しかしながら、腕時計700においては、図12に示すように、LED表示部720の前面には白色塗装膜730が形成されているだけであるため、表示構造における機械的信頼性が低くなってしまうという第1の問題がある。
また、腕時計700においては、表示が滲んで視認性が低下したり、LED724からの光の利用効率が大きく低下したりするという第2の問題がある。この理由は以下の通りである。
すなわち、腕時計700においては、図13(a)及び図13(c)に示すように、時計本体部710の前面Ioに照射される外光(非セグメント部分に照射される外光L1及びセグメント部分に照射される外光L2)は、その大部分が白色塗装膜730の前面Ioや内部で拡散反射されることとなるが、白色塗装膜730の前面Ioや内部で拡散反射されなかった一部の光は、白色塗装膜730を通過して白色塗装膜730の背面Ii側に射出されることとなる。
このとき、非セグメント部分には光反射率の比較的大きな白色の不透光性部材726が配置され、セグメント部分には光反射率の比較的小さな無色の透光性部材728が配置されているため、非セグメント部分における不透光性部材726からの反射光L1’が、セグメント部分における透光性部材728からの反射光L2’よりも強くなってしまい、LED724が非点灯状態である場合にセグメント模様が目立ってしまうこととなる。
このため、腕時計700においては、これを防止してLED724が非点灯状態である場合にセグメント模様を目立たないようにするため、白色塗装膜730の光拡散率を高い値にしたり、白色塗装膜730の光通過率を低い値にしたりする必要が生じ、その結果、LED724からの光が白色塗装膜730で強く拡散されることで表示が滲んで視認性が低下したり、LED724からの光が白色塗装膜730で強く吸収されることでLED724からの光の利用効率が大きく低下したりすることになるからである。
置時計800においては、図14に示すように、LED表示部820の前面には木質シート830が貼り付けられているだけであるため、表示構造における機械的信頼性が低くなってしまうという第1の問題がある。
また、置時計800においては、表示が滲んで視認性が低下したり、LED824からの光の利用効率が大きく低下したりするという第2の問題がある。この理由は以下の通りである。
すなわち、置時計800においては、図15(a)及び図15(c)に示すように、木質シート830の前面Ioに照射される外光(非セグメント部分に照射される外光L1及びセグメント部分に照射される外光L2)は、その大部分が木質シート830の前面Ioや内部で拡散反射されることとなるが、木質シート830の前面Ioや内部で拡散反射されなかった一部の光は、木質シート830を通過して木質シート830の背面Ii側に射出されることとなる。
このとき、非セグメント部分には光反射率の比較的大きな白色の不透光性部材826が配置され、セグメント部分には光反射率の比較的小さな無色の透光性部材828が配置されているため、非セグメント部分における不透光性部材826からの反射光L1’が、セグメント部分における透光性部材828からの反射光L2’よりも強くなってしまい、LED824が非点灯状態である場合にセグメント模様が目立ってしまうこととなる。
このため、置時計800においては、これを防止してLED824が非点灯状態である場合にセグメント模様を目立たないようにするため、木質シート830の光拡散率を高い値にしたり、木質シート830の光通過率を低い値にしたりする必要が生じ、その結果、LED824からの光が木質シート830で強く拡散されることで表示が滲んで視認性が低下したり、LED824からの光が木質シート830で強く吸収されることでLED824からの光の利用効率が大きく低下したりすることになるからである。
携帯電話900においては、LED表示素子920の前面には黒色ジャケット930が配設されているため、上記した腕時計700及び置時計800の場合における、表示構造における機械的信頼性が低くなってしまうという第1の問題は解決されている。
しかしながら、携帯電話900においては、表示が滲んで視認性が低下したり、LED924からの光の利用効率が大きく低下したりするという第2の問題がある。この理由は以下の通りである。
すなわち、携帯電話900においては、黒色ジャケット930と不透光性部材940との間に隙間が存在するため、LED924からの光が当該隙間に入射して黒色ジャケット930と不透光性部材940との間で反射を繰り返すことにより表示が滲んで視認性が低下してしまうからである。
また、携帯電話900においては、図16(a)及び図16(c)に示すように、黒色ジャケット930の前面Ioに照射される外光(非ドット部分に照射される外光L1及びドット部分に照射される外光L2)は、その大部分が黒色ジャケット930の前面Ioや内部で拡散反射されたり黒色ジャケット930の内部で吸収されたりすることとなるが、黒色ジャケット930の前面Ioや内部で拡散反射されず黒色ジャケット930の内部でも吸収されなかった一部の光は、黒色ジャケット930を通過して黒色ジャケット930の背面Ii側に射出されることとなる。
このとき、非ドット部分には光反射率の比較的大きな銀色の不透光性部材940が配置され、ドット部分には光反射率の比較的小さな無色の透光性部材942が配置されているため、非ドット部分における不透光性部材940からの反射光L1’が、ドット部分における透光性部材942からの反射光L2’よりも強くなってしまい、LED924が非点灯状態である場合にドット模様が目立ってしまうこととなる。
このため、携帯電話900においては、これを防止してLED924が非点灯状態である場合にドット模様を目立たないようにするため、黒色ジャケット930の光通過率を低い値にする必要が生じ、その結果、LED924からの光が黒色ジャケット930で強く吸収されることでLED924からの光の利用効率が大きく低下することになるからである。
なお、携帯電話900においては、LED924が非点灯状態である場合にドット模様を目立たないようにするため、黒色ジャケット930の材料として光拡散性の材料を用いて不透明度を高めることが考えられる。しかしながら、黒色ジャケット930の材料としては、LED表示素子920の機械的強度を補うためにある程度厚い材料を用いる必要があるため、このようにした場合には、LED924からの光が黒色ジャケット930の内部で強く拡散されることで表示が強く滲んで視認性がさらに大きく低下してしまうという問題が新たに発生することとなる。
なお、これらの問題は、LED表示素子を備えた物品の場合だけに発生する問題ではなく、LD表示素子、EL表示素子、蛍光管表示素子その他の発光表示素子を備えた物品全般に発生し得る問題である。
そこで、本発明は上記のような問題を解決するためになされたもので、非表示時には表示構造の存在を意識させることのない表示構造を備えた物品であって、表示構造における機械的信頼性が低くなったり、表示が滲んで視認性が低下したり、発光部からの光の利用効率が大きく低下したりするという問題を解決することが可能な物品を提供することを目的とする。
(1)本発明の表示構造を備えた物品は、非表示時には表示構造の存在を意識させることのない表示構造を備えた物品であって、前記表示構造は、透明基材の前面側に透光性を有する不透明な塗装膜が形成された前面筐体部材と、前記前面筐体部材の背面側に配設された発光表示素子と、前記前面筐体部材と前記発光表示素子との間に配設され、前記発光表示素子の発光部に対応して導光孔が形成された暗色部材とを有することを特徴とする。
このため、本発明の表示構造を備えた物品によれば、発光表示素子の前面には前面筐体部材が配設されているため、表示構造における機械的信頼性が低くなってしまうという第1の問題を解決することが可能になる。
