり実用的でない。
HLMFRは、重合温度や水素濃度の制御などの方法で調整することができる。例えば、重合温度を高くする、または水素濃度を高くすることによりHLMFRを高くすることができる。ここでHLMFRは、JIS K−7210に準拠し、温度190℃、荷重21.60kgの条件で測定したものである。
2.密度
本発明のポリエチレン系樹脂は、密度=0.940〜0.960g/cm、好ましくは0.943〜0.955g/cm、さらに好ましくは0.946〜0.950g/cmの範囲にあるものである。
密度が0.940g/cm未満であると、中空プラスチック成形品の剛性が不足し、0.960g/cmg/cmを越えると中空プラスチック成形品の耐久性が不足する。
密度は、α−オレフィンの種類や含有量の制御などの方法で調整することができる。例えば、ポリエチレン系樹脂中のα−オレフィン含有量を低くする(重合時のα−オレフィン添加量を低くする)、または同じ含有量であれば、炭素数の小さいα−オレフィンを用いることにより、密度を高くすることができる。
密度は、JIS K−7112に準拠し、ペレットを温度160℃の熱圧縮成形機により溶融後25℃/分の速度で降温し厚み2mmtのシートを成形し、このシートを温度23℃の室内で48時間状態調節した後、密度勾配管に入れ測定したものである。
3.伸長粘度のストレインハードニングパラメーター(λmax)
本発明のポリエチレン系樹脂は、伸長粘度測定によって得られるストレニンハードニングパラメーター(λmax)が、1.05〜1.50、好ましくは1.10〜1.40の範囲にあるものである。
このストレインハードニングパラメーターのλmaxは、長鎖分岐数と相関があり、λmaxが大きいと長鎖分岐数が多くなる。また、長鎖分岐と成形性とも相関を有している。すなわち、長鎖分岐が多くなると成形性が良くなる。さらに、長鎖分岐と耐久性の一つの指標である耐クリープ性とも相関を有している。すなわち、長鎖分岐が多くなると耐クリープ性が劣る傾向を有し、成形性とは逆の相関を示す。
λmaxが1.05未満であると、試験片で測定した耐久性は向上するものの、成形性が劣るため成形不良が発生し、実際の中空プラスチック成形品になり得ない事態となる。λmaxが1.50を越えると、中空プラスチック成形品の成形性は良好なものの、耐久性は低下する。
λmaxは、クロム触媒の賦活温度、トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物の担持量、重合時の水素濃度の制御などの方法で調整することができる。例えば、賦活温度を高くする、トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物の担持量を高くする、または重合時の水素濃度を低くすることにより、λmaxを高くすることができる。
λmaxの測定方法は実施例に記載したとおりである。
4.耐クリープ性(破断時間)
本発明のポリエチレン系樹脂は、全周ノッチ式引張クリープ試験の破断時間と密度が、
log(破断時間) ≧ −355×(密度) + 337.6 ・・・式(A)、
好ましくは、
log(破断時間) ≧ −355×(密度) + 337.7 ・・・式(A’)、
さらに好ましくは、
log(破断時間) ≧ −355×(密度) + 337.8、 ・・・(A’’)
で示される関係式を充足するものである。
破断時間がこの下限未満であると、中空プラスチック成形品の耐久性が不足する。破断
時間の上限値は特に制限されないが、通常は、
log(破断時間) ≦ −355×(密度) + 340.3 ・・・式(C)
で示される関係式を充足するものである。
全周ノッチ式引張クリープ試験による破断時間の測定方法は実施例に記載したとおりである。
すなわち、JIS K−6992−2(2004年版)に準拠し、厚さ5.9mmのシートを圧縮成形した後、JIS K−6774(2004年版)附属書5(規定)図1に示された区分「呼び50」の形状と寸法の試験片を作製し、80℃の純水中で全周ノッチ式引張クリープ試験(FNCT)を行なう。引張荷重は88N、98N、108Nとし、試験点数は各荷重で2点とする。得られた両対数スケールにおける破断時間と公称応力の6点のプロットから最小二乗法により公称応力6MPaにおける破断時間を耐クリープ性の指標とする。
図3は、密度と破断時間の関係を示す図である。式(A)で表される領域を外れるものは、中空プラスチック成形品として耐久性が不十分なのに対し、式(A)で表される領域に含まれるものは、優れた耐久性を有する。
同一HLMFR、同一密度の重合体を製造する場合、破断時間は、クロム触媒の賦活温度、重合時の水素濃度の制御などの方法で調整することができる。例えば、破断時間は、ポリエチレン系樹脂の分子量分布が広いほど、また長鎖分岐量が少ないほど高いため、賦活温度を低くする、または水素濃度を高くすることにより、破断時間を高くすることができる。
5.シャルピー衝撃強度
本発明のポリエチレン系樹脂は、シャルピー衝撃強度が8kJ/m以上、好ましくは9kJ/m以上、さらに好ましくは10kJ/m以上の範囲にあるものである。
シャルピー衝撃強度が8kJ/m未満であると、中空プラスチック成形品の耐衝撃性が不足する。シャルピー衝撃強度の上限値は特に制限ないが、通常は30kJ/m以下である。
シャルピー衝撃強度の測定方法は実施例に記載したとおりである。
同一HLMFR、同一密度の重合体を製造する場合、シャルピー衝撃強度は、クロム触媒の賦活温度、重合時の水素濃度の制御などの方法で調整することができる。例えば、シャルピー衝撃強度は、ポリエチレン系樹脂の分子量分布が狭いほど、また長鎖分岐量が少ないほど高いため、賦活温度を高くする、または水素濃度を高くすることにより、シャルピー衝撃強度を高くすることができる。
6.ポリエチレン系樹脂の製造方法
本発明のポリエチレン系樹脂は、さらに、トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を用い、水素を共存させながら重合を行うことにより得られるものであるのが好ましい。
以下、重合触媒のトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒、及び重合方法について詳述する。
(6−1)トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒
トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒は、クロム化合物を無機酸化物担体に担持し、非還元性雰囲気で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子を6価とした後、さらに不活性炭化水素溶媒中でトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物を担持させ、次いで溶媒を除去・乾燥することにより調製される。
その際、触媒と溶媒との接触時間が可能な限り短くなるように溶媒を除去・乾燥させるのは、トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物によってクロム原子が過還元されないようにするためである。
クロム化合物を無機酸化物担体に担持し、非還元性雰囲気で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子が6価となるクロム触媒は、一般にフィリップス触媒として知られており公知である。この触媒の概要は、M.P. McDaniel著, Advances in Catalysis, Volime 33, 47頁, 1985年, Academic Press Inc.、M.P. McDaniel著, Handbook of Heterogeneous Catalysis, 2400頁, 1997年, VCH、M.B. Welchら著, Handbook of Polyolefins: Synthesis and Properties, 21頁, 1993年, Marcel Dekker等の文献に記載されている。
無機酸化物担体としては、周期律表第2、4、13または14族の金属の酸化物が好ましい。具体的にはマグネシア、チタニア、ジルコニア、アルミナ、シリカ、トリア、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナまたはこれらの混合物が挙げられる。なかでもシリカ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナが好ましい。シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナの場合、シリカ以外の金属成分としてチタン、ジルコニウムまたはアルミニウム原子が0.2〜10重量%、好ましくは0.5〜7重量%、さらに好ましくは1〜5重量%含有されたものが用いられる。これらのクロム触媒に適する担体の製法、物理的性質および特徴は、C.E. Marsden著, Preparation of Catalysts, Volume V, 215頁, 1991年, Elsevier Science Publishers、C.E. Marsden著, Plastics, Rubber and Composites Processing and Applications, Volume 21, 193頁, 1994年等の文献に記載されている。
本発明においては、クロム触媒として比表面積が350m/g以上、好ましくは370m/g以上、さらに好ましくは400m/g以上となるよう担体を選択することが好ましい。比表面積が350m/g未満の場合は、分子量分布が狭くかつ長鎖分岐が多くなることと関係すると考えられるが、耐久性、耐衝撃性がともに低下する。また、担持するトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物のクロム原子に対するモル比が高くなるにつれて、エチレン重合活性の低下が起こりやすくなる。比表面積の上限値は特に制限されないが、通常は1000m/g以下である。
細孔体積としては、一般的なクロム触媒に用いられる担体の場合と同様0.5〜3.0cm/g、好ましくは0.7〜2.7cm/g、さらに好ましくは1.0〜2.5cm/gの範囲のものが用いられる。平均粒径としては、一般的なクロム触媒に用いられる担体と同様10〜200μm、好ましくは20〜150μm、さらに好ましくは30〜100μmの範囲のものが用いられる。
上記無機酸化物担体にクロム化合物を担持させる。クロム化合物としては、担持後に非還元性雰囲気で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子が6価となる化合物であればよく、酸化クロム、クロムのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、クロム酸塩、重クロム酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、硫酸塩、クロム−1,3−ジケト化合物、クロム酸エステル等が挙げられる。具体的には三酸化クロム、三塩化クロム、塩化クロミル、クロム酸カリウム、クロム酸アンモニウム、重クロム酸カリウム、硝酸クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、トリス(2−エチルヘキサノエート)クロム、クロムアセチルアセトネート、ビス(tert−ブチル)クロメート等が挙げられる。なかでも三酸化クロム、酢酸クロム、クロムアセチルアセトネートが好ましい。酢酸クロム、クロムアセチルアセトネートのような有機基を有するクロム化合物を用いた場合でも、後に述べる非還元性雰囲気での焼成活性化によって有機基部分は燃焼し、最終的には三酸化クロムを用いた場合と同様に無機酸化物担体表面の水酸基と反応し、少なくとも一部のクロム原子は6価となってクロム酸エステルの構造で固定化されることが知られている(V.J. Ruddickら著, J.Phys.Chem., Volume100, 11062頁, 1996年、S.M. Augustineら著, J.Catal., Volume 161, 641頁, 1996年)。
無機酸化物担体へのクロム化合物の担持は、含浸、溶媒留去、昇華等の公知の方法によって行うことができ、使用するクロム化合物の種類によって適当な方法を用いればよい。担持するクロム化合物の量は、クロム原子として担体に対して0.2〜2.0重量%、好ましくは0.3〜1.7重量%、さらに好ましくは0.5〜1.5重量%である。
