JP5213386B2 - 成形性に優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼薄板及びその製造方法 - Google Patents

成形性に優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼薄板及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、成形性に優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼薄板及びその製造方法に関する。本発明によれば、高価かつ希少な元素であるNiを多量に含有することなく成形性に優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼薄板を製造することができるため、資源保護ならびに環境保全に貢献しうるものと考えられる。
ステンレス鋼を大きく分類するとオーステナイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、2相(フェライト・オーステナイト)系ステンレス鋼に分けられる。オーステナイト系ステンレス鋼は、高価なNiを7%以上含有し、成形性に優れた鋼種が多い。フェライト系ステンレス鋼はNiをほとんど含有せず、一般的に成形性はオーステナイト系ステンレス鋼に比べてかなり低い。一方、2相(フェライト・オーステナイト)系ステンレス鋼は、Ni含有量が比較的少なく、成形性、耐食性などにおいてオーステナイト系ステンレス鋼とフェライト系ステンレス鋼の中間的な位置づけを持つ鋼種が多いとされている。しかし近年、フェライト・オーステナイト系ステンレス鋼においても塑性加工時のオーステナイト相の加工誘起マルテンサイト変態を活用してオーステナイト系ステンレス鋼に近い成形性を有する技術が開発されている。特許文献1では主構成相がフェライト相であり、残留オーステナイト相を含有するステンレス鋼を用いて、TRIP現象によって引張破断伸びを高めた技術が記載されている。特許文献2ではオーステナイト相の安定性を規定し、引張伸びを高める方法が述べられている。特許文献3においてはオーステナイト相の分率ならびにオーステナイト相中のC、N量を規定し、引張試験における全伸びを高める技術が示されている。
しかし、特許文献1では、実施例に示されるように引張破断伸びの値が34〜42%と必ずしも破断伸びが高くはない。また実際の成形加工においては鋼板が破断して「割れ」が発生していなくとも板厚減少(ネッキング)が生じた時点で成形不可と判断することが多い。すなわち引張試験における「破断伸び」より、均一変形限界である「均一伸び」が成形性を決めるが、均一伸びについてはどの程度のレベルにあるのか不明である。特許文献2においては引張破断伸びが最大46%まで、また特許文献3においては実施例で最大71%までの破断伸びが記載されているが、これらの文献においても実際の成形性を支配する均一伸びについては一切記載されていない。
以上のようにフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼の延性を向上するための知見は存在するが、いずれも引張破断伸びを向上させるための手法である。破断伸びは均一伸びと局部伸びからなるため、局部伸びを増加させることで破断伸びが増加する場合も考えられる。しかし均一伸びが増加しなければ、実際の成形性は向上しない。上記の技術においては実際の成形において重要な均一伸びを向上させる手法については一切記載がない。
特開平10−219407号公報 特開平11−71643号公報 特開2006−169622号公報
上記のような技術背景に鑑み、本発明では高価かつ希少な元素であるNiを多量に含有することなく、実際の成形性を支配する因子である「均一伸び」の高いフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼薄板及びその製造方法を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記の課題に対し、均一伸びを支配する金属組織因子を調査するために実験室にて種々のフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼を溶製し、熱間圧延後、焼鈍および冷間圧延を実施して薄鋼板を製造した。得られた薄鋼板の金属組織と引張試験後の均一伸びとの関係を調査した結果、下記の知見を得た。
均一伸びが高い鋼種におけるオーステナイト粒の特徴は、
「(1)結晶粒径が小さく、その形状が球形に近い(圧延方向に展伸していない)。
(2)最近接のオーステナイト粒の間隔が狭い。
(3)オーステナイト相中の化学組成から計算されるオーステナイト安定度に適正値がある。」
