JP4852857B2 - 張り出し成形性と耐隙間部腐食性が優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼板 - Google Patents

張り出し成形性と耐隙間部腐食性が優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼板 Download PDF

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この発明はステンレス鋼、特に張り出し成形性と耐隙間部腐食性が優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼板(以下単に「フェライト・オーステナイト系ステンレス鋼」ともいう)に関する。
自動車用ホイールキャップなどには、高い張り出し成形性と耐隙間部腐食性を兼備する材料が求められている。ステンレス鋼は広く耐食性を有する材料として知られており、自動車用部品、建築用部品、厨房用器具など広い用途に用いられている。ステンレス鋼はオーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系及びフェライト・オーステナイト系の4種に大別される。自動車ホイールキャップ用ステンレス鋼板としては、これらのうちオーステナイト系ステンレス鋼板がもっとも一般的に用いられている。
しかし、SUS301に代表されるオーステナイト系ステンレス鋼は湾岸地帯では飛来塩分により、また、降雪地帯では融雪塩により、特に、ホイールとキャップ間の隙間部などに腐食を発生する等の問題が散見される等耐食性が不十分であるとの指摘がなされている。また、成形限界近傍までの成形を行うと置き割れが生じることがあるため、複雑な形状を有する部材への適用が困難であるという問題があった。さらに一般に6%以上のNiを含有するため、高価であるという問題もある。
一方、フェライト系ステンレス鋼は、Cr量の増加により耐隙間部腐食性を向上させることが可能であるが、オーステナイト系ステンレス鋼にくらべて格段に張り出し成形性が低く成形が困難であるという問題がある。また、マルテンサイト系ステンレス鋼は、張り出し成形性および耐隙間部腐食性ともに不十分である。
これに対し、フェライト・オーステナイト系ステンレス鋼板は、比較的耐食性及び張り出し成形性に優れているため、上記自動車ホールキャップ用ステンレス鋼として有望であると目されるが、一般にNiの含有量が4%程度と極めて高いため高価であるという問題がある。
この問題を解決するため、たとえば特許文献1には、Ni量を0.1超1%未満に限定し、オーステナイトの安定性を下記に定義されるIM指数を40〜115にとることによって高め、Ni含有量が低くかつ引張り伸びに優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼が開示されている。ここに、IM=551-805(C+N)%-8.52Si%-8.57%Mn-12.51Cr%-36Ni%-3.45Cu%-14Mo%である。
また、オーステナイト系ステンレス鋼およびフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼のNi含有量を低減するため、Niに代えてNを大量に含有する試みもなされており、例えば非特許文献1には、加圧ESR溶解法により多量の窒素を添加することにより、Niを実質的に含有しないオーステナイト系ステンレス鋼およびフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼を製造する方法が開示されている。
特開平11−71643公報 片田康行「加圧式ESR法による高濃度窒素鋼の製造」ふえらむVol.7(2002)p.848
しかしながら、特許文献1に開示されたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼は、その引張り伸びが高いことは認められるが、Mnを多量に含有しているため耐隙間部腐食性が不十分であり、また張り出し成形性が未知であるという問題がある。一方、非特許文献1に開示されている手段は、単にNi節減手段としてみても、加圧溶解のための大掛かりな設備を必要としかつ、予め溶解原料用電極を準備なければない等操業上のコストアップ要因を多く含んでいる。さらに、単にNiをNに置き換えても張り出し成形性と耐隙間部腐食性を兼備する材料が得られるものではない。
本発明は、上記従来技術に係る問題を解決し、Ni量を節減しながら高い張り出し成形性と耐隙間部腐食性を兼備したフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼を提供することを目的とするものである。