また、本発明の表示構造を備えた物品によれば、前面筐体部材と発光表示素子との間には導光孔が形成された暗色部材が配設されているため、塗装膜の光拡散率を高くしたり塗装膜の光通過率を低い値にしたりする必要性が小さくなり、表示が滲んで視認性が低下したり、発光部からの光の利用効率が大きく低下したりするという第2の問題を解決することが可能となる。この理由は以下の通りである。
すなわち、前面筐体部材の前面に照射される外光のうち、塗装膜の前面や内部で拡散反射されない一部の光は、塗装膜を通過して塗装膜の背面側に射出されることとなる。しかしながら、非表示部分には光反射率の極めて小さな暗色部材が配置されることになるため、暗色部材で反射されて塗装膜の前面から再び外部に射出される光の割合は極めて小さくなる。一方、表示部分には導光孔が配置されることになるため、塗装膜の背面側に射出された光はそのまま導光孔の内部に導かれることになり、やはり塗装膜の前面から再び外部に射出される光の割合は極めて小さくなる。このため、非表示部分においても表示部分においても塗装膜の前面から再び外部に射出される光の割合は極めて小さくなるため、塗装膜の光拡散率を高い値にしたり塗装膜の光通過率を低い値にしたりしなくても、非点灯状態の場合に模様(セグメント模様、ドット模様など)が目立ってしまうことが抑制されるからである。
また、本発明の表示構造を備えた物品によれば、透明基材の背面と暗色部材の前面との界面における反射率が極めて低いため、発光部からの光が透明基材に斜めに入射した後、透明基材の前面と背面との間で反射を繰り返すことにより表示が滲んで視認性が低下してしまうということもない。
また、本発明の表示構造を備えた物品によれば、表示構造における機械的信頼性を高めるために前面筐体部材の厚みをある程度厚くしたとしても、塗装膜はもともと前面筐体部材よりも薄いため、発光部からの光が塗装膜の内部で強く拡散されることで表示が滲んで視認性が低下してしまうということもない。
上記(1)に記載の表示構造を備えた物品においては、前記前面筐体部材と前記暗色部材とは密着して配置されていることが好ましい。
このように構成することにより、発光部からの光が前面筐体部材と暗色部材との隙間に入射してこれらの間で反射を繰り返すということがなくなるため、このことに起因して表示が滲んで視認性が低下してしまうということがなくなる。
(2)上記(1)に記載の表示構造を備えた物品においては、前記暗色部材は、前記前面筐体部材の背面側ほぼ全面にわたって配設されていることが好ましい。
このように構成することにより、前面筐体部材の背面側ほぼ全面にわたって暗色部材が配設されているため、発光表示素子が配設された部分と発光表示素子が配設されていない部分のいずれにおいても、非表示時に塗装膜の前面から射出される光量がより均一なものとなり、非表示時に表示構造の存在を意識させることをさらに抑制することが可能になる。
(3)上記(1)又は(2)に記載の表示構造を備えた物品においては、前記前面筐体部材における前記暗色部材が配設されている部分は、その周囲部分よりも薄い肉厚を有することが好ましい。
このように構成することにより、表示構造における機械的信頼性を維持しつつ、発光表示素子が配設された部分における透明基材の厚さをより薄くして、導光孔から塗装膜までの距離を小さくすることが可能になるため、発光部からの光が塗装膜に到達するまでに大きく拡がることで表示が滲んで視認性が低下してしまうのを抑制することが可能になる。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の表示構造を備えた物品においては、前記前面筐体部材は、前記暗色部材と一体化されていることが好ましい。
このように構成することにより、表示構造をよりコンパクトなものにすることが可能になる。
上記(1)〜(4)のいずれかに記載の表示構造を備えた物品においては、前記塗装膜として、白色、灰色、黒色、赤色、緑色、青色をはじめ、種々の色の塗装膜を用いることができる。
この場合、前記塗装膜が、比較的明度の高い塗装膜である場合には、発光部が点灯したときにのみ比較的明度の高い塗装膜上に表示が浮かび上がるようになるため、デザイン的にも極めて斬新なものとなる。
(5)本発明の表示構造を備えた物品は、非表示時には表示構造の存在を意識させることのない表示構造を備えた物品であって、前記表示構造は、低透光性基材の前面側に透光性を有する不透明な塗装膜が形成された前面筐体部材と、前記前面筐体部材の背面側に配設された発光表示素子と、前記前面筐体部材と前記発光表示素子との間に配設され、前記発光表示素子の発光部に対応して導光孔が形成された導光部材とを有することを特徴とする。
このため、本発明の表示構造を備えた物品によれば、発光表示素子の前面には前面筐体部材が配設されているため、表示構造における機械的信頼性が低くなってしまうという第1の問題を解決することが可能になる。
また、本発明の表示構造を備えた物品によれば、低透光性基材に塗装膜が形成されているため、塗装膜の光通過率を低い値にする必要性が小さくなり、表示が滲んで視認性が低下したり、発光部からの光の利用効率が大きく低下したりするという第2の問題を解決することが可能となる。この理由は以下の通りである。
すなわち、前面筐体部材の前面に照射される外光のうち、塗装膜の前面や内部で拡散反射されない一部の光は、塗装膜を通過して塗装膜の背面側に射出されることとなる。しかしながら、塗装膜の背面側に射出された光は低透光性基材を通過するうちにその強度が減衰するため、導光部材の表面で反射されて塗装膜の前面から再び外部に射出される光の割合は小さくなる。一方、表示部分には導光孔が配置されることになるため、塗装膜の背面側に射出された光はそのまま導光孔の内部に導かれることになり、やはり塗装膜の前面から再び外部に射出される光の割合は小さくなる。このため、非表示部分においても表示部分においても塗装膜の前面から再び外部に射出される光の割合は小さくなるため、塗装膜の光通過率を比較的低い値にしなくても、非点灯状態の場合に模様(セグメント模様、ドット模様など)が目立ってしまうことが抑制されるからである。
また、本発明の表示構造を備えた物品によれば、低透光性基材の光通過率が低いため、発光部からの光が低透光性基材に斜めに入射した後、低透光性基材の前面と背面との間で反射を繰り返すことにより表示が滲んで視認性が低下してしまうこということもない。
また、本発明の表示構造を備えた物品によれば、表示構造における機械的信頼性を高めるために前面筐体部材の厚みをある程度厚くしたとしても、塗装膜はもともと前面筐体部材よりも薄いため、発光部からの光が塗装膜の内部で強く拡散されることで表示が滲んで視認性が低下してしまうということもない。
上記(4)に記載の表示構造を備えた物品においては、前記前面筐体部材と前記導光部材とは密着して配置されていることが好ましい。
このように構成することにより、発光部からの光が前面筐体部材と導光部材との隙間に入射してこれらの間で反射を繰り返すということがなくなるため、このことに起因して発表示が滲んで視認性が低下してしまうということがなくなる。
(6)上記(5)に記載の表示構造を備えた物品においては、前記前面筐体部材における前記導光部材が配設されている部分は、その周囲部分よりも薄い肉厚を有することが好ましい。
このように構成することにより、表示構造における機械的信頼性を維持しつつ、発光表示素子が配設された部分における低透光性基材の厚さをより薄くして、導光孔から塗装膜までの距離を小さくすることが可能になるため、発光部からの光が塗装膜に到達するまでに大きく拡がることで表示が滲んで視認性が低下してしまうのを抑制することが可能になる。
(7)上記(5)又は(6)に記載の表示構造を備えた物品においては、前記前面筐体部材は、前記導光部材と一体化されていることが好ましい。
このように構成することにより、表示構造をよりコンパクトなものにすることが可能になる。
上記(5)〜(7)のいずれかに記載の表示構造を備えた物品においては、前記塗装膜として、白色、灰色、黒色、赤色、緑色、青色をはじめ、種々の色の塗装膜を用いることができる。