であった。詳細を以下に述べる。
まず、0.006〜0.030%C−0.10〜0.85%Si−1.0〜3.0%Mn−0.022〜0.039%P−0.0002〜0.0035%S−20.1〜21.0%Cr−0.08〜0.12%Nの組成を有する10鋼種を溶製後、熱間圧延した後に、焼鈍と冷間圧延によって薄鋼板を製造するに当り、熱間圧延条件、焼鈍温度等の製造条件を変化させた。得られた1mm厚の薄鋼板より圧延方向に平行にJIS13号B引張試験片を採取し、JIS Z 2201に準拠した方法で均一伸びを測定した。また薄鋼板の圧延幅方向中心位置の圧延幅方向に垂直な断面(L断面)の金属組織をEBSPにより調査し、相の同定を行った。EBSPより得られたデータを結晶粒ごとにフェライト粒(BCC相)およびオーステナイト粒(FCC相)に分類し、まずオーステナイト相率を測定した。また隣接する測定点における結晶方位差が15°以上の箇所については結晶粒界とみなして黒線で示した。測定例を図1に示す。図1(a)はBCC相を、図1(b)はFCC相を白色表示で示す図である。
さらに、オーステナイト粒(FCC相)の各粒の結晶粒径及びアスペクト比を測定し、またオーステナイト粒に関しては最近接粒間距離を測定した。最近接粒間距離は各オーステナイト粒の中心位置同士の距離で最も小さな値をその粒の最近接粒間距離とした。各結晶粒の中心位置は、粒の圧延方向長さをL、板厚方向長さをHとしたときに、1/2Lかつ1/2Hの位置を結晶粒の中心位置とした。各オーステナイト粒100個について各々の最近接粒間距離を測定し、それらの平均値を求めた。
また、EPMAを用いてオーステナイト粒内の化学組成を調査した。得られた化学組成よりオーステナイト相の安定度の指標としてMd値を計算した。ここでMdは下式(2)により計算されるオーステナイト安定度を表す指標である。本計算式の係数は、野原らの式(鉄と鋼63(1977)p.772参照)を参考にした。式中の[ ]は各元素のEPMAで測定された組成を示す。ただし、Cについてはオーステナイト相中の定量がEPMAで困難であるため、平均組成{ }を示す。ここで言う「平均組成」とは、相によらず鋼中に含まれる平均的な組成を表し、JIS G 1211に記載されている燃焼−赤外線吸光法により求める。
Md=551−462({C}+[N])−9.2[Si]−8.1[Mn]−13.7[Cr]−29[Ni]−29[Cu]−18.5[Mo]・・・・・(2)
Md値はオーステナイト粒内の化学組成によって決定される。したがってオーステナイト粒内の化学組成を例えば焼鈍温度や焼鈍時間等で変えることでMd値を調整することができる。
N、Cu、Ni、Mnはオーステナイト相中に濃化する、すなわちフェライト相中の濃度よりオーステナイト相中の濃度のほうが高い元素であるため、これらは添加量を増やすことでMd値を低下させることができる。また通常、オーステナイト相の組成はその焼鈍温度で決まる平衡組成にはなっていない。これは各元素がある焼鈍温度でオーステナイト相及びフェライト相へ分配するための拡散に時間を要するためである。したがって最終焼鈍工程において保持時間を長くすることにより平衡組成に近づく(N、Cu、Ni、Mnのオーステナイト相中の濃度が高まる)ため、保持時間を長時間化することもMd値を低下させるのに有効な方法である。但し、保持時間は30分もあればほぼ平衡組成に達する。
CはMd値を下げる元素であり、添加量を増やすことでMd値を低下させることができる。またCもオーステナイト相中へ濃化する元素であるが、オーステナイト相中の濃度測定が困難であり、本願発明ではMd値の計算式ではCは平均組成を用いている。したがって焼鈍時の保定時間は本願発明のMd値には影響しない。
Si、CrはMd値への影響は明確には言えない。すなわち、これらの元素はMd値へマイナスの係数で効いてくるため、これらの元素を単独で見た場合、添加量が多い方がMd値が低下する。しかし、Si、Cr量が高い場合、Mn、Ni、Cu等のオーステナイト相中の濃度が低下するため、Md値が逆に増加する場合もある。Mn、Ni、Cuやその他の元素の濃度、焼鈍条件によってCr、Siの影響度合いは変化する。
前述のようにMd値はオーステナイト粒内の化学組成によって決定される。オーステナイト粒内の化学組成はオーステナイト相率によっても変化する。すなわちオーステナイト相率が低い時にはオーステナイト相中のオーステナイト生成元素の濃度が高くなるため、Md値は低下する傾向にある。一方、オーステナイト相率が低いときにはオーステナイト相中のオーステナイト生成元素の濃度は低くなるため、Md値は上昇する。またオーステナイト相率は温度によって変化する。本願発明で規定する成分では1000℃〜1150℃で最もオーステナイト相率が高く、それより温度が高かったり低かったりするとオーステナイト相率が減少する。