クロム化合物の担持後に焼成して活性化処理を行う。焼成活性化は水分を実質的に含まない非還元性雰囲気、例えば酸素または空気下で行なうことができる。この際、不活性ガスを共存させてもよい。好ましくは、モレキュラーシーブス等を流通させ十分に乾燥した空気を用い、流動状態下で行う。焼成活性化は450〜550℃、好ましくは470〜530℃、さらに好ましくは490〜510℃の温度にて30分〜48時間、好ましくは1時間〜24時間、さらに好ましくは2時間〜12時間行う。この焼成活性化により無機酸化物担体に担持されたクロム化合物のクロム原子が少なくとも一部は6価に酸化されて担体上に化学的に固定される。焼成活性化を450℃未満で行うと重合活性が低下し、また分子量分布が広くなって耐久性は向上するものの耐衝撃性が低下する。焼成活性化を、550℃を越える温度で行うと、分子量分布が狭くなって耐衝撃性は向上するものの耐久性が低下する。
このようにして、本発明で使用するクロム触媒が得られるが、本発明のポリエチレン系樹脂の製造に際しては、クロム化合物担持前またはクロム化合物担持後の焼成活性化前にチタンテトライソプロポキシドのようなチタンアルコキシド類、ジルコニウムテトラブトキシドのようなジルコニウムアルコキシド類、アルミニウムトリブトキシドのようなアルミニウムアルコキシド類、トリアルキルアルミニウムのような有機アルミニウム類、ジアルキルマグネシウムのような有機マグネシウム類などに代表される金属アルコキシド類もしくは有機金属化合物やケイフッ化アンモニウムのようなフッ素含有塩類等を添加してエチレン重合活性、α−オレフィンとの共重合性や得られるエチレン系重合体の分子量、分子量分布を調節する公知の方法を併用してもよい。
これらの金属アルコキシド類もしくは有機金属化合物は非還元性雰囲気での焼成活性化によって有機基部分は燃焼し、チタニア、ジルコニア、アルミナまたはマグネシアのような金属酸化物に酸化されて触媒中に含まれる。またフッ素含有塩類の場合は無機酸化物担体がフッ素化される。
これらの方法はC.E. Marsden著, Plastics, Rubber and Composites Processing and Applications, Volume 21, 193頁, 1994年、T. Pullukatら著, J.Polym.Sci., Polym.Chem.Ed., Volume 18, 2857頁, 1980年、M.P. McDanielら著, J.Catal., Volume 82, 118頁, 1983年等の文献に記載されている。
本発明においては、焼成活性化したクロム触媒に不活性炭化水素溶媒中でトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物を担持し、さらに溶媒を除去・乾燥して、トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒として用いる。
トリアルキルアルミニウムは、下記一般式(1)
Al (1)
(式中、R、R,Rは炭素原子数1〜18のアルキル基であり、同一であっても異なっていてもよい。)で示される化合物である。トリアルキルアルミニウムの具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−プロピルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等が挙げられ、なかでもトリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウムが好ましい。
ジアルキルアルミニウムアルコキシドは、下記一般式(2)
Al(OR) (2)
(式中、R,R,Rは炭素原子数1〜18のアルキル基であり、同一であっても異なっていてもよい。)で示される化合物である。ジアルキルアルミニウムアルコキシドの具体例としては、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウムn−プロポキシド、ジメチルアルミニウムイソプロポキシド、ジメチルアルミニウムn−ブトキシド、ジメチルアルミニウムイソブトキシド、ジメチルアルミニウムアミルオキシド、ジメチルアルミニウムヘキシルオキシド、ジメチルアルミニウムオクチルオキシド、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムn−プロポキシド、ジエチルアルミニウムイソプロポキシド、ジエチルアルミニウムn−ブトキシド、ジエチルアルミニウムイソブトキシド、ジエチルアルミニウムアミルオキシド、ジエチルアルミニウムヘキシルオキシド、ジエチルアルミニウムオクチルオキシド、ジn−プロピルアルミニウムメトキシド、ジn−プロピルアルミニウムエトキシド、ジn−プロピルアルミニウムn−プロポキシド、ジn−プロピルアルミニウムイソプロポキシド、ジn−プロピルアルミニウムn−ブトキシド、ジn−プロピルアルミニウムイソブトキシド、ジn−プロピルアルミニウムアミルオキシド、ジn−プロピルアルミニウムヘキシルオキシド、ジn−プロピルアルミニウムオクチルオキシド、ジn−ブチルアルミニウムメトキシド、ジn−ブチルアルミニウムエトキシド、ジn−ブチルアルミニウムn−プロポキシド、ジn−ブチルアルミニウムイソプロポキシド、ジn−ブチルアルミニウムn−ブトキシド、ジn−ブチルアルミニウムイソブトキシド、ジn−ブチルアルミニウムアミルオキシド、ジn−ブチルアルミニウムヘキシルオキシド、ジn−ブチルアルミニウムオクチルオキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムn−プロポキシド、ジイソブチルアルミニウムイソプロポキシド、ジイソブチルアルミニウムn−ブトキシド、ジイソブチルアルミニウムイソブトキシド、ジイソブチルアルミニウムアミルオキシド、ジイソブチルアルミニウムヘキシルオキシド、ジイソブチルアルミニウムオクチルオキシド、ジヘキシルアルミニウムメトキシド、ジヘキシルアルミニウムエトキシド、ジヘキシルアルミニウムn−プロポキシド、ジヘキシルアルミニウムイソプロポキシド、ジヘキシルアルミニウムn−ブトキシド、ジヘキシルアルミニウムイソブトキシド、ジヘキシルアルミニウムアミルオキシド、ジヘキシルアルミニウムヘキシルオキシド、ジヘキシルアルミニウムオクチルオキシド、ジオクチルアルミニウムメトキシド、ジオクチルアルミニウムエトキシド、ジオクチルアルミニウムn−プロポキシド、ジオクチルアルミニウムイソプロポキシド、ジオクチルアルミニウムn−ブトキシド、ジオクチルアルミニウムイソブトキシド、ジオクチルアルミニウムアミルオキシド、ジオクチルアルミニウムヘキシルオキシド、ジオクチルアルミニウムオクチルオキシド等が挙げられ、なかでもジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムn−プロポキシド、ジエチルアルミニウムn−ブトキシド、ジn−ブチルアルミニウムエトキシド、ジn−ブチルアルミニウムn−プロポキシド、ジn−ブチルアルミニウムn−ブトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムn−プロポキシド、ジイソブチルアルミニウムn−ブトキシドが好ましい。
ジアルキルアルミニウムアルコキシドは、(i)トリアルキルアルミニウムとアルコールを反応させる方法、(ii)ジアルキルアルミニウムハライドと金属アルコキシドを反応させる方法等により簡単に合成することができる。
すなわち、一般式(2)で示されるジアルキルアルミニウムアルコキシドを合成するには、以下の式に示すようにトリアルキルアルミニウムとアルコールを1:1のモル比で反応させる方法(ここで、RはR,R,Rと同一でも異なってもよく、炭素原子数1〜18のアルキル基を表す。)、
Figure 0005216566
または以下の式に示すようにジアルキルアルミニウムハライドと金属アルコキシドを1:1のモル比で反応させる方法(ここで、ジアルキルアルミニウムハライドRAlXにおけるXはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり、特に塩素が好ましく用いられる。また金属アルコキシドROMにおけるMはアルカリ金属であり、特にリチウム、ナトリウム、カリウムが好ましい。)が好ましく用いられる。
Figure 0005216566
副生成物R−Hは不活性なアルカンであり、沸点が低い場合は反応過程で系外に揮発していくか、沸点が高い場合は溶液中に残るが、たとえ系中に残存しても以後の反応には不活性である。また副生成物M−Xはハロゲン化アルカリ金属であり、沈殿するので濾過またはデカンテーションにより簡単に除去できる。
これらの反応は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの不活性炭化水素中で行なうことが好ましい。反応温度は反応が進行するならば任意の温度でよいが、好ましくは、0℃以上、さらに好ましくは20℃以上で行なう。使用した溶媒の沸点以上で加熱し、溶媒の還流下で反応を行なわせることは、反応を完結させる上でよい方法である。反応時間は任意でよいが、好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上行なうのがよい。反応終了後はそのまま冷却し、溶液のままクロム触媒との反応に供してもよいし、溶媒を除去して反応生成物を単離してもよいが、溶液のまま用いるのが簡便で好ましい。
ジアルキルアルミニウムアルコキシドの合成方法および物理的・化学的性質については、T.Moleら著,Organoaluminum Compounds,3rd.ed.,1972年,Elsevier,第8章等に詳しく書かれている。
トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物の担持量は、クロム原子に対するトリアルキルアルミニウム化合物のモル比が0.5〜2.0、好ましくは0.5〜1.8、更に好ましくは0.5〜1.5であり、好適な下限値は0.7、さらに好適な下限値は0.9となるような量が好ましい。このモル比を0.5〜2.0とすることにより、トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物を担持しない場合に比べてエチレン重合活性が大幅に向上する。また水素を共存させる重合条件下では、耐久性が向上する。このモル比が0.5未満では水素を共存させる重合条件下でもトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物を担持した効果が十分には発現されず、エチレン重合活性、耐久性はトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物を担持しない場合とさほど変わらない。このモル比が2.0を越えるとエチレン重合活性がトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物を担持しない場合よりも低下するとともに、分子量分布が広くなり耐久性は向上するものの耐衝撃性は低下してしまう。この活性低下の理由は不明であるが、過剰のトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物がクロム活性点と結合してエチレン重合反応を阻害しているためと考えられる。
トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物を担持する方法としては、焼成活性化後のクロム触媒を不活性炭化水素中の液相で接触させる方法ならば特に限定されない。例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの不活性炭化水素溶媒に焼成活性化後のクロム触媒を混合してスラリー状態とし、これにトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物を添加する方法が好ましい。添加するトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物は、上記不活性炭化水素溶媒で希釈してもよいし、希釈せずに添加してもよい。希釈用溶媒と担持用の溶媒は同じでも異なってもよい。
不活性炭化水素溶媒の使用量は、触媒の調製時に少なくともスラリー状態で攪拌を行えるに十分な量であることが好ましい。このような量であれば、溶媒の使用量は特に限定されないが、例えば焼成活性化後のクロム触媒1g当たり溶媒2〜20gを使用することができる。
本発明において、不活性炭化水素溶媒中でクロム触媒をトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物により処理する際の溶媒へのトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物とクロム触媒の添加順序は任意である。具体的には、不活性炭化水素溶媒にクロム触媒を懸濁させ、トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物を添加してこれを攪拌する担持反応の操作が好ましい。