本発明に係るフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼は、質量比で、C:0.111%以下、Si:1.2%以下、Mn:1.91%以下、P:0.1%以下、S:0.03%以下、Cr:15%以上35%以下、Ni:0.83%以下、N:0.108%以上0.511%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなり、オーステナイト相分率が29vol%以上82vol%以下の金属組織を有し、張り出し成形性と耐隙間部腐食性が優れている。
上記フェライト・オーステナイト系ステンレス鋼はさらにV:O.028%以上0.5%以下、Al:0.003%以上0.1%以下、Mo:4%以下、Cu:0.32%以上4%以下の一方又は双方、B:0.01%以下、Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下、REM:0.1%以下、Ti:0.1%以下から選んだ1種又は2種以上を任意に含有することができる。なお、ここでいうフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼とはフェライト相及びオーステナイト相を含むステンレス鋼であり、他にマルテンサイト相などを含んでも構わない。
本発明のフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼は、Ni含有量が低いため比較的安価であるにもかかわらず張り出し性および耐隙間部腐食性に優れる。これにより、自動車ホイールキャップ等の複雑な形状の加工物を置き割れの危険なく経済的に製造することができるようになる。
本発明に係るフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼の組成(%、質量%)は下記のとおりである。
C:0.111%以下
Cは、Nとともにオーステナイト相分率を高め、また、オーステナイト相中に濃化してその安定性を高める効果を有する。さらに、鋼の強度を高めるために有効である。これらの効果を発現させるためには、Cは0.003%以上含有させるのが好ましい。しかし、0.2%を超えると固溶のための熱処理温度が著しく高くなり、大量生産に支障をきたす。これに加え、後に示す実施例に基づき、本発明では、C量を0.111%以下とする。好ましくは0.05%以下に制限するのがよい。
Si:1.2%以下
Siは脱酸材として有効な元素であり、0.01%以上含有させるのがよい。しかし、1.2%を超えると、熱間加工性が劣化するので1.2%以下、好ましくは1.0%以下とする。なお、さらに鋭敏化(粒界のクロム炭化物、クロム窒化物の生成による耐食性の劣化)による耐食性劣化を考慮する場合は0.4%以下とするのが好ましい。
Mn:1.91%以下
Mn含有量は優れた張り出し成形性と耐隙間部腐食性を達成する上で特に重要である。図1は、Ni含有量が1%以下かつ、オーステナイト相分率が40〜50vol%のフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼における張り出し成形性(エリクセン値)に対するMn含有量の影響を示したグラフである。ここに示すように、Mnは張り出し成形性に大きな影響を及ぼし、1.91%以下で張り出し成形性が著しく向上する。その理由としては、確定的ではなく、また本発明の外延について影響を与えるものではないが、Mn含有量が少ない場合にはフェライト相でのMn濃度が著しく減少する結果、フェライト相の延性が著しく向上することが挙げられる。
図2は、Ni含有量が1%以下かつ、オーステナイト相分率が40〜50vol%のフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼における屋外暴露試験結果におよぼすMn含有量の影響を示すグラフである。Mn含有量が2%以下の場合には、良好な耐隙間部腐食性が得られている。その理由としては、確定的ではなく、また本発明の外延について影響を与えるものではないが、Mn含有量が低い場合には、MnSなどの耐隙間部腐食性に悪影響を及ぼす介在物が減少することが挙げられる。これら図1、図2に示した知見に基づき、さらに、後に記載の実施例に基づき、張り出し成形性及び耐隙間部腐食性に関して十分な特性を得るためにMn含有量は1.91%以下、好ましくは1.5%以下に制限される。
P:0.1%以下、S:0.03%以下
Pは耐隙間部耐食性に有害な元素であり、特に0.1%を超えるとその影響が顕著になるので0.1%以下、好ましくは0.05%以下に制限される。一方、Sは熱間加工性に有害な元素であり、特に0.03%を超えると影響が顕著になるので0.03%以下、好ましくは0.02%以下に制限される。
Cr:15%以上35%以下