また、均一伸びの絶対値は高いほど成形性は高いが、均一伸びが30%以上あればフェライト系ステンレス鋼に比べて高いレベルであり、40%以上あれば良成形性のオーステナイト系ステンレス鋼とほぼ同形状の加工が可能である。
まず、全データについてオーステナイト相の体積分率(オーステナイト相率)と均一伸びの関係を調査した。オーステナイト相と引張試験時の均一伸びとの関係を図2に示す。均一伸びはオーステナイト相率に対して適性範囲を持ち、これが高すぎても低すぎても均一伸びは低下する。均一伸び30%以上を確保するためにはオーステナイト相率は10%以上50%未満とする必要がある。好ましくは15〜40%である。
次にオーステナイト相率が10%以上50%未満のデータについてMd値と均一伸びの関係を図3に示す。良好な均一伸びを得るためにはMd値もオーステナイト相率と同様に適正な範囲が存在する。Md値が−10から+110の範囲で均一伸びが34〜44%と高い値を示すが、これを外れる範囲ではこのような高い均一伸びは得られない。但し、Md値だけでは均一伸びのばらつきが大きく、これ以外の組織因子も均一伸びへ影響を与えることが考えられる。
オーステナイト粒の結晶粒径及びその形状が均一伸びに影響すると考えられたため、図3のMd値が−10から+110のデータについて、「結晶粒径が15μm以下かつ形状アスペクト比が3未満のオーステナイト粒が全オーステナイト粒に占める割合」X(%)を測定し、均一伸びu−EL(%)との関係を調査した。その結果を図4に示す。図4に示すように、この割合が高いほど均一伸びは高い傾向を示し、割合が90%以上のときに更に良好な均一伸びが得られる。
さらに、図4中の均一伸びが37%以上のデータを抽出して、前述のように測定したオーステナイト粒の最近接粒との平均距離X(μm)と均一伸びu−EL(%)の関係を図5に示す。最近接粒との距離の平均値が短いほど均一伸びは増加し、12μm以下のときに均一伸びが極めて高くなる。
本発明は、上記知見に基づくものであって、その発明の要旨は以下のとおりである。
) 質量%で、
C:0.002〜0.100%、
Si:0.05〜2.00%、
Mn:0.05〜5.00%、
P:0.050%未満、
S:0.010%未満、
Cr:17〜25%、
N:0.010〜0.150%、
を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなり、
オーステナイト相の体積分率が10%以上50%未満であり、オーステナイト相中の化学組成より計算されるMd値が下記(1)式を満足し、圧延幅方向に垂直な断面において結晶粒径が15μm以下かつ形状アスペクト比が3未満であるオーステナイト粒の割合が全オーステナイト粒数の90%以上を占め、また同断面において最近接のオーステナイト粒間の平均距離が12μm以下であることを特徴とする成形性に優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼薄板。
−10≦Md≦110・・・(1)
(ここでMd=551−462({C}+[N])−9.2[Si]−8.1[Mn]−13.7[Cr]−29[Ni]―29[Cu]−18.5[Mo]、 [ ]はオーステナイト相中の組成(質量%)、{ }は平均組成(質量%))
さらに、質量%で、
Ni:5.00%以下、
Cu:5.00%以下
Mo:5.00%以下
の1種または2種以上を含有することを特徴とする上記()記載の成形性に優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼薄板。
さらに、質量%で、
Nb:0.50%以下、
Ti:0.50%以下、
の1種または2種を含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の成形性に優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼薄板。
さらに、質量%で、
Ca:0.0030%以下、
Mg:0.0030%以下、
の1種または2種を含有することを特徴とする上記(1)乃至()のいずれかに記載の成形性に優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼薄板。
) 上記(1)乃至()のいずれかに記載の成分の鋼を連続鋳造し、得られた鋼片を熱間圧延前に1150℃以上1250℃未満の加熱温度T(℃)にて加熱後、1000℃以上で30%以上の圧下率を有する圧下に引き続いて30s以上保持する圧延を1パス以上実施し、熱間圧延の総圧延率96%以上として得られた熱延板をT−100℃以上T℃以下の温度で焼鈍して、しかる後に冷延を実施し、最終焼鈍を1000℃〜1100℃にて実施することを特徴とする成形性に優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼薄板の製造方法。