担持反応の温度は0〜150℃、好ましくは10〜100℃、さらに好ましくは20〜80℃、担持反応の時間は5分〜8時間、好ましくは30分〜6時間、さらに好ましくは1〜4時間である。トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物は焼成活性化後に少なくとも一部が6価となったクロム原子と反応し、これを低原子価のクロム原子に還元する。この現象は焼成活性化後のクロム触媒が6価のクロム原子特有のオレンジ色であるのに対して、トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物による担持操作をされたクロム触媒が緑色もしくは青緑色であることから確認できる。すなわち、このクロム触媒の色の変化から6価クロム原子の少なくとも一部が3価または2価のクロム原子に還元されているものと推定される。近年、Teranoらは、賦活したクロム触媒にトリエチルアルミニウムをヘプタン溶媒中で担持後に乾燥し、X線光電子分光法(XPS)でCr原子の原子価を測定しており、6価クロム原子だけではなく、2価、3価、5価のクロム原子の存在を観測している(M. Teranoら著, J.Mol.Catal. A: Chemical, Volume 238, 142頁, 2005年)。ただし、全Cr原子のなかで実際の重合活性点の割合は約10%〜30%と言われており(M.P.McDanielら著、J.Phys.Chem., Volume 95, 3289頁、1991年)、重合活性点のクロム原子の原子価が何であるかは現時点で結論は得られていない。Monoiらはトリアルキルクロム錯体をシリカに担持した触媒がフィリップス触媒と同様の重合挙動を示すこと(T. Monoiら著, Polym. J., Volume 35, 608頁, 2003年)、またEspelidらはフィリップス触媒のモデル活性点におけるエチレン挿入反応の活性化エネルギーを理論計算することにより、3価のクロム原子が活性点の原子価であることを提唱している(O. Espelidら著, J.Catal., Volume 195, 125頁, 2000年)。
トリアルキルアルミニウム化合物とジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物を併用する場合には、不活性炭化水素溶媒中、(i)はじめにトリアルキルアルミニウム化合物を担持した後、次いでジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物を担持する、(ii)はじめにジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物を担持した後、次いでトリアルキルアルミニウム化合物を担持する、(iii)予めトリアルキルアルミニウム化合物とジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物を混合してから担持する、いずれの方法を用いてもよい。トリアルキルアルミニウム化合物とジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物の使用割合は任意で良いが、トリアルキルアルミニウム化合物とジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物のモル比が0.01〜100、好ましくは0.1〜10である。
攪拌を停止して担持操作を終了した後は、速やかに溶媒を除去することが必要である。この溶媒の除去は減圧乾燥により行うが、この際濾過を併用することもできる。この減圧乾燥では、トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒が自由流動性の粉末として得られるように乾燥させる。触媒を溶媒と分離せずに長時間保管すると触媒が経時劣化し、エチレン重合活性が低下する。その上分子量分布が広くなるため耐久性は向上するものの耐衝撃性は低下し、耐久性と耐衝撃性のバランスは悪化するので好ましくない。したがって、担持反応の際の溶媒との接触時間をも含めて、溶媒との接触時間を極力短縮し、速やかに溶媒を分離・除去することが好ましい。速やかな溶媒の分離・除去によって重合活性および耐久性と耐衝撃性のバランスが向上したポリエチレン系樹脂が得られるという効果を記載した技術文献は見当たらず、担持反応後に溶媒を速やかに分離することは本発明の最も重要な特徴点の一つである。
この効果が得られる理由の詳細は不明であるが、溶媒存在下ではクロム活性点とトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物の反応が進行し続けることになり、その結果非還元性雰囲気で焼成活性化され一部が6価となったクロム原子が2価、1価、0価のクロム原に過還元されてエチレン重合反応を阻害するような触媒構造に変化することによるものと考えられる。ただし、過還元状態におけるクロムの原子価の具体的な価数等を示すこと等過還元状態を具体的に示すことは困難である。あるいは、トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物と6価クロム原子(正確にはシリカ表面のシラノール基と化学結合した酸化クロム)の反応によって生成するであろうアルキルアルミニウムジアルコキシド種が重合活性点に配位し、エチレン重合反応を阻害していることも考えられる。要は重合活性の低下や得られる重合体の物性の低下、主に衝撃強度の低下により過還元の程度を判別することができる。ここで衝撃強度とは具体的にはシャルピー衝撃強度である。すなわち、溶媒との接触時間が長すぎると重合活性の低下や得られる重合体の物性、主に衝撃強度の低下が見られるのである。従って、重合活性や得られる重合体の衝撃強度が実質的に低下しないよう、たとえ低下してもその低下の程度が最小限となるよう、担持反応における溶媒接触の時間も合算して溶媒との接触時間を可能な限り短くなるようにする。すなわち、溶媒との接触時間である担持反応時間も可能な限り短縮し、担持後は速やかに溶媒を分離し、過還元反応が進行しないようにする必要がある。担持反応終了後、溶媒を分離し乾燥するのに要する時間は担持反応時間の3倍以内が好ましく、さらに2倍以内が好ましく、特に1倍以内が好ましい。担持開始から溶媒除去・乾燥完了となるまでの合計の時間は、5分〜24時間、好ましくは30分〜18時間、さらに好ましくは1〜12時間である。
乾燥完了後のトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒は自由流動性(free flowing)のさらさらの状態にあることが好ましい。物性的な目安としては、溶媒の残存重量が、クロム触媒の細孔体積に溶媒の密度を掛けて得られた重量の1/10以下、好ましくは1/30、さらに好ましくは1/100以下になっていることが好ましい。なお、ここで細孔体積は窒素吸着によるBET法によるものであり、溶媒の残存重量は以下の式により求めたものである。
溶媒の残存重量=(乾燥後のトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒の重量)−{(トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物の重量)+(クロム触媒の重量)}
なお、トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物をクロム触媒と併用する場合、クロム触媒とトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物とを反応器に希釈溶媒の存在下または不存在下に直接または別々にフィードする方法と、クロム触媒とトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物を一旦溶媒中で予備混合または接触させ、この混合スラリーを反応器にフィードする方法が考えられる。しかし、いずれの方法も、クロム触媒とトリアルキルアルミニウおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物を反応器に別々に供給しながら連続生産を行うものであるから、連続的に供給するクロム触媒とトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物の量とその比率を正確に調整しなければ、得られるポリエチレン系樹脂の重合活性や分子量が変動して同一規格の成形品を連続的に生産することは困難となる。
本発明の方法によれば、トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物を予めクロム触媒に担持し、クロム原子に対するトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物のモル比が常に一定の触媒を反応器中に供給するので、同一規格の成形品を安定的に連続生産することができる。従って、本発明の方法は一定品質のポリエチレン系樹脂を連続生産するのに好適な優れた方法である。
さらに、本発明のように担持反応の際の溶媒を速やかに分離・除去した触媒を用いる方法ではなく、クロム触媒とトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物とを反応器に希釈溶媒の存在下または不存在下に直接または別々にフィードする方法と、クロム触媒とトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物を一旦溶媒中で予備混合または接触させ、この混合スラリーを反応器にフィードする方法では、エチレン重合活性が低下する。その上分子量分布が広くなるため耐久性は向上するものの耐衝撃性は低下し、耐久性と耐衝撃性のバランスは悪化するので好ましくない。
(6−2)重合方法
上記のトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を用いて、ポリエチレン系樹脂の製造を行うに際しては、スラリー重合、溶液重合のような液相重合法あるいは気相重合法など、いずれの方法を採用することができるが、特にスラリー重合法が好ましく、パイプループ型反応器を用いるスラリー重合法、オートクレーブ型反応器を用いるスラリー重合法、いずれも用いることができる。なかでもパイプループ型反応器を用いるスラリー重合法が好ましい(パイプループ型反応器とこれを用いるスラリー重合の詳細は、松浦一雄・三上尚孝編著、「ポリエチレン技術読本」、148頁、2001年、工業調査会に記載されている)。
液相重合法は通常炭化水素溶媒中で行う。炭化水素溶媒としてはプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの不活性炭化水素の単独または混合物が用いられる。気相重合法は、不活性ガス共存下にて、流動床、攪拌床等の通常知られる重合法を採用でき、場合により重合熱除去の媒体を共存させる、いわゆるコンデンシングモードを採用することもできる。
液相重合法における重合温度は、一般的には0〜300℃であり、実用的には20〜200℃、好ましくは50〜180℃、さらに好ましくは70〜150℃である。反応器中の触媒濃度およびエチレン濃度は重合を進行させるのに十分な任意の濃度でよい。例えば、触媒濃度は、液相重合の場合反応器内容物の重量を基準にして約0.0001〜約5重量%の範囲とすることができる。同様にエチレン濃度は、液相重合の場合反応器内容物の重量を基準にして約1%〜約10%の範囲とすることができる。
本発明において、目的とする成形性、耐久性に優れ、且つ耐衝撃性および剛性のバランスに優れ、バリアー性に優れた多種多層積層体からなる中空プラスチック成形品用のポリエチレン系樹脂を製造するためには、水素を共存させて重合を行うことが肝要であり、好ましくは、水素とエチレンを特定の比率とした条件下で重合させるのがよい。水素は一般的には分子量を調節するためのいわゆる連鎖移動剤としての働きを有するとされているが、水素とエチレンを特定の比率とした条件下で重合させることにより、耐久性を向上させ、且つ耐衝撃性および剛性のバランスを向上させることができる。水素の共存によりかかる効果が得られる理由の詳細は不明であるが、トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒によるエチレン重合において、特定の分子量域に適度な長さまたは数の長鎖分岐を導入する働きを有するため、あるいはエチレンとα−オレフィンとの共重合による短鎖分岐の分布を変える働きを有するためと考えられる。
液相重合法の場合には、その液相中の水素濃度(重量%)(Hcと略記する。)と液相中のエチレン濃度(ETcと略記する。)との比が、下記式: 1.0×10−4≦Hc/ETc≦7.0×10−3、好ましくは2.0×10−4≦Hc/ETc≦6.0×10−3、さらに好ましくは3.0×10−4≦Hc/ETc≦5.0×10−3の関係を満たす条件で重合を行う。
エチレンと共存させる水素とエチレンの濃度比は、水素とエチレンの濃度を変えることによって容易に調整することができる。前述したように水素は連鎖移動剤としての働きも有するのでHc/ETcを変えた場合、同一HLMFRの成形品を得るためには重合温度も変えなければならない。すなわちHc/ETcを上げた場合には重合温度を下げ、Hc/ETcを下げた場合には重合温度を上げなければならない。ただし、水素濃度の絶対値によるので同一HLMFRの成形品を得るためには必ず重合温度を変える必要があるわけではない。