この場合、前記塗装膜が、比較的明度の高い塗装膜である場合には、発光部が点灯したときにのみ比較的明度の高い塗装膜上に表示が浮かび上がるようになるため、デザイン的にも極めて斬新なものとなる。
(8)本発明の表示構造を備えた物品は、非表示時には表示構造の存在を意識させることのない表示構造を備えた物品であって、前記表示構造は、発光表示素子と、前記発光表示素子の前面側に配設され、前記発光表示素子の発光部に対応して導光部が形成され、前面側の面が平面になるように前記導光部の全部又は一部が透光性部材で埋められた構造を有する暗色筐体部材とを有し、前記暗色筐体部材の前面側には透光性を有する不透明な塗装膜が形成されていることを特徴とする。
このため、本発明の表示構造を備えた物品によれば、発光表示素子の前面には前面側の面が平面になるように導光部の全部又は一部が透光性部材で埋められた構造を有する暗色筐体部材が配設されているため、表示構造における機械的信頼性が低くなってしまうという第1の問題を解決することが可能になる。
また、本発明の表示構造を備えた物品によれば、塗装膜と発光表示素子との間には導光部が形成された暗色筐体部材が配設されているため、上記(1)に記載の表示構造を備えた物品の場合と同様の理由により、塗装膜の光拡散率を高い値にしたり塗装膜の光通過率を低い値にしたりする必要性が小さくなり、表示が滲んで視認性が低下したり、発光部からの光の利用効率が大きく低下したりするという第2の問題を解決することが可能になる。
また、本発明の表示構造を備えた物品によれば、表示構造における機械的信頼性を高めるために暗色筐体部材の厚みをある程度厚くしたとしても、暗色筐体部材の前面側に塗装膜が形成されているため、発光部からの光が塗装膜に到達するまでに大きく拡がることで表示が滲んで視認性が低下してしまうこということもない。
また、本発明の表示構造を備えた物品によれば、表示構造における機械的信頼性を維持しつつ、導光部から塗装膜までの距離を極力小さくすることが可能になるため、発光部からの光が塗装膜に到達するまでに大きく拡がることで表示が滲んで視認性が低下してしまうということを極力抑制することが可能になる。
上記(8)に記載の表示構造を備えた物品においては、前記塗装膜として、白色、灰色、黒色、赤色、緑色、青色をはじめ、種々の色の塗装膜を用いることができる。
この場合、前記塗装膜が、比較的明度の高い塗装膜である場合には、発光部が点灯したときにのみ比較的明度の高い塗装膜上に表示が浮かび上がるようになるため、デザイン的にも極めて斬新なものとなる。
(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の表示構造を備えた物品においては、前記塗装膜は、透光性硬質膜と、色み付与膜と、光拡散性を有する膜とが、少なくとも前記透光性硬質膜が最も前面側に配置されるように積層された構造を有することが好ましい。
このように構成することにより、光拡散性を有する膜を有しているため、透光性を有する不透明な塗装膜を構成できるようになる。また、色み付与膜を有しているため、赤、緑、青をはじめ種々の色の塗装膜を構成できるようになる。さらにまた、塗装膜の最も前面側には透光性硬質膜が配置されることになるため、物品の表示面における機械的信頼性を高めることが可能になる。なお、色み付与膜には、白色、灰色、黒色からなる色みを付与する膜も含まれる。
(10)本発明の表示構造を備えた物品は、非表示時には表示構造の存在を意識させることのない表示構造を備えた物品であって、前記表示構造は、透明基材の背面側に透光性を有する不透明な塗装膜が形成された前面筐体部材と、前記前面筐体部材の背面側に配設された発光表示素子と、前記前面筐体部材と前記発光表示素子との間に配設され、前記発光表示素子の発光部に対応して導光孔が形成された暗色部材とを有することを特徴とする。
このため、本発明の表示構造を備えた物品によれば、発光表示素子の前面には前面筐体部材が配設されているため、表示構造における機械的信頼性が低くなってしまうという第1の問題を解決することが可能になる。
また、本発明の表示構造を備えた物品によれば、前面筐体部材と発光表示素子との間には導光孔が形成された暗色部材が配設されているため、上記(1)に記載の表示構造を備えた物品の場合と同様の理由により、塗装膜の光拡散率を高くしたり塗装膜の光通過率を低い値にしたりする必要性が小さくなり、表示が滲んで視認性が低下したり、発光部からの光の利用効率が大きく低下したりするという第2の問題を解決することが可能になる。
また、本発明の表示構造を備えた物品によれば、表示構造における機械的信頼性を高めるために前面筐体部材の厚みをある程度厚くしたとしても、前面筐体部材の背面側に塗装膜が形成されているため、発光部からの光が塗装膜に到達するまでに大きく拡がることで表示が滲んで視認性が低下してしまうということもない。
また、本発明の表示構造を備えた物品によれば、表示構造における機械的信頼性を維持しつつ、導光孔から塗装膜までの距離を極力小さくすることが可能になるため、発光部からの光が塗装膜に到達するまでに大きく拡がることで表示が滲んで視認性が低下してしまうということを極力抑制することが可能になる。
さらにまた、本発明の表示構造を備えた物品によれば、透明基材の背面側に塗装膜が形成されており、表示時には透明基材の背面側で表示がなされるため、デザイン的にも極めて斬新なものとなる。
(11)上記(10)に記載の表示構造を備えた物品においては、前記暗色部材は、前記前面筐体部材の背面側ほぼ全面にわたって配設されていることが好ましい。
このように構成することにより、前面筐体部材の背面側ほぼ全面にわたって暗色部材が配設されているため、発光表示素子が配設された部分と発光表示素子が配設されていない部分のいずれにおいても、非表示時に塗装膜の前面から射出される光量がより均一なものとなり、非表示時に表示構造の存在を意識させることをさらに抑制することが可能になる。
上記(10)又は(11)に記載の表示構造を備えた物品においては、前記塗装膜として、白色、灰色、黒色、赤色、緑色、青色をはじめ、種々の色の塗装膜を用いることができる。
この場合、前記塗装膜が、比較的明度の高い塗装膜である場合には、発光部が点灯したときにのみ比較的明度の高い塗装膜上に表示が浮かび上がるようになるため、デザイン的にも極めて斬新なものとなる。
(12)上記(10)又は(11)に記載の表示構造を備えた物品においては、前記塗装膜は、色み付与膜と光拡散性を有する膜とが積層された構造を有することが好ましい。
このように構成することにより、光拡散性を有する膜を有しているため、透光性を有する不透明な塗装膜を構成できるようになる。また、色み付与膜を有しているため、赤、緑、青をはじめ種々の色の塗装膜を構成できるようになる。なお、色み付与膜には、上記(9)に記載の表示構造を備えた物品の場合と同様に、白色、灰色、黒色からなる色みを付与する膜も含まれる。
この場合、透明基材として機械的信頼性、化学的信頼性の高い透明基材を用いたり、透明基材の前面側に機械的信頼性、化学的信頼性の高いコーティングを施したりすることによって、物品の表示面における機械的信頼性を高めることも好ましい。また、塗装膜として、表面に透光性硬質膜を有する塗装膜を用いることも好ましい。
(13)上記(1)〜(12)のいずれかに記載の表示構造を備えた物品においては、前記発光表示素子における前記発光部の周囲には、前記発光部からの光を反射する反射層が形成されていることが好ましい。
このように構成することにより、発光部から背面側に射出された光が反射層により反射されて導光孔又は導光部に導かれるため、光利用効率をさらに高くすることが可能になる。
(14)上記(1)〜(13)のいずれかに記載の表示構造を備えた物品は、腕時計、置時計、携帯電話、携帯機器、家電製品、事務機器、電子機器、家具、表示板、壁、壁構成物品、建造物又は乗り物である場合に、特に効果を有する。