(6) 前記(5)に記載の冷延は、1150℃以上1250℃未満の加熱温度T −100℃以上T ℃以下の温度での中間焼鈍を実施するものであることを特徴とする成形性に優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼薄板の製造方法。
本発明によれば、多量のNiを含有することなく、成形性、特に均一伸びに優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス薄鋼板を得ることができ、従来、多量のNiを含有したオーステナイト系ステンレス鋼板が用いられていた部品に適用できるため、Ni資源の節約の点で地球環境に大きく貢献するものである。
以下に本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の重要な要素である金属組織について説明する。
オーステナイト相の体積分率が10%以上50%未満:前述の検討結果のように良好な均一伸びを得るためにはオーステナイト相の割合が10%以上必要であるため、これを下限とした。またオーステナイト相率は高いほど均一伸びが高くなるわけではなく、50%を超えると逆に均一伸びを低下させるためこれを上限とした。オーステナイト相率の測定は、EBSPを用いて相を分類し、オーステナイト粒のみを抽出してからその面積率を測定する方法が良い。このとき測定範囲は200μm×200μm以上とする。本発明においてオーステナイト相率が成形性(均一伸び)の指標として重要であるが、この理由については次のように考えている。オーステナイト相は成形途中に加工誘起マルテンサイト変態を生じ、均一伸びの増加に寄与する。このときにその変態量が少ないと均一伸びが少なくなる。またオーステナイト相率が50%を超える場合に均一伸びが低い原因は現段階では明らかではないが、オーステナイト相に比べて軟質なフェライト相に変形が集中するためと推察される。
オーステナイト相中の化学組成より計算されるMd値が−10以上110以下:本発明においてはオーステナイト相の性質についても規定される。すなわち、オーステナイト相中の化学組成より計算されるMd値が下記(1)式を満足することを特徴とする。
−10≦Md≦110・・・(1)
(ここでMd=551−462({C}+[N])−9.2[Si]−8.1[Mn]−13.7[Cr]−29[Ni]―29[Cu]−18.5[Mo]、 [ ]はオーステナイト相中の組成(質量%)、{ }は平均組成(質量%))
Mdの計算の基となるオーステナイト相中の化学組成はEPMAにより測定される。上記のMd計算式における[ ]は各元素のEPMAで測定されたオーステナイト相中の組成(質量%)を示す。ただし、CについてはEPMAでの測定が困難であるため、オーステナイト相中の組成でなく、平均組成(重量%)を示す。Md値が−10未満及び+110超の場合は良好な均一伸びが得られないため、これを下限及び上限とした。均一伸びがMd値に影響を及ぼす原因は次のように考えられる。Md値はオーステナイト相の安定度を表す指標であり、すなわち加工誘起マルテンサイト変態を生じるために必要な歪量を表すと言える。この歪量が小さすぎると成形初期段階で加工誘起マルテンサイト変態が完了し、成形可否に重要な成形後期段階で十分な延性が保てない。また上記歪量が大きすぎる場合には、その歪量に達する前に均一変形が完了して加工誘起マルテンサイト変態を有効に活用できないことになる。したがって成形途中に加工誘起マルテンサイト変態が生じるような適正なMd値範囲が存在する。
結晶粒径が15μm以下かつ形状アスペクト比が3未満であるオーステナイト粒の割合が全オーステナイト粒数の90%以上:良好な均一伸びが得られるときのオーステナイト粒の金属組織的特徴としては、細粒かつ圧延方向に展伸していないことであり、具体的には結晶粒径が15μm以下かつ形状アスペクト比が3未満であるオーステナイト粒の割合が全オーステナイト粒数の90%以上である。結晶粒径が15μm超の結晶粒が多い場合には均一伸びが低くなるため、これを上限とした。また下限は特に規定する必要はないが、1μm以下とするには製造工程におけるコストが大きく増加するため、下限は1μmとすることが望ましい。