Crは耐食性を付与する主要成分である。その含有量が15%未満では十分な耐隙間部耐食が得られない。また、その含有量が15%未満では、オーステナイト相の安定度が低く、加工初期に多くのオーステナイト相の多くがマルテンサイト相に変態するために優れた張り出し成形性を得ることができなくなる。しかしながら、Cr含有量が35%を超えると、オーステナイト相を有するフェライト・オーステナイト組織を形成することが困難となる。そのため、Cr含有量は15〜35%、好ましくは17〜30%、さらに好ましくは18〜28%に制限される。
Ni:0.83%以下
Niはオーステナイト相の形成を促進する元素であるが、その含有量が高いときには優れた張り出し成形性が得られなくなる。たとえば、SUS329系のフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼は約50%のオーステナイト相を含むものであるが、Ni量が1%を超えるときには張り出し成形性が顕著に劣化する。また、Niは高価な合金元素であり、経済性、省資源の観点からもその含有量はフェライト・オーステナイト組織を生成するのに必要な限度において極力低減することが求められる。本発明においては、かかる観点から、さらに、後に記載の実施例に基づき、Ni含有量は0.83%以下、好ましくは、0.5%未満に制限される。しかしながら、Ni量が0.10%以下であると、母材および溶接部のいずれにおいても鋼の靭性が低下する。したがって、溶接部を含む靭性向上のためにはNiは少なくとも0.10%超含有させるのが好ましい。
N:0.108%以上0.511%以下
本発明ではNi含有量を0.83%以下に制限している。そのため、Nをオーステナイト相形成促進元素としてフェライト・オーステナイト組織を形成するのに十分な量のオーステナイト相を形成するために含有させる。その含有量が0.05%未満では、十分な量のオーステナイト相が形成されず、一方0.6%を超えると加圧溶解など経済的に不利な手段を採用せねばならない。本発明では、上記の観点に加え、さらに、後に記載の実施例に基づき、N含有量は0.108〜0.511%に制限される。なお、オーステナイト相生成の観点から上記範囲内で0.18%以上に、熱間加工性向上の観点からは上記範囲内で0.34%以下に制限するのが好ましい。
本発明では、上記元素に加え以下の元素を必要に応じて含有させることができる。
V:0.028%以上0.5%以下
Vは鋼の組織を微細化し強度を高める。その効果を有効に発現させるためには0.005%以上含有させることが好ましい。しかし、0.5%を超えると焼鈍温度を高めてもV化合物の析出を減じることが困難となり、張り出し成形性が劣化する。本発明では、上記の観点に加え、さらに、後に記載の実施例に基づき、V含有量は0.028%以上0.5%以下とする。
Al:0.003%以上0.1%以下
Alは脱酸剤として利用することができ、脱酸剤として必要な限度において含有させることができる。この脱酸材としての効果は0.003%以上で認められるが、0.1%を超えると窒化物を形成して鋼板の疵の原因となる。本発明では、上記の観点に加え、さらに、後に記載の実施例に基づき、Al含有量は0.003%以上0.1%以下とする。
Mo:4%以下、Cu:0.32%以上4%以下
これらの元素は耐食性を向上させるのに有効であり、その効果を有効に発現させるためには0.1%以上含有させることが好ましい。しかしながら、Moは含有量が4%を超えても耐食性の向上効果が飽和し、経済性を損なうので、その最大含有量は4%以下、好ましくは、2%以下とする。一方、Cuについては、4%を超えると熱間加工性が著しく劣化するという観点に加え、さらに、後に記載の実施例に基づき、Cu含有量は0.32%以上4%以下とする。
B:0.01%以下、Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下、REM:0.1%以下、Ti:0.1%以下
これらの元素は鋼の熱間加工性を向上させるのに有用であり、それぞれその目的を達成し、過剰含有による弊害が発生しない範囲において含有させることができる。それらの効果を有効に発現させるためには、B、Ca、Mgについては0.0003%以上、REM、Tiについては0.002%以上とするのがよい。しかし、Bは過剰含有により耐食性が劣化するので、その含有量の上限を0.01%以下、好ましくは0.005%以下とするのがよい。同様の理由により、Ca、Mg、REMはそれぞれ0.01%以下、好ましくは0.005%以下、Mgは0.01%以下、好ましくは0.005%以下、REMは0.1%以下、好ましくは0.05%以下とするのがよい。Tiは過剰に添加すると、窒化物の形成により鋼板の庇の原因になるので、0.1%以下、好ましくは、0.05%以下の範囲に制限するのがよい。
Nb:2%以下
Nbは鋭敏化を抑制するのに有効であり、その効果を有効に発現させるためには0.01%以上含有させることが好ましい。しかしながら、Nbは、含有量が2%を超えるとNbの炭窒化物が多量に発生し、それにより固溶C、固溶Nが消費されるので上限を2%に制限するのが好ましい。