上記のように、上記(1)〜(13)のいずれかに記載の表示構造を備えた物品は、表示構造を備えた物品でありながら、非表示時には表示構造の存在を意識させることのない物品であるため、上記したように種々の用途に好ましく用いることが可能となる。
なお、本発明の表示構造を備えた物品において、「発光表示素子」としては、LED(ライトエミッティングダイオード)表示素子、LD(レーザーダイオード)表示素子、EL(エレクトロルミネッセンス)表示素子などを好ましく用いることができる。
また、本発明の表示構造を備えた物品において、「前面筐体部材」又は「暗色筐体部材」は、物品における前面側の筐体全体を構成する部材であってもよいし、物品における前面側の筐体の主要部分を構成する部材であってもよい。
また、本発明の表示構造を備えた物品において、「前面」とは、発光表示素子によって表示がなされる側の面をいい、物品における実際の前面には限られず、物品の上面、物品の背面、物品の側面などの面であってもよい。
また、本発明の表示構造を備えた物品において、「暗色部材」又は「暗色筐体部材」とは、光反射率が極めて低く、前面筐体部材側又は塗装膜からの光を反射して前面筐体部材又は塗装膜にほとんど再入射させないような部材をいう。暗色部材又は暗色筐体部材としては、黒色の部材を用いることが好ましい。
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
[実施形態1]
実施形態1においては、携帯電話を例にとって本発明を説明する。
図1〜図3は、実施形態1に係る携帯電話100を説明するために示す図である。図1(a)は液晶表示部104が見えるように表示部側部材102を開いたときの携帯電話100の斜視図であり、図1(b)は表示部側部材102を閉じたときの携帯電話100の側面図である。図2(a)は表示時における携帯電話100の斜視図であり、図2(b)は非表示時における携帯電話100の斜視図である。図3(a)は表示時における携帯電話100の正面図であり、図3(b)は非表示時における携帯電話100の正面図である。
図4は、実施形態1に係る携帯電話100の分解斜視図である。図5及び図6は、実施形態1に係る携帯電話100を説明するために示す図である。図5(a)は図1(b)のA1−A1断面における表示部側部材102の主要部を模式的に示す図であり、図5(b)は図5(a)の符号B1で示す部分の表示時における拡大図であり、図5(c)は図5(a)の符号B1で示す部分の非表示時における拡大図であり、図5(d)はLED124からの光が透明基材132の内部で多重反射をしている様子を示す図である。図6(a)は携帯電話100における塗装膜130の構造を模式的に示す図であり、図6(b)は変形例1における塗装膜130’の構造を模式的に示す図である。なお、図5(a)においては、液晶表示部104や制御部等の図示を省略している。
実施形態1に係る携帯電話100は、図1に示すように、表示部側部材102と、操作部側部材106と、ヒンジ部とを備え、表示部側部材102と操作部側部材106とがヒンジ部によってそれぞれ回動可能に連結されている。表示部側部材102には液晶表示部104や受話のためのスピーカが配設され、操作部側部材106には操作ボタン106や送話のためのマイクが配設されている。
実施形態1に係る携帯電話100は、図2及び図3に示すように、非表示時には表示構造の存在を意識させることのない表示構造を備えた携帯電話であって、表示構造は、図4又は図5(a)に示すように、透明基材132の前面側に透光性を有する不透明な塗装膜134が形成された前面筐体部材130と、前面筐体部材130の背面側に配設された発光表示素子としてのLED表示素子120と、前面筐体部材130とLED表示素子120との間に配設され、LED124に対応して導光孔142が形成された暗色部材140とを有する。LED表示素子120は、LED回路基板122と、発光部としてのLED124と、反射層126とを有する。
このため、実施形態1に係る携帯電話100によれば、LED表示素子120の前面には透明基材132の前面側に透光性を有する不透明な塗装膜134が形成された前面筐体部材130が配設されているため、表示構造における機械的信頼性が低くなってしまうという第1の問題を解決することが可能になる。
また、実施形態1に係る携帯電話100によれば、前面筐体部材130とLED表示素子120との間にはLED124に対応して導光孔142が形成された暗色部材140が配設されているため、塗装膜134の光拡散率を高い値にしたり塗装膜134の光通過率を低い値にしたりする必要性が小さくなり、表示が滲んで視認性が低下したりLED124からの光の利用効率が大きく低下したりするという第2の問題を解決することが可能になる。この理由は、以下の通りである。
すなわち、図5(b)及び図5(c)に示すように、前面筐体部材130の前面に照射される外光L1,L2のうち、塗装膜134の前面Ioや内部で拡散反射されない一部の光は、塗装膜134を通過して塗装膜134の背面Ii側に射出されることとなる。しかしながら、非表示部分には光反射率の極めて小さな暗色部材140が配置されることになるため、暗色部材140で反射されて塗装膜134の前面Ioから再び外部に射出される光の割合は極めて小さくなる。一方、表示部分には導光孔142が配置されることになるため、塗装膜134の背面Ii側に射出された光はそのまま導光孔142の内部に導かれることになり、やはり塗装膜134の前面Ioから再び外部に射出される光の割合は極めて小さくなる。このため、非表示部分においても表示部分においても塗装膜134の前面Ioから再び外部に射出される光の割合は極めて小さくなるため、塗装膜134の光拡散率を高い値にしたり塗装膜134の光通過率を低い値にしたりしなくても、非点灯状態の場合に模様(セグメント模様、ドット模様など)が目立ってしまうことが抑制されるからである。
また、実施形態1に係る携帯電話100によれば、透明基材132の背面と暗色部材140の前面との界面における反射率が極めて低いため、図5(d)に示すように、LED124からの光が透明基材132に斜めに入射した後、透明基材132の前面と背面との間で反射を繰り返すことにより表示が滲んで視認性が低下してしまうということもない。
また、実施形態1に係る携帯電話100によれば、表示構造の機械的信頼性を高めるために前面筐体部材130の厚みをある程度厚くしたとしても、塗装膜134はもともと前面筐体部材130よりも薄いため、LED124からの光が塗装膜134の内部で強く拡散されることで表示が滲んで視認性が低下してしまうということもない。
実施形態1に係る携帯電話100においては、図5に示すように、前面筐体部材130と暗色部材140とは密着して配置されている。
このため、実施形態1に係る携帯電話100によれば、LED124からの光が前面筐体部材130と暗色部材140との隙間に入射してこれらの間で反射を繰り返すということがなくなるため、このことに起因して表示が滲んで視認性が低下してしまうということがなくなる。
実施形態1に係る携帯電話100においては、暗色部材140は、図5(a)に示すように、前面筐体部材130の背面側ほぼ全面にわたって配設されている。
このため、実施形態1に係る携帯電話100によれば、前面筐体部材130の背面側ほぼ全面にわたって暗色部材140が配設されているため、LED表示素子120が配設された部分とLED表示素子120が配設されていない部分のいずれにおいても、非表示時に塗装膜134の前面から射出される光量がより均一なものとなり、非表示時に表示構造の存在を意識させることをさらに抑制することが可能になる。