また結晶粒の形状も重要な因子であり、本発明においてはL断面(圧延方向に平行な面を板幅方向から観察した面)からの観察により、各粒のアスペクト比を測定し、アスペクト比が3未満の結晶粒の割合が重要となる。このとき、アスペクト比が3以上であると均一伸びが低下する傾向にあるため、組織因子として規定するアスペクト比条件を3未満とした。アスペクト比の測定方法は、各粒の最長辺の長さをそれに直交する長さで除した値とする。したがってアスペクト比の下限は1となる。結晶粒径及びアスペクト比を測定する結晶粒数は100個以上とする。本発明においてはオーステナイト粒径および粒形が均一伸びに影響を与えることがはじめて明らかとなったが、この理由については現段階では不明である。しかし、オーステナイト粒内の変形形態(転位密度、変形帯や双晶の有無など)に影響を及ぼし、これが加工誘起マルテンサイト変態挙動を変化させたと考えられる。
最近接のオーステナイト粒間の平均距離が12μm以下:最近接のオーステナイト粒間距離も均一伸びに影響を及ぼすため、その平均距離を12μm以下とする。12μmを超えると均一伸びが低下するためこれを上限とした。また下限については特に規定しない。最近接粒間距離は各オーステナイト粒の圧延方向長さ中心線と板厚方向長さ中心線の交点を結晶粒の中心位置とし、各粒の中心位置同士の距離で最も小さな値をその粒の最近接粒間距離とする。これを100結晶粒以上について測定した結果の平均値をもって「最近接のオーステナイト粒間の平均距離」と定義する。最近接のオーステナイト粒間の平均距離が均一伸びに影響を与える原因としては次のように考えている。変形過程においてあるオーステナイト粒に歪が導入されて加工誘起マルテンサイト変態が生じ、ある程度の歪に達したときに変形が周囲に広がっていく過程を考えると、オーステナイト粒間距離が短いほうが加工誘起マルテンサイト変態が幾つかの結晶粒に伝播して継続的に生じて高い均一伸びを得ることができる。
なお均一伸びは本発明において成形性を代表する重要な指標である。均一伸びの測定はJIS13号B引張試験片を圧延方向に平行に採取し、JIS Z 2241に準拠した方法で行う。
なお、本発明においてフェライト粒の状態は特に規定しないが、フェライト相の結晶粒径が粗大である場合には、上述のオーステナイト粒間距離が大きくなることになるので、結晶粒径は平均で25μm以下が望ましく、また形状アスペクト比が大きい場合もオーステナイト粒間距離が大きくなることになるので3未満であることが望ましい。
以下に成分の限定理由を述べる。なお、以下に示す「%」とは質量%を表す。
C:0.002〜0.100%、
Cはオーステナイト相の安定度に大きな影響を及ぼす元素である。0.100%超の添加をすると均一伸びが低下する場合がある。またCr炭化物の析出を促進するために粒界腐食の発生をもたらすため、0.100%を上限とした。また耐食性の点からCは低くするほうが好ましいが、現存の設備能力を考慮するとC量を0.002%未満に低下させるには大きなコスト増加を招くため、これを下限とした。好ましくは、0.002〜0.8%である。
Si:0.05〜2.00%、
Siは脱酸元素として使われたり、耐酸化性向上のために添加されたりする場合がある。しかし、2.00%超の添加は材料の硬質化をもたらし、均一伸びが低下するため、これを上限とした。好ましくは1.6%以下である。またSiを極低減するためには精錬時のコスト増加を招くため、下限を0.05とした。好ましくは0.08%である。
Mn:0.05〜5.00%、
Mnはオーステナイト相に濃化し、オーステナイト相の安定度を変化させるのに重要な役割を持つ。しかし多量の添加は均一伸びが低下するばかりでなく、耐食性や熱間加工性の低下をもたらすため、上限を5.00%とした。0.05%未満とするには精錬工程におけるコストの増加を招くため、これを下限とした。耐食性の点からは低い方が好ましく上限は3.00%とすることがさらに望ましい。また、さらに上限を2.80%とすることが望ましい。
P:0.050%未満、
Pは不可避的に混入する元素であり、またCrなどの原料に含有されているため、低減することが困難であるが、多量に含有した場合には成形性を低下させるため、上限を0.050%未満としたが、低いほど好ましく0.035%以下とすることが好ましい。
S:0.010%未満、
Sは不可避的に混入する元素であり、Mnと結合して介在物をつくり、発銹の基点となる場合があるため、上限を0.010%未満とした。低いほど耐食性からは好ましいため、0.0020%以下とすることが望ましい。
Cr:17〜25%、
Crは耐食性を確保するために必要な元素であり、17%以上の添加が必要である。しかし、多量の添加は熱間加工割れをもたらしたり、精錬工程のコスト増加につながるため、上限を25%とした。好ましくは17〜22%である。
N:0.010〜0.150%、
NはCと同様にオーステナイト相の安定度に大きな影響を及ぼす元素である。また固溶して存在した場合に耐食性を向上させる効果を持つため、0.010以上添加することとする。但し、0.150%超添加した場合は均一伸びが低下する場合が認められるほか、Cr窒化物が析出しやすくなって逆に耐食性の低下をもたらすため、これを上限とした。好ましくは0.03〜0.13%である。