Hc/ETcの値が上記の下限未満の場合には、得られるポリエチレン系樹脂は同一HLMFRにおいて耐久性が低下し、またHc/ETcが上記の上限を越える場合には、得られるポリエチレン系樹脂は同一HLMFRにおいて耐衝撃性が低下してしまう。なお、水素圧力は特に限定されないが、通常、液相重合法の場合には、液相中の水素濃度として1.0×10−4〜1.0×10−1重量%、好ましくは1.0×10−3〜5.0×10−2重量%の範囲である。またエチレンの圧力も特に限定されないが、通常、液相重合法の場合には、液相中のエチレン濃度として1.0〜10.0重量%、好ましくは3.0〜8.0重量%の範囲である。
本発明の方法によりトリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒によりエチレン重合を行うに際し、コモノマーとしてα−オレフィンを共重合することが好ましい。α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどを単独または2種類以上反応器に導入して共重合を行う。好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、さらに好ましくは1−ヘキセンがコモノマーとして好適に用いられる。得られるポリエチレン系樹脂中のα−オレフィン含量は15mol%以下、好ましくは10mol%以下が望ましい。
重合方法としては、反応器を一つ用いてエチレン系重合体を製造する単段重合だけでなく、生産量を向上させるため、または分子量分布を広げるため、少なくとも二つの反応器を連結させて多段重合を行うこともできる。多段重合の場合、二つの反応器を連結させ、第一段の反応器で重合して得られた反応混合物を続いて第二段の反応器に連続して供給する二段重合が好ましい。第一段の反応器より第二段の反応器への移送は連結管を通して、第二段反応器からの重合反応混合物の連続的排出により行われる。
第一段反応器および第二段反応器で同一の重合条件で製造してもよいし、あるいは第一段反応器および第二段反応器で同一のHLMFR、密度のポリエチレン系樹脂を製造してもよいが、分子量分布を広げる場合には、両反応器で製造するポリエチレン系樹脂の分子量に差をつけるのが好ましい。第一段反応器で高分子量成分、第二段反応器で低分子量成分を、または第一段反応器で低分子量成分、第二段反応器で高分子量成分をそれぞれ製造するいずれの製造方法でもよいが、第一段反応器で高分子量成分、第二段反応器で低分子量成分を製造する方法の方が、第一段から第二段への移行にあたり中間の水素のフラッシュタンクを必要としないため生産性の面でより好ましい。
第一段においては、エチレン単独または必要に応じてα−オレフィンとの共重合を、水素濃度のエチレン濃度に対する重量比(Hc/ETc)、重合温度または両者により分子量を調節しながら、またα−オレフィン濃度のエチレン濃度に対する重量比で密度を調節しながら重合反応を行う。
第二段においては、第一段から流れ込む反応混合物中の水素および同じく流れ込むα−オレフィンがあるが、必要に応じてそれぞれ新たな水素、α−オレフィンを加えることができる。従って、第二段においても、水素濃度のエチレン濃度に対する重量比(Hc/ETc)、重合温度または両者により分子量を調節しながら、またα−オレフィン濃度のエチレン濃度に対する重量比により密度を調節しながら重合反応を行うことができる。触媒や有機アルミニウム化合物のような有機金属化合物についても、第一段から流れ込む触媒により二段目で引き続き重合反応を行うだけでなく、第二段で新たに触媒、有機アルミニウム化合物のような有機金属化合物またはその両者を供給してもよい。
二段重合によって製造する場合の高分子量成分と低分子量成分の比率としては、高分子量成分が10〜90重量部、低分子量成分が90〜10重量部、好ましくは高分子量成分が20〜80重量部、低分子量成分が80〜20重量部、さらに好ましくは高分子量成分が30〜70重量部、低分子量成分が70〜30重量部である。また、高分子量成分のHLMFRは、0.01〜100g/10分、好ましくは0.01〜50g/10分、低分子量成分のHLMFRは、10〜1000g/10分、好ましくは10〜500g/10分である。
得られたポリエチレン系樹脂は、次いで混練するのが好ましい。単軸または二軸の押出機または連続式混練機を用いて行われる。
トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を用いて本発明のポリエチレン系樹脂を得る際、それぞれのアルミニウム化合物を用いた場合の特徴および耐クリープ性に代表される耐久性を向上させるための重合条件との関係を以下詳述する。
ポリエチレン系樹脂の耐クリープ性を向上させるには、分子量分布を広くすることが重要である。すなわち、耐クリープ性を向上するには分子量をなるべく高くするのが好ましいが、分子量が高過ぎると樹脂の成形ができなくなってしまうので、流れ性を付与するために低分子量領域のポリエチレンも必要で、結果として分子量分布を広くする必要がある(J.Scheirs,W.Kaminsky編,Metallocene−based Polyolefins,Volume2,365頁,2000年,John Wiley & Sons)。一般的なクロム触媒でポリエチレン系樹脂を得る場合、分子量分布を広くするには、賦活温度および/または重合温度を下げるのが通常の手段である(例えば、松浦一雄・三上尚孝編著、「ポリエチレン技術読本」、134頁、2001年、工業調査会)。しかし、賦活温度および/または重合温度を下げると、活性が低下するのが一般的であり、また同時にHLMFRも低下してしまうので(前出「ポリエチレン技術読本」、134頁)、所定のHLMFRのポリエチレン系樹脂を得るための経済的に製造可能な重合条件が設定できないことが多い。
トリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒の場合、トリアルキルアルミニウムを担持しない場合に比べて、得られるポリエチレン系樹脂の分子量分布に大きな差はないものの(Mw/Mn=20〜30)、同一HLMFR、同一密度での耐クリープ性は大きく向上する。この理由はまだよく解明されていないが、コモノマー由来の短鎖分岐の分布が改良されているものと考えられる。すなわち、一般的にクロム触媒では高分子量領域には短鎖分岐が導入されないが(前出「ポリエチレン技術読本」、103〜104頁)、トリアルキルアルミニウム担持によって、より高分子量領域にまで短鎖分岐が導入された結果、耐クリープ性が向上したものと考えられる(高分子量領域にまで短鎖分岐を導入すると耐クリープ性が向上することはよく知られている;前出「ポリエチレン技術読本」、156〜157頁)。トリアルキルアルミニウム担持前の賦活温度を変えることで分子量分布を調節することもでき、耐クリープ性を調整できる。
トリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒の場合よりもさらに耐クリープ性のレベルを向上させるためには、より一層分子量分布を広げる必要がある(Mw/Mn>30)。一般的なクロム触媒の場合、賦活温度が450℃を下回ると重合活性が激減してしまうこと、重合温度を低下させて分子量分布を広げても所定のHLMFR範囲を下回ってしまうことから、このレベルの広い分子量分布を実用的に製造可能とするのは困難である。しかし、ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒ではこれが達成できる。すなわち、ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物を担持することにより、同一重合条件でのHLMFRがトリアルキルアルミニウム化合物を担持する場合に比べて、Mw/Mn=20〜30(トリアルキルアルミニウム化合物担持の場合の分子量分布)を保ったまま分子量が大きく向上し、重合温度を下げてより一層分子量分布を広げることができるのがポイントである。その結果、所定のHLMFR範囲の中でMw/Mn>30とすることができ、しかも重合活性は実用的に製造可能なレベルを保つことができる。ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持の場合にも、より高分子量領域に短鎖分岐が導入できる効果はあると考えられ、併せてより分子量分布を広げられることにより、一層の耐クリープ性向上を達成できたと考えられる。
[II]中空プラスチック成形品
本発明の中空プラスチック成形品は、本ポリエチレン系樹脂を少なくとも1層有する構造、好ましくは多層構造のものであるが、ポリエチレン系樹脂からなる単層構造のものであってもよい。
中空プラスチック成形品が多層構造の場合、浸透低減遮断層を有するのが好ましく、浸透低減遮断層には、通常バリアー層が用いられる。
本発明の中空プラスチック成形品の層構造が2層以上であるとき、最内層と最外層が本ポリエチレン系樹脂からなるのが好ましい。
本発明の中空プラスチック成形品は、少なくとも1層のバリアー層を存在させて、揮発性物質の浸透を減らし且つ該バリアー層が極性の遮断ポリマーから構成されている浸透低減遮断層を含む多層構造が好ましい。例えば、プラスチック燃料タンクの壁を多層構造とすると、バリアー層(それ単独では成形性および機械強度が十分ではない)を、本ポリエチレン系樹脂からなる2層の間に固定化できるという利点がある。結果として、特に共押出ブロー成形中に、本ポリエチレン系樹脂を2層以上有する材料の成形性は、主として本ポリエチレン系樹脂の改良された成形性の影響を受けて改善される。さらに、本ポリエチレン系樹脂の改良された性能は、材料の機械強度に極めて重要な影響を及ぼすので、本発明の中空プラスチック成形品の強度を顕著に増大させることが可能となる。
また、本発明の中空プラスチック成形品においては、フッ素化、表面被覆またはプラズマ重合等の処理により、本ポリエチレン系樹脂層の表面に基層を被覆するようにしてもよい。
本発明による中空プラスチック成形品の特に好ましい実施形態は、内側から外側にかけて以下の層を含む4種6層構造のものである。
すなわち、本ポリエチレン系樹脂層、接着層、バリアー層、接着層、再生材層、本ポリエチレン系樹脂層である。
以下に、上記態様における各層の構成、層構成比について詳細に説明する。
(1)中空プラスチック成形品の層構成
1.最外層
本発明の中空プラスチック成形品の最外層を構成する樹脂(A)は、トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を用い、水素を共存させながら重合を行うことにより製造された、上記所定要件を満たす本ポリエチレン系樹脂である。
2.最内層
本発明の中空プラスチック成形品の最内層を構成する樹脂(B)は、トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を用い、水素を共存させながら重合を行うことにより製造された、上記所定要件を満たす本ポリエチレン系樹脂であり、上記樹脂(A)と同じであってもよいし、また異なるものであってもよい。
3.バリアー層
本発明の中空プラスチック成形品のバリアー層を形成する樹脂(C)は、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等から選ばれるものであるが、特にエチレンビニルアルコール樹脂からなることが好ましい。エチレンビニルアルコール樹脂は、ケン化度が93%以上、望ましくは96%以上で、エチレン含量が25〜50モル%であることがより好ましい。
4.接着層
本発明の中空プラスチック成形品の接着層を形成する樹脂(D)は、不飽和カルボン酸またはその誘導体によりグラフト変性した高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等から選ばれるものであるが、特に不飽和カルボン酸またはその誘導体によりグラフト変性した高密度ポリエチレンからなることが好ましい。
不飽和カルボン酸またはその誘導体の含有量は0.01〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、さらに好ましくは0.01〜1重量%である。グラフト変性量が0.01重量%未満であると十分な接着性能が発現せず、5重量%を超えると接着性に寄与しない不飽和カルボン酸が接着性に悪影響を与える。
5.再生材層
本発明の中空プラスチック成形品の再生材層を形成する樹脂は、最外層を形成するポリエチレン系樹脂(A)、最内層を形成するポリエチレン系樹脂(B)、バリアー層を形成する樹脂(C)および接着層を形成する樹脂(D)を含む組成物である。各成分の配合量は(A)成分10〜30重量%、(B)成分30〜50重量%、(C)成分1〜15重量%、(D)成分1〜15重量%であるのが望ましい。