実施形態1に係る携帯電話100においては、図5(a)に示すように、前面筐体部材130における暗色部材140が配設されている部分はその周囲部分よりも薄い肉厚を有し、前面筐体部材130は暗色部材140と一体化されている。前面筐体部材130と暗色部材140との一体化は、例えば、2色成形(色の異なる2つの同種材料を型成形する成形技術)、超音波溶着、接着剤の使用によって行うことができる。透明基材132としては、例えば無色透明のポリカーボネートからなるものを、暗色部材140としては、例えば黒色に着色されたポリカーボネートを用いることができる。LED表示素子120は、前面筐体部材130に一体化された暗色部材140に対して図5(a)中の下方からセットしたのち、焼き止め等の手段によって暗色部材140に固定設置されている。
このため、実施形態1に係る携帯電話100によれば、表示構造の機械的信頼性を維持しつつ、LED表示素子120が配設された部分における透明基材132の厚さをより薄くして、導光孔142から塗装膜134までの距離を小さくすることが可能になるため、LED124からの光が塗装膜134に到達するまでに大きく拡がることで表示が滲んで視認性が低下してしまうのを抑制することが可能になる。また、表示構造をよりコンパクトなものにすることが可能になる。
実施形態1に係る携帯電話100においては、塗装膜134として、白色、灰色、黒色、赤色、緑色、青色をはじめ、種々の色の塗装膜を用いることができる。
この場合、塗装膜134が、比較的明度の高い塗装膜である場合には、LED124が点灯したときにのみ比較的明度の高い塗装膜134上に表示が浮かび上がるようになるため、デザイン的にも極めて斬新なものとなる。
実施形態1に係る携帯電話100においては、図4及び図5に示すように、LED表示素子120におけるLED124の周囲(LED回路基板122の表面)には、LED124からの光を反射する反射層126が形成されている。
このため、実施形態1に係る携帯電話100によれば、LED124から背面側に射出された光が反射層126により反射されて導光孔142に導かれるため、光利用効率をさらに高くすることが可能になる。
実施形態1に係る携帯電話100においては、塗装膜134は、図6(a)に示すように、透光性硬質膜134aと、色み付与膜134bと、光拡散性を有する膜134cとが、透光性硬質膜134aが最も前面側に配置されるようにこの順序で積層された構造を有している。
このため、実施形態1に係る携帯電話100によれば、光拡散性を有する膜134cを有しているため、透光性を有する不透明な塗装膜を構成できるようになる。また、実施形態1に係る携帯電話100によれば、色み付与膜134bを有しているため、赤、緑、青をはじめ種々の色の塗装膜を構成できるようになる。さらにまた、塗装膜134の最も前面側には透光性硬質膜134aが配置されることになるため、携帯電話100の表示面における機械的信頼性を高めることが可能になる。なお、色み付与膜134bには、白色、灰色、黒色からなる色みを付与する膜も含まれる。光拡散性を有する膜134cとしては、例えば白色の膜を用いることができる。
[変形例1]
変形例1に係る携帯電話100’(図示せず。)においては、塗装膜134’は、図6(b)に示すように、透光性硬質膜134aと、光拡散性を有する膜134cと、色み付与膜134bとが、透光性硬質膜134aが最も前面側に配置されるようにこの順序で積層された構造を有している。
このため、変形例1に係る携帯電話100’によれば、実施形態1に係る携帯電話100の場合と同様に、透光性を有する不透明な塗装膜を構成できるようになり、赤、緑、青をはじめ種々の色の塗装膜を構成できるようになり、携帯電話100の表示面における機械的信頼性を高めることが可能になる。
[実施形態2]
実施形態2においては、実施形態1と同様に携帯電話を例にとって本発明を説明する。
図7は、実施形態2に係る携帯電話200を説明するために示す図である。図7(a)は表示部側部材202の主要部を模式的に示す図であり、図7(b)は図7(a)の符号B2で示す部分の表示時における拡大図であり、図7(c)は図7(a)の符号B2で示す部分の非表示時における拡大図であり、図7(d)はLED224からの光が低透光性基材232の内部で多重反射をしている様子を示す図である。
実施形態2に係る携帯電話200は、図7に示すように、実施形態1に係る携帯電話100とよく似た構成を有しているが、透明基材に代えて透明樹脂に黒色顔料を混入させたスモーク色の低透光性基材232を有する点及び暗色部材に代えてLED224に対応して導光孔242が形成された灰色の導光部材240を有する点で、実施形態1に係る携帯電話100とは異なる。
このように、実施形態2に係る携帯電話200は、透明基材に代えて低透光性基材232を有する点及び暗色部材に代えて導光部材240を有する点で、実施形態1に係る携帯電話100とは異なるが、実施形態1に係る携帯電話100の場合と同様に、LED表示素子220の前面には前面筐体部材230が配設されているため、表示構造における機械的信頼性が低くなってしまうという第1の問題を解決することが可能になる。
また、実施形態2に係る携帯電話200によれば、低透光性基材232に塗装膜234が形成されているため、塗装膜234の光通過率を低い値にする必要性が小さくなり、表示が滲んで視認性が低下したり、LED224からの光の利用効率が大きく低下したりするという第2の問題を解決することが可能になる。この理由は、以下の通りである。
すなわち、図7(b)又は図7(c)に示すように、前面筐体部材230の前面に照射される外光L1,L2のうち、塗装膜234の前面Ioや内部で拡散反射されない一部の光は、塗装膜234を通過して塗装膜234の背面Ii側に射出されることとなる。しかしながら、塗装膜234の背面Ii側に射出された光は低透光性基材232を通過するうちにその強度が減衰するため、導光部材240の表面で反射されて塗装膜234の前面Ioから再び外部に射出される光の割合は小さくなる。一方、表示部分には導光孔242が配置されることになるため、塗装膜234の背面Ii側に射出された光はそのまま導光孔242の内部に導かれることになり、やはり塗装膜234の前面Ioから再び外部に射出される光の割合は小さくなる。このため、非表示部分においても表示部分においても塗装膜234の前面Ioから再び外部に射出される光の割合は小さくなるため、塗装膜234の光通過率を比較的低い値にしなくても、非点灯状態の場合に模様(セグメント模様、ドット模様など)が目立ってしまうことが抑制されるからである。
また、実施形態2に係る携帯電話200によれば、低透光性基材232の光通過率が低いため、図7(d)に示すように、LED224からの光が低透光性基材232に斜めに入射した後、低透光性基材232の前面と背面との間で反射を繰り返すことにより表示が滲んで視認性が低下してしまうということもない。
また、実施形態2に係る携帯電話200によれば、表示構造における機械的信頼性を高めるために前面筐体部材230の厚みをある程度厚くしたとしても、塗装膜224はもともと前面筐体部材230よりも薄いため、LED224からの光が塗装膜234の内部で強く拡散されることで表示が滲んで視認性が低下してしまうということもない。
なお、実施形態2に係る携帯電話200は、透明基材に代えて低透光性基材232を有する点及び暗色部材に代えて導光部材240を有する点以外の点では実施形態1に係る携帯電話100と同様の構成を有するため、実施形態1に係る携帯電話100が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
[実施形態3]
実施形態3においては、外壁に埋め込んで使用するための表示板を例にとって本発明を説明する。
図8は、実施形態3に係る表示板300を説明するために示す図である。図8(a)は表示板300の正面図であり、図8(b)は図8(a)のA2−A2断面を模式的に示す図であり、図8(c)及び図8(d)は多数の表示板300を用いて構成された外壁350を示す正面図である。なお、図8(c)は表示時における外壁350の正面図であり、図8(d)は非表示時における外壁350の正面図である。