また、選択的に下記元素を添加することができる。
Ni:5.00%以下、
Niはオーステナイト安定化元素であり、オーステナイト相の安定度を調整するために重要な元素である。また熱間加工割れを抑制する効果を持つため、これらの効果を発揮させる場合に0.10%以上添加しても良い。5.00%を超える添加は、原料コストの増加をもたらし、またオーステナイト、フェライトの2相組織得ることが困難になる場合があるため、これを上限とした。好ましくは3.00%以下である。
Cu:5.00%以下
CuもNi同様、オーステナイト安定化元素であり、オーステナイト相の安定度を調整するために重要な元素である。また耐食性を向上する効果を持つため、0.10%以上添加しても良い。ただし、5.00%を超える添加は熱間加工時の割れを促進し、また耐食性を低下させるため、これを上限とした。
Mo:5.00%以下
Moは耐食性を向上させる元素であるため、選択的に添加しても良い。0.10%以上の添加により、耐食性向上効果が発揮されるため、これ以上添加することが好ましい。ただし、5.00%を超えると均一伸びが低下し、原料コストが大きく増加するため、これを上限とした。
Nb:0.50%以下、
Nbは溶接熱影響部の粗大化を防止する効果があるため、添加しても良い効果を発揮するためには0.03%以上の添加が必要であるため、これを下限として添加しても良い。ただし、0.50%超の添加は均一伸びを低下させるため、これを上限とした。
Ti:0.50%以下、
TiもNb同様、溶接熱影響部の粗大化を防止したり、さらには凝固組織を微細等軸晶化するため、0.03%以上添加しても良い。ただし、0.50%超の添加は均一伸びを低下させるため、これを上限とした。
Ca:0.0030%以下、
Caは脱硫、脱酸のために若干添加されることがある。0.0002%以上の添加で効果が発揮されるため、これを下限として添加しても良い。但し、0.0030%超の添加によって熱間加工割れが生じやすくなり、また耐食性が低下するため、これを上限とした。
Mg:0.0030%以下、
Mgは、脱酸だけでなく、凝固組織を微細化する効果を持ち、添加される場合がある。これらの効果を発揮するためには、0.0002%以上の添加が必要であり、これを下限として添加しても良い。また0.0030%超の添加は製鋼工程でのコスト増加をもたらすため、これを上限とした。
次に製造方法についての限定理由を述べる。前述のように良好な均一伸びを得るためには金属組織を制御する必要があるが、そのような金属組織は化学組成のみで得られるものではない。本発明は以下に記載するような製造条件とすることにより、そのような金属組織を得た。
熱間圧延素材としては連続鋳造により得られた鋼片を用いる。熱間圧延前の加熱温度Tは1150℃以上1250℃未満とする。1150℃未満であると熱間圧延中に耳割れが生じてくるため、これを下限とした。また加熱温度が1250℃超とした場合、最終焼鈍後のオーステナイト粒径が大きくなりやすいため、また加熱炉内で鋼片が変形したり、熱延時に疵が生じやすくなるため、これを上限とした。
また熱間圧延途中には、1000℃以上で30%以上の圧下率を有する圧下に引き続いて30s以上保持するような圧延を1パス以上実施することとする。本発明において良好な均一伸びを得るための金属組織とするには熱間圧延途中に再結晶を活用した細粒化工程が必要となる。フェライト・オーステナイト系ステンレス鋼において熱間再結晶を生じさせるには、この圧下工程が必要となる。圧延温度が1000℃未満の場合には1パス30%以上の圧下後に30s以上の保持を実施しても冷延焼鈍後の金属組織においてオーステナイト粒径が粗大となり、引張試験時の均一伸びが不十分となる。また圧下率とパス間時間はいずれも再結晶挙動に大きな影響を与えるが、冷延焼鈍後に微細かつアスペクト比の小さいオーステナイト粒を得るためには、熱間圧延時の圧下率は30%以上でその後の保持時間を30s以上とする必要がある。
さらに熱間圧延の総圧延率は96%以上とする。96%未満の場合には冷間圧延、焼鈍後の結晶粒が粗大になったり、またオーステナイト粒間の距離が大きくなったりするため、均一伸びが不十分となる。熱延板の焼鈍温度は、熱間圧延前の加熱温度T−100℃からT℃の間で実施することとする。T−100℃より低い場合には冷延、焼鈍後の結晶粒のアスペクト比が大きくなり、またT℃以上の場合には冷延、焼鈍後の結晶粒径が粗大化して目的の金属組織が得られず、引張試験時の均一伸びが低下する。
また冷延、焼鈍を繰り返し実施する、所謂2回冷延を実施しても良い。その際の中間焼鈍温度は熱延板焼鈍と同じようにT−100℃以上T℃以下とする必要がある。