(A)〜(D)の各成分は新品を使用することもできるし、(A)〜(D)成分からなる各層を含む多層積層体のスクラップ、バリ等の不要部分を回収、再利用してこのようなリサイクル品を各成分の成分原料とすることもできる。例えば、一旦成形され、使用されて利用済みの中空プラスチック成形品(自動車用燃料タンク製品等)を粉砕してなるリグラインド樹脂が用いられる。リサイクル品を使用する場合、(A)〜(D)のすべての成分を全量リサイクル品から供給することもできるし、新品と混合して使用することもできる。
多層積層体を作製する際に発生した成形バリや未使用パリソンをリサイクル材として使用する場合、各種成分の相溶性が低下することがあるので、相溶化剤や接着層を構成する樹脂をさらに混合してもよい。
6.中空プラスチック成形品の層構成比
本発明の中空プラスチック成形品の各層の厚み構成は、厚み比で最外層が10〜30%、最内層が20〜50%、バリアー層が1〜15%、接着層が1〜15%、および再生材層が30〜60%(ただし全ての層厚み構成比の合計が100%)である。
最外層の層構成比は10〜30%、好ましくは10〜25%、より好ましくは10〜20%である。最外層の層構成比が10%未満であると、衝撃性能が不足し、30%を超えると中空プラスチック成形品の成形安定性が損なわれる。
最内層の層構成比は、20〜50%、好ましくは35〜50%、より好ましくは40〜50%である。最外層の層構成比が20%未満であると、中空プラスチック成形品の剛性不足が顕在化し、50%を超えると中空プラスチック成形品の成形安定性が損なわれる。
バリアー層の層構成比は、1〜15%、好ましくは1〜10%、より好ましくは1〜5%である。バリアー層の層構成比が1%未満であると、バリアー性能が不満足であり、15%を超えると衝撃性能が不足する。
接着層の層構成比は、1〜15%、好ましくは1〜10%、より好ましくは1〜5%である。接着層の層構成比が1%未満であると、接着性能が不満足であり、15%を超えると中空プラスチック成形品の剛性不足が顕在化する。
再生材層の構成比は、30〜60%、好ましくは35〜50%、より好ましくは35〜45%である。再生材層の層構成比が30%未満であると、中空プラスチック成形品の成形安定性が損なわれ、60%を超えると衝撃性能が不足する。
本発明の中空プラスチック成形品は、外側から最外層、再生材層、接着層、バリアー層、接着層、最内層の順に積層されている4種6層の中空プラスチック成形品であることが好ましい。バリアー層を接着層で挟むことにより、高度なバリアー性が発揮される。最外層と接着層の間に再生材層を有することにより、原材料費の削減によるコストダウンおよび中空プラスチック成形品の剛性の保持という効果が発揮される。
(2)中空プラスチック成形品の製造、および製品或いは用途
本発明の中空プラスチック成形品の製造方法は、特に限定されず、従来からの公知の多層中空成形機を用いて押出ブロー成形法により製造することができる。例えば、複数の押出機で各層の構成樹脂を加熱溶融させた後、多層のダイにより溶融パリソンを押出し、次いでこのパリソンを金型で挟み、パリソンの内部に空気を吹き込むことにより、多層の中空プラスチック成形品が製造される。
さらに、本発明の中空プラスチック成形品には、必要に応じて目的を損なわない範囲で、帯電防止剤、酸化防止剤、中和剤、滑剤、抗ブロッキング剤、防曇剤、有機あるいは無機系顔料、充填剤、無機フィラー、紫外線防止剤、分散剤、耐候剤、架橋剤、発泡剤、難燃剤などの公知の添加剤を添加することができる。
また、本発明の中空プラスチック成形品は、具体的には、製品としては、燃料タンク等のタンク、灯油缶、ドラム缶、薬品用容器、農薬用容器、溶剤用容器、各種プラスチックボトル等の製品、特に自動車用燃料タンクとして供され、或いは本発明の中空プラスチック成形品の用途としては、燃料タンク等のタンク、灯油缶、ドラム缶、薬品用容器、農薬用容器、溶剤用容器、各種プラスチックボトル等が挙げられ、特に自動車用燃料タンクとして用いられるのが最も好ましい。
以下においては、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明し、本発明の卓越性と本発明の構成における優位性を実証するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(1)各種測定方法
実施例および比較例において使用した測定方法は以下の通りである。
1.オートクレーブ中における液相中の水素濃度およびエチレン濃度の定量
JIS K−2301(2004年版)に従い、触媒を導入しない状態で予め各実施例、比較例条件の重合温度、水素分圧、エチレン分圧での水素濃度およびエチレン濃度をガスクロマトグラフ法で分析し定量した。オートクレーブ内の溶液を少量抜き出して気化させ、島津製作所製ガスクロマトグラフGC−14Aを用い、前記JISの10頁、表2、カラム組合せBの分析条件にて、熱伝導度検出器により水素濃度およびエチレン濃度を定量した。
2.オートクレーブ重合で得られたポリエチレン系樹脂の物性評価
2.−a)物性測定のためのポリマー前処理
添加剤としてチバガイギー社製B225を0.2重量%添加し、単軸押出機にて混練しペレタイズした。
2.−b)ハイロードメルトフローレート(HLMFR):
JIS K−7210(2004年版)の附属書A表1−条件Gに従い、試験温度190℃、公称荷重21.60kgにおける測定値をHLMFRとして示した。
2.−c)密度:
JIS K−7112(2004年版)に従い測定した。
2.−d)分子量分布(Mw/Mn):
生成エチレン系重合体について下記の条件でゲル透過クロマトグラフ(GPC)を行ない、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を求めて分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
[ゲル透過クロマトグラフ測定条件]
装 置:Waters 150Cモデル、
カラム:Shodex−HT806M、
溶 媒:1,2,4−トリクロロベンゼン、
温 度:135℃、
単分散ポリスチレンフラクションを用いてユニバーサル評定。
MwのMnに対する比率(Mw/Mn)で示される分子量分布(Mw/Mnが大きいほど分子量分布が広い)については、「サイズ排除クロマトグラフィー(高分子の高速液体クロマトグラフィー)」(森定雄著,共立出版,96頁)に記載された分子量と検出器感度の式にn−アルカンおよびMw/Mn≦1.2の分別直鎖ポリエチレンのデータを当てはめて、次式で示される分子量Mの感度を求め、サンプル実測値の補正を行なった。
分子量Mの感度=a+b/M
(a、bは定数で、a=1.032、b=189.2)
2.−e)伸長粘度のストレインハードニングパラメーター(λmax)
インテスコ社製キャピラリーレオメーターを使用し、温度190℃にて3mmφ×15mmLのキャピラリーを使用し、ピストン速度20mm/分で試験片を作製した。
東洋精機製作所製メルテンレオメーターを使用し、予熱時間15分とし、温度170℃、歪み速度0.1/sで伸長粘度を測定した。時間tと伸長粘度ηの両対数グラフにおいて得られた粘度成長曲線には、ストレインハードニング(歪み硬化)が生じる場合、線形部と非線形部がある。非線形部の最大伸長粘度ηE,λmaxと、ηE,λmaxを与える時間での線形部での推測粘度ηL,λmaxとの比をλmaxとし、伸長粘度における非線形性の大きさを表す指標とした。
λmax=ηE,λmax/ηL,λmax
なお、図1においてこの指標の測定方法を模式的に示した。
2.−f)耐クリープ性(破断時間)
JIS K−6992−2(2004年版)に準拠し、厚さ5.9mmのシートを圧縮成形した後、JIS K−6774(2004年版)附属書5(規定)図1に示された区分「呼び50」の形状と寸法の試験片を作製し、80℃の純粋中で全周ノッチ式引張クリープ試験(FNCT)を行った。引張荷重は88N、98N、108Nとし、試験点数は各荷重で2点とした。得られた両対数スケールにおける破断時間と公称応力の6点のプロットから最小二乗法により公称応力6MPaにおける破断時間を耐クリープ性の指標とした。
2.−g)シャルピー衝撃強度
JIS K−7111(2004年版)に従ってタイプ1の試験片を作製し、打撃方向はエッジワイズ、ノッチのタイプはタイプA(0.25mm)として、ドライアイス/アルコール中で−40℃で測定した。
2.−h)曲げ剛性
JIS K−7106(2004年版)に準拠し、東洋精機(株)製のスティフネスメーターにて、スパン間30mm、つかみ部30mm、全曲げモーメントが6kgf・cmの条件で60℃/分で片持ち曲げ応力を測定した。
なお試験片は、ペレットを温度160℃の熱圧縮成形機により溶融後25℃/分の速度で降温し、厚み2mmのシートに成形した。このシートを温度23℃の室内で48時間状態調節した後、長さ85mm、幅15mmになるようにダンベル刃型で打ち抜いて試験片とした。
3.パイプループ型反応器で得られた中空プラスチック成形品の物性評価
3.−a)物性測定のためのポリマー前処理
添加剤としてADEKA社製アデカスタブAO−60を0.05重量%、アデカスタブ2112を0.15重量%、それぞれ添加し、単軸押出機にて混練しペレタイズした。
3.−b)落下衝撃性
不凍液をフルに注入した自動車用燃料タンクを−40℃に冷却し、コンクリート面から垂直落下させ、液漏れの有無で判定した。
◎:高さ9mから落としても液漏れしなかった。
○:高さ6mでは液漏れしないが、高さ9mでは割れて液漏れした。
△:高さ3mでは液漏れしないが、高さ6mでは割れて液漏れした。
×:高さ3mで割れて液漏れした。
3.−c)成形性
自動車用燃料タンクを中空成形する際、パリソンの耐ドローダウン性と肉厚均質性を評価し、良好なものを○、成形不良が発生したものを×、成形不良ではないが肉厚分布が若干大きいものを△とした。
3.−d)ガソリンバリアー性
シナジーレギュラーガソリンを燃料タンクに入れ、40℃で1週間状態調整実施後、ガソリンを入れ替え重量測定を行い、経時的に減少する量を重量測定し、下記の基準で判断した。
◎:0.01g/day未満
×:0.01g/day以上
(2)使用樹脂
以下の1.〜4.の樹脂を、日本製鋼株式会社NB150共押出ブロー成形装置にて加工し、4種6層構造の自動車燃料タンクを成形した。各層の順序を、内側から外側へと以下のように選択した。
最内層(本ポリエチレン系樹脂)
接着層(MAPE)
バリアー層(EVOH)
接着層(MAPE)
再生材層
最外層(本ポリエチレン系樹脂)
燃料タンクの自重は8kgであった。
1.ポリエチレン系樹脂
トリアルキルアルミニウムおよび/またはジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を用い、水素を共存させながら重合を行うことにより製造された本ポリエチレン系樹脂を使用した。
2.接着性樹脂(MAPE)
無水マレイン酸が0.1重量%グラフトされた日本ポリエチレン株式会社製無水マレイン酸変性ポリエチレンを使用した。
3.バリアー性樹脂(EVOH)
クラレ株式会社製エチレンビニルアルコール樹脂エバールを使用した。
4.再生材層樹脂
実施例14(1)に記載する層構成において、実験開始時の再生材層樹脂として、最内層を構成する樹脂と同じ樹脂を使用し、4種6層の自動車用燃料タンクをブロー成形し、その自動車用燃料タンクを粉砕してなるリグラインド樹脂を用いた。具体的には、実施例14、比較例10〜12における再生材層樹脂には、下記の層構成の自動車用燃料タンクを成形し、粉砕してなるリグラインド樹脂を用いた。
最外層:本ポリエチレン系樹脂(層構成比11%)
再生材層:本ポリエチレン系樹脂(層構成比40%)
接着外層:MAPE(層構成比3%)
バリアー層:EVOH(層構成比3%)
接着内層:MAPE(層構成比3%)
最内層:本ポリエチレン系樹脂(層構成比40%)
(3)オートクレーブでのポリエチレン系樹脂製造と評価
実施例1
(1)クロム触媒の調製
クロム原子担持量=1.1重量%、比表面積=500m/g、細孔体積=1.5cm/gを有する触媒−1(W.R.Grace社より購入)15gを多孔板目皿付き、管径5cmの石英ガラス管に入れ、円筒状焼成用電気炉にセットし、モレキュラーシーブスを通した空気にて流動化させ、線速6cm/sにて500℃で18時間焼成活性化を行った。6価のクロム原子を含有することを示すオレンジ色のクロム触媒が得られた。
(2)トリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒
予め窒素置換した100mlのフラスコに、上記(1)で得られたクロム触媒2gを入れ、蒸留精製したヘキサン30mlを加えスラリーとした。東ソー・ファインケム社製トリn−ブチルアルミニウムの0.1mol/L−ヘキサン溶液(以下、トリn−ブチルアルミニウム溶液ともいう)を4.2ml(Al/Crモル比=1)添加し、40℃で2時間攪拌した。攪拌終了後直ちに減圧下で30分かけて溶媒を除去し、さらさらの自由流動性(free flowing)のトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒を得た。触媒は緑色であり、6価のクロムが還元されていることを示す。