実施形態3に係る表示板300は、図8(c)及び図8(d)に示すように、非表示時には表示構造の存在を意識させることのない表示構造を備えた表示板であって、表示構造は、図8(b)に示すように、透明基材332の前面側に透光性を有する不透明な塗装膜334が形成された前面筐体部材330と、前面筐体部材330の背面側に配設されたLED表示素子320と、前面筐体部材330とLED表示素子320との間に配設され、LED324に対応して導光孔342が形成された暗色部材340とを有する。実施形態3に係る表示板300の表示構造は、実施形態1に係る携帯電話100の表示構造とほぼ同様の構成を有している。
このため、実施形態3に係る表示板300によれば、LED表示素子320の前面には透明基材332の前面側に透光性を有する不透明な塗装膜334が形成された前面筐体部材330が配設されているため、表示構造における機械的信頼性が低くなってしまうという第1の問題を解決することが可能になる。
また、実施形態3に係る表示板300によれば、前面筐体部材330とLED表示素子320との間にはLED324に対応して導光孔342が形成された暗色部材340が配設されているため、実施形態1に係る携帯電話100の場合と同様に、塗装膜334の光拡散率を高い値にしたり塗装膜334の光通過率を低い値にしたりする必要性が小さくなり、表示が滲んで視認性が低下したり、LED324からの光の利用効率が大きく低下したりするという第2の問題を解決することが可能になる。
また、実施形態3に係る表示板300によれば、透明基材332の背面と暗色部材340の前面との界面における反射率が極めて低いため、LED324からの光が透明基材332に斜めに入射した後、透明基材332の前面と背面との間で反射を繰り返すことにより表示が滲んで視認性が低下してしまうということもない。
また、実施形態3に係る表示板300によれば、表示構造における機械的信頼性を高めるために前面筐体部材330の厚みをある程度厚くしたとしても、塗装膜334はもともと前面筐体部材330よりも薄いため、LED324からの光が塗装膜334の内部で強く拡散されることで視認性が低下してしまうということもない。
実施形態3に係る表示板300においては、前面筐体部材330と暗色部材340とは密着して配置されている。
このため、実施形態3に係る表示板300によれば、LED324からの光が前面筐体部材330と暗色部材340との隙間に入射してこれらの間で反射を繰り返すということがなくなるため、このことに起因して表示が滲んで視認性が低下してしまうということもなくなる。
実施形態3に係る表示板300においては、暗色部材340は、前面筐体部材330の背面側ほぼ全面にわたって配設されている。
このため、実施形態3に係る表示板300によれば、前面筐体部材330の背面側ほぼ全面にわたって暗色部材340が配設されているため、LED表示素子320が配設された部分とLED表示素子320が配設されていない部分のいずれにおいても、非表示時に塗装膜334の前面から射出される光量がより均一となり、非表示時に表示構造の存在を意識させることをさらに抑制することが可能になる。
実施形態3に係る表示板300においては、前面筐体部材330における暗色部材340が配設されている部分はその周囲部分よりも薄い肉厚を有し、前面筐体部材330は暗色部材340と一体化されている。
このため、実施形態3に係る表示板300によれば、表示構造における機械的強度を維持しつつ、LED表示素子320が配設された部分における透明基材332の厚さをより薄くして、導光孔342から塗装膜334までの距離を小さくすることが可能になるため、LED324からの光が塗装膜334に到達するまでに大きく拡がることで表示が滲んで視認性が低下してしまうのを抑制することが可能になる。また、表示構造をよりコンパクトなものにすることが可能になる。
実施形態3に係る表示板300においては、塗装膜334として、白色、灰色、黒色、赤色、緑色、青色をはじめ、種々の色の塗装膜を用いることができる。
この場合、塗装膜334が、比較的明度の高い塗装膜である場合には、LED324が点灯したときにのみ比較的明度の高い塗装膜334上に表示が浮かび上がるようになるため、デザイン的にも極めて斬新なものとなる。
実施形態3に係る表示板300においては、図8(b)に示すように、LED表示素子320におけるLED324の周囲(LED回路基板322の表面)には、LED324からの光を反射する反射層326が形成されている。
このため、実施形態3に係る表示板300によれば、LED324から背面側に射出された光が反射層326により反射されて導光孔342に導かれるため、光利用効率をさらに高くすることが可能になる。
実施形態3に係る表示板300においては、塗装膜334は、実施形態1に係る携帯電話100の場合と同様に、透光性硬質膜と、色み付与膜と、光拡散性を有する膜とが、透光性硬質膜が最も前面側に配置されるようにこの順序で積層された構造を有している。
このため、実施形態3に係る表示板300によれば、光拡散性を有する膜を有しているため、透光性を有する不透明な塗装膜を構成できるようになる。また、実施形態3に係る表示板300によれば、色み付与膜を有しているため、赤、緑、青をはじめ種々の色の塗装膜を構成できるようになる。さらにまた、塗装膜334の最も前面側には透光性硬質膜が配置されることになるため、表示板300の表示面における機械的信頼性を高めることが可能になる。
[実施形態4]
実施形態4においては、実施形態3と同様に、外壁に埋め込んで使用するための表示板を例にとって本発明を説明する。
図9は、実施形態4に係る表示板400を説明するために示す図である。図9(a)は表示板400の正面図であり、図9(b)は図9(a)のA3−A3断面を模式的に示す図であり、図9(c)及び図9(d)は多数の表示板400を用いて構成された外壁450を示す正面図である。なお、図9(c)は表示時における外壁450の正面図であり、図9(d)は非表示時における外壁450の正面図である。
実施形態4に係る表示板400は、図9に示すように、実施形態3に係る表示板300とよく似た構成を有しているが、透明基材に代えて透明樹脂に黒色顔料を混入させたスモーク色の低透光性基材432を有する点及び暗色部材に代えてLED424に対応して導光孔442が形成された灰色の導光部材440を有する点で、実施形態3に係る表示板300とは異なる。
このように、実施形態4に係る表示板400は、透明基材に代えて低透光性基材432を有する点及び暗色部材に代えて導光部材440を有する点で、実施形態3に係る表示板300とは異なるが、実施形態3に係る表示板300の場合と同様に、LED表示素子420の前面には前面筐体部材330が配設されているため、表示構造における機械的信頼性が低くなってしまうという第1の問題を解決することが可能になる。
また、実施形態4に係る表示板400によれば、低透光性基材432に塗装膜434が形成されているため、実施形態2に係る携帯電話200の場合と同様に、塗装膜434の光通過率を低い値にする必要性が小さくなり、表示が滲んで視認性が低下したり、LED424からの光の利用効率が大きく低下したりするという第2の問題を解決することが可能になる。
また、実施形態4に係る表示板400によれば、低透光性基材432の光通過率が低いため、LED424からの光が低透光性基材432に斜めに入射した後、低透光性基材432の前面と背面との間で反射を繰り返すことにより表示が滲んで視認性が低下してしまうということもない。
また、実施形態4に係る表示板400によれば、表示構造における機械的信頼性を高めるために前面筐体部材430の厚みをある程度厚くしたとしても、塗装膜434はもともと前面筐体部材430よりも薄いため、LED424からの光が塗装膜434の内部で強く拡散されることで表示が滲んで視認性が低下してしまうということもない。