残部Feを除き不可避的不純物
上記成分以外の成分は不可避的不純物を除いてFeである。不可避的不純物としては、脱酸生成物であるO(酸素)等が挙げられる。これらは不可避的に残留する場合を含め、極力低減することが望ましい。
本発明では、上記の組成とすることにより、本発明と同程度のCrを15〜35%含有するオーステナイト系ステンレス鋼やフェライト系ステンレス鋼に比べて優れた耐隙間部腐食性を示す。推測であるが、フェライト・オーステナイト系ステンレス鋼では、フェライト相中にはCrが、また、オーステナイト相中にはNが濃化することによって、各相の不動態皮膜が強化されると考えられる。
本発明に係るフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼は、上記組成を有するとともに、その金属組織が組織中のオーステナイト相分率が10vol%以上85vol%以下であることを必要とする。
図3はMn含有量が2%以下、Ni含有量が1%以下のフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼板の張り出し成形性に及ぼすオーステナイト相分率の関係を示すグラフである。ここに示すように、張り出し成形性はオーステナイト相分率の増加により向上し、オーステナイト相分率が10vol%以上、特に15vol%以上のときに優れた張り出し成形性を示す。しかしながら、本発明では、経済性の面からNi含有量が1%以下に制限され、その場合、オーステナイト相分率が85vol%を超えることは困難になる。本発明では、上記の観点に加え、さらに、後に記載の実施例に基づき、オーステナイト相分率を29〜82vol%に限定する。
なお、オーステナイト相分率とは、組識中に占めるオーステナイトの体積率であり、典型的には鋼組織を顕微鏡下で観察し、組識中に占めるオーステナイトの割合を線分法あるいは面分法により測定することで決定できる。具体的には、試料を研磨の後、赤血塩溶液(フェリシアン化カリウム(K3[Fe(CN)6]):30g+水酸化カリウム(KOH):30g+水(H2O):60ml)にてエッチングすると、光学顕微鏡下ではフェライト相は灰色、オーステナイト相およびマルテンサイト相は白色と判別されるので、灰色部と白色部の占める分率を画像解析によって求め、白色部の比率をオーステナイト相分率とするのである。厳密にいうと本方法では、オーステナイト相とマルテンサイト相を見分けることができないので、白色部中にオーステナイト相だけではなく、マルテンサイト相も含まれることがあり得るが、たとえ、白色部にマルテンサイト相が含まれる場合でも、本手法によって測定したオーステナイト相分率および他の条件が満たされれば、本発明の目的の効果が得られる。
以上の基本的組成を有し、かつ金属組織中のオーステナイト相分率が29vol%以上82vol%以下としたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼は、比較的低コストであり、Ni資源の省資源化を図るものでありながら張り出し成形性と耐隙間部腐食性に優れている。
本発明の効果は熱延板、熱延焼鈍板、冷延焼鈍板のいずれでも得られる。また、仕上状態にも関係なく、No.2A、No.2B、BA、研磨仕上等のいずれの表面仕上状態でも本発明の効果を得ることができる。また、本発明の効果は製品の形状にかかわらず得ることができ、例えば線材、棒鋼、形鋼あるいは鋼管等の形状であっても、その効果を得ることができる。
表1に示す組成を有する各種鋼を真空溶解あるいは窒素分圧を最大0.9気圧(882hPa)までの範囲で制御した雰囲気中で溶製し、鋼スラブ(または鋼塊、鋳塊)とした後、常法に従って、熱間圧延、焼鈍および冷間圧延し、その後900〜1300℃の温度で仕上げ焼鈍を行い、板厚1.25mmの冷延焼鈍板を得た。得られた冷延焼鈍板についてオーステナイト相分率、張り出し成形性及び耐隙間部腐食性を測定した。
ここに、オーステナイト相分率の測定は、冷延焼鈍板の圧延方向に平行な板厚断面の金属組織観察によって行った。すなわち、試料を研磨の後、前述の赤血塩溶液でエッチングし、400〜1000倍の倍率で全厚(1.25mm厚)×0.15mm長の範囲の組織写真を撮影後、これらの撮影写真全体から面分法により白色部をオーステナイト相として、オーステナイト相分率を測定したものである。張り出し成形性はエリクセン試験によって行い、割れが発生するまでのパンチ押し込み長さをエリクセン値としたものである。この際、試験片は寸法80mm×80mmの正方形板とし、グラファイトグリースを塗布して潤滑し、パンチ径20mm、しわ押さえ力15.7kNの条件で行った。また、耐隙間部腐食試験は図4に示すような、表面スケールを削除した8cm幅×12cm長の冷延焼鈍板に同一素材の表面スケールを削除した3cm幅×4.5cm長の冷延焼鈍板を(小板)を重ね、これらをテフロン(登録商標)製のボルトとテフロン(登録商標)製のワツシヤーにて密着固定し、7ヶ月間、海岸から約0.7kmの場所で屋外暴露試験を行った後、試験片を解体し、隙間部および母材部での腐食発生の有無を目視にて観察したものである。