(3)重合
充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブに上記(2)で得られたトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒50mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を100℃まで昇温した。水素を0.1MPa導入した後、1−ヘキセン4.0gをエチレンで加圧導入し、エチレン分圧を1.4MPa(Hc/ETc=8.1×10−4)となるように保ちながら、触媒生産性=3000g−ポリマー/g−触媒となるように重合を行った。ついで内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。触媒1g当たり、重合時間1時間当たりの重合活性は4100g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性(HLMFR、密度、分子量(Mn、Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、λmax、破断時間、シャルピー衝撃強度、曲げ剛性)の測定結果を表2に示した。なお、この実施例1は参考例である。
実施例2
トリn−ブチルアルミニウム溶液の代わりに、東ソー・ファインケム社製トリエチルアルミニウムの0.1mol/L−ヘキサン溶液を4.2ml(Al/Crモル比=1)添加した以外は、全て実施例1と同様にトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒を調製し、重合を行った。重合活性は3700 g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。なお、この実施例2は参考例である。
実施例3
トリn−ブチルアルミニウム溶液の代わりに、東ソー・ファインケム社製トリイソブチルアルミニウムの0.1mol/L−ヘキサン溶液を4.2ml(Al/Crモル比=1)添加した以外は、全て実施例1と同様にトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒を調製し、重合を行った。重合活性は4000 g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。なお、この実施例3は参考例である。
実施例4
クロム触媒の賦活温度を500℃から450℃に変え、1−ヘキセン添加量を4.0gから6.0gに変えた以外は、全て実施例1と同様にトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒を調製し、重合を行った。重合活性は3100 g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。なお、この実施例4は参考例である。
実施例5
クロム触媒の賦活温度を500℃から550℃に変え、1−ヘキセン添加量を4.0gから3.0gに変えた以外は、全て実施例1と同様にトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒を調製し、重合を行った。重合活性は4700 g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。なお、この実施例5は参考例である。
実施例6
トリn−ブチルアルミニウム溶液の添加量を4.2mlから6.3mlに変えてAl/Crモル比=1.5とした以外は、全て実施例1と同様にトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒を調製し、重合を行った。重合活性は4100 g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。なお、この実施例6は参考例である。
実施例7
水素分圧を0.1MPaから0.4MPaに変えてHc/ETc=3.3×10−3とした以外は、全て実施例1と同様にトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒を調製し、重合を行った。重合活性は4000 g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。なお、この実施例7は参考例である。
実施例8
1−ヘキセンの添加量を4.0gから5.0gに変えた以外は、全て実施例1と同様にトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒を調製し、重合を行った。重合活性は4200 g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。なお、この実施例8は参考例である。
実施例9
1−ヘキセンの添加量を4.0gから6.5gに変え、重合温度を100℃から99℃に変えた以外は、全て実施例1と同様にトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒を調製し、重合を行った。重合活性は4400 g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。なお、この実施例9は参考例である。
実施例10
クロム触媒の賦活温度を500℃から400℃に変え、水素分圧を0.1MPaから0.2MPaに変えてHc/ETc=1.6×10−3とし、1−ヘキセン添加量を4.0gから7.0gに変えた以外は、全て実施例1と同様にトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒を調製し、重合を行った。重合活性は2200 g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。重合活性は実施例1に比べて大きく低下した。分子量分布が広がり、シャルピー衝撃強度は実施例1に比べて低下した。なお、この実施例10は参考例である。
実施例11
クロム触媒の賦活温度を500℃から600℃に変え、1−ヘキセン添加量を4.0gから2.0gに変えた以外は、全て実施例1と同様にトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒を調製し、重合を行った。重合活性は4900 g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。分子量分布が狭くなり、破断時間は実施例1に比べて低下した。なお、この実施例11は参考例である。
実施例12
トリn−ブチルアルミニウム溶液の添加量を4.2mlから21.2mlに変えてAl/Crモル比=5とした以外は、全て実施例1と同様にトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒を調製し、重合を行った。重合活性は2300 g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。重合活性は実施例1に比べて大きく低下した。分子量分布が広がり、シャルピー衝撃強度は実施例1に比べて低下した。なお、この実施例12は参考例である。
実施例13
クロム原子担持量=1.2重量%、比表面積=290m/g、細孔体積=1.1cm/gを有する触媒−2(W.R.Grace社より購入)を用いた以外は、全て実施例1と同様にトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒を調製し、重合を行った。重合活性は1900 g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。重合活性は実施例1に比べて大きく低下した。破断時間、シャルピー衝撃強度ともに実施例1に比べて低下した。なお、この実施例13は参考例である。
実施例14
トリn−ブチルアルミニウム溶液の代わりに、東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を5.9ml(Al/Crモル比=1.4)添加した以外は、全て実施例1(2)と同様に行ない、ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を調製した。この触媒を用い、重合温度を96℃、エチレン分圧を1.0MPa(Hc/ETc=1.1×10−3)、1−ヘキセン添加量を7.0gとした以外は、全て実施例1(3)と同様に重合を行なった。重合活性は1500g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。これより、ジエチルアルミニウムエトキシドの使用によってHLMFRが向上するため、HLMFRを本発明のポリエチレン系樹脂の範囲にすべく重合温度を低下させた結果、分子量分布が広くなり、耐久性が大きく向上したことが分かる。
実施例15
トリn−ブチルアルミニウム溶液の代わりに、東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を5.9ml(Al/Crモル比=1.4)添加した以外は、全て実施例1(2)と同様に行ない、ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を調製した。この触媒を用い、重合温度を96℃、エチレン分圧を1.0MPa(Hc/ETc=1.1×10−3)、1−ヘキセン添加量を8.5gとした以外は、全て実施例1(3)と同様に重合を行なった。重合活性は1400g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。
実施例16
トリn−ブチルアルミニウム溶液の代わりに、東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を5.9ml(Al/Crモル比=1.4)添加した以外は、全て実施例1(2)と同様に行ない、ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を調製した。この触媒を用い、重合温度を96℃、エチレン分圧を1.0MPa(Hc/ETc=1.1×10−3)、1−ヘキセン添加量を9.5gとした以外は、全て実施例1(3)と同様に重合を行なった。重合活性は1400g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。
実施例17
(1)ジエチルアルミニウムn−ブトキシドの合成
充分に窒素置換した200mLのフラスコに蒸留精製したヘキサン98mLを入れ、東ソー・ファインケム社製トリエチルアルミニウム1.37mL(10mmol)を加えて溶解させた。次いでAldrich社製n−ブタノール0.92mL(10mmol)を添加した。油浴によりフラスコを加熱し、2時間ヘキサンを還流して反応を完結させた。そのまま室温にまで冷却し、ジエチルアルミニウムn−ブトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液が得られた。
(2)クロム触媒の調製、重合
トリn−ブチルアルミニウム溶液の代わりに、上記(1)で合成したジエチルアルミニウムn−ブトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を5.9ml(Al/Crモル比=1.4)添加した以外は、全て実施例1(2)と同様に行ない、ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を調製した。この触媒を用い、重合温度を96℃、エチレン分圧を1.0MPa(Hc/ETc=1.1×10−3)、1−ヘキセン添加量を8.5gとした以外は、全て実施例1(3)と同様に重合を行なった。重合活性は1600g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。
実施例18
(1)ジイソブチルアルミニウムエトキシドの合成
充分に窒素置換した200mLのフラスコに蒸留精製したヘキサン97mLを入れ、東ソー・ファインケム社製トリイソブチルアルミニウム2.54mL(10mmol)を加えて溶解させた。次いでAldrich社製エタノール0.58mL(10mmol)を添加した。油浴によりフラスコを加熱し、2時間ヘキサンを還流して反応を完結させた。そのまま室温にまで冷却し、ジイソブチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液が得られた。
(2)クロム触媒の調製、重合