なお、実施形態4に係る表示板400は、透明基材に代えて低透光性基材432を有する点及び暗色部材に代えて導光部材440を有する点以外の点では実施形態3に係る表示板300と同様の構成を有するため、実施形態3に係る表示板300が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
[実施形態5]
実施形態5においては、エレベータにおける出入り口の上部に取り付けて使用するための表示板を例にとって本発明を説明する。
図10は、実施形態5に係る表示板500を説明するために示す図である。図10(a)は表示板500の正面図であり、図10(b)は図10(a)のA4−A4断面を模式的に示す図であり、図10(c)及び図10(d)は表示板500を取り付けた場合におけるエレベータ550の出入り口を示す正面図である。なお、図10(c)は表示時におけるエレベータ550の出入り口を示す正面図であり、図10(d)は非表示時におけるエレベータ550の出入り口を示す正面図である。
実施形態5に係る表示板500は、図10(c)及び図10(d)に示すように、エレベータ550の出入り口の近傍に人が近づいたことをセンサ552が検知すると、エレベータ550が現在どの階にいるのかを表示するとともに、エレベータ550の出入り口の近傍に人が居ないことをセンサ552が検知すると、何も表示しないように構成されている。
実施形態5に係る表示板500は、図10(c)及び図10(d)に示すように、非表示時には表示構造の存在を意識させることのない表示構造を備えた表示板であって、表示構造は、図10(b)に示すように、LED表示素子520と、LED表示素子520の前面側に配設され、LED524に対応して導光部542が形成され、前面側の面が平面になるように導光部542の全部又は一部が透光性部材で埋められた構造を有する暗色筐体部材540とを有し、暗色筐体部材540の前面側には透光性を有する不透明な塗装膜534が形成されている。
このため、実施形態5に係る表示板500によれば、LED表示素子520の前面には前面側の面が平面になるように導光部542の全部又は一部が透光性部材で埋められた構造を有する暗色筐体部材540が配設されているため、表示構造における機械的信頼性が低くなってしまうという第1の問題を解決することが可能になる。
また、実施形態5に係る表示板500によれば、塗装膜534とLED表示素子520との間にはLED524に対応して導光部542が形成された暗色筐体部材540が配設されているため、塗装膜534の光拡散率を高くしたり塗装膜534の光通過率を低い値にする必要性が小さくなり、実施形態3に係る表示板300又は実施形態4に係る表示板400の場合と同様に、表示が滲んで視認性が低下したり、LED524からの光の利用効率が大きく低下したりするという第2の問題を解決することが可能になる。
また、実施形態5に係る表示板500によれば、表示構造の機械的信頼性を高めるために暗色筐体部材540の厚みをある程度厚くしたとしても、暗色筐体部材540の前面側に塗装膜534が形成されているため、LED524からの光が塗装膜534に到達するまでに大きく拡がることで表示が滲んで視認性が低下してしまうということもない。
また、実施形態5に係る表示板500においては、表示構造における機械的信頼性を維持しつつ、導光部542から塗装膜534までの距離を極力小さくすることが可能になるため、LED524からの光が塗装膜534に到達するまでに大きく拡がることで表示が滲んで視認性が低下してしまうのを極力抑制することが可能になる。
実施形態5に係る表示板500においては、塗装膜534として、白色、灰色、黒色、赤色、緑色、青色をはじめ、種々の色の塗装膜を用いることができる。
この場合、塗装膜534が、比較的明度の高い塗装膜である場合には、LED524が点灯したときにのみ比較的明度の高い塗装膜534上に表示が浮かび上がるようになるため、デザイン的にも極めて斬新なものとなる。
実施形態5に係る表示板500においては、図10(b)に示すように、LED表示素子520におけるLED524の周囲(LED回路基板522の表面)には、LED524からの光を反射する反射層526が形成されている。
このため、実施形態5に係る表示板500によれば、LED524から背面側に射出された光が反射層526により反射されて導光部542に導かれるため、光利用効率をさらに高くすることが可能になる。
実施形態5に係る表示板500においては、塗装膜534は、実施形態1に係る携帯電話100の場合と同様に、透光性硬質膜と、色み付与膜と、光拡散性を有する膜とが、透光性硬質膜が最も前面側に配置されるようにこの順序で積層された構造を有している。
このため、実施形態5に係る表示板500によれば、光拡散性を有する膜を有しているため、透光性を有する不透明な塗装膜を構成できるようになる。また、色み付与膜を有しているため、赤、緑、青をはじめ種々の色の塗装膜を構成できるようになる。さらにまた、塗装膜534の最も前面側には透光性硬質膜が配置されることになるため、表示板500の表示面における機械的信頼性を高めることが可能になる。
[実施形態6]
実施形態6においては、実施形態5と同様に、エレベータにおける出入り口の上部に取り付けて使用するための表示板を例にとって本発明を説明する。
図11は、実施形態6に係る表示板600を説明するために示す図である。図11(a)は表示板600の正面図であり、図11(b)は図11(a)のA5−A5断面を模式的に示す図であり、図11(c)及び図11(d)は表示板600を取り付けた場合におけるエレベータ650の出入り口を示す正面図である。なお、図11(c)は表示時におけるエレベータ650の出入り口を示す正面図であり、図11(d)は非表示時におけるエレベータ650の出入り口を示す正面図である。
実施形態6に係る表示板600は、図11(c)及び図11(d)に示すように、エレベータ650の出入り口の近傍に人が近づいたことをセンサ652が検知すると、エレベータ650が現在どの階にいるのかを表示するとともに、エレベータ650の出入り口の近傍に人が居ないことをセンサ652が検知すると、何も表示しないように構成されている。実施形態6に係る表示板600は、実施形態5に係る表示板500と同様に構成されている。
実施形態6に係る表示板600は、実施形態3に係る表示板300とよく似た構造を有しているが、塗装膜が形成される位置が実施形態3に係る表示板300の場合とは異なっている。すなわち、実施形態6に係る表示板600においては、図11(b)に示すように、塗装膜634は、透明基材632の背面側に配設されている。
このように、実施形態6に係る表示板600は、塗装膜が形成される位置が実施形態3に係る表示板300の場合とは異なっているが、実施形態3に係る表示板300の場合と同様に、LED表示素子620の前面には所定の前面筐体部材630が配設されているため、実施形態3に係る表示板300の場合と同様に、表示構造における機械的信頼性が低くなってしまうという第1の問題を解決することが可能になる。
また、実施形態6に係る表示板600においては、前面筐体部材632とLED表示素子620との間にはLED624に対応して導光孔642が形成された暗色部材640が配設されているため、実施形態3に係る表示板300の場合と同様の理由により、塗装膜634の光拡散率を高い値にしたり塗装膜634の光通過率を低い値にしたりする必要性が小さくなり、表示が滲んで視認性が低下したり、LED624からの光の利用効率が大きく低下したりするという第2の問題を解決することが可能になる。
また、実施形態6に係る表示板600においては、表示構造における機械的信頼性を高めるために前面筐体部材630の厚みをある程度厚くしたとしても、前面筐体部材630の背面側に塗装膜634が形成されているため、LED624からの光が塗装膜634に到達するまでに大きく拡がることで表示が滲んで視認性が低下してしまうということもない。