また最終焼鈍温度は1000℃以上1100℃以下で実施する。1000℃未満の場合にはオーステナイト及びフェライト粒の形状アスペクト比が大きくなったり、Md値が適正範囲を外れて均一伸びが低下するためである。また1100℃超の場合は、γ相率が低下したり、Md値が適正範囲を外れたり、結晶粒径が大きくなりすぎたりする。
以下に実施例を示す。
表1に示す鋼種を溶製した後、熱間圧延、熱延板焼鈍、冷間圧延、最終焼鈍の工程を経て1.0mm厚の薄鋼板を作製した。鋼板を製造するにあたり、素材厚み、熱間圧延の加熱温度、圧延パススケジュール、圧延パス間時間、熱延板焼鈍温度、最終焼鈍温度及び時間を変化させて金属組織を変化させることができるが、今回は、最終焼鈍温度を変化させ、焼鈍時間は60秒とした。得られた製品板より、引張試験を実施し、均一伸びを測定した。また薄鋼板/L断面の金属組織より、EBSPによる相の同定、粒径及び形状アスペクト比の調査、オーステナイト粒間の最近接粒間距離の測定を実施した。各条件は前述のとおりである。得られた金属組織についてγ相率、Md値、X及びXを測定し、均一伸びとの関係を表2に製造条件と共に示す。
表2中の符号は下記に示すとおりである。
:熱延前加熱温度(℃)、
N:熱間圧延工程において1000℃以上で30%以上の圧下率を有する圧下に引き続いて30s以上保持する圧延を行った回数、
R:熱延総圧下率(%)、
:熱延板焼鈍温度(℃)、
:最終焼鈍温度(℃)、
:結晶粒径が15μm以下かつ形状アスペクト比が3未満のオーステナイト粒が全オーステナイト粒に占める割合、
:各オーステナイト粒の最近接粒との距離の平均値、
Md:オーステナイト相中の組成(Cのみ平均組成)より、下記式で計算される値、
Md=551−462({C}+[N])−9.2[Si]−8.1[Mn]−13.7[Cr]−29[Ni]―29[Cu]−18.5[Mo]
ここで、[ ]はオーステナイト相中の組成(質量%)、{ }は平均組成(質量%)
条件1aは本発明例であり、良好な均一伸びが得られる。条件1bはTが本発明範囲を満足しないため、X及びXが本発明から外れる。また条件1cはTが本発明範囲を満足しないため、Xが本発明から外れる。
条件2aはRが本発明範囲を満足しないため、Xが本発明から外れる。条件2bは本発明例であり、良好な均一伸びが得られる。条件2cはTが本発明範囲を満足しないため、γ相率及びXが本発明から外れる。
条件3aはTが本発明範囲を満足しないため、Xが本発明から外れる。条件3bは本発明例であり、良好な均一伸びが得られる。条件3cはNが本発明範囲を満足しないため、Xが本発明から外れる。
条件4aはT31及びRが本発明範囲を満足しないため、Xが本発明から外れる。条件4bは本発明例であり、良好な均一伸びが得られる。条件4cはTが本発明範囲を満足しないため、Xが本発明から外れる。
条件5aは本発明例であり、良好な均一伸びが得られる。条件5bはT及びTが本発明範囲を満足しないため、γ相率及びXが本発明から外れる。条件5cはTが本発明範囲を満足しないため、Xが本発明から外れる。
条件6aはRが本発明範囲を満足しないため、Xが本発明から外れる。条件6bは本発明例であり、良好な均一伸びが得られる。条件6cはT及びTが本発明範囲を満足しないため、Md及びXが本発明から外れる。
条件7aはTが本発明範囲を満足しないため、Xが本発明から外れる。条件7bは本発明例であり、良好な均一伸びが得られる。条件7cはNが本発明範囲を満足しないため、Xが本発明から外れる。
条件8aはT、N、R及びTが本発明範囲を満足しないため、γ相率、Md及びXが本発明から外れる。条件8bは本発明例であり、良好な均一伸びが得られる。条件8cはTが本発明範囲を満足しないため、X及びXが本発明から外れる。
条件9aは本発明例であり、良好な均一伸びが得られる。条件9bはTが本発明範囲を満足しないためXが本発明から外れる。条件9cはTが本発明範囲を満足しないため、X及びXが本発明から外れる。
条件10aはRが本発明範囲を満足しないため、Xが本発明から外れる。条件10bは本発明例であり、良好な均一伸びが得られる。条件10cはTが本発明範囲を満足しないため、Md及びXが本発明から外れる。
条件11aはTが本発明範囲を満足しないため、γ相率及びXが本発明から外れる。条件11bは本発明例であり、良好な均一伸びが得られる。条件11cはNが本発明範囲を満足しないため、Xが本発明から外れる。
条件12aはT及びNが本発明範囲を満足しないため、Xが本発明から外れる。条件12bは本発明例であり、良好な均一伸びが得られる。条件12cはTが本発明範囲を満足しないため、X及びXが本発明から外れる。
条件13aは本発明例であり、良好な均一伸びが得られる。条件13bはTが本発明範囲を満足しないため、X及びXが本発明から外れる。条件13cはT及びNが本発明範囲を満足しないため、Xが本発明から外れる。