トリn−ブチルアルミニウム溶液の代わりに、上記(1)で合成したジイソブチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を5.9ml(Al/Crモル比=1.4)添加した以外は、全て実施例1(2)と同様に行ない、ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を調製した。この触媒を用い、重合温度を96℃、エチレン分圧を1.0MPa(Hc/ETc=1.1×10−3)、1−ヘキセン添加量を8.5gとした以外は、全て実施例1(3)と同様に重合を行なった。重合活性は1500g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。
実施例19
トリn−ブチルアルミニウム溶液の代わりに、東ソー・ファインケム社製トリn−ブチルアルミニウムの0.1mol/L−ヘキサン溶液および東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を予め体積比1:1で混合した溶液を5.9ml(Al/Crモル比=1.4)添加した以外は、全て実施例1(2)と同様にトリアルキルアルミニウムおよびジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を調製した。この触媒を用い、重合温度を96℃、エチレン分圧を1.0MPa(Hc/ETc=1.1×10−3)、1−ヘキセン添加量を6.5gとした以外は、全て実施例1(3)と同様に重合を行なった。重合活性は2200g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。
実施例20
トリn−ブチルアルミニウム溶液の代わりに、東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を7.6ml(Al/Crモル比=1.8)添加した以外は、全て実施例1(2)と同様に行ない、ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を調製した。この触媒を用い、重合温度を84℃、エチレン分圧を1.0MPa(Hc/ETc=9.0×10−4)、1−ヘキセン添加量を11.0gとした以外は、全て実施例1(3)と同様に重合を行なった。重合活性は1000g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。これより、Al/Crモル比=1.4で行った実施例14の場合に比べ重合活性は低下するものの、HLMFRを本発明のポリエチレン系樹脂の範囲とするためには、Al/Crモル比=1.8ではさらに重合温度を低くすることができ、結果として分子量分布がさらに広くなり、耐久性が向上することが分かる。
比較例1
実施例1(2)においてトリn−ブチルアルミニウム溶液を添加せず、実施例1(1)の触媒を用い、重合温度を101℃に変え、Hc/ETcを8.3×10−4に変えた以外は、全て実施例1(3)と同様に重合を行った。重合活性は2200 g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。重合活性は実施例1に比べて大きく低下した。λmax、破断時間も実施例1に比べて大きく低下した。
比較例2
トリn−ブチルアルミニウム溶液の添加量を4.2mlから0.85mlに変えてAl/Crモル比=0.2とし、重合温度を100℃から101℃に変えた以外は、全て実施例1と同様にトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒を調製し、重合を行った。重合活性は2500 g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。重合活性は実施例1に比べて大きく低下した。λmax、破断時間も実施例1に比べて大きく低下した。
比較例3
トリn−ブチルアルミニウム溶液の代わりに、東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を0.85ml(Al/Crモル比=0.2)添加し、重合温度を103℃、エチレン分圧を1.0MPa(Hc/ETc=1.2×10−3)、1−ヘキセンの添加量を3.5gに変えた以外は、全て実施例1と同様に行ない、ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を調製し、重合を行った。重合活性は1600 g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。同じジエチルアルミニウムエトキシドをAl/Crモル比=1.4で用いた実施例14〜16の場合に比べ、λmax、破断時間は大きく低下した。
比較例4
実施例1(3)において、重合温度を100℃から102℃に変え、水素を全く導入せずに重合を行った(Hc/ETc=0)以外は、全て実施例1と同様に重合を行った。重合活性は4200 g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。破断時間、シャルピー衝撃強度ともに実施例1に比べて大きく低下した。
比較例5
充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブに実施例1(1)で得られたクロム触媒50mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を100℃まで昇温した。水素を0.1MPa導入した後、トリn−ブチルアルミニウムの0.01mol/L−ヘキサン溶液1.1ml(Al/Crモル比=1)および1−ヘキセン4.0gをエチレンで加圧導入し、エチレン分圧を1.4MPa(Hc/ETc=8.1×10−4)となるように保ちながら、触媒生産性=3000g−ポリマー/g−触媒となるように重合を行った。ついで内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。重合活性は2000g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。重合活性は実施例1に比べて大きく低下した。分子量分布が広がり、シャルピー衝撃強度は実施例1に比べて大きく低下した。
比較例6
水素分圧を0.1MPaから0.01MPaに変えてHc/ETc=8.1×10−5とした以外は、全て実施例1と同様にトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒を調製し、重合を行った。重合活性は4100 g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。破断時間は実施例1に比べて大きく低下した。
比較例7
水素分圧を0.1MPaから1.0MPaに変えてHc/ETc=8.1×10−3とした以外は、全て実施例1と同様にトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒を調製し、重合を行った。重合活性は3700 g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。λmax、シャルピー衝撃強度は実施例1に比べて大きく低下した。
比較例8
実施例1(2)において、トリn−ブチルアルミニウム溶液を添加し40℃、2時間攪拌後、スラリー状態のまま室温で48時間放置してから減圧下で溶媒を除去し、さらさらの自由流動性(free flowing)のトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒を得た。この触媒を用いた以外は、全て実施例1(3)と同様に重合を行った。重合活性は1900 g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。重合活性は大きく低下した。分子量分布が広がり、シャルピー衝撃強度は実施例1に比べて大きく低下した。
比較例9
クロム原子担持量=1.1重量%、比表面積=450m/g、細孔体積=1.3cm/g、フッ素原子担持量=1.7重量%を有する触媒−3(W.R.Grace社より購入)を実施例1(1)と同様の方法で550℃にて焼成活性化を行った。充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブにこのクロム触媒50mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を101℃まで昇温した。水素を0.1MPa導入した後、1−ヘキセン3.0gをエチレンで加圧導入し、エチレン分圧を1.4MPa(Hc/ETc=8.3×10−4)となるように保ちながら、触媒生産性=3000g−ポリマー/g−触媒となるように重合を行った。ついで内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。重合活性は2900g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。λmax、破断時間は実施例1に比べて大きく低下した。
比較例10
実施例1(2)においてトリn−ブチルアルミニウム溶液を添加せず、実施例1(1)の触媒を用い、重合温度を100℃から96℃に変え、エチレン分圧を1.4MPaから1.0MPa(Hc/ETc=1.1×10−3)に変え、1−ヘキセン添加量を4.0gから7.0gに変えた以外は、全て実施例1(3)と同様に重合を行った。重合活性は1000g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。ジアルキルアルミニウムアルコキシドを用いて同じ重合温度96℃で行った実施例14の場合に比べ、重合活性は低下した。分子量分布は実施例14と同じ程度まで広がるものの、HLMFRは本発明のポリエチレン系樹脂の範囲を下回る結果であることが分かる。HLMFRを本発明の範囲とするためには重合温度を比較例1と同程度に上げなければならず、結果として分子量分布が狭くなり耐久性は比較例1と同程度に低下してしまうことが分かる。
比較例11
実施例1(1)のクロム触媒の賦活温度を500℃から400℃に変え、実施例1(2)においてトリn−ブチルアルミニウムを添加せず、重合温度を100℃から96℃に変え、エチレン分圧を1.4MPaから1.0MPa(Hc/ETc=1.1×10−3)に変え、1−ヘキセン添加量を4.0gから7.0gに変えた以外は、全て実施例1(3)と同様に重合を行った。重合活性は激減し、20g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定を行える量のポリエチレンが得られなかった。トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムアルコキシドを担持した実施例10、実施例14と比べると、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムアルコキシドを担持しない場合には、賦活温度400℃では重合活性がほとんど発現しないことが分かる。
比較例12
トリn−ブチルアルミニウム溶液の代わりに、東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を21.2ml(Al/Crモル比=5)添加した以外は、全て実施例1(2)と同様に行ない、ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を調製した。この触媒を用い、エチレン分圧を1.0MPa(Hc/ETc=1.1×10−3)、1−ヘキセン添加量を7.0gとした以外は、全て実施例1(3)と同様に重合を行なった。重合活性は激減し、120g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定を行える量のポリエチレンが得られなかった。実施例12に示したように、トリアルキルアルミニウム担持の場合は同じAl/Crモル比=5においても重合活性を発現しているのと比べ、ジアルキルアルミニウムアルコキシドを担持した場合にはAl/Crモル比が増加すると急激に活性が低下することが分かる。
比較例13
トリn−ブチルアルミニウム溶液の代わりに、東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を5.9ml(Al/Crモル比=1.4)添加した以外は、全て実施例1(2)と同様に行ない、ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を調製した。この触媒を用い、重合温度を100℃、エチレン分圧を1.0MPa(Hc/ETc=1.1×10−3)、1−ヘキセン添加量を7.0gとした以外は、全て実施例1(3)と同様に重合を行なった。重合活性は1700g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。重合温度96℃で行った実施例14の場合に比べ、重合温度100℃ではHLMFRが本発明のポリエチレン系樹脂の範囲を越えてしまうことが分かる。