測定の結果は表2に示した。表1、2から明らかなように、本発明を満たすフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼板はエリクセン値が12mm以上であって張り出し成形性が高く、また、暴露試験においても耐隙間部が認められなかった。なお、表2において耐隙間部耐食性の評価は○印が腐食なし、×印が腐食ありの場合である。
Figure 0004852857
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実施例1と同様にして、表3に示す組成を有する鋼を溶製し、鋼スラブ(または鋼塊、鋳塊)とした後、常法に従って、熱間圧延、焼鈍、冷間圧延し、その後900〜1300℃の温度で仕上げ焼鈍を行い板厚1.25mの冷延焼鈍板を得た。得られた冷延焼鈍板について実施例1と同様にオーステナイト相分率、張り出し成形性(エリクセン値)及び耐隙間部腐食性を測定した。結果を表4に示す。表1および表2に示された比較例に比べて、張り出し成形性(エリクセン値)と耐隙間腐食性に優れていることが明らかである。
Figure 0004852857
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Ni含有量が1%以下かつ、オーステナイト相分率が40〜50vol%のフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼板における張り出し成形性に対するとMn含有量の影響を示したグラフである。 Ni含有量が1%以下かつ、オーステナイト相分率が40〜50vol%のフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼板の屋外暴露試験結果におよぼすMn含有量の影響を示すグラフである。 Mn含有量が2%以下、Ni含有量が1%以下のフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼板の張り出し成形性に及ぼすオーステナイト相分率の関係を示すグラフである。 耐隙間部腐食試験装置構造を示す概念図である。

Claims (5)

  1. 質量比で、C:0.111%以下、Si:1.2%以下、Mn:1.91%以下、P:0.1%以下、S:0.03%以下、Cr:15%以上35%以下、Ni:0.83%以下、N:0.108%以上0.511%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなり、金属組織中のオーステナイト相分率が29vol%以上82vol%以下であることを特徴とする張り出し成形性と耐隙間部腐食性が優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼
  2. さらにV:O.028%以上0.5%以下を含有することを特徴とする請求項1に記載の張り出し成形性と耐隙間部腐食性に優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼
  3. さらにAl:0.003%以上0.1%以下を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の張り出し成形性と耐隙間部腐食性が優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼
  4. さらにMo:4%以下、Cu:0.32%以上4%以下の一方又は双方を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の張り出し成形性と耐隙間部腐食性が優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼
  5. さらにB:0.01%以下、Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下、REM:0.1%以下、Ti:0.1%以下から選んだ1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の張り出し成形性と耐隙間部腐食性が優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼
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