また、実施形態6に係る表示板600においては、表示構造における機械的信頼性を維持しつつ、導光孔642から塗装膜634までの距離を極力小さくすることが可能になるため、LED624からの光が塗装膜634に到達するまでに大きく拡がることで表示が滲んで視認性が低下してしまうのを極力抑制することが可能になる。
さらにまた、実施形態6に係る表示板600においては、透明基材632の背面側に塗装膜634が形成されており、表示時には透明基材632の背面側で表示がなされるため、デザイン的にも極めて斬新なものとなる。
実施形態6に係る表示板600においては、図11(b)に示すように、暗色部材640は、前面筐体部材630の背面側ほぼ全面にわたって配設されている。
このため、実施形態6に係る表示板600によれば、前面筐体部材630の背面側ほぼ全面にわたって暗色部材640が配設されているため、LED表示素子620が配設された部分とLED表示素子620が配設されていない部分のいずれにおいても、非表示時に塗装膜634の前面から射出される光量がより均一なものとなり、非表示時に表示構造の存在を意識させることをさらに抑制することが可能になる。
実施形態6に係る表示板600においては、塗装膜634として、白色、灰色、黒色、赤色、緑色、青色をはじめ、種々の色の塗装膜を用いることができる。
この場合、塗装膜634が、比較的明度の高い塗装膜である場合には、LED624が点灯したときにのみ比較的明度の高い塗装膜634上に表示が浮かび上がるようになるため、デザイン的にも極めて斬新なものとなる。
実施形態6に係る表示板600においては、図11(b)に示すように、LED表示素子620におけるLED624の周囲(LED回路基板622の表面)には、LED624からの光を反射する反射層626が形成されている。
このため、実施形態6に係る表示板600によれば、LED624から背面側に射出された光が反射層626により反射されて導光孔642に導かれるため、光利用効率をさらに高くすることが可能になる。
実施形態6に係る表示板600においては、塗装膜634は、色み付与膜と光拡散性を有する膜とが積層された構造を有している。
このため、実施形態6に係る表示板600によれば、光拡散性を有する膜を有しているため、透光性を有する不透明な塗装膜を構成できるようになる。また、色み付与膜を有しているため、種々の色の塗装膜を構成できるようになる。なお、色み付与膜には、実施形態3に係る表示板300の場合と同様に、白色、灰色、黒色からなる色みを付与する膜も含まれる。また、透明基材632として機械的信頼性、化学的信頼性の高い透明基材を用いたり、透明基材632の前面側に機械的信頼性、化学的信頼性の高いコーティングを施したりすることによって、表示板の表示面における機械的信頼性を高めることも可能である。
以上、本発明の表示構造を備えた物品(携帯電話及び表示板)を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(1)実施形態1又は2に係る携帯電話100,200においては、16セグメント型のLED表示素子を用いた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、7セグメント型のLED表示素子やドットマトリクス型のLED表示素子を用いることも可能である。また、LED表示素子に代えて、LD表示素子、EL表示素子、蛍光管表示素子、ランプ型表示素子などの各種発光表示素子を用いることも可能である。
(2)実施形態1又は2に係る携帯電話100,200においては、透明基材132や低透光性基材232を、樹脂材料の一態様であるポリカーボネートによって形成しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、所望する光透過率を具備した材料であれば、上記ポリカーボネート以外の様々な材料、例えばアクリル樹脂やABS樹脂等によって透明基材132や低透光性基材232を構成し得ることはいうまでもない。
(3)実施形態2に係る携帯電話200又は実施形態4に係る表示板400においては、低透光性基材として、透明樹脂に黒色顔料を混入させたスモーク色の低透光性基材232,432を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、光の減衰を助長する物性を満足するものであれば、黒色以外の適宜な色彩の顔料を混入させてなる透明樹脂や、光透過率の低い透明樹脂を用いることも可能である。
(4)実施形態2に係る携帯電話200又は実施形態4に係る表示板400においては、導光部材として、導光孔242,442が形成された灰色の導光部材240,440を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、実施形態1又は3に記載された暗色部材140,340を用いることも可能である。
(5)実施形態1又は2では携帯電話100,200を例にとって本発明を説明し、実施形態3〜6のいずれかでは表示板300,400,500,600を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の表示構造を備えた物品は、例えば、腕時計、置時計、携帯電話以外の携帯機器(例えばPDA(パーソナル・データ・アシスタンス)等の情報携帯端末)、家電製品、事務機器、電子機器、家具、壁、壁構成物品、建造物又は乗り物(例えば、自動車、列車など)であることもできる。自動車や列車に本発明を適用する場合には、自動車や列車の内面部又は外面部に上記のような表示構造を設けることが可能である。
(6)本発明は、上記した各実施形態に係る表示構造を備えた物品に限定されるものではない。すなわち、本発明は、背景技術の欄で説明した腕時計700の場合のように発光表示素子としてのLED表示部720に塗装膜を直接形成するのではなく、発光表示素子の前面側に前面筐体部材を設けるとともにその前面筐体部材に塗装膜を形成することにより、表示構造における機械的信頼性が低くなってしまうという問題を解決することが可能となるような、表示構造を有する物品をも含むものである。また、そのような表示構造を有する物品において、前面筐体部材に導光部と非導光部とを設けることにより、発光部からの光の利用効率が極めて低い値になったり視認性が低下したりするという問題を解決することが可能となるような、表示構造を有する物品をも含むものである。
100,900…携帯電話、102,202,910…表示部側部材、104…液晶表示部、106…操作部側部材、108…操作ボタン、120,220,320,420,520,620,920…LED表示素子、122,222,322,422,522,622,722,822,922…LED回路基板、124,224,324,424,524,624,724,824,924…LED、126,226,326,426,526,626…反射層、130,230,330,430,630…前面筐体部材、132,332,632…透明基材、134,134’,234,334,434,534,634…塗装膜、134a…透光性硬質膜、134b…色み付与膜、134c…光拡散性を有する膜、140,340,640…暗色部材、142,242,342,442,642…導光孔、232,432…低透光性基材、240,440…導光部材、300,400,500,600…表示板、350,450…外壁、540…暗色筐体部材、542…導光部、550,650…エレベータ、552,652…センサ、700…腕時計、710…時計本体部、720,820…LED表示部、726,826,940…不透光性部材、728,828,942…透光性部材、730…白色塗装膜、740…バンド部、750…時計バンド、752…スイッチ、754…配線、800…置時計、810…筐体、830…木質シート、930…黒色ジャケット