比較例14
トリn−ブチルアルミニウム溶液の代わりに、東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を7.6ml(Al/Crモル比=1.8)添加した以外は、全て実施例1(2)と同様に行ない、ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を調製した。この触媒を用い、重合温度を100℃、エチレン分圧を1.0MPa(Hc/ETc=1.1×10−3)、1−ヘキセン添加量を7.0gとした以外は、全て実施例1(3)と同様に重合を行なった。重合活性は1800g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性測定結果を表2に示した。Al/Crモル比=1.4で行った比較例13の場合に比べ、Al/Crモル比=1.8ではHLMFRが本発明のポリエチレン系樹脂の範囲を大きく越えてしまうことが分かる。トリアルキルアルミニウムを用いた実施例1、6、12の場合と比べると、ジアルキルアルミニウムアルコキシドの場合は、Al/Crモル比が増加するとHLMFRが大きく増加することが分かる。
以上の各実施例および比較例における製造時の種々の規定について、表1に示す。
Figure 0005216566
Figure 0005216566
(4)パイプループ型反応器でのポリエチレン製造および中空プラスチック成形品の製造
と評価
実施例21
内容積200Lのパイプループ型反応器にイソブタンを120L/h、実施例1(2)で得られたトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒を5g/hの速度で連続的に供給し、反応器内容物を所要速度で排出しながら、100℃において液相中の水素濃度のエチレン濃度に対する重量比(Hc/ETc)を8.1×10−4、液相中の1−ヘキセン濃度のエチレン濃度に対する重量比を0.11に保つようにエチレン、水素、1−ヘキセンを供給し、全圧4.1MPa、平均滞留時間0.9hの条件で、液充満の状態で連続的に重合を行った。触媒生産性=4100g−ポリマー/g−触媒となり、平均重合活性は4600g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性(HLMFR、密度、分子量(Mn、Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、λmax、破断時間、シャルピー衝撃強度、曲げ剛性の測定結果を表3に示した。なお、この実施例21は参考例である。
以下のようにして自動車用燃料タンクを成形し、落下衝撃性、成形性、ガソリンバリアー性を評価した。結果を表3に示す。
1.使用成形機
4種6層の大型多層ブロー成形機(日本製鋼所製NB150)を用い、押出機スクリューと層構成は以下の条件で成形した。
最外層(外側から1層目)径90mmφ、L/D=22
第2層(外側から2層目)径120mmφ、L/D=28
第3層(外側から3層目)径50mmφ、L/D=22
第4層(外側から4層目)径50mmφ、L/D=28
第5層(外側から5層目)径50mmφ、L/D=22
最内層(外側から6層目)径120mmφ、L/D=241
2.成形条件
成形温度210℃、ブロー金型冷却温度20℃、冷却時間180秒の条件にてタンク重量8kg、容量60Lの4種6層多層燃料タンクを成形した。タンクの形状は日本ポリエチレン試作検討型(鞍型)のタイプのものを成形した。なお、層比率は、タンクの厚み比率を観察しながら押出機のスクリュー回転数を調整し最外層が11%、第2層が40%、第3層が3%、第4層が3%、第5層が3%、最内層が40%となるようにした。
実施例22
実施例1(2)で得られたトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒の代わりに、実施例14で得られたジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を用い、重合温度を96℃、液相中の水素濃度のエチレン濃度に対する重量比(Hc/ETc)を1.1×10−3、液相中の1−ヘキセン濃度のエチレン濃度に対する重量比を0.21に変えた以外は、全て実施例20と同様に平均滞留時間2.4hの条件で連続的に重合を行なった。触媒生産性=3800g−ポリマー/g−触媒となり、平均重合活性は1600g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性(HLMFR、密度、分子量(Mn、Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、λmax、破断時間、シャルピー衝撃強度、曲げ剛性の測定結果を表3に示した。さらに、実施例21と同様に自動車用燃料タンクを成形し、落下衝撃性、成形性、ガソリンタンクバリアー性の評価結果を表3に示した。
比較例15
実施例1(2)で得られたトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒の代わりに、実施例1(1)で得られたクロム触媒を用い、重合温度を100℃から101℃に変えた以外は、全て実施例21と同様に平均滞留時間1.6hの条件で連続的に重合を行った。触媒生産性=3800g−ポリマー/g−触媒となり、平均重合活性は2300g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性および自動車用燃料タンクの評価結果を表3に示した。実施例21、22の場合に比べ、破断時間、落下衝撃性、成形性が低下した。
比較例16
実施例1(2)で得られたトリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒の代わりに、比較例9で得られたクロム触媒を用い、重合温度を100℃から101℃に変えた以外は、全て実施例21と同様に平均滞留時間1.3hの条件で連続的に重合を行った。触媒生産性=4000g−ポリマー/g−触媒となり、平均重合活性は3100g−ポリマー/g−触媒/hであった。物性および自動車用燃料タンクの評価結果を表3に示した。実施例21、22の場合に比べ、破断時間が大きく低下し、成形性も低下した。
比較例17
市販のポリエチレンとしてBASELL社製Lupolen 4261AGを用いて、実施例21と同様に物性および自動車用燃料タンクの評価を行い、結果を表3に示した。図2に剛性と破断時間の関係を示したが、実施例21、22の場合に比べ比較例17の場合は、剛性と耐久性のバランスが劣る結果であった。
比較例18
市販のポリエチレンとして日本ポリエチレン社製HB111Rを用いて、実施例21と同様に物性および自動車用燃料タンクの評価を行い、結果を表3に示した。図2に剛性と破断時間の関係を示したが、実施例21、22の場合に比べ比較例18の場合は、剛性と耐久性のバランスが劣る結果であった。
Figure 0005216566
上記表2より、実施例の本ポリエチレン系樹脂は成形性、耐久性に優れ、且つ耐衝撃性および剛性のバランスに優れているのに対し、比較例のポリエチレン系樹脂はこれらの特性の少なくとも一つにおいて劣っているし、また、表3より、実施例の中空プラスチック成形品は成形性、耐久性、バリアー性に優れ、且つ耐衝撃性および剛性のバランスに優れているのに対し、比較例のポリエチレン系樹脂はこれらの特性の少なくとも一つにおいて劣っていることが分かる。
本発明のポリエチレン系樹脂は、それを用いた中空プラスチック成形品とすることにより、成形性、耐久性、バリアー性に優れ、且つ耐衝撃性および剛性のバランスに優れたものとすることができ、中でも燃料タンク、特に自動車用燃料タンク等に好適に用いられるので、産業上の意義が高い。
伸長粘度のストレインハードニングパラメーター(λmax)の測定方法の説明図である。 代表的実施例及び比較例について、曲げ剛性と破断時間の関係を示すプロット図である。 ポリエチレン系樹脂の密度と破断時間の関係を示す図である。 本ポリエチレン系樹脂の製造に用いられる重合触媒の調製におけるフローチャート図である。

Claims (16)

  1. ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を用い、水素を共存させながら重合を行うことにより製造されたポリエチレン系樹脂であって、
    下記(1)〜(5)の要件を満たすことを特徴とするポリエチレン系樹脂。
    (1): ハイロードメルトフローレート(HLMFR)が1〜10g/10分である。
    (2): 密度が0.946〜0.960g/cmである。
    (3): 伸長粘度のストレインハードニングパラメーター(λmax)が1.05〜1.50である。
    (4): 全周ノッチ式引張クリープ試験の破断時間と密度が次の式(A)を満足する。
    log(破断時間) ≧ −355×(密度) + 337.6 ・・・式(A)
    (5): シャルピー衝撃強度が8kJ/m以上である。
  2. 前記ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒は、クロム化合物を担持した無機酸化物担体を、まず非還元性雰囲気で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子を6価とした後、さらに不活性炭化水素溶媒中でジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物を担持させ、次いで該溶媒を除去・乾燥して得られたものであることを特徴とする請求項に記載のポリエチレン系樹脂。
  3. 前記ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒は、焼成活性化温度が450〜550℃、クロム原子に対するジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物のモル比が0.5〜2.0の条件下で得られたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエチレン系樹脂。
  4. 重合はスラリー重合法で行われ、かつ液相中の水素濃度(Hc;重量%)とエチレン濃度(ETc;重量%)との比が下記の式(B)の関係を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂。
    1.0×10−4 ≦ Hc/Etc ≦ 7.0×10−3 ・・・式(B)
  5. エチレンの単独重合体であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂。
  6. エチレンと炭素原子数3〜8のα−オレフィンとの共重合体であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂。
  7. α−オレフィンが1−ブテンまたは1−ヘキセンである請求項に記載のポリエチレン系樹脂。
  8. ハイロードメルトフローレート(HLMFR)が3〜7g/10分である請求項1〜のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂からなる1層以上の層を有することを特徴とする中空プラスチック成形品。
  10. 浸透低減遮断層を有することを特徴とする請求項に記載の中空プラスチック成形品。
  11. 中空プラスチック成形品の層構造が2層以上であって、最内層と最外層が請求項1〜のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂からなることを特徴とする請求項又は10に記載の中空プラスチック成形品。
  12. 前記2層以上の層構造は、内側から外側にポリエチレン系樹脂層、接着層、バリアー層、接着層、再生材層およびポリエチレン系樹脂層の順で含むことを特徴とする請求項11に記載の中空プラスチック成形品。
  13. 前記バリアー層はエチレンビニルアルコール樹脂からなることを特徴とする請求項12に記載の中空プラスチック成形品。
  14. 前記接着層は、高密度ポリエチレンを、その0.01〜5重量%量の不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性してなるものであることを特徴とする請求項12に記載の中空プラスチック成形品。
  15. 中空プラスチック成形品が、燃料タンク、灯油缶、ドラム缶、薬品用容器、農薬用容器、溶剤用容器およびプラスチックボトルからなる群から選ばれる少なくとも一種として用いられることを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載の中空プラスチック成形品。
  16. 燃料タンクが自動車用燃料タンクである請求項15に記載の中空プラスチック成形品。
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