条件14aは本発明例であり、良好な均一伸びが得られる。条件14bはTが本発明範囲を満足しないため、X及びXが本発明から外れる。条件14cはTが本発明範囲を満足しないため、Xが本発明から外れる。
条件15a、15b、15cはいずれも成分系が本発明範囲を満足しないため、良好な均一伸びが得られない。
本発明例では良好な均一伸びが得られる。比較例ではγ相率、Md値、X、Xのいずれかが条件を満足しておらず、均一伸びが低い。
Figure 0005213386
Figure 0005213386
EBSP測定結果をBCC相及びFCC相に分類した図で、(a)はBCC相を、(b)はFCC相を白色表示で示す図である。 γ相率と均一伸び(u−EL)の関係を示す図である。 Md値と均一伸び(u−EL)の関係を示す図である。 結晶粒径が15μm以下かつ形状アスペクト比が3未満のオーステナイト粒が全オーステナイト粒に占める割合(X)と均一伸び(u−EL)の関係を示す図である。 各オーステナイト粒の最近接粒との距離の平均値(X)と均一伸び(u−EL)の関係を示す図である。

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C:0.002〜0.100%、
    Si:0.05〜2.00%、
    Mn:0.05〜5.00%、
    P:0.050%未満、
    S:0.010%未満、
    Cr:17〜25%、
    N:0.010〜0.150%、
    を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなり、
    オーステナイト相の体積分率が10%以上50%未満であり、オーステナイト相中の化学組成より計算されるMd値が下記(1)式を満足し、圧延幅方向に垂直な断面において結晶粒径が15μm以下かつ形状アスペクト比が3未満であるオーステナイト粒の割合が全オーステナイト粒数の90%以上を占め、また同断面において最近接のオーステナイト粒間の平均距離が12μm以下であることを特徴とする成形性に優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼薄板。
    −10≦Md≦110・・・(1)
    (ここでMd=551−462({C}+[N])−9.2[Si]−8.1[Mn]−13.7[Cr]−29[Ni]―29[Cu]−18.5[Mo]、 [ ]はオーステナイト相中の組成(質量%)、{ }は平均組成(質量%))
  2. さらに、質量%で、
    Ni:5.00%以下、
    Cu:5.00%以下
    Mo:5.00%以下
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項記載の成形性に優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼薄板。
  3. さらに、質量%で、
    Nb:0.50%以下、
    Ti:0.50%以下、
    の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の成形性に優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼薄板。
  4. さらに、質量%で、
    Ca:0.0030%以下、
    Mg:0.0030%以下、
    の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の成形性に優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼薄板。
  5. 請求項1乃至のいずれかに記載の成分の鋼を連続鋳造し、得られた鋼片を熱間圧延前に1150℃以上1250℃未満の加熱温度T(℃)にて加熱後、1000℃以上で30%以上の圧下率を有する圧下に引き続いて30s以上保持する圧延を1パス以上実施し、熱間圧延の総圧延率96%以上として得られた熱延板をT−100℃以上T℃以下の温度で焼鈍して、しかる後に冷延を実施し、最終焼鈍を1000℃〜1100℃にて実施することを特徴とする成形性に優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼薄板の製造方法。
  6. 請求項5に記載の冷延は、1150℃以上1250℃未満の加熱温度T −100℃以上T ℃以下の温度での中間焼鈍を実施するものであることを特徴とする成形性に優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼薄板の製造方法。
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